JP3950954B2 - 太陽電池部分冷却装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池の効率を向上させるために冷却する太陽電池冷却装置に関し、特に太陽電池の部分的な冷却により出力を向上させるばかりでなく、日射条件に合わせて太陽電池素子の発電能力低下を抑制、制御を行うことができ、しかも太陽電池による発電量より多くの電力を得ることができるようにした太陽電池部分冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より太陽電池は広く用いられており、その基本構成は図4に代表的に示される。同図において太陽電池30はp型半導体素子31とn型半導体素子32から構成され、太陽光33を受光して電力供給部34に発電電力を供給することができるようにしている。
【0003】
このような太陽電池において、その発電力は温度上昇と共に能力が低下するため多くの場合冷却装置を備えており、例えば図4に示すように、太陽電池を構成する素子の裏面に空洞部材35を密着させ、その内部に水や空気を流通させて冷却を行っていた。その冷却に際しては、常に一定の冷却媒体を流通させることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
太陽電池の冷却に際しては上記のような手段を採用していたため、その装置は簡単となるものの、太陽電池を構成する素子の裏面全体を冷却するため、各種付属装置を含めて装置全体を冷却することとなり、多量のエネルギーを必要とする欠点がある。
【0005】
また、全体の熱容量が大きくなるため、特に冷却媒体の温度制御を行わない装置の場合には、最初に設定した太陽光の受光条件と異なっている際には適切な太陽電池の温度を維持することができず、発電効率を十分に確保することができない。
【0006】
一方、上記のような太陽電池の冷却に際して、内部を流通する流体の温度、流量等を制御することにより太陽電池の温度を所定値に維持することも考えられるが、上記のように全体の熱容量が大きい場合には細かな温度制御を行うことができず、実際の太陽電池素子の温度に追従するまでの時間は太陽電池素子にとって発電効率の低い状態で発電を行わざるを得ず、日射条件に適合した適切な発電を行うことができない問題があった。
【0007】
しかも冷却用媒体を循環させるための設備及び動力を必要とする等、その装置は大がかりなものとなり、全体として高価なものとならざるを得ないという問題もある。
【0008】
また従来の太陽電池の冷却装置においては、上記のようにして太陽電池の冷却により温度の上昇した冷却水については、例えば給湯設備等に供給し、有効利用することが考えられているが、その利用範囲は限られたものとなり、且つ効率の悪いものとならざるを得ない。
【0009】
したがって本発明は、太陽電池素子の温度の変化に追従して速やかに冷却能力を調節し、常に太陽電池を所定の温度に維持することにより太陽電池の発電効率を向上させることができるとともに、冷却時に生じたエネルギーを容易に、且つ効率的に利用することができるようにした太陽電池部分冷却装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、太陽電池発電素子の裏面の一部に熱電作用を行う熱電用半導体素子の一端部を結合し、前記熱電用半導体素子の裏面の他端部を、前記太陽電池発電素子の他の一部と熱的結合または電気的結合を行い、前記太陽電池発電素子の前記一部または前記他の一部を冷却する太陽電池発電素子の部分冷却手段を備え、前記太陽電池発電素子自体の発電作用と、前記熱電用半導体素子による発電を行うことを特徴とする太陽電池部分冷却装置としたものである。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、前記熱電用半導体素子の前記一端部に冷却装置を結合し、前記他端部を前記太陽電池発電素子の他の一部と熱的に結合したことを特徴とする請求項1記載の太陽電池部分冷却装置としたものである。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、前記熱電用半導体素子の前記他端部と、前記太陽電池発電素子の他の一部を共通の冷却装置を接続したことを特徴とする請求項1記載の太陽電池部分冷却装置としたものである。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、前記熱電用半導体素子の前記一端部に冷却装置を結合し、前記太陽電池発電素子の他の一部に他の熱電用半導体素子を結合し、両熱電用半導体素子を電気的に結合したことを特徴とする請求項1記載の太陽電池部分冷却装置としたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明の基本的な原理に基づく構成を示す概要図であり、全体として太陽電池としての機能を行う太陽電池1は、表面2が太陽熱3の受光部となっているp型半導体素子4と、その裏面に接合したn型半導体素子5によって太陽電池発電素子部6が構成されており、+側リード線7と−側リード線8により前記太陽電池発電素子部6で発電を行った電力を外部に供給することができるようにしている。
【0016】
このような太陽電池発電素子部6において、太陽光の受光により素子部全体の温度が上昇するが、この装置においてはn型半導体素子5の図中右側に示される第1端部9側の裏面にp型の熱電用半導体素子10の図中上端面11を固定しており、この熱電用半導体素子10に対して冷却装置12を接続し、この冷却装置12によって前記熱電用半導体素子10を冷却し、太陽電池発電素子部6の裏面の一部のみを冷却するようにしている。なお、この冷却装置12は特定の手段に特定されず、種々の冷却手段を採用することができ、この冷却装置によって太陽電池発電素子部6の発電部分を、ほぼ所定の温度に維持することができるようにしている。
【0017】
一方、前記太陽電池発電素子部6におけるn型半導体素子5の、前記第1端部9の反対側に位置する第2端部13には、ヒートシンク14の一端部15が接続され、このヒートシンク14の他端部16は前記熱電用半導体素子10の図中下端部17に接続している。
