JP3951377B2 - 下向き自動溶接機の走行装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は横置きされた板同士の突き合わせ溶接に用いる下向き自動溶接機の走行装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブロックの平面の突き合わせ溶接に用いる従来の下向き自動溶接機の走行装置としては、図4及び図5に示す如く、ブロックを構成する板1と2の突き合わせ溶接部の開先3を跨ぐようにして走行するよう前後左右に走行用車輪5を有する走行台車4に溶接機6を搭載して自走しながら溶接して行けるようにした自動溶接機Iを構成し、該自動溶接機Iの溶接トーチ7を開先3に対し直角方向より位置させるように固定して装備しており、且つ一方の板1上の開先3近傍位置に、該開先3と平行にガイドレール8を設置して、該ガイドレール8に沿い転動するころ9を走行台車4の前側と後側にブラケット10を介してそれぞれ取り付け、走行台車4が上記ころ9を介しガイドレール8に沿い自走しながら開先3を下向き突き合わせ溶接するようにしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の下向き自動溶接機の走行装置の場合には、突き合わせ溶接する2枚の板1,2のうち、一方の板1の上面に、自動溶接機Iの走行のガイドとなるレール8を開先3に沿って設置する構成上、ガイドレール8が不可欠であると共に、溶接前のガイドレール8の設置という作業が必要であり、又、板1と2の突き合わせ溶接線が長いときは、より多くのガイドレール8を予め用意しておくことが必要であり、ガイドレール8の移動も大変であった。又、開先3に沿いガイドレール8が設置されているが、開先3の精度が悪くて開先3の変化があるところでは、溶接トーチ7の位置が変化する問題もある。
【0004】
そこで、本発明は、上記従来方式の如き専用のガイドレールの使用をなくして溶接の狙い位置を容易に決めることができるようにする自動溶接機の走行装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、走行台車上に溶接機を搭載して溶接線に沿って自走しながら溶接できるようにしてある自動溶接機を溶接線に沿いガイドさせて走行させるようにする走行装置において、上記自動溶接機の走行台車の前側の左右いずれか一方へ寄った位置に、前方へ張り出すように支持プレートを取り付けて、該支持プレートに、開先のいずれか一方のエッジに外周面を開先の上方から斜め下向きに接触させて該エッジに沿い転動できるような姿勢としたころを取り付けると共に、上記走行台車の後側の上記前側支持プレートの位置とは反対寄りの位置に、後方へ張り出すように支持プレートを取り付けて、該支持プレートに、上記前側のころが接する開先のエッジに外周面を開先の上方から斜め下向きに接触させて該エッジに沿い転動できるような姿勢としたころを取り付け、上記走行台車が斜め前向き姿勢で開先に沿い走行するときに前後の各ころの外周面が上記開先の一方のエッジに接しているようにし、又、走行台車の前側と後側の各支持プレートに、開先内を倣わすようにしたころを、それぞれ板ばねを介して取り付け、該各ころが上下に変位できるようにした構成とする。
【0006】
走行台車を走行させると、前側と後側の各斜めのころが開先の片方のエッジに接しており、又、各垂直のころが開先に倣らされるようになっているので、走行台車は斜め前向きの姿勢で開先の上を走行することになり、この走行台車の姿勢により斜めのころが開先のエッジに常に接するようになる。したがって、該開先のエッジがレールとして使用され、専用のガイドレールを設置することなく溶接の狙い位置を決めることができることになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0008】
図1乃至図3は本発明の実施の一形態を示すもので、図4及び図5に示すように自動溶接機Iを構成する走行台車4の前端面の右寄りの位置に、前方へ水平方向に張り出すように支持プレート11aを設置すると共に、該走行台車4の後端面の左寄りの位置に、支持プレート11bを後方へ張り出して設置し、前側の支持プレート11aと後側の支持プレート11bが走行台車4の対角位置となるようにする。
【0009】
