JP3949000B2 - オートフォーカスカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、オートフォーカスカメラに関し、特にたとえば被写界内に形成された複数のフォーカスエリアのいずれか1つを有効フォーカスエリアとしてフォーカスを調整する、オートフォーカスカメラに関する。
【0002】
【従来技術】
この種のオートフォーカスカメラとして、被写界内を移動する被写体を自動的に追尾しながらフォーカスを調整する、という自動追尾機能を備えたものがある。かかる自動追尾機能を実現するための従来技術の一例が、特開平2000−188713号公報[H04N5/232]に開示されている。この従来技術によれば、互いに異なるタイミングで2つの画像フレームデータが取得され、取得された画像フレームデータの各々から予め区分けされたAF(Auto Focus)エリア毎の合焦指標値が算出され、さらに各画像フレーム間で当該合焦指標値の差分値が算出される。そして、その差分値が最も大きいAFエリアに動的被写体が存在すると判断され、当該AFエリアにおいてフォーカスが調整される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来技術では、区分けされた全てのAFエリアにおける合焦指標値の差分値に基づいて動体被写体の位置が判断されるため、たとえば動体被写体とは別の物体が被写界内を移動したときに、当該別の物体にフォーカスが合ってしまう可能性がある、という問題がある。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、動的被写体に確実にフォーカスを合わせることができる、オートフォーカスカメラを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に従うオートフォーカスカメラは、フォーカス調整が指示されたとき被写界に割り当てられた複数のフォーカスエリアのうち第1エリア条件を満足する1つのフォーカスエリアを主要被写体が存在する有効フォーカスエリアとして決定する第1決定手段、 有効フォーカスエリアを基準としてフォーカス調整を実行する調整手段、複数のフォーカスエリアのうち有効フォーカスエリアと異なりかつ第2エリア条件を満足する1つのフォーカスエリアを主要被写体の移動先と予想される予想移動先フォーカスエリアとして決定する第2決定手段、複数のフォーカスエリアのうち予想移動先フォーカスエリアと既定位置関係にあるフォーカスエリアを監視対象フォーカスエリアとして決定する第3決定手段、および輝度変化条件が満足されたとき予想移動先フォーカスエリアを有効フォーカスエリアとして決定する第4決定手段を備え、第1エリア条件は、フォーカス評価値が最大となるフォーカスレンズの位置が最も至近側に存在するという条件であり、第2エリア条件は、有効フォーカスエリアと隣り合うフォーカスエリアが複数存在する場合は輝度変化率が最大であるという条件であり、既定位置関係は、有効フォーカスエリアが予想移動先フォーカスエリアと隣り合う側とは異なる側で有効フォーカスエリアと隣り合う位置関係を含み、 輝度変化条件は、予想移動先フォーカスエリアの輝度変化率が第1閾値以上であるという第1閾値条件および監視対象フォーカスエリアの輝度変化率が第2閾値を下回るという第2閾値条件の論理積に相当する。
【0006】
【作用】
第1決定手段は、フォーカス調整が指示されたとき、被写界に割り当てられた複数のフォーカスエリアのうち第1エリア条件を満足する1つのフォーカスエリアを、主要被写体が存在する有効フォーカスエリアとして決定する。フォーカス調整は、有効フォーカスエリアを基準として、調整手段によって実行される。第2決定手段は、複数のフォーカスエリアのうち有効フォーカスエリアと異なりかつ第2エリア条件を満足する1つのフォーカスエリアを、主要被写体の移動先と予想される予想移動先フォーカスエリアとして決定する。また、第3決定手段は、複数のフォーカスエリアのうち予想移動先フォーカスエリアと既定位置関係にあるフォーカスエリアを、監視対象フォーカスエリアとして決定する。さらに、第4決定手段は、輝度変化条件が満足されたとき、予想移動先フォーカスエリアを有効フォーカスエリアとして決定する。ここで、第1エリア条件は、フォーカス評価値が最大となるフォーカスレンズの位置が最も至近側に存在するという条件であり、第2エリア条件は、有効フォーカスエリアと隣り合うフォーカスエリアが複数存在する場合は輝度変化率が最大であるという条件であり、既定位置関係は、有効フォーカスエリアが予想移動先フォーカスエリアと隣り合う側とは異なる側で有効フォーカスエリアと隣り合う位置関係を含み、輝度変化条件は、予想移動先フォーカスエリアの輝度変化率が第1閾値以上であるという第1閾値条件および監視対象フォーカスエリアの輝度変化率が第2閾値を下回るという第2閾値条件の論理積に相当する。
【0007】
好ましくは、複数のフォーカスエリアは、被写界の中央に配置された中央位置フォーカスエリアと、被写界の中央上側および中央下側の各々に配置された上下位置フォーカスエリアと、被写界の中央左側および中央右側の各々に配置された左右位置フォーカスエリアとを含む。
【0008】
この発明のある実施例では、複数のフォーカスエリアのうち有効フォーカスエリアと異なるフォーカスエリアの輝度変化量を所定期間にわたって積算する積算手段、および積算手段の積算値が所定条件を満たすとき予想移動先フォーカスエリアを有効フォーカスエリアとして決定する第5決定手段をさらに備える。
【0009】
この場合、所定条件は、積算値が第3閾値以上であるという条件を含むものとしてもよい。すなわち、注目するフォーカスエリアにおいて徐々に輝度が変化したときにも、有効フォーカスエリアが更新される。
【0011】
さらに好ましくは、第2エリア条件は有効フォーカスエリアと隣り合うフォーカスエリアが1つしか存在しない場合は当該隣り合うフォーカスエリアとする条件を含む。
【0014】
【発明の効果】
この発明によれば、動的被写体を確実に追尾し、フォーカスを合わせることができる。
【0015】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0016】
【実施例】
図1を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、オートフォーカス機能を備えており、被写体の光学像は、フォーカスレンズ12および絞り機構14の開口部14aを介してCCD(Charge Coupled Device)型のイメージセンサ16に入射される。
【0017】
