JP3956414B2 - ロボット装置及びロボット装置の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はロボット装置及びその制御方法に関し、例えば自律的に歩行するものに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自律的に歩行できるロボットには、ロボットの荷重を複数の脚で支持して歩行する多脚型のものがある。脚機構には、リンクをパンタグラフ状に組み合わせたいわゆるパンタグラフ型のものや、リンクを関節で接続したいわゆる関節型のもの等が考えられている。例えば特許公報平4−74150「歩行ロボットの脚機構」では、脚機構としてパンタグラフ型を採用し、脚機構先端部の効率的な駆動を実現する機構系について述べている。
【0003】
一方、図53の昆虫型ロボット1は、関節型の6つの脚機構2〜7をもつ。
【0004】
脚機構2〜7は、それぞれ2つの脚リンク8及びアクチュエータ付き関節(図中、斜線付き黒丸で示す)9で構成されている。昆虫型ロボット1は、水平状態の脚機構2〜7を脚機構2〜7付け根に配置されたアクチュエータ付き関節9によって垂直状態に駆動して立ち上がる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、歩行ロボットには、歩行に用いない腕が設けられて、この腕を動かして作業するものが考えられる。人間型あるいは鳥型のロボットは、2脚機構で歩行し、この脚機構と別個に設けられた腕機構で作業をすることが想定されている。
【0006】
例えば、大須賀らは、「2足歩行ロボットの非線形制御」第23回制御理論シンポジウム1994 pp.313--318で、鳥型2足歩行ロボットの膝の屈伸の制御に関して論じている。この2脚歩行ロボットは、2脚機構で歩行すると共に、2つの手を使用して作業するとき2脚機構による立ち姿勢を維持することを前提としている。
【0007】
ところが、この2脚歩行ロボットは、2脚機構で歩行させるだけでも複雑な制御を必要とした。このため手を使用して作業するとき、この2脚歩行ロボットは、立ち姿勢を安定して維持する制御が歩行のとき以上に複雑化するという問題があった。
【0008】
一方、荒井らは、「脚・腕統合化の研究」第11回日本ロボット学会学術講演集1993 pp.629--630において、脚機構にマニピュレータを搭載せず、腕と脚機構とを渾然一体とした「リムメカニズム」を提案している。このリムメカニズムをもつロボットは、腕を歩行にも利用する。作業のとき、このロボットは作業に使用しない複数の脚機構リンクでバランスを保って姿勢を安定させるように制御する。
【0009】
ところが、作業のときバランスを保って姿勢を安定させるには、脚機構リンクの制御が複雑化するという問題があった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、本体部を支持して移動する複数の脚部をもち、所定の脚部によって作業するときの作業姿勢を簡易な構成で容易に安定させ得るロボット装置及びその制御方法を提案しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、それぞれ本体部に接続されて本体部を支持する複数の脚部を有し、脚部をそれぞれ所定タイミングで所定状態に動かすことによって移動するロボット装置において、所定の脚部を使用して作業するとき、所定の脚部以外の全部又は一部の脚部の移動のときには接地しない部位及び本体部の所定部位が接地するように姿勢を制御する制御手段を設ける。
【0012】
作業に使用する所定の脚部以外の全部又は一部の脚部の移動のときには接地しない部位及び本体部の所定部位を接地して位置制御が必要な部位を低減することにより、本体部を支持して移動する複数の脚部をもち、所定の脚部によって作業するときの作業姿勢を簡易な構成で容易に安定させることができる。
【0013】
また本発明においては、それぞれ本体部に接続されて本体部を支持する複数の脚部を有し、脚部をそれぞれ所定タイミングで所定状態に動かすことによって移動するロボット装置の制御方法において、所定の脚部を使用して作業するとき、所定の脚部以外の全部又は一部の脚部の移動のときには接地しない部位及び本体部の所定部位が接地するように姿勢を制御する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施例を詳述する。
【0015】
図1において、10は全体としてロボット装置としての大型の歩行ロボットを示し、本体部としての矩形杯状の剛体でなる胴体11を脚部としての関節型の脚機構12〜15によって支えている。胴体11は、長軸方向に並行に配された右フレーム11B及び左フレーム11Cと、右フレーム11B及び左フレーム11Cの前端付近及び後端にそれぞれ短軸方向に並行に配された前フレーム11A及び後フレームDとが一体に形成されている。
【0016】
脚機構12〜15は、それぞれ右フレーム11Bの外側面前端付近、左フレーム11Cの外側面前端付近、右フレーム11Bの外側面後端付近、左フレーム11Cの外側面後端付近に接続されている。
【0017】
胴体11の前フレーム11A上には、首頭機構16が配置されている。また胴体11の中央付近には、信号処理回路(図示せず)及び電源としての電池(図示せず)が配置されている。右前の脚機構12の上端は、トルクを発生する関節部としてのアクチュエータ付き関節17が配されており、このアクチュエータ付き関節17を介して右フレーム11Bに接続されている。
【0018】
アクチュエータ付き関節17は、脚リンク18の上端に接続されており、胴体11の前後方向を含む鉛直面内で回動する1自由度をもつ。これにより、アクチュエータ付き関節17は、脚リンク18を胴体11の前後方向に所定角度で回動することができる。
【0019】
脚リンク18の下端は、トルクを発生する関節部としてのアクチュエータ付き関節19に接続されている。アクチュエータ付き関節19は、脚リンク20の上端に接続されており、胴体11の前後方向を含む鉛直面内で回動する1自由度をもつ。これにより、アクチュエータ付き関節19は、脚リンク20を胴体11の前後方向に所定角度で回動することができる。
【0020】
因みに、脚機構12においては、アクチュエータ付き関節17が肩関節に相当し、脚リンク18が上腕に相当し、アクチュエータ付き関節19が肘関節に相当し、脚リンク20が前腕に相当し、脚リンク20の下端部(図中、白丸で示す)21が手に相当する。
【0021】
脚機構13は、脚機構12と同一に構成されている。この場合、上述の脚機構12、アクチュエータ付き関節17、右フレーム11B、脚リンク18、アクチュエータ付き関節19、脚リンク20、下端部21をそれぞれ脚機構13、アクチュエータ付き関節22、左フレーム11C、脚リンク23、アクチュエータ付き関節24、脚リンク25、下端部26と読み換える。また脚機構14は、脚機構12とほぼ同一に構成されている。この場合、上述の脚機構12、アクチュエータ付き関節17、脚リンク18、アクチュエータ付き関節19、脚リンク20、下端部21をそれぞれ脚機構14、アクチュエータ付き関節27、脚リンク28、アクチュエータ付き関節29、脚ンク30、下端部31と読み換える。
【0022】
脚機構15は、脚機構12とほぼ同一に構成されている。この場合、上述の脚機構12、アクチュエータ付き関節17、右フレーム11B、脚リンク18、アクチュエータ付き関節19、脚リンク20、下端部21をそれぞれ脚機構15、アクチュエータ付き関節32、左フレーム11C、脚リンク33、アクチュエータ付き関節34、脚リンク35、下端部36と読み換える。
【0023】
因みに、脚機構14,15においては、アクチュエータ付き関節27,32が股関節に相当し、脚リンク28,33が太股に相当し、アクチュエータ付き関節29,34が膝関節に相当し、脚リンク30,35が脛に相当し、下端部31,36が足に相当する。
【0024】
首頭機構16の下端は、アクチュエータ付き関節37が配されており、このアクチュエータ付き関節37を介して前フレーム11A中央部に接続されている。アクチュエータ付き関節37は、首都38の下端に接続されており、胴体の前後方向を含む鉛直面内で回動する。これにより、アクチュエータ付き関節37は、首部38を胴体11の上下方向に回動することができる。
【0025】
首部38の上端は、アクチュエータ付き関節39を介して頭部40に接続されている。アクチュエータ付き関節39は、首部38の上下端方向の回りに回動する。これにより、首頭機構16は、頭部40を胴体11の前後方向及び左右方向へ回動することができることになる。
【0026】
頭部40には、外部の音を収音するマイクロホン(図示せず)が設けられている。このマイクロホンは出力信号を信号処理回路に与える。
【0027】
信号処理回路は、アクチュエータ付き関節17,19,22,24,27,29,32,34,37,39に配置された角度検出器(図示せず)の角度検出信号をアナログディジタル変換回路(図示せず)に与える。
【0028】
このアナログディジタル変換回路は、角度検出信号に応じた角度データを生成し、この角度データを制御手段としてのマイクロコンピュータ(図示せず)に与える。また信号処理回路は、上述のマイクロホンの出力信号をアナログディジタル変換回路に与える。アナログディジタル変換回路は、マイクロホンの出力信号の大きさに応じた音響データを生成し、この音響データをマイクロコンピュータに与える。
【0029】
マイクロコンピュータは、所定サンプル期間の音響データに基づいて音の大きさを判断し、この音の大きさを基準値と比較して歩行ロボット10が採るべき状態、例えば姿勢又は行動を決定する。続いて、マイクロコンピュータは、メモリ(図示せず)に予め記憶したアクチュエータ制御値あるいは角度データに基づいて、決定した状態に応じた制御対象のアクチュエータ付き関節17,19,22,24,27,29,32,34,37,39と、その回動角度とをパルス生成回路(図示せず)に指定する。
【0030】
パルス生成回路は、この指定に応じた制御信号を生成し、この制御信号を制御対象のアクチュエータ付き関節17,19,22,24,27,29,32,34,37,39に与える。これにより、歩行ロボット10は、図2の伏臥姿勢、図3の座り姿勢、図4の作業姿勢、図5の立ち姿勢、図6〜図9の歩行のいずれかの姿勢や行動を採ることができる。
【0031】
このときマイクロコンピュータは、図10に示すステートマシンSに従って、姿勢や行動を選択する。ステートマシンSは、歩行ロボット10の姿勢や行動を意味しており、伏臥姿勢、座り姿勢、作業姿勢、立ち姿勢、歩行に対応した5つのステートST1〜ST5をもつ。ステートマシンSは、外部の音の大きさに応じて、現ステートをステートST5に向かう方向のステートに更新する(以下、これを進み更新と呼ぶ)か、ステートST1に向かう方向のステートに更新する(以下、これを戻り更新と呼ぶ)。
