JP3950077B2 - Uhf帯テレビジョン放送受信用アンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、UHF帯テレビジョン放送受信用アンテナに関し、特にUHF帯テレビジョン放送の全周波数帯域において使用するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、UHF帯テレビジョン放送受信用アンテナとしては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。
【0003】
【特許文献1】
実公昭61−43289号公報
【0004】
特許文献1に開示されたUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナは、2組の放射器を有し、各組の放射器は、それぞれ2本の放射素子から構成されている。これら2組の放射器の放射素子の給電点は、2個のインダクタンス要素を介して接続され、さらにインピーダンスマッチングトランスに接続されている。インダクタンス要素としては、金属板を打ち抜き及び折り曲げしたものが使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナでは、インダクタンス要素を製造するために、金属板の加工が必要であり、その製作が面倒である。さらに、まもなく、地上波デジタル放送が開始される。地上波デジタル放送では、UHF帯テレビジョン放送用の周波数帯(470乃至770MHz)のうち、低い周波数帯も使用される。この低い周波数帯においても、利得及び定在波比を改善する必要があるが、上記のような構成では、充分に改善することができなかった。
【0006】
本発明は、製造が容易なUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナを提供することを目的とする。本発明は、これに加えて、UHF帯テレビジョン放送用の周波数帯の低い周波数帯においても、性能が改善されたUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によるUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナは、UHF帯テレビジョン放送の全周波数帯用の放射器を有している。この放射器は、2本の放射素子からなる。複数の放射器を設けることもできる。同軸ケーブルの外部導体と、中心導体とに、電気的及び機械的に接続される固定金具が設けられている。放射器の給電点と固定金具との間に整合器が設けられている。この整合器は、前記放射器及び前記同軸ケーブルのインピーダンス変換と、平衡及び不平衡の変換とを、行う。この整合器は、放射器の2つの給電点に接続される2本のリード線を有している。これら2本のリード線は、互いに接近した分布容量線路部と、互いが離れた誘導性線路部とによって構成されている。分布容量線路部が整合器側に存在し、誘導性線路部が放射器側に存在することも可能であるし、逆に分布容量線路部が放射器側に存在し、誘導性線路部が整合器側に存在することも可能である。
【0008】
このように構成されたUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナでは、整合器と放射器との間に誘導性線路部に基づくインダクタンスが存在し、この線路部間に分布容量線路部に基づく容量分が存在する。これらインダクタンス及び容量によって、UHF帯テレビジョン放送用周波数帯の低い帯域においても、利得や定在波比が改善される。しかも、利得や定在波比を改善するために使用されているのは、リード線の一部を分布容量線路部とし、残りの部分を誘導性線路部とすることによって行われているので、その製造が容易に行われる。
【0009】
分布容量線路部の前記誘導性線路部に対する比が、約2.7乃至1.1とすることが望ましい。更に、分布容量線路部の長さを35mm乃至75mmとし、誘導性線路部の長さを20mm乃至50mmとすることも望ましい。
【0010】
分布容量線路部を、前記2本のリード線に間隔をおいて拘束部材を挿通することによって形成し、前記2本のリード線の残りの部分を支持部材に接触させることによって、前記2本のリード線の残りの部分間の間隔をあけて、前記誘導性線路部を形成することもできる。支持部材は、例えば放射器が収容される筐体内に形成することができる。
【0011】
このように構成すると、分布容量線路部及び誘導性線路部をそれぞれ容易に構成することができる。
【0012】
