JP3950740B2 - Cdma方式の無線基地局及び送信電力制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CDMA方式の移動体通信での基地局における下り信号の送信電力制御に関し、特に、移動局がハンドオーバ状態の場合に、通信品質を劣化させることなく下り信号の送信電力制御を行うCDMA方式の無線基地局及び送信電力制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動体通信における通信方式の一つとして、符号分割多元接続(CDMA)が用いられている。
【0003】
CDMA方式の移動体通信においては、複数の移動局が同一周波数の電波を使用して基地局と通信を行うことができる。このため、移動局と基地局との距離に関わらず一定の送信電力で電波を送受信すると、基地局に近い移動局は使用できるが基地局から遠い移動局は使用できないという、「遠近問題」が発生する。
【0004】
遠近問題を解決するために、CDMA方式の移動体通信では、基地局/移動局の双方において、希望波受信電力と干渉波受信電力の比率、すなわち希望波/干渉波比(受信SIR:Signal Interference Ratio )を一定に保つように、相手局に対して送信電力の強度の上げ下げを要求する。
例えば移動局は、基地局から受信した電波の強度を監視しており、受信した電波が所定の強度よりも強ければ、基地局に送信電力を下げるように要求し、受信した電波が所定の強度よりも弱ければ、基地局に送信電力を上げるように要求する。
これにより、基地局から各移動局に到達する電波の強度が概ね一定に保たれるため、基地局からの距離にかかわらず通信を行うことができる。換言すると、移動局は、基地局セルの領域内で基地局に近づいたり遠ざかったりしても、常に一定の受信品質を保つことができる。
【0005】
また、移動体通信においては、隣接するセルに移動した通信中の移動局が使用する基地局を、自動的に切り換えて通信を継続させる(ハンドオーバ)必要がある。CDMA方式の移動体通信では、ハンドオーバの際にスムーズに基地局の切替を行うために、隣接する基地局に同じ周波数の電波を割り当てている。
このため、CDMA方式の移動局は、ハンドオーバの際に、複数の基地局と同時に電波を送受信することになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図8は、移動局が、基地局Aと基地局Bとの両方に接続されているハンドオーバ状態の一例を示している。ハンドオーバ時においても、移動局は、基地局に対して送信電力制御を要求する情報を上り信号Cに含めて送信する。このため、基地局A及び基地局Bは、同じ信号(上り信号C)に含まれる送信電力制御要求を受信することとなる。換言すると、基地局A及び基地局Bは、移動局から送出された同一の送信電力制御要求に基づいて、下り信号A又は下り信号Bの送信電力をそれぞれ制御する。
【0007】
図8のように、移動局と基地局Aとの距離、及び、移動局と基地局Bとの距離がおおむね等しい場合は、それぞれの基地局から移動局への下り信号の送信電力がほぼ同じとなるため、各基地局が同一の送信電力要求に基づいて送信電力を制御しても支障はない。
しかし、図9のように、移動局と基地局Aとの距離、及び、移動局と基地局Bとの距離が異なる場合は、各基地局が同一の送信電力制御要求に基づいて送信電力を制御すると、良好なハンドオーバ状態とならない。
【0008】
例えば、基地局Bに近づいた移動局が、下り信号の送信電力を上げる要求を含めて上り信号Cを送信すると、基地局Bからの下り信号Bがより一層強くなってしまい、良好なハンドオーバ状態とはならない。
【0009】
逆に、基地局Bに近づいた移動局が、下り信号の送信電力を下げる要求を含めて上り信号Cを送信すると、移動局は、基地局Bとは良好な通信状態を維持できる。しかし、基地局Aは、移動局との距離が離れているにも関わらず下り信号Aの送信電力を下げるため、移動局側において下り信号Aの受信強度が低下してしまい、やはり良好なハンドオーバ状態とならない。
さらに、移動局が基地局Bに近づいた状態で基地局Aが下り信号Aの送信電力を下げてしまうと、ハンドオーバ状態が解除されてしまうことがある。
【0010】
また、基地局セルの境界の位置は、干渉反射などの影響によって変動するため、移動局が少々移動しただけでも切り戻る(移動局が送信電力制御を要求する対象となる基地局がA→B→Aのように変化する)ことがある。
