JP3948931B2 - 高温用ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサ、及びガス分析装置等に使用される、耐熱性に優れた高温用ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃焼炉、焼却炉、及び内燃機関等からの排ガスの成分を検出するガスセンサ、或いは同ガスセンサの検出信号を分析することにより同排ガスの成分を分析するガス分析装置は、炉内や排気管内等の高温環境下に配設されるガス検出素子の出力信号を取り出すため、耐熱性の優れた高温用ケーブルを採用している。かかる高温用ケーブルは、一般に、金属製パイプと、同金属製パイプ内を貫通するように配置された複数本の金属素線とからなり、同金属素線と同金属製パイプとの間、及び同金属素線間の絶縁を維持するため、同金属製パイプと同金属素線とにより形成される空間にMgO等の粉末状無機絶縁物が充填されていて、その耐熱温度は200〜1050℃程度である。一方、前記無機絶縁物は、吸湿により絶縁性能が低下する。このため、従来の高温用ケーブルにおいては、一般に、金属製パイプの端部開口がエポキシ樹脂やシリコン等の有機物により密閉される。そして、この端部にガス検出素子を含むセンサユニットが接続され、同センユニットが炉内や排気管内に配置される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記金属製パイプの端部を密閉する有機物の耐熱温度は200℃程度であるから、同端部の周囲温度が同耐熱温度以上となるような炉内等の場所には従来の高温用ケーブルを使用することができず、その結果、センサユニットを所望の位置に配設できないという問題がある。従って、本発明の目的は、一層高温の環境に耐え得る端部構造を備えた高温用ケーブルを提供することにある。
【0004】
【本発明の概要】
上記目的を達成するための本発明の高温用ケーブルは、第1のパイプと金属素線とを有し、同第1のパイプ内を同金属素線が貫通するとともに同第1のパイプと同金属素線との間の空間に無機絶縁物が充填されてなる高温用ケーブル本体と、両端が開放した第2のパイプ、絶縁材料からなり同第2のパイプの断面の内側形状と略同一の外周形状を有するとともに金属素線の貫通孔が形成された板体、及び同貫通孔を貫通する金属素線を有し、同第2のパイプの内部に同板体を挿入することで同板体により同第2のパイプ内を二つの空間に分割し、同分割された空間うちの一つの空間をガラスにより気密に閉塞してなる末端部材と、両端が開放した第3のパイプとを備え、前記第2のパイプの前記分割された空間のうちの他の空間と、前記第1のパイプの一つの端部との間に密閉空間を形成するように、前記第3のパイプの一つの端部と前記第1のパイプとを気密に接合し、且つ、前記第3のパイプの他の端部と前記第2のパイプとを気密に接合するとともに、同第3のパイプ内において前記高温用ケーブル本体の金属素線の一つの端部と前記末端部材の金属素線の一つの端部とを接合してなる。
【0005】
これによれば、高温用ケーブル本体の端部が、第3のパイプを介して末端部材と接続される。この末端部材は第2のパイプと板体と金属素線とを備え、板体により分割された第2のパイプ内の一つの空間がガラスにより閉塞される。このように、本発明の高温用ケーブルは、その端部が、エポキシ樹脂やシリコン等の有機物に比べ耐熱温度(溶融温度)が高温であるガラスにより気密に閉塞される(ガラス封止される)から、周囲温度が200℃以上となる環境においても使用することができる。また、高温用ケーブルの端部をガラス封止する場合、高温用ケーブルを炉内に入れて加熱する必要があるが、高温用ケーブルは一般に全長が長いので、同高温用ケーブル全体を炉内に入れることが困難である。これに対し、上記構成によれば、末端部材のみを炉内で加熱してガラス封止し、同ガラス封止された末端部材を炉外にて高温用ケーブル本体の端部に接続することができる。従って、ガラス封止によって耐熱性が向上せしめられた端部を有する高温用ケーブルを容易に製造することができる。
【0006】
この場合、前記第2のパイプの前記分割された空間のうちの他の空間、及び前記第3のパイプ内の空間は、無機絶縁物が充填されることが好適である。
