JP3949711B2 - 昆虫ステロイドレセプターdna配列の同定及び発現 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、一般的に昆虫ステロイドレセプター超科成分の特徴である核酸配列及びポリペプチドに適用する組換えDNA法の利用、そしてより詳しくはこのようなレセプター及び培養細胞におけるタンパク質の生産性のための発現が調節される遺伝子に結合しているDNA調節因子、更には昆虫の成長をコントロールする新しいホルモンの同定におけるこのようなホルモンレセプタータンパク質及び遺伝子の利用に関する。
発明の背景
遺伝子発現の期間的順序(temporal sequence)は受精卵子から成人動物への成長における段階の特徴及び順序を決定する。一般的なみばえ(fruit fly)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)はこのような成長の遺伝子的コントロールの研究のための好適なモデル系を提供する。ショウジョウバエの成長の種々の様子は一般の昆虫を代表し、更に数多くの観点において、脊椎動物を代表する。
β−エクジソンとしても知られるステロイドホルモン20−OHエクジソン(ecdysone)はあらゆる昆虫における成長の時期をコントロールする。一般的にKoolman(編)、Ecdysone:From Che-mistry to Mode of Action,Thieme Medical Pub., N.Y.(1989)を参照のこと。これは本明細書に参考として組入れる。一般語「エクジソン」がしばしば20−OHエクジソンの略語として利用される。昆虫成長における短時間にわたる振幅する、上昇する及び下降するエクジソンの濃度がショウジョウバエの成長の種々の段階にて観察される。これらの段階は胚形成、三段階の幼虫期及び二段階のさなぎ期を含む。第三期の終わりでのエクジソン振幅又は最後の幼虫期振幅は幼虫から成虫バエへの変態の開始を誘発する。成虫組織と称される一定の組織は成虫の器官、例えば目、羽及び肢の形成を始めるように誘発される。
成長の幼虫期の際、巨大な多系染色体が成虫でない幼虫組織において発生する。このようなケーブル状の染色体は約2,000本迄の染色体コピーを含んで成る凝集体より成る。このような染色体凝集物は非常に有用であり、その理由はこれらは、染色体内における一定の遺伝子の位置が非常に高い程度の分解能で決定できる手段(これは通常の染色体に関して一般に可能なものよりも数桁高い)を提供するからである。
多系染色体における「パフ」はケーブル状多系染色体凝集物の局部膨張又はふくらみであり、これら凝集物はこのパフ遺伝子座での遺伝子の転写に関与する。従ってパフは、染色体における特定の位置に局在している遺伝子の転写の指標である。
遺伝子的調節モデルは幼虫から成虫への変態の引き金となるエクジソン振幅によって誘発される多系パフの期間的順序の説明のために研究された。
Ashburnerら “On the Temporal Control of Puffing Activityin Polytene Chromosomes”Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol.38:655-662(1974)を参照のこと。このモデルはエクジソンがレセプタータンパク質、即ちエクジソンレセプターに可逆的に相互作用してエクジソン−レセプター複合体を形成せしめることを示した。この複合体は、半ダースの瞬時に誘発される「初期型」パフにとって重要なわずかな「初期型」遺伝子の転写を直接的に誘発せしめるのであろう。このような初期型遺伝子は、「後期型」パフの形成にとって重要な第2組の「後期型」遺伝子の転写を誘発せしめる調節タンパク質をコードするものと考えられている。従ってこのモデルは三つのランクの遺伝子的調節段階、即ち、第1のランクにおけるエクジソン−レセプター遺伝子、第2のランクにおける初期型遺伝子及び第3のランクにおける後期型遺伝子を規定する。このモデルは成虫でない組織において観察されたパフィングパターンに由来するが、類似の遺伝子的調節段階がエクジソンの標的でもある成虫組織の成長における変態的変化、及びその他の成長期にて生ずるエクジソンの振幅によって誘発される組織成長における変化からもわかった。
種々の構造学的データーが脊椎動物ステロイドに対するレセプター及びその他の親油性レセプタータンパク質に由来している。このようなレセプターの「超科」(superfamily)はそれらの構造的類似性に基づいて規定される。Evansの“The Steroid and Tyroid Hormone Receptor Super family”Science 240:889-895(1988);Green and Chambon“Nuclear Receptors Enhance Our Understanding of Transcription Regulation”Trend in Genetics 4:309-314(1988)を参照のこと。両方とも本明細書に参考として組入れている。これらの機能を定義すると、対応のホルモンと複合したこのようなレセプターは、上記のモデルにおけるエクジソンレセプターに関して考えられた通り第1の標的遺伝子の転写を調節する。
栽培農業は世界中において食品生産の効率を大いに高めた。しかしながら種々の害虫が栽培した食品の起源をそれら自身の都合のために利用している。これら害虫はその種類の特徴の一連の一過性現象によって成長する。ショウジョウバエを含む多くはまずいも虫又はうじ様の幼虫形態にまず成長する。その後、これらは変態し、これより解剖学的な特徴を有する成虫が発生する。解剖学的類似牲はこれらの昆虫の間で分かち合う発生的、生理学的及び生化学的類似性を反映する。特に、前記したショウジョウバエ成長における昆虫エクジステロイド−ホルモンレセプターの機能を支配する原理は、あらゆるタイプの昆虫の間で分かち合われているようである。
昆虫による栽培作物の災害に対する一つの武器としての殺虫特性を有する有機分子が、昆虫集団を撲滅するための手法において一般に利用されている。しかしながら、その広い活性及び特異性の欠如、更にはいくつかのこのような殺虫剤は容易に生体分解されないことに基づくこれらの殺虫剤の生態学的副作用は明らかに昆虫及びその他の動物の種の両方の集団に影響を及ぼすであろう。いくつかのこれらの集団は生態学的又はその他の見地から好都合なものでありうる。更に、昆虫集団は適用された殺虫剤の作用を小さくするように進化するため、大量の殺虫剤を散布することが必要とされ、人間を含むその他の動物への大いなる直接的及び間接的作用が生ずる。従って、特異性が高く、且つ高活性であり、そして生物分解性である殺虫剤についての重要なるニーズが存在している。エクジステロイドのように、ステロイドレセプター超科の昆虫成分と複合して昆虫成長をコントロールする新規なる昆虫ホルモンはこのような所望される特性を有する殺虫剤の候補である。
昆虫ホルモンの利用はその他の重要な用途も有する。あらゆる医療的及び商業的に重要なタンパク質は遺伝子操作された細菌によって有用な形態において生産されうる。しかしながら、多数の発現されるタンパク質は細菌において不適切にプロセスされ、従って遺伝子的に操作された真核細胞によって生産されることが好ましい。一般に酵母細胞又は哺乳動物組織培養細胞が利用される。酵母細胞における異種タンパク質のタンパク質プロセシングもしばしば不適切に観察されるため、哺乳動物培養細胞が多数のタンパク質の生産のための中心的焦点となってきている。大量の異種タンパク質の生産はこのような細胞を不健全にし、所望のタンパク質の収量を悪くすることが一般に知られている。このような問題はある程度、誘発性発現システムを用いることによって解決されうる。このようなシステムにおいて、これらの細胞は操作され、増殖培地に誘発因子が付加される迄異種タンパク質を発現できないようにされる。この方法において、大量の健康細胞を搾り上げることができ、その後大量の異種タンパク質を生産するように誘発できる。残念ながら、現状の有用なシステムにおいて、このような誘発因子、例えば金属イオン又は高温自体が細胞に悪影響を及ぼし、従ってまたこの細胞が提供する所望の異種タンパク質の収量を低める。従って組換えタンパク質の効率的な生産のための温和な誘発因子の開発のニーズが存在する。このような因子は、特定のタンパク質を生産できないことに苦しむ人間患者の治療に関するすばらしい価値も示す。これらの因子による治療は病気の個体において生産されるタンパク質の時期及び量をコントロールする。
ステロイドレセプター超科の哺乳動物又はその他の脊椎動物の成分と複合するホルモンは上記の温和な因子の候補とはならない傾向にあり、その理由はこれらはこのようなレセプターを有する細胞における多数の標的遺伝子の発現性を変え、従って宿主細胞に悪影響を及ぼすであろうからである。
このような及びその他の理由により、ステロイドレセプターを得ること及びそれらについての核酸情報を得ることはここ数年研究者にとっての目標であった。残念ながら、大いなる手段の研究にもかかわらず、有用な結果は得られていない。ステロイドレセプターの構造及び分子生物学的な情報の欠如はこのような生成物の生産の可能性を大いに遅らせている。
従って、ステロイドレセプター超科の昆虫成分における詳細な配列情報及びこれらのレセプターをコードする遺伝子並びに結果としての試薬が要望されている。ステロイドレセプター超科の天然昆虫成分の拮抗薬もしくは作動薬として働きうる、又は哺乳動物細胞における組換えタンパク質の高特異性調節に関するシステムの成分として働きうる新しい分子の探索において有用な試薬を提供する。
発明の概要
本発明に従い、単離せしめた組換え核酸を提供し、これは発現に基づき、天然でない脊椎動物ステロイドレセプター又はそのフラグメントをコードすることができる。これらの核酸は一般に、ステロイド結合性ドメイン相同性を有する昆虫ステロイドレセプター超科成分、例えばEcR、DHR3、E75A又はE75Bに由来するドメインA,B,D,E又はFの1もしくは複数のコード領域に実質的相同な配列を有するセグメントを含んで成る。好ましくは、この核酸は昆虫ステロイドレセプター超科成分に対するリガンドに結合できるポリペプチドをコードし、そして選択的ハイブリダイゼーション条件、通常は緊張ハイブリダイゼーション条件のもとで昆虫ステロイドレセプター超科成分遺伝子とハイブリダイズすることができる。
他の態様において、ステロイド結合性ドメイン相同性を有する昆虫ステロイドレセプター超科成分のコードセグメントの約20個以上のヌクレオチドにわたって同一性を示す配列を有する、単離せしめた組換え核酸が含まれる。この核酸は、昆虫ステロイドレセプター超科のリガンドに応答するコントロール因子に結合するポリペプチドを発現せしめるために細胞の中に形質転換させることができる。
地方、20−OHエクジソンレセプター以外の昆虫ステロイド超科成分、例えばDHR3、E75A又はE75Bに結合できるDNA配列を含んで成る単離したDNA配列を提供する。このDNA配列は一般に発現ベクターに存在し、そして昆虫ステロイドレセプター超科成分が結合することに応答して、作動連結されている配列(例えばポリペプチドをコードするもの)の転写を促進せしめる。該核酸を含んで成る細胞を提供し、これらの細胞は該ポリペプチドを発現する。一定の態様において、哺乳動物細胞を含む昆虫以外の細胞が利用されるであろう。例えば昆虫ステロイドレセプター超科成分リガンド応答性コントロール因子、非熱的ショックプロモーター配列(例えばアルコールデヒドロヂメーゼプロモーター)及びリポーター遺伝子を含んで成る配列に結合するようなリガンドに応答するコントロール因子を含んで成る組換え核酸も考慮する。通常、コントロール因子はリガンドの存在に応答してリポーター遺伝子の転写を行わさせるよう作動するであろう。
本発明の更なる態様は昆虫ステロイドレセプター超科成分又はそのフラグメントを含んで成るポリペプチドを含み、ここでこのようなポリペプチドは天然的に結合している昆虫細胞成分を実質的に有さず、そしてホルモン結合性ドメインを有する昆虫ステロイドレセプター超科成分の生物学的活性の特徴を示す。好ましくは、この昆虫ステロイドレセプター超科成分又はそのフラグメントはDNA結合性ドメインも含んで成り、そしてこのポリペプチドは、昆虫ホルモン、昆虫ホルモン作動剤及び昆虫ホルモン拮抗剤より成る群から選ばれるホルモン類似体に結合できる。このポリペプチドはジンク−フィンガードメインを含むことができ、そして通常は昆虫ホルモンに応答性のDNAコントロール因子に結合できる。任意的に、このポリペプチドは第2のポリペプチド、典型的には第2ステロイドレセプター超科成分を含んで成る異種ポリペプチドと融合させてよい。該タンパク質を含んで成る細胞、通常は哺乳動物細胞を提供する。
このようなポリペプチドのフラグメントは共通E1、E2又はE3領域配列と実質的に相同な配列を有すことができる。例えば、好ましいフラグメントは:
共通E1領域配列と少なくとも約25%相同なセグメント;
共通E2領域配列と少なくとも約30%相同なセグメント;
共通E3領域配列と少なくとも約30%相同なセグメント;を含んで成る配列を有する。
本発明のポリペプチドは種々の用途を有する。例えば、昆虫ステロイドレセプター超科成分によって特異的に結合されることができるDNA配列を選別する方法は、このようなポリペプチドに結合するためのDNA配列のスクリーニング及びこのような結合性を示すDNA配列の選別の段階を含んで成ることがある。他方、昆虫レセプター超科成分のホルモン結合性ドメインへの結合に特異的なリガンド、例えばエクジステロイドホルモンを選別する方法は、1もしくは複数の種類の超科成分に結合性の化合物のスクリーニング及び該成分に特異的な結合性を示す化合物を選別する段階を含んで成ることがある。
更に、昆虫ステロイドレセプター超科成分に結合性の化合物をスクリーニングし、前記結合性を示す化合物も選別し、そして昆虫にこのリガンドを投与することを含んで成る昆虫の生理機能又は成長を調節する(例えば殺す)ための方法も含まれる。
更には、昆虫ステロイドレセプター超科成分のリガンド結合性ドメインに特異的に結合するリガンドを選別する方法であって、
(i)第2ステロイドレセプター超科成分のDNA結合性ドメインに機能的に連結しているリガンド結合性ドメインも含んで成る融合ポリペプチドと;
(ii)第2ポリペプチドをコードする第2核酸配列(ここでこの第2核酸配列の発現性は該DNA結合性ドメインによる結合に応答性である);とを組合わせ、
この第2ポリペプチドの発現を誘発する活性について化合物をスクリーニングし;そして
これを行う化合物を選別することを含んで成る方法を提供する。
これは通常細胞、例えば融合タンパク質をコードするDNAによって形質転換された細胞において実施されるであろう。この方法は昆虫の生理機能又は成長を調節するのに有用な類似体の選別を可能にする。
更には、ポリペプチドを生産するための方法であって、以下の段階;
細胞、典型的には昆虫ステロイドレセプター超科リガンドの暴露に対して実質的に感受性でない哺乳動物又は植物細胞を選び;
前記細胞の中に:
(i)該リガンドに対するレセプター;及び
(ii)該ポリペプチドをコードする核酸配列(ここでこの核酸配列は選別したリガンドの存在に応答性であるコントロール因子と作動連結している)を導入せしめ、これにより形質転換細胞を作り上げ;そして
この形質転換細胞を該リガンドに暴露せしめることを含んで成る方法を提供する。
通常この細胞は哺乳動物細胞であり、そして時折りまるごとの生物、例えば植物又は動物に導入せしめることがありうる。
ここで提供される核酸及びタンパク質の発現レベルの測定のためのキットも有用に作り出せる。一般に、このキットは、所望の標的分子、例えばリガンド類似体、レセプター又は核酸に特異的に結合する試薬を含む少なくとも1つの区分を有するであろう。
【図面の簡単な説明】
図1。Cu2+ -誘発性EcR発現プラスミドであるpMTEcR。PMT,EcR ORF 及びAc+5cポリA因子は実験例III、A章において定義する。HYGrORFはヒグロマイシン耐性を授け、そしてこれはショウジョウバエトランスポーザブル因子、copiaのLTRにおけるプロモーターのコントロール下にある。
SV40イントロン/ポリA因子は可能なスプライシング条件、及びHYGrORFmRNAに関するポリアデニル化/切断配列を提供する。pAT153DNAは細菌プラスミドに由来する。
図2。エクジソン−誘発性pEcRE/Adh/βgalリポータープラスミド。このプラスミドの作製及びこの図面に規定されている全ての記号の定義(SV40スプライス及びポリAを除く)については本明細書の実験例IV、B章を参照のこと。
図3。構成的EcR発現プラスミド、pActEcR。このプラスミドの作製及び記号の定義は実験例III、B章を参照のこと。
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、ステロイドレセプター超科の昆虫成分の構造及び/又は活性を示すポリペプチド生成物をコードする新規なる単離した核酸配列を提供する。このような昆虫ステロイドレセプターの構造をこれらの遺伝子から明らかにすることで、別々のリガンド−結合性ドメイン及びDNA−結合性ドメインは個々にもしくは組合せて、これらのドメインに結合する新しいリガンド又はDNA配列をスクリーンするために用いられる。従って、例えばDNA結合性部位の一体化したプロモーター配列に結合することにより、これらのレセプターは通常リポーター遺伝子(これに対する高感度なアッセイが存在する)の発現をコントロールする。又は、このホルモン−結合性ドメインはステロイドレセプター超科成分の作動薬又は拮抗薬のスクリーニングのための試薬として働く。新規な分子のクラス又は選ばれた既知リガンドの改質体のいづれもがレセプター結合性に関してスクリーンされる。この方法において得られる新規なるリガンドは特異性の高い且つ活性の高い天然の殺虫剤として利用される。他方、該リガンドと結合性ドメイン間の相互作用についての構造学的情報は該結合性ドメインにおける特定の残基の突然変異化又は置換に関する手法を導き、これによって変異した結合特異性が提供される。従って、とりわけ本発明は新しいリガンド分子のための、新しいリガンド結合性ドメイン相互作用のデザインのための、新しいキメラステロイドレセプター超科成分の生産のための、更にはリガンドと結合性ドメインの新しい組合せを作り出すためのスクリーニングを提供する。
本発明は新規なるステロイドホルモン−応答性因子及び対応の遺伝子の単離又は同定も提供する。ステロイドレセプター超科成分のDNA−結合性ドメインによる結合に応答性であるDNAコントロール因子への、選ばれた配列の適切な作動連結により、新しい調節組合せが得られる。本発明は更に、一定のDNA配列を認識するであろう昆虫ステロイドレセプター超科の成分における結合性ドメイン、又は逆にレセプターDNA−結合性ドメインに結合するであろう改質したDNA配列のいづれをもデザインすることを提供する。超科−成分ポリペプチドのDNA−結合性ドメイン及びそのDNA認識配列の両者とも完全に新しいレセプターDNA相互作用を提供するために対等に改質せしめることができる。
他の態様において、選択したレセプターによって認識されるDNA−結合性配列は誘発性発現のための所望の遺伝子配列に作動連結させることがある。従って、この選ばれたレセプターに特異的なリガンドの投与に基づき、この遺伝子配列は適切に調節される。昆虫ステロイドレセプター超科−特異性リガンドの投与に応答性である発現システムを作製した。この昆虫ステロイドレセプター超科の新しい成分を同定且つ単離せしめることにより、ホルモン及びコントコール因子に関する有用な調節性試薬を得ることができる。
他の態様において、遺伝子の発現の高い調節性がこの超科成分に特異的なリガンドに応答性の調節因子の利用によって成される。発現が抑えられる又は誘発されない条件のもとで形質転換細胞を増殖せしめると、この細胞は高密度迄増殖し、そしてこれらは緊張のない条件で良好な状態を保つであろう。高密度に達することに基づき、該調節リガンド分子を加えて高い発現率を生じさせる。この誘発性リガンドに何ら感受性でない選ばれた細胞は用いたリガンドへの暴露に影響を受けて発現が抑制されることはないであろう。このことは、遺伝子の効率性の高い調節発現及びこのような遺伝子を完全生物に導入せしめることのための両方の手段を提供する。
本発明の特定の態様に従い、昆虫ステロイドホルモンレセプター超科の部分をコードする核酸配列が明らかとなった。ショウジョウバエステロイドレセプター超科の4種類の成分をコードするDNAが特徴付けられた:(1)全長コード配列の決定された20−OHエクジソンレセプター(エクジソンレセプター(EcR)とも呼ばれる);(2)種々のステロイドレセプター超科成分と相同性の配列を有するタンパク質、ショウジョウバエホルモンレセプター3(DHR3);(3と4)同一の遺伝子のセグメントによりコードされ、そしてそれぞれ他のステロイドレセプター超科成分に相同性の配列を保有し、近親をタンパク質であるE75A及びE75B。
昆虫ステロイドレセプター超科のこれらの成分それぞれをコードするDNA配列は、ショウジョウバエ及びその他の起源における相同性の核酸配列についてのスクリーニングのためのプローブを提供する。このスクリーニングは脊椎動物及び無脊椎動物両方に由来する相同性の遺伝子の単離を可能とする。大量のコード化タンパク質の生産はこのような配列を発現システムの中に挿入することで行われる。
EcR、DHR3、E75A及びE75B遺伝子はそれぞれ、昆虫ステロイドに応答性であるコントロール又は調節因子として働くようである類似のDNA配列に連結している。本発明はこのようなホルモン−応答性コントロール因子の単離及び遺伝子発現の調節におけるそれらの利用を提供する。DNA構造体の一つの態様は:(1)昆虫ステロイドレセプター超科コントロール因子の複数のコピー;これが連結する(2)小さな遺伝子プロモーター(好ましくは熱ショック遺伝子プロモーターでない)であって(3)作動連結した遺伝子の高い誘発性発現を提供するプロモーターを含んで成る。
本発明の他の態様は細胞であって:
(1)昆虫ステロイドレセプター超科タンパク質の生物学的に活性なフラグメントをコードする単離せしめた組換え遺伝子セグメント;(2)昆虫ステロイドレセプターに結合するDNA配列、例えばホルモン−応答性コントロールに関与する因子;又は(3)改質したレセプタータンパク質を含んで成る細胞を含む。形質転換細胞はそれらの子孫を含んでいると理解される。特に、本発明はポリペプチドの発現がステロイドの導入に応答性であるシステムを提供する。例えば、エクジソン類似体への暴露に応答して所望のタンパク質を発現するシステムは、エクジソン−応答性エンハンサーを有するプロモーターをペプチドコード化セグメントに作動連結させることにより作製する。
本発明は更に、天然に連結している昆虫細胞成分を実質的に有さない昆虫ステロイドレセプタータンパク質を提供する。このようなレセプターは一般に全長タンパク質、機能性フラグメント、又は融合タンパク質であって異種もしくは通常近接していないタンパク質ドメインと融合している昆虫ステロイドレセプタータンパク質由来のセグメントを含んで成るもののいづれかであろう。