この時、上記送信電力制御によってハンドオーバ状態が解除されていると、ネットワークを介したハンドオーバ再接続動作を再び実行しなければならず、その間に通信が切断されてしまう可能性がある。
【0011】
特開平9−312609号公報の「CDMA移動通信システムにおける送信電力制御方法およびCDMA移動通信システム」には、移動局のSIR算出部、送信電力制御ビット決定部、送信電力ビット抽出部、送信電力ビット選択部及び送信電力制御部を備えた移動局と、送信電力制御ビット抽出部、送信電力制御部、SIR算出部及び送信電力ビット決定部とを備えた基地局とで構成されたCDMA移動通信システムが開示されている。
【0012】
このシステムは、基地局側において受信SIRが所定の基準値以下となった場合には移動局からの指示情報を無視し、基地局が独自の送信電力制御(送信電力を一定に保つか、所定の値分下げるか、又は、所定の値分上げる)を行うことによって、ハンドオーバ中における通信品質の劣化の防止を計っている。
【0013】
しかしながら、上記公報に開示される発明において、基地局は、移動局がハンドオーバ状態にあるか否かを判断する手段を備えていないため、常に上記処理を行っていた。
このため、移動局がハンドオーバ状態になく、かつ、通信が良好に行われている場合は無駄な動作を行うことになり、基地局を制御するための処理量が不必要に増加してしまう。また、本来ならば、送信電力制御情報に基づいて下り信号の送信電力を下げるべきであるのにも関わらず、独自の送信電力制御を行って送信電力を維持又は増加させてしまうと、他の移動局に対する下り信号へノイズを与える原因となる。
【0014】
さらに、フェージングなどの影響で受信SIRが一時的に所定の基準値以下となった場合にも上記動作が行われてしまい、フェージングなどによる受信SIRの低下が解消された直後に通信品質が劣化してしまうことがある。
例えば、フェージングの影響で一時的に受信SIRが低下した場合は、次のような問題が考えられる。
▲1▼送信電力を上げる制御を行うと、フェージングの影響がなくなった時に送信電力が強すぎる状態となってしまう。
▲2▼送信電力を下げるや送信を停止する制御を行うと、他の基地局との通信状態が劣化したときに通信が切断される可能性がある。
このように、上記公報に開示される発明では、良好な通信状態を安定して維持できない可能性があった。
【0015】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、CDMA方式の移動体通信において、基地局における送信電力制御のための処理量の増加を防止するとともに、移動局がハンドオーバ状態にあるか否かに関わらず良好な通信状態を安定して維持できるCDMA方式の無線基地局及び送信電力制御方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、移動局から受信した上り信号に含まれる送信電力制御情報に基づいて、移動局へ送信する下り信号の送信電力を制御するCDMA方式の無線基地局であって、移動局がハンドオーバ状態にあるか否かを把握する手段と、移動局から受信した上り信号の希望波/干渉波比(受信SIR)を取得する手段と、受信SIRが所定の閾値以下であるか否かを判断する手段と、移動局がハンドオーバ状態であり、かつ、受信SIRが閾値以下の場合に、送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止する手段と、送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止した後に受信SIRが閾値を超えた場合は、送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を再開する手段とを有することを特徴とするCDMA方式の無線基地局を提供するものである。
【0017】
上記本発明の第1の態様において、送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止した場合に、下り信号に対して所定の送信電力制御を行う手段と、送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を再開した場合に、所定の送信電力制御を停止する手段とをさらに有することが好ましい。これに加え、所定の送信電力制御は、下記A、B及びCのいずれかであることが好ましい。
A:下り信号の送信電力を、受信SIRが閾値以下となった時点から所定の時間以前の送信電力まで徐々に戻す。
