JP3958994B2 - インバータシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のインバータを制御することによって、対応するコイル電流を制御し、2つの電源間の電力変換を制御するインバータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、モータの駆動電流制御にインバータが広く利用されている。このインバータは、上側スイッチング素子と下側スイッチング素子の直列接続からなるアームをモータのコイル端に対応して有し、アームの中間点をコイル端に接続する。従って、各アームの上側スイッチング素子および下側スイッチング素子のオンオフを制御することで、モータ駆動電流を任意に制御することができる。
【0003】
また、特開平11−178114号公報に示されるシステムでは、インバータ駆動の交流モータのコイル中性点とインバータの負極母線との間に直流電源を接続している。一方、インバータの正極母線、負極母線間には、コンデンサが接続されている。
【0004】
ここで、インバータの各スイッチング素子のオンオフを制御して、インバータから交流モータの各相コイルに駆動電流を供給した場合、各相のコイルの接続端(各アームの中間点)の電位の平均値が交流モータの中性点電位となるはずである。一方、中性点電位は、ここに接続されている直流電源の電圧に固定されている。そこで、インバータ出力における各相電位の平均値が直流電源の陽極電位と釣り合っていなければ、中性点を出入りする零相電流が流れて、コンデンサを充電または放電することになる。そして、この零相電流が、常にインバータから出力された各相電位の平均値と直流電源の陽極電位が釣り合うように流れ、釣り合った段階で零相電流が零になる。
【0005】
通常の交流モータの駆動であれば、中性点電位は、インバータ入力電圧の1/2の電圧になるため、コンデンサ電圧は直流電源の陽極電位の2倍になる。ここで、インバータにおける上側スイッチング素子と、下側スイッチング素子のオン期間の比である変調率を制御することで、インバータ入力電圧と中性点電位の比を変更することができる。すなわち、上側スイッチング素子のオン期間を下側スイッチング素子に比べ小さくすることで、コンデンサ電圧に対し、中性点電位が低くなる。そこで、直流電源電圧を小さくして、インバータ入力電圧を十分高くできることになる。
【0006】
このようなシステムによれば、バッテリなどの直流電源の電圧を低くしておき、モータの駆動電圧であるコンデンサ電圧を高くできる。そこで、交流モータの高出力時において、高電圧で駆動できるため同一出力を得るための電流量を比較的小さくできるという効果が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来例では、中性点電位を低くすることで、直流電源電圧と、コンデンサ電圧の比を大きくしている。モータの駆動電流は、中性点電位を中心に振動する電圧波形を有している。従って、モータ駆動電流の交流電圧の最大振幅値が中性点電圧(直流電源電圧)の2倍を超えると、電圧波形に歪みが生じる。そこで、交流電圧の最大振幅値が直流電源電圧の2倍に制限されるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような制限を受けることなく、インバータ入力側の電源と、コイル間に接続される電源の電圧比を大きくすることができるインバータシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、端部同士が直接接続されていない独立した複数のコイルに接続される複数の出力端を有し、PWM制御により各コイルの両端電位を独立して制御するインバータと、前記複数のコイルの中の1つのコイルの中間部の任意の点と他のコイルの中間部の任意の点との間に設けられ電力を蓄積または放出可能な第1電力蓄積手段と、前記インバータの入力側の両端間に設けられ電力を蓄積または放出可能な第2電力蓄積手段と、を有し、前記インバータの制御によって、前記複数のコイルの両端電位をそれぞれ独立に制御することで、前記第1および第2電力蓄積手段間における電力の変換を制御する。
【0010】