【0007】
これによれば、末端部材の内部、及び第3の部材の内部における絶縁性能を良好に維持することができる。
【0008】
また、上記末端部材においては、前記第2のパイプ内のガラスにより達成される気密性を良好に維持するため、同ガラスの量を多くする必要がある。ところが、ガラスの量を多くすると、同ガラスには環境温度の上下変動に起因するクラックが生じ易くなる。そこで、本発明においては、通常のガラスに比べて環境温度の上下変動に起因するクラックが生じ難い結晶化ガラスを上記末端部材の封止用のガラスとして採用することで、耐久性に優れた高温用ケーブルを提供する。
【0009】
更に、前記ガラスは、その結晶化温度が750℃以上のガラスであることが好適である。これによれば、750℃以上という高温の環境下で使用し得る高温用ケーブルが提供される。
【0010】
また、前記第2のパイプは、例えばガス検出素子を含むセンサユニットとともに燃焼炉等の炉内に配設されることが多いから、防錆性に優れたステンレスから形成されることが望ましい。しかしながら、ステンレスとガラスの熱膨張係数差が過大であると、環境温度が上下に変動した場合に同ガラスによる気密性が損なわれる惧れがある。従って、前記第2のパイプの材質としては、ステンレスの中でもガラスの熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するフェライト系ステンレス(例えば、SUS430)を使用することが好適である。より具体的には、前記結晶化ガラスと前記第2のパイプとの熱膨張係数の差が5.0×10 −6 /℃以下であることが好適である。
【0011】
また、通常、高温用ケーブルにはNiからなる金属素線が使用されるが、同Niからなる金属素線とガラスとの熱膨張係数差は大きいので、環境温度が上下に変動した場合に同ガラスによる気密性が損なわれる惧れがある。そこで、前記第2のパイプ内の金属素線の前記結晶化ガラスと接触する部分と同結晶化ガラスとの熱膨張係数の差が2.9×10 −6 /℃以下となるように材料を選択する。具体的には、第2のパイプ内の金属素線の材質として、ガラスとの熱膨張係数差がNiよりも小さいTiを用いることが好適である。なお、この場合、TiはNiよりも高価であるから、第2のパイプ内の金属素線の前記ガラスと接触する部分のみをTiにより形成したものとし、同金属素線の残余の部分は安価な他の金属(Ni,SUS等)により形成することが好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による高温用ケーブルを使用したガス分析装置の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に全体構成の概略を示したガス分析装置10は、センサユニット20、プローブユニット30、フィルタユニット40、及びターミナルヘッド(端子台)50を備えている。
【0013】
センサユニット20は、拡大断面図である図2に示したように、固体電解質からなる板状のガスセンサ素子21と、ガスセンサ素子21を保持するための円筒形碍管22と、同円筒形碍管22を保持するためのガスセンサ保護用金属製パイプ23と、円筒形のコネクタ接続用パイプ24と、円筒形のコネクタ25とを備えている。
【0014】
ガスセンサ素子21は、基部21aが円筒形碍管22内に挿入され、同基部21aと同円筒形碍管22との空隙に充填されたガラス26(タルクでもよい)により、その先端部であるガス検出部21bを同円筒形碍管22の外部に露出させた状態で同円筒形碍管22に固定されている。
【0015】
ガスセンサ素子21を固定した円筒形碍管22は、一端が閉塞されるとともに同端部近傍において複数のガス導入孔23aを備える円筒状のガスセンサ保護用金属製パイプ23内に挿入されている。この金属製パイプ23の内側面と円筒形碍管22の外側面とは密接していて、両者間の気密状態が維持されている。
【0016】
以上の構成により、ガス検出部21bは、ガスセンサ保護用金属製パイプ23と円筒状碍管22の先端面22aとで画定される空間内に露呈され、同金属製パイプ23のガス導入孔23aを介して同空間に流入する測定ガスに曝されるようになっている。
【0017】
