JP3960585B2 - フラックス転写機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC基板等のワークに対してフラックスを転写する為のフラックス転写機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
IC基板等のワークの所定位置に半田ボールをマウントする前に、半田ボールの付着性を向上させる為に該ワークの所定位置にフラックスを転写させる方法として、ピン転写方式がある。
【0003】
図3は、従来のピン転写型フラックス転写機構の一例の模式図である。図3に示すように、従来のピン転写型フラックス転写機構200は、ワーク100に対して近接/離間されるように該ワーク100に対して相対移動するハウジング201と、該ハウジング201に対して軸線方向移動自在に支持される支持プレート202と、該支持プレート202のワーク100との対向面に相対移動不能に固定された複数の転写ピン203と、前記支持プレート202のワーク100とは反対側の裏面に配設されたスポンジ等の緩衝部材204とを備えている。
【0004】
斯かる従来のピン転写型フラックス転写機構200は、前記ハウジング201及びワーク100の一方を他方に向けて相対的に移動させて前記転写ピン203の先端部をワーク100に当接させ、さらに、前記緩衝部材204の収縮可能範囲内で前記ハウジング201及びワーク100の一方を他方に向けて継続して相対移動させることにより、該転写ピン203の先端部に付着されたワックスがワーク100に転写されるようになっている。
【0005】
ところが、該従来のピン転写型フラックス転写機構200においては、前記複数の転写ピン203の全てが前記支持プレート202と共に一体的にしか移動できない為、ワーク表面に凹凸がある場合(図3の実線参照)やワーク100と支持プレート202が平行に配置されていない場合(図3の二点鎖線参照)等においては、複数の転写ピン203の一部しかワーク100と当接せず、フラックスを転写すべき位置の一部にしか該フラックスが転写されなかったり、若しくは、複数の転写ピン203の一部がワーク100に対して過押圧されて該ワーク100が損傷するという不都合があった。
【0006】
さらに、前記スポンジ等の緩衝部材204は劣化によって弾性率が変動するが、斯かる弾性率の変動は、緩衝部材204の全体において均一に生じるのではなく、部位によって異なる場合が多い。斯かる場合にも、前記と同様の不都合が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、複数の転写ピンを介してワークにフラックスを転写させるフラックス転写機構であって、ワークの損傷を有効に抑えつつ、ワークへのフラックスの転写を確実に行えるフラックス転写機構を提供することを、主な目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成する為に、ワークに対してフラックスを転写させる為の複数の転写ピンと、該複数の転写ピンを支持するハウジングとを備え、該ハウジング及びワークを互いに近接する方向へ相対的に移動させて前記転写ピンをワークに当接させることによって該ワークにフラックスを転写し得るように構成されたフラックス転写機構であって、前記複数の転写ピンは、それぞれ、先端部が外方に延在するように前記ハウジングに軸線方向相対移動可能に支持された転写プランジャと、該転写プランジャと共働する緩衝部材とを備え、前記緩衝部材は、前記転写プランジャの前記ハウジングに対する軸線方向基端側への相対移動に伴って弾性変形し、該弾性変形に基づく保有弾性によって該転写プランジャを軸線方向先端側へ向けて押圧するように構成されており、前記転写ピンは、前記緩衝部材の基端部を係止した状態で該緩衝部材を収容する,先端開口の筒状バレルをさらに有し、前記転写プランジャは基端部が前記筒状バレルの先端開口内に突入されており、前記ハウジングは前記転写プランジャをワークに当接させた状態で該ハウジング及びワークを近接方向へ相対移動させる際に該ハウジングに対して相対移動しないようにバレルを支持しており、前記転写プランジャは、前記バレルの先端開口を介して該バレルの中空部に軸線方向相対移動自在に挿入される第1小径部と、該第1小径部の先端側に位置し、前記バレルの先端開口より大径とされた大径部と、該大径部の先端側に位置し、該大径部より小径とされた第2小径部とを有し、前記ハウジングは、前記ワークとの対向面及び該対向面とは反対側の裏面を有するトップボードであって、前記転写プランジャを軸線方向移動可能に支持し得るように前記裏面から対向面へ貫通する支持孔が設けられたトップボードを備え、該支持孔は、前記トップボードの裏面から対向面へ向かって延び、前記大径部が挿通可能な第1孔部と、前記大径部は挿通不可とされ且つ前記第2小径部は挿通可能とされた第2孔部とを有しているフラックス転写機構を提供する。