本発明によれば、複数のコイルの両端電位を独立に制御するため、各コイルの平均電位を任意に決定できる。そこで、第1電力蓄積手段と第2電力蓄積手段の電圧比を大きくしても、コイルの平均電位を高くすることができ、コイルの電流を確保することができる。
【0011】
また、本発明は、端部同士が直接接続されていない独立した複数のコイルに接続される複数の出力端を有し、PWM制御により各コイルの両端電位を独立して制御するインバータと、前記複数のコイルの中の1つのコイルの中間部の任意の点とインバータの入力側の一端との間に設けられ電力を蓄積または放出可能な第1電力蓄積手段と、前記インバータの入力側の両端間に設けられ電力を蓄積または放出可能な第2電力蓄積手段と、を有し、前記インバータの制御によって、前記複数のコイルの両端電位をそれぞれ独立に制御することで、前記第1および第2電力蓄積手段間における電力の変換を制御する。
【0012】
このように、第1電力蓄積手段を1つのコイルとインバータ入力端との間に接続した場合には、そのコイルとインバータ入力端子の間の電位差が第1電力蓄積手段で決定される。従って、このコイルの平均電圧は第1電力蓄積手段により決定されるが、他のコイルの平均電圧は任意に決定することができる。
【0013】
また、前記インバータは、上側スイッチング素子と、下側スイッチング素子の直列接続からなるアームをそれぞれ複数有し、この複数のアームの中点が複数のコイルの端部に接続されており、この上側スイッチング素子のオン期間と、下側スイッチング素子のオン期間の比である変調率によって、第1電力蓄積手段の電圧と、第2電力蓄積手段の電圧の比を決定することが好適である。
【0014】
このように、変調率によって、各コイルの平均電位が決定され、コイル間の平均電位差が第1電源電圧となるので、その変調率を決定しているPWM制御における三角波の振幅が第2電源電圧になる。従って、変調率の制御によって、第2電源の電圧値を任意の電圧に設定することができる。
【0015】
また、前記インバータにおける変調率を変更することで、各コイルの両端電位を制御し、各コイルにおける相電流を制御することが好適である。これによって、コイルに所望の相電流を供給することができる。
【0016】
また、前記第1電力蓄積手段は、バッテリであり、前記第2電力蓄積手段はコンデンサであることが好適である。これによって、定電圧のバッテリを用いて、インバータ入力電圧を高電圧にできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
「システム構成」
図1に、本実施形態に係るインバータシステムを示す。コイルL1の両端は、インバータINVの2つのアーム出力端に接続されている。一方、このインバータの一対の入力端(正極母線および負極母線)には電源としてのコンデンサC1が接続されている。
【0019】
インバータINVの1相分(コイルL1に対応する一対のアーム)は、スイッチング素子である4つのトランジスタQ1〜Q4と、これらトランジスタQ1〜Q4のエミッタ・コレクタ間をそれぞれ接続し、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流す4つのダイオードD1〜D4からなっている。トランジスタQ1、Q2は、入力端間に直列接続され、これらのトランジスタQ1、Q2の接続点が一方の出力端になっている。また、トランジスタQ3、Q4も、入力端間に直列接続され、これらのトランジスタQ3、Q4の接続点が他方の出力端になっている。すなわち、トランジスタQ1、Q2の接続点がコイルL1の一端に接続され、トランジスタQ3、Q4の接続点がコイルL2の他端に接続されている。
【0020】
従って、トランジスタQ1、Q4をオンすることによって、コンデンサC1からの電流が、コイルL1を一方向に流れ、トランジスタQ3、Q2をオンすることによって、コンデンサC1からの電流がコイルL1を他方向に流れる。
【0021】
また、コイルL2の両端は、一対の入力端(正負母線)がコンデンサC1の両端に接続されたインバータINVの1相分(コイルL2に対応する一対のアーム)の出力端に接続されている。このインバータのコイルL2に対応する部分は、コイルL1に対応する部分と同様の構成を有している。すなわち、4つのトランジスタQ5〜Q8と、これらトランジスタQ5〜Q8のエミッタ・コレクタ間をそれぞれ接続し、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流す4つのダイオードD5〜D8からなっている。トランジスタQ5、Q6は、入力端間に直列接続され、これらのトランジスタQ5、Q6の接続点がコイルL2の一旦に接続されており、トランジスタQ7、Q8も、入力端間に直列接続され、これらのトランジスタQ7、Q8の接続点がコイルL2の他端に接続されている。