本発明は更に対象のレセプタータンパク質を利用する多数の方法を提供する。本発明の一つの態様は新しいホルモン類似体を選別する方法である。単離したホルモン−結合性ドメインはホルモンリガンドと特異的に結合し、これによって該リガンド−結合性領域に対して高い親和性を有する結合の性質を保有する新しい分子のスクリーンのための手段を提供する。従って、昆虫ステロイドレセプター超科成分の結合性ドメインは結合アッセイを開発するための試薬として利用されるであろう。一つのレベルにおいて、この結合性ドメインはバッチ又はカラム選別プロセスのためのアフィニティー試薬として、即ち、結合するリガンドを選択的に保持するものとして有用である。他方、リガンド−結合性に対する高い感度のため、直接的結合アッセイ、又は容易にアッセイされる機能に結合性が関与する間接的アッセイのいづれの機能的アッセイが好ましい。例えば、容易にアッセイされるリポーター遺伝子を、昆虫ステロイドレセプター超科成分による結合に応答性のコントロール要素に作動連結させることにより(ここでリガンド−結合はタンパク質合成を誘発する)、リガンド又はレセプターの存在についての非常に高感度なアッセイが得られる。20−OHエクジソンの存在をアッセイするのに有用なこのような構造体を以下に詳細する。この構造体は20−OHエクジソンリガンドの作動薬又は拮抗薬についてのスクリーニングに有用である。
特に、本方法は「オーファン」(orphan)レセプター、即ち、そのリガンドが未知であるレセプターに結合するリガンドを選別することを可能にする。「未知」のリガンドについての結合性ドメインはしばしば新しく同定した昆虫ステロイドレセプター超科成分、又は突然変異誘発のいづれかを起源とする。ハイブリドレセプターは異なる起源由来のリガンド結合性ドメインとDNA−結合性ドメインにより作り上げられうる。例えば、推測の結合性ドメインと既知のDNA−結合性ドメイン間のハイブリドレセプターがリガンドについてのスクリーニングを可能にする。「オーファンレセプター」結合性ドメインを、発現が容易に検出されうるであろう既知のリポーター遺伝子構造体をコントロールするであろう既知のDNA−結合性ドメインと機能的に連結されうる。
リガンド−レセプター結合性についてのこのシステムはリガンド−レセプター相互作用に関する非常に高感度なアッセイを提供する。
他方、昆虫ステロイドレセプター超科成分に由来するリガンド結合性ドメインとそのリガンドとの間の四次構造及び空間相互作用の重要なる特徴の認識は、リガンド−結合性ドメインとリガンドとの新しい組合せの選択を可能にするであろう。いづれの方法も、レセプターの改質されたポリペプチド−結合性ドメインに特異的に結合する普通ではないリガンドを選別するための方法を提供する。
本発明は更に、新しく且つ有用な、種々の関連成分即ち:該ポリペプチドをコードする組換え核酸配列、該ポリペプチド配列及びこのレセプターが結合するDNA部位(即ち、調節又はコントロール因子)の組合せを提供する。例えば、種々の起源申来のペプチドをコードする核酸配列の部分を融合することは、ハイブリド特性、例えば通常でないコントロール及び発現特性を示すポリペプチドを提供するであろう。特に、該超科の他の成分又は他の起源に由来するセグメントを含んで成るハイブリドレセプターが作られうる。昆虫ステロイドレセプター−応答性エンハンサーセグメントを異なるポリペプチドコード化セグメントと組合せることは、このポリペプチドのためのステロイド−応答性発現システムを提供するであろう。
昆虫ステロイドレセプターの単離は、レセプター結合のための新しいリガンドの単離又はスクリーニングを提供する。これらのうちのいくつかは正常な昆虫成長を妨げる又は崩壊させるであろう。これらの試薬は利用者が昆虫の成長を促進せしめる又は退行させることを、例えばリリース(release)のための不妊成虫の生産において可能とする。他方、成長の時期を遅らせるもしくは変えることは通常致死的であるか、又は農作物に昆虫が影響を及ぼす能力を劇的に変えるであろう。従って昆虫の成長を崩壊することができる天然の生物分解され且つ高活性子分子が得られるであろう。
更に、これらのポリペプチドは、特定のステロイドレセプタークラスへの結合の特異性を有する抗体を発生せしめる手段を提供する。従って、これら又は相同性のポリペプチドの存在を定性的にもしくは定量的に測定するための試薬が作られうる。他方、これらの抗体はレセプターポリペプチドの選別又は精製のために利用されうる。
昆虫ステロイドレセプター超科成分の転写配列
エクジソンレセプター遺伝子は、リガンド−応答性転写因子のグループである。ステロイド及び甲状腺ホルモンレセプター遺伝子超科の成分である、Evans(1988)Science 240:889-895;及びSegraves, Molecular and Genetic Analysis of the E75 Ecdysone-Res-ponsive Gene of Prosophila melanogaster(Ph.D. thesis, Stanford University 1988)を参照のこと。これら両方とも参考の目的で本明細書に組入れる。これらのレセプターは長い配列類似性(特にそれらの「ジンクフィンガー」DNA−結合性ドメインにおいて)、更にはリガンド(又はホルモンもしくはステロイド)結合性ドメインを示す。遺伝子発現の調節は明らかに、DNA因子を特異的にコントロール又は調節するレセプターの結合に応答して生ずる。レセプターcDNAのクローニングはステロイド作用の分子ベースでの研究のための第1の機会を提供する。このステロイドレセプター超科は類似の構造的及び機能的な特徴を示すクラスのレセプターである。本明細書にて昆虫なる語を用いているが、同一の方法及び分子はその他の動物の種、特に網、昆虫類に属するもの、又はより広く、ホルモンとしてエクジステロイドを利用する門、節足動物に属するものに由来することができることが理解されるであろう。昆虫ステロイドレセプター超科の成分は機能的なリガンド−結合性及びDNA結合性ドメインによって特徴付けられ、両方とも該レセプターのDNA結合性部位に作動連結している遺伝子の調節状態における変化を及ぼすよう相互作用する。従って、昆虫ステロイドレセプター超科のレセプターはリガンド−応答性転写因子のようである。本発明のレセプターは、E1,E2及びE3として表わす、特定領域に相同性の配列によって特徴付けられる少なくともホルモン−結合性ドメインを示す。
昆虫ステロイドレセプター超科の成分は一般に、初期においてエストロゲンレセプターとして定義される、特定ドメインの構造的相同性により特徴付けられる。特に、DNA−結合性ドメインC及びリガンド−結合性ドメインEは、Krustら(1986)EMBO J. 5:891-897によって同定された通り、更なるドメインによって分けられて並んでいる。これは本明細書に参考として組入れる。
Cドメイン、又はジンク−フィンガーDNA−結合性ドメインは通常親水性であり、高いシステイン、リジン及びアルギニン含有率を有する(所望される強いDNA結合に適した配列である)。Eドメインは通常疎水性であり、そして更に領域E1,E2及びE3として特徴付けられる。本発明のリガンド−結合性ドメインはこれらの3つの領域に対して、配列及び構造における有意な相同性を有することによって一般に特徴付けられる。Cドメインに対してアミノ近位しているのはAとBのドメインを分けるものとしての最初に規定される領域である。領域Dはより保存されているドメインCとEを分ける。領域Dは一般に疎水性領域を有し、その予想の二次構造はターンとコイルが豊富である。F領域はE領域に対してカルボキシ近位している(Krustら、前記を参照のこと)。
昆虫ステロイドレセプター超科の成分のリガンド−結合性ドメインは典型的に、以下に詳細のDNA−結合ドメインと比べてカルボキシル−近位である。Evans(1988)Science 240:889-895を参照のこと。ホルモン−結合性ドメイン全体は一般に約200−250個のアミノ酸の間であるが、潜在的にやや短い。このドメインは高い相同性のE1,E2及びE3領域と称するサブ領域を有する。例えば表4参照のこと。
E1領域は19個のアミノ酸の長さであり、共通配列AKX(L/I)PGFXXLT(L/I)(D/E)DQITLLを有し、ここでXは任意のアミノ酸を示し、そしてその他の文字は標準の単独文字コードを意味する。かっこ内における位置は択一的である。一般に、昆虫ステロイドレセプター超科の成分は表示の16箇所の位置のうちの少なくとも5箇所のマッチング、好ましくは約9箇所のマッチング、そしてより好ましい態様において約10箇所のマッチングを有する。他方、これらの昆虫ステロイドレセプター超科成分は、示した好ましいアミノ酸の位置にて、約25%以上の相同性、通常は約30%以上の相同性、より通常には約35%以上の相同性、一般には約40%以上の相同性、より一般には約45%以上の相同性、典型的には約50%以上の相同性、より典型的には約55以上の相同性、通常は約60%以上の相同性、より通常には約70%以上の相同性、好ましくは約80%以上の相同性、そしてより好ましくは約90%以上の相同性を示す相同性配列を有するであろう。
E2領域は19個のアミノ酸のセグメントであり、共通配列:E(F/Y)(A/V)(L/C)(L/M)KA(I/L)(V/L)L(L/I)(N/S)(S/P)D(P/-)(R/K)(P/D)GLを有する。
ここで−は任意的なアミノ酸の欠如を表わす。典型的には、昆虫ステロイドレセプター超科の成分は少なくとも6箇所のマッチング、好ましくは約8箇所のマッチング、そしてより好ましい態様において約9箇所のマッチングを有する。他方、これらの昆虫ステロイドレセプター超科成分は、示した好ましいアミノ酸の位置にて、約25%以上の相同性、通常は約30%以上の相同性、より通常には約35%以上の相同性、一般には約40%以上の相同性、より一般には約45%以上の相同性、典型的には約50%以上の相同性、より典型的には約55以上の相同性、通常は約60%以上の相同性、より通常には約70%以上の相同性、好ましくは約80%以上の相同性、そしてより好ましくは約90%以上の相同性を示す相同性配列を有するであろう。
E3領域は12個のアミノ酸のセグメントであり、共通配列LXKLLXXLPDLRを有する。
この昆虫ステロイドレセプター超科の成分は、E3領域における示した好ましい9個のうち少なくとも4箇所のマッチング、好ましくは約5箇所のマッチング、そしてより好ましい約6箇所のマッチングを有する。他方、これらの昆虫ステロイドレセプター超科成分は、示した好ましいアミノ酸の位置にて、約25%以上の相同性、通常は約30%以上の相同性、より通常には約35%以上の相同性、一般には約40%以上の相同性、より一般には約45%以上の相同性、典型的には約50%以上の相同性、より典型的には約55以上の相同性、通常は約60%以上の相同性、より通常には約70%以上の相同性、好ましくは約80%以上の相同性、そしてより好ましくは約90%以上の相同性を示す相同性配列を示した位置にわたり有するであろう。
好ましい態様において、昆虫ステロイドレセプター超科成分はE1領域において少なくとも約5箇所のマッチングを、E3領域において少なくとも約6箇所のマッチングを、そしてE3領域において少なくとも約4箇所のマッチング示すであろう。E1,E2及びE3領域は例えば表4において定義する。
このような昆虫ステロイドレセプター超科成分のDNA−結合性ドメインは「ジンクフィンガー」モチーフによって特徴付される。
Evans(1988)Science 240:889-895を参照のこと。このドメインは典型的にはリガンド又はホルモン結合性部位に対してアミノ近位している。典型的には、昆虫ステロイドレセプター超科成分のDNA−結合性ドメインはふさ状の塩基性残基、システインに富む構造及び配列相同性により特徴付けられる。Evans,R.M.(1988)Science 240:889-895;及び以下の実験の章を参照のこと。有意なるポリペプチド配列相同性が超科成分の間に存在する。この昆虫ステロイドレセプター超科成分はこのドメインの67±1個のアミノ酸領域において少なくとも約30%の相同性、一般には少なくとも約40%の相同性、通常は少なくとも約45%の相同性、そして好ましくは約55%の相同性を示すであろう。
ステロイドは、飽和テトラサイクリック炭化水素パーヒドロシクロペンタノフェナントレンの誘導体であるグループ「ステロイド」に属する分子、即ち、胆汁酸、例えばコール酸及びデオキシコール酸;副腎皮質ステロイド、例えばコルチコステロン及びアルドステロン;エストロゲン、例えばエストロン及びβ−エストラジオール;アンドロゲン、例えばテストステロン及びプロゲストロン;並びにエクジステロイドである。ステロイド又はステロイドホルモンは本明細書では同じ意味として用いられ、そして全てのステロイド類似体を含むことを意図する。典型的には、ステロイド類似体は種々の末梢化学基のわずかな修飾を有する分子である。エクジステロイドの詳細についてはKoolman(編)(1989)前記を、参照のこと。
昆虫ステロイドレセプター超科成分に対するリガンドは歴史的にステロイドとして特徴付けされているが、「昆虫ステロイドレセプター超科」における「ステロイド」なる語は文字通りの意味のみを有するのではない。「ステロイド」の利用は、特定の定義された分子構造を有する分子のみを含むと第1に認識されるグループのメンバーの歴史的表現に由来する。しかしながら、この限定はもはや通用せず、なぜならその機能は精密な構造にのみ関連するのではないからである。従って、リガンド−結合性特異性が歴史的に定義された「ステロイド」に向けられていない、本明細書で定義する昆虫ステロイドレセプター超科のメンバーが存在しているであろう。典型的には、昆虫ステロイドレセプター超科の成分に対するリガンドは、ステロイド分子の構造類似体である親水性分子である。
リガンドなる語は本明細書で「ホルモン−結合性ドメイン」として詳細するドメインに結合する分子を意味する。更に、昆虫ステロイドレセプター超科成分に対するリガンドは、この成分が結合する天然リガンドとして、又は作動薬もしくは拮抗薬として働く機能的な類似体のいづれかとして働くリガンドである。「ホルモン」の歴史的な定義は生理学者によって機能的に定義されている。例えばGuyton, Textbook of Medical Physiology Saunders, Philadelphiaを参照のこと。機能的な語「ホルモン」を歴史的な有用性によって利用するが、しかしこれは細胞の種類間の連結に利用されるその他の化学メッセンジャーにも適用するように意味する。近年、ホルモンと神経伝達物質との間の区別はなくなりつつあり、なぜなら種々のペプチド神経伝達物質は歴史的に定義されているホルモンの特性を示すことが示されているからである。これらの分子は一般的に細胞内シグナル変換において利用されるが、遅いもしくは全身系作用を有する分子又はリモート部位として働くそのような分子に限定されるわけではない。
核酸内容物における実質的相同性とは、セグメント又はその相補鎖のいづれかを比較したとき、適切に並べた場合に適当喀ヌクレオチド挿入もしくは欠失を伴いながら、少なくとも約40%の残基、一般には少なくとも約45%、より一般には少なくとも約50%、通常には少なくとも約55%、より通常には少なくとも約60%、典型的には少なくとも約65%、より典型的には少なくとも約70%、通常には少なくとも約75%、より通常には少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約85%、そしてより好ましくは少なくとも約95%のヌクレオチドが同一であることを意味する。他方、セグメントは選択的ハイブリダイゼーション条件のもとで鎖又はその相補鎖と、典型的には表1,2もしくは3に由来する配列を用いることによってハイブリダイズするとき、実質的な相同性がある。ハイブリダイゼーションの選択性はハイブリダイゼーションが起こるときには存在し、これは特異性の全体的な欠如よりもより選択的である。通常選択性ハイブリダイゼーション、少なくとも約14〜25個のヌクレオチドの鎖にわたって約55%以上の相同性、一般には約65%以上、典型的には約75%以上、通常は約85%以上、好ましくは約90%以上、そしてより好ましくは約95%以上の相同性があるときに起きる。Kanehisa,M.(1984)Nucleic Acids Res. 12:203-213を参照のこと。これは本明細書に参考として組み入れる。緊張ハイブリダイゼーション条件は塩濃度を約2.5M以下、一般には約1.5M以下、典型的には約1M以下、通常は約500mM以下、そして好ましくは約200mMで含むであろう。温度条件は正常には約20℃以上、より正常には約25℃以上、一般には約30℃以上、より一般には約55℃以上、典型的には約40℃以上、より典型的には約45℃以上、通常は約50℃以上、より通常には約55℃以上、そして特定の態様においては60℃以上、更には80℃以上でさえもありうる。その他の要因がハイブリダイゼーションの緊張性に有意に影響を及ぼすことができ、とりわけ塩基組成及び相補鎖のサイズ、有機溶媒の存在及び塩基誤対合の程度が含まれ、パラメーターの組合わせはいづれの絶対尺度よりもより重要である。
昆虫ステロイドレセプター超科成分遺伝子に関する遺伝子は、その上流(例えばプロモータ)及び下流に作動連結したコントロール因子を、相補鎖と同様に含む。一般的に、Watsonら、(1987)The Molecular Biology of the Gene Benjamin, Menlo Parkを参照のこと。これは参考として本明細書に組み入れる。遺伝子は一般的に、イントロン及びエキソンの両方を含む転写ユニットをコードするセグメントも含んで成る。従って、単離せしめた遺伝子は、本発明のレセプター遺伝子のコントロール又は転写せしめたセグメントのいづれかにハイブリダイズする遺伝子配列をプローブ化することによって、新しいステロイドレセプター遺伝子についてのスクリーニングを可能にする。特定の対象の3つのセグメントは、上流及び下流の両方のコントロール因子、並びにDNA−結合性セグメント及びホルモン−結合性セグメントをコードするセグメントである。このようなスクリーニングに利用できる方法は、ハイブリダイゼーション又はアフィニティーラベル化において一般的に利用されるものと類似である。
核酸プローブは放射性又は非放射性ラベルを用いて通常ラベルされ、この多くをポリペプチドラベル化における章に記載する。核酸ラベル化に関する標準的方法は例えばSambrookら(1989);及びAusubelら(1987及び付録)に詳細されている。
昆虫ステロイドレセプター超科成分ポリペプチド
エクジソンレセプターのポリペプチド配列を表2に示す。その他の昆虫ステロイドレセプター超科成分ポリペプチド配列を表1及び3に記載する。これら昆虫ステロイドレセプター超科成分ポリペプチドをコードするcDNAの好ましい核酸配列も関連の表に提供する。縮重又は非普遍性(non-universality)の遺伝子コードの利用を可能にするその他の核酸がタンパク質をコードするのに利用されるであろう。
本明細書で用いる「実質的に純粋」なる語は、タンパク質又はその他の物質、例えば核酸がその天然の夾雑物から分けられていることを意味する。典型的には、モノマータンパク質は、少なくとも約60〜75%のサンプルが単独のポリペプチド主鎖を示すときに実質的に純粋である。わずかな変異又は化学修飾は同一のポリペプチド配列を共有する。通常、実質的に純粋なタンパク質は約85〜90%のタンパク質サンプルを含んで成り、そして好ましくは約99%以上純粋である。普通、純度はポリアクリルアミドゲル上で調べられ、その均一性は染色によって測定される。他方、一定の目的のために高分解能が必要とされ、従ってHPLC又は精製のための類似の手段が利用されるであろう。ほとんどの目的のためには、簡単なクロマトグラフィーカラム又はポリアクリルアミドゲルが純度の検定のために利用されるであろう。
「天然的に結合した昆虫細胞成分を実質的に含まない」なる語句は、タンパク質又はその他の物質、例えば核酸が、その天然昆虫細胞状態において一緒である天然夾雑物から分けられていることを意味する。従って、化学的に合成された、又は起源とする昆虫細胞とは異なる細胞系において天然的に合成されたタンパク質はその天然的に結合した昆虫細胞成分を含まない。この語句は、哺乳動物細胞又は植物細胞、E.コリ(E.coli)及びその他の原核細胞において合成された昆虫ステロイドレセプター超科成分及び核酸の説明に利用する。
本発明は昆虫ステロイドレセプター超科成分の類似体も提供する。このような類似体は、ポリペプチド主鎖への修飾、例えば挿入及び欠失、遺伝子的変異体、並びにポリペプチドの突然変異体を含む。修飾はポリペプチドの化学誘導、例えばアセチル化、カルボキシル化等を含む。グリコシル化修飾及び典型的なポリペプチドのプロセシング変異体も含まれる。このようなプロセシング工程は特に酵素修飾、例えばユビキチン(ubiquitinylation)が含まれる。例えばHershko and Ciechanover(1982)“Mechanisms of Intracellular Protein Breakdown”Ann.Rev.Bioch. 51:335-364を参照のこと。
その他の類似体には、天然及び誘発された両方の遺伝子的変異体が含まれる。誘発された突然変異体は種々の技術、例えば照射もしくはEMSへの暴露のような因子を利用するランダム突然変異誘発、又は位置特異的突然変異誘発技術を用いる操作された変化、又は古典的な分子生物学のその他の技術に由来する。例えばSambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版),CSH Press;及びAusubelら(1987及び付録)Current Protocols in Molecular Biology, Green/Wiley, New Yorkを参照のこと。それぞれ本明細書に参考として組み入れる。
前記した通り、レセプターのDNA−結合ジンクフィンガーセグメントは特定の標的DNA配列の特異性の高い認識性を示す。DNA−タンパク質結合相互作用の理解は、高い活性の調節のための結合性の特異性を及ぼすよう、DNAもしくはタンパク質の特性又はその両者の理論状態における改質を提供する。より重要には、昆虫ステロイドレセプター超科の新しい成分に関する遺伝子の単離は、このレセプターポリペプチドを生産するため及び新しいコントロール因子を単離するためのそれらの利用を可能にする。前記したDNA−結合性ドメインを利用することにより、対応の超科成分が結合することによりリガンドに応答性であるコントロール因子が同定且つ単離される。この方法はリガンドに応答性の種々のコントロール因子をもたらすであろう。上記の方法により、昆虫ステロイドレセプター超科のあらゆる特定の成分に対するリガンドが同定されるであろう。
