JP3950563B2 - 質量分析装置におけるデータ処理方法、質量分析装置用記録媒体および質量分析装置 - Google Patents

質量分析装置におけるデータ処理方法、質量分析装置用記録媒体および質量分析装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学分析の分野で用いられる質量分析装置および当該質量分析装置によって取得された信号のデータ処理方法に係わるもので、より詳細には、取得された信号から、試料のイオンに起因する信号と特にスパイクノイズと呼ばれる尖頭状の大きな雑音とを分離し、信号対雑音比(S/N比)の高いマススペクトルを取得するデータ処理技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、化学分析の分野では、質量分析が広く普及してきている。特に、溶液中の試料を大気圧下でイオン化し、真空領域に導入した後、質量分析を行うタイプの、マイクロ波誘導プラズマ質量分析装置、誘導結合プラズマ質量分析装置、液体クロマトグラフ質量分析装置などの質量分析装置は、無機・有機化合物の有力な分析手段となっている。
また、測定対象雰囲気をイオン化し、真空領域に導入した後、質量分析を行う、ガス質量分析装置なども注目を集めている。
これらのうち、特に質量分析部に、椀状の対向する一対のエンドキャップ電極と、この一対のエンドキャップ電極の外周部間に位置するド−ナツ状のリング電極とから構成されるイオントラップ型質量分析計を用いた質量分析装置は、装置サイズ、機能、感度に関して、従来の四重極型質量分析計を用いて構成した質量分析装置より有利な点が多く、今後多くの装置に適用されると予想される。
【0003】
より詳しく説明すると、質量分析部にイオントラップ型質量分析計を用いた質量分析装置は、連続的に質量分析部に導入される試料イオンを、一旦イオントラップ型質量分析計の内部に閉じ込めた後、閉じ込めたイオンを高周波電圧を走査することによって、外部に引き出して検出する。イオンは、質量数mと価数zとの比、質量数/価数(以下、単に、m/zと表記する)の低い順に引き出されるため、検出される信号の各走査毎の経時変化が、すなわち、分析対象試料のマススペクトルとなる。
ところで、検出される信号には、本来測定の対象となる試料イオンに起因する信号の他に、電気的に混入してくる雑音や、中性の溶媒分子などに起因する雑音が含まれる。このような雑音は、装置の電圧走査とは関係なくランダムに発生し、本来測定対象となる試料イオンの信号を妨害する。
この雑音による妨害を軽減するために、通常、同一の試料に対して複数回の走査を行い、取得されたマススペクトルを積算することによって雑音を平均化し、試料イオンの信号と雑音とを分離する方法がとられている。
【0004】
この方法は、測定対象となる試料イオンの信号強度に比べ、雑音の強度が弱い場合には、あるしきい値以下で信号を除去すれば、雑音の少ないスペクトルを取得することが可能である。次に、このことを、図10を用いて具体的に説明する。
【0005】
図10(A)に示すように、処理前のマススペクトル40は、試料イオンの信号40Sに、雑音40Nが混入した場合を示しており、128回の走査後に積算し平均化して得られたものである。
図10(A)のマススペクトル40では、雑音40Nの強度が、測定対象試料イオンの信号40Sの強度よりも弱いので、図10(B)に示すように、しきい値42以下の信号を除去することによって、処理後のスペクトル41が得られる。処理後のスペクトル41は、処理前のスペクトル40に比べると、雑音41Nがほぼ確認できない程度に小さくなり、試料イオンの信号41Sと雑音41Nとの分離が容易になったことがわかる。
【0006】
従来、このような方法は、雑音を除去する目的以外に、しきい値以下で除去された強度ゼロの信号を保存しないことで、データのメモリを節約できるという目的で提案されていた。この方法の詳細は特開平5−30722号公報や、特開平6−325727号公報などに記載されている。
上記した従来の技術を、マススペクトルに、試料イオンの信号より強度の強い雑音が混入したとき、すなわち、測定対象となる試料イオンの信号よりも雑音の強度が強い場合に用いると、上記とは逆に、試料イオンの信号が除去され雑音が除去されないことがあり、試料イオンの信号と雑音とを分離することが困難になる。このことを図11により、具体的に説明する。
【0007】
この場合の処理前のマススペクトル43は、図11(A)に示すように、試料イオンの信号43Sに対して、強度が大きな雑音43Nが混入した場合を示しており、128回の走査後に積算し平均化して得られたものである。
このマススペクトル43では、雑音の強度が測定対象となるの試料イオンの信号の強度よりも大きいので、図11(B)に示すように、しきい値45以下の信号を除去した処理後のスペクトル44では、雑音44Nが依然確認され、測定対象の試料イオンの信号が削除され、試料イオンの検出ができない。
実際の測定では、スパイクノイズと呼ばれる、尖頭状の雑音が非常に強い強度で現れることがあり、複数回の走査を行って積算をしても試料イオンの信号と雑音とを分離することは難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、本来測定対象の試料イオンの信号よりも強度が強い雑音が混入した場合にも、試料イオンの信号と雑音とを分離し、雑音を適正に除去することによって、試料イオンの信号を有効に取得することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の基本的な特徴は、取得されたマススペクトルに対して、質量数/価数と、走査回数との2つの値を、変数とした2次元フーリエ変換を行い、走査回数に対して、変化しない部分と変化する部分とを分離し、2次元逆フーリエ変換を行った後にスペクトルの差分を求めることである。
