JP3953702B2 - 車種判別システム、及びコンピュータシステムに車両の車種判別を行なわせるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体 - Google Patents
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Description
【関連する技術分野】
この発明は、例えば、有料道路自動料金収受システムを円滑に運営するために、予め車両の課金車種区分を判別するための車種判別システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有料道路等の通行料金の方式として、いわゆる有料道路自動料金収受システム(以下「ETCシステム」(ETC:Electric Toll Collection)と略す)の導入が推進されている。ETCシステムは、車両が有料道路の料金収受ゲートを通過する際に、双方向の無線通信を用いることで、通行料金の支払に必要な情報を車両から受け取るシステムである。このETCシステムによれば、現在の料金収受システムと異なり、料金収受の目的で車両を一旦停止させる必要がない。このため、有料道路の料金所渋滞の問題を解消でき、また、複雑な有料道路入口/出口路を建設する必要がない等の種々の利点があり注目を集めている。
【0003】
このETCシステムでは、車載機に、料金収受に必要な支払者側の属性情報、すなわち、支払者を特定するための情報及び車両の情報をインストールする必要がある。
【0004】
すなわち、図4は、ノンストップ有料道路料金収受システムの料金収受形態を説明するためのイメージ図である。車載機41を搭載した車両42が料金所43を通過する際、通過ゲート44手前に設置された路側機45と車載機41との間で双方向無線通信を行ない、車載機41に格納された車両情報及びICカード46に格納された利用者情報に基いて利用料金の決済を行なうように構成されている。
【0005】
ここで、日本の有料道路における課金システムにおいては、車両の種類(小型車両、大型車両等)によって通行料金が大きく異なる。このため、車載機41には、予めこの車載機41が取り付けられた車両42の種類に関する情報(課金基礎情報)が格納されていると共に、通過ゲート44の手前には車両の種類を判別するためのセンサ47が設けられている。このセンサ47により判断された車両の種類と前記車載機41側から送信された情報とが一致しない場合には、前記通過ゲート44が開かず、車両42は通行できないようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、日本の有料道路システムでは、有料道路事業者によって、料金課金区分が大きく異なる。例えば、首都高速道路では課金区分は「普通車」と「大型車」の2区分であるのに対して、東名高速道路の課金区分は5区分である。また、いずれの料金区分に属するかの判断基準は利用者にとって必ずしも明らかではなく、料金所での各有料道路事業者の目視による独自の判断基準によって決定されているのが現状である。
【0007】
これに対してノンストップ自動料金システムにおいては、いずれの有料道路を走行した場合でも、各有料道路に設置された路側機側で迅速かつ正確な車種判断が行えるような情報が車載機にセットされている必要がある。
【0008】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、例えば有料道路自動料金収受システムを円滑に運営するために、当該車両の車種を統一的に判別し、その判別結果を車載機に発行することのできる車種判別システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決する手段】
上記目的を達成するため、この発明の第1の主要な観点によれば、公共性若しくは信頼性の高い機関に設置され、車種判別を統一した管理の下で集中的に行う車種判別システムであって、車両に搭載される車載機のセットアップ者から当該車両の個車情報の入力を受け付ける個車情報受付部と、所定の整合性判断モデルに基づいて、前記入力された個車情報の入力漏れ、入力ミス、法令違反などの整合性を判断する整合性判断部と、前記整合性判別部により前記個車情報が整合していない判断された場合に、入力インタフェースを通して車種判断に必要な付加情報の入力を受け付ける付加情報入力受付部と、入力ミスが補正され、又は付加情報が付加された前記個車情報に所定の車種判別モデルを適用し、当該車両が所定の車種区分のうちのいずれに属するかを判別する車種判別部と、前記セットアップ者に対して車種判別結果を発行する車種判別結果発行部とを有することを特徴とする車種判別システムが提供される。
