JP3954824B2 - 携帯式刈払機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、携帯式刈払機に関する。
【従来技術】
図1は、一般的な携帯式刈払機2を示す。図1に示すように、後端に設けられた内燃機関4と、先端に回転軸6を中心として回転自在に設けられた刈刃8と、前記内燃機関4と前記刈刃8との間に真っ直ぐに延びる操作桿10と、該操作桿10の中間部分に設けられたハンドル部12と、を有する。前記操作桿10の中には、後端部16aが前記内燃機関4のクランクシャフト14に、また、前端部16bが前記刈刃8の前記回転軸6に駆動上連結された伝動軸16が挿通されている。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
このような前記携帯式刈払機2は、前記内燃機関4の前記クランクシャフト14の回転が、前記伝動軸16を介して前記刈刃8の前記回転軸6に伝達され、前記刈刃8が回転駆動される。この際、前記内燃機関4の中低速回転領域における前記内燃機関4のトルク変動や、前記伝動軸16とクランクシャフト14との間に介装されている遠心クラッチ20のクラッチイン直後の不安定性により、また、刈っている草などによって前記刈刃8に回転抵抗が与えられ、前記伝動軸16を収容している前記操作桿10にねじり振動が生じる。この振動が、前記ハンドル部12に伝わり、作業者に不快感を与える。
そこで、本発明は、上記のねじり振動の発生を抑制し、振動の少ない携帯式刈払機を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、内燃機関のクランクシャフトから回転軸を中心として回転する刈刃へ回転を伝達する伝達経路にワンウェイクラッチを介在せしめてなる携帯式刈払機によって達成することができる。
本発明の携帯式刈払機においては、前記伝達経路に前記ワンウェイクラッチが介在されているので、該ワンウェイクラッチが、前記内燃機関の前記クランクシャフトによる回転だけを伝達し、前記刈刃側からの回転抵抗による反対方向の力は伝達しない。
本発明によれば、ねじり振動の発生が防止されるので、前記携帯式刈払機の振動が防止され、使用中に不快感を与えない携帯式刈払機を提供することができる。
【0004】
本発明の実施形態においては、前記クランクシャフトと前記回転軸との間に位置してそれらを駆動上連結する伝動軸を有し、前記内燃機関は前記クランクシャフトの回転を前記伝動軸に伝達する内燃機関用クラッチを有し、該内燃機関用クラッチは前記伝動軸側に設けられたクラッチドラムを有し、前記ワンウェイクラッチは前記クラッチドラムと前記伝動軸との間に介在されている。
【0005】
また、別の実施形態においては、前記クラッチドラムはその回転中心から前方に延びる受入部を有し、該受入部の中に前記伝動軸の後端部がスリーブ部材を介して受け入れられている。
更に別の実施形態においては、前記ワンウェイクラッチが前記回転軸と前記刈刃との間に介在されている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明にかかる携帯式刈払機の種々の実施の形態について説明する。
第一実施形態にかかる携帯式刈払機2は、図1に示す一般的な携帯式刈払機2の構造を有し、小型空冷式2サイクル又は4サイクルガソリンエンジンである内燃機関4のクランクシャフト14から、回転軸6を中心として回転する刈刃8へ回転を伝達する伝達経路に、ねじり振動を防止するために小形のローラー形ワンウェイクラッチ18が介在されている。より詳細には、図1に示すように、後端に設けられた内燃機関4と、先端に前記回転軸6を中心として回転自在に設けられた前記刈刃8と、前記内燃機関4と前記刈刃8との間に真っ直ぐに延びる操作桿10と、該操作桿10の中間部分に設けられたU字形のハンドル部12と、を有する。前記操作桿10の中には、前記内燃機関4の前記クランクシャフト14と前記刈刃8の前記回転軸6との間に位置し、かつ、これらを駆動上連結する、軽量化及び振動低減のために中空とされた鋼製の伝動軸16が収容されている。より詳細には、該伝動軸16の後端部16aは、前記内燃機関4の前記クランクシャフト14に内燃機関用クラッチ20を介して、また、前端部16bは、前記刈刃8の前記回転軸6に駆動上連結されている。前記構造は、下記の第一実施形態乃至第三実施形態において共通している。
