JP3960242B2 - 自動伴奏装置及び自動伴奏プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動伴奏装置及び自動伴奏プログラムに関し、より詳しくは、曲データに自動的に伴奏を付与する自動伴奏装置及び自動伴奏プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、MIDIデータ等の曲データを再生する際に、自動的に該曲データに対して伴奏を付与する自動伴奏装置が知られている。例えば、曲データの伴奏データを作成する際に予め保存されている伴奏スタイル内のセクションを組み合わせるものがある。伴奏スタイルには、曲データのイントロダクションパートに用いるイントロセクション、曲データの本体部(メインパート)に用いるメインセクション及びエンディングパートに用いるエンディングセクションなどが含まれる。伴奏データの作成は、曲データの開始位置以前にイントロセクションを配置し、曲データの開始位置から終了位置までには、メインセクションを配置し、終了位置以降にエンディングセクションが配置される。(例えば、特許文献1参照。)
また、伴奏データを作成する曲データを解析することにより、曲データのコード進行と伴奏スタイルのセクション列を自動生成し、曲データの前後にイントロセクション及びエンディングセクションを追加することが行われる。(例えば、特許文献2参照。)
【0003】
【特許文献1】
特許第2828119号公報
【特許文献2】
特許第3327188号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の自動伴奏装置において、曲データに含まれるコード情報を元に曲本体部分に対応するコードを決定している。しかし、イントロセクションは、曲データの開始前に演奏されるものなので、曲データ中にイントロセクションに対応するコード情報が含まれていないことが多い。このような場合に、イントロセクションに対応するコードは、例えば、曲本体部分の最初のコード(曲データの最初のコード)をイントロセクションの最初のコードとして用いる事により決定されている。
【0005】
上記の方法では、曲データの最初のコードが必ずしもイントロセクションを開始するのにふさわしいコードとは限らない。よって、イントロセクションに対応するコードを曲データの最初のコードに基づいて決定すると、イントロセクションからメインセクションに移る時に調感が変わるなど、不安定な自動伴奏になることがある。
【0006】
本発明の目的は、イントロセクションに対して適切なコードを決定することのできる自動伴奏装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、自動伴奏装置は、曲データに含まれるコード情報からトニックの機能を持つコードを検出する検出手段と、前記検出したトニックの機能を有するコードのうちの最後のものと同一のコードタイプで、前記曲データの調における1度の音名のコードを、前記曲データのイントロセクションに対応するコード情報として生成する生成手段とを有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施例による自動伴奏装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0009】
自動伴奏装置1のバス10には、RAM11、ROM12、CPU13、検出回路15、表示回路18、外部記憶装置20、音源回路21、効果回路22、通信インターフェイス26が接続される。
【0010】
ユーザは、検出回路15に接続される設定操作子17を用いて、各種設定をすることができる。設定操作子17は、例えば、マウス、文字入力用キーボード、カーソルキー、スイッチ、ジョイスティック、ジョグシャトル等、ユーザの入力に応じた信号を出力できるものならどのようなものでもよい。
【0011】
また、設定操作子17は、マウス等の他の操作子を用いて操作する表示部19上に表示されるソフトスイッチ等でもよい。本実施例では、後述するように、表示部19上に表示される各種ボタンをカーソルキー、マウス等で選択することにより入力操作を行う。
【0012】
表示回路18は、表示部19に接続され、各種情報を表示部19に表示することができる。
【0013】
外部記憶装置20には、各種パラメータ、各種データ、及び本実施例を実現するためのプログラム、曲データMD(図2)及び伴奏スタイルデータSS(図3)等を記憶することができる。
【0014】