【0010】
このような車種判別システムは、例えば、公共性若しくは信頼性の高い機関に設置された場合、ノンストップ自動料金収受システムにおける車種判断を統一した管理の下で集中的に行うことができる。
【0011】
この発明に先立ち、発明者らは、上記の車種判別業務を本格的に展開した後の運用結果を把握する目的で、モニタ公募による実態調査を行った。それによれば、例えば、普通特殊車両で最大積載量の記載がなく、車検証からは乗用か貨物か判断できなかった等の件数は、交通量調査データにより得た全体交通量の0.05パーセントであった。この数値は、実際の車種判別においては約2000件に1回の割合で現車確認の必要性が生じることを意味している。
【0012】
また、モニタの結果によれば、車検証の記載漏れ、軸重記載数の矛盾等により車種判別が不可能な場合や誤った結果に導かれてしまうものも多数見受けられた。さらに、車社会の変化は激しく、新しい緒元を有する車両の出現や、将来の法令の改正や道路事業者の車種区分改訂も懸念される。さらに、車両の情報(個車情報)を入力する者は、車検証や法令に精通している者のみであるとは考えられず、人手に頼った場合、入力ミスによる車種の誤判別も相当程度生じるものと考えられる。
【0013】
これに対し、この発明のシステムによれば、コンピュータ資源により構成可能であり、まず、整合性チェックを行ってから、車種を判別するようにしたから、車種のご判別の発生を効果的に抑制できる。なお、ここでいう整合性チェックとは、個車情報の入力ミスや、入力漏れ等の検出も含むものである。
【0014】
また、この発明の1の実施形態によれば、このシステムは、個車情報の入力インタフェースを入力者端末装置に表示させるための入力インタフェース表示手段と、前記整合性判別部により前記個車情報が整合していないと判断された場合に、前記入力インタフェースを通して利用者に通知する通知手段とを有する。
【0015】
このような構成によれば、整合性チェックの結果、整合していないと判断された場合にも、付加情報を追加して再チェックを行うことができ、この結果、迅速な車種判別を行える。
【0016】
1の実施形態によれば、この車種判別システムの個車情報受付部は、車両の画像を受け付ける画像入力手段を有する。この場合、前記整合性判断部により前記個車情報が整合していないと判断された際に、前記車両の画像を付加情報として前記車種判別部に転送する画像転送部を有することが望ましい。
【0017】
このような構成によれば、車両の画像に基いて、正確な車種判断を行なうことが可能になる。
【0018】
1の実施形態によれば、この車種判別システムの個車情報受付部は、前記車両に関して所定の道路事業者が発行した証明書を受け付ける証明書入力手段を有する。この場合、前記整合性判断部により前記個車情報が整合していないと判断された場合に、前記証明書を付加情報として前記車種判別部に転送する証明書送部を有することが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、道路事業者によって発行された証明書に基いて正確な車種判断を行なうことが可能になる。
【0020】
1の実施形態によれば、この車種判別システムは、整合性判断モデルを修正する修正部を有する。
【0021】
このような構成によれば、法令の変更、過去の整合性判断に基いて適宜整合性判断モデルを修正することができるから、車種判別のフレキシブルな運用が可能になる。
【0022】
1の実施形態によれば、この車種判別システムは、複数の有料道路において当該車両の課金区分を判断するのに役立つ車種区分を判別するものであり、前記車種判別モデルは、いずれの有料道路事業者の課金区分にも変換可能な車種区分を有するものである。この場合、前記車種判別部は、前記個車情報に基づいて当該車両の基本軸数及び牽引有無の判別を行うことが好ましい。
【0023】
また、1の実施形態によれば、このシステムは、車載機の製造者に対してセットアップ用暗号鍵を発行しておくセットアップ用暗号鍵発行部を有し、前記車種判別結果発行部は、車種判別結果を、前記セットアップ用暗号鍵と共にセットアップ者に対して発行するものであることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、当該車両の車種を統一的に判別し、その判別結果を車載機に発行することで、有料道路自動料金収受システムを円滑に運営することができる。
【0025】