整合器の固定金具側のリード線を互いに接近させて分布容量線路部を構成することもできる。このように構成すると、整合器の固定金具側に容量を持たせることができ、これによって、UHF帯テレビジョン放送用周波数帯の低い周波数帯において、性能を改善することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施形態のUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナは、UHF帯テレビジョン放送の全周波数帯域470MHz乃至770MHzの広い帯域で使用するもので、図1及び図2に示すように、複数の放射器、例えば2組の放射器2、4を有している。図示していないが、この他に、反射器と複数本の導波器とを有し、八木形アンテナを構成している。
【0014】
放射器2は、2本の放射素子2a、2bを有している。これら放射素子2a、2bは、直線状の導電性のものであって、これらが同一直線上に位置するように筐体6に取り付けられている。これら放射素子2a、2bの筐体6内の端部が、給電部8a、8bである。放射器4も、2本の放射素子4a、4bを有している。これら放射素子4a、4bは、放射素子2a、2bとは、それぞれ長さが異なり、放射素子2a、2bとそれぞれ平行に、筐体6に取り付けられている。放射素子4a、4bの筐体6内の端部が給電部10a、10bである。
【0015】
同一側にある給電部8a、10aは、接続板12によって互いに電気的に結合され、同様に同一側にある給電部8b、10bも、接続板14によって電気的に結合されている。これら接続板12、14は、筐体6内に互いに平行に配置され、それらの端部に放射素子2a、2b、4a、4bとの接続用タブ12a、12b、14a、14bを有している。
【0016】
筐体6内には、放射器2、4を不平衡線路、例えば同軸ケーブルに接続するための固定金具16が取り付けられている。この固定金具16は、放射器2、4の間の放射素子2b、4b側にあり、同軸ケーブルの外部導体が固定される外部導体固定部16aと、同軸ケーブルの中心導体が固定される中心導体固定部16bとからなる。
【0017】
固定金具16の側方、例えば放射素子2a、4aの間には、整合器18が配置されている。整合器18は、筐体6内に設けたボックス部20内に配置されている。整合器18は、放射器2、4のインピーダンス、例えば300Ωを、同軸ケーブルのインピーダンス、例えば75Ωに変換すると共に、平衡型回路である放射器2、4を、不平衡型回路である同軸ケーブルに接続するための所謂1:4バランで、メガネ型のフェライトコアに巻線を施したもので、放射器2、4に接続される2本のリード線22、24と、固定金具16に接続される2本のリード線26、28とを有している。リード線22、24は、固定板12、14のタブ12b、14bに接続され、リード線26、28は、外部導体固定部16a、中心導体固定部16bに接続されている。
【0018】
図1に拡大して示すように、整合器18から導出された直後、例えば整合器18から約4mm導出された位置でリード線22、24双方に、1つの拘束部材、例えばビニルチューブ30が挿通されている。このビニルチューブの長さは約8mmである。また、これから離れたリード線22、24の部分にもビニルチューブ32が挿通されている。リード線22、24の離れた位置に、ビニルチューブ30、32が挿通されているので、ビニルチューブ30、32によって被われたリード線22、24の部分及びビニルチューブ30、32間にあるリード線22、24の部分は互いに接触しており、分布容量線路部34を構成している。この分布容量線路部34の長さは、例えば40mmである。なお、符号36で示すのは、リード線22、24が自由に移動することを阻止するための阻止部材、例えばピンで、ビニルチューブ30、32の間にあるリード線22、24の部分が、このピン36に接触している。
【0019】
ビニルチューブ32から先のリード線22、24は、離れた位置にそれぞれ設けられている支持部材、例えばピン38、40によって両者の間隔をあけられて、接続用タブ12b、14bにそれぞれ接続されている。これらピン38、40の間隔は約10mmであり、これらピン38、40の間にあるリード線22、24の部分が最も間隔が開いている。これらリード線22、24の間隔が広いので、両者の間にはごくわずかな容量しか存在せず、それぞれ誘導性線路として機能する。即ち、この部分は誘導性線路部42である。この誘導線線路部42の長さは、例えば約22mmに選択されている。即ち、分布容量線路部34の誘導性線路部42に対する長さの比は、約1.8(=40/22)である。
【0020】