コントロール因子は典型的にエンハンサーであるが、サイレンサー又は種々のその他のタイプのリガンド−応答性因子も含まれる。これらは通常遠く離れて作動するが、しかし典型的にはこれらの因子が調節する遺伝子の約50kb以内、通常は約35kb以内、より通常には約20kb以内、そして好ましくは約7kb以内にある。
ポリペプチドフラグメント及び融合体
実質的な全長ポリペプチドとは別に、本発明はこのポリペプチドの生物学的活性なフラグメントを提供する。有意な生物学的活性はリガンド結合性、DNA結合性、免疫学的活性及びステロイドレセプター超科成分のその他の任意の生物学的特性を含む。免疫学的活性は、標的免疫系における免疫原機能、同様に結合のための免疫学的エピトープの共有を含み、ステロイドレセプターエピトープに対する競合物質又は基質抗原のいづれかとして働く。
例えば、異なるポリペプチドに由来するリガンド−結合性又はDNA−結合性ドメインは、別の、又は新しい融合ポリペプチドもしくはフラグメントへと変換されうる。従って、特異性の新しい組合せを示す新しいキメラポリペプチドが、DNA−結合性ドメインに対するリガンド結合特異性の機能的な連結より得られる。これは誘発性発現システムのデザインにおいて非常に有用である。
免疫学的目的のため、免疫原は時折り直列に反復するポリペプチドセグメントより作られることがあり、これによって抗原性の高いタンパク質が作られる。他方、このようなポリペプチドは特異的な結合に対する有効性の高い競合物質として働きうる。昆虫ステロイドレセプター超科成分に対する抗体の製造は以下に記載する。
本発明はステロイドレセプター超科成分のフラグメントを含んで成るその他のポリペプチドも提供する。ステロイドレセプターセグメントとその他の同種又は異種タンパク質との融合ポリペプチド、例えば異なるタンパク質に由来する近接したペプチド配列を含んで成るポリペプチドを提供する。相同ポリペプチドは通常、異なるステロイドレセプター超科成分間の融合体であり、例えば一方の成分のリガンド特異性と他方のDNA−結合特異性を示すハイブリドタンパク質となる。同様に、異なるポリペプチドに由来する異種融合体を作製することができ、これは先祖タンパク質の特性又は活性の組合せを示すであろう。典型的な配列は、リポーターポリペプチド、例えばルシフェラーゼと、レセプターの他のドメイン、例えばDNA−結合性ドメインの融合体であり、これによって所望のリガンドの存在又は局在が容易に検出される。例えばDullら、米国特許第4,859,609号を参照のこと。これは本明細書に参考として組入れる。その他の典型的な遺伝子融合パートナーには、DNA−結合性タンパク質、細菌性β−ガラクトシダーゼ、trpEタンパク質A、β−ラクタマーゼ、アルファーアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ及び酵母アルファー交配因子と交換せしめた「ジンクフィンガー」を含む。例えばGodowskiら(1988)、Science 241:812-816;及び以下の実験の章を参照のこと。
昆虫ステロイドレセプター超科成分発現
該レセプターポリペプチドの配列及びこれらをコードする組換DNA配列により、大量の昆虫ステロイドレセプター超科成分が調製されうる。細胞におけるベクターの適切な発現により、効率性の高いタンパク質生産が成し遂げられうる。その後、標準的なタンパク質精製方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心、結晶化、他が利用できうる。タンパク質精製に関して典型的に利用される技術については、例えばDeutscher(1990)“Guide to Protein Purification”Methods in Enzymology第182巻他;及びAusubelら(1987及び付録)Current Protocols in Molecular Biologyを参照のこと。他方、いくつかの態様においては効率性の高い生産が不必要であるが、しかし慎重に操作せしめた発現システムにおける既知の誘発性タンパク質の存在はかなり重要である。例えば、(1)このタイプのリガンド−応答性エンハンサーが作動連結している(2)所望の遺伝子配列と、(3)対応の昆虫ステロイドレセプター超科成分の組合せを一緒に発現システムに置くことは、特異的に誘発される発現システムを提供する。所望の遺伝子配列は対象のタンパク質をコードし、そして対応のステロイドレセプター成分はしばしばエクジソンレセプターでありうる。典型的には、この発現システムは細胞であるが、しかし試験管内発現システムも組立てられうる。
所望の遺伝子はあらゆる選択できる発現ベクターの中に挿入できる。適切なベクター及び細胞系の選択は所望の生成物の条件に依存する。典型的な発現ベクターはSambrookら(1989)及びAusubelら(1987及び付録)に詳細されている。適切な細胞系は寄託機関、例えばATCCにより入手できる。ATCC Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(第6版)(1988)を参照のこと;ATCC細胞系、ウィルス及び抗血清はそれぞれ本明細書に参考として組入れる。これらのベクターは例えばSambrookら(1989)に詳細の通りの標準形質転換又はトランスフェクション工程によって所望の細胞に導入される。
融合タンパク質は典型的には組換核酸方法又は合成ポリペプチド方法のいづれかによって作られうる。核酸操作に関する技術は一般的に例えばSambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratoryに詳細され、これは本明細書に参考として組入れる。ポリペプチドの合成に関する技術は例えばMerrifield, J.Amer.Chem.Soc. 85:2149-2156(1963)に詳細されている。
本発明の融合タンパク質を作るために利用される組換え核酸配列は天然又は合成配列に典型的に由来するあろう。多数の天然遺伝子配列が、適切なプローブを用いることで種々のcDNA又はゲノムライブラリーから得られる。Gen Bank(商標),National Institutes of Healthを参照のこと。ステロイドレセプターのための典型的なプローブは標準工程に従って表1,2又は3の配列から選べる。Beaucage and Carrutheus, Tetra.Letts. 22:1859-1862(1981)に詳細のホスホラミジト方法は適切な合成DNAフラグメントを作り出し得る。次いで二重鎖フラグメント、相補鎖を合成し、そしてこれらの鎖を適当な条件のもとでアニール化せしめることにより、又は適切なプライマー配列を伴ってDNAポリメラーゼを利用する相補鎖の付加によって得られる。
単離せしめたステロイドレセプター遺伝子により、相同配列を通常は別の起源、例えば別の動物から単離するためのプローブとして、転写せしめたセグメントのセグメントが有用となる。プローブとして利用するセグメントの選択により、特に機能的に結合したセグメントが単離されうる。従って例えば、新しいレセプターのリガンド−結合性又はDNA−結合性ドメインのいづれかをコードするその他の核酸セグメントが単離されうる。他方、プローブとしてステロイド応答性コントロール因子を用いることにより、発現が調節される関連のDNAセグメントを伴って新しいステロイド応答性因子が単離されうる。この方法はリガンド−応答性遺伝子の単離を可能にし、その多数はそれ自体、昆虫ステロイドレセプター超科のメンバーでもある。
所望のステロイドレセプターフラグメントをコードする天然又は合成DNAフラグメントを、試験管内細胞培養に導入できる且つ発現するDNA構造の中に組込むことができる。通常、このDNA構造体は単細胞宿主、例えば酵母又は細菌における複製に適するべきであるが、しかしながら他方、ゲノムへの組込みを伴ってもしくは伴わないで、培養哺乳動物もしくは植物又はその他の真核細胞系への導入に意図されていてもよい。細菌又は酵母への導入のために調製したDNA構造体は典型的には、宿主により認識される複製システム、所望のレセプターポリペプチドをコードする意図されたDNAフラグメント、ポリペプチドコード化セグメントに作動連結している転写及び翻訳開始調節配列、並びにポリペプチドコード化セグメントに作動連結している転写及び翻訳終止調節配列を含む。転写調節配列は典型的には宿主により認識される異種エンハンサー又はプロモーターを含む。適切なプロモーターの選択は宿主に依存するが、しかしながらプロモーター、例えばtrp,laC及びファージプロモーター、tRNAプロモーター及びグルコース分解酵素プロモーターが知られている。Sambrookら(1989)を参照のこと。ステロイドレセプターDNA配列のための挿入部位を伴う、複製システム並びに転写及び翻訳調節配列を含む常用の入手可能な発現ベクターが一般的に利用されうる。細胞系及び発現ベクターの有用な例はSambrookら(1989)に記載され;更にMetzgerら(1988)Nature 334:31-36も参照のこと。
遺伝子構造体
昆虫ステロイドレセプター超科の成分をコードするDNAセグメントは典型的にはプラスミドベクターにおいて利用されうる。第1の態様において、発現コントロールDNA配列は、昆虫ステロイドレセプター超科成分単独の発現のために昆虫ステロイドレセプター超科成分コード化配列に作動連結している。第2の態様において、昆虫ステロイドレセプター超科成分は、昆虫ステロイドレセプターリガンドの存在に応答するその他のタンパク質の発現の能力を提供する。この後者の態様は以下に別に詳細する。発現コントロール配列は一般に、真核宿主細胞の形質転換又はトランスフェクティングの可能なベクターにおける真核エンハンサーもしくはプロモーターシステムを含むであろう。該ベクターを適当な宿主に導入せしめたなら、この宿主をその利用に依存して、高いレベルでのヌクレオチド配列発現に適する条件のもとに維持する。
選ばれた遺伝子のステロイド−応答性発現
その他の遺伝子のステロイド−応答性発現のため、このステロイドレセプター遺伝子は一般に、発現のためにこのステロイド−応答性エンハンサー又はプロモーター因子に作動連結している所望の遺伝子を含んで成る組換え構造体と一緒に形質転換されうる。この利用において、単一の発現システムは典型的には、(1)昆虫ステロイドレセプター超科成分のリガンドに応答性のコントロール因子、(2)発現のためにコントロール因子に作動連結している所望の遺伝子、及び(3)このコントロール因子に結合できる昆虫ステロイドレセプター超科成分の組合せを含んで成る。通常、このシステムは細胞内で利用されうるが、試験管内システムも可能である。この昆虫ステロイドレセプター超科成分は典型的にはこれをコードする核酸の発現によって提供されうる(高いレベルに発現されることが必要であろうと関係なく)。従って、ある好ましい態様において、このシステムは調節可能な構造体及び昆虫ステロイドレセプター超科成分をコードする他のセグメントの両方による細胞の同時形質転換を介して成し遂げられうる。通常、このコントロール因子はエンハンサー因子であるが、いくつかの因子は発現を抑えるように働く。この態様において、昆虫ステロイドレセプター超科成分に対するリガンドが所望される発現特性のために適切に提供される又は抑えられる。
特に有用な遺伝子構造体は容易にアッセイされうるリポーター遺伝子、例えばβ−ガラクトシダーゼに作動連結しているアルコールデヒドロゲナーゼを含んで成る。この構造体の好ましい態様において、この昆虫ステロイドレセプター超科成分の複数のコピーが利用される。例えば、昆虫ステロイドレセプター超科成分、例えばEcR,DHR3,E75A及びE75Bに応答性のコントロール因子の、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)プロモーター又は前記したその他、並びに前記した特定のリポータータンパク質に関するタンパク質コード化配列への作動連結は、β−ガラクトシダーゼのステロイド−応答性発現をもたらす。このようなシステムはリガンド結合に応答する感度の高い発現の検出を選択し、生じるリガンドレセプター相互作用の検出を可能にする。
DNA配列は通常、この配列が発現コントロール配列に作動連結された後(即ち、発現の機能を確実にするために位置した後)、宿主において発現されるであろう。このような発現ベクターは典型的には、エピソームとして、又は宿主染色体DNAに組込まれている部分として宿主生態において複製される。一般に、発現ベクターは選択マーカー、例えばテトラサイクリン又はネオマイシンを、これらの細胞が所望のDNA配列によって形質転換されていることを検定することを可能とするために含むであろう(例えば米国特許第4,704,362号を参照のこと;これは本明細書に参考として組入れる)。
E.コリは本発明のDNA配列をクローニングするために有用な1つの原核宿主である。利用に適する他の微生物宿主にはバチルス属(bacilli)、例えばバチルススブチリス(Bacillus Subtilis)、並びにその他のエンテロバクテリア(enterobacteriaceae)例えばサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)及び種々のシュードモナス属(Pseudomonas)の種が含まれる。
酵母細胞、昆虫組織培養細胞、鳥類細胞等を含むその他の真核細胞がしばしば利用されうる。好ましくは、本発明の誘発性ポリペプチドを作るために哺乳動物組織細胞培養物が利用されうる(Winnacker, From Genes to Clones VCH Publishers, N.Y.(1987):(本明細書に参考として組入れる)、を参照のこと)。哺乳動物細胞は、昆虫ステロイドレセプター超科成分リガンド−応答性遺伝子構造体の利用において好ましく、その理由はこれらは昆虫ステロイドレセプター超科成分に対するリガンドへの応答性を授ける分子を天然的に欠いているからでる。
哺乳動物細胞が好ましく、その理由はこれらは昆虫ステロイドレセプター超科成分に対する多数のリガンドに感受性でないからである。従って、このような細胞の昆虫ステロイドレセプター超科成分への暴露は、一般には細胞又は完全生物に無視されうるような生理学的又はその他の作用が及ぼされるであろう。従って、細胞はこのリガンド自体の存在に実質的に影響されずに増殖し、そして所望の生成物を実現することができうる。このリガンドは陽性又は陰性方向のいづれかの応答を生じせしめるよう機能する。例えば、通常は発現の前に、細胞を高密度となるまで増殖させることが所望される。陽性誘発システムにおいては、この誘発性リガンドは高い細胞密度の到達において添加されうるが、このリガンド自体が細胞に対して温和であるため、唯一の生理学的不均衡は発現、即ち、生成物自体に出来する。他方、陰性抑制システムにおいては、細胞が高密度に到達する迄このリガンドを供給する。これら細胞の完全生物、例えば植物又は動物への導入は、この生物に発現生成物を提供するであろう。このことにおいて、リガンドに対する細胞の天然的な非感受性は有利でもありうる。
これらの細胞のための発現ベクターは発現コントロール配列、例えば複製起点、プロモーター、エンハンサー及び必要なプロセシング情報部位、例えばリボソーム−結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写終止配列を含みうる。好ましくは、エンハンサー又はプロモーターはステロイドレセプターをコードする遺伝子に天然的に結合しているものであり、しかしながらあらゆるケースにおいてその他のものも同程度又はより適切でありうることが理解されるであろう。その他の好ましい発現コントロール配列はウィルス、例えばSV40、アデノウィルス、牛パピロマウィルス等に由来するエンハンサー又はプロモーターである。
同様に、好ましいプロモーターはイムノグロブリン−生産細胞において天然に見い出せるもの(米国特許第4,663,281号を参照のこと:これは本明細書に参考として組入れる)であるが、SV40、ポリオーマウィルス、サイトメガロウィルス(ヒト又はネズミ)及び種々のレトロウィルス由来のLTR(例えばネズミ白血病ウィルス、ネズミもしくはラウス肉腫ウィルス及びHIV)も有用である。Enhancers and Eukaryotic Gene Expression, Cold Spring Harbor Press, N.Y., 1983を参照のこと。これは本明細書に参考として組入れる。
対象のDNAセグメント(例えばステロイドレセプター遺伝子、組換えステロイド−応答性遺伝子又はその両者)を含むベクターを、細胞宿主のタイプに依存して変わるよく知られた方法によって宿主細胞へと導入せしめることができる。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは原核細胞に関して一般的に利用され、そしてリン酸カルシウム処理はその他の細胞宿主のためによく利用される。一般的にはSambrookら(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版),Cold Spring Harbor Press;Ausubel et al.(1987及び付録)Cement Protocls in Molecular Biology, Greene/Wiley, New York;及びPotrykus(1990)“Gene Transfer to Cereals:An Assessment,”Bio/Technology 8:535-542を参照のこと。これらは本明細書に参考として組入れる。その他の形質転換技術には、エレクトロポレーション、DEAE−デキストラン、マイクロプロジェクチルボンバードメント(microprojectile bombardment)、リポフェクション、マイクロインジェクション等が含まれる。「形質転換細胞」なる語は形質転換細胞の子孫も含むことを意味する。
精製したポリペプチドと同様に、リガンド−結合性セグメント及びDNA−結合性セグメントに連結した核酸配列は特に有用である。これらの遺伝子セグメントは、類似の生物学的活性を示す新しい遺伝子についてスクリーニングするためのプローブとして有用であろうが、しかしこれらの遺伝子のコントロール因子は以下に詳細の通り同等に重要である。
数多くのタンパク質は真核細胞タイプにおいて生産されることが好ましく、その理由は他の細胞タイプにおける異常なプロセシング又は修飾にある。従って、哺乳動物タンパク質は哺乳動物細胞培養物において発現されるのが好ましい。所望のタンパク質の効率的な発現は以下に詳細の通り:(1)昆虫ステロイドレセプター超科成分に対するリガンドに応答性のコントロール因子の隣りへの所望のタンパク質コード化DNA配列及び適当なプロモーターを置くことでよく達成される。細胞培養物における周期的パルスは、大量の外因性タンパク質の生産の作用から細胞が回復する期間を提供する。回復に基づき、このリガンドは再び誘発せしめる。
他のステロイド応答性遺伝子因子も、本発明の技術を利用することによって単離、例えば実質的に精製された。ステロイド応答性遺伝子コントロール因子に隣接する、又は作動連結しているその他の遺伝子は、ステロイドレセプターが特異的に結合するDNAセグメントを見つけること、又は相同コントロール因子とハイブリダイゼーションさせることによって選別できる。例えば、その他のステロイド応答性遺伝子が単離された。リガンド−応答性である数多くの遺伝子は昆虫ステロイドレセプター超科の新しいメンバーでもありうる。
実質的に純粋なポリペプチド、その生物学的活性フラグメント及びその遺伝子を含んで成る組換核酸が提供されたことで、本発明はそれぞれを含んで成る細胞も提供する。当業界によく知られる適切な導入技術により、これらを含んで成る細胞が生産されるであろう。例えばSambrookら(1989)を参照のこと。
特に、ステロイド応答性コントロール因子を含んで成る細胞が提供され、そして標準のタンパク質コード化セグメントの前記コントロール因子への作動連結は遺伝子発現のためのステロイド応答性システムを提供する。このようにして作り出した細胞はしばしば完全生物、例えば植物、昆虫(いも虫及び幼虫を含む)及び高等動物、例えば哺乳動物の一部となる、又はその中に導入されうる。このことは、この調節性リガンドがこれらの細胞に何ら作用をもたないときに所望の遺伝子の調節可能な発現を提供し、その理由はこれらの細胞はこのレセプター及び応答性遺伝子を欠いているからである。例えば、適切なリガンドの投与によって植物は所望する時期にて実を結ぶように誘発され、又は動物は特定の生成物の生産にリガンド−応答性となりうる。更に、事実として、生化学的欠陥は、完全生物に導入された細胞のリガンド応答性発現によって解消されうる(この生物自身はこのようなリガンドの存在に応答性の遺伝子を欠いている)。コントロール因子の数多くの繰り返しはしばしば、最低限の付加的又は相乗作用コントロールをもらたすであろう。このような発現システムを含む細胞は人間を含む遺伝子治療法に利用されうる。
十分な量の所望のステロイドレセプターポリペプチドが得られたら、このタンパク質はあらゆる目的に有用となる。典型的な利用はステロイドレセプターへの結合に特異的な抗体の製造である。これらの抗体(ポリクローナル又はモノクローナルのいづれか)は試験管内又は生体内技術によって作られるであろう。
ポリクローナル抗体の製造に関しては、適切な標的免疫システム、典型的にはマウス又はウサギが選ばれる。実質的に精製された抗原を、動物及びその他のパラメータに適する免疫学者によく知られている方法によって決定される手法において免疫システムに提供する。注射のための典型的な部位は脚部(foodpad)、筋肉内、腹膜内又は皮内である。むろん、その他の種もよくマウス又はウサギに取って代わることがある。
免疫学的応答は通常イムノアッセイによりアッセイされる。通常こようなイムノアッセイは、例えばこの抗原と同一の細胞により同一の方法において作られた抗原の起源のある程度の精製を含む。このイムノアッセイは一般的にラジオイムノアッセイ、酵素−結合化アッセイ(ELISA)、蛍光アッセイ、又はその他の任意に選ばれるものであり、ほとんどが機能的には同等であるが特定の条件のもとで有利さを示す。
108・M-1;好ましくは109〜1010以上の親和性を有するモノクローナル抗体は一般に、例えばHarlow and Lane(1988),Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory;又はGoding(1986),Monoclonal Antibodies:Principle and Practice(第2版)Academic Press, New Yorkに詳細の通りの標準的方法によって作られる。これらは本明細書に参考として組入れる。簡単に述べると、適切な動物を選び、そして所望の免疫プロトコールに従う。適当な時間の経過後、この動物の脾臓を取り出し、そして個々の脾臓細胞を一般的には不死化ミエローマ細胞と適切な選択条件のもとで融合させる。その後、細胞をクローン化して分け、そして抗原の所望の領域に特異的な適切な抗体の生産性について各クローンの上清液を試験する。