RAM11は、フラグ、レジスタ又はバッファ、各種パラメータ等を記憶するCPU13のワーキングエリアを有する。ROM12には、各種パラメータ及び制御プログラム、又は本実施例を実現するためのプログラム等を記憶することができる。CPU13は、ROM12又は、外部記憶装置20に記憶されている制御プログラム等に従い、演算又は制御を行う。
【0015】
タイマ14は、CPU13に接続されており、基本クロック信号、割り込み処理タイミング等をCPU13に供給する。
【0016】
音源回路21は、外部記憶装置20等に記録された曲データMD(図2)及び伴奏スタイルデータSS(図3)、通信インターフェイス26に接続された外部機器2等から供給されるMIDI信号等の演奏信号に応じて楽音信号を生成し、効果回路22を介して、サウンドシステム23に供給する。
【0017】
効果回路22は、音源回路21から供給されるデジタル形式の楽音信号に各種効果を与える。サウンドシステム23は、D/A変換器及びスピーカを含み、供給されるデジタル形式の楽音信号をアナログ形式に変換し、発音する。
【0018】
通信インターフェイス26は、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネット、電話回線等の通信ネットワークに接続可能であり、該通信ネットワークを介して、サーバコンピュータと接続することができる。さらに、通信インターフェイス26として、電子楽器、その他の楽器、音響機器、コンピュータ等に接続できるものであり、少なくともMIDI信号を送受信できるものを備えていてもよい。この場合、通信インターフェイス26は、専用のMIDIインターフェイスに限らず、RS−232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)等の汎用のインターフェイスを用いて構成してもよい。
【0019】
外部機器2は、通信インターフェイス26に接続される音響機器、楽器等の他の電子音楽装置又は通信ネットワークを介して接続されるコンピュータ等である。外部機器2が電子音楽装置である場合の形態は鍵盤楽器に限らず、弦楽器タイプ、管楽器タイプ、打楽器タイプ等の形態でもよい。また、音源装置、自動演奏装置等を1つの電子楽器本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別体の装置であり、MIDIや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するものであってもよい。
【0020】
なお、通信インターフェイス26は、有線のものに限らず無線でもよい。また双方を備えていてもよい。
【0021】
図2は、本実施例による曲データMDのフォーマットを表す概念図である。曲データMDは、例えばMIDIデータ等の自動演奏データであり、ヘッダー情報HC、演奏データPD、スタイルセクションSS、コードシーケンスCS等を含んで構成される。
【0022】
ヘッダー情報HCには、例えば、初期音量値、初期テンポ値、トラック音色、効果設定等の情報が記録されている。また、本実施例の曲データMDは、ヘッダー情報HC中に曲データMDに対応する楽曲の調を表す調情報(Key Signature)KSが記録されている。調情報KSは、「CMaj」や「Amin」等の調名で記録されていてもよいし、「♯」や「♭」等の調号、該調号の数、及びMaj又はmin(長調又は単調)の区分で記録されていてもよい。
【0023】
演奏データPDは、例えば、トラック1〜nの複数のトラックTRを有し、各トラックTRは、タイミングデータTMと該タイミングデータTMの表すタイミングに再生されるべきイベントを表すイベントデータEVを含んで構成される。
【0024】
タイミングデータTMは、イベントデータEVで表される各種イベントを処理すべき時間を表すデータである。本実施例では、タイミングデータTMは、小節数、該小節での拍数、及び該拍におけるクロック数(小節:拍:クロック)で表している。なお、イベントの処理時間は、演奏開始からの絶対時間で表してもよいし、前のイベントからの経過時間である相対時間で表すようにしてもよい。
【0025】
イベントデータEVは、楽曲を再生させる為の各種イベントの内容を表すデータである。イベントには、ノートオンイベントとノートオフイベントの組合せである楽曲の発生に直接関係する音符を表すノートイベント(音符データ)と、ピッチチェンジイベント(ピッチベンドイベント)、テンポチェンジイベント、音色チェンジイベントなどの楽曲の再生態様などを設定するための設定イベントが含まれる。それぞれのノートイベントには、音高、発音長(ゲートタイム)、音量(ベロシティ)等が記録されている。
【0026】