【0032】
進み更新は、現ステートがステートST1(伏臥姿勢)であるならステートST2(座り姿勢)に、ステートST2であるならステートST3(作業)又はステートST4(立ち姿勢)に、ステートST4であるならステートST5(歩行)に更新することである。ただし、現ステートがステートST5であるときの進み更新は、ステートST5を採ることである。また現ステートがステートST3であるときの進み更新は、ステートST3を採ることである。
【0033】
一方、戻り更新は、現ステートがステートST5(歩行)であるならステートST4(立ち姿勢)に、ステートST4であるならステートST2(座り姿勢)に、ステートST3(作業)であるならステートST2に、ステートST2であるならステートST1(伏臥姿勢)に更新することである。ただし、現ステートがステートST1であるときの戻り更新は、ステートST1を採ることである。
【0034】
歩行ロボット10にいずれかの姿勢や行動を採らせる際には、ステートマシンSのステートを更新する。ステートを更新すると、マイクロコンピュータは、更新後のステートに対応した姿勢や行動を選択すべくアクチュエータ付き関節17,19,22,24,27,29,32,34,37,39を制御して、姿勢や行動を切り換える。
【0035】
ここで、以降の説明を簡略化するため質量が胴体11及び頭部40にのみ存在し、脚機構12〜15及び首部38等に存在しないものとする。このとき図2及び図5に示すように、重心(図中、斜線付き楕円で示す)41は胴体11の前後方向の中央に存在するものとする。
【0036】
図2に示すように、伏臥姿勢のとき歩行ロボット10は、全ての下端部21,26,31,36を前方に向けて、脚機構12〜15をほぼ水平に配置する。これにより、右後及び左後の脚リンク30,35後部は、重心41付近で接地面としての地平面42に接地する。したがって、脚リンク30,35後部のうちアクチュエータ付き関節29,34付近の接地部分が、重心41を通る鉛直線GV1のそれぞれ右後及び左後で重心41を支える。
【0037】
また全ての下端部21,26,31,36と、脚リンク20,25とは、鉛直線GV1の右前及び左前で接地して重心41を支える。したがって、歩行ロボット10は、伏臥姿勢を安定して維持することができる。伏臥姿勢のとき首頭機構16は、頭部40の長軸方向を水平方向に向けていると共に、首部38の長軸方向を鉛直方向に向けている。因みに、地平面42は、重力方向に直交している。
【0038】
図3に示すように、座り姿勢のとき歩行ロボット10は、右前及び左前の下端部21,26を下方に向けて、脚機構12,13を鉛直方向より少し後方に傾斜した状態に保持する。また歩行ロボット10は、右後及び左後の下端部31,36を前方に向けて、脚機構14,15をほぼ水平状態に配置する。これにより、歩行のとき地平面42より離れている非当接部位としての胴体下面最後部43は、鉛直線GV1より後方で接地して重心41を支える。したがって、マイクロコンピュータは、重心41後方の支持位置を制御する必要がない。
【0039】
また右前及び左前の下端部21,26は、鉛直線GV1の右前及び左前で接地して重心41を支えることによって、地平面42に対する傾斜角度θB1を胴体11に与える。したがって、マイクロコンピュータは、前側の脚機構12,13だけを制御することによって、座り姿勢を安定して維持することができる。
【0040】
座り姿勢のとき首頭機構16は、頭部40の長軸方向を水平方向に向けていると共に、首部38の長軸方向を鉛直方向に向けている。
【0041】
図4に示すように、作業姿勢のとき歩行ロボット10は、座り姿勢から作業手段としての脚機構12,13を地平面42より離す。また歩行ロボット10は、胴体11の傾斜角度θB1を維持して、後側の脚機構14,15をほぼ水平に保持する。これにより、胴体下面最後部43は、鉛直線GV1より後方で接地して重心41を支える。したがって、マイクロコンピュータは、重心41後方の支持位置を制御する必要がない。
【0042】
また図11の上面図に示すように、非当接部位としての脚リンク30,35後部のうち下端部31,36付近の接地部分は、鉛直線GV1よりそれぞれ右前及び左前で接地して重心41を前方で支える。したがって、歩行ロボット10は、作業姿勢を維持して、脚機構12,13を胴体11の前方及び下方の空間で任意の作業に同時に使用することができる。またマイクロコンピュータは、後側の例えばアクチュエータ27,32によって傾斜角度θB1だけを制御することによって、作業姿勢を容易に安定させることができる。
【0043】
図5に示すように、立ち姿勢のとき歩行ロボット10は、全ての下端部21,26,31,36を下方に向けて、全ての脚機構12〜15をほぼ垂直状態に保持する。これにより、右後及び左後の下端部31,36は、鉛直線GV1のそれぞれ右後及び左後で接地して重心41を支える。また右前及び左前の下端部21,26は、鉛直線GV1のそれぞれ右前及び左前で接地して重心41を支える。したがって、歩行ロボット10は、胴体11の長軸方向を地平面42とほぼ並行に保持すると共に、胴体11を地平面42より脚機構12〜15の高さで隔てた立ち姿勢を安定して維持することができる。
【0044】
図6〜図9に示すように、歩行のとき歩行ロボット10は、胴体11の長軸方向を地平面42とほぼ並行に保持する。また歩行ロボット10は、4つの脚機構12〜15のうち3つを接地して同一方向、例えば後方に移動すると共に、残り1つを接地しないで例えば前方(ここでは胴体11の長軸方向の頭部40個)に回動する。これにより、歩行ロボット10は、接地して同一方向に移動する3つの脚機構が地平面42より受ける反力の水平方向成分を胴体11の前方への移動の推力として得て歩行することができる。
【0045】
前方に歩行するとき歩行ロボット10は、左前の下端部26、右後の下端部31、右前の下端部21及び左後の下端部36を順次地平面42から離す。歩行のとき全ての脚リンク18,20,23,25,28,30,33,35及び全てのアクチュエータ付き関節19,24,29,34は接地しない。首頭機構16は、頭部40の長軸方向を水平方向に向けていると共に、首部38の長軸方向を鉛直方向に向けている。因みに、図中、右側の脚リンク18,20,28,30は、破線で示されている。また右側のアクチュエータ付き関節17,27は、胴体11に隠れているため図示されていない。
【0046】
次に、起立の手順について説明する。
【0047】
歩行ロボット10は、アクチュエータ付き関節27,32を単純に回動しただけでは、座り姿勢や作業姿勢より立ち姿勢にステートを更新することができない。すなわち、図12の上面図に示すように、作業姿勢において地平面42に投影した重心41の位置は、右後及び左後の下端部31,36の接地点と胴体下面最後部43の接地点とを頂点とする多角形(図中の斜線付き矩形)でなる支持領域45内に納まる。この状態の下端部31,36は、重心41を前方で支えている。この状態で右後及び左後のアクチュエータ付き関節27,32によって下端部31及び36を作用させると、重心41は、胴体下面最後部43を支点とした後上方向の回転力が与えられることになる。一方、図13の上面図に示すように、立ち姿勢において地平面42に投影した重心41の位置は、全ての下端部21,26,31,36のそれぞれの接地点を頂点とする多角形(図中の斜線付き矩形)でなる支持領域46内に納まる。したがって、作業姿勢より立ち姿勢にステートを更新する際、歩行ロボット10は、まず右前及び左前の下端部21,26を鉛直線GV1のそれぞれ右前及び左前で接地して図3の座り姿勢を採る。この後、図14に示すように、歩行ロボット10は、右後及び左後の下端部31,36の接地点を鉛直線GV1のそれぞれ右後及び左後に移動する。これにより、歩行ロボット10は、地平面42に投影した重心41の位置を、下端部31,36の接地点と胴体下面最後部43の接地点とを頂点とする多角形でなる支持領域47外に配置することができる。
【0048】
さらに歩行ロボット10は、この状態から下端部31,36を作用させて、右前及び左前の下端部21,26を支点とした後上方向の回転力を重心に与える。これにより、歩行ロボット10は、胴体11後部を脚機構14,15によって起こして立ち姿勢を採ることができる。
【0049】
次に、座り姿勢より胴体11を起こす際に、歩行ロボット10の機構系が満たすべき条件について説明する。機構系には、機構的な制約が一般的に発生する。この機構的な制約は、アクチュエータ付き関節の回動角度を測定するポテンショメータ(図示せず)が180°程度しか回動しなかったり、リンクが機構的に干渉したり等の様々な要因で発生する。例えば脚リンク28,33を座り姿勢の角度より上方に回動できない場合は、下端部31及び36が地平面42に拘束されることにより、下端部31,36の接地点を鉛直線GV1の後方に移動することができないことになる。
【0050】
ここで、それぞれの脚リンクの長さと回転角度の限界がある条件を満たすように設定することによって、上述のような機構的な制約が存在しても、座り姿勢や伏臥姿勢から下端部31,36の接地点を鉛直線GV1の後方に移動することができることを示す。まず伏臥姿勢より座り姿勢を経ずに直接立ち姿勢にステートを更新する際の前後の脚機構15の位置を説明する。ただし、説明を簡単にするため、全ての脚機構12〜15が左右対称に同時に動作するものとして、歩行ロボット10の主に左側における位置を説明する。またアクチュエータ付き関節32の回動中心の高さが胴体11下面と同一であるとする。
【0051】
図2に示すように、伏臥姿勢のとき、胴体11は、接地して水平に保持されている。また図15に示すように、前後のアクチュエータ付き関節32は、太股に相当する脚リンク33を胴体11より上方に回動するときの機構的な上方限界角度θ1 が設定される。胴体11は、脚リンク33,35が胴体11より上方に移動できるように構成される。
【0052】
アクチュエータ付き関節32から地平面42と鉛直線GV1との交点48までの水平方向の長さをLG1とし、脚リンク33の長さをL1 とし、脛に相当する脚リンク35の長さをL2 とし、下端部36の接地点がちょうど交点48に位置するとき、長さLG1,L1 L2の3辺をもち、長さLG1,L1 の2辺間の頂角が上方限界角度θ1 である3角形が形成される。この3角形は、次の式(1) の関係を満たす。
【0053】
【数1】
【0054】