B:下り信号の送信電力を、所定の強度まで徐々に増加させる。
C:下り信号の送信電力を、受信SIRが閾値以下となった時点での送信電力よりも所定量大きい強度まで徐々に増加させる。
【0018】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、移動局から受信した上り信号に含まれる送信電力制御情報に基づいて、移動局へ送信する下り信号の送信電力を制御するCDMA方式の無線基地局における送信電力制御方法であって、移動局がハンドオーバ状態にあるか否かを判断し、ハンドオーバ状態である場合は、移動局から受信した上り信号の希望波/干渉波比(受信SIR)を取得する工程と、受信SIRが所定の閾値以下であるか否かを判断する工程と、受信SIRが閾値以下である場合に送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止する停止工程と、送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止した後に受信SIRが閾値を超えた場合、送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を再開する再開工程とを、行うことを特徴とする送信電力制御方法を提供するものである。
【0019】
上記本発明の第2の態様において、停止工程の後段に、下り信号に対して所定の送信電力制御を行う工程をさらに有し、再開工程の前段に、所定の送信電力制御を停止する工程をさらに有することが好ましい。これに加え、所定の電力制御は、下記D、E及びFのいずれかであることが好ましい。
D:下り信号の送信電力を、受信SIRが閾値以下となった時点から所定の時間以前の送信電力まで徐々に戻す。
E:下り信号の送信電力を、所定の強度まで徐々に増加させる。
F:下り信号の送信電力を、受信SIRが閾値以下となった時点での送信電力よりも所定量大きい強度まで徐々に増加させる。
【0020】
〔作用〕
本発明によるCDMA方式の無線基地局及び送信電力制御方法は、移動局がハンドオーバ状態にある場合に受信SIRが所定の閾値以下となったときは、移動局からの送信電力制御情報を無視して独自の送信電力制御を行う。これにより、移動局がハンドオーバ状態にあるときに良好な通信品質を確保できる。
また、移動局がハンドオーバ状態にない場合は、移動局からの送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を行うため、良好な通信品質を確保できるとともに、送信電力制御のために不必要な演算処理などを行う必要がなく、他の移動局へ送信する下り信号に対してノイズを与えることがない。
【0021】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態によるCDMA方式の無線基地局を示す。この基地局は、信号受信部11、受信SIR監視部12、制御部13、送信電力制御部14及び信号送信部15を有する。
信号受信部11は、移動局からの上り信号を受信して送信電力制御情報を抽出する。受信SIR監視部12は、移動局から受信した上り信号のSIR値(受信SIR)を算出して閾値と比較する。受信SIRが閾値以下である場合、受信SIR監視部12は送信電力制御部14を制御して、信号送信部15から移動局へ送信する下り信号の送信電力を保持し、さらに、一定時間前の送信電力に徐々に戻す。制御部13は、受信SIR監視部12の起動/停止を制御しており、移動局がハンドオーバ状態であることを不図示の上位装置から通知されている場合のみ、受信SIR監視部12を作動させる。なお、不図示の上位装置は、各無線基地局での受信レベルを比較することで、移動局がハンドオーバ状態にあるか否かを検出している。送信電力制御部14は、常態では信号受信部11が上り信号から抽出した送信電力制御情報に基づいて下り送信電力を決定するが、受信SIR監視部12からの指示がある場合は、その指示を優先し、指示に従って送信電力を制御する。信号送信部15は、基地局から移動局へ送信する下り信号を送信する。
【0022】
本実施形態による基地局が、移動局がハンドオーバ状態に移行したことを上位装置から通知された場合の動作例について、図2を用いて説明する。
移動局がハンドオーバ状態に移行したことを上位装置から通知されると、制御部13は受信SIR監視部12を起動し、受信SIRの監視を開始する(ステップS101)。受信SIR監視部12は、受信SIRが閾値以下であるか否かを判断する(ステップS102)。