スタイルセクションSSは、伴奏スタイルデータのセクションを指定するためのシーケンスデータであり、演奏データPDのトラックTRと同様に、タイミングデータTMと該タイミングデータTMの表すタイミングに再生されるべき伴奏スタイルデータのセクションを表すイベントデータEVを含んで構成される。
【0027】
コードシーケンスCSは、曲データMDのコード進行を表すコード情報をコードイベントとして記録するシーケンスデータであり、演奏データPDのトラックTRと同様に、タイミングデータTMと該タイミングデータTMの表すタイミングにおける楽曲データMDのコード情報を表すコードイベント(イベントデータEV)を含んで構成される。
【0028】
なお、スタイルセクションSS及びコードシーケンスCSは、マスタートラックとして、同一のトラックに記憶するようにしてもよい。
【0029】
図3は、本実施例による伴奏スタイルデータSDのフォーマットを表す概念図である。伴奏スタイルデータSDは、例えばSMF(Standard MIDI File)フォーマットに準拠した、自動演奏データであり、ヘッダー情報HC及びイントロセクションIT、メインセクションMN、エンディングセクションED等の複数のセクションを含んで構成される。伴奏スタイルデータSDは、ジャズ、ロック、クラッシック等の音楽ジャンルに対応するとともに各ジャンルごとに複数種類のものが用意されており、伴奏スタイル名で識別される。
【0030】
ヘッダー情報HCは、当該伴奏スタイルデータの伴奏スタイル名、拍子情報、テンポ情報等を含む当該伴奏スタイルデータ全体の設定情報である。
【0031】
イントロセクションITは、演奏データPDの最初ノートイベントEVの前に演奏されるセクションであり、メインセクションMNは、演奏データPDと同時に演奏されるセクションであり、エンディングセクションEDは、演奏データPDの最後のノートイベントEVの後に演奏されるセクションである。なお、イントロセクションITは、演奏データPDのトラックTRの内のメロディパートに対応するトラックTR(メロディパート)の最初のノートイベントEVの前に演奏されるようにしてもよい。また、エンディングセクションEDは、メロディパートの最後のノートイベントEVの後に演奏されるようにしてもよい。
【0032】
各セクション(イントロセクションIT、メインセクションMN、エンディングセクションED)は、設定情報SI及びパターンデータPTを含んで構成される。
【0033】
なお、伴奏スタイルデータSDに含まれるセクションは、上記のものに限らず、例えば、フィルインセクション、間奏セクション等の楽曲の他の部分に対応するセクションを含ませるようにしてもよい。また、例えば、イントロA、イントロB等のように各セクションを複数種類用意してもよい。
【0034】
設定情報SIは、各セクションのセクション名(イントロ、メイン、エンディング等)、小節数(例えば、1小節、4小節、8小節等)、及び各パートごとの設定情報が含まれる。
【0035】
パターンデータPTは、実際の伴奏データの元になるノートイベントが含まれる。パターンデータPTの形式は、曲データMDの演奏データPDと同様である。また、パターンデータPTには、和音伴奏を行うためのトラック、ベース音による伴奏を行うためのトラック、リズムトラック等の複数のトラックが含まれる。なお、パターンデータPTにおいては、リズムトラックを除く各トラックの伴奏データは、所定のコードに基づいて作成されており、演奏時に、コードシーケンスCSに指定されるコード情報に従ってコード変換される。例えば、所定のコードはCメジャーであり、伴奏データ中の音高を演奏時に指定されるコードに合うように変換される。なお、この伴奏データの所定のコードは、固定でも良いし可変でも良い。
【0036】
図4は、本実施例によるイントロコード決定処理の概要を表す概念図である。この図は、図2の曲データMD中のスタイルセクションSSとコードシーケンスCSをリスト表示したものである。左欄はタイミングTMを示し、右欄はタイミングTMに実行すべきイベントEVを示す。
【0037】
上段の図は、本実施例によるイントロコード決定処理を実行する前のスタイルセクションSSとコードシーケンスCSをリスト表示したものである。スタイルセクションSSとコードシーケンスCSは、例えば、図2の曲データMD中の演奏データPDに対して、周知の自動伴奏付加機能、例えば、オートアレンジャー(登録商標)等により付加されている。このとき、従来の処理では、イントロセクション用のコードとして、演奏データPDの開始位置のコードであるDm7が選択されてしまう。
【0038】
下段の図は、上段のスタイルセクションSSとコードシーケンスCSに対して本実施例によるイントロコード決定処理を行った場合のスタイルセクションSSとコードシーケンスCS´をリスト表示したものである。