前側の支持プレート11aには、下面にブラケット12aを設けて、水平状態の板1と2の突き合わせ溶接部の開先3の片側エッジ3aに沿い転動するように外周面をV溝状にしたころ13aをブラケット12aに、エッジ3aに外周面が開先3の上方から斜め下向きに接触させられて該エッジ3aに沿い転動できるように斜め(開先3の上方から板1の表面に対する鉛直面に対して開先3側に約30度の角度)の姿勢で回転自在に取付ける。又、上記支持プレート11aには、板ばね14aを開先3と平行に取り付けて、該板ばね14aの先端部分の下面に、開先3内を倣わすようにするころ15aをブラケット16aを介して垂直に取り付ける。
【0010】
一方、後側の支持プレート11bにも、同様に開先3のエッジ3aに沿い転動するように外周面をV溝状にしたころ13bをブラケット12bを介して取り付け、又、支持プレート11bに板ばね14bを取り付けて、該板ばね14bに別のころ15aをブラケット16bを介して垂直に取り付け、走行台車4を開先3に対して平面的に見て斜め前向きの姿勢で走行するようにする。
【0011】
上記走行台車4上には、溶接機6を搭載してあり、該溶接機6の溶接トーチ7を、後方に張り出したアーム17に傾動可能に支持させ、溶接トーチ7を開先3上方に位置させるようにする。
【0012】
なお、図4と同一のものには同一符号が付してある。
【0013】
今、水平状態に置かれ板1と2の突き合わせ溶接を行う場合には、開先3を跨ぐように走行台車4をセットした後、前側と後側の各ころ13a,13bを開先3の片側のエッジ3a上に載せて、該開先3のエッジ3aをレール代りとして使用するようにし、別のころ15aと15bは各々開先3の内側に位置させるようにする。
【0014】
上記の状態において、溶接機6を運転して溶接トーチ7により開先3を溶接しながら走行台車4を走行させて、開先3を全長にわたって溶接するようにする。
【0015】
この際、自動溶接機Iを構成する走行台車4は、直前方へ移動しようとするが、該走行台車4の前後両側部に互いに位置を左右へずらして2つずつのころ13a,15aと13b,15bが取り付けてあって、開先3に倣わすようにしてあり、且つそのうち、ころ13aと13bが開先3のエッジ3aに沿い転動するように該エッジ3aに、外周面を開先3の上方から板1の表面に対する鉛直面に対して開先3側に約30度の角度で斜め下向きになるように接触させてあるので、走行台車4は斜め前向き姿勢で開先3に沿い走行することになり、この走行台車4が斜め前向き姿勢で開先3上を走行することに伴いころ13a,13bは常に開先3のエッジ3aに押し付けられて接するようになり、該エッジ3aがガイドレールとして機能させられることになる。これにより従来方式の如き専用のガイドレールを設置してガイドさせることなく、溶接の狙い位置を決めることができる。又、同時に別のころ15a,15bは、板ばね14a,14bを介して取り付けてあって、開先3内を転動するようにしてあるため、該ころ15a,15bの転動面に段差があっても板ばね14a,14bで吸収できて上記ころ13aと13bが開先3のエッジ3aから外れるようなことはない。
【0016】
なお、走行台車4の車体下面に磁石を埋め込んで設置することができる。このようにすれば、板1,2への吸着力が走行中にも生じて自動溶接機の走行を安定させることができる。
【0017】
なお、上記実施の形態では走行台車4の前面右寄りの位置に支持プレート11aを取り付けて、開先3の左側のエッジ3aにころ13aが斜めから接するようにし、又、走行台車4の後面左寄りの位置に支持プレート11bを取り付けて、開先3の左側のエッジ3aにころ13bが斜めから接するようにして、走行台車4が左斜め前向きの姿勢で開先3に沿い走行できるようにした場合を示したが、走行台車4の前面左寄りの位置に支持プレート11aを取り付けて、ころ13aを開先3の右側のエッジ3bに斜めから接するようにし、又、走行台車4の後面右寄りの位置に支持プレート11bを取り付けて、ころ13bを開先3の右側のエッジ3bに斜めから接するようにして、走行台車4が右斜め前向きの姿勢で開先3に沿い走行できるようにしてもよく、又、支持プレート11a,11bに板ばね14a,14bを介してころ15a,15bを取り付けて開先3に倣わすようにした場合を示しているが、前記ころ13a,13bが開先3のエッジ3aに接して溶接の狙い位置を決めるようにしてあることから、上記ころ15