これにより、上方限界角度θ1 が次の式(2) を満たすとき、下端部36は、地平面42から拘束されずに、鉛直線GV1より後方(紙面の右方向)で接地することができる。
【0055】
【数2】
【0056】
また図4の作業姿勢において下端部36を鉛直線GV1の前方(紙面の左方向)で接地するには、次の式(3) を満たすことが必要である。
【0057】
【数3】
【0058】
式(2) 及び式(3) を同時に満たすように、長さL1 ,L2 、上方限界角度θ1 、重心41の位置をそれぞれ設定することによって、下端部36は、重心41の前後両方で接地できるようになる。したがって、歩行ロボット10は、伏臥姿勢から直接立ち姿勢を採ることができる。
【0059】
次に、座り姿勢から立ち姿勢にステートを更新する際の左後の脚機構15の位置を説明する。図16に示すように、座り姿勢においては、胴体11の傾斜角度θB1に応じた空間が胴体11下方に形成されることにより、この傾斜角度θB1及び空間を利用してアクチュエータ付き関節32,34を容易に回動することができる。これにより、下端部36の接地点を地平面42と鉛直線GV1との交点44後方に移動することは、伏臥姿勢に比して容易である。
【0060】
脚リンク33を胴体11より上方に回動するときの機構的な上方限界角度をθ2 とし、アクチュエータ付き関節32から交点44までの水平方向の長さをLG2とし、下端部36の接地点がちょうど交点44に位置するとき、長さLG2,L1 ,L2 の3辺をもち、長さLG2,L1 の2辺問の頂角が上方限界角度θ1 及び傾斜角度θB1である3角形が形成される。この3角形は、次の式(4) の関係を満たす。
【0061】
【数4】
【0062】
徒って、上方限界角度θ2 が次の式(5) を満たすとき、下端部36は、鉛直線GV1より後方で接地することができる。
【0063】
【数5】
【0064】
上述のように傾斜角度θB1及び胴体11下方の空間を利用できる分、上方限界角度θ2 は上方限界角度θ1 に比して小さくて済むことになる。これにより、アクチュエータ付き関節27,32の機構的な制約条件を緩和することができる。また(4)式及び(5)式を満たすように長さL1 ,L2 、重心41位置を設定することにより、歩行ロボット10は、胴体11を起こす姿勢、作業姿勢、立ち姿勢のいずれも容易に採ることができる。
【0065】
因みに、関節型ロボットの起立に関する研究では、日本機械学会論文集(C編)58巻555号(1992−11)No92−0470「曲率を持つ3つのリンクで構成されたロボットの運動制御」がある。図17に示すように、この例のロボット49は、脚機構50,51,52のみで構成されており、胴体部を複数の脚機構で支える2脚歩行ロボットや4脚歩行ロボット等と構成が異なる。
【0066】
一方、従来の2脚歩行ロボットは、予め立ち姿勢から歩行させていた。このため、従来の2脚歩行ロボットは、起立するよう制御されていなかった。
【0067】
小俣らは、「手足胴体ロボットによる起き上がり動作」ロボティックス−メカトロニスク講演会 '95 ROBOMEC' 95 講演論文集(VolA)pp.239--242において、手、脚機構、胴体をもつロボットが仰向き姿勢から4脚機構で立つことについて述べている。しかし、この例は、手及び脚機構が地面に拘束された状態で起き上がれる場合の拘束つきの関節のトルクの計画をポテンシャル法をベースに説いているものであり、手及び脚機構をどのように接地させるかについて述べているものではない。
【0068】
公開公報昭63-191582 「ロボットの歩行装置」は、転倒した歩行ロボットを起き上がらせることを目的として記述されている。この歩行ロボットは、駆動輪が脚機構先端部に設けられている。この歩行ロボットの特徴は、それぞれの脚機構が2つの回動可能なアクチュエータを介して胴体と接合されていることである。転倒したときこのロボットは、脚機構をこのアクチュエータで回転させ、脚機構先端部の駆動輪をポディに対して180°対称の位置に移動して起き上がる。
【0069】
このような構成の第1の実施例において、伏臥姿勢のとき所定レベルの音が与えられると、歩行ロボット10は、まず右前及び左前の脚機構12,13によって胴体11の前部を起こして座り姿勢を採る。座り姿勢を採ってから所定時間以内に所定レベルの音が与えられると、歩行ロボット10は、右後及び左後の下端部31及び36を後方に移動して重心41のそれぞれ右後及び左後で接地する。
【0070】
続いて歩行ロボット10は、全てのアクチュエータ付き関節17,19,22,24,27,29,32,34を回動して胴体11の後部を起こして立ち姿勢を採る。立ち姿勢を採ってから所定時間以内に所定レベルの音が与えられると、歩行ロボット10は歩行を開始する。また歩行を開始してから所定時間内に所定レベルの音が与えられると、歩行ロボット10は歩行を継続する。
【0071】
ここで、座り姿勢のとき例えば立ち姿勢へ更新するときと異なる所定レベルの昔が与えられると、歩行ロボット10は、右前及び左前の脚機構12,13を地平面42より離して作業姿勢を採る。このとき、胴体下面最後部43は、重心41の鉛直線GV1後方で接地して重心41を支える。また脚リンク30,35後部のうち下端部31,36付近の接地部分は、鉛直線GV1の右前及び左前で接地して重心41を前方で支える。
【0072】
これにより、歩行ロボット10は、脚機構12,13による作業中でも、作業姿勢を従来に比して一段と容易に安定させることができる。
【0073】
次に、歩行中の歩行ロボット10は、所定時間内に所定レベルの音が与えられないと、立ち姿勢及び座り姿勢を順次経て伏臥姿勢に戻る。同様に作業姿勢の歩行ロボット10は、所定時間内に所定レベルの昔が与えられないと、座り姿勢を経て伏臥姿勢に戻る。
【0074】
以上の構成の第1の実施例によれば、歩行のとき接地しない胴体下面最後部43を接地して位置制御が必要な部位を低減すると共に、後側の脚機構14,15によって胴体11の傾斜角度θB1だけを制御することにより、胴体11を支持して歩行する4つの脚機構12〜15をもち、前例の2つの脚機構12,13によって作業するときの作業姿勢を簡易な構成で一段と容易に安定させることができる。また伏臥姿勢、座り姿勢、作業姿勢を採っているとき胴体11を起こすに必要な位置に後側のアクチュエータ27,29,32,34を容易に移動することができることにより、伏臥姿勢、座り姿勢、作業姿勢より立ち姿勢を容易に採ることができる。
【0075】
次に、第1の実施例における脚機構12,13のいずれか一方を使用する作業姿勢について説明する。
【0076】
第2の実施例では、図18に示すように、例えば右前の脚機構12だけを使用する作業姿勢のとき歩行ロボット10は、左前の下端部26を下方に向けて、左前の脚機構13を鉛直方向より少し後方に傾斜した状態に保持する。また歩行ロボット10は、右後及び左後の脚リンク28,33を鉛直方向より後方に所定角度、例えば45°傾斜させると共に、下端部31,36を後方に向けて脚リンク30,35前部を接地する。これにより、脚リンク30,35前部のうちアクチュエータ29,34付近の接地部分は、鉛直線GV1のそれぞれ右後及び左後で接地して重心41を支える。また左前の下端部26は、鉛直線GV1の左前で接地して重心41を支える。
【0077】
このとき、図19の上面図に示すように、地平面42に投影した重心41の位置は、右後及び左後のアクチュエータ29,34の接地点と左前の下端部26の接地点とを頂点とする多角形(図中の一点鎖線の3角形)でなる支持領域53内に納まる。したがって、歩行ロボット10は、右前の脚機構12だけを地平面42より離した作業姿勢を維持して、脚機構12を胴体11の前方及び下方の空間で任意の作業に使用することができる。またこの作業姿勢は、右前の下端部21が作業空間に近接して接地している分、図4の作業姿勢に比して一段と安定する。
【0078】
第3の実施例では、図20に示すように、歩行ロボット54は、歩行ロボット10の構成に加えて、高さH1 の丸い補助脚55が胴体11下面の前端部及び下端部に配設されている。これにより、伏臥姿勢のとき右後及び左後のアクチュエータ27,32は、地平面42より高さH1 で隔てられる。また胴体11は地平面42に対して平行に保持される。
【0079】
このとき後側の脚リンク33と、脚リンク35と、地平面42と高さH1 を辺とする矩形が形成される。下端部36の接地点がちょうど交点48に位置するとき、アクチュエータ32より交点48までの長さLG3は、次の式(6) で与えられる。
【0080】
【数6】
【0081】
また長さLG3方向と地平面42との間の角度θ4 は次の式(7) で与えられる。
【0082】
【数7】
【0083】
これにより、上方限界角度θ3 が次の式(8) を満たすとき、下端部36は、地平面42から拘束されずに、鉛直線GV1より後方で接地することができる。
【0084】
【数8】
【0085】
一方、作業姿勢を採るとき左後の下端部36は、鉛直線GV1の前方で接地しなければいけない。このため次の式(9) を満たす必要がある。
【0086】
【数9】
【0087】
また高さH1 は、次の式(10)を満たす必要がある。、
【0088】
【数10】
【0089】
このように、補助脚55を使用して、右後及び左後のアクチュエータ27,32を地平面42より離すことによって、アクチュエータ30,34を回動する空間が胴体11下面に形成される。これにより、上方限界角度θ3 が図15の伏臥姿勢における上方限界角度θ1 に比して小さくても、下端部36は、この空間を利用することによって鉛直線GV1の後方に容易に移動することができる。
【0090】
第4の実施例では、図21に示すように、アクチュエータ32を限界角度まで回動して座り姿勢より立ち姿勢にステートを更新する際に、後方に移動した左後の下端部36が鉛直線GV1の少し前方で接地している場合について説明する。
【0091】
この場合には、首部38を首部38下端のアクチュエータ37を用いて前方に倒すことによって、重心41を前方に移動する。これにより、重心41の鉛直線GV1と下端部36の接地点との前後方向の位置関係が逆転して、下端部36は鉛直線GV1の後方で接地することになる。このように、アクチュエータ32を限界角度まで回動した後に胴体11と後側の脚機構14,15との位置関係を変えずに重心41を前方に移動することにより、胴体11を起こして立ち姿勢にステートを更新することのできる位置関係を実現することができる。
【0092】
第5の実施例では、胴体11を起こす際に必要な下端部21,26,31,36と重心41との幾何学的な関係が満たされていることを前提として、胴体11を起こす際に必要な後側のそれぞれのアクチュエータ27,29,32,34におけるトルクに注目して、後側の下端部31,36の接地位置について説明する。
