JP3949321B2 - 化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、コラーゲン及びその誘導体、プルラン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体等のポリマーは、水分蒸散抑制効果及び皮膜形成性が高いポリマーであり、スキンケアやヘアケア用原料として使用されている。しかし、このようなポリマーが皮膚や毛髪上に形成する皮膜は化粧料中の保湿剤等により容易に可塑化され、高いべたつき感を与えるものであるため、充分なスキンケア効果又はヘアケア効果と良好な感触との両立は望めなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、スキンケア効果とヘアケア効果と感触との両立を高い水準で達成することのできる化粧料を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の一般式(1)で表されるポリエーテルを含有し、皮膚又は毛髪表面にて皮膜を形成する化粧料を提供する。
-[X]m-[Y]n- (1)
〔式中、m個のXは同一又は異なって、一般式(X)で表される基を示し、
【0005】
【化3】
【0006】
(R1 、R2 及びR3 は同一又は異なって、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。
Gは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜30のアリーレン基を示す。
R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 の個々の基は同一でも異なってもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はケイ素原子数1〜200のシロキシ基若しくはポリシロキシ基(以下「シロキシ基」という)を示す。
aは1又は2の数を示し、bは0又は1の数を示し、cは平均値として1〜500の数を示すか、又は単一の数として1〜20の整数を示す。)
【0007】
n個のYは同一又は異なって、一般式(Y1)、(Y2)又は(Y3)で表される基を示し、
【0008】
【化4】
【0009】
(R13、R14、R15、R17及びR18は同一又は異なって、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。
R16は水素原子又はフッ素原子が置換していてもよい炭素数1〜32の炭化水素基を示す。
R19及びR20は同一又は異なって、水素原子、カルボキシル基、カルボキシメチル基又はそれらの塩を示す。
eは又は2の数を示す。
fは2〜6の数を示す。)
m及びnはm/(m+n)=0.2〜1及びm+n≧10を満足する数を示す。〕
【0010】
【発明の実施の形態】
一般式(1)中、繰り返し単位X及びYを表す一般式(X)、(Y1)、(Y2)及び(Y3)において、R1-3、R13-15及びR17-18は、水素原子、メチル基及びエチル基から選択することができるが、なかでも水素原子が好ましい。
【0011】
また、Gで表されるメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、フェニレン基等が挙げられる。これらのうち、Gとしては合成の容易さの点からメチレン基及びトリメチレン基が好ましい。
【0012】
R4-8で表される炭化水素基としては、炭素数1〜10のものが、シロキシ基としては直鎖又は分岐鎖のケイ素原子数1〜100のものが好ましいが、特にメチル基が好ましい。
【0013】
aとしては1が、bとしては1がより好ましく、またcは1〜12の数が好ましい。
【0014】
R16としては炭素数1〜20のアルキル基又はフッ素原子置換アルキル基、特にメチル基、エチル基、-CH2(CF2)3CF2H、-CH2(CF2)5CF2Hが好ましい。
【0015】
Y2 としては、R17及びR18が水素原子で、R19及びR20がカルボキシル基又はその塩であるものがより好ましい。
【0016】
またeとしては1が、fとしては2〜4がより好ましい。
【0017】
更に、一般式(1)中のm及びnは、m+n≧20となる数が好ましく、またm/(m+n)が0.2〜0.4となる数が好ましい。
【0018】
かかるポリエーテル(1)は、例えば次の反応式A又はBに従って製造することができる。
【0019】
【化5】
【0020】
〔式中、R1 〜R8 、G、a、b及びcは、前記と同じ意味を示す。
Zは、置換エポキシドと共重合して一般式(Y1)、(Y2)又は(Y3)で表される基を与えるモノマーを示す。〕