その他の適切な技術には、抗原ポリペプチドに対するリンパ球の試験管内暴露、又はそれに代わるものとして、ファージもしくは類似のベクターにおける抗体のライブラリーの選別が含まれる。Huseら(1989)“Generation of Large Combinatorial Library of the Immunoglobulin Repertoire in Phage Lamda,”Science 246:1275-1281(本明細書に参考として組入れる)を参照のこと。
本発明のポリペプチド及び抗体は修飾を伴っていても伴っていなくてもよい。しばしば、このポリペプチド及び抗体は、共有結合的もしくは非共有結合的に、検出可能なシグナルを提供する物質が連結されることによってラベル化されうる。広範囲にわたる種々のラベル及びコンジュゲーション技術が知られ、且つ科学及び特許文献の両方において広く報告されている。適切なラベルには放射性核種、酵素、基質、補助因子、インヒビター、蛍光物質、ケミルミネッセンス、磁性粒子等が含まれる。このような利用を教示する特許には米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号;及び第4,366,241号が含まれる。更に、組換え、キメラ、又はヒトイムグロブリンが作られうる。例えばCabilly,米国特許第4,816,567号;Jonesら1986,Nature 321, 522-526;及び公開UK特許出願第8707252号(それぞれ本明細書に参考として組入れる)を参照のこと。
精製せしめたレセプターポリペプチドの他の利用は該ポリペプチドの構造的及び生合成態様の決定に関する。リガンド結合性ドメインと選ばれたリガンドとの相互作用の構造的研究は種々の方法により行われうる。構造決定に関する好ましい方法はX線結晶学であるが、種々のその他の形態の分光学又はクロマトグラフィーも含まれうる。例えば、Connolly,M.L., J.Appl.Crystall., 16:548(1983);Connolly,M.L., Science 221:709(1983);及びBlundell and Johnson(1976)Protein Crystallography, Academic Press, New York;を参照のこと。これらは本明細書に参考として組入れる。例えば、ホルモンリガンドとホルモン−結合性セグメントとの相互作用の構成は高分解能迄決定される。この情報から、リガンド及びリガンド−結合性セグメントの一方又は両方のわずかな置換又は修飾は、例えばこれら2者の接触領域に基づいて行われる。この情報はリガンドとその結合セグメント間の改質された相互作用を生じせしめ、結合の親和力を高めるか又は低める、そしておそらくは結合への応答を高める又は低めることを可能にする。同様に、ジンクフィンガーDNA−結合セグメントと特定の核酸−結合性配列との相互作用も同様に改質されうる。
別の及び付加的な手法として、単離せしめたリガンド−結合性ポリペプチドドメインは新しいリガンドをスクリーンするために利用されるであろう。結合アッセイが例えばイムノアッセイと同様に開発されうる。この方法は特定のステロイドレセプターの新しい作動薬又は拮抗薬についてのスクリーニングを可能とする、単離したDNA−結合性セグメントが、特定のレセプター−結合性セグメントに特異的に結合しうる新しいDNA配列についてのスクリーンのために利用されうる。典型的には、これらのレセプター特異性結合部位はステロイド応答性遺伝子のためのコントロール因子でありうる。従って、このようなDNA−結合性配列を単離し得ることにより、一定のレセプターの結合に応答性である遺伝子が単離できる。このことは、一定のホルモンレセプターによる誘発又は阻害に応答性である遺伝子を単離する方法を提供する。
本発明の他の態様において、昆虫成長を阻害する手段が提供され、ここにおいて新しいリガンド作動薬又は拮抗薬が発現された。これらの化合物は正常な昆虫成長を妨害する作動薬又は拮抗薬としての主要なる候補である。昆虫ステロイドレセプター超科成分に対するリガンドの新しいステロイド類似体の適用により、発育現象の正常なる期間順序を改質せしめることが可能である。例えば昆虫成長の促進は発生期を短くする。このことは、最終的に大量の昆虫が所望される環境(例えば地中海のハエ来襲における生殖不能の雄を作り上げること)において非常に重要でありうる。他方、いくつかの害虫の来襲において成長を遅めること、即ち、商業的作物がその感受性な時期を通り過ぎた後にのみ昆虫の有害期を到達させることは有用である。
他の商業的用途において、本発明によって提供される方法により発見されるリガンドは絹製造業において利用される。ここで、蚕は絹生産幼虫期に人工的に維持され、これによって絹生産が長期化される。幼虫の成長は自然よりも短い時間において絹生産へと加速させるのに対して感受性ともなりうる。
昆虫ステロイドレセプター超科成分に対するその他のリガンドの類似体が選ばれることができ、適用に基づき、これは正常な成長を完全に阻害する、更には好ましく死をもたらしめる。わずかに改質せしめた天然物質はしばしば作用のより高い特異性及びより高い活性を有し、低レベルでの適用な可能にする。例えば、より親水性のリガンドはより容易に昆虫の表面又はキューティクルに直接的に吸収される。従って非常に低い濃度の天然リガンドが害虫のコントロールに有効であろう。更に、数多くのこのようなリガンドは酵素的生産方法を取ることで比較的容易に製造される。昆虫ステロイドレセプター超科成分に対する新しいリガンドは時折りより種特異的であるか、又は特に有用な特性、例えば特定の有害な昆虫に致死的であることを示しうる。ホルモンの高い特異性は、所望されない悪い生態学的副作用(例えば人間に悪影響をしばしば有する食品における殺虫剤残留堆積)を有する非特異的な殺虫剤の利用をなくすことを可能にする。更に、天然化合物に非常に類似する構造を有する化合物は生物学的分解の天然のメカニズムに対して感受性であろう。
本発明の他の態様は、昆虫ステロイドレセプター超科成分に対するリガンドに応答性である新しい遺伝子セグメントの単離又はデザインを提供する。例えば、標準的な技術による相同配列についてのスクリーンのための核酸の利用は類似の構造特徴を有する遺伝子を提供するであろう。類似に並んだイントロン構造は一般に広い超科の分類の特徴でありうる。スクリーニングのための好ましいドメインはリガンド−結合性又はDNA−結合性セグメントでありうるが、しかしながら、DNA−結合性ドメインにより認識されるDNAセグメント、即ち、コントロールセグメントも特別なる対象でありうる。新しいコントロール因子についてのスクリーニングは通常類似性、例えばその他の知られている因子に対する相同性、又はその他のレセプターのDNAジンクフィンガー結合性部位に対する相同性を利用する。一般的な発育上の発現の配列におけるレセプター及び遺伝子の重要性が発見されうる。この一連の発育上の調節された遺伝子の利用は、発育上の調節された遺伝子の発現をコントロールするのに重要な特定の分子の選別を可能にする。
ここで提供する核酸及びタンパク質の発現レベルの測定のためのキットが有用となる。典型的には、このキットは所望の標的分子、例えばリガンド類似体、レセプター又は核酸に特異的に結合する試薬を含む少なくとも1つの区分を有しうる。これらの試薬はアッセイに関する技術、例えばスクリーニングプロトコールにおいて典型的に利用される方法において利用されうる。例えばSambrookら(1989)及びAusubelら(1987及び付録)を参照のこと。
以下の実験の章は例示のために提供し、限定を意味するのではない。
実 験
実施例I
ステロイドレセプター超科の2種類の成分をコードするショウジョウバエE75遺伝子のクローニング構造及び発現
以下の実験はE75遺伝子がステロイドレセプター超科の2種類の成分をコードすることを実証する。これがコードするタンパク質はこの超科の保存されたDNA−結合性及びリガンド−結合性ドメインと相同性のアミノ酸配列を共有する。E75遺伝子はエクジソン−誘発性であり、そしてこれはショウジョウバエ多糸染色体における75B遺伝子座でのエクジソン−誘発性初期型パフを支配且つ生じせしめる。
A.エクジソン−誘発性75Bパフ遺伝子座を含むゲノムDNAのクローニング
75Bパフ領域を含むゲノムDNAを単離するために我々は染色体歩行の方法を利用した(Bender,W., P.Spierer and D.S.Hognes, 1983. Chromosal walking and jumping to isolate DNA from the Ace and rory loci and the Bithorax complex in Drosophila melanogaster. J.Mol.Biol. 168:17-33)。歩行に関する出発点はλ8253と称するゲノムクローンであり、これは75Bの末端付近に対するin situハイブリダイゼーションにより見つけられた。単離せしめたλ8253の制限フラグメントをキイロショウジョウバエのカントン(canton)S(CS)株からゲノムDNAのライブラリーをスクリーンするために用いた。(Maniatis,T., R.C.Hardison, E.Lacy, J.Lauer, C.O'Connell, D.Quon, G.K.Sim, and A.Efstradiatis, 1978,“The isolation of structural genes from libraries of eucaryotic DNA.”Cell 15:687-701)を参照のこと。ゲノムクローンλcDm3504及びλcDm3505はλ8253に対する相同性によって単離した。
この歩行を次に両方向において〜100kbのゲノムDNAが単離できる迄広げ、そしてこの歩行の向きを多糸染色体への末端セグメントのin situハイブリダイゼーションによって調べた。その後、この歩行を分子地図の右側方向又は動原体に対して離れて広げた。この歩行により囲まれる350kbのゲノムDNAはin situハイブリダイゼーションににより調べられた通り、75A6−7と75B11−13の間の染色体領域に相当する。この領域は75Bパフを含み、これは染色体バンド75B3−5の同時凝集開放(decondensation)により開始され、次いで周辺のバンドに広がると考えられる。
方 法
ゲノムDNAライブラリー
カントンSゲノムDNAを、Charon 4λファージベクターの中へとクローンされた、せん断された、EcoRI・連結されたカントンS DNAのライブラリーから単離した。(Maniatis,T., R.C.Hardison, E.Lacy, J.Lauer, C.O'Connell, D.Quon, G.K.Sim, and A.Efstradiatis, 1978. The isolation of structural genes from libraries of eucaryotic DNA. Cell 15:687-701)を参照のこと。OrゲノムDNAはsep6λベクターにGC−テールされた、せん断されたDNAのライブラリーから単離した。(Meyerowitz,F.M.,and D.S.Hogness, 1982.“Molecular organization of a Drosophila puff site that responds to ecdysone.”Cell 28:165-176)を参照のこと。染色体歩行における一つの段階は、Ish-Horowicz及びBrukeの方法による、コスミドp14B1へとクローン化されたSauIIIA部分消化したOrDNAのコスミドライブラリーを用いて行った。(Ish-Horowicz,D., and J.F.Burke, 1982. Rapidand efficient cosmid cloning. Nucleic Acids Res. 9:2989-2998)を参照のこと。
in situハイブリダイゼーション
多糸染色体へのin situハイブリダイゼーションはBonner及びPardueに詳細の通りに、(Bonner,J.J., and M.L.Pardue, 1976. Ecdysone-stimulated RNA synthesis in imaginal discs of Drosophila melanogaster. Assay by in situ hybridization. Chromosoma 58:87-99)3H−ラベル化TTP(NEN)の存在下においてニック−翻訳されたDNAプローブを用いて行い、この方法は以下の改良を伴った:スライドの加熱及びRNAase処理は省き、そしてハイブリダイゼーション及び洗浄は2×のSSPE中で63℃にてそれぞれ18及び2時間にわたって行った。
B.エクジソン−誘発転写体に対して相同性の配列を含むクローン化ゲノムDNAの50kbの領域の同定
上記のゲノムクローンの制限フラグメントを、一方がエクジソン−誘発化細胞におけるRNAに由来し、そして他方が誘発していないRNAに由来する2種類のcDNAプローブそれぞれにハイブリダイズするその能力について調べた。二通りの別々のスクリーンを行った。第1に、350kbの歩行全体を覆うゲノムDNAを、ポリ(A)+RNAにアニールせしめたオリゴ(dT)プライマーより逆転写酵素によって合成したcDNAプローブを用いて調べた。このポリ(A)+RNAは後期第三齢幼虫からマス(mass)単離せしめた全内部組織から調製し、そしてエクジソンとシクロヘキシミド、又はシクロヘキシミドのみの存在下においてインキュベートした。(以下の方法の章を参照のこと。シクロヘキシミドを含ませたのは、その存在により高いレベルのエクジソン誘発転写体が堆積するからである。)
これらの2種のポリ(A)+RNAにより作った32P−ラベル化cDNAプローブをそれぞれ、歩行由来のゲノムフラグメントの他にリボソームタンパク質 49遺伝子(O'Connell,P., and M.Rosbash, 1984. Sequence, structure and codon preference of the Drosophila ribosomal protein 49 gene. Nucleic Acids Res. 12:5495-5513)由来の配列より成るコントロールDNAを含む2通りのデュプリケートサザンブロットの1つに適用した。コントロールDNAは二重測定ブロットのハイブリダイゼーション強度を標準化するために用いた。このスクリーンは、分子地図上の約+220kbにあるλcDm3522ゲノムクローン内においてのみエクジソン−誘発RNAに特異的な配列を示した。
上記のプローブはRNAの3′末端付近の配列を好適に検出するため、特に長い転写体のケースにおいては、ランダムヘキサマーとプライムしたcDNAプローブにより第2の別のスクリーンを行う(以下の方法を参照のこと)。+105kbと+240kbの間の135kbのゲノムDNAに制限されたこのスクリーンは、+170kbと+220kbの間の〜50kbの領域にわたって広がるフラグメントにおいてエクジソン−誘発性配列を示した。この領域はE75遺伝子を表わす。
方 法
器官の培養及びRNA単離
後期第3齢のOr幼虫を集め、0.7%のNaCl中で洗い、Robbのリン酸緩衝食塩水(PBS)(Robb,J.A., 1968. Maitenance of imaginal discs of Drosophila melanogaster in Chemically defined media. J.Cell.Biol. 41:876-885)に懸濁し、ブレンダーで予備的に空気を吹き込み、そして器官を押し出すために一連のローラーに通過させた。この「破砕物」を粗いNitexスクリーンで濾過して残がいを除去し、次いで5分間静置して重力によって浮遊物と微細な細胞塊を除去した。単離せしめた組織(主としてだ液腺、成虫盤(disc)、腸及びマルピーギ管)をプラスチック製ペトリ皿の中の空気を吹き込ませたRobbのPBS中で25℃で培養した。エタノール中のβ−エクジソン(Sigma)(10mg/mlを0.2μl/ml)及び/又は水の中のシクロヘキシミド(35mMを2μl/ml)を適当な培養物に加えた。シクロヘキシミドの存在下におけるインキュベーションは〜8時間とした。単離せしめた組織を10容量の6Mのグアニジン−HCl/0.6Mの酢酸ナトリウム(pH5.2)の中でホモナイズし、細胞塊を除くために5000gで10分間遠心し、そして5.7MのCaCl層に載せた。これは(Chirgwin,J.M.,A.E. Przbyla, R.J.MacDonald, and W.J.Rutter, 1979. Isolation of biologically active ribonucleic acid from sources enriched in ribonuclease. Biochemistry 18:5294-5299)に詳細されている。ポリ(A)+RNAをオリゴ(dT)クロマトグラフィーにより精製した。
サザンブロット分析
サザンブロットをニトロセルロース上で行った。これは(Segraves,W.A., C.Louis, S.Tsubota, P.Schedl, J.M.Rawls, and B.P. Jarry,1984. The rudimentary locus of Drosophila melanogaster.J.Mol.Biol. 175:1-17)に詳細されている。cDNAプローブを、2μgのポリ(A)+RNAと700ngのオリゴ(dT)12-16(Collaborative Research)又は15μgのランダムヘキサマーの、80mMのトリスCl(pH8.3,42℃)、10mMのMgCl2、100mMのKCl、0.4mMのDTT、それぞれ0.25mMのdATP,dGTP、及びdTTP、並びに100μCiの〔32P〕dCTP(800Ci/モル;Amersham)を含む20μlの反応混合物中での逆転写(AMV逆転写酵素;Seikagaku)によって調製した。37℃で45分間インキュベートした後、10mMのEDTA 80μl及び5NのNaOH 2μlを加え、次いでこの生成物を変性且つRNAを加水分解するために70℃で10分間インキュベートした。1Mのトリス−Cl(pH7.5)10μl及び1NのHCl5μlを加えた後、取ら込まれなかったラベルをBiogel P60でのクロマトグラフィーにより除去した。
C.2つの重複転写ユニット:E75A及びE75Bを含むE75遺伝子
上記の通りに調製し、そしてE75遺伝子を含む60kbの領域(+166〜+226kb)におけるクローン化制限フラグメントに由来する鎖−特異性DNAプローブとハイブリダイズせしめたエクジソン誘発化及び誘発されていないRNAのノーザンブロット分析は、この遺伝子が2種類のクラスのエクジソン−誘発性mRNAを提供することを示し、両方とも右方向転写に由来していた。このE75AクラスのmRNAは50kbのE75遺伝子の5′(左側)及び3′(右側)末端の両方からプローブとハイブリダイズする。E75Bクラスは3′−近位の20kbの遺伝子からのみプローブとハイブリダイズした。これらの結果は、A及びBクラスのエクジソン−誘発性RNAは、約30kb離れて位置する異なるプロモーターによって開始され、そしてこれらのプロモーターにより規定される2つの転写ユニットがBプロモーターから下流の領域において重複していることを示唆した。
このような考察はE75A及びE75B mRNAからのクローン化cDNAの構造の分析によって確認された。初期さなぎcDNAライブラリーからの約106個のクローン(Poole,S.J., L.M.Kauvar, B.Drees, and T.Kornberg, 1985. The engrailed locus of Drosophila:Structural analysis of an embryonic transcript. Cell 40:37-40)を、E75遺伝子領域由来のゲノムDNAプローブにより低分解能にてスクリーンした。このスクリーンにより同定された116種のcDNAクローンを制限消化及び60kb(+166〜+226kb)領域に由来するプローブのパネルへのハイブリダイゼーションによって分析した。これらのクローンのうちの一種、λDm4925をE75AクラスのmRNAの代表としてこれによって選び、そして他のλDm4745をE75B mRNAクラスの代表として選んだ。
これら2種のcDNAクローンに相同性のゲノム領域がサザンブロット分析によって更に見つけられ、そしてこの領域及び両cDNAクローンのヌクレオチド配列を調べた。これらの配列を、各転写ユニットについての5′及び3′末端配列決定に由来するそれらと一緒に表1に記載した。これらのデーターはこの50kb E75A転写ユニットが5′から3′の順で6つのエキソン、即ち、A0,A1,2,3,4及び5より成ることを示し、ここでエキソンA0及びA1はこのユニットに特異的であり、そして残り4つは20kbのE75B転写ユニットと共有されている。同様に、E75Bユニットは特異的なエキソン(B1とラベルする)をその5′末端に含み、これは共有されているエキソン2のすぐ上流に位置する。従って、E75遺伝子は2個の転写ユニットより成り、そのうちの短めのE75Bユニットは20kbの長めのE75Aユニットの3′近位を占めている。
表1。E75エキソン及びフランキングDNAの配列。この配列はCSゲノムDNAの配列であり、これはこのcDNAのそれと同一であるが、T→G変化が位置+2691にて示されている。この変化はタンパク質配列におけるロイシンをアルギニンに変える。Dm4925 cDNAはAにおける+939〜+4267でのEcoRV部位の5′から広がる。Dm4745 cDNAはBにおける+804からAにおける+4246のHindIII部位に近い点迄広がる。(A)E75Aエキソン及びフランキングDNA。A0,A1及び共通エキソン2−5の配列はイントロン配列(小文字)により干渉され、これらはスプライス部位付近に限定され、そしてドナー(5′)及びアクセプター(3′)スプライス部位についての共通配列と一致する。各列の右端の負の数字はE75A開始部位の上流の塩基対の数を意味し、正の数字は3′フランキングDNAへと続くE75A mRNAにおける位置を示す。各列の左端の数字はE75Aタンパク質におけるアミノ酸残基に関する。下線の引かれた−159〜−172の14bpの配列は、74EFでの初期型パフにとって重要な、エクジソン−誘発性E74A転写ユニットの47bp上流に見い出せる配列(CGTAGCGGGTCTC)に13/14bpの対合を示す。この配列は、キイロショウジョウバエ ゼステ遺伝子によりコードされるタンパク質に結合するE74Aプロモーターにおける19bp配列の近位部分を示す。−74〜−82のE75Aプロモーターにおける他の下線配列もE75Bプロモーターにおいて見い出され、これはBにおける−106〜−121に位置する直列に反復したオクタヌクレオチド(GAGAGAGC)の一部である。この反復は、E74Aプロモーターとも結合するGAGA転写因子の結合部位に関する共通配列と対合する。その他の下線配列は、−27〜−33にて適切な位置で共通のTATAボックスとの最良の対合、E75mRNAの5′−リーダ配列におけるフレーム内停止コドンが接近して続く3つのAUGコドン、及びE75A及びE75B mRNA両方によって利用される4591及び5365での択一的なポリアデニル化切断シグナルを示す。(B)B1エキソン及びその5′−フランキングDNA。列の右及び左端での数字はAにおけるのと同一の意味を有する。Aにおいて示すエキソン2−5はE75Bにおいて利用されているが、Aにおいて示すアミノ酸残基及び塩基対数をE75Bタンパク質及びmRNAに適用するにはそれぞれ175個及び375対増加させねばならない。B1エキソンをエキソン2に連結させる136−ヌクレオチドE75B−イントロンの最初の10個のヌクレオチドはgtaggttagであり、そして最後の10個はAにおけるヌクレオチド1178の上流を示す。下線の配列は順に、E75Aの上流の配列に相同性の領域、前記した通り、−21〜−27での共通のTATAボックスへの最良の対合、及びE75BmRNAの5′−リーダーにおけるフレーム内停止コドンが続く3つのAUGコドンを示す。