【0093】
図22に示すように、左後の下端部36が重心41の鉛直線GV1とアクチュエータ34の鉛直線GV2との間で接地している場合、アクチュエータ34は、反時計回りのトルクT1 を脚リンク35に与えて下端部36を地平面42に押しつける。これにより、脚リンク33は、トルクT1 の反作用を受け、アクチュエータ34を中心とする時計回りのトルク−T1 が与えられる。
【0094】
アクチュエータ32は、反時計回りのトルクT2 を脚リンク33に与えて胴体11を起こそうとする。これにより、トルクT2の反力は、アクチュエータ32を中心とする時計回りのトルク−T2 を胴体11に生じさせる。
【0095】
この例において、アクチュエータ32を中心として脚リンク33をみると、トルク−T1 ,T2 は、脚リンク33を互いに反対方向に回転させるように作用している。このため、胴体11を起こすトルクT2は、トルク−T1 により減少させられ、その分増加する必要がある。
【0096】
一方、図23に示すように、左後の下端部36が鉛直線GV2とアクチュエータ34の鉛直線GV3との間で接地している場合、アクチュエータ34は、時計回りのトルク−T1 を脚リンク35に与えて下端部36を地平面42に押しつける。この例において、アクチュエータ32を中心として脚リンク33をみると、トルクT1 ,T2 は、脚リンク33を同一方向に回転させるように作用している。これにより、トルクT2 は図22の位置関係の場合に比して小さくて済むことになる。
【0097】
図23のトルクの状況を作るには、下端部36が鉛直線GV2より後側(紙面に向かって右側)で接地すると共に、鉛直線GV1が鉛直線GV2より前側にあれば良い。図24に示すように、下端部36の接地点を鉛直線GV2の前側より後側に移すには、下端部36の接地点が地平面42と鉛直線GV2との交点57を通過しなければいけない。
【0098】
胴体11を接地した伏臥姿勢を採っている場合、下端部36の接地点が交点57と一致したときの長さL1 ,L2 ,LG1と、胴体11の前後方向に対する脚リンク33の上方限界角度θ5 との関係は、次の式(11)及び式(12)で表すことができる。
【0099】
【数11】
【0100】
【数12】
【0101】
式(11)及び(12)式を満たすように、長さL1 ,L2 ,LG1と上方限界角度θ5 とを設定することによって、歩行ロボット10は、下端部36の接地点を鉛直線GV2の後側に移すことができる。さらに、長さL1 ,L2 が式(3) を満たしていれば、下端部36を重心より前方に位置できることにより、歩行ロボット10は、座り姿勢を採ることができる。
【0102】
これに対して、図25に示すように、胴体11下面に配設した補助脚55によって、胴体11を水平に保持すると共に、アクチュエータ32を高さH2 だけ地平面42より高くした伏臥姿勢を採っている場合、長さL1 ,L2 ,LG1と、胴体11の前後方向に対する脚リンク33の上方限界角度θ6 との関係は、次の式(13)、式(14)及び式(15)で表すことができる。
【0103】
【数13】
【0104】
【数14】
【0105】
【数15】
【0106】
また図26に示すように、胴体11を接地した伏臥姿勢より前部だけを起こして胴体11が地平面42に対して傾斜角度θB2をもつ場合、長さL1 ,L2 ,LG1と、胴体11の前後方向に対する脚リンク33の上方限界角度θ6 との関係は、次の式(16)、式(17)及び式(18)で表すことができる。
【0107】
【数16】
【0108】
【数17】
【0109】
【数18】
【0110】
ここで、胴体11を水平に保持した状態において、下端部36の接地点を鉛直線GV2より後方に直接移動することができない場合について説明する。この場合、歩行ロボット10は、一旦、胴体11前部を起こす。続いて、歩行ロボット10は、図26の姿勢を経て、下端部36の接地点を鉛直線GV2より後方に移動する。
【0111】
胴体11前部を起こすと地平面42に対する重心41の投影位置は、伏臥姿勢のときに比して後方に移動する。このため、この姿勢より胴体11を起こす場合、後側のアクチュエータ32,34は、前側のアクチュエータ22,24に比して大きなトルクを発生する必要がある。もし後側の脚機構14,15が前側の用機構12,13に比して大きなトルクを発生するように構成されていれば、歩行ロボット10は、胴体11を起こして立ち姿勢を採ることができる。
【0112】
一方、全ての脚機構12〜15で発生するトルクがなるべく均一である方が良い場合がある。この場合、歩行ロボット10は、一旦、胴体11前側を下げて胴体11を水平に戻す。これにより、図23に示すように、地平面42に対する重心41の投影位置は、前方に戻る。この後、歩行ロボット10は、胴体11を起こして立ち姿勢を採る。
【0113】
この手順は、機構的な上方限界角度θ7 を上方限界角度θ5 に比して小さく設定することができる。またこの手順は、荷重を全ての脚機構12〜15に均一にかけて胴体11を起こすことにより、トルクの利用効率を向上することができる。
【0114】
以上の第1〜第5の実施例では脚機構12〜15が左右対称に同時に動作して胴体11を起こす場合について説明したが、第6の実施例では、脚機構12〜15が左右非対称に時間的にずれて動作して胴体11を起こす場合について説明する。
【0115】
胴体11を起こす前、歩行ロボット10は、図2の伏臥姿勢を採っている。
【0116】
まず図27に示すように、歩行ロボット10は、左後の脚リンク33を上方限界角度θ8 まで回動して脚機構15を屈曲すると共に、前側の脚機構13を屈曲する。これにより、図28に示すように、歩行ロボット10は、目的の姿勢、すなわち重心41の後方にアクチュエータ34が位置し、下端部36の接地点がアクチュエータ34の鉛直線GV2の後方に位置した、立ち姿勢を採る直前の姿勢を採ることができる。
【0117】
一方、図29に示すように、歩行ロボット10は、胴体11右側を伏臥姿勢に維持する。これにより、図30の後面図に示すように、歩行ロボット10は、胴体11の前後方向を水平に保持して胴体11の左側だけを起こすことができる。
【0118】
ここで、図27に示すように、横から見たときの脚リンク35が地平面42と直交する位置まで下端部36の接地点を移動したとき、図30に示すように、胴体11は、地平面42に対して傾斜角度θ9 で右側に傾斜している。このときのアクチュエータ32の高さH3 は、次の式(19)で求められる。
【0119】
【数19】
【0120】
高さH3 は、脚機構12〜15を左右対称に同時に屈曲して胴体を水平に起こす場合に比して小さい。
【0121】
このようにして、歩行ロボット10は、伏臥姿勢より脚機構12〜15を左右非対称に時間的にずらして屈曲する2段階動作によって、目的の姿勢を採ることになる。これは、歩行ロボット10が胴体11を1段階動作毎に目的の姿勢の約1/2の高さに起こすことを意味する。これにより、1段階動作毎の消費電流は、目的の姿勢を1度で採る場合に比して1/2に抑えられる。したがって、歩行ロボット10に搭載された電池を有効に利用することができる。
【0122】
第7の実施例では、脚機構12〜15を横方向に回動するいわゆる開く自由度を脚機構12〜15に加える場合について説明する。
【0123】
図31(A)に示すように、歩行ロボット58は、後側の脚機構1415に代えて脚機構59,60が配されている。右後の脚機構59の上端は、アクチュエータ付き関節27に代えてアクチュエータ付き関節61が配されている。左後の脚機構60の上端は、アクチュエータ付き関節32に代えてアクチュエータ付き関節62が配されている。
【0124】
アクチュエータ付き関節61,62は、それぞれ2自由度をもつ。すなわち右後のアクチュエータ付き関節61は、胴体11の前後方向を含む鉛直面内で回動すると共に、脚リンク28を右側に角度θ10まで回動する。左後のアクチュエータ付き関節62は、胴体11の前後方向を含む鉛直面内で回動すると共に、脚リンク33を左側に角度θ11まで回動する。これにより、図31(B)に示すように、アクチュエータ付き関節61から下端部31の接地点までの長さの水平方向成分と cosθ10との積が、アクチュエータ付き関節61から重心41までの長さの前後方向成分に比して短くなれば、胴体11の右側を起こす条件が満たされる。同様に、アクチュエータ付き関節62から下端部36の接地点までの長さの水平方向成分と cosθ11との積が、アクチュエータ付き関節62から重心41までの長さの前後方向成分に比して短くなれば、胴体11の左側を起こす条件が満たされる。
【0125】
上述の実施例では、後側の脚機構14,15や脚機構59脚機構60を屈曲することによって、胴体11を起こすことができる姿勢や脚機構の位置関係を作ることについて述べた。これに対して、第8の実施例では、後側の脚機構を屈曲させずに、胴体11を起こすことができる姿勢や脚機構の位置関係を作る工夫について説明する。
【0126】
図32に示すように、歩行ロボット63は、歩行ロボット10の脚機構12〜15に代えて、短い脚機構64〜67が配されている。すなわち、右前の脚機構64は、脚機構12の脚リンク18,20に代えて、短い脚リンク68,69が配されている。左前の脚機構65は、脚機構13の脚リンク23,25に代えて、短い脚リンク70,71が配されている。右後の脚機構66は、脚機構14の脚リンク28,30に代えて、短い脚リンク72,73が配されている。左後の脚機構67は、脚機構15の脚リンク33,35に代えて、短い脚リンク74,75が配されている。図33に示すように、座り姿勢を採ったとき左後の下端部36は、重心41の鉛直線GV1と地平面42との交点44より少し前方で接地している。
【0127】
一方、図34に示すように、歩行ロボット63が座り姿勢より伏臥姿勢を採ると、重心41は前方に移動する。これにより、下端部36は鉛直線GV1と地平面42との交点48より後方で接地している。したがって、歩行ロボット63は、後側のアクチュエータ付き関節を用いて胴体11を起こすことができる姿勢を採ることができたことになる。
【0128】
一般に、後側の脚機構66,67を屈曲することをも考えると、胴体11後部から下端部36接地点までの前後方向の最小長さをLMIN とし、胴体11後部から重心41までの前後方向の長さをLg として、次の式(20)の関係が成り立つ。
【0129】
【数20】
【0130】
また前脚機構64,65を用いて胴体11前部を起こしたときの胴体11の最大傾斜角度をθMAX とし、アクチュエータ付き関節を工夫して下端部36を胴体11後部から離すことができる前後方向の最大長さをLMAX とすると、次の式(21)の関係が成り立つ。
