JP3958109B2 - トリアゾロピリミジン誘導体の製造方法 - Google Patents

トリアゾロピリミジン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下記式(I)
【0002】
【化4】
Figure 0003958109
【0003】
(式中、R1は水素原子、炭素原子1〜10個を有するアルキル基、炭素原子3〜6個を有するシクロアルキル基、又は炭素原子4個までを有するアルケニル基であり;
2は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子1〜10個を有するヒドロキシアルキル基、又は炭素原子1〜10個を有するアルキル基であり;
3は水素原子、炭素原子1〜4個を有するヒドロキシアルキル基、又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基である。)
を有するトリアゾロピリミジン誘導体の新規な製造方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
式(I)の化合物は既知であり、米国特許第3,689,488号に記載されている。式(I)の化合物は、気管支痙攣を阻止することができるので、気管支筋の痙縮又は収縮を含む疾患、例えば、喘息又は気管支炎の治療に有効である。米国特許第3,689,488号に記載されている式(I)の製造方法は次のように纏められる。
(a)ジアミノ-1,2,4-トリアゾールの製造(スキーム1)
【0005】
【化5】
Figure 0003958109
【0006】
(b)トリアゾロピリミジンの製造(スキーム2)
【0007】
【化6】
Figure 0003958109
【0008】
上記方法での製造にはいくつか欠点がある。まず、ジアミノ-1,2,4-トリアゾールの製造方法(スキーム1)は数日かかり、効率が悪い。第2に、ジアミノ-1,2,4-トリアゾールと式(II)のα,β-不飽和酸誘導体の縮合は混合異性体が得られ、選択的でなく、精製を必要とする(スキーム2)。第3に、式(I)のトリアゾロピリミジンを得るベンジル基の水素化分解(アミノ基の脱保護)は10日かかり、時間を必要とする(スキーム2)。商業的観点から、スキーム1とスキーム2に示される方法は、効率が悪く、コストがかかるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記欠点を克服することができる式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体の効率の良い、安価で、選択的な製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体の製造方法が提供される。本方法は、式(V)のジアルキルシアノジチオイミノカーボネートから式(III)のジアミノ-1,2,4-トリアゾールを迅速に製造する工程; アミノ基を効率良く保護及び脱保護する工程; 及び式(II)のα,β-不飽和酸誘導体と式(VI)のイミンとを選択的に縮合させる工程を含んでいる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体の製造方法は、4つの工程を含んでいる。第1工程は、式(III)のジアミノ-1,2,4-トリアゾールの効率の良い製造であり、1〜2当量の式(IV)のアルキルアミンを式(V)のジアルキルシアノジチオイミノカーボネート(1当量)と適切な溶媒の混合液に室温で徐々に添加し、次に、加熱還流してから1〜4当量のヒドラジンを滴下する。
【0012】
【化7】
Figure 0003958109
【0013】
式(III)のジアミノ-1,2,4-トリアゾールを製造する図式はスキーム3に示され、ここで、R1は上記の通りであり;Rは炭素原子1〜4個を有するアルキル基であり;溶媒には水、アセトニトリル又はアルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等が用い得る。
第2工程は、式(VI)のイミンの生成であり、1〜5当量の式(VII)のアルデヒドと1当量の式(III)のジアミノ-1,2,4-トリアゾールとを酸触媒(0〜1当量)によって有機溶媒中で50〜150℃において反応させる。
【0014】
【化8】
Figure 0003958109
【0015】
式(VI)のイミンを製造する図式は、スキーム4に示され、R1は上記の通りであり;R8は炭素原子1〜10個を有するアルキル基であり;溶媒はアセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、エチレンジクロリド又はアルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール等を用いることができ、触媒は添加を必要としなくてもよく、有機酸又は無機酸、例えば、酢酸、トルエンスルホン酸、硫酸、又は塩化水素を用いてもよい。
第3工程は、式(II)のα,β-不飽和酸誘導体と式(VI)のイミンとの縮合であり、1〜2当量の式(II)のα,β-不飽和酸誘導体と1当量の式(VI)のイミンとを塩基(0.1〜2当量)と重合禁止剤(0.005〜0.2当量)の存在下に有機溶媒中で還流温度(40〜150℃)において反応させる。
【0016】
【化9】
Figure 0003958109
【0017】
式(II)のα,β-不飽和酸誘導体と式(VI)のイミンとの縮合の図式は、スキーム5に示され、ここで、R1、R2、R3及びR8は上記の通りであり、R5はハロゲン又はOR9(ここで、R9は炭素原子1〜6個を有するアルキル基である。)であり、R6は炭素原子1〜6個を有するアルキル基であり、溶媒はアセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン又はエチレンジクロリドであってもよく、塩基は金属炭酸塩又は金属炭酸水素塩であってもよく、ここで、金属はLi、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、又はBa等であってもよく、重合禁止剤はヒドロキノン又はモノメチルエーテルヒドロキノンを用い得る。
最後の工程は、式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体の生成であり、式(VIII)のイミンを酸(0.1〜10当量)、水及び溶媒の存在下に室温から還流温度までの温度で加水分解する。
【0018】
【化10】
Figure 0003958109
【0019】
