JP3949925B2 - プラスチック製ネットコンベア - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック製ネットコンベア、より詳細には、各種食品や機械の生産ライン、加工ライン、洗浄ライン等における搬送ラインを構成するプラスチック製のネットコンベアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記ネットコンベアとしては、一般に、ステンレス製の線材を折曲した折曲線材を連結していくことにより構成されるものが用いられている。その場合の折曲線材は、例えば特許第2787267号公報に示されるように、線材を縦方向、水平方向、縦方向、水平方向の順に折曲して成る凹陥部21を横に何個か連結したものである。
【0003】
上記折曲線材は、その凹陥部21を別の折曲線材の凹陥部21に嵌め入れることにより多数連結され、以てネットコンベアが構成される。
【0004】
上記従来のステンレス等の金属製のネットコンベアの場合、湾折曲部に金属疲労が起きやすく、その部分が折損して食品に混入することがある。また、金属線材の場合は、搬送製品が付着しやすいので、それの剥離を良くするためにポリテトラフルオロエチレンコーティングを施したり、耐久性の向上や金属摩耗粉を減らすために、チッ化処理等の表面加工を施すが、その皮膜が経時的に
脱落し、食品に混入して異色発色を引き起こす虞もある。
【0005】
金属線材製のネットコンベアの場合はこのような問題があるため、これをプラスチック製とすることが考えられている。例えば、特開平9−315536号公報や同10−338326号公報記載のものが知られている。
【0006】
しかるに、これらのものは、両端部のベルト構成単位片2つの重合部にロッドを差し込むことによって連結していく構成のため、ロッドの差込孔内等の隠れた部分が存在することになり、その部分の雑菌消毒を十分に行ない得ない虞があり、食品搬送用のネットコンベアとして大きな問題となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来の金属線材製のネットコンベアの場合には、異物混入や異色発生の問題があり、プラスチック製のネットコンベアの場合には部分的に殺菌消毒を行ない得ない個所が生ずるという問題があったので、本発明はそのような問題のない、即ち、十分な強度を有していて、長年使用しても異物混入とか異色発生とかいった問題を惹起せず、また、全体を余す所なく殺菌消毒することができ、しかも湾曲ルートの構成も可能で、食品工場等における食品搬送用として最適なプラスチック製ネットコンベアを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斜め下方向への第1折曲部、横方向への第2折曲部、斜め上方向への第3折曲部及び横方向への第4折曲部を、前記第1折曲部と前記第2折曲部間並びに前記第3折曲部と前記第4折曲部間の各縦線部を他の部分よりも低位に形成して設けた凹陥部を1又は複数有し、前記縦線部の両端の立上り部に傾斜部を設けると共に、前記縦線部間の横線部の裏面に横滑りストッパーを突設したプラスチック製のネット構成材を、前記凹陥部を他の前記ネット構成材の前記凹陥部に嵌め込むことによって多数連結して構成されるプラスチック製ネットコンベア、を以て上記課題を解決した。
【0009】
本発明はまた、斜め下方向への第1折曲部、横方向への第2折曲部、斜め上方向への第3折曲部及び横方向への第4折曲部を、前記第1折曲部と前記第2折曲部間並びに前記第3折曲部と前記第4折曲部間の各縦線部を他の部分よりも低位に形成して設けた凹陥部を1又は複数有し、前記縦線部の両端の立上り部を傾斜させると共に、前記縦線部間の横線部の裏面に横滑りストッパーを突設したプラスチック製ネット構成材を、前記凹陥部を他の前記ネット構成材の前記凹陥部に嵌め込むことによって多数連結して構成されるプラスチック製ネットコンベア、を以て上記課題を解決した。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を添付図面に依拠して説明する。図1は、本発明に係るプラスチック製のネットコンベアを示すもので、このネットコンベアは、図2に示すネット構成材1の1種類のみを以て構成したものである。図2の(A)はネット構成材1の平面図、(B)は正面図、(C)は底面図、(D)は側面図である。
【0011】
ネット構成材1は、図2(A)において斜め下方向への第1折曲部2、横方向への第2折曲部3、斜め上方向への第3折曲部4及び横方向への第4折曲部5を設けることによって形成される凹陥部6を2つ並設し、両端にフック部7を設けたものである。
【0012】
各折曲部2〜5は、同一平面上において折曲状態とされる訳ではなく、深さを持った折曲状態とされる。即ち、第1折曲部2と第2折曲部3間の縦線部8、及び、第3折曲部4と第4折曲部5間の縦線部9は他の部分(横線部10、10a、11)よりも、低位に形成される。従って、縦線部8、9の両端には、横線部10、10a、11につながる立上り部12が存在する。
【0013】
ネット構成材1は、適度な弾性及び強度と耐久性を持たせるために、好ましくは、アセタール樹脂、ポリプロピレン又はナイロン樹脂製とされ、強度保持上その太さは、通例4〜5mm程度とされる。この場合、搬送時における搬送面に段差が生じないことが要求される。
【0014】