【0131】
【数21】
【0132】
図33及び図34では、次の式(22)の例が示されている。
【0133】
【数22】
【0134】
最大傾斜角度θMAX は長さLg と最大長さLMAX との間の角度に比して大きくなければならない。これにより、次の式(23)の関係が成り立つ。
【0135】
【数23】
【0136】
また、最大傾斜角度θMAX は、胴体11の長さをLB とし、座り姿勢を採ったときの胴体11最前部の地平面42かしらの最大高さをHMAX として、次の式(24)で求められる。
【0137】
【数24】
【0138】
すなわち、次の式(25)を満足するように、長さLB と、それぞれの脚リンクの長さとを設計し、姿勢を切り換えるることによって重心41と下端部36との位置関係を前後に移動することができる。
【0139】
【数25】
【0140】
以上の実施例では、はロボットの姿勢変化を、ロボットの前後方向について行う場合について記述をしてきたが、今後の実施例ではロボットの左右方向の姿勢変化について説明を行う。
【0141】
第9の実施例ではロボットが横に寝た状態で作業をさせることについて説明する。
【0142】
図35にロボットが横に寝る姿勢の例を図示する。図35(A)は横に寝ている状態のロボットを前から見た図であり、図35(B)は(A)と同様のロボットを左から見た図であり、図35(C)は(A)と同様のロボットを上から見た図である。ここでロボットの脚先端部に一部、破線で囲まれたものがあるが、これはその先端部が地面と接地していることを示している。
【0143】
図35において、ロボット本体416を支持している部位は、右前脚先端部451、右後脚先端部441及び本体416の一部(図35(A),(B)においてDの部分)である。このとき、前述したロボットの前後方向の重心移動と同様に、右前脚先端部451と右後脚先端部441が重心410を重力に垂直な平面に投影した点Gp より前方で接地(E,E’)することができるように各脚リンクの長さと重心410の位置の関係を満たすように設計することにより接地点を重力に垂直な平面に投射した点(図35(C)の例では地面が重力に垂直な平面をなしているのでE,E’と同じになる)が構成する多角形の内部に前述のGp が位置でき、安定な姿勢を保つことができる。前述した多角形は図35(C)において、網掛け処理を施すことにより示される灰色に塗られた部分をさす。また本体416の一部Dを接地させていることにより、左前脚と右後脚を地面から離し、動かすことができる。
【0144】
上記第9の実施例はロボットの左右が対称の状態においても、同様の行動が可能である。
【0145】
さらに、ロボットが横に寝る姿勢における接地点、作用点、重心の関係、について説明する。また簡略化のために、ロボットを正面から見た方向に限って説明する。
【0146】
この状況では、図35(D)のように、右前脚の太股部455と地面との角度theta2として右前脚関節453の機構的な限界を設定する。この角度theta2は、本体416の接地された一部Dから重心410から下ろした垂線が地面と交わる点Gp までの長さをLg2、右前脚太股部455の長さをL10、右前脚すね部454の長さをL20とするとき、右前脚先端部451と重心410から地面に降ろした垂線の点が一致するとすると、L10、L20、Lg2の3辺の長さを持つ3角形となり次の式(26)を満足する。
【0147】
【数26】
【0148】
角度theta2が次の式(27)を満足できれば、地面からの拘束を受けずに、重心410より後ろに右前脚先端部451を持ってくることができる。
【0149】
【数27】
【0150】
ここで角度theta2が本体416と地面とがなす角度より大きい場合には、本体416との干渉が生じる場合がある。ただしこのとき、ロボットを上面から見た場合の右前後脚の開脚が十分であれば、ロボット本体416との干渉を生じることなく角度theta2をとることができる。
【0151】
また図35のように右前脚先端部451の接地点と本体416の一部Dがなす多角形の内部に重心410の地面への投影点Gp が保持されるようにするには、次の式(28)で表される条件が必要である。
【0152】
【数28】
【0153】
式(27)と式(28)を同時に満足させるように右前脚太股部455と右前脚すね部454の限界角度theta2及び重心410の位置を設定することにより、右前脚先端部451を重心410に対して前後方向の位置に接地できるようになり、体を起こしたりという動きに右前後脚関節453,443のアクチュエータを利用することが可能になる。
【0154】
また図36には右前脚肘部452、右後脚肘部442及び本体416の一部Dを接地させ、ロボット本体416を支持することにより左前後脚を自由に動かせるような例を示した。この場合、ロボットの各接地点を結んだ多角形の面積が小さくなり、小スペースでロボット本体416を支持することができる。このとき、接地点である右前後脚肘部452,442と本体416の一部Dのなす多角形の内部に重心410の投影点Gp が保持される必要があるため、右前脚太股部455の長さLl0とLg2には次の式(29)の関係がある。
【0155】
【数29】
【0156】
しかし、前述の右前後右脚先端部451,441を使用して接地した場合と比較し、重心410の投影点Gp の移動範囲が限られるため安定性は悪くなる。またロボットの左右が対称の状態においても、同様の行動が可能である。
【0157】
また図37(A)には左後脚先端部411、本体416の一部Dを接地させ、ロボット本体416を支持することにより左前脚を自由に動かせるような例を示した。この図37(A)において、破線で示された部分はロボットの左後脚を示している。この場合、一つの脚だけが作業に使用できるが、通常の右前後脚先端部451,441を使用して、ロボット本体416を使用するより安定性を高めることができる。この場合のロボットを上方から見た図を図37(B)に示す。この図37(B)において、網かけ処理を施して示す灰色に塗られた部分すなわちロボットの接地点がなす多角形が、図35(C)のものと比較し、多角形の(ロボットにおける)横方向の距離が大幅に増加している。ロボットの安定性は、重心410の投影点Gp が前述の多角形内に保持されていればロボットの横方向の回転モーメントの発生を起こすことがないため、維持されるので、これはロボットの横方向の安定性が図35(C)のものに比べ、増していることを示している。この場合、左後脚先端部411の代わりに左前脚先端部421を接地させ、左後脚を自由に動かすことも可能である。
【0158】
上記第9の実施例はロボットの左右が対称の状態においても、同様の行動が可能である。
【0159】
第10の実施例では、図38に示す立っている状態のロボットの姿勢から図35に示した横に寝ている状態のロボットの姿勢に変化させる場合について説明する。図38(A)は立っている状態のロボットを前から見た図であり、図38(B)は(A)と同様立っている状態のロボットを左から見た図であり、さらに、図38(C)は(A)と同様立っている状態のロボットを上から見た図である。この図38(C)においてロボットの重心410を重力に垂直な平面に投射した点Gp は接地点である4脚先端部421,411,441,451がなす多角形の内部に位置している。
【0160】
ここでロボットを図38に示す立っている状態から図35に示した横に寝ている状態に変化させるには、右前後脚先端部451,441を接地させて保持しているロボット右半身を、ロボットの本体416の一部Dを接地させ保持させる状態に変化させる必要がある。
【0161】
しかし、そのために単純に関節角度を変化させただけでは姿勢の変化が正しく起こらない。特に状態遷移の間に重心410の投影点Gp が接地点がなす多角形の外部に出た場合には、図39(A),(B)に示すようにロボットの転倒を引き起こす。ロボットの転倒を防止する手順を以下に示す。なおここではロボットがその右側に寝ている状態から転倒することを防止する条件について述べる。図40に示すようにロボットが右側に転倒する際に発生するモーメントは主に右半身の接地部分すなわち右前後脚先端部451,441によって支えられている。この右前後脚先端部451,441を結ぶ直線をGとし、ロボットの重心410の重力に垂直な平面に投射した点をGp とすると、点Gp と直線Gの距離Lがロボットの転倒に対する余裕の目安となり、Lが負になるとロボットは右側に転倒する。
【0162】
上記第10の実施例はロボットの左右が対照の状態についても同様のことがいえる。
【0163】
第11の実施例では、図38に示したロボットが立っている状態から図35に示した横に寝ている状態に状態遷移する際に、4脚先端部421,411,441,451を接地している状態からロボット本体416の一部Dを接地する中間状態を経由する場合について述べる。なおここではロボットが本体416の右側部分を接地させる場合について述べる。
【0164】
ロボットが横に寝ている状態は図41に示すように、右前後脚先端部451,441及びロボット本体416の一部Dで接地しており、その接地点がなす多角形の中に、ロボットの重心410を重力に垂直な平面に投射した点Gp が存在することにより安定状態を保つことができる。
【0165】
しかし、図38に示したロボットが4脚のそれぞれの先端部421,411,451,441で立っている状態から、右方向への転倒を伴わずに本体416の一部Dを接地させるには、接地点がなす多角形内に、ロボットの重心410を重力に垂直な平面に投射した点Gp を維持したまま、本体416の一部Dを接地させる必要がある。図42(A)はDを本体416の一部Dを接地する直前のロボットを上から見た図である。ロボットを転倒させないよう接地するには、投影点Gp が4脚の先端部421,411,441,451のなす多角形2211内に保持された状態を維持しつつ本体416の一部Dを接地させる必要がある。
【0166】
次に本体416の一部Dが接地した場合について説明する。図42(B)は本体416の一部Dが接地した際のロボットを上から見た図である。本体416の一部Dが接地すると接地点は4脚先端部421,411,441,451及び本体416の一部Dとなり、接地点が多角形2212を構成するようになる。この状態においては投影点Gp が多角形2212内に維持されていればロボットが転倒することはない。
【0167】
次に図42(C)は左前後脚先端部421,411と本体416の一部Dを接地させ、右前後脚先端部451,441を自由に動かせる状態を示している。この右前後脚先端部451,441を比較的自由に位置させることができる状態を遷移することによって、右前後脚先端部451,441と本体416の一部Dのなす多角形の形状を、ロボットがなるべく安定するように又はロボットの動きに有利なように構成することができる。