【0021】
すなわち、基(X)に対応するエポキシド(x)を重合触媒を用いて重合させることにより一般式(1)においてn=0であるポリエーテル(1)が得られ、エポキシド(x)とモノマーZとを、重合触媒を用いて共重合させることにより一般式(1)においてn≠0であるポリエーテル(1)が得られる。
【0022】
ここで、Zとしては基(Y1)又は(Y2)に対応する(x)と同様のエポキシド、基(Y3)に対応するアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン又はテトラヒドロピランが挙げられる。
【0023】
本発明の化粧料へのポリエーテル(1)の配合量は、皮膚又は毛髪表面に皮膜を形成して充分なスキンケア効果又はヘアケア効果を与え、かつ感触を損なわない量であればよく、0.001〜30重量%(以下、単に%で示す)が好ましい。その配合量は、皮膚化粧料の場合には好ましくは0.001〜30%、より好ましくは0.005〜30%、特に好ましくは0.005〜10%である。一方、毛髪化粧料の場合には好ましくは0.05〜20%、より好ましくは0.1〜10%である。
【0024】
本発明の皮膚化粧料は、更にヒドロキシ基を有するポリマーを配合することにより、スキンケア効果を向上させることができる。このようなポリマーとしては、例えばラテックス類、酸性ヘテロ多糖類、ムコ多糖類、セルロース誘導体等の多糖類、ビニルポリマー類、ポリペプタイド等のヒドロキシ基を有するポリマーが挙げられる。より具体的には、ポリアンテス属(Polianthes L.)に属する植物のカルス由来の酸性ヘテロ多糖類、ヒアルロン酸、カチオン化セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアガム、グァーガム、ペクチン、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、カラギーナン、マルトトリオース、ポリエチレングリコール、コラーゲン及びその誘導体、プルラン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体などが挙げられる。このうち、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレングリコール、コラーゲン及びその誘導体、プルラン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体が好ましく、特にポリビニルアルコールが好ましい。
【0025】
このヒドロキシ基を有するポリマーは、1種以上を組合わせて用いることができ、皮膚化粧料中に0.001〜30%、特に0.005〜20%、更に0.005〜10%となるように配合するのが好ましい。
【0026】
本発明の皮膚化粧料は、更に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、通常の化粧品、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種任意成分を添加し、通常の方法に従って、液状、固形状、ペースト状、ジェル状、乳化物等の種々の形態とすることができる。ここで用いられる各種任意成分としては、特に制限されないが、例えば油分、脂肪酸、ステロール類、界面活性剤、水溶性多価アルコール、粉体、シリコーン類、その他成分等が挙げられる。このような任意成分の具体例及びその配合量は、特開平9−291020号公報第7頁第12欄、第9行〜第8頁第14欄第49行記載のとおりである。
【0027】
本発明の毛髪化粧料は、ポリエーテル(1)の皮膜形成性により優れたセット保持性を有するとともに、処理後の毛髪に好適な感触を与えることができる。毛髪化粧料には、ヘアセット剤、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント等が含まれ、ヘアセット剤の型としてはスプレー、ミスト、ゲル、ローション、トニック、ブロー剤、クリーム、後発泡性ゲル等が挙げられる。本発明の毛髪化粧料には、上記以外の成分として、水、C1〜C6アルコール等の溶剤、通常毛髪化粧料に配合される界面活性剤、油分、多価アルコール、各種薬効剤、他のセットポリマー、防腐剤、香料等が、目的、用途、剤型に応じて適宜選択され配合される。このような任意成分の例及び配合量は、特開平7−133352号公報第9頁第15欄第10行〜第10頁第18欄第20行に記載のとおりである。
【0028】
【実施例】
