JP3958101B2 - 固定化された酸化反応用試薬 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコールの酸化反応用試薬に関する。詳しくは、ポリマーに固定化された酸化反応用試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルコールの酸化方法の一つとして、以下の反応スキームで例示されるコーリーキム酸化(Corey-Kim Oxidation)が知られている。
【化2】
即ち、アルキルチオエーテル型化合物(例:メチルスルフィド誘導体)にハロゲン化剤等の求電子試薬を反応させて中間体(1)を調製した後、これにアルコールを反応させて中間体(2)を生成させ、これを塩基で処理して対応するカルボニル化合物を得る反応である。当該酸化反応は、1)有害な金属試薬を使用しない、2)反応条件が比較的緩和である、3)過剰酸化によるカルボン酸の生成が起こらない等の利点を有しており、工業的製法としても有用である。
しかし、1)反応後のアルキルチオエーテル型化合物の分離操作が容易でない、2)メチルスルフィド誘導体の臭気の発生、等の欠点があることも知られている。
J. Am. Chem. Soc. (1975), 97, 2232-5では、アルキルチオエーテル型化合物をポリマーに固定化した試薬としてポリ(p−メチルメルカプトスチレン)を調製し、オクタノール、プロスタグランジンアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類に対してコーリーキム酸化を行っている。しかし、副反応としてアルキルクロライドの生成を伴うという欠点を有している。また反応溶媒としては主に環境面で不利なジクロロメタンを使用しており、ジクロロメタンをトルエンとの混合溶媒で使用した場合には、収率が著しく低下する場合もある。よって、アルコールの工業的酸化方法としては満足の行くものではない。
なお、J. Org. Chem. (1996), 61, 7856-9やJ. Org. Chem. (1998), 63, 2407-9には、アルキルスルホキシド型化合物をポリマーに固定化した試薬を用いたアルコールの酸化反応が記載されているが、当該反応は、いわゆるスワン酸化(Swern Oxidation)である。スワン酸化は、一般にCO、CO2の発生を伴い、また繰り返し酸化反応を行うには、反応終了後に生成するアルキルチオエーテル型化合物を一旦酸化しなければならない。よって、工業的酸化方法としてはコーリーキム酸化よりは不利であると考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
よって、アルコールのコーリーキム酸化を改善した酸化反応の開発が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討した結果、コーリーキム酸化において、アルキルチオエーテル型化合物をスペーサーを介してポリマーに固定化した酸化試薬を使用すれば、環境への負荷を低減させて、取り扱い容易に、かつ穏和な反応条件下で収率よくアルコールを酸化できること等を見出し、以下の発明を完成した。
(1)式: P−X1−SR(I)
(式中:Pはポリマー残基;X1はスペーサー;Rは、HまたはCH3)
で示される化合物(I)を含有する、アルコールの酸化反応用試薬。
(2)酸化反応がコーリーキム酸化である、上記(1)記載の試薬。
(3)Pがポリエチレンまたはその誘導体、ポリスチレンまたはその誘導体、ポリアクリルアミドまたはその誘導体、およびポリエチレングリコールまたはその誘導体からなる群から選択されるポリマーの残基である、上記(1)または(2)記載の試薬。
(4)Pがポリスチレンまたはその誘導体の残基である、上記(3)記載の試薬。
(5)X1が、置換されていてもよく、ヘテロ原子および/またはアリレンが介在していてもよい直鎖または分枝状のアルキレンである、請求項1〜4のいずれかに記載の試薬。
(6)化合物(I)が以下のいずれかの化合物である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の試薬。
【化3】
(式中、P1はポリスチレン残基;R1は水素またはアミノ保護基)
(7)上記(6)に記載のいずれかの化合物(I)。
(8)アルコールを上記(1)〜(6)のいずれかに記載の試薬および活性化剤と反応させた後、塩基で処理することを特徴とする、該アルコールの酸化方法。
(9)上記(8)記載の酸化方法を包含する、アルコールから対応カルボニル化合物を製造する方法。