モードキー20の操作によって、被写体を撮影するための撮影モードが選択されると、CPU22は、TG(Timing Generator)18に対してプリ露光および間引き読み出しの繰り返しを命令する。TG18はこの命令に対応するタイミング信号をイメージセンサ16に供給し、イメージセンサ16は供給されたタイミング信号に従って被写体の光学像を露光するとともに当該露光によって蓄積された電荷の一部を次の1フレーム期間に出力する。つまり、撮影モードが選択された当初は、低解像度の生画像信号が1フレーム期間毎にイメージセンサ16から出力される。出力された各フレームの生画像信号は、CDS(Correlated Double Sampling)/AGC(Automatic Gain Control)回路24に入力される。
【0018】
CSD/AGC回路24は、入力された生画像信号に相関二重サンプリング処理およびゲイン調整処理を順次施し、処理された生画像信号をA/D変換器26に入力する。A/D変換器26は、入力された生画像信号をディジタル信号である生画像データに変換し、変換後の生画像データを信号処理回路28に入力する。
【0019】
信号処理回路28は、入力された生画像データに色分離,白バランス調整,ガンマ補正,YUV変換などの一連の処理を施し、これによって生成されたYUVデータをビデオエンコーダ30に入力する。ビデオエンコーダ30は、入力されたYUVデータをNTSC方式の複合画像信号に変換し、変換後の複合画像信号を液晶モニタ32に入力する。これによって、液晶モニタ32の画面に、被写体のリアルタイム動画像(スルー画像)が表示される。
【0020】
さらに、信号処理回路28によって生成されたYUVデータのうちYデータは、AE(Automatic Exposure)/AF(Autofocus)評価回路36にも入力される。AE/AF評価回路36は、入力されたYデータを1フレーム毎に積分して被写体像の輝度の程度を表す輝度評価値Iy[i](i:後述するブロック番号を表すインデックス)を算出するとともに、当該Yデータの高域周波数成分を1フレーム毎に積分して被写体に対するフォーカスレンズ12の合焦の程度を表すフォーカス評価値Ih[j](j:後述するフォーカスエリア番号を表すインデックス)を算出する。
【0021】
具体的には、AE/AF評価回路36は、図2に示すように被写界(画面)を横16列×縦16行の256個のブロックに分割するとともに、各々のブロックにラスタスキャン方式で“0”〜“255”のブロック番号を付与する。そして、各々のブロックを構成する各画素のYデータを当該ブロック毎に積分することによって輝度評価値Iy[i]を算出する。
【0022】
AE/AF評価回路36はまた、被写界に5つのフォーカスエリアを割り当て、各々のフォーカスエリアに“0”〜“4”のフォーカスエリア番号を付与する。すなわち、被写界の略中央に位置する横2行×縦4行の8個のブロック“103”,“104”,“119”,“120”,“135”,“136”,“151”および“152”にフォーカスエリア“0”を割り当てる。そして、被写界の左側に位置する横2行×縦4行の8個のブロック“99”,“100”,“115”,“116”,“131,“132”,“147”および“148”にフォーカスエリア“1”を割り当て、被写界の右側に位置する横2行×縦4行の8個のブロック“107”,“108”,“123”,“124”,“139,“140”,“155”および“156”にフォーカスエリア“2”を割り当てる。さらに、被写界の下側に位置する横4行×縦2行の8個のブロック“182”〜“185”および“198”〜“201”にフォーカスエリア“3”を割り当て、被写界の上側に位置する横4行×縦2行の8個のブロック“54”〜“57”および“70”〜“73”にフォーカスエリア“4”を割り当てる。そして、各々のフォーカスエリアを構成する各画素のYデータの高周波成分を当該フォーカスエリア毎に積分することによってフォーカス評価値Ih[j]を算出する。
【0023】
シャッタボタン34が半押しされると、CPU22は、AE/AF評価回路36から輝度評価値Iy[i]およびフォーカス評価値Ih[j]を取り込む。そして、CPU22は、取り込んだ輝度評価値Iy[i]に基づいて最適露光期間Tsおよび最適絞り値Asを算出し、算出した最適露光期間TsをTG18に設定するとともに、絞り機構14の絞り値Aが当該最適絞り値Asになるように絞りドライバ38を制御する。CPU22はまた、5つのフォーカスエリアのうち現在有効とされているフォーカスエリア、つまり有効フォーカスエリアZcのフォーカス評価値Ih[j]が大きくなるようにフォーカスドライバ40を制御し、フォーカスレンズ12を合焦位置に設定する。
【0024】
そして、シャッタボタン34が全押しされると、CPU22は、記録処理に入る。具体的には、TG18に対して1フレーム分の本露光および全画素読み出しを命令するととともに、信号処理回路28に対して圧縮処理を命令する。TG18は、CPU22からの命令に対応するタイミング信号をイメージセンサ16に供給する。これによって、最適露光期間Tsに従う本露光が実行されるとともに、当該本露光によって蓄積された全電荷、つまり1フレーム分の高解像度生画像信号がイメージセンサ16から出力される。この生画像信号は、CDS/AGC回路24およびA/D変換器26を介して信号処理回路28に入力され、上述の一連の処理によってYUVデータに変換される。信号処理回路28はさらに、CPU22からの圧縮命令に応答して当該YUVデータにJPEG(Joint Photographic Expert Group)方式に従う圧縮処理を施し、これによって生成されたJPEG画像ファイルをメモリカード42に記録する。
【0025】
このようにしてメモリカード42に記録した画像(JPEG画像ファイル)は、再生モードによって再生することができる。すなわち、モードキー20の操作によって再生モードに入ると、CPU22は、信号処理回路28に対してJPEG画像ファイルの読み出しを命令する。信号処理回路28は、この命令に応答して、メモリカード42からJPEG画像ファイルを読み出すとともに、読み出したJPEG画像ファイルを伸長して元のYUVデータに戻す。このYUVデータは、信号処理回路28からビデオエンコーダ30に転送され、ここでNTSC方式の複合画像信号に変換される。変換された複合画像信号は液晶モニタ32に入力され、これによって液晶モニタ32の画面に再生画像が映し出される。
【0026】
なお、再生モードにおいては、再生画像を1枚ずつ表示させることもできるし、複数枚の再生画像をマルチ表示させることもできる。このようにいずれの態様で再生画像を表示させるかは、モードキー20の操作によって選択できるが、詳しい説明は省略する。
【0027】