また、この発明の第2の主要な観点によれば、公共性若しくは信頼性の高い機関に設置される、コンピュータシステムに、車両の車種判別を統一した管理の下で集中的に行なわせるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、前記コンピュータシステムによって、車両に搭載される車載機のセットアップ者から当該車両の個車情報の入力を受け付ける個車情報受付部と、前記コンピュータシステムに対して、所定の整合性判断モデルに基づいて前記入力された個車情報の入力漏れ、入力ミス、法令違反などの整合性を判断させる指令を与える整合性判断部と、前記整合性判断部により前記個車情報が整合していないと判断された場合に、前記コンピュータシステムによって、入力インタフェースを通して車種判断に必要な付加情報の入力を受け付ける付加情報入力受付部と、前記コンピュータシステムに対して、入力ミスが補正され、又は付加情報が付加された個車情報に所定の車種判別モデルを適用し当該車両が所定の車種区分のうちのいずれに属するかを判別させる指令を与える車種判別部と、前記コンピュータシステムによって、前記セットアップ者に対して車種判別結果を発行する車種判別結果発行部とを格納することを特徴とする車両の車種判別を行なわせるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体が提供される。
【0026】
このような構成によれば、コンピュータ資源を制御することで、まず、整合性チェックを行ってから、車種を判別するようにしたから、車種のご判別の発生を効果的に抑制できる。なお、この記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムは、前述した車種判別システムの特徴を全て含むことが可能である。
【0027】
この発明のその他の特徴と顕著な効果は、次の発明の実施の形態の項と添付した図面とによって、より明確に理解される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0029】
この実施形態は、この発明の車種判別システムを有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)の車載機のセットアップを実行するための情報発行システムに適用した例である。
【0030】
図1は車載機のセットアップ手順を示す説明図、図2はこの情報発行システムの概略構成図、図3は車種判別システムを示す概略構成図である。
【0031】
図1に示すように、この情報発行システム1は、公的機関若しくは事務統括機関としての管理センタ2に設置される。このシステム1は、車載機3を製造する車載機製造者4、有料道路の利用者5(若しくはセットアップ者)とオンライン又はオフラインで接続可能に構成されている。この実施形態では、前記システム1から利用者5に対する情報の発行は、セットアップ用ICカード6を介してオフラインで行なわれるようになっている。
【0032】
図2に示すように、このシステム1は、車載機製造者4から車載機固有の車載機製造ID(及びセットアップ用鍵発行依頼)を受け取って車載機製造ID格納部10に格納する車載機製造ID受取部11と、車載機製造IDに基いてセットアップ用暗号鍵(車載機鍵及びICカード鍵)を生成しセットアップ用鍵格納部12に格納するセットアップ用鍵生成部13と、セットアップ用鍵のうち車載機鍵を車載機製造者3に発行しICカード鍵をセットアップ用ICカード6に発行するセットアップ用鍵発行部14と、利用者から個車情報(車検証情報)を受け取る個車情報受取部15と、個者情報を整合性判断モデル24に適用して個車情報の整合性を判断する整合性判断部25と、この整合性判断部25で整合していると判断された個車情報を車種判別モデル16に適用して利用者の車両の車種コード(課金基礎情報)を判別し車種コード格納部17に格納する車種判別部18と、前記車載機製造IDに基いてゲート通過時の車載機3と路側機間の通信用鍵(及びその他の鍵)を生成するゲート通過時通信用鍵を生成しゲート通過時通信用鍵格納部19に格納するゲート通過時通信用鍵生成部20と、前記車種コード及び前記通信用鍵を、前記セットアップ用ICカード鍵と同時に前記セットアップ用ICカード6に発行(格納)する車種コード・ゲート通信用鍵発行部21とを有する。
【0033】
また、図3は、この発明の要部である前記整合性判断部25及び前記車種判別部18を含む車種判別システムをさらに詳しく説明するための概略構成図である。
【0034】
この図に示すように、前記整合性判断部25には、整合性がないと判断された場合に入力者に通知するための通知部31と、車種判別を行なうための付加情報を受け付ける付加情報受付部32と、前記整合性判断モデル24を修正するための整合性判断モデル修正部33とが接続されている。また、前記付加情報受付部31は、付加情報として現車の画像を受け付ける画像受付部34と、例えば道路事業者35が作成した車種に関する証明書を受け付ける証明書受付部36とを有する。