パネル1及び2をパネル3−8及び9−10においてそれぞれ詳しく示す。
方 法
cDNAライブラリー
λDm4925及びλDm4745 cDNAをλgt10におけるOr初期さなぎcDNAライブラリー(Poole,S.J., L.M.Kauvar, B.Drees, and T.Kornberg, 1985. The engrailed locus of Drosophila:structural analysis of an embryonic transcript.Cell 40:37-40)から単離した。3′末端地図化のために用いる2種のcDNA(λDm4927及びλDm4928)をC.W.Jonesにより調製されたλ607におけるエクジソン−誘発化だ液腺cDNAライブラリーから単離した(これらの試験において用いたcDNAクローンに関する我々の株コレクション名はλfDm4925,λfDm475,λeDm4927及びλeDm4928である)。
ノーザンブロット分析
ノーザンブロット分析のために用いたプローブを、pBR322のHindIIIとBamHI部位の間にクローンせしめたφX174複製起点を含むベクターpφXにクローンせしめた。このことは一本鎖プローブDNAの合成を可能とし(Arai,K., N.Arai, J.Schlomai, and A.Kornberg, 1980. Replication of duplex DNA of PhageφX174 reconstituted with purified enzymes. Proc.Natl.Acad.Sci. 77:3322-3326)、これはスーパーコーイルプラスミドDNAを遺伝子Aタンパク質、rep及びssbタンパク質、並びにDNAポリメラーゼIIIホロ酵素と、20mMのトリスCl(pH7.5)、80μg/mlのBSA、4%のグリセロール、20mMのDTT、1mMのATP、16mM濃度の3種類未標識デオキシヌクレオチド及び1.6mM濃度のラベル化デオキシヌクレオチドを含む反応液において90℃で1時間インキュベートすることによって行った。次にEDTAを20mMとなるように、SDSを0.1%となるように、そしてプロテナーゼKを50μg/mlとなるように加えた。この反応物を37℃で30分間消化せしめ、そして取り込まれなかったラベルをゲル濾過により除去した。
S1ヌクレアーゼ保護及びプライマー伸長分析
φX試験管内複製システムによって前記の通りに調製した一本鎖プローブをS1プローブとして用いるため、低融点アガロースゲルでの電気泳動によって精製した。その他のプローブ全ては一本鎖M13mp(Messing,J., 1983. New M13 vectors for cloning.Methods Enzymol. 101:20-78)又はpEMBL(Dente,L., G.Cesareni,and R.Cortes, 1983. pEMBL:A new family of single-stranded plasmids. Nucleic Acids Res. 11:1645-1654)組換え鋳型に基づいて、32P−ラベル化ヌクレオチドを用いる−20,17−merシーケンシングプライマー(New England Biolabs)の伸長、その後の適切な制限酵素による切断、次いで変性ポリアクリルアミドゲルでのこれらのプローブの精製によって調製した。ラベル化プローブ(100,000−300,000cpm)を、5μgの酵母tRNA、0.4MのNaCl、40mMのPIPES(pH6.8)及び1mMのEDTAを含む5μlの反応混合物中で60℃にてオイルのもとでポリ(A)+RNA 1μgとインキュベートした。反応物を冷やし、そしてS1消化又はプライマー伸長緩衝液のいづれかに1:10で希釈した。S1ヌクレアーゼ消化は50mMの酢酸緩衝液(Na)、400mMのNaCl及び4mMのZnSO4中で20℃にて1時間、50μlの反応物当り〜15−150Vogt単位のS1ヌクレアーゼ(Boehringer)によって行った。プライマー伸長は50mMのトリスCl(pH8.3,42℃)、80mMのKCl、2mMのDTT、1mMのdATP,dCTP,dGTP及びdTTP中で、50μlの反応物当り20単位のAMV逆転写酵素(Seikagaku)によって行った。反応をEDTAの添加により停止させ、tRNA担体をS1ヌクレアーゼ消化物に加え、そしてサンプルをエタノール沈殿させ、そして5%もしくは6%の変性ポリアクリルアミドゲル上で直接電気泳動させるか、又はグリオキシル化せしめ(McMaster,G.K.,and G.C.Carmichael, 1977. Analysis of single and double-stranded nucleic acids on polyacrylamide and agarose gels by using glyoxal and acridine arange. Proc.Natl.Acad.Sci. 74:4835-4838)、そして10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)中で流す1%のアガロースゲルで電気泳動した。
DNA配列分析
cDNAクローンλDm4927及びλDm4928を化学分解によってシーケンス化した(Maxam,A.M., and W.Gilbert, 1980. Sequencing end-labeled DNA with base-specific chemical cleavage. Methods Enzymol. 65:499-560)。他の全てのシーケンシングはジデオキシヌクレオチド鎖停止法を用いて行った(Sanger,F.,A.R.Coulson, B.F.Barrell, A.J.H.Smith, and B.A.Roe, 1980. Cloning in single-stranded bacteriophage as an aid to rapid DNA sequencing. J.Mol.Biol. 143:161-178)。フラグメントをM13mpベクター(Messing,J., 1983. New M13 vectors for cloning. Methods Enzymol. 101:20-78)又はpEMBL(Dente,L., G.Cesareni, and R.Cortes, 1983. pEMBL:A new family of singlestranded plasmids. Nucleic Acids Res. 11:1645-1654)の中にクローンし、そして直接又はエキソヌクレアーゼIIIを用いる一連の重複欠失を作り上げた後に(Henikoff,S., 1984. Unidirectional digestion with exonuclease III creates targeted breakpoints for DNA sequencing. Gene 28:351-359)シーケンス化した。シーケンシングはλDm4925 cDNAの両方の鎖、λDm4745cDNAのB−特異的領域、cDNAにおいて示されないA−及びB−特異的5′ゲノム領域並びに3′−フランキング領域に基づいて行った。λDm4745の残りのエキソン境界及びcDNAクローン内で示されているゲノム領域は一本鎖に基づいてシーケンス化した。
D.ステロイドレセプター超科の2種類の成分をコードするE75遺伝子
E75A及びB mRNAをコードする及びコードしない配列、そのスプライス連結部、並びに5′及び3′フランキング配列を表1に示す。5′フランキングDNA及び5′リーダーmRNAにおける潜在的に注目する一定の配列を表1の解説において示した。我々はE75A及びB mRNAの大きなオープンリーディングフレームに注目し、これは対応のmRNA開始部位から380bp及び284bp下流にて始まり、それぞれ共通の最終エキソンへと続く。エキソン5における終止コドンは両方の択一的なポリアデニル化部位の上流に横たわる。従ってこのコード化タンパク質の配列は選択する部位によって影響されない。E75A及びB mRNAにおけるオープンリーディングフレームはA0及びB1エキソンから始まり、そしてエキソン2の始まりにて融合するため、この2種の転写ユニットによりコードされるタンパク質はそのアミノ−末端領域において異なり、そしてカルボキシ−末端領域において同じである。特定のアミノ−末端領域はE75A及びBタンパク質においてそれぞれ266及び423個のアミノ酸残基を含み、そしてそれらの共通カルボキシ−末端領域は971個の残基より成る。A及びBタンパク質の推定分子量は従って132,000及び151,000である。オープンリーディングフレームは特徴的なキイロショウジョウバエコドン利用を示し、そしてそれらの範囲はcDNA構造体由来の試験管内転写したmRNAの試験管内翻訳及びE.コリにおける融合タンパク質の発現によって確認された。各タンパク質についての推定タンパク質配列はアミノ酸のホモポリマー区分により区切られ、これは表1及びその解説に示している。
E75タンパク質の配列の分析及び既知タンパク質配列との比較はE75タンパク質とステロイドレセプター超科の成分との間の類似性を示した(Evans,R.M., 1988. The steroid and thyroid hormone receptor superfamily. Science 240:889-895;Green,S., and P.Chambon, 1988. Nuclear receptors enhance our understanding of transcription ragulation. Trends in Genetics 4:309-314)。我々はこのタンパク質を6つの領域、AからF(アミノ−からカルボキシ−末端方向において)に分割することにおいて、Krustらの論文(Krust,A., S.Green, P.Argos, V.Kumar, P.Walter, J.Bornert, and P.Chambon, 1986. The chicken oestrogen receptor sequence:Homology with v-erbA and the human oestrogen and glucocorticoid receptors. EMBO J. 5:891-897)を利用した。
E75Aとこの超科のその他の成分との類似性はC領域、即ちこれらのレセプターがDNAに結合するために必要且つ十分であるシステイン−リジン−アルギニンに富む領域において最も強かった(参考のためEvans,R.h., 1988. The steroid and thyroid hormonereceptor superfamily. Science 240:889-895;Green,S., and P. Chambon, 1988. Nuclear receptors enhance our understanding of transcription ragulation. Trends in Genetics 4:309-314を参照のこと)。このC領域は66−68個のアミノ酸より成り、そのうちの20残基はこの科において不変牲である。これらの中で9つが不変性システイン残基であり、8つは2つのジンクフィンガー様構造の形成においてジンクを整理するものと考えられている(Miller,J., A.D.McLachlan, and A.Klug, 1985. Representative zincbinding domains in the protein transcription factor IIIA from Xenopus oocytes. EMBO J. 4:1609-1614;Freedman,L.P., B.F.Luisi, Z.R.Korszun, R.Basavappa, P.B.Sigler, and K.R.Yamamoto, 1988. The function and structure of the metal coordination sites within the glucocorticoid receptor DNA binding damain. Nature 334:543-546;Severne,Y., S.Wieland, W.Schaffner, and S.Rusconi, 1988. Metal binding finger structure of the glucocorticoid receptor defined by site-directed mutagenesis. EMBO J. 9:2503-2508)。C領域において、E75Aは全ての高く保存された残基を含み、そしてこれはステロイドレセプター超科のその他の成分と、それらが互いに密接に近親しているのとほぼ同じように近親している。E75の最も近い相関物はヒトear−1遺伝子であると考えられ、これはDNA−結合性ドメインにおいてE75Aに対してほぼ80%のアミノ酸同一性を有する。
ステロイドレセプター超科の成分の中で保存されるその他領域はE領域であり、これはステロイド結合性及びステロイド−結合性とトランス−活性化機能のために必要である(参考のため、Evans,R.M., 1988. The steroid and thyroid hormone receptor superfamily. Science 240:889-895;Green,S., and P.Chambon, 1988. Nuclear receptors enhance our understanding of transcription ragulation. Trends in Genetics 4:309-314を参照のこと)。E領域全体の類似性が、甲状腺ホルモン、ビタミンD及びレチノイン酸レセプター並びにear−1との比較に関して明らかに有意であるが、グルココルチコイド及びエストロゲンレセプターへの類似性はかなり低い。しかしながら、局所類似性のプロットは、E領域の3つのサブ領域、E1,E2及びE3内で、これらのタンパク質それぞれに対する明らかなる類似性を示した。このE1サブ領域は最も高く保存され、且つ試験管内突然変異誘発により示される通りステロイド結合性及びステロイド−依存性トランス−活性化にとって本質的である領域に相当する(Giguere,V., S.M.Hollenberg, M.G.Rosenfield, and R.M.Evans, 1986. Functional domains of the human glucocorticoid receptor. Cell 46:645-652;Danielson,M., J.P.Northrop, J.Jonklaas, and G.M.Ringold, 1987. Domains of the glucocorticoid receptor involved in specific and nonspecific deoxyribonucleic acid binding, hormone activation and transcriptional enhancement. Mol.Endocrinol. 1:816-822)。領域E2は一次アミノ酸配列においてあまり保存されないが、しかしこれはある程度、複数のこれらのタンパク質のヒドロパシー(hydropathy)プロットにおいて保存された疎水性領域として認められている。この領域における14個のアミノ酸の欠失はステロイド結合性をなくした(Rusconi,S., and K.R.Yamamoto, 1987. Functional dissection of the hormone and DNA binding activities of the glucocorticoid receptor. EMBO J. 6:1309-1315)。E3はステロイド結合性に絶対に必要とされる領域の末端の近くに位置する。
このステロイドレセプター超科の特徴的な構造特性はE75においてよく保存され、2つ新規なるバリエーションが認められた。第1のこの考察はE75Bタンパク質の構造であり、これはその予測DNA−結合性ドメイン内に主要なる変異を含む。このステロイドレセプター超科DNA−結合性ドメインはあまり保存されないリンカー領域により分けられる2つのDNA−結合性ジンクフィンガーより成る。E75において、この科のほとんど全てのその他の遺伝子と同様に、イントロンが2つのフィンガーの間に見い出せた。E75において、このスプライスはE75A及びBタンパク質に共通して保有される領域の開始を仕切る。このことは、E75Aタンパク質が2つのフンィガーを有しながら、E75Bタンパク質はこの第1のフィンガーの位置における近親でないB−特異的配列をもたらす。B−特異的アミノ−近位領域におけるその他の配列はE74Bタンパク質のDNA−結合性ドメインに役立つであろう。
他方、Bタンパク質は1つのフンィガーとのみでDNAと結合する。酵母のGAL4転写因子もこのようである。これらの構造上の相違はE75A及びBタンパク質のDNA−結合特性における機能的な相違を意味し、このことは異なる標的組織におけるエクジソンに対する第2の応答を特徴づける後期型遺伝子の転写の別々の調節を可能にする。
この観点において、予測のホルモン−又はリガンド−結合性ドメインはE75A及びE75Bタンパク質に共通するE領域によって示されることを強調すべきである。従って、これらのタンパク質は異なる遺伝子の組の転写を調節しうる、同一のホルモンに対するレセプターであると考えられる。これらのタンパク質は「オーファン」レセプター、即ちそのホルモン又は結合性リガンドが未だ同定されていないものを示す。エクジステロイドはショウジョウバエにおける唯一の知られたステロイドホルモンであるため、E75リガンドに対する最も明確な候補はエクジソンそれ自身であろう。しかしながら、このことはないようであり、その理由はもしE75タンパク質もエクジソンレセプターである場合に期待される、E75タンパク質の予測のホルモン結合性ドメインがECR遺伝子によりコードされる既知のショウジョウバエエクジソンレセプターのそれと(実験例III及び表2参照のこと)高い配列相同性を示すことがないからである。従って、E75タンパク質はテルペノイド幼若ホルモン又は新規のショウジョウバエホルモンのいづれかと結合するようである。
E75タンパク質の第2の独特の特徴は、このタンパク質の半分を覆う大きなF領域の存在である。数多くのその他のレセプターは非常に小さいF領域を有し、そしてこの領域において何ら機能は見い出されていない。
方 法
タンパク質配列分析
シーケンスデーターをBionetシステムを用いて集計した。タンパク質配列の比較はFASTP(Lipman,D.J., and W.R.Pearson, 1985. Rapid and sensitive protein similarity searches. Science 227:1435-1441)及びBionet IFINDプログラムを用いて行った。
E.E75タンパク質のための発現ベクター
E75タンパク質を発現させるため、cDNAの一部及びゲノムクローンを融合させてE75A及びE75Bタンパク質コード領域全体を含むカセットを作り上げた。まずBamHI部位を大きなオープンリーディングフレームの開始AUGの上流でゲノムクローンに導入した。次いでE75A0エキソン配列をほぼ全長のE75AcDNAの配列と融合し、そしてE75B1エキソン配列をほぼ全長のE75B cDNAの配列と融合した。これらのカセットをpGEM3(Promega)にクローンし、そしてこのオープンリーディングフレームの転写物をT7ポリメラーゼを用いて調製した。これらを次に35S−メチオンの存在下において翻訳し、そして適切なサイズのタンパク質の発生が示された。
これらのカセットをショウジョウバエ細胞における発現のためのpUCHsneo/Act、哺乳動物における発現のためのpSV2、及び細菌細胞における発現のためのpOTSを含む種々の発現ベクターに入れた。
方 法
BamHI部位をE75A及びE75Bコード配列の開始ATGの上流に直接導入した(E75A開始ATGの上流のSspI部位、及びE75B開始ATGの上流のSacII部位にて)。cDNAとゲノム配列をA0エキソンにおけるEcoRV部位にて連結させてE75Aカセットを作製し、そしてエキソン3におけるMluIにてE75Bカセットを作製した。
実施例II
ステロイドレセプター超科の他の成分をコードするEcR及びDHR3遺伝子のクローニング、構造及び発現。
E75遺伝子の一次構造、及びそれがコードする2つのステロイドレセプター超科の成分を決定(実験、実施例I)した後に以下の実験を行った。これらの実験の目的はショウジョウバエ由来のその他のステロイドレセプター超科遺伝子の一次構造及びそれらがコードするタンパク質をクローン及び決定することにある。この目標は、E75遺伝子の特徴がエクジソンレセプターをコードしないことが示されている場合に、ショウジョウバエエクジソンレセプターをコードする遺伝子を同定することにある。この実験計画の第1段階は、ステロイドレセプター超科のその他のショウジョウバエ成分の予測のDNA−結合性ドメインをコードする配列を同定するためにショウジョウバエゲノムライブラリーをスクリーンするためのプローブとして、E75Aレセプタータンパク質の予測のDNA−結合性ドメインをコードするE75A転写ユニットにおける保存配列を利用する。第2段階は同定した遺伝子に相当するcDNAクローン及び他のゲノムDNAクローンを単離して、完全なコード領域のヌクレオチド配列及びこれらの遺伝子エキソン−イントロン調和を得ることである。
以下の記載の実験は、ステロイドレセプター超科の真の成分のための評価を満足せしめる2つの遺伝子(即ち、この超科の成分の間で保存されるDNA−結合性及びホルモン−結合性ドメインの両方に相同性のアミノ酸配列を示すタンパク質をコードする)のクローニング及び構造上の特徴付けをもたらす。この2つの遺伝子をEcR及びDH3と称す。EcR遺伝子はもとはDHR23と呼ばれるが、これがエクジソンレセプターをコードすることが示された後(実験実施例IIIを参照のこと)、EcRと改名した。DHR3はショウジョウバエホルモンレセプター3に関する鎖を意味する。