【0022】
従って、トランジスタQ5、Q8をオンすることによって、コンデンサC1からの電流が、コイルL2を一方向に流れ、トランジスタQ7、Q6をオンすることによって、コンデンサC1からの電流がコイルL2を他方向に流れる。
【0023】
そこで、インバータINVのスイッチングを制御することで、コイルL1、L2の電流を任意に制御することができる。例えば、このコイルL1、L2により、2相の交流モータが形成される。
【0024】
そして、このコイルL1の任意の点(本例の場合には中点)と、コイルL2の任意の点(中点)の間には、バッテリBが配置されている。従って、コイルL1、L2の中点間の電圧差は、バッテリBの電圧に固定される。従って、コイルL1、L2の中点間の電圧差がバッテリBの電圧になるようにバッテリBとコンデンサC1間に電流が流れコンデンサC1の電圧が決定される。なお、バッテリBの正極がコイルL1の中点に接続され、負極がコイルL2の中点に接続されている。なお、バッテリBを2つのコイルL1、L2の中点に接続すると、コイルの平均電位と中点電位が同一電位になるため、制御が容易になる。
【0025】
ここで、インバータINVにおける上側トランジスタQ1、Q3、Q5、Q7のオン期間と、下側トランジスタQ2、Q4、Q6、Q8のオン期間の長さに差を付けることによって、コイルL1、L2の両端の平均電圧を任意の値に制御できる。そこで、各コイルL1、L2を流れる電流および両コイルの中点から出入りする電流を任意に制御することができる。
【0026】
すなわち、図2に示すように、L1+出力電位指令と三角波キャリアを比較し、L1+出力電位指令より、三角波が大きいときにトランジスタQ1をオンし、三角波が小さいときにトランジスタQ2をオンする。また、L1−出力電位指令より、三角波が大きいときにトランジスタQ3をオンし三角波が小さいときにトランジスタQ4をオンし、L2+出力電位指令より、三角波が大きいときにトランジスタQ5をオンし三角波が小さいときにトランジスタQ6をオン、L2−出力電位指令より、三角波が大きいときにトランジスタQ7をオンし、三角波が小さいときにトランジスタQ8をオンする。
【0027】
このとき、コイルL1の平均電位と、コイルL2の平均電位との電位差がバッテリBの電圧VbになるようにコンデンサC1を介して電流が流れる。その結果、コンデンサC1の電圧(インバータINVの入力電圧)は、図2の三角波の幅に相当する電圧Vc1になる。
【0028】
すなわち、バッテリBの電圧Vb、インバータ入力電圧(コンデンサ電圧)Vc1およびコイルL1、L2の平均電位が、図2に示す大小関係になるまで、バッテリBとコンデンサC1との間に循環電流が流れ、図2に示す状態が釣り合い状態になる。
【0029】
ここで、1つのアームにおける上側トランジスタのオン期間と下側トランジスタのオン期間の比(変調率)は、図2に示すように、三角波である搬送波の一周期に対する出力電位指令の大きさの割合である。すなわち、出力電位指令を高くすると、それだけ三角波が指令値を上回る期間が少なくなる。そして、三角波が出力電位指令を上回る期間を各相の上側トランジスタのオン期間、下側トランジスタのオフ期間とすることで、上下トランジスタのオン期間の比(すなわち変調率)が決定されている。
【0030】
従って、ここのコイルL1、L2の両端電位(平均電位)はそれぞれに対応する一対のアームにおける平均の変調率によって決定される。さらに、2つの中点電位の電位差は、バッテリBの電圧Vbである。従って、バッテリ電圧Vb、コイルL1、L2に対応する一対のアームの変調率d1、d2と、コンデンサ電圧Vc1の間には、次の関係がある。
【0031】
Vc1=Vb/(d1−d2)
バッテリ電圧Vbは定まっているため、インバータINVのコイルL1に対応する一対のアームと、コイルL2に対応する一対のアームにおける変調率d1、d2を制御することで、コンデンサ電圧Vcを決定することができる。