触媒調製及び重合操作は、乾燥窒素雰囲気下で行った。各種の溶媒は乾燥後、蒸留、脱気したものを使用した。希土類金属化合物及びその他の無機化合物は、市販高純度品をそのまま使用した。メチルアルモキサン(以下、MAOと略記する。ここで用いたのはトルエン溶液で、アルミニウム濃度は10.2重量%。)は市販品をそのまま使用した。
【0029】
触媒調製例1
サマリウムトリイソプロポキシド0.9296gを秤量し、ベンゼン23.83mLを加え攪拌した。攪拌下に室温でMAO溶液5.06mL(6当量)を滴下し、触媒A〔Sm/Al(モル比)=1/6〕を調製した。
【0030】
合成例1
窒素雰囲気下、氷冷したテトラヒドロフラン(以下、THF)360mLにn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.556M)144.5mLを加え、乾燥後蒸留精製したテトラメチルシラノール25.0mLを滴下した。室温で20分攪拌後、ヘキサメチルシクロトリシロキサン100g(2当量)を予めTHF260mLに溶解した溶液を添加し、室温で12時間攪拌した。反応液を氷冷し、クロロジメチルシラン122.5mL(5当量)を滴下して、更に室温にて2時間攪拌した後、溶媒、過剰のクロロジメチルシラン及び生じた塩化リチウムを除去すると、無色液体として、シリコーンヒドリドが得られた。NMR分析によれば、1分子に含有される平均ケイ素原子数は、8.02であった。
上記で得たシリコーンヒドリドと過剰量のアリルグリシジルエーテルから、ヒドロシリル化反応により、ジメチルシリコーン鎖を有するシリコーンエポキシドを得た。
【0031】
合成例2
合成例1の過程で得られたシリコーンヒドリドから、低沸点のシリコーンヒドリドを、75℃、26.7Paで除去した。NMR分析によれば、1分子に含有される平均ケイ素原子数は8.72であった。
こうして得たシリコーンヒドリドと過剰量のアリルグリシジルエーテルから、ヒドロシリル化反応により、ジメチルシリコーン鎖を有するシリコーンエポキシドを得た。
【0032】
合成例3
ヘキサメチルシクロトリシロキサンの使用量を50g(1当量)とする以外は、合成例1と同様の方法により、シリコーンヒドリドを得た。これを50℃、40Paで減圧蒸留し、1H−ウンデカメチルペンタシロキサンを得た。
これと、過剰量のアリルグリシジルエーテルから、ヒドロシリル化反応により、ジメチルシリコーン鎖を有するシリコーンエポキシドを得た。
【0033】
合成例4 ポリエーテル1の合成(一般式(1)においてm=28000,m/(m+n)=0.2,Xは一般式(X)においてR1=R2=R3=H,R4〜R8=メチル,G=トリメチレン,a=1,b=1,c=7.02,Yは一般式(Y1)においてR13=R14=R15=H,e=1,R16=-CH2(CF2)3CF2H)
合成例1で得たシリコーンエポキシド1.418gと3−(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチロキシ)−1,2−エポキシプロパン2.592gを窒素置換した容器に取り、トルエン9.9mLを加え溶解させる。これに、触媒A3.00mLを添加した後、容器を封栓し、攪拌しながら130℃で重合した。
6時間後、容器を開封し、反応液を少量の希塩酸を加えたアセトン500mLに添加した。析出した白色ゲルを乾燥した後、クロロホルムに溶解し、少量の希塩酸を加えたアセトンに投じて生じるゲルを80℃で24時間減圧乾燥した。収率64%。わずかに白濁した柔軟固体。
【0034】
合成例5 ポリエーテル2の合成(一般式(1)においてm=2600=m/(m+n)=0.3,Xは一般式(X)においてR1=R2=R3=H,R4〜R8=メチル,G=トリメチレン,a=1,b=1,c=7.72,Yは一般式(Y1)においてR13=R14=R15=H,R16=メチル,e=1)
合成例2で得たシリコーンエポキシド2.121g及びメチルグリシジルエーテル0.616gを用い合成例4と同様の方法により重合、精製した。収率86%。ポリエーテルは非常に柔軟な流動体透明固体であった。
【0035】
合成例6 ポリエーテル3の合成(一般式(1)においてm=1100,m/(m+n)=0.4,Xは一般式(X)においてR1=R2=R3=H,R4〜R8=メチル,G=トリメチレン,a=1,b=1,c=4,Yは一般式(Y1)においてR13=R14=R15=H,e=1,R16=-CH2(CF2)3CF2H)
合成例3で得たシリコーンエポキシド1.940gと3−(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチロキシ)−1,2−エポキシプロパン3.346gを用い合成例4と同様の方法により24時間重合した。容器を開封し、反応液少量の希塩酸を加えたアセトン500mLに添加、これをポアサイズ0.1μmのテフロン製メンブランフィルターで濾過した。濾液を濃縮、乾固、更に80℃で24時間乾燥すると、白色の脆い皮膜状重合体が得られた。収率34%。