ところで、この実施例のディジタルカメラ10は、被写界内を移動する動的被写体を自動的に追尾しながらフォーカスを調整する、という自動追尾機能を備えている。
【0028】
たとえば今、図3に示すように、被写界が横長になるようにディジタルカメラ10が設置されているとする。そして、動的被写体(ここでは人間)50がフォーカスエリア“0”に存在しており、このフォーカスエリア“0”を有効フォーカスエリアZcとしてフォーカス調整が成されているものとする。この場合、動的被写体50は、矢印52で示すようにフォーカスエリア“1”の方向、または矢印54で示すようにフォーカスエリア“2”の方向に移動するものと予想される。
【0029】
一方、図4に示すように、被写界が縦長になるようにディジタルカメラ10が設置されているときは、フォーカスエリア“0”に存在する動的被写体50は、矢印56で示すようにフォーカスエリア“3”の方向、またはフォーカスエリア“4”の方向に移動するものと予想される。
【0030】
そこで、図3または図4に示すように動的被写体50が中央のフォーカスエリア“0”に存在するときには、周囲のフォーカスエリア“1”,“2”,“3”および“4”における輝度の変化を検出し、この検出結果から動的被写体50が移動したか否かを判断する。さらに、動的被写体50が移動した場合には、その移動方向も判断する。
【0031】
具体的には、CPU22が、数フレームおきにAE/AF評価回路36から輝度評価値Iy[i]を取り込む。そして、今回取り込んだ輝度評価値Iy[i]と前回取り込んだ輝度評価値Iy[i]’との差分、つまり輝度差ΔIy[i](=|Iy[i]−Iy[i]’|)を算出するととも、前回の輝度評価値Iy[i]’に対する当該輝度差ΔIy[i]の比率、つまり輝度変化率E[i](={ΔIy[i]/Iy[i]’}×100[%])を算出する。
【0032】
さらに、CPU22は、周囲のフォーカスエリア毎の輝度変化率E[j](ここではj=1〜4)を算出する。このフォーカスエリア毎の輝度変化率E[j]は、各々のフォーカスエリアを構成する各ブロックで求められた輝度変化率E[i]の平均値(=AveE[i])に相当する。
【0033】
動的被写体50に動きが生じると輝度が変化するため、周囲のフォーカスエリアのいずれか1つに輝度変化が生じたときは、当該フォーカスエリアに動的被写体50が移動していると思われる。実際には、動的被写体50以外の物体にも動きが生じる可能性があるため、CPU22は、周囲のフォーカスエリアのうち輝度変化率E[j]が最も大きいフォーカスエリアを動的被写体50の移動先エリアZtとして予想する。そして、CPU22は、この予想移動先エリアZtにおける輝度変化率E[j]を閾値Kと比較する。CPU22はまた、フォーカスエリア“0”を挟んで予想移動先エリアZtと反対側にあるフォーカスエリアを監視対象エリアZmとし、当該監視対象エリアZmにおける輝度変化率E[j]と閾値Lとを比較する。さらに、CPU22は、予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]を数フレーム分積算し、その積算値Xを閾値Mと比較する。なお、この実施例では、閾値KおよびMは7[%]に設定され、閾値Lは閾値Kの1/4の1.75[%]に設定される。
【0034】
ここで、予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]が閾値K以上(E[j]≧K)であれば、当該予想移動先エリアZtに動的被写体50が移動してきたために当該予想移動先エリアtにおいて輝度が大きく変化した可能性がある。ただし、予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]が閾値K以上であっても、監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]が閾値L以上(E[j]≧L)であるときは、当該予想移動先エリアZtにおける輝度の変化は、動的被写体50の移動によるものではなく、パンニングやチルティングによって被写界全体の風景が変化したことに起因する可能性がある。さらに、動的被写体50が比較的に低速で移動する場合には、予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]が閾値K以上となる可能性は低いものの、当該輝度変化率E[j]の積算値Xが閾値M以上(E[j]≧M)となる可能性がある。
【0035】
そこで、CPU22は、予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]が閾値K以上でかつ監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]が閾値L未満であるとき、または予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]の積算値Xが閾値M以上であるとき、予想移動先エリアZtに動的被写体50が移動したと判断し、当該予想移動先エリアZtを新たな有効フォーカスエリアZcとしてフォーカス調整を行う。これ以外のとき、つまり予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]が閾値K未満でかつ当該輝度変化率E[j]の積算値Xが閾値M未満であるとき、または監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]が閾値L以上でかつ予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]の積算値Xが閾値M未満であるときは、CPU22は、動的被写体50がフォーカスエリア“0”から移動していないものと判断し、引き続きフォーカスエリア“0”を有効フォーカスエリアZcとしてフォーカス調整を行う。
【0037】
一方、図5に示すように、被写界が横長に設定され、フォーカスエリア“1”に動的被写体50が存在する場合には、動的被写体50は矢印60で示すようにフォーカスエリア“0”の方向、ひいてはフォーカスエリア“2”の方向に移動するものと予想される。また、図6に示すように、被写界が縦長に設定され、フォーカスエリア“3”に動的被写体50が存在する場合には、動的被写体50は矢印62で示すようにフォーカスエリア“0”の方向、ひいてはフォーカスエリア“4”の方向に移動するものと予想される。
【0038】