【0009】
好ましくは、前記筒状バレルの先端部は、前記支持孔の基端部内に突入されるものとし得る。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るフラックス転写機構の一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態に係るフラックス転写機構の一部縦断側面図である。
【0011】
本実施の形態に係るフラックス転写機構1は、基板又はウエハ等のワーク100に半田ボールをマウントする前に、該ワーク100にフラックスを転写する為に使用される。
該フラックス転写機構1は、複数の転写ピン10と、該複数の転写ピン10を支持するハウジング50とを備え、該ハウジング50及びワーク100を互いに近接する方向へ相対移動させて前記転写ピン10をワーク100に当接させることによって該ワーク100にフラックスを転写し得るように構成されている。
【0012】
図2に、前記転写ピン10の一部縦断側面図を示す。
図1及び図2に示すように、前記複数の転写ピン10は、それぞれ、先端部が外方に延在するように前記ハウジングに軸線方向相対移動可能に支持された転写プランジャ12と、該転写プランジャ12と共働する緩衝部材11とを備えている。
【0013】
前記緩衝部材11は、前記転写プランジャ12の前記ハウジング50に対する軸線方向基端側への相対移動に伴って弾性変形し、該弾性変形に基づく保有弾性によって該転写プランジャ12を軸線方向先端側へ向けて押圧するように構成されている。
前記緩衝部材11は、弾性を有する限り種々の態様を採用し得るが、取扱い容易性等の観点から、コイルバネを用いることができる。
【0014】
好ましくは、前記転写ピン10は、前記緩衝部材11の基端部を係止した状態で該緩衝部材11を収容可能な筒状バレル13をさらに備えることができる。
該筒状バレル13は、先端開口を介して前記転写プランジャ12の基端部を軸線方向移動自在に受け入れるように構成される。
斯かる筒状バレル13を備えることにより、前記転写プランジャ12の基端部と前記緩衝部材11とを確実に係合させることができる。
【0015】
前記筒状バレル13は、前記転写プランジャ12をワーク100に当接させた状態で、ハウジング50及びワーク100を近接方向へ相対移動させる際に該ハウジング50に対して相対移動しないように支持される。
【0016】
本実施の形態においては、前記転写プランジャ12は、前記バレル13の先端開口を介して該バレル13の中空部に軸線方向相対移動自在に挿入され、該バレル13の基端部との間に前記緩衝部材13を保持する第1小径部21と、該第1小径部21の先端側に位置し、前記バレル13の先端開口より大径とされた大径部22と、該大径部22の先端側に位置し、該大径部22より小径とされた第2小径部23とを有している。
【0017】
前記ハウジング50は、例えば、前記複数の転写ピン10における転写プランジャ12を軸線方向相対移動可能に支持する支持孔61が形成されたトップボード60と、該トップボード60のワーク100とは反対側の裏面60bに連結されるケース70とを備えることができる。
【0018】
前記支持孔61は、前記トップボード60におけるワークとの対向面60aと該対向面60aとは反対側の裏面60bとの間に亘って貫通している。
より詳しくは、該支持孔61は、前記トップボード60の裏面60bから対向面60aへ向かって延びる第1孔部62と、該第1孔部61から段部63を伴って小径とされた第2孔部64とを有する段付貫通孔とされる。
【0019】
前記第1孔62は、前記転写プランジャ12の大径部22が挿通可能な内径を有するものとされる。他方、前記第2孔部64は、前記転写プランジャ12の大径部22より小径であり且つ該転写プランジャ12の第2小径部23が挿通可能な内径を有するものとされる。