本発明の基本的な特徴および原理を、より詳しく説明すると、以下の通りである。
一般に、複数回(n回)の走査で取得されるマススペクトルは、m/zと、走査回数nとに対する信号強度変化の3次元データである。
本発明では、まず、この3次元データに対して、m/zと走査回数nとを変数とした2次元フーリエ変換を施す。2次元フーリエ変換を施すと、変数は、m/zの逆数z/mと、走査回数nの逆数1/nとになる。
【0010】
次いで、上記のように2次元フーリエ変換を施して得られたデータを、走査回数の逆数1/nの第1列目のデータと、その他のデータとに分離する。これにより、走査回数nの変化に対して、m/z上に連続的に出現する情報と、離散的に出現する情報とをおよそ分離することができる。
これら分離したデータを2次元逆フーリエ変換し、それぞれの絶対値を求める。これらの絶対値の差分を求めることにより、スパイクノイズと呼ばれる尖頭状の強い雑音と試料イオンの信号を明確に分離できる。
本発明の特徴を明確に述べると以下の通りである。
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを走査回数ごとに配列した3次元データf0に対して、走査回数と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数に対して変化のある信号Fnと、走査回数に対して変化のない信号Fsとを分離して、FnとFsのそれぞれに2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築することを特徴とする質量分析装置におけるデータ処理方法である。
【0011】
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数に対して変化のある信号Fnと、走査回数に対して変化のない信号Fsとを分離して、FnとFsのそれぞれに2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築することを特徴とする質量分析装置におけるデータ処理方法である。
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルをS/N比が所定値以上になるまで全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数に対して変化のある信号Fnと、走査回数に対して変化のない信号Fsとを分離して、FnとFsのそれぞれに2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築することを特徴とする質量分析装置におけるデータ処理方法である。
【0012】
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを走査回数ごとに配列した3次元データf0に対して、走査回数と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、FnとFsとを元のそれぞれマトリクスサイズに調整し2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築することを特徴とする質量分析装置におけるデータ処理方法である。
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、FnとFsとを元のそれぞれマトリクスサイズに調整し2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築することを特徴とする質量分析装置におけるデータ処理方法である。
【0013】
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルをS/N比が所定値以上になるまで全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、FnとFsとを元のそれぞれマトリクスサイズに調整し2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築することを特徴とする質量分析装置におけるデータ処理方法である。
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、fnとfsとの絶対値の差分ftの負の部分をゼロにしたfkを求め、さらに、fkをnで積算して平均化してマススペクトルを再構築することを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置におけるデータ処理方法である。
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、再構築されたマススペクトルから、試料に由来するイオンの信号領域にあたる質量数/価数の範囲を選出し、元のマススペクトルのうち、当該質量数/価数の範囲に相当する信号だけを選択することを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置におけるデータ処理方法である。
【0014】
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、上記試料が気体であることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置におけるデータ処理方法である。