また、整合器18の不平衡側のリード線26、28の整合器18から導出直後の部分にも、ビニルチューブ44が挿通されている。リード線26は外部導体固定部16aに接続され、リード線28は、中心導体固定部16bに接続され、それらの長さは約16mmの長さで、ビニルチューブ44は約12mmの長さである。このビニルチューブ44での拘束によって、不平衡側にも分布容量線路部46が形成されている。図示していないが、中心導体固定部16bと外部導体固定部16aとの間には約1.5pFのコンデンサが接続されている。
【0021】
図3に、このUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナの放射器2、4付近の等価回路図を示す。即ち、放射器2、4の放射素子2a、4aが接続板12によって接続され、放射素子2b、4bが接続板14によって接続されている。接続板12、14の接続用タブ12b、14bが、誘導線路部42のリアクタンス42a、42bを介して整合器18の平衡側に接続され、この平衡側の両端間に、分布容量線路34に基づく容量34aが接続されている。整合器18の不平衡側間には、分布容量線路46に基づく容量46aが接続されている。
【0022】
このように整合器18の不平衡側にリアクタンス42a、42b及び容量34aを設けているので、UHF帯テレビジョン放送用周波数帯の低い周波数帯において、利得及び定在波比が改善される。しかも、この改善は、リード線22、24にチューブ30、32を挿通したり、ピン38、40にリード線22、24を引っかけるという簡単な作業によって行うことができ、金属板の打ち抜き等の加工を行ってインダクタンス要素を構成し、さらに、このインダクタンス要素を取り付けるというような面倒な作業が全く不要である。
【0023】
上記のような放射器2、4において、分布容量線路部34の長さを固定し、誘導性線路部42の長さを異ならせた場合の利得及び定在波比対周波数特性を図4に示す。ここでは、分布容量線路部34の長さを40mmとし、これに対応して誘導性線路部42の長さを8、15、25、35、45と変化させた。誘導性線路部42の長さが8mmでは、UHF帯テレビジョン放送の周波数帯の低い周波数帯で、利得が最も小さく、また定在波比も最も悪い。誘導性線路部42の長さが45mmの場合には、低い周波数帯では利得は他のものと殆ど同じであるが、定在波比がほぼ2に近く、好ましくない。そこで、分布容量線路部34の誘導性線路部42に対する長さの比は、1.1(40/35)乃至2.7(40/15)程度とすることが望ましい。特に、この比を1.6(40/25)とした場合、低い周波数帯において定在波比も利得も良好であるので、これが最も望ましい。図5は、この放射器2、4を用いた14素子の八木形アンテナにおいて、図4と同様に誘導線路部の長さを変化させた場合の利得及び定在波比対周波数特性を示したもので、これからも上記と同様なことが言える。
【0024】
図6は、放射器2、4において、分布容量線部34と誘導性線路部42の長さを、90mmと60mm(比率1.5)、75mmと50mm(比率1.5)、60mmと40mm(比率1.5)、45mmと30mm(比率1.5)、35mmと20mm(比率1.75)、10mmと0mmのように変化させた場合の利得及び定在波比対周波数特性を示したもので、分布容量線路部34の長さが90mmで、誘導性線路部42の長さが60mmの場合には、高い周波数帯において定在波比が悪化し、かつ利得も低下するし、分布容量線路部34の長さが10mmで、誘導性線路部42が0mmの場合では、低い周波数帯及び高い周波数帯において利得の低下及び定在波比の悪化が生じる。従って、分布容量線路部34の長さは75mm乃至35mmで、誘導性線路部42の長さは50mm乃至20mmとすることが望ましい。図7は、放射器2、4を含む14素子のUHF帯テレビジョン放送受信用の八木形アンテナにおいて、図5と同様に分布容量線路部34及び誘導性線路部42の長さを変化させた場合における利得及び定在波比対周波数特性図を示したもので、14素子の場合でも、図5の場合とほぼ同様の結果が得られる。なお、各周波数特性図において、符号の末尾に符号Gを付してあるのが利得対周波数特性図であり、符号の末尾に符号Vを付してあるのが定在波比対周波数特性図である。
【0025】
このように分布容量線路部34及び誘導性線路部42の長さを適切に選択することによって、UHF帯テレビジョン放送の周波数帯における全帯域において、良好な利得及び定在波比を得ることができ、地上波デジタル放送においてUHF帯テレビジョン放送の周波数帯の低い周波数帯が使用されても、良好に地上波デジタル放送を受信することが可能となる。
【0026】