【0020】
このように構成することによって、前記転写プランジャ12が前記ハウジング50から脱離することを有効に防止しつつ、該転写プランジャ12を軸線方向移動可能に支持することができる。即ち、該転写プランジャ12は、前記大径部22の下端部が前記支持孔61の段部63に当接する第1位置から該大径部22の上端部が前記筒状バレル13の先端開口に当接する第2位置までの間を、軸線方向に沿って移動し得る。
【0021】
前記第1孔部62は、好ましくは、前記筒状バレル13の先端部が挿入され得る内径とされる。このように構成することによって、前記支持孔61を該筒状バレル13の支持用として兼用することができる。
【0022】
前記ケース70は、前記転写プランジャ12,緩衝部材11及び筒状バレル13が組み立てられた状態の転写ピン10の該転写プランジャを、前記トップボード60の第1孔部62に突入させた状態において、前記筒状バレル13の基端部が当接する当接部を有している。
本実施の形態においては、該ケース70は、前記トップボード60の裏面から離間された上壁71と、該上壁71からを前記トップボード60の裏面60bまで延びる周壁72とを有しており、前記上壁71の内周面71aが前記当接部を構成している。
【0023】
以下、斯かる構成のフラックス転写機構1の組立方法及び動作説明を行う。
まず、転写プランジャ12,緩衝部材11及び筒状バレル13を組み立ててなる複数の転写ピン10を、前記トップボード60の裏面60b側から、対応する前記支持孔61内に挿入する。そして、前記ケース70を該トップボード60の裏面60bに連結させる。
なお、各部材は、斯かる初期状態において、前記緩衝部材11が所定長さだけ圧縮されているように、寸法設定されている。即ち、初期状態において、前記緩衝部材11が、前記筒状バレル13の基端部を前記ケース70の当接部へ向けて押圧し、且つ、転写プランジャ12の大径部22を前記トップボード60における支持孔61の段部63に向けて押圧するように、各部材の寸法を設定する。
【0024】
このようにして組み立てられた前記フラックス転写機構1は、以下のように動作する。まず、従来と同様の方法に従って、前記転写ピン10の先端部にフラックスを付着させる。その後、該フラックス転写機構1及びワーク100を相対移動させて、前記転写ピン10をワークの所定位置に当接させる。
この状態で、前記ハウジング50及びワーク100を互いに近接方向へ相対移動させると、前記複数の転写ピン10における各転写プランジャ12はワーク100の所定位置に押圧されたまま、それぞれの緩衝部材11の付勢力に抗して第1位置から第2位置へ向けて移動する。この際、本実施の形態においては、前述の通り、複数の転写ピン10のそれぞれに緩衝部材11が備えられているから、該複数の転写プランジャ12はそれぞれ互いに独立して移動する。
【0025】
このように、本実施の形態においては、複数の転写ピン10が、それぞれ、独立した緩衝部材11を備えており、従って、ワーク100の表面に凹凸がある場合やワーク10が平行に配置されていない場合であっても、複数の転写ピン10が確実にワーク100と当接すると共に、複数の転写ピン10の一部がワークに対して過押圧されることを有効に防止できる。従って、ワーク100や転写ピン10の損傷を抑えつつ、該ワーク100の所定位置にフラックスを確実に転写できる。
【0026】
さらに、本実施の形態においては、転写プランジャ12,緩衝部材11及び筒状バレル13を組み立ててなる転写ピン10を、前記ハウジング50に形成された支持孔61に支持させている。従って、該支持孔61を所定ピッチで複数設けておき、該複数の支持孔61のうちの任意の支持孔に前記転写ピン10を挿入することによって、共通ハウジングで種々のボールグリッドアレイ(BGA)に対応することができる。
【0027】
又、本実施の形態に係るフラックス転写機構1においては、前記複数の転写ピン10を、それぞれ、独立して交換及び/又は調整できる。従って、種々のワーク100に対して適切に対応することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るフラックス転写機構によれば、複数の転写ピンのそれぞれに互いに独立した緩衝部材を備えるように構成したので、ワークを損傷させることなく、確実にフラックスを転写させることができる。