本発明によるデータ処理方法の特徴の一つは、上記試料が液体であることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置におけるデータ処理方法である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを走査回数ごとに配列した3次元データf0に対して、走査回数と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数に対して変化のある信号Fnと、走査回数に対して変化のない信号Fsとを分離して、FnとFsのそれぞれに2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置である。
【0015】
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数に対して変化のある信号Fnと、走査回数に対して変化のない信号Fsとを分離して、FnとFsのそれぞれに2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルをS/N比が所定値以上になるまで全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数に対して変化のある信号Fnと、走査回数に対して変化のない信号Fsとを分離して、FnとFsのそれぞれに2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置である。
【0016】
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを走査回数ごとに配列した3次元データf0に対して、走査回数と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、FnとFsとをそれぞれ元のマトリクスサイズに調整して2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、FnとFsとをそれぞれ元のマトリクスサイズに調整して2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置である。
【0017】
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルをS/N比が所定値以上になるまで全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、FnとFsとをそれぞれ元のマトリクスサイズに調整して2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置である。
【0018】
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、当該データ処理部は、fnとfsとの絶対値の差分ftの負の部分をゼロにしたfkを求め、さらに、fkをnで積算して平均化してスペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、データ処理部は、再構築されたマススペクトルから、試料に由来するイオンの信号領域にあたる質量数/価数の範囲を選出し、元のマススペクトルのうち、当該質量数/価数の範囲に相当する信号だけを選択する機能を有することを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、上記試料が気体であることを特徴とする請求項11ないし請求項18のいずれかに記載の質量分析装置である。
【0019】
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、上記試料が液体であることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
【0020】
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、上記質量分析部がイオントラップ型質量分析で構成されていることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、上記イオン源が誘導結合プラズマを利用したイオン源であることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、上記イオン源がマイクロ波プラズマを利用したイオン源であることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、上記イオン源がエレクトロスプレーイオン化を利用したイオン源であることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、上記イオン源が大気圧化学イオン化を利用したイオン源であることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
【0021】
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、上記イオン源が高温高圧化学イオン化を利用したイオン源であることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
本発明による質量分析装置の特徴の一つは、上記イオン源がソニックスプレーイオン化を利用したイオン源であることを特徴とする上記のいずれかに記載の質量分析装置である。