そこで、図5または図6に示すように周囲のフォーカスエリア“1”,“2”,“3”および“4”のいずれかに動的被写体50が存在するとき、つまりフォーカスエリア“1”,“2”,“3”または“4”が有効フォーカスエリアZcであるとき、CPU22は、中央のフォーカスエリア“0”を予想移動先エリアZtとする。そして、このフォーカスエリア“0”を挟んで有効フォーカスエリアZcとは反対側に存在するのフォーカスエリアを監視対象エリアZmとする。たとえば、フォーカスエリア“1”が有効フォーカスエリアZcであるとき、フォーカスエリア“2”が監視対象エリアZmとされる。そして、CPU22は、予想移動先エリアZtであるところのフォーカスエリア“0”の輝度変化率E[i](=E[0]),監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]およびフォーカスエリア“0”の輝度変化率E[i]の積算値Xに基づいて、フォーカスエリア“0”に動的被写体50が移動したか否かを判断する。
【0039】
具体的には、フォーカスエリア“0”の輝度変化率E[j]が閾値K以上でかつ監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]が閾値L未満であるとき、またはフォーカスエリア“0”の輝度変化率E[j]の積算値Xが閾値M以上であるときに、CPU22は、フォーカスエリア“0”に動的被写体50が移動したと判断し、フォーカスエリア“0”を新たな有効フォーカスエリアZcとしてフォーカス調整を行う。一方、フォーカスエリア“0”の輝度変化率E[j]が閾値K未満でかつ当該輝度変化率E[j]の積算値Xが閾値M未満であるとき、または監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]が閾値L以上でかつフォーカスエリア“0”の輝度変化率E[j]の積算値Xが閾値M未満であるとき、CPU22は、動的被写体50が有効フォーカスエリアZcから移動していないものと判断し、引き続き同じ有効フォーカスエリアc内でフォーカス調整を行う。
【0040】
なお、かかる自動追尾機能によって動的被写体50を追尾するとき、絞り機構14の絞り量Aは開放とされる。これは、絞り機構14の開口部14aにおける光の回折の影響を軽減し、ひいては追尾精度を向上させるためである。この自動追尾の途中でシャッタボタン34が全押しされると、当該絞り量Aは最適絞り量Asに設定される。
【0041】
図7を参照して、この実施例における自動追尾機能の動作の一例を説明する。たとえば、今、図7(a)に示すように、動的被写体50がフォーカスエリア“1”に存在しており、このフォーカスエリア“1”を有効フォーカスエリアcとしてフォーカスが調整されているとする。そして、この動的被写体50が、図7(b)および図7(c)に示すように、フォーカスエリア“0”を経てフォーカスエリア“2”の方向で、かつ紙面の表面の方向(ディジタルカメラ10側)に向かって走っているものとする。さらに、図7(a)の時点では被写界内に存在しなかった物体(ここでは人間)70が、図7(b)の時点で被写界内に侵入し、図7(c)の時点で再度被写界から外れるとする。
【0043】
このように、各フォーカスエリアは動的被写体50が移動したか否かを検知するための移動検知エリアとしても利用される。そして、これらのフォーカスエリアのうち動的被写体50の移動先エリアとして予想される予想移動先エリアZtが特定されるとともに、この予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]および当該予想移動先エリアZtに対応する監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]に基づいて動的被写体50が移動したか否が判断される。したがって、全てのAFエリアにおける合焦指標値の差分から動的被写体が移動したか否かが判断されるという上述した従来技術とは異なり、動的被写体50以外の物体70の影響を受けることなく、当該動的被写体50が確実に追尾され、フォーカスが合わせられる。
【0044】
なお、自動追尾機能が働いているとき、CPU22は、液晶モニタ32の画面上で有効フォーカスエリアZcを他のフォーカスエリアとは異なる形態で表示する。図7では、有効フォーカスエリアZcは実線で表され、他のフォーカスエリアは点線で表されている。したがって、オペレータは、現在どのフォーカスエリアが有効フォーカスエリアZcとされているのかを直観的に把握することができる。
【0045】
以上のような自動追尾機能を有効化するには、モードキー20の操作によって追尾モードを選択する。そして、シャッタボタン34が半押しされると、CPU22は、自動追尾動作に入り、図8〜図15のフロー図で示される各処理を実行する。なお、これらのフロー図に従ってCPU22の動作を制御するための制御プログラムは、CPU22内のプログラムメモリ22aに予め記憶されている。
【0046】
図8を参照して、自動追尾動作に入ると、CPU22はまず、ステップS1のAE/AF制御処理を実行する。このステップS1において、CPU22は、上述したAE/AF評価回路36から与えられる輝度評価値Iy[i]に基づいて上述した最適露光期間Tsおよび最適絞り量Asを算出するとともに、これら算出した最適露光期間Tsおよび最適絞り量Asを設定する(厳密には、このような設定とするようTG18および絞りドライバ38を制御する)。これと同時に、CPU22は、AE/AF評価回路36から与えられるフォーカス評価値Ih[j]に基づいて有効フォーカスエリアZcを設定する。
【0047】
さらに、このステップS1において、CPU22は、輝度評価値Iy[i]およびフォーカス評価値Ih[j]から自動追尾を実行するのに必要な撮影条件が満足されているか否かを判定する。具体的には、輝度評価値Iy[i]から被写界の明るさが自動追尾を実行するのに十分な明るさであるか否かを判断するとともに、フォーカス評価値Ih[j]からフォーカスが良好に合っているか否かを判断する。このステップS1のAE/AF制御処理については、後で詳しく説明する。
【0048】
ステップS1の処理後、CPU22は、ステップS3に進み、当該ステップS1において自動追尾を実行するのに必要な撮影条件が満足されていることを表す“Good”という判定、および当該撮影条件が満足されていないことを表す“NG”という判定、のいずれが下されたのかを判断する。ここで、“NG”という判定が下された場合、CPU22は、正確に自動追尾動作を実行することができないと判断し、当該自動追尾動作を終了する。この場合、シャッタボタン34の半押し状態が解除されれば、たとえばオペレータの指がシャッタボタン34から離されれば、CPU22は、何らかのコマンドが与えられるのを待機するコマンド待ち状態となる。また、シャッタボタン34が全押しされれば、露光不足またはピンぼけ状態で上述した記録処理が成されることになる。
【0049】