さらに、本発明に係るフラックス転写機構によれば、前記転写ピンが前記緩衝部材の基端部を係止した状態で該緩衝部材を収容する,先端開口の筒状バレルをさらに有し、前記転写プランジャは基端部が前記筒状バレルの先端開口内に突入されており、前記ハウジングは前記転写プランジャをワークに当接させた状態で該ハウジング及びワークを近接方向へ相対移動させる際に該ハウジングに対して相対移動しないようにバレルを支持しており、前記転写プランジャは前記バレルの先端開口を介して該バレルの中空部に軸線方向相対移動自在に挿入される第1小径部と、該第1小径部の先端側に位置し、前記バレルの先端開口より大径とされた大径部と、該大径部の先端側に位置し、該大径部より小径とされた第2小径部とを有し、前記ハウジングは前記ワークとの対向面及び該対向面とは反対側の裏面を有するトップボードであって、前記転写プランジャを軸線方向移動可能に支持し得るように前記裏面から対向面へ貫通する支持孔が設けられたトップボードを備え、該支持孔は前記トップボードの裏面から対向面へ向かって延び、前記大径部が挿通可能な第1孔部と、前記大径部は挿通不可とされ且つ前記第2小径部は挿通可能とされた第2孔部とを有しているので、前記転写プランジャが前記ハウジングから脱離することを有効に防止しつつ、該転写プランジャを軸線方向移動可能に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係るフラックス転写機構の好ましい一実施の形態の一部縦断側面図である。
【図2】 図2は、図1に示すフラックス転写機構における転写ピンの一部縦断側面図である。
【図3】 図3は、従来のフラックス転写機構の一例の一部縦断側面図である。
【符号の説明】
1 フラックス転写機構
10 転写ピン
11 緩衝部材
12 転写プランジャ
13 バレル
21 第1小径部
22 大径部
23 第2大径部
50 ハウジング
60 トップボード
70 ケース
100 ワーク
Claims (2)
- ワークに対してフラックスを転写させる為の複数の転写ピンと、該複数の転写ピンを支持するハウジングとを備え、該ハウジング及びワークを互いに近接する方向へ相対的に移動させて前記転写ピンをワークに当接させることによって該ワークにフラックスを転写し得るように構成されたフラックス転写機構であって、
前記複数の転写ピンは、それぞれ、先端部が外方に延在するように前記ハウジングに軸線方向相対移動可能に支持された転写プランジャと、該転写プランジャと共働する緩衝部材とを備え、
前記緩衝部材は、前記転写プランジャの前記ハウジングに対する軸線方向基端側への相対移動に伴って弾性変形し、該弾性変形に基づく保有弾性によって該転写プランジャを軸線方向先端側へ向けて押圧するように構成されており、
前記転写ピンは、前記緩衝部材の基端部を係止した状態で該緩衝部材を収容する,先端開口の筒状バレルをさらに有し、
前記転写プランジャは、基端部が前記筒状バレルの先端開口内に突入されており、
前記ハウジングは、前記転写プランジャをワークに当接させた状態で、該ハウジング及びワークを近接方向へ相対移動させる際に該ハウジングに対して相対移動しないようにバレルを支持しており、
前記転写プランジャは、前記バレルの先端開口を介して該バレルの中空部に軸線方向相対移動自在に挿入される第1小径部と、該第1小径部の先端側に位置し、前記バレルの先端開口より大径とされた大径部と、該大径部の先端側に位置し、該大径部より小径とされた第2小径部とを有し、
前記ハウジングは、前記ワークとの対向面及び該対向面とは反対側の裏面を有するトップボードであって、前記転写プランジャを軸線方向移動可能に支持し得るように前記裏面から対向面へ貫通する支持孔が設けられたトップボードを備え、
該支持孔は、前記トップボードの裏面から対向面へ向かって延び、前記大径部が挿通可能な第1孔部と、前記大径部は挿通不可とされ且つ前記第2小径部は挿通可能とされた第2孔部とを有していることを特徴とするフラックス転写機構。 - 前記筒状バレルの先端部は、前記支持孔の基端部内に突入されていることを特徴とする請求項1に記載のフラックス転写機構。
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