本発明によれば、上記手段を用いることによって、従来のしきい値以下の信号を削除する方法や、積算回数を増やし平均化する方法では除去することが困難であった、信号よりも強い強度の雑音を除去することが可能になり、信号対雑音比(S/N比)の高いマススペクトルを取得でき、前記した課題を解決することが可能になる。
【0022】
以下、本発明を、図に示す実施の形態について具体的に説明する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明を実施するための質量分析装置について図1を用いて説明する。
図1は、本発明を実施するためのデータを取得するプラズマイオン源質量分析装置全体の構成を示した図である。
試料を含む溶液13は、送液部34により送液され、噴霧されたのち大気圧イオン源14に送られる。この大気圧イオン源14には誘導結合プラズマイオン源や、マイクロ波誘導プラズマイオン源が用いられる。噴霧された試料は、大気圧下にあるイオン源14でイオン化される。
生成されたイオンは、細孔15を通して、排気ポンプ16で排気されている差動排気部17に導入される。差動排気部17に導入されたイオンは、細孔18を通して、高真空部24に導入される。
【0024】
高真空部24は、排気ポンプ19により高真空に排気され、内部には、イオン光学系であるレンズ20、偏向器21と、質量分析部であるイオントラップ型質量分析計22と、検出器23が配置されている。
高真空部24に導入されたイオンは、レンズ20、偏向器21で収束され、また軌道修正されイオントラップ型質量分析計22に導入される。イオントラップ型質量分析計22の内部には、外部からヘリウムや窒素などのバッファーガス25が導入される。
イオントラップ型質量分析計22に導入されたイオンは、質量分離された後、検出器23の方向へ引き出され、検出器23によって測定される。測定されたデータはデータ処理部35で処理され、マススペクトルで表示される。
液体試料を連続的に導入する質量分析装置であれば、図1で用いているような、大気圧イオン源14の他に、エレクトロスプレーイオン源、大気圧化学イオン化イオン源、ソニックスプレーイオン源などを適用することができる。また、気体試料を連続的に導入する質量分析計であれば、大気中のダイオキシン計測に有効なガス質量分析装置についても適用することができる。
さらに、連続的に導入される試料に対して走査を繰り返す測定であれば、イオントラップ型質量分析計の他に、ロッド型の四重極質量分析計を用いた場合にも同様な効果が期待できる。
【0025】
図2は、本発明を実施するためのイオントラップ型質量分析計の構成(図2(A))と、その各電極に印加する電圧の制御とデータの取得のタイミングを示した図(図2(B))である。
図2(A)に示すように、イオントラップ型質量分析計22は、一対の椀型のエンドキャップ電極26、27と、それを取り囲むように配置されるリング電極28から構成され、イオンの入射方向および出射方向には、それぞれ、ゲート電極29およびイオンストップ電極30が配置されている。
電圧を印加する順番は、図2(B)に示す通りである。
まず、入射イオンを内部に導入する場合31には、対象イオンの電荷と反対の極性の電圧をゲート電極29に印加し、対象イオンの電荷と同じ極性の電圧をイオンストップ電極30に印加する。リング電極28には、特定の質量数/価数以上のイオンをすべて閉じ込める高周波電圧が印加されている。
【0026】
次に、イオンを引き出して検出する場合32には、対象イオンの電荷と同じの極性の電圧をゲート電極29に印加し、反対の極性の電圧をイオンストップ電極30に印加する。リング電極28に印加する高周波電圧の振幅を徐々に上げていくことにより、質量数/価数の低いイオンから順に外部に引き出され、検出器で検出される。この走査でマススペクトルを取得することができる。
図3は、図1のデータ処理部35における処理のうち、取得されたスペクトルを3次元データとして扱い、スパイクノイズ等の大きい雑音に対してもS/N比の優れたマススペクトルを得るための本発明の中心となるデータ処理の流れを示した図である。
まず、前記したように、質量数/価数(m/z)および走査回数(n)を、2つの変数とする3次元データを、スペクトルf0(m/z、n)として取得し(ステップS31)、f0(m/z、n)に対して、m/zとnを変数とした2次元フーリエ変換を行い(ステップS32)、データF0(z/m、1/n)を得る(ステップS33)。
2次元フーリエ変換後に得られたデータF0(z/m、1/n)を、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにしたデータFs(z/m、1/n)と、第1列目だけをゼロにしたデータFn(z/m、1/n)の2つに分離する(ステップS34sおよびステップS32n)。
【0027】
分離したデータFs(z/m、1/n)およびデータFn(z/m、1/n)のそれぞれに対して、2次元逆フーリエ変換を行い(ステップS35sおよびステップS35n)、fs(m/z、n)およびfn(m/z、n)を求める(ステップS36sおよびステップS36n)。次いで、fs(m/z、n)の絶対値とfn(m/z、n)の絶対値の差ft(m/z、n)を求め(ステップS37)、ft(m/z、n)で負を示している値をゼロにしたfk(m/z、n)を求め(ステップS38)、さらに、このfk(m/z、n)を、nで積算して平均化し、マススペクトルを得る(ステップS39)。以上説明した図3のフローに示すデータ処理によって、雑音を除去することができる。このデータ処理フローは、フロッピー(登録商標)ディスクやコンピュータのハードディスクといい他記録媒体に記録されており、図1のデータ処理部35において処理される。このような記録媒体を用いれば、他の装置、あるいは、データを単独の形でも処理することが可能である。次に、図3のデータ処理フローを、具体的なシミュレーション結果に基づいてさらに詳細に説明する。まず、図3におけるステップS31で取得すべき3次元データとして、擬似的に発生させた、シミュレーションスペクトルデータの典型的な例を、図4、図5を用いて説明する。