【0032】
なお、上述の例では、インバータの搬送波周期Tsに対し、デッドタイムをおかずにスイッチングトランジスタをオンオフした。すなわち、デューティー比50%の場合には、上下トランジスタとも50%の期間オンするようにした。しかし、スイッチング期間における貫通電流を完全になくすために、上下トランジスタを両方ともオフするデッドタイムTdを設ける場合も多い。この場合には、上述の式は、次のように書き換えて適用される。
【0033】
Vc=Vb/{(d1−Td/Ts)−(d2+Td/Ts)}
従って、デッドタイムを設ける場合においても、変調率d1,d2を制御することでコンデンサ電圧Vcを決定することができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、インバータINVの各コイルL1、L2における一対の出力端L1+、L1−、L2+、L2−の電位を図2に示すように変化させる。これによって、各コイルL1、L2には、両端電圧の差に応じた電流が流れ、これがコイルL1、L2の駆動電流(相電流)になる。
【0035】
このように、本実施形態によれば、インバータINVによる各コイルL1、L2の両端に印加する電圧を調整することによって、コンデンサ電圧Vc1を制御できる。従って、インバータINVの出力電圧に応じてインバータの入力電圧(コンデンサC1電圧Vc1)を適切に制御することで、インバータINVの効率を上昇することができる。また、バッテリBの電圧も任意に設定できるため他の電源との共用が可能になる。例えば、電気自動車や、ハイブリッド自動車において、バッテリ電圧を低く抑えることが可能になり、安全面や、コスト面で有利になる。
【0036】
さらに、各コイルL1、L2の平均電位は、必ずしもアース電位に近い値にする必要はない。そこで、各コイル電流における電圧振幅の最大値について制限があまりなく、バッテリB電圧Vbとコンデンサ電圧Vc1の比を比較的自由に設定することができる。
【0037】
また、DC−DCコンバータとして機能する回路にコイルの自己インダクタンスの1/2相とのリアクトルが内在する。従来のモータ中性点とアースとの間にバッテリを配置する構成では、中性点を出入りする電流については、コイルがリアクトルとして機能せず、中性点とバッテリの間に別のリアクトルを配置する必要があったが、本実施形態の構成により、このような特別なリアクトルが不要になる。従って、コスト、スペース、および効率の面で有利になる。
【0038】
さらに、各コイルL1、L2の各端電位は、対応するインバータINVのアームによって完全に独立して制御される。従って、インバータINVの1つのアームの故障は、1つのコイルの1端の電位に影響するだけである。従って、その部分だけ切り離して、他のコイルへの電流供給により、補償することも可能となる。特に、2相以上のモータであれば、その回転を維持することも可能となり、フェイルセーフ機構を構成しやすくなる。
【0039】
なお、上述の例では、両コイルL1、L2の中点間にバッテリBを接続した。しかし、接続点は両コイルL1、L2における任意の点でよい。例えば、コイルL1へのバッテリBの接続点がコイルL1をN1(L1+側):N2(L1−側)に分割する点であり、コイルL2へのバッテリBの接続点がコイルL2をN3(L2+側):N4(L2−側)に分割する点であった場合、
・(L1+出力電位指令の振幅)−(L1−出力電位指令の振幅)=L1相の相電圧指令
・(L2+出力電位指令の振幅)−(L2−出力電位指令の振幅)=L2相の相電圧指令
・(L1+出力電位指令の振幅):(L1−出力電位指令の振幅)=N1:N2
・(L2+出力電位指令の振幅):(L2−出力電位指令の振幅)=N3:N4
という条件を満足すれば、接続点はコイルL1、L2の任意の点でよい。
【0040】
図3は、3相モータに適用した場合の構成例を示している。インバータINVは、3相のコイルL1、L2、L3に対応して、6アーム構成になっている。すなわち、2アーム分のトランジスタQ9〜Q12、ダイオードD9〜D12が追加されている。そして、トランジスタQ9とQ10の接続点がコイルL3の一端に接続され、トランジスタQ11とQ12の接続点がコイルL3の他端に接続されている。
【0041】