【0005】
Pで示される「ポリマー残基」のポリマーとしては、アルキルチオエーテル型化合物を固定化できてかつコーリーキム型の酸化に悪影響を及ぼさないものであれば種々のものが使用できるが、具体的には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、およびポリエチレングリコールまたはそれらの各誘導体等が例示される。より好ましくポリスチレンまたはその誘導体である。ここで誘導体とは、アルキルチオエーテル型化合物を固定化している部分以外の構造が、コーリーキム酸化に悪影響を及ぼさない限りにおいて、種々、適当な置換基(例:アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン)で置換されている化合物や、また該置換基同士が低級アルキレン等を介して架橋構造(架橋度として例えば、ジビニルベンゼンの場合で1% または 2%等)を取っている化合物等も包含する。また該ポリマーとしては、例えば粒の大きさとして、100〜200 mesh,200〜400 meshのものが使用可能である。
X1で示されるスペーサーとは、上記ポリマー残基とS原子を連結する任意の長さの2価の基を意味する。スペーサーの長さは特に限定されないが、好ましくは原子数1〜20、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは4〜6である。またスペーサーは好ましくは、置換されていてもよく、ヘテロ原子(例:O、N、NH)および/またはアリレン(例:フェニル)等が介在していてもよい直鎖または分枝状のアルキレンである。アルキレンの炭素数は必ずしも限定されないが、好ましくはC1〜C6、より好ましくはC1〜4である。スペーサー上の置換基としては、コーリーキム酸化に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限されず、例えば、オキソ、アミノ、低級アルキルアミノ(例:メチルアミノ)、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル(例:メトキシカルボニル)、アミド、エステルが例示される。X1として好ましくは以下の基が例示される。より好ましくはa1の基である。
【0006】
【化4】
(式中、Rは水素またはアミノ保護基)
上記アミノ保護基としては、C1〜C6の低級アルキル(例:メチル、エチル等)や低級アルコキシカルボニル(例:t−ブトキシカルボニル等)等が例示される。Rは好ましくは低級アルキル、特にメチルである。
本発明においては、特にポリマーとS原子の間に上記スペーサーを導入することによって、アルコールの固定化試薬によるコーリーキム酸化において、アルデヒドの収率が向上し、副生物の生成が低減でき、使用可能な溶媒の範囲が拡大し、また反応の再現性が高まる、等の効果が得られた。
【0007】
化合物(I)の合成方法は特に限定されず、以下の文献に記載の公知化合物を使用するか、またはそれらの製法に準じて合成すればよい(React. Funct. Polym. (1999), 40, 61-90;J. Am. Chem. Soc. (1955), 77, 3675-6;Anal. Chem. (1978) 1504-8;BIochIm. BIophys. Acta. (1973), 303, 36-43;J. Am. Chem. Soc. (1949), 71, 655-7;Tetrahedron Lett. (1997), 38, 1599-1602;BIotechnol. BIoeng. (1998), 61, 17-22;US3928293 A;特開2000−351846;特開昭62−232469;React. Funct. Polym. (1995), 24, 35-44;Angew. Chem. Int Ed. (1999), 38, 937-41;US5869579 A;US5932696 A;J. Org. Chem. (1997), 62, 3153-7;特開平3−14549等)。例えば、末端にカルボキシ、アミノ、ハロゲン等の反応性誘導基を有するポリマー(例:カルボキシポリスチレン)と末端に同様の反応性誘導基を有するメチルチオアルキル(例:3−メチルチオプロピルアミン)とを用いて、所望により縮合剤の存在下でアミド化反応を行うことにより、容易に化合物(I)を調製できる。なお化合物(I)の合成原料として、メチオニンやシステイン等も使用できる。化合物(I)の合成に用いる上記“反応性誘導基を有するポリマー”としては、以下に示すポリマーも使用することもできる。