【0039】
本実施例のイントロコード決定処理では、例えば、コードシーケンスCS中のトニック機能を持つコードイベントを検索し、該検索したコードイベントの内の最後のコードイベント(図では、CMaj)を検出する。一方、イントロセクションに有効な調を判断して、検出したコードイベントのタイプにより調情報を修正するとともに、該修正した調情報における調のI度の音名をルートにした検出したコードイベントと同一のタイプのコードイベントを生成して、イントロセクション用のコードとする。
【0040】
図5は、本実施例のイントロコード決定処理の一例を表すフローチャートである。
【0041】
ステップSA1では、イントロコード決定処理をスタートする。ステップSA2では、イントロコード決定処理を行うためのユーザ設定が行われる。ここでのユーザ設定とは、例えば、処理対象の曲データMDの選択、伴奏スタイル(伴奏スタイルデータ)の選択及び生成(自動又は手動)、コードシーケンスCSの用意(既存のコードシーケンスの使用、コードシーケンスの自動生成、又はユーザによる手動でのコードシーケンス作成)等である。
【0042】
ステップSA3では、図1のRAM11内に用意されるバッファChordを初期化する。
【0043】
ステップSA4では、調情報KSを取得する。調情報KSの取得は、例えば、ステップSA2で選択されている曲データMD中から調情報KSを検出することにより行われる。また、例えば、ユーザによる入力、演奏データPDからの自動検出等が可能である。なお、ここで取得する調情報KSは、イントロセクションで有効な調である。すなわち、演奏データPDの先頭部分で有効な調である。
【0044】
ステップSA5では、コードシーケンス(ステップSA2で作成若しくは予め曲データMDに含まれていたもの)から、コードイベントを一つ読み出す。ステップSA6では、ステップSA5で読み出したコードイベントがあるか否かを判断する。コードイベントが有る場合は、YESの矢印で示すステップSA7に進む。コードイベントが無い場合は、コードシーケンスの末尾に達したと判断して、NOの矢印で示すステップSA9に進む。
【0045】
ステップSA7では、ステップSA5で読み出したコードイベントが、トニック機能を持つトニックコードであるか否かを判断する。ここで、トニック機能とは、一般的な音楽理論で考えられているような、終止感を有するコードであり、例えば、有る調におけるI度の音をルートとするコードであるか、又は、VI度、III度の音をルートとするコードである。トニックコードである場合は、YESの矢印で示すステップSA8に進み、トニックコードで無い場合は、NOの矢印で示すステップSA5に戻る。
【0046】
ステップSA8では、バッファChordに、ステップSA5で読み出したコードイベントの値を格納する。その後、ステップSA5に戻る。
【0047】
ステップSA9では、バッファChordが初期状態であるか否かを判断する。初期状態である場合は、YESの矢印で示すステップSA14に進み、コードイベントがない旨を表すメッセージを出力してステップSA15に進みイントロコード決定処理を終了する。なお、この時、デフォルトのコードイベントを生成して、イントロセクションの範囲に有効な位置にコードイベントを挿入するようにしてもよい。
【0048】
初期状態でない、すなわちステップSA8で、ステップSA5で読み出したコードイベントの値が格納された場合は、NOの矢印で示すステップSA10に進む。
【0049】
ステップSA10では、バッファChordに格納されているコードイベントが、Maj系であるか否かを判断する。コードイベントがMaj系である場合は、YESの矢印で示すステップSA11に進む。コードイベントがMaj系でない場合、すなわち、min系である場合は、NOの矢印で示すステップSA12に進む。
【0050】
ステップSA10におけるコードイベントがMaj系かMin系であるかの判断は、例えば、図6に示すコードイベント分類テーブルを用いて行う。コードイベント分類テーブルは、コードイベントをMaj系とmin系とのいずれかに分類するためのテーブルであり、Maj系とmin系とのそれぞれに、分類されるべきコードタイプが記録されている。例えば、「Maj」、「Maj6」、「Maj7」、「7th」等は、Maj系のコードイベントとして分類される。また、例えば、「min」、「min6」、「min7」、「min♭5」、「minMaj7」等は、min系のコードイベントとして分類される。なお、コードイベント分類テーブルは、ユーザによるコードタイプの追加等の編集を可能にしてもよい。また、Maj系か、min系のいずれか一方のコードタイプのみを記録し、該記録に適合しないものは、他方の系統のコードイベントであると判断するようにしてもよい。