一方、コイルL1、L2、L3は、互いに120度位相が異なるように配置され、1つのロータ(図示せず)を回転させるモータを構成している。
【0042】
そして、本実施形態では、コイルL1の中点と、コイルL3の中点との間に、バッテリBが接続され、コイルL3の中点と、コイルL2の中点の間にコンデンサC2が配置されている。なお、コンデンサC1は、インバータINVの入力端(正極母線、負極母線)に接続されている。
【0043】
この構成において、図4に示すように、インバータINVの3つの出力電位指令L1+、L1−、L2+、L2−、L3+、L3−と三角波キャリアを比較し、出力電位指令が三角波キャリアより大きいときにインバータINVのそれぞれのコイルL1、L2、L3に対応する一対のアームの上側トランジスタをオンさせ、三角波キャリアより小さいときに下側トランジスタをオンさせる。このとき、コイルL1の平均電位と、コイルL3の平均電位との電位差がバッテリBの電圧VbになるようにコンデンサCを介して電流が流れる。その結果、コンデンサCの電圧Vc、図4の三角波の幅に相当する電圧になる。また、コイルL3の中点とコイルL2の中点間に接続されているコンデンサC2の電圧は、コイルL3の電圧指令値と、コイルL2の電圧指令値の差の電圧として決定されてる。
【0044】
すなわち、バッテリBの電圧Vb、インバータ入力電圧Vc1およびコンデンサ電圧Vc2が図4に示す大小関係になるまで、バッテリBとコンデンサC1、C2の間に循環電流が流れ、図4に示す状態が釣り合い状態になる。
【0045】
このような、3相のモータコイルに対するシステムであっても、上述の場合と同様に、コイルL1、L2、L3における平均電位を自由に設定して、バッテリBの電圧に対し、インバータ入力電圧Vc1を任意に設定することができる。特に、1つのコイルに対するインバータのアームの故障などの場合に、他のコイルへの電流を制御して、モータの回転を維持することも可能になる。
【0046】
図5には、3相PM(永久磁石)モータに対する結線例を示してある。この例では、コイルL2の中点にバッテリBの負極が接続され、コイルL1とコイルL3の中点にバッテリBの正極が接続されている。従って、コイルL1とコイルL3の中点電位は、同一電位になっている。なお、コイルL1の中点と、コイルL3の中点の間にコンデンサを設ければ、図3の回路と同等の回路になる。
【0047】
図において、ステータに記載している磁極は、DC−DCコンバータ作用をする循環電流が形成する磁極を示している。この図からも分かるように、本実施形態によれば、循環電流が流れる回路内にモータ磁気回路を利用したインダクタンスが形成され、これが電力変換に利用される。従って、リアクトルの追加が必要なくなる。
【0048】
また、循環電流が形成する磁極とロータの磁極との間に吸引反発力が発生する。しかし、モータの回転方向成分は、互いにキャンセルするため、トルクリップルにはならず、回転に悪影響はない。なお、図5において、半径方向の力はキャンセルされずに残るが、軸の剛性は十分に高いので問題にならない。また、モータの磁極を多極化することによって、半径方向の力をキャンセルすることも可能である。
【0049】
また、図6は、2相のコイルを有するシステムの他の構成例を示す図である。この図6のシステムでは、バッテリBの正極がコイルL1の任意の1点(この例では、N1:N2で分割された中間点)に接続され、負極がインバータINVの負極母線に接続されている。
【0050】
これによって、図7に示されるように、コイルL1の平均電位がバッテリBの電圧である電圧V2に設定される。そこで、コイルL1に対する相電位指令の振幅をピーク幅で電圧V2の2倍以下とすることで、コイルL1における相電流についての歪みを防止できる。一方、コイルL2に対する相電位指令については任意に設定することができる。
【0051】
なお、この例で、コイルL1へのバッテリBの接続点がコイルL1をN1(L1+側):N2(L1−側)に分割する点であった場合、
・(L1+出力電位指令の振幅)−(L1−出力電位指令の振幅)=L1相の相電位指令
・(L1+出力電位指令の振幅):(L1−出力電位指令の振幅)=N1:N2という条件を満足すれば、接続点はコイルL1の任意の点でよい。
【0052】