【0007】
図2は、第一実施形態にかかる携帯式刈払機の構造を示す概略図である。また、図3は、第一実施形態にかかる携帯式刈払機の後部を示す部分詳細図である。
【0008】
図2に示すように、第一実施形態にかかる携帯式刈払機2においては、振動防止用の前記ワンウェイクラッチ18が、前記伝動軸16と前記遠心クラッチ20との間に介在されている。前記伝動軸16は、前記刈刃8の前記回転軸6に対して、一対の傘歯車22を介して連結されている。該傘歯車22の一方が前記伝動軸16の前記前端部16bに取付けられ、他方が前記刈刃8の前記回転軸6に取付けられている。
【0009】
図3を参照しつつ、前記携帯式刈払機2の構造について、より詳細に説明すると、後に詳細に説明するが、前記遠心クラッチ20は、前記内燃機関4の前記クランクシャフト14によって回転されるクラッチアーム24と、該クラッチアーム24の先端に設けられたシュー26と、該シュー26が摩擦係合することによって一体的に回転するクラッチドラム28と、を有する。該クラッチドラム28には、その回転中心Oから前方に延び、かつ、前記伝動軸16に向かって開口するカップ状の受入部30が一体に設けられている。該受入部30は、前記携帯式刈払機2の前記内燃機関4を収容する本体のハウジング32に対して、軸受34を介して回転自在に支持されている。前記受入部30の中には、圧入された円筒状の前記ワンウェイクラッチ18を介して、前記伝動軸16の前記後端部16aが一体的に受け入れられている。前記ワンウェイクラッチ18と前記伝動軸16の前記後端部16aとの間には、内周面にスプラインを形成したスリーブ部材36が圧入により一体的に設けられている。
【0010】
前記ワンウェイクラッチ18は、図示しないが、その構造について概略的に説明すると、内周面にカム面が形成された円筒状の外輪と、その内側に設けられた円筒状の軸部と、前記外輪と前記軸部との間に介在され、かつ、前記カム面上を走行する複数のころと、を有する。前記外輪が前記軸部に対して反時計回り方向に回転しようとすると、前記ころは、前記外輪の前記カム面の噛み合い位置に移動し、回転が伝達される。一方、前記外輪が軸部に対して、時計回り方向に回転すると、前記軸部は前記外輪に対して相対的に反時計回り方向に回転し、前記ころは、前記カム面から離れ、前記外輪が前記軸部に対して空転するようになっている。
【0011】
前記スリーブ部材36は、前記伝動軸16の前記後端部16aと前記ワンウェイクラッチ18との間の隙間をうめ、前記伝動軸16の前記後端部16aを前記ワンウェイクラッチ18に対して固定し、また、摩耗した場合に取替え可能にするために設けられている。前記ワンウェイクラッチ18によって、前記クランクシャフト14の回転は、前記伝動軸16に伝達されるが、反対方向の回転は伝達されない。
【0012】
第一実施形態にかかる携帯式刈払機2は、以下の通り作動する。
前記内燃機関4が始動されると、前記内燃機関4の前記クランクシャフト14が回転し、その回転によって、前記クラッチアーム24が回転され、遠心力によって外方へ揺動し、先端に設けられた前記シュー26が前記クラッチドラム28の内壁面に摩擦係合する。これによって前記クラッチドラム28が回転される。該クラッチドラム28の回転は、前記ワンウェイクラッチ18を介して前記伝動軸16に伝され、該伝達軸16の回転が、前記一対の傘歯車22および前記回転軸6を介して伝達され、前記刈刃8が回転駆動される。
【0013】
一方、該刈刃8が前記クランクシャフト14の回転に追従しなかったり、また、草によって前記刈刃8に与えられる抵抗で前記刈刃8側からの回転抵抗が生じる場合がある。これによる回転力は、前記クランクシャフト14による前記伝動軸16の回転方向とは反対方向に働く。この反対方向の回転は、前記伝動軸16の前記後端部16aに設けられた前記ワンウェイクラッチ18のすべりによって断たれ、逆方向からの回転が前記伝達経路内で伝達されることがない。