A.EcR及びDHR3ゲノムクローンの同定及び染色体地図化
最初に、1もしくは複数種の制限エンドヌクレアーゼにより消化せしめた全ショウジョウバエゲノムDNAのサザンブロットを、E75Aレセプタータンパク質の予想のDNA−結合性ドメインをコードする配列(実験実施例Iを参照のこと)を含むE75A cDNAの530bpのフラグメントにより、低及び高緊張ハイブリダイゼーション条件にてプローブせしめた。
このような低緊張バンドのための配列を単離するため、E75Aプローブを同一の低緊張条件のもとでショウジョウバエゲノムライブラリーをスクリーンするために用い、E75遺伝子由来のインサートを含むファージをなくすためにE75イントロンプローブを有する二重フィルターをカウンタースクリーニングした。5種のゲノム相当品をスクリーンに、そして39種のファージを含む非−E75が単された。25種の最も強くハイブリダイズしたクローンを制限パターン及び交差ハイブリダイゼーションに基づいて6つのクラスに分け、それぞれのクラスは1〜6種独立重複ゲノムインサートを含んでいた。
各クラスに関して、E75Aプローブにハイブリダイズする領域を含む制限フラグメントをサザンブロッティングによって見つけた。これらのフラグメントに由来するプローブのゲノムサザンブロットへのハイブリダイゼーションは、E75Aプローブによって検出される低緊張バンドそれぞれがこの6種の単離したフラグメントの1種に基づきうることを示した。
6種の制限フラグメントのヌクレオチド配列を、候補となるレセプター遺伝子をそれらが示すかを調べるために決定した。全てのケースにおいて、E75Aプローブに対するDNA配列類似性が観察され、これはこれらのフラグメントのこのプローブへのハイブリダイゼーションのために十分である。このDNA配列を6種の全てのリーディングフレームにおいて理論的に翻訳せしめたとき、4種のフラグメントはタンパク質レベルにてE75Aと有意な配列類似性をもたらさなかった。ところが残りの2種のクローンは、E75Aタンパク質及びその他のステロイド超科レセプターのDNA結合性ドメインに対して強い類似性を有する予測のアミノ酸配列を示した。これら2種のクローンはEcR及びDHR3遺伝子を示すことが明らかとなりうる。これらのクローン由来のプローブをin situハイブリダイゼーションにより多糸染色体におけるこれらの遺伝子の位置の地図化のために用いた。EcR及びDHR3染色体遺伝子座はそれぞれ位置42A及び46Fにて、この第2染色体の右腕において地図化された。
B.EcR及びDHR3遺伝子及びそのcDNAの構造
前記したDHR3及びEcRゲノムクローンを、エクジソン及びシクロヘキシミドにより処理せしめた第三齢組織より調製したcDNAライブラリーをスクリーンするために用いた。この方法は大量のcDNAクローンの単離を可能とし、その理由は両方の遺伝子はエクジソン力価における上昇の後に後期第三齢における転写のピーク期を有すからである。各遺伝子に関し、20種のクローン化cDNAが精製され、そしてその長さが決定された。各遺伝由来の10種の最も長いcDNAを調べ、そして共に直鎖状(colinear)であることが見い出された。
EcRに関し、5534bpのcDNA配列が2種の重複しているcDNAクローンから得られた。これは878コドンのオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、これは以下により詳しく詳細の通り、ステロイドレセプター超科の成分について期待される予測のアミノ酸配列(表2)をもたらす。単離された最も大きいDHR3 cDNA(クローンDHR3−9)の長さは4.2kbであった。このcDNAのヌクレオチド配列を決定し、そして487コドンのAUG−開始化オープンリーディングフレーム(表3)を含むことが見い出された。以下に詳細の通り、この配列より予測されるDHR3タンパク質のアミノ酸配列は、このタンパク質もステロイドレセプター超科の真の成分であることを実証した。
表2.EcR遺伝子のcDNA配列。左側の数字はヌクレオチド配列数に関する;右側のはEcRタンパク質におけるアミノ配列に関する。ヌクレオチド1−5194はEcR−17 cDNAの配列であり、ヌクレオチド5195−5534はEcR−9 cDNAに由来する。5′及び3′非翻訳領域における下線部の配列はそれぞれ、ATGコドン及びAATAAA共通ポリアデニル化シグナルを意味する。イントロンの位置並びにドナー及びアクセプタースプライス配列は小さな字体でcDNA配列の上に示した。ステロイドレセプター超科の推定DNA−結合性(C領域)及びホルモン−結合性(E領域)ドメインに相同性のアミノ酸配列を下線で示した。
パネル1はパネル2及び3において詳細に示した。
表3.DHR3遺伝子のcDNA配列。ヌクレオチド及びアミノ酸の配列の数字及び下線は表2と同じ意味を有し、そしてイントロンの位置並びにドナー及びアクセプタースプライス配列も同様に示した。5′近位の2338ヌクレオチドのDHR3−9 cDNAの配列を示す。この4.2kb cDNAの残りの配列は一本鎖と決定され、そしてここでは示していない。cDNAとゲノムDNA配列との間の4つのサイレントな、第3の位置での相違をcDNA配列の上部に示した。
EcR及びDHR3遺伝子のゲノム構造を、それぞれのcDNAクローンにおいて見い出せる全ての配列を含む重複セットを形成せしめる更なるゲノムDNAクローンを単離することにより調べた。これらのcDNAに含まれるエキソンを、サザンブロット分析、制限切断部位の地図化を介するcDNAとゲノムクローンの比較、更に最終的にエキソン/イントロン境界を含む領域におけるゲノムDNAのヌクレオチド配列の決定により、ゲノム内において地図化せしめた。表2及び3はこのような境界、並びにEcR及びDHR3遺伝子それぞれのスプライスジャンクションの配列を示す。これら全てのスプライスジャンクションはスプライスドナー及びアクセプター共通配列に適合する。
EcRに関して、表2に示すcDNA配列は36kbのゲノムDNAにわたって広がる6つのエキソンにスプリットし、ここでORFは第2のエキソンにおいて始まり、そして第6番目において終わる。DHR3に関しては、cDNA配列は18kbにわたって広がる9つのエキソンに由来し、ここでORFは第1のエキソンにおいて始まり、そして第9番目において終わる。それぞれのmRNAの5′及び3′末端は地図化できないため、これらの遺伝子はその5′又は3′末端に更なる非コード化エキソンを含みうることが強調されうる。
EcRとDHR3遺伝子の構造は予め調べられた全てのステロイドレセプター超科遺伝子のそれと有意に相違する。少なくとも部分的な構造情報が入手されているその他の11種のレセプター同族体に関する遺伝子との比較は、一定のエキソン境界の位置が進化において保存されていることを示した。この保存はDNA−結合性ドメインをコードする遺伝子の位置において最も顕著であった。この領域の構造が調べられているその他の9種のケースにおいて、2種類の半分のDNA−結合性ドメインは常に別々のエキソンによりコードされていた。もし我々がショウジョウバエ遺伝子knirps,knirps−関連、及びegon(これらは真のレセプター同族体ではなく、その理由はこれらはホルモン−結合性ドメイン配列類似牲を有さないからである)を除外したら、これらは常に小さなエキソンとなり、この2番目のものはC領域の末端に保存されているMetコドンを超える第4のコドンにおいていつも終結する。従ってこれらのエキソンはそれぞれDNA−結合性ドメインの2つの予測のジンクフィンガーのうちの1つをコードする。一方、EcR及びDHR3レセプターの予測のDNA−結合性ドメインの両方のジンクフィンガーは単独のエキソンよりコードされる。我々のスクリーンは上記のイントロンを欠く遺伝子を特異的に選別した可能性がある。このスクリーンはむろんこのイントロンを欠くE75A cDNAプローブにハイブリダイズするゲノムクローンを選別した。DNA−結合性ドメインをコードする隣接配列を含むゲノム配列は、このイントロンを含む遺伝子に由来するクローンよりもよくこのプローブにハイブリダイズすることが予測される。このことは、EcR及びDHR3遺伝子の単離の成功及びステロイドレセプター超科のその他のショウジョウバエ成分の遺伝子の単離の失敗を説明するであろう。
方 法
cDNA及び他のゲノムクローンの単離
もとから単離されているDHR3及びEcRゲノムクローンのサブクローンを、エクジソン及びシクロヘキシミドにより処理せしめた第三齢組織から調製したcDNAライブラリーをスクリーンするために用いた。このライブラリーを選んだのは、両遺伝子とも第三齢の終わりにて比較的高く発現されること、及びこのライブラリーの高い品質による。スクリーンした270,000個の第1プラークより、DHR3に対して20種及びEcRに対して220種の陽性体が検出された。精製した各遺伝子についての20種cDNAのうち、それぞれについての最も大きい10種のものを制限地図化し、そして共直鎖性であることが見い出された。我々のDHR3 cDNAよりも更に5′及び3′の両方向に広がるcDNA DHR3−9をシーケンシングのために選んだ。EcRに関して、最も長いcDNA、EcR−17が最も遠方に5′に広がり、そしてその全体をシーケンス化した。他のcDNAクローン、EcR−9はEcR−17よりも300bp遠方に3′に広がることが見い出され、そしてこの3′伸長体もシーケンス化した。EcR及びDHR3をカバーする他のゲノムが、前記のA章において触れたショウジョウバエカントンSゲノムライブラリーを、それぞれのcDNAクローン由来のプローブ、又は実験実施例Iに詳細の染色体歩行による重複クローンのいづれかを伴うスクリーニングによって得られた。
DNA配列分析
cDNAをブルースクリプト(Blue Script)ベクター(Stratagene)にサブクローン化し、そしてシーケンシングのためのクローンをエキソヌクレアーゼIII消化(Henikoff,S., 1984. Unidirectional digestion with exonuclease III creates targeted breakkpoints for DNA sequencing. Gene 28:351-359)によって作り上げた。
二本鎖プラスミドを変性させ(Gatermann,K.B., G.H.Rosenberg, and N.F.Kaufer, 1988. Double-stranded sequencing, using miniprep plasmids,in 11 hours. BioTechniques 6:951-952)そして酵素シーケナーゼ(U.S.Biochemical)を用いるジデオキシ連鎖停止方法(Sanger,F., S.Nicklen, and A.R.Coulson, 1977. DNA sequencing with chain-terminating inhibitors. Proc.Natl.Acad.Sci. USA 74:5463-5467)によりシーケンス化した。cDNA EcR−17を両鎖にもとづいて、EcR−9の3′伸長と同様に完全にシーケンス化した。cDNA DHR3−9を、ORF全体を含む5′側の2338bpに関して両鎖に基づいてシーケンス化し、そして残りの長い3′非翻訳領域は一本の鎖に基づいてシーケンス化した。
ゲノムDNAクローンにおけるエキソン/イントロン境界をまずラベル化cDNAによりプローブされたそれらの制限フラグメントのサザンブロット分析により低分解能にて地図化せしめた。各エキソン/イントロン境界を囲むゲノムDNAをサブクローン化し、そしてこれらのサブクローンのヌクレオチド配列を上記の通りに決定した。
ゲノム及びcDNAクローンの共直鎖性を確認するため、cDNAクローンと平行してゲノムエキソンを全体的にシーケンス化するか、又は長めのエキソンを消化せしめて電気泳動にかけた。短めのエキソンはゲノムクローンから完全にシーケンス化された。長めのエキソンはそれらの境界をゲノムクローンからシーケンス化し、そしてcDNAとゲノムクローンとの平行させた消化及び電気泳動により共直線性であることが確認された。
C.EcR及びDHR3タンパク質の予想アミノ酸配列並びにその関係
予測のEcR及びDHR3タンパク質配列の、配列データーベース並びにステロイドレセプター超科の個々の成分に対する比較は、これらのタンパク質がこの超科の2種の保存されているドメインの特徴を共有することを示した(Evans,R.M., 1988. The steroid and thyroid hormone receptor superfamily. Science 240:889-895;Green,S., and P.Chambon, 1988. Nuclear receptors enhance our understanding of transcription regulation. Trends in Genetics 4:309-314)。我々はよりアミノ末端及びよりカルボキシ末端相同性であるドメインをKrustらに従って(Krust,A., S.Green, P. Argos, V.Kumar, P.Walter, J.M.Bornert, and P.Chambon, 1986. The chicken oestrogen receptor sequence;homology with v-erbA and the human oestrogen and glucocorticoid receptors. EMBO J. 5:891-897)それぞれC及びE領域と称した。これらのドメインを表2及び表3において下線し、そして表4A〜CはEcR及びDHR3に由来のこれらのドメインとこの超科の代表的な成分に由来するそれとの比較を示す。
表4.DHR3,EcR及びいくつかの代表的な核レセプター同族体における保存されているC及びE領域の配列比較。(A)C−領域の列。左側の数字は個々のレセプター内のアミノ酸の位置を示す。ダッシュは最大の長さの列を得るために導入したすき間を示す。ドットはこのドメインのDNA結合特異性を決定することにおいて重要な3つの位置を示す。(B)E−領域列。バーはこのドメイン内に最も高く保存されている3つの鎖を示す。(C)C−領域配列(下、左側)とE−領域配列(上、右側)との間の計算されたパーセント同一性。Kni配列はE−領域相同性を全く示さず、従ってこの比較には含ませなかった。示す配列は:E75A,75Bでのショウジョウバエエクジソン−誘発性遺伝子;Kni,ショウジョウバエ分断遺伝子Knirps;hRARα、ヒトレチノイン酸レセプターアルファー;htRβ、ヒト甲状腺レセプターベーター;hVDR、ヒトビタミンDレセプター;cOUP−TF、ニワトリオバルミン上流プロモーター転写因子;hERR1及びhERR2、ヒトエストロゲン−関連レセプター1及び2;hER、ヒトエストロゲンレセプター;hGR、ヒトグルココルチコイドレセプター;hMR、ヒト鉱質グルココルチコイドレセプター;hGR、ヒトプロゲステロンレセプター;に由来する。
パネル1はパネル2〜6において詳細に示している。
このC領域は66−68個のアミノ酸のドメインであり、脊椎動物レセプターにおいてジンクフィンガーDNA結合性ドメインとして機能することが示されている。このドメインはレセプターの二量体にも関与することが示されている(Kumar,V., and P.Chambon, 1988. The estrogen receptor binds tightly to its responsive element as a ligand-induced homodimer. Cell 55:145-156)。表4Aにおいて示す通り、その他のレセプター同族体において完全に保存されている全ての19個C−領域残基はDHR3及びEcRにおいても保存され、これには9個の不変のCys残基が含まれ、そのうちの8個は2つの亜鉛イオンを配位する(Freedman,L.P., B. F. Luisi, Z.R.Korszun, R.Basavappa, P.B.Sigler, and K.R.Yamamoto, 1988. The function and structure of the metal coordination sites within the glucocorticoid receptor DNA binding domain. Nature 334:543-546)。表4Cにおいて示す通り、このショウジョウバエC−領域配列(E75Aのそれも含む)は、脊椎動物レセプター同族体ほど近密に互いに近親してはいない。DHR3のC領域はヒトレチノイン酸レセプターα(hRARα)のそれと最も類似し、そしてEcRのC領域はヒト甲状腺レセプターβ(hTRβ)のそれと最も類似していた。ヒトグルココルチコイドレセプター(hGR)及びヒトエストロゲンレセプター(hER)に基づく試験は、これらのレセプターと異なるDNA結合特異性を決定するのに重要な3つのC−領域残基(表4Aにおいてドットで示す)を同定した(Mader,S., V.Kumar, H.de Verneuil, and P. Chambon, 1989. Three amino acids of the estrogen receptor are essential to its ability to distinguish an estrogen from a glucocorticoid-responsive element. Nature 338:271-274;Umesono,K., and R.M.Evans, 1989. Determinants of target gene specificity for steroid/thyroid hormone receptors. Cell 57:1139-46)。3種のショウジョウバエタンパク質、DHR3,EcR及びE75A並びに脊椎動物レセプターhRARα,hTRβ及びヒトビタミンレセプター(hVDR)の全ては、この3つの位置にて同一のアミノ酸を有し;従ってこれらのタンパク質はhRARαとhTRβに関して既に示されている通り(Umesono,K., V.Giguere,C.K.Glass, M.G.Rosenfeld, and R.M.Evans, 1988. Retinoic acid and thyroid hormone induce gene expresion through a common responsive element. Nature 336:262-265)類似のDNA結合特異性を有しうる。
E領域は脊椎動物においてホルモン−結合性ドメインとして働く〜25個のアミノ酸のドメインである。このドメインはホルモン依存性レセプターの二量体(Kumar,V. and P.Chambon, 1988. The estrogen receptor binds tightly to its responsive element as a ligand-induced homodimer. Cell 55:145-156;Guiochon,M.A., H.Loosfelt, P.Lescop, S.Sar, M.Atger, A.M.Perrot, and E.Milgrom, 1989. Mechanisms of nuclear localization of the progesterone receptor:evidence for interaction between monomers. Cell 57:1147-1154)、グルココルチコイドレセプターのホルモン依存性核局在化(Picard,D., and K.R.Yamamoto, 1987. Two signalsmediate hormone-dependent nuclear localization of the glucocorticoid receptor. EMBO J. 6:3333-3340)、及び90kDaの熱ショックタンパク質へのグルココルチコイドレセプターの結合性(Pratt,W.B., D.J.Jolly, D.V.Pratt, W.M.Hollengerg, V.Giguere, F.M.Cadepond, G.G.Schweizer, M.G.Catelli, R.M.Evans, and E.E.Baulieu, 1988. A region in the steroid binding domain determines formation of the non-DNA-binding, 9 S glucocorticoid receptor complex. J.Biol.Chem. 263:267-273)にも関与する。表4BはDHR3及びEcRタンパク質のE領域とその他のレセプター同族体のそれの列を示す。実験実施例Iにおいて注目したこの領域における3つの比較的高く保存されている鎖に下線を引いた;それぞれは、レセプター配列の全て又はほとんどに保存されている残基をふさを含んでいた。DHR3及びEcRはこの鎖において互い同志及びその他のタンパク質に対する強い類似性を示し、そしてそれ以外では少ない類似性を示した。このE領域相同性の存在は、C−領域相同性は示すがE−領域相同性を示さないショウジョウバエKnirps(Nauber,U., M.J.Pankratz, A.Kienlin, E.Seifert, U.Klemm, and H.Jackle, 1988. Abdominal segmentation of the Drosophila embryo requires a hormone receptor-like protein encoded by the gap gene Knirps. Nature 336:489-492),Knirps−関連(Oro,A.E., E.S.Ong, J.S.Margolis, J.W.Posakony, M.McKeown, and R.M.Evans, 1988. The Drosophila gene Knirps-related is a member of the steroid-receptor gene superfamily. Nature 336:493-496)、及びegon(Rothe,M., U.Nauber, and H.Jackle, 1989. Three hormone receptor-like Drosophila genesencode an identical DNA-binding finger. EMBO J. 8:3087-3094)とは対照的に、核レセプター科の真の成分としてのタンパク質を樹立する。DHR3におけるE領域はE75Aのそれと最も類似し、そしてEcRのE領域はhTRβのそれに最も類似するが、これらの類似性のレベルは多数のその他のレセプターのE領域(表4C)の間で見い出せるそれよりは低かった。従って、DHR3及びEcRは既にクローンされているどのレセプターの同族体とも特別に近親ではなかった。E−領域配列の比較は、核レセプターの亜科(subfamily)への分割(Petkovich,M., N.J.Brand, A.Krust, and P.Chambon, 1987. A human retinoic acid receptor which belongs to the family of nuclear receptors. Nature 330:444-450)を可能とし、いづれの種類の亜科の成分は他の亜科におけるそれより、互い同志でより近親している。DHR3及びEcRレセプターはE75A,E75B,hRARα,hTRβ及びhVDRレセプターを有する亜科に属する。