【0035】
これらの通知、付加情報及び整合性判断モデル修正等の受付は、図に37で示す入力インタフェース表示部が入力者(管理センタのオペレータ)に対して所定の入力インタフェースを提示することによって行なわれるようになっている。
【0036】
また、前記車種判別部18には、前記車種判別モデル16を修正するための車種判別モデル修正部38が接続されている。この車種判別モデル修正部38は、例えば道路事業者35からの課金区分体系の変更の通知に基いて車種判別モデル16を適宜修正するためのものである。
【0037】
以上説明した構成要素11〜21、24〜25、31〜38は、実際には、前記管理センタ2に設置されたサーバ装置にコンピュータプログラムを構成するコンポーネントとして格納され、CPUによりRAM等に呼び出されて実行されることで上記各機能を実行するように構成されている。また、各情報の発行は、カードリードライタ等の出力装置を介して受取側の記憶媒体に適した形で行なわれるように構成されている。
【0038】
以下、このシステム1の動作について、図1を参照して説明する。なお、この図のS1〜S13は、処理順序を示す符号である。
【0039】
まず、車載機製造者4は、車載機3を製造する際に、この車載機3の製造IDと共に前記管理センタ2の情報発行システム1に対してセットアップ用暗号鍵の生成を要求する(ステップS1)。車載機製造IDは、車載機3に固有の番号であり、例えば、製造者IDと製造番号とを組み合わせて作られる。
【0040】
情報発行システム1は、車載機製造ID受取部11で車載機製造IDを受け取って車載機製造ID格納部10に登録する。そして、セットアップ用暗号鍵生成部13は、この車載機製造IDを、所定の暗号鍵生成アルゴリズムに適用することで、セットアップ用暗号鍵としての車載機鍵及びICカード鍵を生成する(ステップS2)。この車載機鍵及びICカード鍵は前記車載機製造IDに関連付けられて前記セットアップ用鍵格納部12に格納する。このうちセットアップ用車載機鍵を、前記セットアップ用暗号鍵発行部14によって前記車載機製造者4に送信する(ステップS3)。
【0041】
車載機製造者4は、このセットアップ用車載機鍵を車載機3に搭載するセキュリティ機能(例えばセキュリティアクセスチップ)に記憶させた後、この車載機3を利用者5に販売する(ステップS4)。この車載機3は、車両に搭載される前であるから、車両の情報や利用者の情報等の課金基礎情報(属性情報)は一切インストールされていない。
【0042】
利用者5は、購入した車載機3を自己の車検済み車両に固定すると共に、この車両の個車情報を前記車載機製造IDと共に前記管理センタ2の情報発行システム1に送信する(ステップS5)。情報発行システム1は、個車情報受取部15で個車情報を受け取る。
【0043】
そして、前記整合性判断部25は、この個車情報を前記整合性判断モデル24に適用して、個車情報の入力漏れ、入力ミス、法令違反などの整合性を確認した後、判断済みデータを車種判別部18に送る。車種判別部18は、受け取った個さ情報を車種判別モデル16に適用することで、利用者の車両の課金車種コードを判別する(ステップS6)。
【0044】
ここで、この整合性判断部25、車種判別部18による詳しい処理を図3を参照して説明する。
【0045】
まず、前記個車情報の受け付けは、前記入力インタフェース表示部37を通して行なう。例えば、この入力インタフェース表示部37は、前記個車情報入力用の入力フォームをオペレータに対して提示し、例えば、車検証に基いて前記個車情報の入力を行なわせる。
【0046】
整合性判断部25は、このインタフェースを通して入力された個車情報を整合性判断モデル24に適用し整合性を判断する。この整合性判断モデル24は、車検証記載ミスを発見するためのチェック手順、車種判別のために付加情報が必要であるかを判断するためのチェック手順及び、当該個車情報が法令に整合しているかの判断を行なうためのチェック手順が格納されている。
【0047】
この整合性判断部25により、車検証に記載ミスがある、付加情報が必要、法令に不整合であると判断された場合には、前記通知部31によって前記入力インタフェース表示部37を通してオペレータにそのことが通知される。また、前記付加情報受付部32により、前記入力インタフェース表示部37を通して現車の画像若しくは有料道路事業者35によって発行された何らかの証明書が受け付けられる。
【0048】
すなわち、オペレータは、前記通知部31の通知によって、個車情報に入力ミスがあるか、付加情報が必要であるかを判断し、それに応じた対応を採ることが可能になる。なお、この一連の処理の結果、前記整合性判断モデル24を修正する必要が生じた場合には、前記整合性判断モデル修正部33を通じて修正するようにする。