コネクタ接続用パイプ24は、ガスセンサ保護用金属製パイプ23の外側面と円筒形のコネクタ25の外側面とにそれぞれ接続固定され、内部に密閉空間を形成するようになっている。この密閉空間内をガスセンサ素子21の図示しない電極から延びる複数のリード線21cが貫通し、同リード線21cの端部は断面が凹状であって弾性を有するコネクタ25の電気接触子25aと接続されている。
【0018】
プローブユニット30は、図1に示したように、金属製プローブパイプ31と校正ガスパイプ31aとを備えるとともに、図3に示したように、高温用ケーブル本体32と、末端部材33と、接続部材34とを備えている。なお、高温用ケーブル本体32、末端部材33、及び接続部材34により、高温用ケーブルが構成される。
【0019】
高温用ケーブル本体32は、本例においては全長5mのケーブルであって、一端がターミナルヘッド(端子台)50に接続されるとともに、他端が接続部材34を介して末端部材33に接続されている。以下において、高温用ケーブル本体32の接続部材34側の端部を同高温用ケーブル本体32の先端部と云う。
【0020】
図4は、ガス分析装置10の完成状態における、高温用ケーブル本体32の先端部、末端部材33、及び接続部材34の拡大断面図である。図4に示したように、高温用ケーブル本体32は、第1のパイプを構成する金属製(例えば、SUS316のステンレス製)パイプ32aと、同金属製パイプ32aの内部を同金属製パイプ32aの軸線に沿って貫通するNiからなる複数本の金属素線32bと、同金属製パイプ32aと同金属素線32bとがなす空間に充填された粉末状の無機絶縁物(例えば、MgOの粉末)32cとからなっている。粉末状の無機絶縁物32cは前記空間内に密に充填されていて、これにより、金属素線32bは金属製パイプ32aに対して実質的に移動不能に保持されている。
【0021】
末端部材33は、第2のパイプを構成する円筒状の金属製(例えば、フェライト系ステンレスであるSUS430のステンレス製)パイプ33aと、同金属製パイプ33aの内部を同金属製パイプ33aの軸線に沿って貫通する複数本の金属素線33bと、各金属素線33bを保持する板体33cとを備えている。本例においては、金属製パイプ33aの軸方向長さは5cmである。
【0022】
金属製パイプ33aは、両端が開口するとともに、外周の直径が前記高温用ケーブル本体32の金属製パイプ32aの外周の直径と略同一である円筒形状を有し、略中央部を境として一側が板厚の厚い厚肉部33a1、他側が板厚の薄い薄肉部33a2により構成されていて、これにより同略中央部の内側面に段差部33a3を有している。金属素線33bの各々は、Niからなる金属素線33b1と、この素線33b1に溶接されたTiからなる金属素線33b2とからなっている。板体33cは、アルミナ等の絶縁材料からなり、金属製パイプ33aの薄肉部33a2の内径と略同一の直径を有する円盤状の磁器板である。換言すると、板体33cの外周形状は、金属製パイプ33aの薄肉部33a2を同金属製パイプ33aの軸線に垂直な平面で切断した断面(即ち、軸線に垂直な断面)の内周形状と略同一の形状となっている。
【0023】
また、板体33cは、金属素線33bの直径とほぼ同一の直径を有する複数の貫通孔33c1を有していて、この貫通孔33c1に各金属素線33bが貫通されることで同各金属素線33bを保持するようになっている。板体33cは、金属製パイプ33a内の前記段差部33a3に配設され(挿入され)、同金属製パイプ33aの内部を厚肉部33a1により形成される空間と、薄肉部33a2により形成される空間とに分割する(即ち、金属製パイプ33a内を同パイプ33aの略中央部を境として二つの空間に分割する)ようになっている。このとき、板体33cは、金属製パイプ33aの厚肉部33a1の内部に前記Niからなる金属素線33b1を配設するとともに、前記金属製パイプ33aの薄肉部33a2の内部に前記Tiからなる金属素線33b2を配設する。この状態で、金属素線33b1は厚肉部33a1の端部開口面より突出し、金属素線33b2は薄肉部33a2の端部開口面より僅かだけ突出している。
【0024】