【0023】
受信SIRが閾値以下である場合(ステップS102/Yes)、受信SIR監視部12は送信電力制御部14に指示を送り、信号受信部11によって上り信号から抽出された送信電力制御情報に基づいた電力制御を停止させる。なお、送信電力制御部14が既に送信電力制御情報に基づいた電力制御を停止している場合は、その状態を継続させる。これによって、信号送信部15から移動局へ送信する下り信号の送信電力は、受信SIRが閾値以下となる直前のレベルに保持される(ステップS103)。さらに、受信SIR監視部12は、送信電力制御部14へ指示を送り、下り信号の送信電力を一定時間前の状態に徐々に戻す(ステップS104)。これによって、下り信号は、受信SIRが閾値以下となった時点から一定期間前の送信電力にて信号送信部15から移動局へ送信される。なお、後述するように、受信SIR監視部12は、移動局がハンドオーバ状態である間は常に受信SIRと閾値との比較を行っているため、受信SIRが閾値以下となった時点から一定期間前の時点における送信電力での受信SIRは、閾値以上の値となる。
【0024】
ここで、送信電力を「徐々に」戻す必要性について説明する。
CDMA方式の移動体通信において、移動局は複数の基地局からの下り信号を合成しており、移動局側でも受信SIRを一定に保つように制御が行われている。このため、ステップS104において、送信電力強度を一定時間前の状態に急激に戻してしまうと、過大な送信電力で送信された下り信号Aが移動局に入力され、通信品質が劣化してしまうことがあり得る。よって、ステップS104においては、送信電力強度を「徐々に」戻す必要がある。
なお、徐々に一定時間前の状態に戻す方法としては、例えば、図3(a)〜(d)に示すような戻し方が考えられるが、下り信号の送信電力が急激に変化しなければ、どのような戻し方をしても良い。
【0025】
受信SIRが閾値を超える場合(ステップS102/No)、受信SIR監視部12は、送信電力制御部14へ指示を出し、送信電力制御情報に基づいた電力制御を開始させる。なお、送信電力制御部14が、既に送信電力制御情報に基づいた電力制御を行っている場合は、その状態を継続させる。これによって、下り信号は、送信電力制御情報に基づいた送信電力にて信号送信部15から移動局へ送信される(ステップS107)。
【0026】
ステップS104又はステップS107において送信電力制御を行った後、移動局がハンドオーバ状態であることが引き続き上位装置から通知されている場合は(ステップS105/Yes)、ステップS102に進み上記同様の処理を繰り替えす。
一方、移動局がハンドオーバ状態であることを示す上位装置からの通知がなくなった場合(ステップS105/No)、制御部13は、受信SIR監視部12を停止させ、送信電力制御部14を常態に復帰させる(ステップS106)。これによって、上位装置からの通知がなくなった時点において、送信電力制御情報に基づいた電力制御を行っていなかった場合は、送信電力制御情報に基づいた送信電力制御が開始される。
【0027】
なお、ステップS104において、下り信号の送信電力を徐々に戻している途中で受信SIRが安定した場合は、その段階で送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を行うようにしてもよい。
【0028】
このように、本実施形態による基地局は、移動局がハンドオーバ状態である場合のみ、上り信号に含まれる送信電力制御情報とは異なる電力制御を行うことができる。これにより、基地局間を移動する移動局がハンドオーバ状態に移行した場合においても、受信品質を維持できる。
【0029】
ここで、ハンドオーバ状態の移動局と一方の基地局との間の通信品質が、障害物などのために劣化した状態において、移動局が移動したことによって、通信品質を劣化させる障害物が移動局と他方の基地局との間に移った場合を考える。
図4に示すように、基地局Bと移動局との間に障害物が存在するものとする。(a)に示す状態から移動局が基地局B側に移動すると、移動局は基地局Bに対して送信電力を下げるように送信電力制御情報を送信し始める。(b)に示すように、基地局Bは、送信電力制御情報に応じて、移動局が近づくにつれて下り信号Bの送信電力を低下させていく。
この時、移動局からの送信電力制御情報を共有する基地局Aも送信電力を低下させるが、受信SIRが所定の閾値以下となった時点で移動局からの送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止し、下り信号Aの送信電力を一定時間前の強度まで徐々に上げていく。これによって、ハンドオーバ状態が維持される。