【化5】
【0008】
さらにその他の“反応性誘導基を有するポリマー”の例としては、NovaGel TM resin、PEGA resinや、ポリエチレングリコール構造を有するArgoGelR Resins、ArgoPoreR Resins、TentaGelR Resins等が使用できる。
化合物(I)として好ましくは、前記(a)〜(g)の化合物が例示されるが、より好ましくは(a)である。
前記P1で示されるポリスチレン残基は、以下に示される構造を包含する。
【化6】
(式中、Arはフェニルまたは置換フェニル(置換基の例:アミノ保護基で保護されていてもよいアミノ、ヒドロキシ保護基で保護されていてもよいヒドロキシ、カルボキシ保護基で保護されていてもよいカルボキシ、ハロゲン等):nは2以上の整数を示す。)
化合物(I)を用いる本発明のアルコールの酸化反応は、基本的には通常のコーリーキム酸化法に準じて行えばよいが、以下に例示する反応スキームを用いて説明する。
【0009】
【化7】
(第1工程)
化合物(I)と活性化剤とを反応させて中間体(II)を調製する。
活性化剤としては、S原子に電子吸引性基、好ましくはハロゲンを導入できるものが使用され、例えば、塩素、N−クロロスクシンイミド等が例示されるが、好ましくはN−クロロスクシンイミドである。
反応溶媒としては、ハロゲン化炭化水素類(例:塩化メチレン)、芳香族炭化水素類(例:トルエン)、シアノ類(例:アセトニトリル)、エーテル類(例:テトラヒドロフラン)等、またはその混合溶媒が例示される。
反応温度は約−40〜0℃、好ましくは約0℃である。反応時間は数分〜数十分である。
(第2工程)
上記中間体(II)を含む溶液中にアルコールを加えて中間体(III)を生成させる。続いてこれを塩基で処理することにより、中間体(IV)を経て目的の酸化物が得られる。
アルコールは、化合物(I)に対して好ましくは約0.05〜0.5モル当量、より好ましくは約0.2モル当量使用する。
塩基としては、S原子上の電子吸引性基を脱離できるものであれば特に制限されないが、好ましくは有機アミン(例:トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等)が使用される。
反応温度は約-70〜-25℃、好ましくは約-40℃である。反応時間は数分〜数時間である。
反応終了後、反応液を濾過することにより固定化試薬である化合物(I)を容易に取り除ける。該化合物(I)は、酸化試薬として繰り返し使用できるので、環境や製造コストの面で有利である。濾液は減圧濃縮し、残さを抽出処理、カラム精製等行うことにより、酸化物が単離される。
【0010】
本酸化反応用試薬は、化合物(I)を含み、これをアルコールの酸化剤として使用する試薬を意味する。該試薬は、所望により、化合物(I)と、上記活性化剤、塩基および/または反応溶媒との組み合せであってもよい。
本酸化反応を適用できるアルコールの種類は必ずしも限定されないが、好ましくは、第1または第2アルコールであり、例えば以下に示すアルコールから対応するカルボニル化合物(アルデヒドまたはケトン)が高収率で得られる。
【化8】
その他のアルコールとしては、ベンジルアルコール、アリルアルコール、ベンズヒドロール等も使用できる。特に従来のコーリーキム酸化ではアリルアルコール、ベンズヒドロールの酸化は進行せず、クロロ化が優先することが知られているが、本発明試薬を使用すればこれらアルコールも容易に酸化できる。またコデインから14ヒドロキシコデインへの酸化に応用できる可能性もある。
【0011】
本酸化反応により得られるアルデヒドやケトンは、医薬や農薬またはそれらの製造原料等として有用である。
例えば、上記化合物(A)は、WO00/32606の参考例29に記載の化合物であり、3位にイミダゾ[4,5−b]ピリジニウムメチル基を有するセフェム化合物の製造中間体として有用である。上記化合物(B)は、特開平7−316188号の実施例2に記載の化合物であり、エンドセリン受容体拮抗薬の製造中間体として有用である。該セフェム化合物およびエンドセリン受容体拮抗薬として好ましくは、それぞれ以下に示される化合物A−1、B−1またはその塩(例:硫酸塩、塩酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)や溶媒和物(例:水和物)が例示される。
【化9】
【0012】
以下に実施例を示す。
実施例1