【0028】
図4は、試料イオンの信号だけが存在する理想的なスペクトルデータの例を示している。図4(A)は、擬似的に発生させたスペクトル1、図4(B)は、それを積算したスペクトル2を示したものである。図4(A)のスペクトル1は、m/zとnを変数とした3次元データf(m/z、n)であり、測定は、m/zの範囲が1−64で、また、nの範囲が1−128で、それぞれ行われるものとし、さらに、試料イオンは、m/z=25およびm/z=50で、それぞれ、強度0.5および1.0のスペクトラムを示すものとした。
いま、分解能を0.5、1.5とし、測定のゆらぎ(不安定さ)を、信号強度の最大値の約20%とすると、図4(A)のスペクトル1を、n方向に積算すると、図4(B)に示すスペクトル2が得られ、本発明によるデータ処理を待つまでもなく、信号2Sは容易に検出可能である。しかし、図4のように雑音のナイスぺ取るデータは現実には存在せず、例えば、図5に示すように、ランダムに発生する、大きな雑音を伴う。
【0029】
図5は、擬似的に発生させた、スパイクノイズを伴ったシミュレーションスペクトルデータ3(図5(A))と、それを積算したスペクトル4(図5(B))を示した図である。
図5(A)のスペクトル3は、m/zとnを変数とした3次元データf0(m/z、n)であり、図4(A)のスペクトル1に、雑音であるスパイクノイズを重畳させた場合を示している。スパイクノイズの出現する座標(m/z、n)はランダムとし、強度も信号と同等の大きさから信号の8倍の範囲でランダムとした。また、スパイクノイズの分解能は0.1、総数は50個とした。
図5(A)のスペクトル3を、n方向に積算すると、図5(B)のスペクトル4が得られる。図5(B)に示されるように、図5(A)のようにスパイクノイズを含んだスペクトル3を、単にn方向に積算したスペクトル4は、依然としてスパイクノイズを含んでおり、スパイクノイズの影響が大きく、試料イオンによる信号が明確ではない。本発明は、図5(A)のように、スパイクノイズを含んだスペクトルデータに対して、図3のステップS32以降のデータ処理を行うことにより、信号を確実に検出できるようにしたものである。以下、図3と、5(A)および図6(A)ないし図9とを用いて、本発明のデータ処理方法を説明する。
【0030】
図3のフロー中、関数表示のあるブロックの右隅部に記入した図番は、シミュレーションデータに対する本発明によるデータ処理経過を、3次元的に図示した、図5(A)および図6(A)ないし図9との対応関係を示している。図5(A)のシミュレーションスペクトルデータ3は、2次元フーリエ変換されて、図6(A)のパワースペクトル5のようになる。このパワースペクトル5は、3次元データF0(z/m、1/n)であり、擬似的に発生させた、図5(A)のスペクトル3を表わすf0(m/z、n)に対して、m/zとnを変数とした2次元フーリエ変換を行い、その絶対値をとったものである。変数はそれぞれm/z、nの逆数、z/m、1/nとなる。次に、上記のように、スペクトルデータ3に対して、2次元フーリエ変換を行ったパワースペクトル5を、走査回数に対して変化のある成分(図6()のパワースペクトル)と、走査回数に対して変化のない成分(図6()のパワースペクトル)とに分離する。
【0031】
図6(B)のパワースペクトル6は、3次元データFs(z/m、1/n)であり、擬似的に発生させたスペクトル3を表わすf0(m/z、n)に対して、m/zとnを変数とした2次元フーリエ変換を行った後、1/nの第1列目以外の値をゼロに置き換え、その絶対値をとったものである。
図6(C)のパワースペクトル7は、3次元データFn(z/m、1/n)であり、擬似的に発生させたスペクトル3を表わすf0(m/z、n)に対して、m/zとnを変数とした2次元フーリエ変換を行った後、1/nの第1列目の値をゼロに置き換え、その絶対値をとったものである。
パワースペクトル6を表わすFs(z/m、1/n)は、元のスペクトル3のうち、走査回数nに対して変化のない成分を示し、パワースペクトル7を表わすFn(z/m、1/n)は、元のスペクトル3のうち走査回数nに対して変化のある成分を示す。このように、2次元フーリエ変換を行うことによって、走査回数に対する変化で信号を分離することができる。
【0032】
上記のように、2次元フーリエ変換を行って、走査回数に対する変化で分離した後、2次元逆フーリエ変換を行う。その結果を、図7を用いて説明する。図7()は、擬似的に発生させたスペクトルに2次元フーリエ変換を行った後、走査回数に対する変化で分離し、走査回数に対して変化のある成分を2次元逆フーリエ変換して得られるスペクトルを示し、図7()は、走査回数に対して変化のない成分を2次元逆フーリエ変換して得られるスペクトルを示した図である。スペクトル8は、3次元データfs(m/z、n)であり、擬似的に発生させたスペクトル3を表わすf0(m/z、n)に対して2次元フーリエ変換を行い、1/nの第1列目以外の値をゼロに置き換えて走査回数に対して変化のない成分を分離した後、2次元逆フーリエ変換を行って、その絶対値をとったものである。
【0033】