【0168】
さらに図35に示したロボットが左脚を持ち上げ自由に動かすことができる状態について説明する。
【0169】
図42(C)は上記の状態をロボットの上から見た図である。この場合は接地点は右前後脚先端部451,441と本体416の一部Dとなり、接地点が多角形2213を構成することになる。この状態でロボットの転倒を防ぐには投影点Gp が多角形は2213内に保持する必要がある。
【0170】
上記の4つの状態は必ずとも必要ではなく、各脚接地部を滑らせる(地面と各脚接地部の摩擦係数が1未満になる)ことにより、接地点のなす多角形の形状を変更することができる。例えば、図42(B)の状態から、右前後脚先端部451,441と本体416の一部Dを接地させることによりロボットを安定させ、さらに右前後脚先端部451,441を滑らせることにより接地点のなす多角形の形状を変更し、図42(D)に示すような状態に遷移することができる。またロボットを故意に不安定な状態にし回転モーメントを与えることにより、上記の状態遷移を簡略化することも可能である。例えば、図42(A)の状態から、故意に重心410の投影点Gp を、接地点である右前後脚先端部451,441を結ぶ直線Fを各接地点のなす多角形2211の外部に出すと、ロボットにロボット右方向の回転モーメントが生じる。そのままロボットを右側に転倒させ、図42(D)の状態に持っていくことも可能である。しかしこの方法では接地した際にロボット本体416に衝撃を与え、それによる故障を誘発しやすい。さらに目標位置への接地が的確に行われない場合があるため、作業を行う際の接地としてはあまり望ましくない。
【0171】
上記の状態遷移からわかるように、図42(A)に示すロボットが4脚で立っている状態から図42(D)に示すロボットが左脚を持ち上げ自由に動かした状態に転倒することなく遷移するには、重心410の投影点Gp が多角形2211から多角形2214へ移動する必要がある。つまり接地している右前後脚先端部451,441を結んだ直線Fに対して重心410の投影点Gp が、ロボットの倒れ込む方向と反対側(この場合ロボットの左側)にある状態(図42(A)参照)から、ロボットの倒れ込む側(この場合ロボットの右側)に移動した状態(図42(D))であることが必要とされる。そのためには、図42(A)に示す多角形2211(4脚で接地している状態)と図42(D)に示す多角形2214(ロボット右前後脚と本体416の一部で接地している状態)を共通に有する図42(B)に示す多角形2212を保持する状態遷移である図42(B),(C)の状態を経由するのが、重心410の投影点Gp を移動する際は安定であると言える。
【0172】
ここではさらに、上記第11の実施例における接地点、作用点、重心(重力方向と垂直な平面への投射された点)の関係について説明する。簡略化のため、ロボットを上方向から見た状況とし、さらに各脚の関節は太股関節部のみとする。つまりロボットは4脚支持の状態から本体416右側を接地させるために状態遷移を行う。
【0173】
図43はロボットが本体416の一部Dを接地させた際に、右前後脚先端部451,441をどの位置に接地させればロボットが安定した状態に保持されるかを示す図である。ここで右前脚関節部453を原点とし、原点から右後脚関節部443を通る直線をx軸とする。また原点をとおり、x軸と垂直に交差する直線をy軸とする。さらに右前脚の長さをL20、右前脚とx軸との角度をθ20、右後脚の長さをL21、右後脚とx軸との角度をθ21、原点から右後脚太股関節部443までの長さをLd 、右前脚先端部451と右後脚先端部441を結ぶ直線をFとする。ここでは簡略化のため、各脚の接地点を各脚先端部とする。しかし接地点が各脚先端部である必要はなく、各脚上の一点であれば適用可能である。
【0174】
ここで右前脚先端部451の座標(Lfrx,Lfry)は次の式(30),式(31)、また、右後脚先端部441の座標(Lrrx,Lrry)は式(32),式(33)となる。
【0175】
【数30】
【0176】
【数31】
【0177】
【数32】
【0178】
【数33】
【0179】
さらに直線Fは次の式(34)となる。
【0180】
【数34】
【0181】
図42(A)の場合、ロボットは4脚を接地し本体416を支持している状態から、ロボットの本体416の右側を接地するまでの状態遷移を行う。このとき、ロボットを安定状態な状態を保ちつつ状態遷移を行うには常に接地点のなす多角形2211,2212,2213,2214の内部に重心410の投影点Gp が保持される必要がある。しかし本体416の右側を接地する関係上、ロボットがもっとも陥りやすい現象が、ロボット右方向への転倒である。そのためここでは特に右方向への転倒について述べる。
【0182】
ロボットが右方向に転倒するのを防止するには重心410の投影点Gp が直線Fより下方に位置する、つまり接地面がなす多角形2211の内部に含まれた状態である必要がある。そのために、重心410の投影点Gp (Gpx,Gpy)の位置は次の式(35)を満足する必要がある。
【0183】
【数35】
【0184】
ここで≦はα≦βとした場合、αはβ以下である場合を示す。
【0185】
図42(B)の場合、ロボットは本体416の一部Dと左右前後脚先端部421,411,451,441を接地しているため、前述の状態遷移の課程の中でもっとも安定な状態であるといえる。しかし、ロボット本体416は、本体416の右側を接地している関係上、接地点のなす多角形2212のロボット右側に位置しがちである。そのため重心410の投影点Gp も同位置に保持されがちであるため、ロボットは右側への転倒の可能性がもっとも高いといえる。ロボットが右方向に転倒するのを防止するには、重心410の投影点Gp は右前後脚接地点と本体416の接地点Dのなす複合直線Gよりロボット右側(図42(B)においては下側)にある必要がある。そのために次の式(36)、式(37)又は式(38)を満足する必要がある。
【0186】
【数36】
【0187】
図42(C)では、ロボットは遊脚となった右前後脚をロボットの安定性を維持できる地点に接地させ、図42(D)において左前後脚を遊脚として作業する。そのため図42(C)における右前後脚の接地においては、ロボットの安定性ができるだけ確保される必要がある。図42(D)においては、ロボットの重心410の投影点は、本体416の一部D及び右前後脚先端部451,441のなす多角形2214内に保持される必要がある。そのためには次の式(37)を満足させる必要がある。
【0188】
【数37】
【0189】
第12の実施例では、図38に示したロボットが立っている状態から図35に示した横に寝ている状態に状態遷移する際に、ロボットの脚の先端部のみではなく肘部を使用することにより、ロボットの片側の前後脚を使用するだけで、ロボット本体416の一部Dを接地する場合について述べる。なおここではロボットが本体416の右部を接地させる場合についてのべる。
【0190】
図38に示したロボットが立っている状態から図35に示した横に寝ている状態に状態遷移する際には、ロボットの接地点がなす多角形の中に、ロボットの重心410を重力に垂直な平面に投射した点Gp が存在することにより安定を保つことができる。図42で示したように、各々の脚で接地する場合に一つの脚について一箇所しか接地点を持たない場合、ロボットが安定な状態を保つには最低限3本の脚で支える必要があり、さらにその状態を本体416の一部Dを接地するまで維持する必要がある。
【0191】
しかし一つの脚について2箇所の接地点を持った場合、ロボットが安定な状態を保つには最小限2本の足しか必要としない。図44はロボットが状態遷移をする過程で右側の前後脚の先端部451,441及び肘部452,442を使用し、片側の足のみで状態遷移を行っている状態を示している。このとき接地点からなる多角形2411内に、重心410の投影点Gp が維持された状態で状態遷移が行われることによって、安定した遷移が行われる。
【0192】
図45に4脚接地の状態から右前後脚のみで接地している状態への状態遷移の例を示す。ここで図45(A)は、ロボットが4脚先端部421,411,451,441にてそれぞれ接地している状態である。この状態から右前後脚を移動させ、図45(B)に示すように右前後脚先端部451,441及び肘部452,442を接地した状態に遷移する。このとき、あらかじめ接地していた右前後脚先端部451,441をロボットの安定性を維持させつつ移動させ、右前後脚先端部451,441及び肘部452,442の4箇所若しくはそのうちの3箇所が構成する接地面上の多角形2513の内部に重心410の投影点Gp が含まれる図45(C)に示す状態に遷移する。また図45(D)のような変形例も可能である。このとき、右前後脚先端部451,441の移動に関しては、ただ関節角度を目標値に合わせるだけでは、ロボットの転倒を引き起こしかねない。そのため、前後脚を交互に移動させ常に3点の接地点を維持し、それらが構成する多角形2514の内部に重心410の投影点Gp が維持されるようにしたり、接地点を滑らせ(接地点における地面との摩擦係数を1未満にする)地面と接地し安定性を維持した状態で接地点を移動する必要がある。
【0193】
ここではさらに、上記第12の実施例における接地点、作用点、重心(重力方向と垂直な平面へ投影された点)の関係について説明する。簡略化のため、ロボットを上方向ら見た状況とする。
【0194】
図46はロボットが右前後脚の先端部451,441と肘部452,442を接地させ、その接地部がなす多角形2611内に重心410の投影点Gp を保持している状態を示している。
【0195】
ここで右前脚関節部453を原点とし、原点から右後脚関節部443を通る直線をx軸とする。また原点を通り、x軸と垂直に交差する直線をy軸とする。さらに右前脚股部455の長さをL30、さらに右前脚股部455の長さをL30、右前脚すね部454の長さをL31、右後脚股部445の長さをL32、右後脚すね部444の長さをL33、右前脚すね部455とx軸との角度をθ30、右前脚すね部454とx軸との角度をθ31、右後脚股部445とx軸との角度をθ32、右後脚すね部444とx軸との角度θ33、また、原点から右後脚太股関節部443までの長さをLd とする。
【0196】
ここで右前脚肘部452の座標(Lfmx,Lfmy)は次の式(38),式(39)、右前脚先端部451の座標(Lffx,Lffy)は式(40),式(41)、右後脚肘部442の座標(Lrmx,Lrmy)は次の式(42),式(43)、右後脚先端部441の座標(Lrrx,Lrry)は式(44),式(45)となる。