このような構成によって、上述の実施形態と同様の作用効果が得られる。また、図6、7では2相のコイルの構成を示したが、3相以上であっても同様に構成することができる。1つ以上のバッテリについて、インバータの入力側の一端に接続することができる。なお、コイルの接続点の電圧をインバータ入力側電圧の中間の電圧に設定できれば、バッテリの電圧はどのような電圧でもよく、また正極母線に接続してもよい。
【0053】
本発明は、例えば多相モータで駆動力を発生する車両用(電気自動車やハイブリッド車両など)に用いることが可能であるが、これに限らずインバータで駆動され得る多相モータを用いるインバータシステム全般に適用できるものである。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数のコイルの両端電位を独立に制御するため、各コイルの平均電位を任意に決定できる。そこで、第1電源と第2電源の電圧比を大きくしても、コイルの平均電位を高くすることができ、コイルの電流を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2相のコイルを有するシステム構成を示す図である。
【図2】 2相のコイルを有するシステムにおけるインバータ入力電圧および直流電源電圧の関係を示す図である。
【図3】 3相のコイルを有するシステム構成を示す図である。
【図4】 3相のコイルを有するシステムにおけるインバータ入力電圧および直流電源電圧の関係を示す図である。
【図5】 3相PMモータに適用した場合の結線例と循環電流が形成する磁極の関係を示す図である。
【図6】 2相のコイルを有するシステムの他の構成を示す図である。
【図7】 2相のコイルを有するシステムの他の構成におけるインバータ入力電圧および直流電源電圧の関係を示す図である。
【符号の説明】
B バッテリ、C1,C2 コンデンサ、D1〜D12 ダイオード、INVインバータ、L1〜L3 コイル、Q1〜Q12 トランジスタ(スイッチング素子)。
Claims (5)
- 端部同士が直接接続されていない独立した複数のコイルに接続される複数の出力端を有し、PWM制御により各コイルの両端電位を独立して制御するインバータと、
前記複数のコイルの中の1つのコイルの中間部の任意の点と他のコイルの中間部の任意の点との間に設けられ電力を蓄積または放出可能な第1電力蓄積手段と、
前記インバータの入力側の両端間に設けられ電力を蓄積または放出可能な第2電力蓄積手段と、
を有し、
前記インバータの制御によって、前記複数のコイルの両端電位をそれぞれ独立に制御することで、前記第1および第2電力蓄積手段間における電力の変換を制御するインバータシステム。 - 端部同士が直接接続されていない独立した複数のコイルに接続される複数の出力端を有し、PWM制御により各コイルの両端電位を独立して制御するインバータと、
前記複数のコイルの中の1つのコイルの中間部の任意の点とインバータの入力側の一端との間に設けられ電力を蓄積または放出可能な第1電力蓄積手段と、
前記インバータの入力側の両端間に設けられ電力を蓄積または放出可能な第2電力蓄積手段と、
を有し、
前記インバータの制御によって、前記複数のコイルの両端電位をそれぞれ独立に制御することで、前記第1および第2電力蓄積手段間における電力の変換を制御するインバータシステム。 - 請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記インバータは、上側スイッチング素子と、下側スイッチング素子の直列接続からなるアームをそれぞれ複数有し、この複数のアームの中点が複数のコイルの端部に接続されており、
この上側スイッチング素子のオン期間と、下側スイッチング素子のオン期間の比である変調率によって、第1電力蓄積手段の電圧と、第2電力蓄積手段の電圧の比を決定するインバータシステム。 - 請求項3に記載のシステムにおいて、
前記インバータにおける変調率を変更することで、各コイルの両端電位を制御し、各コイルにおける相電流を制御するインバータシステム。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載のシステムにおいて、
前記第1電力蓄積手段は、バッテリであり、前記第2電力蓄積手段はコンデンサであるインバータシステム。
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