アミノメチル化ポリスチレン[1.0mmol/g] 5g(5.0mmol)(novabiochem社 Aminomethylated polystyrene HL(200-400mesh),loading 0.5-1.2mmol/g)をジメチルホルムアミド(DMF,75ml)に懸濁させ、N−メチルモルホリン3.2ml(30mmol)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩2.0g(15mmol)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスフォニウム ヘキサフルオロホスフェート7.8g(15mmol)、3,6-ジオキサオクタンジオン4.5g(25mmol)を加えこれらの試薬を完全に溶解させた後、室温下約10時間攪拌する。ポリマーを濾取し、DMF(50ml)で2回洗浄する。ここで得られたポリマー試薬を再びジメチルホルムアミド(75ml)に懸濁させ、N−メチルモルホリン3.2ml(30mmol)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩2.0g(15mmol)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスフォニウム ヘキサフルオロホスフェート7.8g(15mmol)、メチオニンメチルエステル塩酸塩5.0g(25mmol)を加えこれらの試薬を完全に溶解させた後、室温下約10時間攪拌する。ポリマーを濾取し、DMF(50ml)で4回洗浄、ジエチルエーテル(50ml)で4回洗浄して漏斗上で通気乾燥した後、加熱乾燥機で70℃にて7時間乾燥することにより、以下に示すポリマー化メチルアルキルチオエーテル試薬5.58gを得た。
【化10】
元素分析値 H:7.18%, C:74.63%, N:3.08%, S:2.94%, F:0.84%, Cl:0.5%以下,
S:2.94%, P: 非検出
13C-NMR ケミカルシフト(ppm)
(SMe:15.3, CH2(X2):29.8,31.4, NHCHCOOMe,NHCH2,COOMe:45.9,50.6,52.4,OCH2(X4):70.5, CONH(X2):169.2, COOMe:172.1)
【0013】
実施例2
カルボキシポリスチレン[1.34mmol/g] 5g(6.7mmol)(novabiochem社 Carboxypolystyrene HL(100-200mesh),loading 0.4-1.6mmol/g)をジメチルホルムアミド(DMF,100ml)に懸濁させ、N−メチルモルホリン4.3ml(40.2mmol)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩2.7g(20.1mmol)、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスフォニウム ヘキサフルオロホスフェート10.5g(20.1mmol)、3-メチルチオプロピルアミン3.5g(34mmol)を加えこれらの試薬を完全に溶解させた後、室温下約10時間攪拌する。ポリマーを濾取し、DMF(50ml)で4回洗浄、ジエチルエーテル(50ml)で4回洗浄して漏斗上で通気乾燥した後、加熱乾燥機で70℃にて7時間乾燥することにより、以下に示すポリマー化メチルアルキルチオエーテル試薬5.67gを得た。
【化11】
実施例3
【化12】
N-クロロスクシンイミド545mg(4.0mmol)を塩化メチレン40mlトルエン40mlに溶解させ氷浴にて冷却する。この溶液に実施例2で調製したポリマー試薬5.0g(4.0mmol)を加え、氷冷下約10分攪拌する。その後ドライアイス−アセトニトリル浴にて-40℃に冷却し、塩化メチレン2mlに溶解させたドデカノール75mg(0.4mmol)を滴下する。その直後トリエチルアミン0.56ml(4.0mmol)を加え、-40℃にて4時間攪拌し更に室温に昇温後1時間攪拌を続ける。反応終了後反応液を濾過してポリマー試薬を除き、これを塩化メチレン50mlにて洗浄する。濾液・洗浄液を併せて減圧下濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル30mlに溶解させ水20mlで3回洗浄する。有機層を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムにて精製してドデカナールを得た。収量68mg、収率92%。
【0014】
実施例4
【化13】