【0014】
図4は、第二実施形態を示す、図3と同様な図である。
重複説明を回避するため、第一実施形態と同じ部分については、同じ符号で示し、説明は省略する。以下、異なる点について説明する。
【0015】
第二実施形態においては、前記クラッチドラム28の回転中心Oから前方に軸部38が延びている。該軸部38は、前記ハウジング32に対して軸受40によって回転自在に支持されている。前記伝動軸16と前記軸部38とは、同軸上、かつ、互いに隣接して配置されており、これらは連結部材42によって連結されている。該連結部材42の前端部には、前記伝動軸16の後端部16aを受け入れる前方受入部42aが、また、後端部には、前記軸部38を受け入れる後方受入部42bが設けられている。前記前方受入部42aの内周面と前記伝動軸16の前記後端部16aの外周面には、それぞれ、スプラインが形成されており、前記伝動軸16の前記後端部16aと前記前方受入部42aとは、互いにスプライン係合して連結されている。前記後方受入部42bには、前記軸部38がワンウェイクラッチ18を介して受け入れられている。該ワンウェイクラッチ18は円筒状であり、前記軸部38と前記連結部材42とに圧入されている。
【0016】
前記第二実施形態にかかる携帯式刈払機2は、前記第一実施形態にかかるものと同様に作動し、前記刈刃8の回転抵抗によって前記伝動軸16に対して働く逆方向の回転が、前記クラッチドラム28の近傍に設けられた前記ワンウェイクラッチ18によって断たれ、逆方向からの回転が前記伝達経路内で伝達されない。
図5は、第三実施形態にかかる携帯式刈払機を示し、その前端部を示す詳細断面図である。
【0017】
重複説明を回避するため、第一および第二実施形態と同じ部分については、同じ符号で示し、説明は省略する。以下、異なる点について説明する。
第三実施形態においては、ワンウェイクラッチ18が前記刈刃8の近傍に設けられている点で、前記第一および第二実施形態とは異なる。第三実施形態においては、前記刈刃8と、それを回転させるための前記回転軸6との間に、前記ワンウェイクラッチ18が介在されている。より詳細には、円筒状の前記ワンウェイクラッチ18が、前記回転軸6の周りに取付けられており、更に、前記ワンウェイクラッチ18の周りに前記刈刃8を取付けるための受座金44が設けられ、該受座金44に対して、押え座金45を螺着して前記刈刃8が挟持状に取付けられている。
【0018】
前記第三実施形態にかかる携帯式刈払機2は、前記第一および第二実施形態にかかるものと同様に作動し、前記刈刃8の回転抵抗によって前記伝動軸16に対して働く逆方向の回転が、前記刈刃8近傍に設けられた前記ワンウェイクラッチ18によって断たれ、逆方向からの回転が前記伝達経路内で伝達されない。
【0019】
前記第一乃至第三実施形態によれば、前記刈刃8の回転抵抗によって前記伝動軸16に対して働く、前記クランクシャフト14による回転方向とは反対方向の回転が、前記ワンウェイクラッチ18によって断たれ、逆方向からの回転が前記伝達経路内で伝達されないので、前記伝動軸16にねじり振動が生じるのが防止される。したがって、前記操作桿10や前記ハンドル部12に振動が生じにくく、作業者に不快感を与えない。特に、前記内燃機関4の中低速回転領域において、前記内燃機関4のトルク変動、前記内燃機関用の前記遠心クラッチのクラッチイン直後の不安定性などにより、また、前記刈刃8によって草などを刈る際の回転抵抗により、前記伝動軸16を収容する前記操作桿10にねじり振動が生じ易いが、前記第一乃至第三形態にかかる携帯用刈払機においては、これを効果的に防止することができ、クラッチインから全開運転の全範囲において、滑らかな加速フィーリングを得ることができる。
【0020】