即ち、図8に示すように、縦線部8、9をストレートに立上げて立上り部12を設けた場合、コンベアを弛ませた状態で平板上に置いたときには、各横線部10、10a、11の高さが一致して搬送面は段差なく平坦になるが、運転時に緊張状態にされると、端部の折返し点において下流側の横線部10が上流側の縦線部8、9上に落ち、緊張状態が続く限りその状態を維持する。そのため、搬送面に段差Aによる凹凸ができ、製品が傾いたり、脱落したりする原因となる。
【0015】
このような下流側の横線部10、11の上流側の立上り部12に対する上下動によって搬送面に段差Aが生ずることを防止するために、当然のことながら立上り部12をなくす(横線部10、11の直径と等しくする)ことが考えられる(図9参照)。しかし、段差Aをなくしてしまうと、遊びがなくなってしまうためにネット構成部材1間の自由度がなくなり、搬送面を湾曲させることができなくなってしまう。
【0016】
このような問題を起こさないようにするため、本発明では、立上り部12に傾斜部13を設けることとしている。そのようにした場合、ネットコンベアにテンションがかかると、下流側の横線部10、11が上流側の立上り部12の傾斜部13を滑り上がり、同じ高さになる(図4における仮想線参照)。かくして、運転時において搬送面は平坦になり、凹凸が生ずることによる不都合は回避される。
【0017】
図5に示す例は、立上り部12自体を傾斜させたもので、下流側の横線部10、11が当接する立上り部12の内面が傾斜しているので、傾斜部13の場合と同じ作用効果が得られる。
【0018】
図6に示す実施例は図4に示した実施例の変形で、立上り部12の上端に、内側に嘴状に突出するストッパー14を設けたものである。通常のテンション下においては、横線部10、11が上流側の立上り部12を越えて飛び出るということはないが、このストッパー14を設けた場合は、横線部10、11の飛び出しにより凹凸が生ずることが確実に防止される。図5に示した実施例についても、このストッパー14を設けることができる。
【0019】
好ましくは、横線部10、11の裏面に、下方に突出する横滑りストッパー15が設置される。この横滑りストッパー15は、縦線部8、9が当たることによって、組立後における各ネット構成部材1の横方向への動きが規制される。
【0020】
図7に示すものは、凹陥部6を2つ有するネット構成部材1と、それを1つ有するネット構成部材1aとを組み合わせて連結していくものである。この場合、図7から明らかなように、1列ごとに、凹陥部を1つ有するネット構成部材1aの位置が変わる。即ち、図示した例では、最上例は右側、2列目は左側、そして3列目は右側となっている。
【0021】
【発明の効果】
本発明は上述した通りであるので、適度な強靭性と弾力性を有するプラスチックで成形し得るネット構成部材で容易に構成することができ、しかも、長年使用しても異物混入とか異物発生とかいった問題を惹起せず、また、部材間に隠れる個所がないので全体を余す所なく殺菌消毒することができ、しかも湾曲ルートの構成も可能で、食品工場等における食品搬送用として最適なネットコンベアを提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るネットコンベアの構成例を示す図である。
【図2】本発明に係るネットコンベアを構成するネット構成材の平面、正面、底面及び側面を示す図である。
【図3】図2(A)におけるA−A線断面図である。
【図4】本発明に係るネットコンベアにおけるネット構成材の要部及び連結状態を示す図である。
【図5】本発明に係るネットコンベアにおける他のネット構成材の要部及び連結状態を示す図である。
【図6】本発明に係るネットコンベアにおける更に他のネット構成材の要部及び連結状態を示す図である。
【図7】本発明に係るネットコンベアの他の構成例を示す図である。
【図8】本発明によらない場合の欠点を示す図である。
【図9】本発明によらない場合の欠点を示す図である。
【符号の説明】
1 ネット構成材
1a ネット構成材
2 第1折曲部
3 第2折曲部
4 第3折曲部
5 第4折曲部
6 凹陥部
7 フック部
8 縦線部
9 縦線部
10 横線部
10a 横線部
11 横線部
12 立上り部
13 傾斜部
14 ストッパー
15 横滑りストッパー

Claims (4)

  1. 斜め下方向への第1折曲部、横方向への第2折曲部、斜め上方向への第3折曲部及び横方向への第4折曲部を、前記第1折曲部と前記第2折曲部間並びに前記第3折曲部と前記第4折曲部間の各縦線部を他の部分よりも低位に形成して設けた凹陥部を1又は複数有し、前記縦線部の両端の立上り部に傾斜部を設けると共に、前記縦線部間の横線部の裏面に横滑りストッパーを突設したプラスチック製のネット構成材を、前記凹陥部を他の前記ネット構成材の前記凹陥部に嵌め込むことによって多数連結して構成されるプラスチック製ネットコンベア。
  2. 斜め下方向への第1折曲部、横方向への第2折曲部、斜め上方向への第3折曲部及び横方向への第4折曲部を、前記第1折曲部と前記第2折曲部間並びに前記第3折曲部と前記第4折曲部間の各縦線部を他の部分よりも低位に形成して設けた凹陥部を1又は複数有し、前記縦線部の両端の立上り部を傾斜させると共に、前記縦線部間の横線部の裏面に横滑りストッパーを突設したプラスチック製ネット構成材を、前記凹陥部を他の前記ネット構成材の前記凹陥部に嵌め込むことによって多数連結して構成されるプラスチック製ネットコンベア。
  3. 前記立上り部の上端に嘴状の上昇ストッパーを設けた請求項1又は2に記載のプラスチック製ネットコンベア。
  4. 請求項1又は2に記載のネット構成材で、前記凹陥部を1つ有するものと2つ有するものを組み合わせて連結して構成されるプラスチック製ネットコンベア。
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