一方、ステップS1において“Good”という判定が下された場合、CPU22は、ステップS3からステップS5に進む。そして、このステップS5において、CPU22は、シャッタボタン34の半押し状態が保持されているか否かを判断する。ここで、半押し状態が解除されている場合には、CPU22は、一連の自動追尾動作を終了し、半押し状態が保持されている場合には、ステップS7に進む。
【0050】
ステップS7において、CPU22は、p,qおよびrという3つの変数を初期化する。すなわち、p=0,q=0およびr=0とする。ここで、変数pは、シャッタボタン34が半押しされた後、イメージセンサ16から出力される画像信号(Yデータ)が安定するまでに掛かる時間(厳密にはフレーム数)をカウントするための変数である。一方、変数qは、自動追尾を行うために何フレームおきに輝度評価値Iy[i]を取り込むのかをカウントするための変数である。そして、変数rは、上述した積算値Xを得るためにフォーカスエリア“0”,“1”または“2”の輝度変化率E[j]を何フレーム分積算するのかをカウントするための変数である。さらに、CPU22は、上述のフォーカスエリア“0”,“1”および“2”の輝度変化率E[j]の積算値Xを算出するときに用いるレジスタS[1],S[2]およびS[3]をクリアする。すなわち、S[1]=0,S[2]=0およびS[3]=0とする。
【0051】
ステップS7の処理後、CPU22は、ステップS9に進む。そして、このステップS9において、現在の絞り量Aが開放状態であるか否かを判断し、開放状態である場合には、ステップS11に進み、当該開放状態であることを表すフラグGをG=1とする。そして、ステップS13に進み、垂直同期信号Vsyncが入力されるのを待機する。
【0052】
一方、現在の絞り量Aが開放状態でない場合、CPU22は、ステップS9からステップS15に進む。そして、このステップS15において、現在設定されている露光期間T(ステップS1で設定された最適露光期間Ts)および絞り量A(ステップS1で設定された最適絞り量As)を、各々T’およびA’というレジスタに記憶する。そして。ステップS17において、上述のフラグGをG=0とした後、ステップS19において絞り量Aを開放状態とする。さらに、ステップS21において、当該開放状態の絞り量Aに応じた露光期間Tを算出し、算出した露光期間TをステップS23において設定する。このステップS23の処理後、CPU22は、ステップS13に進む。
【0053】
ステップS13において垂直同期信号Vsyncが入力されると、CPU22は、ステップS25に進み、シャッタボタン34の半押し状態が未だ保持されているか否かを判断する。ここで、半押し状態が保持されている場合には、CPU22は、ステップS27に進み、AE/AF評価回路36から輝度評価値Iy[i]を取得する。
【0054】
一方、半押し状態が解除されている場合には、CPU22は、ステップS25からステップS29に進み、上述のフラグGがG=1であるか否かを判断する。ここで、G=1である場合、CPU22は、絞り機構14が元々開放されていたものと判断し、そのまま自動追尾動作を終了する。これに対して、G=1でない場合(すなわちG=0の場合)、CPU22は、ステップS29からステップS31に進む。そして、このステップS31において、上述したレジスタT’の記憶内容に基づいて露光期間Tを設定するとともに、レジスタA’の記憶内容に基づいて絞り量Aを設定する。そして、このステップS31の処理後、自動追尾動作を終了する。
【0055】
ステップS27において輝度評価値Iy[i]を取得した後、CPU22は、図9のステップS33に進み、上述した変数pが上限値Pに達したか否かを判断する。この実施例では、上限値PはP=3とされている。
【0056】
ここで、変数pが未だ上限値Pに達していない場合、CPU22は、ステップS33からステップS35に進み、当該変数pを1だけインクリメントした後、ステップS37に進む。そして、このステップS37において、現在の輝度評価値Iy[i]をIy[i]’というレジスタに記憶した後、図8のステップS13に戻る。一方、ステップS33において変数pが上限値Pに達した場合、CPU22は、ステップS39に進み、上述した変数qとその上限値Qとを比較する。
【0057】
このステップS39において変数qが未だ上限値Qに達していない場合、CPU22は、ステップS41に進み、当該変数qを1だけインクリメントした後、図8のステップS13に戻る。一方、変数qが上限値Qに達した場合、CPU22は、ステップS39からステップS43に進み、当該変数qをクリア(q=0)する。なお、この実施例では、変数qの上限値QはQ=3とされている。
【0058】
ステップS43の処理後、CPU22は、ステップS45の移動判定処理を実行する。このステップS45の移動判定処理において、CPU22は、上述した予想移動先エリアZtを設定するとともに、当該予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]および上述した監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]に基づいて動的被写体50が移動したか否か、厳密には比較的に高速で移動したか否かを判定する。このステップS45の移動判定処理についても、後で詳しく説明する。
【0059】
ステップS45の処理後、CPU22は、ステップS47に進み、当該ステップS45において動的被写体50が移動したと判定されたか否かを判断する。ここで、動的被写体50が移動した(移動有り)と判定された場合、CPU22は、ステップS49のAF再起動処理を実行する。
【0060】
ステップS49のAF再起動処理においては、CPU22は、後述するように有効フォーカスエリアZcを更新して、更新後の有効フォーカスエリアZcにおいてフォーカス調整を行う。そして、このステップS49の処理後、CPU22は、ステップS51に進み、上述したレジスタS[0],S[1]およびS[2]の各々をクリアし、さらにステップS53において、現在の輝度評価値Iy[i]をレジスタIy[i]’に記憶した後、図8のステップS13に戻る。
【0061】
一方、上述のステップS47において動的被写体50が移動していない(移動無し)と判定された場合、CPU22は、図10のステップS55に進む。このステップS55の変化率積算処理において、CPU22は、後述するように、フォーカスエリア“0”が有効フォーカスエリアZcとされている場合には、フォーカスエリア“1”の輝度変化率E[1]およびフォーカスエリア“2”の輝度変化率E[2]の各々を積算する。そして、輝度変化率E[1]の積算結果を上述したレジスタS[1]に記憶するとともに、輝度変化率E[2]の積算結果をレジスタS[2]に記憶する。一方、フォーカスエリア“0”以外のフォーカスエリアが有効フォーカスエリアZcとされている場合には、フォーカスエリア“0”の輝度変化率E[0]を積算し、その積算結果をレジスタS[0]に記憶する。そして、CPU22は、ステップS55において上述の変数rを1だけインクリメントした後、ステップS57に進む。
