[電子文書管理装置全体構成]
図1は、この実施例の電子文書管理装置100を文書編集作成手段101とともに示した図である。電子文書管理装置100は、例えばパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等のドキュメント作成可能な機器によって構成される。
文書編集作成手段101は例えばパーソナルコンピュータによって使用可能なソフトウェアによって実現される。電子文書管理装置100は、後述するページ構造を有する文書ファイルを扱い、この文書ファイルのアイコンを、例えばデスクトップの画面上に配列して表示させ、その中から選択した文書ファイルに対して、文書編集作成手段(編集プログラム)101を呼びだす。また、それに加えて、アイコンを通じての文書ファイルの操作が可能である。
図1において、電子文書管理装置100は、文書編集作成手段101に加えて、記憶装置102、記憶入出力部103、イメージ読み出し部104、属性読み出し部105、ページ書き込み部106、属性書き込み部107、入力装置108、入力処理部109、表示情報作成部111、イメージ縮小部112、表示装置120を含んで構成されている。点線枠で示したイメージ読み出し部104、属性読み出し部105、ページ書き込み部106、属性書き込み部107を含む領域はオブジェクト管理部200である。
ユーザのマウスやキーボードからの入力は入力処理部109で解釈されて、システム上のオブジェクトを操作するコマンドになる。そのコマンドを受けとってオブジェクト管理部200は、記憶装置102中の文書オブジェクトを操作する。状態が変化したオブジェクトから表示情報作成部111により表示情報が表示装置120に転送され、新しい表示状態をユーザに提示する。記憶装置102中のオブジェクトは、記憶入出力部103によって、適宜記憶装置102に保管され、再度の実行に備えられる。
電子文書管理装置100が利用する文書に関するデータは記憶装置102上にあり、文書データ、文書データの属性値、さらに詳細には、文書、バインダ、ページそれぞれのオブジェクトデータの属性データ等が記憶されている。これらの詳細については後述する。
イメージ読み出し部104、属性読み出し部105は、文書をページ、属性、文書データといったオブジェクトとして解釈して文書編集作成手段101等に提供する。このオブジェクトは電子文書管理装置100、文書編集作成手段101から同様に利用でき、このことにより操作の共通化がなされている。つまり、電子文書管理装置100のデータは、デスクトップ(=電子文書管理装置100)からも、エディタ(=文書編集作成手段101)からも同一のモデルとして扱われ、文書編集作成手段101を通じてオブジェクトに対して設定した属性は、文書編集作成手段101において共通の属性として処理される。
図1において、表示装置120、入力装置108も電子文書管理装置100および文書編集作成手段101に共通に利用される。一般には、入力装置108はキーボード、マウスであり、表示装置120はCRT、液晶表示装置等によって構成される。
電子文書管理装置100の内部には、さらに、ページ書き込み部106、属性書き込み部107を有する。これらは、それぞれイメージ読み出し部104、属性読み出し部105によって読み出されたイメージ、属性情報に対して文書編集作成手段101を介して、変更、追加等の書き込みを実行するものである。
電子文書管理装置100の内部には、さらに、イメージ縮小部112、表示情報作成部111、入力処理部109がある。一覧すべきすべての文書ファイルについて、イメージ読み出し部104、属性読み出し部105から得た属性情報とページイメージから、アイコンが並んでいる画像を作成するのが表示情報作成部111である。イメージ縮小部112は、イメージ読み出し部104から提供されるページイメージを縮小してアイコンのための小さなビットマップ、いわゆるサムネイル画像を生成して表示情報作成部111に提供する。
入力処理部109はユーザからの入力を処理して、必要に応じて、イメージ読み出し部104、属性読み出し部105から得たデータを更新する。イメージ読み出し部104、属性読み出し部105から得たデータの更新は結果として表示情報作成部111の作成する画像の更新につながるので、ユーザの入力は即座に表示に影響することになる。
このシステムにおける表示情報作成部111は、ページの内容情報とともに属性情報も併せて表示情報として提供することが可能である。入力処理イベントのうち、文書編集作成手段101の起動を促すイベント(アイコン上でのマウスのダブルクリックなど)が発生した場合は、入力処理部109は特定したアイコンに応じたファイルを文書編集作成手段101に渡す。
図2に文書指定時の表示、すなわち電子文書管理装置100において、例えば記憶装置102に格納された複数の文書中から編集対象とする文書を選択した際の表示装置120に表示される画面の例を示す。通常、画面は大きく2つの部分に別れ、左側のフォルダ部でユーザがあるフォルダを選択すると、右側のワークスペース部にフォルダ内に含まれる文書ファイルが表示される。図2はフォルダ部を省略し、ワークスペースのみを抽出して示してある。