【0197】
【数38】
【0198】
【数39】
【0199】
【数40】
【0200】
【数41】
【0201】
【数42】
【0202】
【数43】
【0203】
【数44】
【0204】
【数45】
【0205】
ここで右前脚肘部452と右後脚肘部442を結ぶ直線をI1 、右前脚先端部451と右後脚先端部441を結ぶ直線をI2 、さらに右前脚先端部451と右前脚肘部452を結ぶ直線をI3 、右後脚肘部442と右後脚先端部441を結ぶ直線をI4 とする。直線I1 は式(46)、直線I2 は式(47)、直線I3 は式(48)、直線I4 は式(49)となる。
【0206】
【数46】
【0207】
【数47】
【0208】
【数48】
【0209】
【数49】
【0210】
図46において、ロボットが安定な姿勢を維持するための条件は多角形2611内に重心410の投影点Gp が含まれていることにある。そのため、次の式(50)満足する必要がある。
【0211】
【数50】
【0212】
また図45(D)に示された状態に遷移するには次の式(51)を満足する必要がある。
【0213】
【数51】
【0214】
第13の実施例では、ロボットの本体416を接地した場合に、各々の脚の接地を必要とせずに安定した状態を維持できる本体416の一部を持つロボットについて述べる。
【0215】
図47はロボットの脚を接地せず胴体の一部を接地するだけで、接地点からなる多角形の内部に、ロボットの重心410を重力に垂直な平面に投射した点Gp を維持できるロボットを示している。この時、ロボットは安定状態態にある。
【0216】
これまでの例では、ロボットが図38に示した立っている状態から図35に示した横に寝ている状態に遷移する際に、本体416の一部Dと脚を同時に接地している状態を経由する状態遷移を示した。しかし、ここでは図48に示すように、ロボットが図48(A)に示す立っている状態から図48(B)に示す本体416の胴部のみで接地を行う状態を経由して図48(D)に示す横に寝ている状態へ状態遷移を行うことによって、最終的なロボットの接地点である右前後脚先端部451,441を接地する際に、図48(C)に示すようにロボットの安定性を維持しながら接地点を目標点へ移動することが可能であるので、接地点がなす多角形の面積がより大きくなるような位置に移動しやすくなり、そのため最終的にロボットが横に寝た状態になったときの安定性が向上する。
【0217】
このときロボットの本体416の胴部のみを接地するのみで、ロボットを安定状態に維持することができれば、4脚をすべて自由に動かし作業を行うことができる。しかし図49(A)に示すように、作業位置に脚の長さが足りない場合は、図49(B)に示すようにロボットを横に寝ている状態にし、ロボット本体416を起こし、脚付け根部を持ち上げ、脚の長さを補う必要がある。
【0218】
第14の実施例では、ロボットが特殊形状の本体416を持ち、ロボットの本体416の一部と脚を使用して接地した際に安定した状態を作りやすい状態について述べる。
【0219】
図50は、図38に示したロボットが立っている状態から、ロボットの本体416の一部Jが接地した状態に遷移した状態を示している。この時、ロボットの本体416の一部Jと右前後脚先端部451,441のなす多角形3011の内部に、ロボットの重心410を重力に垂直な平面に投射した点Gp が含まれれば、ロボットは転倒を引き起こすことなく安定状態を保持することができる。
【0220】
上記の状態遷移をさらに詳しく説明する。ここで図51は、特殊形状の本体416を持つロボットが、図38に示したロボットが立っている状態からロボットが本体416の一部と片側の前後脚を接地して、反対側の前後脚を作業に使用する図50に示した状態への状態遷移を示している。それぞれロボットを上から見た状態を示している。
【0221】
図51(A)はロボットが4脚先端部421,411,451,441を各々接地して、安定状態を保持している状態である。このとき、ロボット本体416は特殊形状を持ち、本体416の腹部に突起Kをもっているものとする。この突起Kはロボットが4脚を均等に接地した場合、本体416の中でもっとも接地点に近く、本体416のそのままの状態を維持したまま接地面に近づけたとき、もっとも先に接地する点であるとする。図51(A)では、4脚の接地点のなす多角形3111の中に重心410の投影点Gp が保持されていれば、ロボットは安定状態にある。
【0222】
図51(B)ではロボットが4脚で接地した状態を維持しつつ、本体416を接地面に近づけ本体416の腹部突起Kを接地させた図である。このとき、接地点は各脚先端部451,441,421,411及び本体416の腹部突起Kとなる。ここでは4脚を接地しているので、接地点のなす多角形3112もそれぞれの脚接地点を結んだものととなり、その内部に重心410の投影点Gp が含まれていればロボットは安定であるといえる。
【0223】
図51(C)ではロボットは右前後脚先端部451,441と本体416の腹部突起Kで接地している状態である。この状態で接地点のなす多角形3113の中に重心410の投影点Gp が含まれていれば、ロボットは安定な状態を保持することができる。またこの時、左前後脚を遊脚として作業に使用することができる。
【0224】
上記の状態遷移を経由すると、ロボットの側面を接地するより状態遷移の課程や接地点の移動が少なく、ロボットを制御する上では比較的容易である。しかし特殊形状の本体416を使用しているため、地面との干渉の問題など、行動パターンの多様性という点では幅が狭くなる。
【0225】
上記第14の実施例では各脚の接地点を各脚先端部としたが、その必要はなく各脚上の点であればどの点でも接地点として上記第14の実施例に適用できる。また、上記第14の実施例はロボットの左右が入れ替わった場合についても適用可能である。
【0226】
第15の実施例では、ロボットの脚に摩擦係数の高い部分と低い部分を意図的に作成し、接地する箇所をそれぞれ使い分けることによって脚接地部分の移動をスムーズに行うものである。上記脚を装着したロボットを図52(A)に示す。この中でロボットの左前脚について述べると、ロボットの脚は、先端部421,すね部424、肘部422、股部425によって構成されている。ここで黒色で示される部分すなわち先端部421及び肘部422は、接地面との摩擦係数が比較的高く、ロボットの接地点として接地面と接触状態にあった場合、滑りは発生しないものとする(摩擦係数が1である)。また灰色で示された部分すなわちすね部424及びと股部425は、接地面との摩擦係数が黒色の部分と比較して低く、ロボットの接地点として接地面と接触状態にあった場合、滑りが発生するものとする(摩擦係数が1未満である)。そのため、ロボットの脚接地部を移動させる場合、一度接地部を持ち上げて目標点まで移動させるのではなく、図52(B)に示すようににロボットが滑らない点を接地している状態から、図52(C)に示すように、接地点を滑らない点から滑る点に移動させ、接地点を滑らせながら目標点まで移動させる際にすね部424をすべて接地させ、図52(D)に示すように、そのまま滑らせながら目標点まで脚接地点を移動させる。この場合、移動中の接地点の面積が拡大するため、より安全な状態を保持しながら接地点の移動を行うことが可能となる。
【0227】
なお上述の各実施例においては、本発明を、胴体に接続した4つの脚機構で歩行する歩行ロボットに適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本体部に接続した4つ以上の脚部で本体部を接地面上に支持し、この脚部を接地面に作用させて移動するロボット装置に広く適用し得る。この場合にも上述と同様の効果を得ることができる。
【0228】
また上述の実施例においては、脚機構のそれぞれ上端及び中間にアクチュエータ付き関節を配する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本体部に接続した脚部が3つ以上の関節部をもつ場合にも適用できる。
【0229】
さらに上述の実施例においては、座り姿勢のとき後側の脚機構を前方にほぼ水平に配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本体部を接地面に対して傾斜させた姿勢を採るとき、本体部の一端側に接続した脚部を屈曲して配置する場合にも適用できる。
【0230】
さらに上述の実施例においては、アクチュエータ付き関節が1自由度又は2自由度をもつ場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本体部を支持する脚部の関節部が3自由度以上をもつ場合にも適用できる。
【0231】
さらに上述の実施例においては、胴体を関節型の脚機構によって支持して歩行する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本体部を支持して移動する脚部を、例えばパンタグラフ型や無関節型等、任意に構成する場合にも適用できる。
【0232】
さらに上述の実施例においては、胴体を脚機構によって上昇させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、本体部を支持する脚部と別個に本体部を上昇させる手段を配する場合にも適用できる。
【0233】
さらに上述の実施例においては、作業する際に、胴体下面最後部を接地する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、伏臥姿勢を採って本体部や本体部付近の関節等を接地する場合や、剛体でなり一体に形成された本体部前部を接地する場合や、移動に使用しない例えば棒状の補助脚を本体部に収納しこの補助脚の一端を本体部より接地面上に降ろして接地する場合や、前後に分割した本体部の前半部及び後半部を接続する例えば1自由度の関節部を下方に屈曲して接地する場合にも適用できる。
【0234】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、作業に使用する所定の脚部以外の全部又は一部の脚部の移動のときには接地しない部位及び本体部の所定部位を接地して位置制御が必要な部位を低減することにより、本体部を支持して移動する複数の脚部をもち、所定の脚部によって作業するときの作業姿勢を簡易な構成で容易に安定させ得るロボット装置及びその制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるロボット装置及びその制御方法の一実施例を示す略線的斜視図である。