a,15bは省略することもできること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【0018】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の下向き自動溶接機の走行装置によれば、走行台車上に溶接機を搭載してなる自動溶接機の前側の左右いずれか一方へ寄った位置に、前方へ張り出す支持プレートを取り付けて、該支持プレートに、開先の片側のエッジに外周面を開先の上方から斜め下向きに接触させて該エッジに沿い転動できるような姿勢としたころを取付け支持させ、又、上記支持プレートに板ばねを取り付けて、開先内を転動するようにしたころを板ばねに垂直状態に支持させて開先を倣わすようにし、一方、自動溶接機の後側にも前側とは逆の方向に寄った位置に、後方へ張り出す支持プレートを取り付けて、該支持プレートに、上記ころが接する開先のエッジと同じ側のエッジに外周面を開先の上方から斜め下向きに接触させて該エッジに沿い転動できるような姿勢としたころと、開先内を転動するころとを前側と同様に支持させ、開先のエッジをレールとして自動溶接機が溶接線に対して斜めの姿勢で走行するようにした構成としてあるので、自動溶接機が斜め前向きの姿勢で開先に沿い走行することから前後両側の斜めのころが常に開先のエッジに押し付けられて接しているような力を受けることができて、該開先のエッジをレールとして溶接の狙い位置を決めることができ、これにより自動溶接機の走行をガイドさせるための専用のガイドレールを開先に沿って設置する必要をなくすことができて、専用のガイドレールの設置等の段取に要する時間の節約と労力の削減を図ることができ、又、開先内を転動するようにしてあるころは、板ばねを介して上下方向へ変位できるようにしてあることから、開先内に段差があっても板ばねで動きを吸収できて、開先のエッジに接しているころが該エッジから外れることを防止できる、等の効果を奏し得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の下向き自動溶接機の走行装置を示す概略斜視図である。
【図2】図1の概略側面図である。
【図3】図1の概略平面図である。
【図4】従来の自動溶接機の走行装置を示す概略側面図である。
【図5】図4のA方向よりの概略図である。
【符号の説明】
I 自動溶接機
1 板
2 板
3 開先
3a,3b エッジ
4 走行台車
6 溶接機
7 溶接トーチ
11a,11b 支持プレート
13a,13b ころ
14a,14b 板ばね
15a,15b ころ
Claims (2)
- 走行台車上に溶接機を搭載して溶接線に沿って自走しながら溶接できるようにしてある自動溶接機を溶接線に沿いガイドさせて走行させるようにする走行装置において、上記自動溶接機の走行台車の前側の左右いずれか一方へ寄った位置に、前方へ張り出すように支持プレートを取り付けて、該支持プレートに、開先のいずれか一方のエッジに外周面を開先の上方から斜め下向きに接触させて該エッジに沿い転動できるような姿勢としたころを取り付けると共に、上記走行台車の後側の上記前側支持プレートの位置とは反対寄りの位置に、後方へ張り出すように支持プレートを取り付けて、該支持プレートに、上記前側のころが接する開先のエッジに外周面を開先の上方から斜め下向きに接触させて該エッジに沿い転動できるような姿勢としたころを取り付け、上記走行台車が斜め前向き姿勢で開先に沿い走行するときに前後の各ころの外周面が上記開先の一方のエッジに接しているようにしたことを特徴とする下向き自動溶接機の走行装置。
- 走行台車の前側と後側の各支持プレートに、開先内を倣わすようにしたころを、それぞれ板ばねを介して取り付け、該各ころが上下に変位できるようにした請求項1記載の下向き自動溶接機の走行装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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1997
- 1997-08-20 JP JP23784597A patent/JP3951377B2/ja not_active Expired - Fee Related
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