D.E.コリにおいて生産されたタンパク質によって誘発されたタンパク質によるEcR及びDHR3タンパク質のin situラベリング
ショウジョウバエにおけるEcR及びDHR3タンパク質の細胞内及び組織分布を調べるため、これらのタンパク質に特異的なアフィニティー精製ポリクローナル抗体を以下の方法により製造した。これらのタンパク質の保存されているDNA−結合性とホルモン−結合性ドメインとの間に位置する約120個のアミノ酸残基の領域を、各タンパク質に対する抗体を作るための免疫原として用いた。従って、アミノ酸335−447のEcRタンパク質に関するコード配列及びアミノ酸164−289のDHR3タンパク質に関するコード配列(それぞれ表2及び3を参照のこと)を適当なpATH(Dieckmann,C., and A.Tzagaloff, 1985. J.Biol.Chem. 260:1513-1520)又はpUR発現ベクターの中にクローン化せしめ、これらのコード配列をE.コリβ−ガラクトシダーゼ(βgal)又はE.コリトリプトファンEタンパク質(trpE)それぞれをコードする配列と融合させた。
βgal融合タンパク質をE.コリにおいて、IPTGインデューサーを指数的培養物に加えることにより作り、そしてtrpE融合タンパク質の製造は無トリプトファン培地への希釈及びその後のインドール酢酸の添加によって誘発せしめた。EcRに関し、trpE融合タンパク質は免疫原として用い、そしてβgal融合タンパク質はこの融合体のEcR部分に対する免疫反応性についての血清を検定するためのイムノブロットにおいて利用した。DHR3に関し、βgal融合タンパク質を注射し、そして血清をtrpE融合タンパク質に対して調べた。
免疫化のため、適切な融合タンパク質はSDS−PAGEゲルでの電気泳動及び氷冷0.25MのKCl中での染色、その後のこの融合タンパク質バンドの切り出しによって調製した。0.25mlのゲルスライスにおける約100μgの融合タンパク質を連続的に小さな皮下注射用針を通すことによって破砕せしめ、次いで0.25mlの無菌食塩水溶液及び0.5mlのフロインド完全アジュバントと混合した。各免疫原について、2匹のニュージーランド白色ラビットに複数の筋肉内部位にて注射し、そして1ケ月後、フロインドアジュバントを省いて2週間間隔にてブーストにかけた。βgal融合タンパク質は精製工程を伴わずに上記のゲル電気泳動にかけたが、trpE融合タンパク質は生体内におけるその不溶性の利点を利用して、以下の方法によってまず精製した。
誘発せしめた細胞の2リッターの培養物由来のE.コリを洗い、そしてこの細胞ペレットを複数の凍結/融解サイクルにかけた。この細胞を18mlの50mMのトリス−HCl、pH7.5、0.5mMのEDTAに再懸濁し、そして1.8mlの10mg/mlのリゾチームを加えた。氷上で15分後、この細胞をフレンチ圧力セルに10,000psiで3回通すことにより溶解させた。不溶性画分を27,000×gで15分間の遠心により集め、そして氷冷50mMのトリス−HCl、0.5mMのEDTA、0.3MのNaCl中でのDounceホモジナイザーを用いる再懸濁により洗い、次いで前記の通り遠心した。この洗浄工程を繰り返し、そして最終ペレットを10mlの、4Mの尿素、2%(w/v)のSDS、50mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、5%(v/v)の2−メルカプトエタノールに溶かした。不溶性であり続けている物質を遠心し、そして捨てた。
抗血清を、「非特異的」及び「特異的」アフィニティーカラムに連続に通すことによるツーステップ工程においてアフィニティー精製した。trpE融合タンパク質に対して発生せしめた抗体のケースにおいて、この非特異的カラムは未修飾trpEタンパク質を発現するE.コリに由来する不溶性タンパク質を結合させた樹脂より成り、そしてこれはtrpエピトープに対して特異的抗体及び不溶性のE.コリタンパク質不純物に対する抗体を除去するために用いた。特異的なカラムはEcR−trpE融合タンパク質(上記の通りに精製)に結合している樹脂より成り、そしてこれはEcRエピトープに対して特異的な所望の抗体を吸着せしめるために用い、この抗体を次にカラムから溶離させた。βgal融合タンパク質に対して発生せしめた抗体のケースにおいては、同一の一般工程を用いたが、但し非特異的カラムにおける樹脂はβ−ガラクトシダーゼと結合させており、そして特異的なカラムにおけるそれはDHR3−βgal融合タンパク質と結合させていた。適当なE.コリ抽出物のウェスタンブロット分析はこれらのアフィニティー精製抗体が所望の特異性を示すことを実証した。
後期第三齢だ液腺におけるEcRタンパク質の細胞内分布を、この抗−EcR抗体によるこのタンパク質のin situラベリングによって調べた。これによりEcRタンパク質はこの腺の核に高く局在していることが示された。事実、これらの核における多糸染色体をZink及びParoの抗体−ラベリング方法(Zinc,B., and P.Paro, 1989. Nature 337:468-471)により調べたとき、これらの染色体中における特定の遺伝子座はEcRタンパク質への強い結合性を示した。特に、EcRタンパク質はE75及びE74遺伝子により占められているものを含む初期型パフ遺伝子座に結合していた。これは、Ashburnerモデルにより期待される通り、EcR遺伝子によりコードされるエクジソンレセプターが初期型遺伝子の転写を誘発せしめるそれである場合に予測される結果である。Ashburnerモデルの他の予測は、エクジソン−レセプター複合体がまず後期型パフにとって重要な遺伝子を抑制することであり、これにより、この初期型遺伝子タンパク質により誘発される後期遺伝子の転写は、これらのタンパク質が十分に堆積してこの初期抑制に打ち勝つようになる迄遅らされる。もしEcRレセプターがこの予想される最初の抑制に関与するなら、このEcRタンパク質がだ液腺における後期型パフ遺伝子座に結合することを予測せしめる。この予測は、EcRタンパク質が多糸染色体における後期型パフ遺伝子にも結合することの観察と一致する。
更なるin situ抗体ラベリング実験は、EcRタンパク質が後期第三齢幼虫において調べた全てのエクジソン標的組織の核に存在していることを示した。これはショウジョウバエの胚形成及び調べられたその他の段階の際の全てもしくはほとんどの細胞にも存在していた。これに関連して、このEcRタンパク質は、EcR遺伝子が染色体欠失によって削除された胚の抗−EcR抗体ラベリングによって検出されず、この抗体の特異性が更に実証された。
広範囲に分布するEcRタンパク質と対照的に、胚の抗−DHR3抗体ラベリングは、DHR3タンパク質の分布がこの成長の段階の際に高く抑えられることを実証した。短い発現の胚誘導期の間、このタンパク質は末梢神経系及び胚の後端にて気門を囲む細胞に限定されていた。
最後に、E75Aタンパク質に対するアフィニティー精製抗体も、抗−EcR及び抗−DHR3抗体に関して上記したものと同一の技術によって調製されることが理解されるべきである。幼虫だ液腺におけるE75Aタンパク質のin situ抗体ラベリングも、このタンパク質が核に局在し、そして多糸染色体における特定の遺伝子座に結合していることを実証した。
実施例III
以下の実験は、EcR遺伝子によりコードされるタンパク質が以下の点によってエクジソンレセプターであることを実証する。(1)EcRタンパク質はエクジステロイドと結合し、そしてショウジョウバエの胚及び種々の培養ショウジョウバエ細胞に存在している全て又は大部分のエクジステロイド−結合活性に原因する。(2)EcRタンパク質は高い特異性を伴って、エクジソン応答性因子(EcRE)、即ち、プロモーターエクジソン誘発性を授けるエンハンサーとして機能するDNA配列に結合する。(3)機能的なエクジソンレセプターを欠くためにエクジソンに応答しない細胞は、EcR発現性プラスミドによるトランスフェクションによってエクジソン−応答性状態へと変換される。
A.EcRタンパク質はエクジステロイドに結合する
図1において示すEcR発現性プラスミド−pMTEcRは、ショウジョウバエメタロチオニンプロモーター(PMT)と5′末端にて、そしてショウジョウバエ アクチン5C遺伝子のポリアデニル化−切断配列と3′末端にて融合している、EcRタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(EcR ORF;実験実施例IIを参照のこと)を含む。EcR ORFの転写はこのメタロチオニンのコントコール下にあるため、この転写はCu2+イオンにより誘発されてmRNAを生産、言い換えるならEcRタンパク質を製造する。アフィニティー精製抗−EcR抗体を用いるウェスタンブロット分析(実験実施例IIを参照のこと)によって調べた、Cu2+誘発に基づいてこのタンパク質を過剰生産する細胞系MtEcRHyを、pMTEcRプラスミドDNAをショウジョウバエSch−2細胞系のゲノムの中に安定的に組込むことにより作製した。コントロール細胞系MtHyを、EcR ORFを欠く発現ベクターDNAの組込みより同様に作製した。
完全細胞抽出物をCu2+誘発の後にMtEcRHy及びMtHy細胞系の両方から調製し、そしてこれらを高アフィニティーエクジソン類似体〔125I〕ヨードポナステロンAを用いてエクジステロイド−結合活性についてアッセイした。このMtEcRHy抽出物はMtHyコントロール抽出物よりも7倍の飽和エクジステロイド−結合活性を含んでいた。
誘発されたエクジステロイド−結合活性がEcRポリペプチド自体に基づくかを調べるため、アフィニティー精製抗−EcRポリクローナル抗体を用いる免疫沈殿によってMtEcRHy抽出物からEcRタンパク質を除去する、又はコントロールとしてこの抽出物を免疫前血清により擬似除去した。この処理抽出物を次にエクジステロイド−結合活性についてアッセイした。擬似除去抽出物と免疫−除去抽出物の比較は、ほとんど結合活性が抗−EcR抗体処理によって除去されたことを示し、誘発されたエクジステロイド結合活性がEcRタンパク質に由来することを示唆した。
コントロール細胞系、MtHyにおける内因性エクジステロイド−結合活性はCu2+暴露によって変化せず、そしてこれが由来するSch−2細胞におけるそれとほぼ同じであった。これら及びその他のショウジョウバエ細胞系、並びに胚抽出物におけるこの内因性活性が、その対応のゲノムにおけるEcR遺伝子の発現に由来するかどうかの問題が生じる。この問題に答えるため、胚及び複数の細胞系由来の抽出物を前記の通り免疫−除去及び擬似除去し、そしてエクジステロイド−結合活性についてアッセイした。ここでも、これらの処理抽出物の比較は大部分の内因性結合活性が抗−EcR抗体による処理によって各ケースにおいて除去されたことを示した。従って、胚及び細胞系における全てでなければほとんどの内因性結合活性は常在EcR遺伝子に由来するようである。
方 法
抽出物
ホルモン及びDNA結合性実験のための組織培養細胞抽出物を以下の通りに調製した。細胞を遠心フラスコの中で5〜7×106細胞/mlの密度となるまで増殖させ、そしてEcR緩衝液(25mMのHepes,pH7.0、40mMのKCl、10%(v/v)のグリセロール、1mMのEDTA、1mMのジチオスレイトール及び以下のプロテアーゼインヒビターのカクテル:10mMのNa2S2O5、100μMのPMSF、1μMのロイペプチン、1μMのペプスタチン)中で1回洗った。全ての更なる操作は4℃で行った。もとの培養容量の2%で細胞をEcR緩衝液に再懸濁し、3mlに小分けし、そしてプローブソニケーター(Bronson Sonifier 450)による30回の1/2秒パルスを利用して音波処理し、〜95%の細胞の破壊がもたらされた。100,000gで1時間の遠心後、100μlの上清液アリコートを液体窒素中で凍結させ、そして−80℃で保存した。標準品として牛血清アルブミンを用いてタンパク質濃度を測定し、典型的には6−11mg/mlであった。胚抽出物は類似のプロトコールにより調製した。3〜6時間のCantonS胚を55%の市販漂白剤で2分間脱漿膜し、0.7%のNaCl中で長い間洗い、そしてEcR緩衝液1ml当り2gの胚を再懸濁せしめた。胚をDounceホモジナイザーにおいてB型乳棒を用いて20回たたくことにより砕き、そして組織培養細胞のために用いたのと同じセッティングを利用してプローブソニケーターによって溶解を完全にした。この抽出物を400mMのKClに調整し、100,000gで1時間遠心し、そして小分けした上清液を凍結させた。この抽出物は13.4mg/mlのタンパク質を含んでいた。ホルモン結合性において用いる前、これをKClを含まないEcR緩衝液において10倍に希釈し、KClの最終濃度を40mMにした。
ホルモン−結合性アッセイ
ホルモン結合性実験のため、抽出物とまずEcR緩衝液で以下の濃度に希釈した。MtHy及びMtEcRHy抽出物に関しては0.9mg/ml、S2及びSRS 1.5抽出物に関しては3mg/ml、Kc細胞抽出物に関しては4mg/ml、そして胚抽出物に関しては1.3mg/ml。全ての操作は結果における定量誤差のため二重サンプルにおいて行った。免疫沈殿実験のため、抽出物を免疫−除去、擬似−除去又は未処理のままとした。除去のため、300μlの希釈抽出物を25℃にて30分間、3.5μlのアフィニティー精製抗−EcR抗体と、又は擬似−除去コントロールのために3.5μlの免疫前血清とインキュベートせしめた。次いでEcR緩衝液中の10%のスタフィロコッカスアウレウス(Pansorbin, Calbiochem)38μlを加え、そしてインキュベーションを25℃で15分間続けた。マイクロ遠心機において3分間遠心させた後、この上清液(抽出物の除かれた)を回収した。この免疫沈殿を繰り返したが、但し胚抽出物のケースにおいては1回の免疫沈殿のみにかけた。「未処理」抽出アリコートはこの除去処理の間4℃に放置し、そして除去処理されたアリコートの最終濃度に合わせるためにEcR緩衝液によって希釈した。
P.Cherbasの改良ホルモン−結合アッセイを用いた(Cherbas, P.1988. Proc.Nat'l.Acad.Sci., U.S.A. 85:2096-2100)。アッセイチューブには140μlの抽出物、14μlの〔125I〕ヨードポナステロン、及び14μlのEcR緩衝液又は競合剤としての14μlのEcR緩衝液中における未ラベル化20−OHエクジソンのいづれかを含ませた。〔125I〕ヨードポナステロンは2177Ci/mMとし、そしてこのアッセイにおいて5×10-10Mの最終濃度にて用いた。20−OHエクジソンはこのアッセイにおいて2×10-5Mの最終濃度とした。25℃で1時間のインキュベーションの後、この反応液を乾いたWhatman GF/Cフィルター(2.4cm)にスポットとし、そして30秒後、1分間にわたって10mlのEcR緩衝液をこのフィルターを介して吸引するために真空を利用してこのフィルターを洗った。フィルターを800μlの4%のSDSに入れ、そして放射性活性をγ−カウンターで測定した。示すホルモン結合活性は、飽和結合活性(何ら競合剤を加えないアッセイにおいて測定される、全結合活性として計算)から不飽和競合活性(過剰量の未ラベル化エクジソンを加えたアッセイにおいて測定)を差し引いた値である。ほとんどの活性抽出物において、不飽和活性(抽出物における大量の低アフィニティー結合部位を意味する)は全活性の10%より低かった。
B.生体内におけるEcRタンパク質の遺伝子調節活性
エクジソン−誘発性リポータープラスミド、pEcRE/Adh/βgal(図2)を生体内におけるEcRタンパク質の調節機能を調べるために作製した。このプラスミドにおけるリポーター遺伝子は、エクジソン−誘発性プロモーターに、ショウジョウバエ ウルトラ ビトラックス(U1trabithorax)遺伝子の5′リーダー配列(UBXリーダー及びAUG)を介して連結しているE.コリ β−ガラクトシダーゼ(βgal ORF)をコードする配列より成る。このプロモーターはショウジョウバエ Adh遺伝子(PDAdh-34+53:示す数字は、これが−34〜+53の位置の塩基対由来の配列より成ることを示し、これはTATAボックをまさに含む)に関する近位プロモーターの省略された(Trucated)型を、エクジソン−誘発性熱ショック遺伝子hsp 27(Riddihough and Pelham, 1987.EMBO J. 6:3729-3734)由来のエクジソン応答性因子(EcRE)を含む7回反復している34bpの合成オリゴヌクレオチド(7 EcRE OLIGOS)に融合させることにより作り上げた。このリポータープラスミドのトランスフェクトされた細胞が適当なエクジソンレセプターを含むことを条件にこの7つのEcREsは省略プロモーターにエクジソン−誘発性を授ける。
このエクジソン−誘発性リポータープラスミドはプラスミドpAdh/βgal(これはpEcRE/Adh/βgalと同類であるが、但しエクジソン応答性因子の列を欠く)への7つのEcREOLIGOSの挿入により作製される。pAdh/βgalプラスミドは従ってエクジソン誘発性ではなく、そしてコントロールとして働きうる。この推測を調べるため、Sch−2培養細胞(これらは内因性エクジソン−結合活性を含むことが上記で示されている)を各プラスミドによりトランスフェクトせしめ、そしてエクジソンの有無においてβ−ガラクトシダーゼ活性について調べた。pEcRE/Adh/βgalトランスフェクトされた細胞におけるエクジソン−誘発化β−ガラクトシダーゼ活性は、このような細胞をエクジソンに暴露していない場合よりも2000倍高く、ここでエクジソンはpAdh/βgalトランスフェクト細胞においては作用をほとんど及ぼさなかった。これらの結果は、EcREが予測通り、PDAdh-34+53プロモーター上に基づくエクジソン−誘発性を授け、そしてSch−2細胞は機能的なエクジソンレセプターを含むことを示唆した。
このようなシステムにおけるEcRレセプターの機能を調べるためには、機能的なエクジソンレセプターを欠く宿主細胞が必要とされる。エクジソン−結合活性、それ故機能的なレセプターを欠く「エクジソン−耐性」細胞は、数週間にわたってエクジソン−応答性細胞をエクジソンに連続的に暴露せしめることにより作られうる。このエクジソン−耐性条件を次に無エクジゾン培地に数ヶ月維持する。エクジソン−耐性細胞系、SRS1.5は従ってSch−2細胞を3×10-6Mのエクジソン中に増殖させることにより作られる。SRS1.5細胞は有意なエクジソン−結合活性を欠く。
これらの細胞をpEcRE/Adh/βgalプラスミドによりトランスフェクトさせ、そしてその後エクジソンに暴露させると、非常にわずかなエクジソン−誘発化β−ガラクトシダーゼ活性が観察され、これらの細胞があるとしてもほんのわずかな量の機能的レセプターを有することが示唆された。EcR遺伝子の発現がこの欠陥を「救う」ことができるかを調べるため、SRS1.5細胞と2種類のプラスミドにより共トランスフェクトせしめた:エクジソン−誘発性リポータープラスミド、pEcRE/Adh/βgal、及びEcR遺伝子に関する構成的発現プラスミド(ここでEcRORFの転写はショウジョウバエ アクチン 5Cプロモーター、PACt5C(図3)によりコントロールされる)。これら2種のプラスミドによる共トランスフェクション、その後のエクジソンへの暴露は、β−ガラクトシダーゼ活性の劇的な誘発をもたらす。従って、SRS1.5細胞へのこのEcR発現プラスミドの導入は、それらが失っていたエクジソン−誘発牲を再び発生せしめた。
方 法
pAdh/βgal,pEcRE/Adh/βgal及びpActEcRプラスミドの作製
プラスミドpAdh/βgalは2つの工程において作製した。ショウジョウバエ Adh末端プロモーターの−34〜+53のヌクレオチドを含むpDΔ5′−34のBglII−ScaIフラグメントを、ScaI及びBamHIにより切断せしめたpUC18にクローンせしめた。得られるプラスミドをEcoRIにより切断し、そしてcPβbxd6.2のEcoRIフラグメント(Ubx非翻訳化リーダー及びAUG,βgalオープンリーディングフレーム、並びにSV40スプライス及びポリAシグナルを含む)を挿入した。
pAdh/βgalからpEcRE/Adh/βgalを作製するため、2種類の34残基数のオリゴヌクレオチドを合成した:
5′TCGAGAGACAAGGGTTCAATGCACTTGTCCAATG3′
3′CTCTGTTCCCAAGTTACGTGAACAGGTTACAGCT5′。
これらはアニールして30bpの二重鎖を形成し、ここで示した通り、その5′末端にSal1に適合する4個のヌクレオチド突出しが伴う。この5′突出しを介する更なるアニーリングは縦列の形成をもたらし、そしてこれはそのSal1部位にて、省略AdhプロモーターのTATAボックスからすぐ上流にてpAdh/βgalの中に挿入されうる。制限地図化はこれが7組の34bpの繰り返しの縦列を含むことを示し、そのそれぞれはhsp 27遺伝子に存在する23bpのエクジソン応答性因子(EcRE)を含み、その11bpはフランキングhsp 27配列及び5′突出しを表わす。
構成的EcR発現プラスミドpActEcRは、EcRタンパク質をコードするORF(表2)を含むpb851−4123を含むEcR cDNAのFspI−HpaIフラグメントを、ActSV40BSプラスミドのEcoRV部位に挿入せしめることにより形成される。この発現ベクターは、SV40スプライス及びポリAシグナルを含むcosPneoβ−galのXbaI−EcoRIフラグメントを、SacII及びXbaIにより切断せしめたブルースクリプト+KS(Stratagene)に挿入し、EcoRI及びSacII末端をプラント化せしめることによる2工程において作製される。得られるプラスミドをBamHI及びApaIにより消化せしめ、そしてpPAcのBamHI−EcoRIフラグメントを挿入し、そしてApaI及びEcoRI末端をプラント化せしめる。
細胞系SRS1.5のトランスフェクション及び発生