スペクトル9は、3次元データfn(m/z、n)であり、擬似的に発生させたスペクトル3を表わすf0(m/z、n)に対して2次元フーリエ変換を行い、1/nの第1列目の値をゼロに置き換えて走査回数に対して変化のある成分を分離した後、2次元逆フーリエ変換を行って、その絶対値をとったものである。
図7(A)に示すスペクトル8には、試料イオンの信号の他に、雑音であるスパイクノイズが走査回数nの方向に平均化された信号が確認できる。
また、図7(B)に示すスペクトル9には、雑音であるスパイクノイズの成分に加えて、スパイクノイズが、走査回数nの方向に平均化された信号が確認できる。
続いて、本発明のシミュレーション結果のうち、2次元逆フーリエ変換を行った後におけるデータ処理の結果について図8、図9を用いて説明する。
【0034】
図8は、走査回数に対して変化のある成分を2次元逆フーリエ変換して得られるスペクトル8と、走査回数に対して変化のない成分を2次元逆フーリエ変換して得られるスペクトル9との差分であるスペクトル10(図8(A))と、その負の領域をゼロに置き換えたスペクトル11(図8(B))とを示した図である。
【0035】
スペクトル10は、3次元データft(m/z、n)であり、f0(m/z、n)に2次元フーリエ変換を行い、1/nの第1列目以外の値をゼロに置き換えた後、2次元逆フーリエ変換を行った絶対値|fs(m/z、n)|であるスペクトル8と、1/nの第1列目の値をゼロに置き換えた後、2次元逆フーリエ変換を行った絶対値|fn(m/z、n)|であるスペクトル9との差をとったものである。
図8(B)に示すスペクトル11は、3次元データfk(m/z、n)であり、スペクトル10のft(m/z、n)が負の値を示す場合、その値をゼロに置き換えたものである。およそ試料イオンの信号だけが確認されることが分かる。
【0036】
図9は、スペクトル11を積算したスペクトル12を示した図である。すなわち、スペクトル12は、2次元逆フーリエ変換後の絶対値をとったスペクトル8とスペクトル9の差分のうち、負の領域をゼロに置き換えたスペクトル11を走査回数n方向に積算したものである。図9と図5(B)とを比較すると明らかなように、信号より強い雑音であるスパイクノイズがほとんど除去された結果、スパイクノイズの影響で雑音との区別が困難であった信号を、マススペクトル中ではっきりと確認することができる。
なお、上記のように、区別することが容易になった試料イオンの信号と雑音の領域を元のスペクトルの(m/z、n)と対応させて分離し、元のスペクトルから試料イオンの信号領域だけを抽出することができる。この際、データを保存するときに、雑音領域は保存せず、抽出した試料イオンの信号領域だけを保存すれば、データの保存料を節約することもできる。
また、信号の揺らぎが大きく、計算精度が低くなってしまう場合には、走査回数nで数回分ずつ積算し、揺らぎの幅を小さくした後に一連の処理を行うことで対応できる。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、イオントラップ型質量分析計で取得されたデータに、試料イオンの信号よりはるかに強度の強い雑音であるスパイクノイズが混入しても、試料イオンの信号と雑音を分離し、雑音を除去して、試料イオンの信号を有効に抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための質量分析装置の装置構成図。
【図2】(A)は図1におけるイオントラップ型質量分析計の電極構成図、(B)は(A)の各電極に印加する電圧のタイミングを示す波形図。
【図3】本発明によるデータ処理方法を示すフロー図。
【図4】(A)は本発明のシミュレーションのために複数の走査回数で発生させた、雑音のない擬似データのスペクトル図、(B)は(A)を走査回数方向に積算したスペクトル図。
【図5】(A)は本発明のシミュレーションのために複数の走査回数で発生させた、スパイクノイズを伴う擬似データのスペクトル図、(B)は(A)を走査回数方向に積算したスペクトル図。
【図6】(A)は図5(A)を2次元フーリエ変換したデータのスペクトル図、(B)は(A)のうち、走査回数に対して変化のない成分のスペクトル図、(C)は(A)のうち、走査回数に対して変化のある成分のスペクトル図。
【図7】(A)は図6(B)を2次元逆フーリエ変換したデータのスペクトル図、(B)は図6(C)を2次元逆フーリエ変換したデータのスペクトル図。
【図8】(A)は図7(A)の絶対値と図7(B)の絶対値との差分のデータのスペクトル図、(B)は(A)のデータの負の部分をゼロに置き換えたデータのスペクトル図。
【図9】図8(B)のデータを走査回数方向に積算したマススペクトル図。
【図10】(A)は信号に対して雑音が小さい場合のマススペクトル図、(B)は(A)のデータをしきい値以下で除去したマススペクトル図。
【図11】(A)は信号に対して雑音が大きい場合のマススペクトル図、(B)は(A)のデータをしきい値以下で除去したマススペクトル図。
【符号の説明】
1、2、3、4…スペクトル、5、6、7…パワースペクトル、8、9、10、11、12…スペクトル、13…試料を含む溶液、14…大気圧イオン源、15、18…細孔、16、19…排気用ポンプ、17…差動排気部、20…レンズ、21…偏向器、22…イオントラップ型質量分析計、23…検出器、24…高真空部、25…バッファーガス、26、27…エンドキャップ電極、28…リング電極、29…ゲート電極、30…イオンストップ電極、31…イオンを内部に導入する場合の電圧印加手順、32…イオンを引き出して検出する場合の電圧印加手順、34…送液部、35…データ処理部、40、43…擬似マススペクトル、41、44…処理後のマススペクトル、42、45…しきい値

Claims (13)