【0062】
ステップS57において、CPU22は、変数rとその上限値Rとを比較する。ここで、変数rが上限値Rに達していないとき、CPU22は、上述した図9のステップS53に進む。一方、変数rが上限値Rに達したときは、CPU22は、ステップS57からステップS59に進む。そして、このステップS59において変数rをクリアした後、ステップS61に進む。
【0063】
ステップS61において、CPU22は、フォーカスエリア“0”が有効フォーカスエリアZcとされているか否かを判断する。ここで、フォーカスエリア“0”が有効フォーカスエリアZcとされている場合、CPU22は、ステップS63に進み、上述のレジスタS[1]に記憶されている値とレジスタS[2]に記憶されている値とを比較する。ここで、レジスタS[1]に記憶されている値がレジスタS[2]に記憶されている値以上(S[1]≧S[2])であるとき、CPU22は、ステップS65に進み、レジスタS[1]に記憶されている値を上述した積算値Xとする。一方、ステップS63において、レジスタS[1]に記憶されている値がレジスタS[2]に記憶されている値よりも小さい(S[1]<S[2])とき、CPU22は、ステップS67に進み、レジスタS[2]に記憶されている値を積算値Xとする。さらに、ステップS61においてフォーカスエリア“0”以外のフォーカスエリアが有効フォーカスエリアZcとされている場合には、CPU22は、ステップS69に進み、レジスタS[0]に記憶されている値を積算値Xとして設定する。
【0064】
ステップS65,ステップS67およびステップS69のいずれかにおいて積算値Xを設定した後、CPU22は、ステップS71に進み、当該積算値Xと上述した閾値Mとを比較する。ここで、積算値Xが閾値M以上であるとき、CPU22は、図9のステップS49に進む。一方、積算値Xが閾値Mよりも小さいとき、CPU22は、図9のステップS53に進む。
【0065】
次に、図11を参照して、図8におけるステップS1のAE/AF制御処理の詳細を説明する。この図11に示すように、AE/AF制御処理に入ると、CPU22は、まず、ステップS101において、AE/AF評価回路36から輝度評価値Iy[i]を取得する。そして、ステップS103において、当該取得した輝度評価値Iy[i]の合計ΣIy[i]と閾値Bとを比較する。
【0066】
ここで、輝度評価値Iy[i]の合計ΣIy[i]が閾値Bよりも小さいとき、CPU22は、被写界の明るさが自動追尾を行うのに十分な明るさでないと判断して、ステップS103からステップS105に進む。そして、このステップS105において上述した“NG”という判定を下した後、この図11で示される一連のAE/AF制御処理を終えて、図8のステップS3に進む。
【0067】
一方、ステップS103において輝度評価値Iy[i]の合計ΣIy[i]が閾値B以上であるとき、CPU22は、被写界の明るさが自動追尾を行うのに十分な明るさであると判断してステップS107に進む。そして、このステップS107において、輝度評価値Iy[i]および現在の測光方式(多分割測光,中央重点測光,スポット測光など)に基づいて最適露光期間Tsおよび最適絞り量Asを算出した後、ステップS109において、当該算出した最適露光期間Tsおよび最適絞り量Asを設定する。
【0068】
このステップS109の処理後、CPU22は、ステップS111に進み、フォーカスレンズ12の位置、つまりフォーカス位置fを最大撮影距離(∞)の位置に設定した後、ステップS113に進む。そして、このステップS113において、CPU22は、フォーカス評価値Ih[i]の最大値Ih[i]maxを一時記憶しておくためのレジスタIh[i]max’をクリア(Ih[i]max’=0)した後、ステップS115において、垂直同期信号Vsyncが入力されるのを待機する。
【0069】
ステップS115において垂直同期信号Vsyncが入力されると、CPU22は、ステップS117に進み、各フォーカスエリアのフォーカス評価値Ih[i]を取得する。そして、CPU22は、ステップS119に進み、当該取得したフォーカス評価値Ih[i]の最大値Ih[i]maxを特定するとともに、当該特定した最大値Ih[i]maxと上述のレジスタIh[i]max’に記憶されている値とを比較する。ここで、最大値Ih[i]maxがレジスタIh[i]max’に記憶されている値以上(Ih[i]max≧Ih[i]max’)であるとき、CPU22は、ステップS121に進み、当該最大値Ih[i]maxをレジスタIh[i]max’に記憶する。そして、CPU22は、ステップS123に進み、その時点でのフォーカス位置fをf’というレジスタに記憶するとともに、ステップS125において、最大値Ih[i]maxを含むフォーカスエリアを有効フォーカスエリアZcとして設定する。このとき、CPU22は、液晶モニタ32の画面上の有効フォーカスエリアZcを他のフォーカスエリアとは異なる形態(たとえば色彩を付す)で表示する。このステップS125の処理後、CPU22は、ステップS127に進む。
【0070】
一方、ステップS119においてフォーカス評価値Ih[i]の最大値Ih[i]maxがレジスタIh[i]max’に記憶されている値よりも小さい(Ih[i]max<Ih[i]max’)ときは、CPU22は、直接ステップS127に進む。
【0071】
ステップS127において、CPU22は、フォーカス位置fが最短撮影距離(NEAR)の位置に達したか否かを判断する。ここで、フォーカス位置fが未だNEAR位置に達していない場合、CPU22は、ステップS129に進み、フォーカス位置fを1ステップ分だけ移動させた後、ステップS117に戻る。一方、フォーカス位置fがNEAR位置に達した場合は、CPU22は、ステップS127からステップS131に進む。
【0072】
ステップS131において、CPU22は、レジスタIh[i]max’に記憶されている値と閾値Cとを比較する。ここで、レジスタIh[i]max’の値が閾値Cよりも小さい(Ih[i]max’<C)とき、CPU22は、有効フォーカスエリアZcにおける合焦程度が自動追尾を行うのに必要な程度に満たないと判断して、ステップS105に進む。一方、レジスタIh[i]max’の値が閾値C以上(Ih[i]max’≧C)であるとき、CPU22は、有効フォーカスエリアZcにおける合焦程度が自動追尾を行うのに十分な程度であると判断して、ステップS133に進み、“Good”という判定を下す。そして、CPU22は、ステップS135に進み、フォーカス位置fを上述したレジスタf’の記憶内容に基づいて設定し、この一連のAE/AF制御処理を終了する。