【0030】
移動局がさらに基地局B側に移動して(c)に示す状態になると、移動局と基地局Bとの間に障害物が位置するため、移動局と基地局Bとの間で通信品質が劣化する。この場合、従来技術のようにハンドオーバ状態が解除されてしまっていると、通信が不安定になったり切断されてしまうことがある。しかし、本実施形態では、基地局Aが上記電力制御を行うことでハンドオーバ状態が維持されているため、通信の安定を保つことが可能となる。
【0031】
また、移動局がハンドオーバ状態にない場合、基地局は移動局からの送信電力制御情報に基づいて送信電力を制御するため、移動局がハンドオーバ状態にない場合にも良好な通信を維持することが可能である。
【0032】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。
本実施形態によるCDMA方式の無線基地局は、図1に示した第1の実施形態による無線基地局と同様であり、信号受信部11、受信SIR監視部12、制御部13、送信電力制御部14及び信号送信部15を有する。
ただし、本実施形態において受信SIR監視部12は、移動局から受信した上り信号のSIR値(受信SIR)を算出して閾値と比較する。また、受信SIRが閾値以下である場合、送信電力制御部14を制御して、信号送信部15から移動局へ送信する下り信号の送信電力を保持し、さらに所定の送信電力まで徐々に上げる。
【0033】
本実施形態による基地局が、移動局がハンドオーバ状態に移行したことを上位装置から通知された場合の動作例について、図5を用いて説明する。
ステップS201〜S203、S205〜S207は、第1の実施形態の動作例のステップS101〜S103、S105〜S107の動作と同様である。
【0034】
ステップS203で移動局からの送信電力制御情報に基づく電力制御を停止したのち、受信SIR監視部12はさらに送信電力制御部14へ指示を送り、下り信号の送信電力を所定の強度まで徐々に上げる(ステップS204)。これによって、下り信号は、所定の送信電力にて信号送信部15から移動局へ送信される。なお、送信電力を「徐々に」上げる必要性については、第1の実施形態と同様である。
【0035】
なお、ステップS204において、下り信号の送信電力を徐々に上げている途中で受信SIRが安定した場合は、その段階で送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を行うようにしてもよい。
【0036】
本実施形態による基地局は、移動局がハンドオーバ状態であるときに受信SIRが所定の閾値以下となった場合は移動局からの送信電力制御情報を無視し、下り信号の送信電力が所定の強度となるように送信電力制御を行う。このため、移動局がハンドオーバ状態にある場合に良好な通信品質を確保できる。また、移動局がハンドオーバ状態ではない場合は、移動局からの送信電力制御信号に基づいて送信電力を制御するため、良好な通信品質を確保できる。
すなわち、本実施形態による基地局は、移動局がハンドオーバ状態にあるか否かに関わらず良好な通信品質を維持することができる。
【0037】
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。
本実施形態によるCDMA方式の無線基地局は、図1に示した第1の実施形態による無線基地局と同様であり、信号受信部11、受信SIR監視部12、制御部13、送信電力制御部14及び信号送信部15を有する。
ただし、本実施形態において、受信SIR監視部12は、移動局から受信した上り信号のSIR値(受信SIR)を算出して閾値と比較し、受信SIRが閾値以下である場合は送信電力制御部14を制御して、信号送出部15から移動局へ送信する下り信号の送信電力を保持し、さらに、所定量分だけ増加させる。
【0038】
本実施形態による基地局が、移動局がハンドオーバ状態に移行したことを上位装置から通知された場合の動作例について、図6を用いて説明する。
ステップS301〜S303、S305〜S307は、第1の実施形態の動作例のステップS101〜S103、S105〜S107の動作と同様である。
【0039】