金属製パイプ33aの薄肉部33a2と、板体33cと、金属素線33b2とが形成する空間(即ち、板体33cにより分割された金属製パイプ33aの空間うちの一つの空間)は、結晶化ガラス33dにより閉塞され(結晶化ガラスにより満たされ)、気密に維持されている。換言すると、ガラス33dは、金属製パイプ33aの両端部開口間における気体の通流を不可能としている。なお、上記結晶化ガラスは、ZnO、B2O3、SiO2の総べてを含むとともに、MgO、BaO、Al2O3、及びCaOのうちの少なくとも一種を含み、結晶化温度が750℃以上のものを用いる。
【0025】
一方、金属製パイプ33aの厚肉部33a1と、板体33cと、金属素線33b1とが形成する空間(即ち、板体33cにより分割された金属製パイプ33aの空間うちの他の空間)は、前記金属製パイプ32aに充填されたものと同一の粉末状無機絶縁物32cが充填されている。
【0026】
接続部材34は、両端が開口した円筒形状を有する金属製(例えば、オーセナイト系ステンレスであるSUS316のステンレス製)パイプ34aを備えている。この金属製パイプ34aは第3のパイプを構成するもので、本例においては、軸方向長さが3.5cmである。金属製パイプ34aの内周直径は、金属製パイプ32a、及び金属製パイプ33aの外周直径と略同一である。これにより、金属製パイプ34aの一つの開口端部E1の近傍、及び他の開口端部E2の近傍における各断面の内側形状は、前記第1のパイプである金属製パイプ32aの断面の外側形状、及び前記第2のパイプである金属製パイプ33aの断面の外側形状とそれぞれ略同一となっている。そして、金属製パイプ34aは、金属製パイプ32aと金属製パイプ33aとを接続するように配設され、両開口端部E1,E2は、金属製パイプ32aの外側面、及び金属製パイプ33aの外側面とそれぞれ溶接により気密に接合されている。
【0027】
金属製パイプ34aの内部には、高温用ケーブル本体32から延びる金属素線32bの端部と、この端部に溶接で接続された末端部材33から延びる金属素線33b(金属素線33b1)とが配置されるとともに、前記金属製パイプ32a,33a内に充填されたものと同一の粉末状無機絶縁物が充填されている。これにより、金属素線32b,33bは同金属製パイプ34aに対して移動不能となっている。
【0028】
前記末端部材33から僅かに突出した金属素線33b2は、図5に示したように、Niからなる金属素線35の一端に接続され、同金属素線35の他端は円筒状のコネクタ36から突出した断面が凸状の電気接触子36aの一端に接続されている。電気接触子36aの他端はコネクタ36から突出し、前記コネクタ25の電気接触子25a内に挿入されて接続されている。
【0029】
フィルタユニット40は、図5に示したように、チューブ継手41とフィルタ42とを保持したフィルタユニット本体43と、フィルタユニット本体43から延びる校正ガスパイプ44とからなっている。チューブ継手41は内孔を有し、その内孔にはセンサユニット20のガスセンサ保護用金属製パイプ23が挿入されている。フィルタ42はガスセンサ保護用金属製パイプ23の先端部に当接し、ガス検出部21bに向けて導入される排ガス中のゴミ等を除去するようになっている。校正ガスパイプ44は、金属製プローブパイプ31内の校正ガスパイプ31aの一端に接続されている。
【0030】
再び、図1を参照すると、校正ガスパイプ31aの他端は、金属製プローブパイプ31のターミナルヘッド50の近傍に設けられた校正ガス導入口51と接続されていている。これにより、校正ガスパイプ31a、及び校正ガスパイプ44は、校正ガス導入口51から導入される校正ガスを前記ガス検出部21bに導くようになっている。
【0031】
ガス分析装置取付け用フランジ52は、中央部に開口を、両端部に一対のボルト貫通孔を有する板体である。チューブ継手53は、中央部に開口を備え、その開口を前記フランジ52の中央部開口と一致させた状態で同フランジ52に固定されていて、チューブ継手53の前記開口内を金属製プローブパイプ31が挿通するようになっている。そして、チューブ継手53は、金属製プローブパイプ31の軸方向の任意の位置において同金属製プローブパイプ31を保持し、フランジ52が図示しない炉の壁面、又は排気管の壁面等に前記ボルト孔を貫通するボルトにより固定されることで、センサユニット20の先端部を同炉、又は排気管内の所望の位置に配置し得るようになっている。