【0073】
次に、図12および図13を参照して、図9におけるステップS47の移動判定処理の詳細を説明する。図12に示すように、移動判定処理に入ると、CPU22は、まず、ステップS201において、ブロック毎の輝度差ΔIy[i]を算出する。この輝度差ΔIy[i]は、図8のステップS27で取得した輝度評価値Iy[i]と図9のステップS37でレジスタIy[i]’に記憶した値との差の絶対値(=|Iy[i]−Iy[i]’|)に相当する。
【0074】
このステップS201の処理後、CPU22は、ステップS203に進み、ブロック毎の輝度変化率E[i]を算出し、さらに、ステップS205において、フォーカスエリア毎の輝度変化率E[j]を算出する。
【0075】
そして、CPU22は、ステップS207に進み、フォーカスエリア“0”が有効フォーカスエリアZcとして設定されているか否かを判断する。ここで、フォーカスエリア“0”が有効フォーカスエリアZcとされているとき、CPU22は、ステップS209に進む。そして、このステップS209において、周囲のフォーカスエリア“1”,“2”,“3”および“4”のうち輝度変化率E[j]が最も大きいフォーカスエリアを、予想移動先エリアZtとして設定する。この設定後、CPU22は、ステップS211に進み、当該設定した予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]と上述した閾値Kとを比較する。
【0076】
このステップS211において予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]が閾値Kよりも小さいとき、CPU22は、ステップS213に進む。そして、このステップS213において動的被写体50は(高速で)移動していないという移動無しの判定を下して、一連の移動判定処理を終了する(図9のステップS49に進む)。
【0077】
一方、ステップS211において予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]が閾値K以上(E[j]≧K)であるとき、CPU22は、ステップS215に進み、上述した監視対象エリアZmを設定する。具体的には、フォーカスエリア“1”が予想移動先エリアZtとされているとき、CPU22は、フォーカスエリア“2”を監視対象エリアZmとし、フォーカスエリア“2”が予想移動先エリアZtとされているときは、フォーカスエリア“1”を監視対象エリアZmとする。さらに、フォーカスエリア“3”が予想移動先エリアZtとされているときは、フォーカスエリア“4”を監視対象エリアZmとし、フォーカスエリア“4”が予想移動先エリアZtとされているときは、フォーカスエリア“3”を監視対象エリアZmとする。
【0078】
このようにステップS215において監視対象エリアZmを設定した後、CPU22は、ステップS217に進み、当該監視対象エリアZmにおける輝度変化率E[j]と上述した閾値Lとを比較する。ここで、監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]が閾値L以上であるとき、CPU22は、ステップS213に進む。一方、監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]が閾値Lよりも小さいとき、CPU22は、ステップS219に進む。そして、このステップS219において動的被写体50が予想移動先エリアZtに移動したという移動有りの判定を下して、この一連の移動判定処理を終了する。
【0079】
また、上述のステップS207において、フォーカスエリア“0”以外のフォーカスエリアが有効フォーカスエリアZcとされているとき、CPU22は、図13のステップS221に進む。そして、このステップS221において、フォーカスエリア“0”を予想移動先エリアZtとして設定した後、ステップS223に進む。
【0080】
ステップS223において、CPU22は、ステップS221で設定した予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j](=E[0])と閾値Kとを比較する。ここで、予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]が閾値Kよりも小さいとき、CPU22は、ステップS223からステップS225に進む。そして、このステップS225において、上述の移動なしという判定を下して、移動判定処理を終了する。
【0081】
一方、ステップS223において予想移動先エリアZtの輝度変化率E[j]が閾値K以上であるとき、CPU22は、ステップS227に進む。そして、このステップS227において、現在の有効フォーカスエリアZcに応じて監視対象エリアZmを設定する。具体的には、フォーカスエリア“1”が有効フォーカスエリアZcとされているとき、CPU22は、フォーカスエリア“2”を監視対象エリアZmとし、フォーカスエリア“1”が有効フォーカスエリアZcとされているときは、フォーカスエリア“1”を監視対象エリアZmとする。そして、フォーカスエリア“3”が有効フォーカスエリアZcとされているときは、フォーカスエリア“4”を監視対象エリアZmとし、フォーカスエリア“4”が有効フォーカスエリアZcとされているときは、フォーカスエリア“3”を監視対象エリアZmとする。
【0082】
このようにステップS227において監視対象エリアZmを設定した後、CPU22は、ステップS229に進み、当該監視対象エリアZmにおける輝度変化率E[j]と閾値Lとを比較する。そして、監視対象エリアZmにおける輝度変化率E[j]が閾値L≧であるとき、CPU22は、上述のステップS225に進む。一方、監視対象エリアZmの輝度変化率E[j]が閾値Lよりも小さいとき、CPU22は、ステップS231に進む。そして、このステップS231において移動有りという判定を下して、一連の移動判定処理を終了する。
【0083】
次に、図14を参照して、図9におけるステップS49のAF再起動処理について詳しく説明する。図14に示すように、AF再起動処理に入ると、CPU22は、ステップS301において有効フォーカスエリアZcを更新する。具体的には、現在の予想移動先エリアZtを新たな有効フォーカスエリアZcとするとともに、液晶モニタ32の画面上で当該新たな有効フォーカスエリアZcを他のフォーカスエリアとは異なる形態で表示する。そして、ステップS303に進み、更新後の有効フォーカスエリアZc内でフォーカス調整を行った後、ステップS305において、上述の変数pをクリアし、一連のAF再起動処理を終了する。