式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体の生成の図式は、図6に示され、R1、R2、R3及びR8は上記の通りであり、酸は無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、又はシュウ酸等であってもよく、溶媒には水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、又はエチレンジクロリド等が用い得る。
次の非限定的実施例によって本発明を具体的に説明する。
【0020】
【実施例】
実施例1
5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミンの製造
【0021】
【化11】
Figure 0003958109
【0022】
1200g(8.13モル)のジメチルシアノジチオイミノカーボネートを、還流コンデンサ、温度計、添加漏斗、及びメカニカルスターラーを備えた10リットルの4つ口フラスコ中で6kgのイソプロパノールに溶解した。538g(8.94モル)のn-プロピルアミンを室温で2時間かけて滴下した。反応混合液を更に20分間撹拌した後に、温度を還流温度まで上げてから1224g(20.8モル)のヒドラジン1水和物(85%)を徐々に添加し、次に2〜3時間還流した。次に、イソプロパノールの80%を減圧下で留去した。残留物を5〜10℃まで冷却した。ろ過し乾燥した後、N5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミンの白色固形物を得た。収量は1075g(AI98%、理論量の92%)である。融点は148〜149℃である。
【0023】
実施例2
3-ベンジリデン-N5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミンの製造
【0024】
【化12】
Figure 0003958109
【0025】
方法1
還流コンデンサ、温度計、及びメカニカルスターラーを備えた5リットルのフラスコにメタノール、251.8g(1.75モル)のN5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミン、及び194.8g(1.84モル)のベンズアルデヒドを充填し、6〜10時間加熱還流した。反応の終わりをLCで調べた(N5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミンのピーク領域は1%未満である)後、溶媒の2/3容量を減圧下で混合液から留去した。残留物を室温まで冷却し、N3-ベンジリデン-N5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミンの黄色固形物が沈殿した。沈殿をろ過により集め、乾燥後に381〜389g(純度98%、理論量の93〜95%)の所望の生成物を得た。
メタノールをエタノール、トルエン又はアセトニトリルに置き換えた場合も同様の結果が得られた。5.2g(0.087モル)の酢酸をこれらの場合に用いた場合、及び/又は水を共沸除去した場合、収量と純度を明らかに変えずに反応時間を1〜4時間まで短縮できた。
【0026】
方法2
還流コンデンサ、温度計、及びメカニカルスターラーを備えた5リットルのフラスコに251.8g(1.75モル)のN5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミン、1.75リットルのトルエン、203.4g(1.92モル)のベンズアルデヒド及び5.2g(0.087モル)の酢酸を充填してから、1〜3時間加熱還流した。反応中、水が副生成物として生じ、共沸除去した。反応の終わりをLCで調べた(N5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミンのピーク領域は1%未満である)後、混合液を冷却し、N3-ベンジリデン-N5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミン懸濁液を得、精製せずに次の工程に用いた。
【0027】
実施例3
2-(ベンジリデンアミノ)-6-メチル-4-プロピル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オンの製造
【0028】
【化13】
Figure 0003958109
【0029】
方法1
還流コンデンサ、温度計、及びメカニカルスターラーを備えた5リットルのフラスコに401.03g(1.75モル)のN3-ベンジリデン-N5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミン、253g(1.83モル)の炭酸カリウム、250g(1.92モル)のメチル2-メトキシ-α-メチルアクリレート、1.1g(0.009モル)のp-メトキシフェノール、及び1750mlのアセトニトリルを充填してから、24〜28時間加熱還流した。減圧下でアセトニトリルを留去した後、水を添加し、混合液をエチレンジクロリドで抽出した。抽出液からエチレンジクロリドを除去してから、乾燥後に406〜432g(理論量の77〜82%)の所望の生成物を得た。
アセトニトリルをトルエンに置き換えた場合、同様の結果が得られた。
【0030】
方法2
253g(1.83モル)の炭酸カリウム、250g(1.92モル)のメチル2-メトキシ-α-メチルアクリレート、及び1.1g(0.009モル)のp-メトキシフェノールを実施例2で製造したN3-ベンジリデン-N5-プロピル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3,5-ジアミン懸濁液に添加した。12〜20時間還流した後、混合液を室温まで冷却してから、1リットルの水を添加した。2-(ベンジリデンアミノ)-6-メチル-4-プロピル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オンの固形物をろ過により集め、ろ液を2層に分け、有機相は実施例2に再使用され得る。粗2-(ベンジリデンアミノ)-6-メチル-4-プロピル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オンを精製せずに次の段階に用いた。
【0031】
実施例4
2-アミノ-6-メチル-4-プロピル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オンの製造
【0032】
【化14】
Figure 0003958109
【0033】