細胞系SRS1.5は、3×10-6Mの20−OHエクジソン(Sigma)の存在下においてSchneider系2(Sch−2)細胞を増殖せしめることにより得られた。この処理は初期にSch−2細胞の増殖を停止させるが、しかし調和された細胞は数週間後によく増殖する。SRS1.5細胞をトランスフェクション実験において用いる前に無ホルモン培地において洗い、そして無ホルモン培地において数回継代培養した。細胞はリン酸カルシウム技術によってトランスフェクトせしめた。細胞を10μgの利用したプラスミドそれぞれでトランスフェクトせしめた;一種類のプラスミドのみをトランスフェクトせしめるとき、10μgのPUCはDNAを担体として加えた。一般に、全てのトランスフェクションは二重で行った。トランスフェクションの24時間後、ホルモン処理すべき細胞を二つの皿に分け、一方を2×10-6Mの20−OHエクジソンで処理した。
β−ガラクトシダーゼアッセイ
トランスフェクションの48時間後、2mlの細胞をPBS(137mMのNaCl、27mMのKCl、65mMのNa2HPO4、15mMのKH2PO4、pH6.8)中で1回洗い、そして50μlの0.25Mのスクロース、10mMのトリスpH7.9、10mMのEDTAに再懸濁し、全部で3サイクルの凍結/融解にわたり、液体窒素中での凍結及び37℃の湯浴中での融解を繰り返した。細胞塊をマイクロ遠心機において4℃にて10分間の遠心により除去した。上清液(細胞抽出物)中のタンパク質の濃度はBradford法により、標準品として牛血清アルブミンを用いて測定し、そして典型的には1.5−2.5mg/mlであった。抽出物を直ちにアッセイするか、又は凍結させ、そして最大2週間迄活性の損失を伴わずにアッセイされた。10μlの抽出物、又は適当な希釈物に、500μlのアッセイ緩衝液(0.6mMの4−メチルワンペリフェリル−β−D−ガラクトシド、60mMのNa2HPO4、40mMのNaH2PO4、10mMのKCl、1.0mMのMgSO4、pH7.0)を加えた。37℃で30分間のインキュベーション後、反応を300mMのグリシン、15mEDTA pH11.2 500μlにより停止させた。この蛍光反応生成物をPerkin−Elmer LS−5Bルミネッセンス光度計において、λex=365nm及びλem=450nmにて定量した。βgal活性はアッセイしたμgタンパク質当りの蛍光ユニットとして示した。
C.エクジソン応答性因子に対するEcRタンパク質の特異的な結合
上記の章において詳細に結果の最も簡単なる説明は、EcR発現性プラスミドにより発生するEcRタンパク質がリポータープラスミドのEcREに結合し、そしてエクジソンとの組合せにおいて、このプラスミドにおける最小Adhプロモーターを活性化せしめることである。以下の実験はEcRタンパク質が試験管内においてこのEcREに対する特異的な結合性を示すかを調べるためにデザインされている。
2種類のプラスミドを用いた:即ち、コントロールとして働くpUC18、及び34bpのEcREオリゴヌクレオチド由来の7つの反復を含むpEcRE/Adh/βgal由来のHihdII−XhaIフラグメントをpUC18のHindII−XbaIフラグメントと置換することにより作られるpUC18−EcREである。これら2種のフラグメント間の相違は7つのオリゴヌクレオチド反復にのみあるため、このことがこの2種のプラスミドの間の唯一の相違である。
この2種のプラスミドをApalI及びHindIIIにより消化し、32Pにより末端ラベルし、そしてCa2+誘発によりEcRタンパク質が過剰発現されるMtEcRHy細胞からの抽出物(前記の章Aを参照のこと)と混ぜた。EcR−DNA結合が生ずるよう25℃にて15分間のインキュベーションの後、アフィニティー精製抗−EcR抗体を加えた。この25℃インキュベーションを更に40分間続け、そして抗−ウサギIg−コート化磁性粒子(DupontMagnasort−R)を加え、そしてインキュベーションを更に15分間続けた。この溶液からこのビーズを磁気的に除去し、同様に洗い、そして1%のSDS中で65℃にてこのビーズからDNAを溶離せしめた。溶離せしめたDNAをエタノール沈殿させ、そしてアガロースゲルにおける電気泳動により分画し、これを乾燥させ、そしてオートラジオグラフにかけた。
EcREオリゴヌクレオチドを含むフラグメントのみがオートラジオグラフ上に特異的且つ有効に示され、そしてこの表示は抗−EcR抗体に依存していた。オートラジオグラフの定量分析はこのアッセイ条件(以下の方法の章を参照のこと)のもとで平均ベクター配列より103倍優位なEcREオリゴヌクレオチドへの結合性を示した。
本実験実施例の最初に示した点に従い、このEcRタンパク質は明らかにエクジソンレセプターの定義を満足せしめる。
方 法
DNA結合アッセイのための条件
0.2fmoleの量の消化せしめた、ラベル化プラスミドDNAを、10μlのTE(10mMのトリス−HCl、pH8.0、1mMのEDTA)中の2μgの(dI/dC)と混ぜ、そして180mMのKClに調整せしめたEcR緩衝液において0.9mg/mlに迄希釈した90μlのMtEcRHy抽出物を加えた。25℃で15分間結合した後、EcRにおいて1.5Xに希釈した2mlのアフィニティー精製抗−EcR抗体を加え、そしてこのインキュベーションを25℃で40分間続け、180mMのKClのEcR緩衝液で交換せしめた50μlの抗−ウサギIg−コート化磁性粒子(Dupont Magnasort−R)を加え、そしてインキュベーョンを15間続けた。
このビーズを400μlの180mMのKCl EcR緩衝液中で2回洗い、そしてTE中の200μlの1%SDS中で65℃にて2回すすぐことによりこのビーズからDNA溶離させた。溶離せしめたDNAをエタノール沈殿し、そしてアガロースゲル上で泳動し、これを乾燥してオートラジオグラフにかけた。コントロールとして、処理したDNAの半分(0.1fmole)を比較のためにこのゲルで泳動させ、そして抗体を省いた結合アッセイを行った。
実施例IV
レセプター遺伝子突然変異誘発。
ステロイドレセプター超科遺伝子における突然変異誘発はそれらの機能を2通りに変えることができる。最も明らかには、それらはレセプタータンパク質をコードする配列を変え、従ってレセプターの機能を変える。他方、それらはこれらの遺伝子の発現性を変えることができる。この変更は遺伝子の転写からそのmRNAの翻訳迄の発現の任意レベルでありうる。このような突然変異誘発は、この発現の組織及び細胞分布の発展又は変化させる際の遺伝子発現の時期を変えることができ、従って成長の行程をかなり変える。更に、突然変異誘発はレセプター遺伝子発現の調節についての情報を提供する。これはこれらの遺伝子によりコードされるレセプターの構造を変える突然変異誘発が、このようなレセプタータンパク質コントロールを発現する遺伝子についての情報を提供するのと同じである。特に、レセプター遺伝子発現を変える突然変異誘発はタンパク質及びその発現をコントロールするその他の調節分子の同定をもたらしうる。明らかに、昆虫ステロイドレセプター超科遺伝子の突然変異誘発は特異性の高い状態で昆虫成長を妨げる能力をもたらす重要な道筋を提供し、従ってヒトの健康及び農業への昆虫の来襲の災害をコントロールする。
我々はクローンせしめたステロイドレセプター超科遺伝子の2種類のショウジョウバエ成分、E75及びEcRに関して突然変異誘発実験を行い、そしてそれらのの発現について特徴付けした。この実験実施例においてE75遺伝子の突然変異誘発を詳細する。
A.欠失突然変異誘発
ショウジョウバエにおいて、一定の遺伝子座についての遺伝子分析(この場合、E75遺伝子にとどまる75Bでの初期パフ遺伝子座)は、この遺伝子座全体又は一部の欠失体の単離に一般に基づく。このような欠失はこの遺伝子座内における位置の逐次的な単離及びその他の小さな突然変異を大いに促進せしめる。隣接するドミナントのリンクルド(Wrinkled)(W)突然変異誘発に対して復帰変異体である突然変異体を単離することにより、我々は、ガンマー線突然変異誘発(ゲノム構造のこのような大きな変化を発生せしめるのに好ましい方法)により発生せしめた2種類の欠失体W R4及びWR10の染色体歩行(実験実施例Iを参照のこと)における境界を単離及び分子地図化した。これらのうちの一方、W R10はE75遺伝子全体をカバーするようリンクルドから遠くに広がり;そして他方、W R4は50kbのE75A転写ユニットの5′末端のおよそ90kb上流の位置迄広がり、そしてE75遺伝子を含まない。
次に、W R10欠失体には含まれるがW R4欠失体には含まれない、200kbの末端領域に配置するガンマー線−誘発突然変異体をスクリーンするためにF2スクリーンを利用した。このスクリーンは、分子地図化データー実証がE75遺伝子を表示した単一の致死的相補性グループの5つの成分の単離をもたらした。これら5つの突然変異体のうちで最も有用なのはE75 X48突然変異体である。この突然変異体の分子地図化はこれがE75遺伝子全体を含む105kb領域であることを示した。この方法はその他のE75突然変異体のための非常に有効なスクリーンを、即ち、この欠失突然変異体と相補でない突然変異体をスクリーンすることにより提供する。
B.エチルメタンスルホネートにより生じたE75突然変異体
化学突然変異誘発剤、エチルメタンスルホネート(EMS)をこのスクリーンのために用い、これは位置特異的又は小さな突然変異誘発を作るのに好ましい方法である。15,000種の系のF2スクリーンは、E75 X48欠失体の105kb領域における23種の浸透(penetrant)突然変異体の単離をもたらし、これら全てはE75の対立遺伝子であった。この105kb領域は致死的相補性グループに関するこのスクリーンにより飽和であると考えられ、従ってE75はこの領域における唯一の致死的相補性グループであると考えられる。上記の5つのE75突然変異体を付加することにより、全部で28種の浸透E75対立遺伝子が単離され、そのうちのいくつかは温度感受性対立遺伝子であった。
これらの対立遺伝子についての相補性研究及びその表現型の調査は複雑な相補グループを示した(複雑さはE75遺伝子が2つの重複翻訳ユニット、即ち、50kbのE75Aユニット及び20kbのE75ユニット(これはE75Aユニットの3′末端を占める(実験実施例I及び表1を参照のこと))を含む事実におそらく由来する)。これらの対立遺伝子は大まかに2つのグループに分けられうる:
(1)胚形成の後期の際又は初期幼虫成長の際の、初期成長において致死を生じせしめるもの、並びに(2)さなぎ前又はさなぎ期の際の成長における後期に致死を生じせしめるもの、である。
この分割はE75A及びE75Bが発現するときの段階に関与する。従って、E75A転写は、胚誘導及び初期幼虫段階を標的とするものを含む、エクジソンの6回のパルスそれぞれに関連する。一方、E75B mRNAは最後の幼虫段階の終わりまで観察されず、さなぎ期中に特異的に豊富である。この関係は、初期致死性突然変異体はE75Aユニット及びそのE75Aタンパク質の発現に影響を及ぼし、そして後期致死性突然変異体はE75Bユニット及びそのE75Bタンパク質の発現に特異的に影響を及ぼすことの考察も誘導する。この考察はこれらの突然変異体の詳細な分子地図化及び致死性の原因を調べるための分子レベルでのその表現型の調査によって試験されうる。
ここで詳細の突然変異体はE75遺伝子の更なる遺伝子分析についての原理を提供し、これは適切なE75発現及び機能のための必要条件の調査、並びにE75の構造的及び機能的ドメインの同定を可能とするであろう。いくつかの将来的なE75研究はその試験管内操作、それに続くショウジョウバエに戻る構造体の翻訳によって最も優れて行なわれうる。最後に、相互作用する遺伝子座も同定することが所望されるであろう(相互作用はE75発現の調節のレベル又は他の遺伝子によりコードされるものとのE75タンパク質の相互作用のレベルに起こりうる)。このような相互作用性の遺伝子座は、E75突然変異体のサップレッサー又はエンハンサーとして働く突然変異体の単離を介して同定できる。
方 法
株、マーカー及び染色体
本発明のこの観点のため、以下の株、マーカー及び染色体を用いた。Tu 2はLindsley(Lindsley, 1973 DIS 50:21)に詳細されている。その他の全ての株及び突然変異体は(Lindsley, and Grell, 1968. Genetic Variation of Drosophila melanogaster, Publication 627, Carnegie Institute of Washington, Washington, DC)に詳細されている。ru h W R4 e 5 ro caはru h W R4 sbd 2 Tu 2とst sbd 2 e S ro caとの間の組換えによって作製した。st in ri r P sbd 2染色体は、W R4及びW R10にわたってこの染色体のマーキング、及びTM3と交差せしめることによるホモ接合、TM3への戻し交差、及び同質遺伝子同胞子系の接合を可能とするためにst in ri P Pとsbd 2との組換えにより作製した。st P P e11系を標準のイオン工程によってホモ接合させた。Antp W及びnc RC4はScottら(1984)Proc. Nati Acad. Sci. USA 81:4115-411aに詳細されている。さなぎ致死剤、X19、g26、Q13B、8m12、iX−14、2612、m45、p4、g30L、mz416、13m115、O52及びWq49はShearn(1974)Genetics 77:115-125に詳細されている。上記の株及びその他の株を作製するのに用いた株はBowling Green及びCaltechストックセンターより入手した。
TM1、TM3及びTM6B(Lindsley, and Grell, 1968. Genetic Variation of Drosophila melanogaster, Publication 627, Carnegie Institute of Washington, Washington, DC)は、劣性致死性突然変異体を、組換えを抑えるための複数の転化を伴って有するバランサー染色体である。このことは、本来の状態において劣性致死性染色体をヘテロ接合体として保つことを可能とする。このような染色体は常用の可視マーカーによってマークされてもよい。
突然変異損傷の検出のための定量的サザンブロット地図化
DNAは、ハエの成虫(約50匹)を1mlの、10mMのトリス−HCl、pH7.5、60mMのNaCl−10mMのEDTA、0.15mMのスペルミン、0.2mg/mlのプロテイナーゼKに浸すことにより調製した。このホモジネート品を等容量の、0.2Mのトリス−HCl、pH9.0、30mMのEDTA、2%のSDS、0.2mg/mlのプロテイナーゼKに加え、37℃で1時間インキュベート、次いで緩衝液−飽和フェノールで2回、そして24:1のクロロホルム/イソアミルアルコールで1回抽出せしめた。DNAを2回EtOH沈殿し、遠心せずにこのペレットを取り出した。サザンブロットハイブリダイゼーションは詳細の通りである(Segraves, W.ら.,1984. J.Mol. Biol. 175:1-17)。親染色体とバランサー染色体とを区別するのに制限フラグメント長さの多形性を用いないとき、ゲノム サザン上のバンドの強さの定量はスキャニング デンシトメーターを用いて行った。突然変異領域以外のコントロールプローブを用いることにより各トラックにおけるDNAの量は本質的にコントロールされた。野生型バンドに対する欠失ヘテロ接合体の比較は、この方法におけるコントロールバンドへと標準化せしめたとき、予測1:2の比からわずかな偏差をもたらした。
突然変異損傷体の分子クローニング
適当なサイズの制限フラグメントを調製用低融点アガロース(FMC)電気泳動により、約20μgの制限化ゲノムDNAより単離した。6kbのW R4xhoIフラグメントをXhoI−切断化λSE6DBam(これはベクターを増殖させるためにプラスミドとして増殖し、そしてインサートなしではパッケージ化されない)にクローン化せしめた。18kbのW R10SalIフラグメントをλEMBL3のSalI部位にクローン化せしめ、これも非組換えクローンの増殖の阻止のための生化学的選別方法のためにEcoRIで切断せしめた。X37ブレークポイントを含む7kbのEcoRIフラグメントをEcoRI−切断化λ607にクローンせしめた。hflA株RY1073に基づく組換え体の平板培養は非組換えフロージによるプラーク形成を阻止した。14kbのX48 EcoRIフラグメントをλEMBL4のEcoRI部位(これは組換え体についての「生化学的選別」を利用するためにBamHIで切断されている)にクローンせしめた。X44のブレークポイントフラグメント及び感受性フラグメントをλSB6ΔBamにクローンせしめた。Hohn(Hohn, B., 1979. Methods Enzymol. 68:279-303)に詳細の通り調製したλ試験管内パッケージング抽出物を用いてライブラリーをパッケージ化した。それぞれのライブラリーが、このリゲーションにおいてインサートが含まれているときにのみ有意な数のプラークを提供することが実証されたら、ブレークポイントクローンを検出できる制限フラグメントを利用するスクリーンにそれらをかけた。
ガンマー線突然変異誘発
雄の成虫の株ru h W shd 2 Tu 2又はSt in ri P P sbd 2をプラスチック容器の中で、Cs137源からの5000radのガンマー線(投射量は4300rad/分)によって照射せしめた。これらを次に純潔な適切な株と接合させ、そして5日間にわたり卵を産ませた。
EMS突然変異誘発
細菌及び酵母のEMS−誘発突然変異体における主な損傷は、グアニンからアデニンのアルキル化誘発転移である。ショウジョウバエにおけるほとんどのEMS−誘発化位置特異的突然変異はこの原理に基づいて同じように説明されうる。この変化は相補鎖に基づいて、opa繰り返し因子におけるCのTへの変換を予測せしめ、フレーム内停止コドン(CAGCAAからUAGCAA又はCAGUAA)をもたらしうる。(一定の値の不稔(sterility)に関する大量の突然変異をもたらすと報告されているエチルニトロソウレア、ENUもアルキレーターである;しかしながら、この突然変異誘導剤を用いるのにかなりの注意を必要とする)。
EMSを、絶食させていない生後1.5−5日の雄に、1%のスクロース溶液において0.025Mで投与した(350mlの牛乳びん中に2切れのWhatman #2上で1.5ml)。EMS投与の8時間前での雄の絶食は受け入れることのできない不稔のレベルをもたらし、そして雄のst P P e11株は絶食させないで容易にEMS/スクロース溶液を摂取した。突然変異誘発は、突然変異せしめた雄と一緒にいる−X FMA3雌とのかみ合わせによりモニターした。このスクリーンにおいて見られたその他の突然変異には、F1及びF2世代におけるTM6Bに見られた大量のCa対立遺伝子(多くのモザイク)、優性ブラウン対立遺伝子、並び2種類の新しい突然変異体、ウィンク(Wink)(Barに似ているP染色体優性突然変異体)及び第三染色体優性カーリー一様突然変異体が含まれていた。ウィンクは容易にスコアーされ(PK1)、完全な浸透度を有し、そしてTM6Bよりも健康であった。
最初のスクリーンにおいて、バイアルを突然変異体としてスコアーするのは、もしそれらがバランサーヘテロ接合バエの25%以下を有するときであった。再試験により、これはコントロール交差において見られるレベルの50%にまで変化した。バランサーヘテロ接合体は、欠失ヘテロ接合体の約2/3ほど生存した。
in situ ハイブリダイゼーション及び細胞学分析
多系染色体のin situハイブリダイゼーションを実験実施例I(章Aの方法を参照のこと)に詳細の通りに行った。細胞学分析はラクト酢酸オルセイン(2%のオルセイン、50%の酢酸、30%の乳酸)中で幼虫だ液腺をつぶすことにより行った。
本発明を例示によって詳細に説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく本発明の改良を行うことができる。
Claims (12)
- エクジソンに結合する昆虫ステロイドレセプターのホルモン結合性ドメインと、DNA結合性ドメインとを含むポリペプチドをコードする単離せしめた組換え核酸であって、当該ホルモン結合性ドメインは、当該昆虫ステロイドレセプターにエクジソンが結合すると遺伝子コントロール因子のDNAに当該DNA結合性ドメインが結合するよう、当該DNA結合性ドメインに機能的に連結され、ここで当該ホルモン結合性ドメインをコードする核酸は、500mM未満の塩濃度及び少なくとも37℃のハイブリダイゼーション条件下、且つ63℃にて2×SSPEによる洗浄といったストリンジェント条件下において下記に示すショウジョウバエEcR cDNA配列のヌクレオチド2359〜3021の相補体にハイブリダイゼーションする、組換え核酸:
- 請求項1に示すショウジョウバエEcR cDNA配列のヌクレオチド2359〜3021と20個の連続ヌクレオチドにわたり同一性を示す配列を有する、請求項1に記載の組換え核酸。
- 前記DNA結合ドメインがエクジソン応答性DNAコントロール因子に結合し、ここで当該DNA結合ドメインをコードする核酸は500mM未満の塩濃度及び少なくとも37℃のハイブリダイゼーション条件下、且つ63℃にて2×SSPEによる洗浄といったストリンジェント条件下において請求項1に示すショウジョウバエEcR cDNA配列のヌクレオチド1858〜2055の相補体にハイブリダイゼーションする、請求項1に記載の組換え核酸。
- 請求項1に示すショウジョウバエEcR cDNAのヌクレオチド1858〜2055と20個の連続ヌクレオチドにわたり同一性を示す配列を有する、請求項3に記載の組換え核酸。
- ショウジョウバエEcR cDNAである、請求項4に記載の組換え核酸。
- 昆虫ステロイドレセプターホルモン結合性ドメインであるホルモン結合性ドメインを含んでなるポリペプチドをコードする請求項1に記載の組換え核酸であって、当該ホルモン結合性ドメインは遺伝子コントロール因子に結合する異種DNA結合性ドメインに機能的に連結されており、ここで当該遺伝子コントロール因子は、DNA結合性ドメインに結合すると当該遺伝子コントロール因子によりコントロールされる遺伝子の転写を調節する、組換え核酸。
- 前記DNA結合性ドメインがβ−ガラクトシダーゼ、trpEタンパク質A、β−ラクタマーゼ、α−アミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ及び酵母アルファー交配因子から成る群から選ばれるタンパク質に由来する、請求項6に記載の組換え核酸。
- 前記DNA結合性ドメインが別のステロイドレセプターに由来する、請求項6に記載の組換え核酸。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の単離された組換え核酸を含んで成る、発現ベクター。
- 請求項9に記載の発現ベクターを含んで成る細胞。
- 哺乳動物細胞又は植物細胞である、請求項10記載の細胞。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の組換え核酸によりコードされるポリペプチド。
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