【0049】
入力ミスが補正され、又は付加情報が付加された個車情報は、ついで、前記車種判別部18に送られ、前記車種判別モデル16に基いて車種の判別が実行される。具体的には、前記個車情報について、発行者(運輸局であるか軽自動車検査協会等)、種別(普通、小型、大特、軽自動車)、用途(乗用、貨物、乗合、特種)、乗員定数、最大積載量、車両総重量、軸数、長さ、形式、5軸有無、連結装置の記載、車両の形状(トラクタ、キャブオーバートラック)、牽引フラグの有無、軸数の順で振り分け判断を行ない、最終的に自家用か、事業用かによって車種コードを決定する。この結果各車両は、例えば64種類(二輪車を入れると68種類)の車種コードに振り分けられる。前記車種判別モデル16には、このような判別ステップが格納されている。
【0050】
なお、この車種判別モデル16は、例えば有料道路事業者からの情報に基いて、前記車種判別モデル修正部38によって適宜補正されるようになっている。このことにより、各有料道路事業者の更新された課金区分判断基準などが集積され、前記判別モデル16に反映されるようになっている。
【0051】
この車種判別部18によって出力された車種コード、牽引フラグの有無及び軸数は、前記前記車種コード・ゲート通信用鍵発行部21(図2)に転送される。
【0052】
一方、前記情報発行システム1は、図1に示すように、前記車載機製造IDに基き、前記ゲート通過時通信用鍵生成部20で車載機3と路側機との間の無線通信時に使用される暗号鍵を生成する(ステップS8)。この通信用鍵は、前記通信用鍵格納部19に格納される。
【0053】
ついで、この情報発行システム1は、前記車種コード・ゲート通信用鍵発行部21から、前記車種コード及び通信鍵を前記セットアップ用ICカード6に発行する(ステップS7,ステップS9)。また、前記セットアップ用鍵発行部14は、前記セットアップ用暗号鍵格納部12からICカード鍵を取り出し、セットアップ用ICカード6に発行する(ステップS10)。このセットアップ用ICカード6への各種情報の発行は、前述したように出力装置としてのカードリードライタによってなされるようになっている。
【0054】
ついで、このセットアップ用ICカード6は、例えば、郵送によって利用者5(又はセットアップ者)に届けられる(ステップS11)。
【0055】
利用者5は、このセットアップ用ICカード6を車載機3のカードリーダに挿入することで、このセットアップ用ICカード6と車載機3の間で前記セットアップ用暗号鍵(車載機鍵、ICカード鍵)を用いた認証を行なわせ、ICカード6内の車種コードその他の情報(属性情報)を転送する。このことで、車載機3のセットアップが終了する(ステップS12)。
【0056】
なお、上記工程中、前記車載機鍵及びICカード鍵は、前記情報発行システム1のシステム秘密鍵で署名され暗号化された状態で供給されるようになっている。車載機3及びセットアップ用ICカード6は、システムの公開鍵(若しくは秘密鍵)及び乱数を利用することで相互認証を行ない、お互いが管理センタ2によって認証された機器であることを確認した上で情報を転送するように構成されている。このための署名・暗号化は、図2に示す暗号/複号処理部23で実行されるようになっている。
【0057】
また、車載機製造者4に供給される情報は、例えば、車載機製造者4の公開鍵で暗号化された状態で供給されるように構成されている。この暗号化も、前記暗号/複号処理部23で実行されるようになっていることが好ましい。
【0058】
以上説明した構成によれば、公共性若しくは信頼性の高い機関で、有料道路の自動料金収受システムにおける課金のための車種判断を統一した管理の下で集中的に行うことができる。
【0059】
また、この車種判別システムによれば、まず、整合性チェックを行ってから、車種を判別するようにしたから、オペレータが法令や車検証に精通していなくても、車種の誤判別の発生が効果的に抑制できる。
【0060】
車種の誤判定は、ETCシステムの円滑な運用を妨げるものであるが、このシステムによれば、大量の車種判別を処理した場合であっても、誤判別の発生ほとんど生じない。なお、平成10年10月現在で全国の保有車両数は約7,400万台であり、ETCシステムの本格運用を開始した場合における本発明に係るシステムの効果はきわめて大きいものと推測される。
【0061】
また、上記システムによれば、車種コードを車載機にセットアップする際に使用するセットアップ用暗号鍵が、1つ1つ異なるユニーク情報(車載機製造ID)に基いて生成されるので、セキュリティの高いセットアップを行なうことができる。また、この情報発行システムが、信頼性の高い例えば公的機関に設置されることによってセットアップセキュリティの統一管理が行なえる効果がある。