実施例3(方法2)で製造した粗2-(ベンジリデンアミノ)-6-メチル-4-プロピル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オンに1750mlの2N HCl(3.5モル)を添加した。その混合液を65〜70℃まで30分間加熱し、加水分解したベンズアルデヒドを減圧下で共沸除去した。ベンズアルデヒドを完全に除去した後、混合液を冷却し、45%NaOH水溶液でpH値を7〜8に調整した。次に、得られた懸濁液をろ過し、乾燥後に薄黄色固形物の2-アミノ-6-メチル-4-プロピル-4H-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オン(純度98%)を得た。収量は264〜275g(実施例2からの理論量の73〜76%)である。
溶媒として1500mlのメタノールを用い、室温で加水分解した場合も同様の結果が得られた。

Claims (23)

  1. 下記式(I)
    Figure 0003958109
    (式中、R1炭素原子1〜10個を有するアルキル基であり;
    2は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子1〜10個を有するヒドロキシアルキル基、又は炭素原子1〜10個を有するアルキル基であり;
    3は水素原子、炭素原子1〜4個を有するヒドロキシアルキル基、又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基である。)
    を有するトリアゾロピリミジン誘導体の製造方法であって、
    (a)式(V)(式中、Rは炭素原子1〜4個を有するアルキル基である。)のジアルキルシアノジチオイミノカーボネートと式(IV)(式中、R1は上記の通りである。)のアルキルアミンとを適切な溶媒の存在下に室温で反応させ、次に、加熱還流してからヒドラジンを滴下して式(III)(式中、R1は上記の通りである。)のジアミノ-1,2,4-トリアゾール化合物を得る工程;
    (b)式(III)(式中、R1は上記の通りである。)の該化合物と式(VII)(式中、R8は炭素原子1〜10個を有するアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基である。)のアルデヒドとを有機溶媒の存在下に反応させて式(VI)(式中、R1及びR8は上記の通りである。)のイミン化合物を得る工程;
    (c)式(VI)(式中、R1及びR8は上記の通りである。)のイミンと式(II)(式中、R2及びR3は上記の通りであり、R5はハロゲン原子又はOR9であり、ここで、R9は炭素原子1〜6個を有するアルキル基であり、R6は炭素原子1〜6個を有するアルキル基である。)のα,β-不飽和酸誘導体とを塩基と重合禁止剤の存在下に有機溶媒中還流温度で選択的に縮合させることにより式(VIII)(式中、R1、R2、R3及びR8は上記の通りである。)のイミンを生成させる工程;及び
    (d)式(VIII)(式中、R1、R2、R3及びR8は上記の通りである。)の化合物から酸の存在下に室温から還流温度までの温度で式(I)のトリアゾロピリミジン誘導体を生成させる工程
    を含む、前記方法。
    Figure 0003958109
  2. 式(IV)の該アルキルアミンを式(V)の該ジアルキルシアノジチオイミノカーボネートと適切な溶媒の混合液に室温で徐々に添加し、次に、加熱還流してからヒドラジンを滴下して式(III)のジアミノ-1,2,4-トリアゾール化合物を得る、請求項1記載の方法。
  3. 該アルキルアミンが1〜2当量用いられる、請求項1記載の方法。
  4. 該ジアルキルシアノジチオイミノカーボネートが1当量用いられる、請求項1記載の方法。
  5. 工程(a)における該溶媒が、水、アセトニトリル又はアルコール溶媒である、請求項1記載の方法。
  6. 該アルコール溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールである、請求項5記載の方法。
  7. 該ヒドラジンが1〜4当量用いられる、請求項1記載の方法。
  8. 工程(b)において1〜5当量の式(VII)のアルデヒドと1当量の式(III)の該ジアミノ-1,2,4-トリアゾールとを有機溶媒中50〜150℃で反応させる、請求項1記載の方法。
  9. 工程(b)が酸触媒によって起こる、請求項1記載の方法。
  10. 該酸触媒が有機酸又は無機酸である、請求項9記載の方法。
  11. 該酸触媒が酢酸、トルエンスルホン酸、硫酸、又は塩酸である、請求項10記載の方法。
  12. 工程(b)における該溶媒が、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、エチレンジクロリド又はアルコール溶媒である、請求項1記載の方法。
  13. 該アルコール溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールである、請求項12記載の方法。
  14. 工程(c)において1〜2当量の式(II)のα,β-不飽和酸誘導体と1当量の式(VI)のイミンとを40〜150℃で反応させる、請求項1記載の方法。
  15. 工程(c)における該溶媒が、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン又はエチレンジクロリドである、請求項1記載の方法。
  16. 工程(c)における塩基が金属炭酸塩又は金属炭酸水素塩である、請求項1記載の方法。
  17. 該金属がLi、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、又はBaである、請求項16記載の方法。
  18. 該塩基が炭酸カリウムである、請求項16記載の方法。
  19. 該重合禁止剤が、ヒドロキノン又はモノメチルエーテルヒドロキノンである、請求項1記載の方法。
  20. 該重合禁止剤が、p-メトキシフェノールである、請求項1記載の方法。
  21. 工程(d)における該酸が無機酸又は有機酸である、請求項1記載の方法。
  22. 該酸が、塩酸、硫酸、酢酸又はシュウ酸である、請求項21記載の方法。
  23. 工程(d)における該溶媒が、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン又はエチレンジクロリドである、請求項1記載の方法。
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