ステップS303で移動局からの送信電力制御情報に基づく電力制御を停止したのち、受信SIR監視部12はさらに送信電力制御部14に指示を送り、下り信号の送信電力を所定量だけ徐々に増加させる(ステップS304)。これによって、下り信号は、受信SIRが閾値以下となった時点での送信電力よりも所定量分だけ大きい送信電力にて信号送信部15から移動局へ送信される。なお、送信電力を「徐々に」上げる必要性については、第1の実施形態と同様である。
【0040】
なお、ステップS304において、下り信号の送信電力を徐々に上げている途中で受信SIRが安定した場合は、その段階で送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を行うようにしてもよい。
【0041】
本実施形態による基地局は、移動局がハンドオーバ状態であるときに受信SIRが所定の閾値以下となった場合は移動局からの送信電力制御情報を無視し、下り信号の送信電力を所定量だけ増加させる電力制御を行う。このため、移動局がハンドオーバ状態にある場合に良好な通信品質を確保できる。また、移動局がハンドオーバ状態ではない場合は、移動局からの送信電力制御信号に基づいて送信電力を制御するため、良好な通信品質を確保できる。
すなわち、本実施形態による基地局は、移動局がハンドオーバ状態にあるか否かに関わらず良好な通信品質を維持することができる。
【0042】
〔第4の実施形態〕
本発明を好適に実施した第4の実施形態について説明する。
本実施形態によるCDMA方式の無線基地局は、図1に示した第1の実施形態による無線基地局と同様であり、信号受信部11、受信SIR監視部12、制御部13、送信電力制御部14及び信号送信部15を有する。
ただし、本実施形態において受信SIR監視部12は、移動局から受信した上り信号のSIR値(受信SIR)を算出して閾値と比較し、受信SIRが閾値以下である場合は送信電力制御部14を制御して、信号送信部15から移動局へ送信する下り信号の送信電力を保持する。
【0043】
図7に、本実施形態による基地局が、移動局がハンドオーバ状態に移行したことを上位装置から通知された場合の動作例を示す。本実施形態による無線基地局のステップS401〜406の動作は、第1の実施形態による基地局の動作のステップS101〜S103、S105〜S107の動作と同様である。
【0044】
本実施形態において、移動局がハンドオーバ状態にある場合、基地局は、受信SIRが所定の閾値以下となった時点で移動局からの送信電力制御情報に基づいた電力制御を停止し、受信SIRが閾値以下となる直前の送信電力で下り信号を送信する。
これにより、移動局がハンドオーバ状態にある場合に良好な通信品質を確保できる。また、移動局がハンドオーバ状態にない場合は、移動局からの送信電力情報に基づいて送信電力を制御するため、良好な通信品質を確保できる。
すなわち、本実施形態による無線基地局は、移動局がハンドオーバ状態にあるか否かに関わらず良好な通信品質を維持することができる。
【0045】
なお、上記各実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、受信SIRが閾値以下となった場合に送信電力制御情報に基づく送信電力制御を停止し、その後所定の期間内に受信SIRが閾値を超えなかった場合に、独自の送信電力制御(一定期間前の送信電力に戻す、送信電力を所定量増加させるなど。)を行うようにしてもよい。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、CDMA方式の移動体通信において、基地局における送信電力制御のための処理量の増加を防止するとともに、移動局がハンドオーバ状態にあるか否かに関わらず良好な通信状態を安定して維持できるCDMA方式の無線基地局及び送信電力制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるCDMA方式の無線基地局の構成例を示す図である。
【図2】本発明を好適に実施した第1の実施形態によるCDMA方式の無線基地局の動作の一例を示す図である。
【図3】下り信号の送信電力を一定時間前の状態に戻す方法の一例を示す図である。
【図4】ハンドオーバ状態の移動局と一方の基地局との間に障害物などが介在する場合を示す図である。
【図5】本発明を好適に実施した第2の実施形態によるCDMA方式の無線基地局の動作の一例を示す図である。
【図6】本発明を好適に実施した第3の実施形態によるCDMA方式の無線基地局の動作の一例を示す図である。
【図7】本発明を好適に実施した第4の実施形態によるCDMA方式の無線基地局の動作の一例を示す図である。