【0062】
なお、この発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0063】
例えば、上記一実施形態では、前記整合性判断部25及び整合性判断モデル24は、管理センタ1に設けられていたが、例えば、セットアップ者5側に端末若しくはソフトウエアとして提供されていても良い。この場合、例えば、前記整合性判断部25を実行するソフトウエアのみを、インターネットを介してセットアップ者5に送りブラウザ上で実行させるようにしても良い。
【0064】
また、前記一実施形態では、セットアップ用鍵の生成(ステップS2)とゲート通信用鍵の生成(ステップS8)は、異なる工程で行なっていたが、前記ステップS2で同じに生成するようにしても良い。この場合、鍵の生成手順を簡略できる効果がある。
【0065】
また、上記一実施形態では、セットアップ用ICカード6は利用者5(セットアップ者)に郵送されるようになっていたが、利用者5(セットアップ者)に設置されたカードリードライタにより、利用者5(セットアップ者)側で用意したセットアップ用ICカードに支払者の属性情報(車種コード)等を格納するようにしても良い。また、オンライン接続によって直接車載機3と情報発行システム1との間で認証を行ない前記属性情報を転送するようにしても良い。
【0066】
さらに、前記セットアップ用ICカードは、有料道路通行料金決済用(その他目的の決済用)のクレジットカードを兼ねていても良い。この場合、例えば、前記車種コード、ゲート用通信鍵及びセットアップ用ICカード鍵の発行は、クレジットカード会社に対して行なわれ、このクレジット会社で利用者の決済情報と共にそれらの情報を格納するようにする。この場合には、クレジットカード会社に発行する情報は、セキュリティ確保上、例えばクレジットカード会社の公開鍵で暗号化して発行されることが好ましい。
【0067】
また、上記一実施形態では、車載機の製造IDに基いてセットアップ用ICカード鍵を生成し、セットアップ者から通知された前記車載機製造IDに基いて前記ICカード鍵を検索しICカード側に発行するようになっているが、これに限定されるものではない。例えば、セットアップ者には、製造IDとは異なるユニーク記号のみが分かるようにして、この製造IDとは異なるユニーク記号に基いてICカード鍵を検索するようにしても良い。このような構成によれば、セットアップ用暗号鍵の生成元データ(製造ID)がセットアップ者側に知られないようにすることが可能になる。
【0068】
また、これとは別の方法として、前記製造ID自体を情報発行システム側のシステム暗号鍵で暗号化しておき、セットアップ者から受け取った後複号化するようにしても、セキュリティ確保上有効である。
【0069】
また、前記一実施形態では、第1のユニーク情報として、車載機製造IDを利用していたが、これに限定されるものではない。例えば、車載機鍵がインストールされるセキュリティチップモジュールの製造者が採番する固有のチップIDであっても良い。この場合、セットアップ用の車載機鍵は、セキュリティチップモジュールの製造者に対して発行されて格納され、車載機の製造者は、このモジュールを購入して車載機に取り付けるようにすれば良い。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、公共性若しくは信頼性の高い機関で、有料道路の自動料金収受システムにおける課金のための車種判断を統一した管理の下で集中的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の情報発行システムによる処理手順を説明するための図。
【図2】同じく、情報発行システムの概略構成図。
【図3】同じく、他の実施形態を示す図。
【図4】ETCシステムの料金収受イメージ図。
【符号の説明】
1…情報発行システム
2…管理センタ
3…車載機
4…車載機製造者
5…利用者
6…ICカード
10…車載機製造ID格納部
11…車載機製造ID受取部
12…セットアップ用暗号鍵格納部
13…セットアップ用暗号鍵生成部
14…セットアップ用暗号鍵発行部
15…個車情報受取部
16…車種判別モデル
17…車種コード格納部
18…車種判別部
19…ゲート通過時通信用鍵格納部
20…ゲート通過時通信用鍵生成部
21…車種コード・ゲート通信用鍵発行部
23…暗号/複号処理部
24…整合性判断モデル
25…整合性判断部
31…通知部
32…付加情報受付部
33…整合性判断モデル修正部
34…画像受付部
35…道路事業者
36…証明書受付部
37…車種判別モデル修正部
38…車種判別モデル修正部
41…車載機