【0051】
また、ステップSA10におけるコードイベントがMaj系かMin系であるかの判断は、該コードイベントの示すコードの構成音のルート(根音)と第3音の距離が長3度であるか短3度であるかで判断するようにしてもよい。
【0052】
図5に戻り、ステップSA11では、ステップSA4で取得した調情報KSをMaj調に修正する。この場合は、ステップSA10で、コードシーケンスの最終コードがMaj系であると判断されたために、曲データMDの調情報KSを該最終コードの調性に合わせる処理である。その後ステップSA13に進む。ステップSA12では、ステップSA11と同様の理由により、ステップSA4で取得した調情報KSをmin調に修正する。
【0053】
ステップSA11及びステップSA12での調情報KSの修正は、例えば、図7に示す調情報修正テーブルを参照して行う。図7の調情報修正テーブルは、同一の調号及びその数ごとにMaj調及びmin調の調名が記録されており、Maj調からmin調への調情報の修正は、同一調号の同一数の列を参照することにより行われる。
【0054】
図5に戻り、ステップSA13では、ステップSA11又はステップSA12で修正した調におけるI度の音名をルートとし、且つ、バッファChordに格納されているコードイベントと同一のコードタイプのコードをイントロセクション用のコードイベントとして生成し、コードシーケンスのイントロセクションに対応する部分(イントロセクションの範囲に有効な位置)に追加する。なお、コードシーケンスのイントロセクションに対応する部分に既にコードイベントがある場合は、該コードイベントを無効化するか、このステップSA13で生成したコードイベントで上書きする。その後、ステップSA15に進み、イントロコード決定処理を終了する。
【0055】
以上、本発明の実施例によれば、曲データMD中の、例えば、コードシーケンスの中から最後のコードイベントを検出し、該検出したコードイベントがトニック機能を有する場合には、該コードイベントに基づき調情報KSを修正するとともに、修正された調情報KS及び検出したコードイベントに基づきイントロセクション用のコードイベントを生成することができる。
【0056】
従って、イントロセクションの自動伴奏データを安定した聴感にすることができる。また、イントロセクションと、次のセクション(例えば、メインセクション)との繋がりを自然なものにすることができる。
【0057】
また、曲データ中のコードの使用状況を上述のように分析するだけでなく、調情報を併せて考慮するため、一層安定した聴感を得られるコードを決定することができる。
【0058】
さらに、本発明の実施例によれば、曲データ中の調情報の調性(Maj若しくはmin)が適切でない場合、例えば、楽譜をもとに曲データを作成した際に、シャープやフラットなどの調号の数だけに基づいて調情報を入力して調情報が実際の調性とは逆である場合等に、曲データ中のコードの使用状況を考慮することにより、適切な調性でのコードを決定することができる。よって、安定した聴感を得られるコードを決定することができる。
【0059】
なお、曲データMDの最後のコードイベントが、トニック機能を持つコードであることが明らかな場合等に上述のイントロコード決定処理を簡略化することができる。その場合の処理の一例を、図8に示す。
【0060】
図8は、本実施例の変形例によるイントロコード決定処理を表すフローチャートである。
【0061】
ステップSB1〜ステップSB8までの処理は、図5のステップSA4を省略した点を除き、図5のステップSA1〜ステップSA9の処理と同一であるので、その説明を省略する。また、ステップSB10の処理は、ステップSA14の処理と同一である。
【0062】
ステップSB9は、バッファChordに格納されているコードイベントをイントロセクション用のコードイベントとして、コードシーケンスのイントロセクションに対応する部分(イントロセクションの範囲に有効な位置)に追加する。なお、コードシーケンスのイントロセクションに対応する部分に既にコードイベントがある場合は、該コードイベントを無効化するか、このステップSB9で決定したコードイベントで上書きする。その後、ステップSB11に進み、イントロコード決定処理を終了する。
【0063】
つまり、この変形例では、図5のステップSA10〜ステップSA12の処理を簡略化し、曲データPD(コードシーケンス)の最後のコードをイントロセクションのコードとして決定している。ステップSB6におけるコードイベントがトニック機能を有するか否かの処理も省略することができる。