【0032】
上記のように構成されたガス分析装置10においては、ガスセンサ素子21の出力信号がリード線21c、電気接触子25a,36a、及び金属素線35,33b,32bを介してターミナルヘッド50に伝達されるとともに、同ターミナルヘッド50に接続された図示しない回路装置により分析され、これによりガスセンサ素子21の検出するガスの成分が分析される。
【0033】
次に、上記ガス分析装置の製造方法の概略について説明する。
(末端部材33の製造)
先ず、末端部材33の製造工程について図6を参照しながら述べると、最初にNiからなる金属素線33b1とTiからなる金属素線33b2とを溶接して金属素線33bを得て、更に、金属素線33b2の前記溶接がなされていない側の端部とNiからなる金属素線35とを溶接する。また、金属製パイプ33aを用意する。次に、板体33cの貫通孔33c1に金属素線33b,35を通過させる。次いで、板体33cを金属製パイプ33aの薄肉部33a2の開口部側から挿入し、段差部33a3に設置する。そして、金属製パイプ33aの薄肉部33a2が上方に位置し、厚肉部33a1が下方に位置するように、同金属製パイプ33aを図示しない固定台に固定する。このとき、薄肉部33a2の上部(開口端部近傍)外周に補助筒61を設置しておく。なお。補助筒61の内周側直径は、金属製パイプ33aの外周側直径と略同一となっている。
【0034】
次に、金属製パイプ33aに振動を加えながら(即ち、タッピングしながら)、結晶化ガラス(封着ガラス)の粉末を前記補助筒61の上部開口から薄肉部33a2の空間内に充填する。充填されるガラス粉末は薄肉部33a2の開口端部を超えて補助筒61の上部に至る程度までとする。そして、かかる状態の金属製パイプ33aと、補助筒61とを炉内に入れ、ガラス粉末を750〜1050℃程度の高温雰囲気下で加熱・焼成する。即ち、前記ガラスを結晶化させる。これにより、ガラスは減容するので、同ガラスの上端部は、図4に示すように、金属製パイプ33aの薄肉部33a2の開口端部近傍位置となる。以上により、末端部材33のガラスによる封止が終了する。最後に、金属製パイプ33aと補助等61を炉から取り出して、同補助筒61を取り外す。以上により、末端部材33が完成する。
【0035】
(高温用ケーブル本体への末端部材の接続・固定)
次いで、上記のように製造された末端部材33を高温用ケーブル本体32に接続する工程について説明する。先ず、高温用ケーブル本体32の金属製パイプ32aの一端に図示しない円盤部材を取り付けるとともに、高温用ケーブル32の同一端をターミナルヘッド50に接続しておく。そして、図4に示したように、末端部材33から突出しているNiの金属素線33b1の端部を高温用ケーブル本体32の他端から突出しているNiからなる金属素線32bの端部に溶接により接続する。
【0036】
次いで、接続用の金属製パイプ34aを、金属製パイプ33aの薄肉部33a2側から入れ、同金属製パイプ34aの一端E1が金属製パイプ32aの端部近傍の外側面と接触し、且つ同金属製パイプ34aの他端E2が同金属製パイプ33aの厚肉部33a1の開口端部近傍の外側面と接触する位置までスライドさせる。その後、金属製パイプ34aの一端E1と高温用ケーブル本体32の金属製パイプ32aの外側面とをTIG溶接により気密に接合し、同金属製パイプ34aの他端E2と金属製パイプ33aの厚肉部33a1の外側面とをTIG溶接により気密に接合する。
【0037】
次いで、金属製パイプ34aに設けられている導入穴34a1から乾燥処理後のMgOの粉末を全体に振動を加えながら(タッピングしながら)充填し、その後、同導入穴34a1に蓋34a2を嵌めてから同蓋34a2の周囲と金属製パイプ34aとを溶接する。これにより、金属製パイプ34a内の気密性が維持される。
【0038】
(ガス分析装置10の組み立て)
次に、図5に示したように、金属素線35の他端をコネクタ36の電気接触子36aに溶接することで接続する。次いで、コネクタ36の周囲に金属製円盤部材54を固定する。そして、金属製プローブパイプ31内に高温用ケーブル本体32を貫通させ、前記金属製円盤部材54を同金属製プローブパイプ31の先端部の(ターミナルヘッド50とは反対側の)内周側壁に溶接により固定する。