【0018】
上記のような各素子の配列、及びヒートシンクの配置によって、太陽電池発電素子部6の表面2で太陽光3を受光して温度上昇した太陽電池発電素子部6は、n型半導体素子5の前記第1端部9において冷却装置12によって冷却され、発電作用部分の温度が所定温度を維持されており、それに対して、n型半導体素子5の第2端部13はこのような冷却作用の影響が少ないので、前記第1端部9より温度が高くなっている。
【0019】
一方、ヒートシンク14によってその温度は熱電用半導体素子10の下端面17に伝わり、この下端面17は前記第端部13とほぼ同一温度となり、それによりこの熱電用半導体素子10は上端部11が低温で下端面17が高温の状態になり、両端面部分で温度差を生じる。
【0020】
このように太陽電池発電素子部6のn型半導体素子5とその裏面の熱電用半導体素子10の間において、前記−側リード線8を接続する第1電極20部分が高温部となり、n型半導体素子5の第1端部及び熱電用半導体素子10の上端部11が低温部、熱電用半導体素子10の下端部17の第2電極21部分が高温部となり、それにより、第1電極20と第2電極21間にペルチェ効果によって電位差が生じ、第1電極20側が+、第2電極21側が−となる。
【0021】
このようなペルチェ効果による発電は、前記太陽電池によって発生する電位よりも大きな電位差を得ることが可能であり、太陽電池発電素子自体の熱電作用も利用することができる。前記第1電極20に接続している−側リード線8に抵抗2を挿入し、この値を外部から調整することにより太陽電池発電素子部6における太陽光吸収面の温度を調整することができ、同時に太陽光受光部と熱電用半導体素子10の図中下端部間で発生する発電出力を制御することができる。
【0022】
上記のような構成により、太陽電池発電素子6の一部を冷却するのみで太陽電池の発電性能を維持することができ、簡単で小型の装置によって冷却が可能である。しかもその制御も容易であり、且つ応答性も良い。
【0023】
本発明は上記基本構成の他、更に種々の態様で実施することができ、例えば図2に示す例においては、前記図1のヒートシンク14の部分を冷却装置24とする事によっても実施できる。この場合は前記第1電極20部分と第2電極21部分が低温部となり、第1電極20の低温部分によって太陽電池発電素子部6の一部の冷却作用を行い、一方、n型半導体素子5と熱電用半導体素子10の接続部分が高温部となり、前記と同様のペルチェ効果によって上記部分で熱発電を行うことができる。この例においても、抵抗2の調節により所定の発電、及び冷却の調整を行うことができる。
【0024】
更に例えば図3に示すように、太陽電池発電素子部6のn型半導体素子5の第1端部9に前記と同様の熱電用半導体素子25を設け、この部分に冷却装置28を接続して太陽光吸収面を所定温度に冷却している。一方、n型半導体素子5の第2端部13側には他の熱電用半導体素子2を接続し、それらの裏面を互いにリード線27で電気的に接続する。このような構成によっても、両熱電用半導体素子25、2によって熱発電を行い、その発電電力を太陽電池発電の発電電力と共に取り出すことができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上記構成により、太陽電池の一部に熱電用半導体素子を附加し、この部分を冷却をすることで、太陽電池の他の部分との温度差により熱発電を行い、また、太陽電池発電素子自体の熱電作用も含め、太陽電池による発電電力以上の発電が可能となり、効率よい太陽電池とすることができる。また、その装置は簡単な構造で良いため設備費が少なく、手軽にこの装置を使用することができる。また、太陽電池の性能維持と制御、及び熱回収の両方を行うことができ、極めて利用性の良い装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の全体概要の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施例の全体概要の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施例の全体概要の構成を示す断面図である。
【図4】従来装置の全体概要の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 太陽電池
3 太陽光
4 p型半導体素子
5 n型半導体素子
6 太陽電池発電素子部
9 第1端部
10 熱電用半導体素子
11 上端面
12 冷却装置
13 第2端部
14 ヒートシンク
15 一端部
16 他端部
17 下端面
20 第1電極
21 第2電極
23 抵抗

Claims (4)

  1. 太陽電池発電素子の裏面の一部に熱電作用を行う熱電用半導体素子の一端部を結合し、
    前記熱電用半導体素子の他端部を、前記太陽電池発電素子の裏面の他の一部と熱的結合または電気的結合を行い、
    前記太陽電池発電素子の前記一部または前記他の一部を冷却する太陽電池発電素子の部分冷却手段を備え、
    前記太陽電池発電素子自体の発電作用と、前記熱電用半導体素子による発電を行うことを特徴とする太陽電池部分冷却装置。
  2. 前記熱電用半導体素子の前記一端部に冷却装置を結合し、
    前記他端部を前記太陽電池発電素子の他の一部と熱的に結合したことを特徴とする請求項1記載の太陽電池部分冷却装置。
  3. 前記熱電用半導体素子の前記他端部と、前記太陽電池発電素子の他の一部を共通の冷却装置を接続したことを特徴とする請求項1記載の太陽電池部分冷却装置。
  4. 前記熱電用半導体素子の前記一端部に冷却装置を結合し、
    前記太陽電池発電素子の他の一部に他の熱電用半導体素子を結合し、両熱電用半導体素子を電気的に結合したことを特徴とする請求項1記載の太陽電池部分冷却装置。
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