上記の実施の形態では、2組の放射器2、4を使用したが、場合によっては1組の放射器のみを使用することもできる。また、固定金具16としては、接栓を使用することもできる。上記の実施の形態では、支持部材として別個に形成したピン38、40を使用したが、これに代えて、例えばリード線22、24が挿通される溝を間隔をあけて形成した部材を使用することもできる。また、上記の実施の形態では、接続用タブ12bにリード線22を接続し、接続用タブ14bにリード線24を接続したが、逆に接続用タブ12bにリード線24を接続し、接続用タブ14bにリード線22を接続することも可能である。接続用タブ12b側にリード線22を接続し、接続用タブ14bにリード線24を接続した場合と、逆に接続用タブ12bにリード線24を接続し、接続用タブ14bにリード線22を接続した場合とで、得られる特性に相違があることがあり、どちらか良好な特性が得られる接続を使用することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナでは、UHF帯テレビジョン放送の周波数帯の全帯域において良好な利得と定在波比が得られ、しかも、製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態のUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナにおける放射器近辺の拡大図である。
【図2】図1のアンテナの放射器近辺を示す部分省略平面図である。
【図3】図1のアンテナの放射器近辺の等価回路図である。
【図4】図1のアンテナの放射器において、分布容量線路部の長さを固定し、誘導性線路部の長さを異ならせた場合の利得及び定在波比対周波数特性図である。
【図5】図1の放射器を使用したアンテナにおいて、分布容量線路部の長さを固定し、誘導性線路部の長さを異ならせた場合の利得及び定在波比対周波数特性図である。
【図6】図1のアンテナの放射器において、分布容量線路部の長さ及び誘導性線路部の長さを変化させた場合の利得及び定在波比対周波数特性図である。
【図7】図1の放射器を使用したアンテナにおいて、分布容量線路部の長さ及び誘導性線路部の長さを変化させた場合の利得及び定在波比対周波数特性図である。
【符号の説明】
2 4 放射器
16 固定金具
18 整合器
22 24 リード線
34 分布容量線路部
42 誘導性線路部
Claims (5)
- UHF帯テレビジョン放送の全周波数帯用の放射器と、
同軸ケーブルの外部導体と、中心導体とに、電気的及び機械的に接続される固定金具と、
前記放射器の給電点と前記固定金具との間に設けられており、前記放射器及び前記同軸ケーブルのインピーダンス変換と、平衡及び不平衡の変換とを、行う整合器とを、
具備し、前記整合器の前記放射器側の2本のリード線を、互いに接近させた分布容量線路部と、互いが離れた誘導性線路部とによって構成したUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナ。 - 請求項1記載のUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナにおいて、前記分布容量線路部の前記誘導性線路部に対する比が、約2.7乃至1.1であるUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナ。
- 請求項2記載のUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナにおいて、前記分布容量線路部の長さが35mm乃至75mmであり、前記誘導性線路部の長さが20mm乃至50mmであるUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナ。
- 請求項1記載のUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナにおいて、前記2本のリード線の一部に沿って間隔をおいて拘束部材を挿通することによって前記分布容量線路部を形成し、前記2本のリード線の残りの部分を支持部材に接触させることによって、前記2本のリード線の残りの部分間の間隔をあけて前記誘導性線路部を形成したUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナ。
- 請求項1記載のUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナにおいて、前記整合器の固定金具側のリード線を互いに接近させて分布容量線路部を構成したUHF帯テレビジョン放送受信用アンテナ。
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