N-クロロスクシンイミド296mg(2.2mmol)を塩化メチレン30mlトルエン30mlに溶解させ氷浴にて冷却する。この溶液に実施例2で調製したポリマー試薬2.7g(2.2mmol)を加え、氷冷下約10分攪拌する。その後ドライアイス−アセトニトリル浴にて-40℃に冷却し、塩化メチレン2mlに溶解させたオレアノール酸100mg(0.2mmol)を滴下する。その直後トリエチルアミン0.31ml(2.2mmol)を加え、-40℃にて4時間攪拌し更に室温に昇温後1時間攪拌を続ける。反応終了後反応液を濾過してポリマー試薬を除き、これを塩化メチレン50mlにて洗浄する。濾液・洗浄液を併せて減圧下濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル30mlに溶解させ水20mlで3回洗浄する。有機層を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムにて精製してケトオレアノール酸を得た。収量72mg、収率72%。
実施例5
【化14】
N-クロロスクシンイミド545mg(4.0mmol)を塩化メチレン40mlトルエン40mlに溶解させ氷浴にて冷却する。この溶液に実施例2で調製したポリマー試薬5.0g(4.0mmol)を加え、氷冷下約10分攪拌する。その後ドライアイス−アセトニトリル浴にて-40℃に冷却し、塩化メチレン2mlに溶解させたボックアミノプロパノール75mg(0.4mmol)を滴下する。その直後トリエチルアミン0.56ml(4.0mmol)を加え、-40℃にて4時間攪拌し更に室温に昇温後1時間攪拌を続ける。反応終了後反応液を濾過してポリマー試薬を除き、これを塩化メチレン50mlにて洗浄する。濾液・洗浄液を併せて減圧下濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル30mlに溶解させ水20mlで3回洗浄する。有機層を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムにて精製してボックアミノアルデヒドを得た。収量64mg、収率85%。
【0015】
実施例6
シンナミルアルコールの酸化
N-クロロスクシンイミド545mg(4.0mmol)を塩化メチレン40mlトルエン40mlに溶解させ氷浴にて冷却する。この溶液に実施例2で調製したポリマー試薬5.0g(4.0mmol)を加え、氷冷下約10分攪拌する。その後ドライアイス−アセトニトリル浴にて-40℃に冷却し、塩化メチレン2mlに溶解させたシンナミルアルコール54mg(0.4mmol)を滴下する。その直後トリエチルアミン0.56ml(4.0mmol)を加え、-40℃にて4時間攪拌し更に室温に昇温後1時間攪拌を続ける。反応終了後反応液を濾過してポリマー試薬を除き、これを塩化メチレン50mlにて洗浄する。濾液・洗浄液を併せて減圧下濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル30mlに溶解させ水20mlで3回洗浄する。有機層を濃縮し、濃縮残渣をシリカゲルカラムにて精製してシンナムアルデヒドを得た。収量43mg、収率80%。
実施例7
ベンジルアルコールの酸化
N-クロロスクシンイミド40mg(0.3mmol)をアセトニトリル3mlに溶解させ氷浴にて冷却する。この溶液に実施例2で調製したポリマー試薬330mg(0.3mmol)を加え、氷冷下約10分攪拌する。その後ドライアイス−アセトニトリル浴にて-25〜-30℃に調節しながら冷却し、アセトニトリル2mlに溶解させたベンジルアルコール6mg(0.06mmol)を滴下する。その直後トリエチルアミン0.08ml(0.6mmol)を加え、-25〜-30℃にて2時間攪拌し更に室温に昇温後2時間攪拌を続ける。反応終了後反応液を濾過してポリマー試薬を除き、溶液をHPLCにて定量。反応率81%。
【0016】
【発明の効果】
本発明の酸化反応用試薬を使用すれば、各種アルコールの酸化を、環境への負荷を低減させて、取り扱い容易に、かつ穏和な反応条件下で収率よく行える。またアルキルチオエーテル基を有する各種誘導体をポリマーに固定化することで、臭気が低減出来、また該誘導体は反応終了後、容易に分離、回収、再利用が可能である。さらに、副反応の進行を低減させてカルボニル化合物を選択的に製造することもできる。また反応溶媒として、環境面で負荷を低減できると考えられる有機溶媒も使用できる。
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