【0039】
次いで、センサユニット20のコネクタ25の電気接触子25aに、コネクタ36の電気接触子36aを挿入して接続する。その後、フィルタユニット40とセンサユニット20とをチューブ継手41により固定し、同センサユニット20の先端部をフィルタ42に当接させるとともに、校正ガスパイプ44と校正ガスパイプ31aとを接続する。以上により、ガス分析装置10が完成する。
【0040】
次に、上記実施形態における末端部材33の気密性に関する実験結果について説明する。下記の表1は実験に使用した末端部材33の各部材の材料を示している。下記表2は、ガラス33dと金属製パイプ33aとの材料の各組み合わせに対して行った気密性に関する実験の結果である。この実験では、末端部材33を電気炉内に配置し、温度を50℃から600℃まで1時間で変化させ、次いで600℃の状態を3時間維持し、その後電気炉を停止して50℃まで低下させる温度サイクルを1サイクルとし、同サイクルを50回繰り返した後に、気密性の良否について判定を実施した。気密性の良否判定は、末端部材33に大気圧よりも100kPaだけ高い圧力の空気を末端部材33のガラス33dにより閉塞された側(薄肉部33a2側)端部開口から加え、反対側(厚肉部33a1側)の端部開口でのリーク量をせっけん膜流量計により測定し、このリーク量が0.1cc/分以下であれば気密性は良好、同リーク量が0.1cc/分より大きいと気密性は不良であるとすることにより行った。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
上記表2から理解されるように、ガラス33dが表1に示したガラスA、又はガラスBの何れであっても、金属製パイプ33aを同表1に示した金属製パイプB(即ち、フェライト系ステンレスであるSUS430)とすれば、気密性が良好に維持された。換言すると、ガラス33dと金属製パイプ33aとの熱膨張係数の差が5.0×10-6/℃以下の場合に、気密性が良好に維持されることが判明した。
【0044】
そこで、金属製パイプ33aを金属製パイプBとして、ガラス33dと金属素線33bとの組み合わせを変更して上記と同様の気密性の実験を行った。その結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
上記表3から理解されるように、気密性が良好に維持された組み合わせは、ガラスAと金属素線D、ガラスBと金属素線C、及びガラスBと金属素線Dの各組み合わせであった。即ち、ガラスA,Bに拘らず、金属素線33bが金属素線Dであれば(金属素線33bがTiで形成されていれば)、気密性が良好に維持されることが判明した。また、ガラス33dにガラスBを使用した場合には、金属素線33bとして金属素線C(即ち、Pt)を使用しても気密性が良好に維持され得ることが判明した。換言すると、金属素線33bとガラス33dとの熱膨張係数の差が2.9×10-6/℃以下の場合に、気密性が良好に維持されることが判明した。以上のことから、金属製パイプ33aは熱膨張係数が小さいSUS430が好適であり、金属素線33bには熱膨張係数が小さいTiが最も好適で、次にPtが好適であることが解った。
【0047】
以上、説明したように、本発明の実施形態によれば、ガス検出素子を含むセンサユニット等が接続され高温雰囲気中に配設される高温用ケーブルの端部が、750℃〜1050℃という高い結晶化温度の結晶化ガラス33dにより封止されているから(即ち、封着ガラス33dで密閉されているから)、より高温の環境下で使用し得る高温用ケーブルが提供された。また、末端部材33は高温用ケーブルの全体に対して極めて小さいので、炉内にてガラス33dを容易に結晶化(焼成)することができる。また、末端部材33において、結晶化ガラス33dを使用しているから、同ガラス33dにクラックが生じ難く、耐久性の高い高温用ケーブルが提供された。
【0048】