【0036】
実施例1
表1に示す組成の成分を攪拌混合することにより、皮膚化粧料を製造した。得られた皮膚化粧料について、肌荒れ改善度及び塗布後の滑らかさを評価した。
【0037】
(評価方法)
健常人5人の背中を日焼けさせ、モデル荒れ肌状態を調整した。この肌に各皮膚化粧料を1日2回、300μLずつ塗布した。1ケ月後のコンダクタンス値を測定し、肌荒れ改善度を以下の式に従い評価した。また、塗布後の滑らかさについては、なめし皮に各皮膚化粧料を30μLずつ塗布し、乾燥後、表面試験機を用いて動摩擦係数を測定した。
【0038】
【数1】
荒れ肌改善度=(1ケ月後のコンダクタンス)/(健常部のコンダクタンス)
【0039】
◎:150以上
○:149〜100
×:99以下
【0040】
【表1】
【0041】
表1の結果から、本発明品は比較品に比べ、肌荒れ改善度に優れ、また、高い平滑性を与えるものであった。
【0042】
実施例2
下記に示す処方のクリーム(pH=6.0)を常法により製造した。
【0043】
【表2】
【0044】
実施例3
下記に示す処方の乳液(pH=6.0)を常法により製造した。
【0045】
【表3】
【0046】
実施例4
表4に組成を示す毛髪化粧料を調製した。得られた化粧料で毛髪を処理し、下記の評価項目について試験した。結果を併せて表4に示す。
(イ)セット保持性
長さ18cm、重さ1.5gの毛束を水で濡らし、タオルドライ後、ミストを2g塗布し、直径2cmのロッドに巻いた後、自然乾燥させた。乾燥後、ロッドからカールのついた毛髪をはずした。これを高湿箱(20℃、98%RH)に30分間吊るし、カールの伸びを観察し、セット保持性を以下の基準で判断した。
【0047】
(評価基準)
◎:未塗布毛より非常に良い。
○:未塗布毛より良い。
△:未塗布毛と変わらない。
×:未塗布毛より悪い。
【0048】
(ロ)官能評価
長さ18cm、重さ10gの毛束を水で濡らし、タオルドライ後、ミストを2g塗布し、直径2cmのロッドに巻いた後、自然乾燥させた。これについて、専門パネリスト5名が感触を下記基準により評価した。
【0049】
(評価基準)
◎:未塗布毛より非常に良い。
○:未塗布毛より良い。
△:未塗布毛と変わらない。
×:未塗布毛より悪い。
××:未塗布毛より非常に悪い。
【0050】
【表4】
【0051】
表4に示す結果より明らかなように、本発明品はいずれも、比較品に比べセット保持性、感触において優れたものであった。
【0052】
実施例5
下記成分を混合して、フォーム剤を製造した。
【0053】
【表5】
【0054】
実施例6
下記成分を混合して、フォーム剤を得た。
【0055】
【表6】
【0056】
以上の実施例5及び6で得られたフォーム剤はいずれも優れたセット保持性、及び感触を示すものであった。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、スキンケア効果又はヘアケア効果と感触との両立を高い水準にて達成することができる化粧料を提供することができる。
Claims (1)
- 次の一般式(1)で表されるポリエーテルを含有し、皮膚又は毛髪表面にて皮膜を形成する化粧料。
-[X]m-[Y]n- (1)
〔式中、m個のXは同一又は異なって、一般式(X)で表される基を示し、
Gは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜30のアリーレン基を示す。
R4 、R5 、R6 、R7 及びR8 の個々の基は同一でも異なってもよく、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基又はケイ素原子数1〜200のシロキシ基若しくはポリシロキシ基を示す。
aは1又は2の数を示し、bは0又は1の数を示し、cは平均値として1〜500の数を示すか、又は単一の数として1〜20の整数を示す。)
n個のYは同一又は異なって、一般式(Y1)、(Y2)又は(Y3)で表される基を示し、
R16は水素原子又はフッ素原子が置換していてもよい炭素数1〜32の炭化水素基を示す。
R19及びR20は同一又は異なって、水素原子、カルボキシル基、カルボキシメチル基又はそれらの塩を示す。
eは1又は2の数を示す。
fは2〜6の数を示す。)
m及びnはm/(m+n)=0.2〜1及びm+n≧10を満足する数を示す。〕
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