  1. 質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを走査回数ごとに配列した3次元データf0に対して、走査回数と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築することを特徴とする質量分析装置におけるデータ処理方法。
  2. 質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築することを特徴とする質量分析装置におけるデータ処理方法。
  3. 質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルをS/N比が所定値以上になるまで全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築することを特徴とする質量分析装置におけるデータ処理方法。
  4. fnとfsとの絶対値の差分ftの負の部分をゼロにしたfkを求め、さらに、fkをnで積算して平均化してマススペクトルを再構築することを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置におけるデータ処理方法。
  5. 再構築されたマススペクトルから、試料に由来するイオンの信号領域にあたる質量数/価数の範囲を選出し、元のマススペクトルのうち、当該質量数/価数の範囲に相当する信号だけを選択することを特徴とする請求項4に記載の質量分析装置におけるデータ処理方法。
  6. 試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを走査回数ごとに配列した3次元データf0に対して、走査回数と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、FnとFsのそれぞれに2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置。
  7. 試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に 取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、FnとFsのそれぞれに2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置。
  8. 試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルをS/N比が所定値以上になるまで全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、FnとFsのそれぞれに2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置。
  9. 試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを走査回数ごとに配列した3次元データf0に対して、走査回数と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置。
  10. 試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルを全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から、走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、2次元 逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置。
  11. 試料をイオン化するためのイオン源と、当該イオン源で生成されたイオンを高真空部に取り込む差動排気部と、当該差動排気部を通過したイオンを効率よく輸送するためのイオン光学系と、輸送されたイオンを質量/価数によって分離・分析するための質量分析部と、当該質量分析部において分離・分析したイオンを検出するための検出器と、検出したイオンを処理し、マススペクトルとして表示するためのデータ処理部を有する質量分析装置であって、当該データ処理部は、質量分析装置で複数回の走査により取得されたマススペクトルをS/N比が所定値以上になるまで全走査回数未満の回数で積算した各積算ごとのマススペクトルを配列した3次元データf0に対して、各積算と質量数/価数とを変数とした2次元フーリエ変換を行いF0を得て、F0から走査回数の逆数1/nの第1列目の値だけをゼロにした信号Fnと、走査回数の逆数1/nの第1列目以外の値をゼロにした信号Fsとを分離して、2次元逆フーリエ変換を行ってfnとfsとを得た後、fnとfsとの絶対値の差分ftを求めてマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする質量分析装置。
  12. 当該データ処理部は、fnとfsとの絶対値の差分ftの負の部分をゼロにしたfkを求め、さらに、fkをnで積算して平均化してマススペクトルを再構築する機能を有することを特徴とする請求項11に記載の質量分析装置。
  13. 当該データ処理部は、再構築されたマススペクトルから、試料に由来するイオンの信号領域にあたる質量数/価数の範囲を選出し、元のマススペクトルのうち、当該質量数/価数の範囲に相当する信号だけを選択する機能を有することを特徴とする請求項11に記載の質量分析装置。
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