【図2】歩行ロボットの伏臥姿勢を示す略線的左側面図である。
【図3】歩行ロボットの座り姿勢を示す略線的左側面図である。
【図4】右前及び左前の脚機構を同時に使用して作業するときの歩行ロボットの作業姿勢を示す略線的左側面図である。
【図5】歩行ロボットの立ち姿勢を示す略線的左側面図である。
【図6】歩行ロボットの歩行中の姿勢を示す略線的左側面図である。
【図7】歩行ロボットの歩行中の姿勢を示す略線的左側面図である。
【図8】歩行ロボットの歩行中の姿勢を示す略線的左側面図である。
【図9】歩行ロボットの歩行中の姿勢を示す略線的左側面図である。
【図10】歩行ロボットのステートマシンを示す略線図である。
【図11】右前及び左前の脚機構を同時に使用する作業姿勢を示す略線的上面図である。
【図12】右前及び左前の脚機構を同時に使用する作業姿勢のときの支持領域を示す略線的上面図である。
【図13】立ち姿勢のときの支持領域を示す略線的上面図である。
【図14】座り姿勢より胴体を起こす際の支持領域を示す略線的上面図である。
【図15】伏臥姿勢より直接立ち姿勢にステートを更新する際の後側の脚機構の位置の説明に供する略線的左側面図である。
【図16】座り姿勢より立ち姿勢にステートを更新する際の後側の脚機構の位置の説明に供する略線的左側面図である。
【図17】曲率を持つ3つのリンクで構成されたロボットを示す略線図である。
【図18】第2の実施例の作業姿勢を示す略線的左側面図である。
【図19】第2の実施例の作業姿勢のときの支持領域を示す略線的上面図である。
【図20】第3の実施例の伏臥姿勢より直接立ち姿勢にステートを更新する際の後側の脚機構の位置の説明に供する略線的左側面図である。
【図21】第4の実施例の座り姿勢より立ち姿勢にステートを更新する際の重心移動の説明に供する略線的左側面図である。
【図22】第5の実施例の後側の脚機構の位置とトルクの説明に供する略線的左側面図である。
【図23】第5の実施例の後側の脚機構の位置とトルクの説明に供する略線的左側面図である。
【図24】第5の実施例のトルク状況が切り換わるときの後側の脚機構の位置を示す略線的左側面図である。
【図25】第5の実施例のトルク状況が切り換わるときの後側の脚機構の位置を示す略線的左側面図である。
【図26】第5の実施例のトルク状況が切り換わるときの後側の脚機構の位置を示す略線的左側面図である。
【図27】左側の脚機構だけを屈曲するときの左後の脚機構の位置を示す略線的左側面図である。
【図28】左側の脚機構だけを屈曲するときの左後の脚機構の位置を示す略線的左側面図である。
【図29】左側の脚機構だけを屈曲するときの右後の脚機構の位置を示す略線的左側面図である。
【図30】第6の実施例の伏臥姿勢より左側の脚機構だけを屈曲したときの胴体の傾斜を示す略線的後面図である。
【図31】第7の実施例の後側の脚機構の位置を示す略線的上面図である。
【図32】第8の実施例の歩行ロボットの構成を示す略線的斜視図である。
【図33】第8の実施例の座り姿勢を採ったときの脚機構の位置を示す略線的左側面図である。
【図34】第8の実施例の伏臥姿勢を採ったときの脚機構の位置を示す略線的左側面図である。
【図35】第9の実施例のロボットが横に寝る姿勢の例を示す略線的正面図である。
【図36】第9の実施例においてロボットの右前脚肘部、右後脚肘部及び本体の一部を接地させた状態を示す略線的正面図である。
【図37】第9の実施例においてロボットの左後脚先端部と本体の一部を接地させ、ロボット本体を支持することにより左前脚を自由に動かせるような状態を略線的に示す図である。
【図38】第10の実施例のロボットが立っている状態を略線的に示す図である。
【図39】第10の実施例においてロボットの転倒を引き起こす状態を略線的に示す正面図である。
【図40】第11の実施例においてロボットが右側に転倒する際に発生するモーメントを説明するための略線的斜視図である。
【図41】ロボットが横に寝ている状態を示す略線的斜視図である。
【図42】ロボットが4脚で立っている状態から、右方向への転倒を伴わずに本体の一部Dを接地させる手順を示す略線的斜視図である。
【図43】第12の実施例においてロボットが本体の一部Dを接地させた際に、右前後脚先端部をどの位置に接地させればロボットが安定した状態に保持されるかを示す略線的斜視図である。
【図44】ロボットが状態遷移をする過程で右側の前後脚の先端部及び肘部を使用し、片側の足のみで状態遷移を行っている状態を示す略線的斜視図である。
【図45】4脚接地の状態から右前後脚のみで接地している状態への状態遷移の例を示す略線的斜視図である。
【図46】ロボットが右前後脚の先端部と肘部を接地させ、その接地部がなす多角形内に重心の投影点を保持している状態を示す略線的斜視図である。
【図47】ロボットの脚を接地せず胴体の一部を接地するだけで、接地点からなる多角形の内部にロボットの重心の投射点を維持できる第13の実施例を示す略線的斜視図である。
【図48】ロボットが立っている状態から本体の胴部のみで接地を行う状態を経由して示す横に寝ている状態へ状態遷移を行う例を略線的に示す図である。
【図49】ロボットの本体の胴部を接地して作業を行うに当たり作業位置に脚の長さが足りない場合の例を略線的に示す正面図である。
【図50】ロボットが立っている状態から、ロボットの本体の一部が接地した状態に遷移した状態を示す第14の実施例の略線的斜視図である。
【図51】特殊形状の本体を持つロボットが立っている状態からロボットが本体の一部と片側の前後脚を接地して、反対側の前後脚を作業に使用する状態への状態遷移を略線的に示す平面図である。
【図52】ロボットの脚に摩擦係数の高い部分と低い部分を意図的に作成し、接地する箇所をそれぞれ使い分けることによって脚接地部分の移動をスムーズに行う第15の実施例を略線的に示す側面図である。
【図53】昆虫型ロボットの動作の説明に供する略線的斜視図である。
【符号の説明】
12〜15,50〜52,59,60,64〜67 脚機構、8,18,20,23,25,28,30,33,35,68〜75 脚リンク、21,26,31,36 下端部、9,17,19,22,24,27,29,32,34,37,39,61,62 アクチュエータ付き関節、10,58,63 歩行ロボット、11 胴体、11A 前フレーム、11B 右フレーム、11C 左フレーム、11D 後フレーム、16 首頭機構、38 首部、40 頭部、41重心、42 地平面、43 胴体下面最後部、44,48,56,57 交点、45,46,47,53 支持領域、49 ロボット、54 歩行ロボット、55 補助脚
Claims (10)
- それぞれ本体部に接続されて当該本体部を支持する複数の脚部を有し、上記脚部をそれぞれ所定タイミングで所定状態に動かすことによって移動するロボット装置において、
所定の上記脚部を使用して作業するとき、当該所定の脚部以外の全部又は一部の上記脚部の上記移動のときには接地しない部位及び上記本体部の所定部位が接地するように姿勢を制御する制御手段を具えることを特徴とするロボット装置。 - 上記制御手段は、上記作業のとき、上記所定の脚部以外の全部又は一部の上記脚部の状態を制御して当該全部又は一部の脚部の接地位置を移動し、当該接地位置と上記所定部位の接地位置とを頂点として形成される第1の支持領域に重心の鉛直線を入れ、上記本体部を上昇させるとき、上記第1の支持領域を形成した上記脚部の状態を制御して当該脚部の接地位置を移動し、当該接地位置と上記所定部位の接地位置とを頂点として形成される第2の支持領域から上記鉛直線を外すことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
- 上記制御手段は、上記本体部を上昇させるとき、複数の脚部相互間の動作順序を時間的にずらして制御して、当該複数の脚部をそれぞれの所定位置に接地することを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
- 上記所定の脚部以外の上記脚部が、接地面と直交する方向に平行な軸の回りに回動することを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
- 上記所定の脚部以外の全部又は一部の上記脚部は、複数のリンクと、それぞれ対応する2つの上記リンク間を屈曲自在に連結する関節部とをもつリンク機構であり、少なくとも1つの上記リンクは、上記作業において上記本体部を上記リンク機構によって上昇させるとき、回転モーメントが一端側及び他端側よりそれぞれ与えられ、上記制御手段は、上記上昇させるとき、上記リンク機構の状態を制御して、上記一端側及び他端側に同一回転方向の回転モーメントを与えることができる位置に当該リンク機構を接地させることを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
- 上記所定の脚部以外の全部又は一部の上記脚部は、複数のリンクと、それぞれ対応する2つの上記リンク間を屈曲自在に連結する関節部とをもつリンク機構であり、上記本体部に接続された上記関節部の回動の限界角度は、上記リンクを介して当該関節部に接続された上記関節部を上記本体部より上方に配置することができるように設定されることを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
- 上記制御手段は、上記上昇させるとき、上記所定の脚部を接地して上記本体部を支持した後に、上記第1の支持領域を形成した上記脚部の状態を制御することを特徴とする請求項2に記載のロボット装置。
- 上記制御手段は、上記作業に使用する上記リンク機構によって上記本体部を接地面に対して所定角度に傾斜させた後に、当該リンク機構以外の上記リンク機構の状態を制御することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のロボット装置。
- 上記本体部に接続された上記関節部を上記本体部が接地面に近接した状態で上記接地面より所定高さに維持する高さ維持手段を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のロボット装置。
- それぞれ本体部に接続されて当該本体部を支持する複数の脚部を有し、上記脚部をそれぞれ所定タイミングで所定状態に動かすことによって移動するロボット装置の制御方法において、
所定の上記脚部を使用して作業するとき、当該所定の脚部以外の全部又は一部の上記脚部の上記移動のときには接地しない部位及び上記本体部の所定部位が接地するように姿勢を制御することを特徴とするロボット装置の制御方法。
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