更に、前記ガラス33dと接触する金属製パイプ33aには、同ガラス33dとの熱膨張係数差が小さく、しかも防錆性に優れたフェライト系ステンレスであるSUS430を採用したこと、及び、前記ガラス33dと接触する金属素線は同ガラス33dと熱膨張係数差の小さいTiを採用したことにより、環境温度が上下変動した場合にも気密性が良好に維持され得る高温用ケーブルが提供された。更に、末端部材33内であっても、ガラス33dが存在しない空間(即ち、厚肉部33a1の内部)に位置する金属素線33b1はTiに比べて安価なNiにより形成しているから、同末端部材33の製造コストを抑制することもできた。
【0049】
以上、本発明による高温用ケーブルの一実施形態について説明してきたが、本発明は同実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、金属製パイプ32a、33a、34a内に充填される粉末状絶縁物はMgOである必要はなく、Al2O3、SiO2等であってもよい。また、ガラス33dの成分、及び金属素線33bの金属は、上述したもの以外のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による高温用ケーブルが適用されたガス分析装置の全体構成図である。
【図2】 図1に示したセンサユニットの拡大断面図である。
【図3】 図1に示した高温用ケーブルとターミナルヘッドの全体構成図である。
【図4】 図1に示したガス分析装置の高温用ケーブル本体の先端部、末端部材、及び接続部材の拡大断面図である。
【図5】 図1に示したプローブユニットの先端部、センサユニット、及びフィルタユニットの拡大断面図である。
【図6】 末端部材の製造工程を説明する図である。
【符号の説明】
10…ガス分析装置、20…センサユニット、21…ガスセンサ素子、21b…ガス検出部、22…円筒形碍管、23…ガスセンサ保護用金属製パイプ、26…ガラス、30…プローブユニット、31…金属製プローブパイプ、32…高温用ケーブル本体、32a…金属製パイプ、32b…金属素線、32c…粉末状無機絶縁物、33…末端部材、33a…金属製パイプ、33a1…厚肉部、33a2…薄肉部、33b…金属素線、33b1…Niからなる金属素線、33b2…Tiからなる金属素線、33c…板体、33d…結晶化ガラス(封止ガラス)、34…接続部材、34a…金属製パイプ、35…金属素線、40…フィルタユニット、50…ターミナルヘッド。
Claims (3)
- 第1のパイプと金属素線とを有し、同第1のパイプ内を同金属素線が貫通するとともに同第1のパイプと同金属素線との間の空間に無機絶縁物が充填されてなる高温用ケーブル本体と、
両端が開放するとともにフェライト系ステンレスからなる第2のパイプ、絶縁材料からなり同第2のパイプの断面の内側形状と略同一の外周形状を有するとともに金属素線の貫通孔が形成された板体、及び同貫通孔を貫通する金属素線を有し、同第2のパイプの内部に同板体を挿入することで同板体により同第2のパイプ内を二つの空間に分割し、同分割された空間うちの一つの空間を結晶化ガラスにより気密に閉塞してなる末端部材と、
両端が開放した第3のパイプとを備え、
前記第2のパイプの前記分割された空間のうちの他の空間と、前記第1のパイプの一つの端部との間に密閉空間を形成するように、前記第3のパイプの一つの端部と前記第1のパイプとを気密に接合し、且つ、前記第3のパイプの他の端部と前記第2のパイプとを気密に接合するとともに、同第3のパイプ内において前記高温用ケーブル本体の金属素線の一つの端部と前記末端部材の金属素線の一つの端部とを接合し、
前記第2のパイプの前記分割された空間のうちの他の空間及び前記第3のパイプ内の空間は、無機絶縁物が充填され、
前記結晶化ガラスと前記第2のパイプとの熱膨張係数の差が5.0×10 −6 /℃以下であり、
前記第2のパイプ内の金属素線の前記結晶化ガラスと接触する部分と同結晶化ガラスとの熱膨張係数の差が2.9×10 −6 /℃以下である高温用ケーブル。 - 請求項1に記載の高温用ケーブルにおいて、
前記結晶化ガラスは、その結晶化温度が750℃以上のガラスである高温用ケーブル。 - 請求項1又は請求項2に記載の高温用ケーブルにおいて、
前記第2のパイプ内の金属素線の前記結晶化ガラスと接触する部分はTiからなる高温用ケーブル。
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