【図8】従来技術によるCDMA方式の無線基地局を適用した移動体通信網において、移動局が良好なハンドオーバ状態にある場合を示す図である。
【図9】従来技術によるCDMA方式の無線基地局を適用した移動体通信網において、移動局が良好なハンドオーバ状態にない場合を示す図である。
【符号の説明】
11 信号受信部
12 受信SIR監視部
13 制御部
14 送信電力制御部
15 信号送信部
Claims (10)
- 移動局から受信した上り信号に含まれる送信電力制御情報に基づいて、前記移動局へ送信する下り信号の送信電力を制御するCDMA方式の無線基地局であって、
移動局がハンドオーバ状態にあるか否かを把握する手段と、
前記移動局から受信した上り信号の希望波/干渉波比(受信SIR)を取得する手段と、
前記受信SIRが所定の閾値以下であるか否かを判断する手段と、
前記移動局がハンドオーバ状態であり、かつ、前記受信SIRが前記閾値以下の場合に、前記送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止する手段と、
前記送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止した後に前記受信SIRが前記閾値を超えた場合は、前記送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を再開する手段とを有することを特徴とするCDMA方式の無線基地局。 - 前記送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止した場合に、前記下り信号に対して所定の送信電力制御を行う手段と、
前記送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を再開した場合に、前記所定の送信電力制御を停止する手段とをさらに有することを特徴とする請求項1記載のCDMA方式の無線基地局。 - 前記所定の送信電力制御は、前記下り信号の送信電力を、前記受信SIRが前記閾値以下となった時点から所定の時間以前の送信電力まで徐々に戻す制御であることを特徴とする請求項2記載のCDMA方式の無線基地局。
- 前記所定の送信電力制御は、前記下り信号の送信電力を、所定の強度まで徐々に増加させる制御であることを特徴とする請求項2記載のCDMA方式の無線基地局。
- 前記所定の送信電力制御は、前記下り信号の送信電力を、前記受信SIRが前記閾値以下となった時点での送信電力よりも所定量大きい強度まで徐々に増加させる制御であることを特徴とする請求項2記載のCDMA方式の無線基地局。
- 移動局から受信した上り信号に含まれる送信電力制御情報に基づいて、前記移動局へ送信する下り信号の送信電力を制御するCDMA方式の無線基地局における送信電力制御方法であって、
移動局がハンドオーバ状態にあるか否かを判断し、ハンドオーバ状態である場合は、
前記移動局から受信した上り信号の希望波/干渉波比(受信SIR)を取得する工程と、
前記受信SIRが所定の閾値以下であるか否かを判断する工程と、
前記受信SIRが前記閾値以下である場合に前記送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止する停止工程と、
前記送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を停止した後に前記受信SIRが前記閾値を超えた場合、前記送信電力制御情報に基づいた送信電力制御を再開する再開工程とを、行うことを特徴とする送信電力制御方法。 - 前記停止工程の後段に、前記下り信号に対して所定の送信電力制御を行う工程をさらに有し、
前記再開工程の前段に、前記所定の送信電力制御を停止する工程をさらに有することを特徴とする請求項6記載の送信電力制御方法。 - 前記所定の送信電力制御は、前記下り信号の送信電力を、前記受信SIRが前記閾値以下となった時点から所定の時間以前の送信電力まで徐々に戻す制御であることを特徴とする請求項7記載の送信電力制御方法。
- 前記所定の送信電力制御は、前記下り信号の送信電力強度を、所定の強度まで徐々に増加させる制御であることを特徴とする請求項7記載の送信電力制御方法。
- 前記所定の送信電力制御は、前記下り信号の送信電力を、前記受信SIRが前記閾値以下となった時点での送信電力よりも所定量大きい強度まで徐々に増加させる制御であることを特徴とする請求項7記載の送信電力制御方法。
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