【0064】
以上、本発明の実施例及びその変形例によれば、曲データを分析することにより、イントロセクションの自動伴奏データが安定した聴感になるようなコードを自動的に決定することができる。
【0065】
なお、上述の実施例及びその変形例では、曲中に転調がないものとして説明したが、転調がある場合には、曲先頭(イントロセクションの範囲)の調に合うように、ステップSA13又はステップSB9で生成したコードイベントをトランスポーズすればよい。
【0066】
なお、本実施例の自動伴奏装置1は、電子楽器の形態に限らず、カラオケ装置や、ゲーム装置、携帯電話等の携帯型通信端末、自動演奏ピアノに適用してもよい。携帯型通信端末に適用した場合、端末のみで所定の機能が完結している場合に限らず、機能の一部をサーバ側に持たせ、端末とサーバとからなるシステム全体として所定の機能を実現するようにしてもよい。
【0067】
また、音源装置、自動演奏装置等を1つの電子楽器本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別体の装置であり、MIDIや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するものであってもよい。
【0068】
また、本実施例は、本実施例に対応するコンピュータプログラム等をインストールした市販のコンピュータ等によって、実施させるようにしてもよい。
【0069】
その場合には、本実施例に対応するコンピュータプログラム等を、CD−ROMやフロッピー(登録商標)ディスク等の、コンピュータが読み込むことが出来る記憶媒体に記憶させた状態で、ユーザに提供してもよい。
【0070】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組合せ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、イントロセクションに対して適切なコードを決定することのできる自動伴奏装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例による自動伴奏装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】 本実施例による曲データMDのフォーマットを表す概念図である。
【図3】 本実施例による伴奏スタイルデータSDのフォーマットを表す概念図である。
【図4】 本実施例によるイントロコード決定処理の概要を表す概念図である。
【図5】 本実施例のイントロコード決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図6】 本実施例によるコードイベント分類テーブルの一例を示す概念図である。
【図7】 本実施例による調情報修正テーブルの一例を示す概念図である。
【図8】 本実施例の変形例によるイントロコード決定処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1…自動伴奏装置、2…外部機器、10…バス、11…RAM、12…ROM、13…CPU、14…タイマ、15…検出回路、17…操作子、18…表示回路、19…表示部、20…外部記憶装置、21…音源回路、22…効果回路、23…サウンドシステム、26…通信I/F
Claims (3)
- 曲データに含まれるコード情報からトニックの機能を持つコードを検出する検出手段と、
前記検出したトニックの機能を有するコードのうちの最後のものと同一のコードタイプで、前記曲データの調における1度の音名のコードを、前記曲データのイントロセクションに対応するコード情報として生成する生成手段と
を有する自動伴奏装置。 - 前記曲データの調は、前記曲データに含まれる調情報で表す調であり、
さらに、前記曲データの調の調性を、前記検出したトニックの機能を有するコードのうちの最後のものの調性に変更する修正手段とを有する請求項1記載の自動伴奏装置。 - 曲データに含まれるコード情報からトニックの機能を持つコードを検出する検出手順と、
前記検出したトニックの機能を有するコードのうちの最後のものと同一のコードタイプで、前記曲データの調における1度の音名のコードを、前記曲データのイントロセクションに対応するコード情報として生成する生成手順と
を有する自動伴奏処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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