図2および図3に示す、前記第一実施形態においては、前記伝動軸16が前記ワンウェイクラッチ18に前記スリーブ部材36を介して互いに連結されており、摩耗した場合に取替え可能になっているので、保守の点で利便性が高い。また、これによって、前記ワンウェイクラッチ18の内径と前記伝動軸16の後端部16aとの間の隙間を埋めるので、前記内燃機関4の出力に合わせて前記ワンウェイクラッチ18を選択し、その内径が異なったとしても、前記受入部30の寸法を変更する必要がなく、前記スリーブ部材36の寸法によって調節することができ、設計変更が容易である。
【0021】
また、図4に示す、前記第二実施形態における前記クラッチドラム28と、該クラッチドラム28に取付けられた前記軸部38は、通常の携帯式刈払機2において一般的な構造である。したがって、前記第二実施形態によれば、前記携帯式刈払機2の構造に大きな変更を要することなく、既存の構造を利用して前記ワンウェイクラッチ18を取付けることができる。
【0022】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、前記ワンウェイクラッチ18は、前記刈刃8と前記内燃機関4の前記クランクシャフト14との間の前記伝達経路において、いかなる部分に位置させてもよく、例えば、前記伝動軸16の中間部分に介在させてもよい。
また、前記第一実施形態において、前記受入部30と前記ワンウェイクラッチ18との間に隙間がなければ、必ずしも前記スリーブ部材36を介在させる必要はない。
【発明の効果】
本発明によれば、ねじり振動の発生が防止されるので、前記携帯式刈払機の振動が防止され、使用中に不快感を与えない携帯式刈払機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態にかかる携帯式刈払機の全体を示す斜視図である。
【図2】第一実施形態にかかる携帯式刈払機の構造を示す概略図である。
【図3】第一実施形態にかかる携帯式刈払機の後部を示す部分詳細図である。
【図4】第二実施形態を示す、図3と同様な図である。
【図5】第三実施形態にかかる携帯式刈払機を示し、その前端部を示す詳細断面図である。
【符号の説明】
4 内燃機関
6 回転軸
8 刈刃
14 クランクシャフト
16 伝動軸
16a 後端部
18 ワンウェイクラッチ
20 内燃機関用クラッチ(遠心クラッチ)
28 クラッチドラム
30 受入部
36 スリーブ部材
O クラッチドラムの回転中心
Claims (2)
- 内燃機関(4)のクランクシャフト(14)から、回転伝達経路を介して、回転軸(6)を中心として回転する刈刃(8)へ回転を伝達するようになった携帯式刈払機であって、
前記クランクシャフト(14)と前記回転軸(6)との間に位置してそれらを駆動上連結する伝動軸(16)と、前記内燃機関(4)に設けられた、前記クランクシャフト(14)の回転を前記伝動軸(16)に伝達する内燃機関用クラッチ(20)と、該内燃機関用クラッチ(20)の前記伝動軸(16)側に設けられたクラッチドラム(28)と、前記クラッチドラム(28)と前記伝動軸(16)との間に介在された、クラッチイン時に前記回転伝達経路にねじり振動が生じるのを防止するためのワンウェイクラッチ(18)とを有し、
前記クラッチドラム(28)はその回転中心(O)から前方に延びる受入部(30)を有し、該受入部(30)の中に前記伝動軸(16)の後端部(16a)がスリーブ部材(36)を介して受け入れられており、該スリーブ部材(36)は前記ワンウェイクラッチ(18)の内径と前記伝動軸(16)の前記後端部(16a)との間の隙間を埋める、ことを特徴とする携帯式刈払機。 - 前記回転軸(6)と前記刈刃(8)との間に、刈取り中、前記刈刃(8)側から与えられる回転抵抗によって前記回転伝達経路にねじり振動が生じるのを防止するためのワンウェイクラッチ(18)が介在されており、該ワンウェイクラッチ(18)は、前記クランクシャフト(14)による回転方向においては回転を前記刈刃(8)に伝達し、また、前記回転方向とは反対方向の回転については、すべりにより前記回転伝達経路に伝達しない、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯式刈払機。
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