【0084】
図15を参照して、図10におけるステップS55の変化率積算処理の詳細を説明する。この図15に示すように、変化率積算処理に入ると、CPU22は、まず、ステップS401において、現在、フォーカスエリア“0”が有効フォーカスエリアZcとして設定されているか否かを判断する。ここで、当該フォーカスエリア“0”が有効フォーカスエリアZcとして設定されているとき、CPU22は、ステップS403に進む。
【0085】
ステップS403において、CPU22は、フォーカスエリア“1”における輝度変化率E[1]およびフォーカスエリア“2”における輝度変化率E[2]の各々を積算する。具体的には、上述したレジスタS[1]に記憶されている値に現在の輝度変化率E[1]を加算し、加算後の値を新たにレジスタS[1]に記憶する。これと同様に、レジスタS[2]に記憶されている値に現在の輝度変化率E[2]を加算し、加算後の値を新たにレジスタS[1]に記憶する。このステップS403の処理後、CPU22は、ステップS405に進み、上述の変数qを1だけインクリメントして、一連の変化率積算処理を終了する。
【0086】
一方、ステップS401においてフォーカスエリア“0”以外のフォーカスエリアが有効フォーカスエリアZcとして設定されているとき、CPU22は、ステップS407に進む。そして、このステップS407において、フォーカスエリア“0”における輝度変化率E[0]を積算する。すなわち、上述したレジスタS[0]に記憶されている値に現在の輝度変化率E[0]を加算し、加算後の値を新たにレジスタS[0]に記憶する。このステップS407の処理後、CPU22は、上述のステップS405に進む。
【0087】
なお、この実施例では、ディジタルカメラ10にこの発明を適用する場合について説明したが、ビデオカメラなどの他のカメラにもこの発明を適用することができる。
【0088】
また、フォーカスエリアの位置や形状,数などは、この実施例で説明した内容に限定されるものではない。さらに、上述した各閾値B,C,K,LおよびMについても、この実施例で説明した以外の値に適宜設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の実施例における画面の構成を示す図解図である。
【図3】図1の実施例において被写界を横長に設定した状態で、かつ被写体が中央のエリアに存在するときの処理の概要を示す図解図である。
【図4】図1の実施例において被写界を縦長に設定した状態で、かつ被写体が中央のエリアに存在するときの処理の概要を示す図解図である。
【図5】図1の実施例において被写界を横長に設定した状態で、かつ被写体が周囲のエリアに存在するときの処理の概要を示す図解図である。
【図6】図1の実施例において被写界を縦長に設定した状態で、かつ被写体が周囲のエリアに存在するときの処理の概要を示す図解図である。
【図7】図1の実施例における自動追尾機能の効果の一例を示す図解図である。
【図8】図1の実施例におけるCPUの動作を示すフロー図である。
【図9】図8に繋がるフロー図である。
【図10】図9に繋がるフロー図である。
【図11】図8におけるAE/AF制御処理の詳細を示すフロー図である。
【図12】図9における移動判定処理の詳細を示すフロー図である。
【図13】図12に繋がるフロー図である。
【図14】図9におけるAF再起動処理の詳細を示すフロー図である。
【図15】図10における変化率積算処理の詳細を示すフロー図である。
【符号の説明】
10…ディジタルカメラ
12…フォーカスレンズ
14…絞り機構
22…CPU
36…AE/AF評価回路
Claims (5)
- フォーカス調整が指示されたとき被写界に割り当てられた複数のフォーカスエリアのうち第1エリア条件を満足する1つのフォーカスエリアを主要被写体が存在する有効フォーカスエリアとして決定する第1決定手段、
前記有効フォーカスエリアを基準としてフォーカス調整を実行する調整手段、
前記複数のフォーカスエリアのうち前記有効フォーカスエリアと異なりかつ第2エリア条件を満足する1つのフォーカスエリアを前記主要被写体の移動先と予想される予想移動先フォーカスエリアとして決定する第2決定手段、
前記複数のフォーカスエリアのうち前記予想移動先フォーカスエリアと既定位置関係にあるフォーカスエリアを監視対象フォーカスエリアとして決定する第3決定手段、および
輝度変化条件が満足されたとき前記予想移動先フォーカスエリアを前記有効フォーカスエリアとして決定する第4決定手段を備え、
前記第1エリア条件は、フォーカス評価値が最大となるフォーカスレンズの位置が最も至近側に存在するという条件であり、
前記第2エリア条件は、前記有効フォーカスエリアと隣り合うフォーカスエリアが複数存在する場合は輝度変化率が最大であるという条件であり、
前記既定位置関係は、前記有効フォーカスエリアが前記予想移動先フォーカスエリアと隣り合う側とは異なる側で前記有効フォーカスエリアと隣り合う位置関係を含み、
前記輝度変化条件は、前記予想移動先フォーカスエリアの輝度変化率が第1閾値以上であるという第1閾値条件および前記監視対象フォーカスエリアの輝度変化率が第2閾値を下回るという第2閾値条件の論理積に相当する、オートフォーカスカメラ。 - 前記複数のフォーカスエリアは、前記被写界の中央に配置された中央位置フォーカスエリアと、前記被写界の中央上側および中央下側の各々に配置された上下位置フォーカスエリアと、前記被写界の中央左側および中央右側の各々に配置された左右位置フォーカスエリアとを含む、請求項1記載のオートフォーカスカメラ。
- 前記複数のフォーカスエリアのうち前記有効フォーカスエリアと異なるフォーカスエリアの輝度変化量を所定期間にわたって積算する積算手段、および
前記積算手段の積算値が所定条件を満たすとき前記予想移動先フォーカスエリアを前記有効フォーカスエリアとして決定する第5決定手段をさらに備える、請求項1または2記載のオートフォーカスカメラ。 - 前記所定条件は前記積算値が第3閾値以上であるという条件を含む、請求項3記載のオートフォーカスカメラ。
- 前記第2エリア条件は前記有効フォーカスエリアと隣り合うフォーカスエリアが1つしか存在しない場合は当該隣り合うフォーカスエリアとする条件を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載のオートフォーカスカメラ。
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