42…車両
43…料金所
44…通過ゲート
45…路側機
46…ICカード
47…センサ
Claims (11)
- 公共性若しくは信頼性の高い機関に設置され、車種判別を統一した管理の下で集中的に行う車種判別システムであって、
車両に搭載される車載機のセットアップ者から当該車両の個車情報の入力を受け付ける個車情報受付部と、
所定の整合性判断モデルに基づいて、前記入力された個車情報の入力漏れ、入力ミス、法令違反などの整合性を判断する整合性判断部と、
前記整合性判断部により前記個車情報が整合していないと判断された場合に、入力インタフェースを通して車種判断に必要な付加情報の入力を受け付ける付加情報入力受付部と、
入力ミスが補正され、又は付加情報が付加された個車情報に所定の車種判別モデルを適用し、当該車両が所定の車種区分のうちのいずれに属するかを判別する車種判別部と、
前記セットアップ者に対して車種判別結果を発行する車種判別結果発行部と
を有することを特徴とする車種判別システム。 - 請求項1記載の車種判別システムにおいて、
個車情報の入力インタフェースを入力者側に表示させるための入力インタフェース表示手段と、
前記整合性判別部により前記個車情報が整合していないと判断された場合に、前記入力インタフェースを通して利用者に通知する通知手段と、
を有することを特徴とする車種判別システム。 - 請求項1記載の車種判別システムにおいて、
前記個車情報受付部は、車両の画像を受け付ける画像入力手段を有することを特徴とする車種判別システム。 - 請求項3記載の車種判別システムにおいて、
前記整合性判断部により前記個車情報が整合していないと判断された場合に、前記車両の画像を付加情報として前記車種判別部に転送する画像転送部を有することを特徴とする車種判別システム。 - 請求項1記載の車種判別システムにおいて、
前記個車情報受付部は、前記車両に関して所定の道路事業者が発行した証明書を受け付ける証明書入力手段を有することを特徴とする車種判別システム。 - 請求項5記載の車種判別システムにおいて、
前記整合性判断部により前記個車情報が整合していないと判断された場合に、前記証明書を付加情報として前記車種判別部に転送する証明書転送部を有することを特徴とする車種判別システム。 - 請求項1記載の車種判別システムにおいて、
整合性判断モデルを修正する修正部を有する車種判別システム。 - 請求項1記載の車種判別システムにおいて、
この車種判別システムは、複数の有料道路において当該車両の課金区分を判断するのに役立つ車種区分を判別するものであり、
前記車種判別モデルは、いずれの有料道路事業者の課金区分にも変換可能な車種区分を有する
ものであることを特徴とする車種判別システム。 - 請求項8記載の車種判別システムにおいて、
前記車種判別部は、前記個車情報に基づいて当該車両の基本軸数及び牽引有無の判別を行うことを特徴とする車種判別システム。 - 請求項1記載の車種判別システムにおいて、
このシステムは、車載機の製造者に対してセットアップ用暗号鍵を発行しておくセットアップ用暗号鍵発行部を有し、
前記車種判別結果発行部は、車種判別結果を、前記セットアップ用暗号鍵と共にセットアップ者に対して発行するものである
ことを特徴とする車種判別システム。 - 公共性若しくは信頼性の高い機関に設置されるコンピュータシステムに、車両の車種判別を統一した管理の下で集中的に行なわせるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記コンピュータシステムによって、車両に搭載される車載機のセットアップ者から当該車両の個車情報の入力を受け付ける個車情報受付部と、
前記コンピュータシステムに対して、所定の整合性判断モデルに基づいて前記入力された個車情報の入力漏れ、入力ミス、法令違反などの整合性を判断させる指令を与える整合性判断部と、
前記整合性判断部により前記個車情報が整合していないと判断された場合に、前記コンピュータシステムによって、入力インタフェースを通して車種判断に必要な付加情報の入力を受け付ける付加情報入力受付部と、
前記コンピュータシステムに対して、入力ミスが補正され、又は付加情報が付加された個車情報に所定の車種判別モデルを適用し当該車両が所定の車種区分のうちのいずれに属するかを判別させる指令を与える車種判別部と、
前記コンピュータシステムによって、前記セットアップ者に対して車種判別結果を発行する車種判別結果発行部と
を格納することを特徴とする車両の車種判別を行なわせるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体。
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