図2に示すように個々の文書ファイルはメタペーパファイルのアイコンとして表示され、これらのアイコンを通して各文書ファイルに対してアクセスが可能な構成となっている。アイコンの図柄としては個々の文書が表示する画像を縮小した画像、すなわちサムネイルが用いられている。ここでは、文書ファイルに含まれるページめくりや文書の合成、分解などの操作が可能になっている。選択したメタペーパファイルとしてのアイコンに対しクリック指定する処理等を通じて編集プログラムを呼びだすことが可能である。さらに、アイコンを通じての文書ファイルの操作、例えばドラッグ&ドロップによる文書の合成、バインダに対する文書追加等の処理が可能である。これらの処理については、後段で詳細に説明する。
図2に示す例では、左上に1つの文書ファイルが示され、下部に写真ファイル、右上に複数の文書の合成により生成されるバインダが示されている。各ファイル上部に示される2/3等の記号は、サムネイル(縮小画像)で示される現ページと総ページ数を、「現ページ/総ページ数」の態様で示している。図2から理解されるように、複数文書を束ねることの可能なバインダは、他の文書ファイルとは異なるバインダ特有のアイコン表示がなされ、その上部、すなわちバインダの表面に文書がのっている形で、バインダ内の一文書の所定ページ(カレントページ)がサムネイル表示される構成となっている。
文書ファイルの上部に示されるクリップアイコンは、その文書が複数ページから構成されていることを示しており、左右の三角マークは、それぞれのマークをクリックすることでページめくりが可能な構成となっている。なお、このページめくりのマーク構成は本特許出願と同一出願人による特許出願平成8年第275708号(特開平10−124489号)に記載されている。
本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法における特有の構成であるバインダの左には、所定幅の綴代が表示され、その上部には三角マークが表示され、それぞれのマークをクリックすることでページめくりが可能な構成となっている。
なお、図2に示す表示態様は一例であり、図2では、サムネイルの画像に、総ページ数、現ページ番号を示す数字、ページめくりのためのコントロール領域(クリップ、三角マーク)が設けられているが、さらに、サムネイルの画像の下部、または周囲にサムネイル表示されたページまたは文書に関する他の属性を示したり、バインダに束ねられた文書数、サムネイル表示された文書名等の情報を表示することも可能である。これら表示情報は、図1の表示情報作成部111において作成される。
[バインダ・オブジェクト]
本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法において管理されるバインダ、または文書ファイルは、図3に示すようなデータによって構成され、記憶装置102に格納される。図3はバインダ・オブジェクトの属性データと文書オブジェクトの属性データを示している。本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法においては、バインダ、文書個々について各々個別にオブジェクトとして管理され、個々の属性データとして図3に示す属性データを有する。さらに、図3には示されないが文書を構成するページデータについても各ページがページ・オブジェクトとして管理され、ページデータおよびその属性値がページオブジェクトを指定することで抽出可能であり、抽出データに基づいてページ内容を例えば表示装置に表示することができる。
図3の構成について説明する。図3の左上がバインダ・オブジェクトの属性に関するデータ構成であり、下部の2つのデータ構成は、バインダ・オブジェクト中に束ねられた文書オブジェクトの属性データ構成を示す。図3には属性データのみを示しているが、図3の右下に示す文書オブジェクトのページリンクによってリンク(関連づけ)するページ・オブジェクトには、ページデータ、例えばページを構成するビットマップデータが保持されており、各ページのデータ内容はバインダ・オブジェクトまたは文書オブジェクトからたどることができる。
図3に示す2つの文書オブジェクトはバインダのサブ文書としてバインダ・オブジェクトとリンク(関連づけ)がなされている。バインダに束ねられた個々の文書は、それぞれ区別された文書として、すなわち元の単一文書としての属性を保持した固有のオブジェクトを構成している。
図3のオブジェクト構成について説明する。まず、左上のバインダ・オブジェクトについて順次説明する。
カレントページ:現在ディスプレイに表示されている(または表示された)ページの識別子、例えばページ番号である。総ページ:バインダ内の文書を構成する総ページ数である。カレント文書:現在ディスプレイに表示されている(または表示された)文書の識別子である。総文書数:バインダ内の文書を構成する文書数である。バインダ色:バインダの表示色である。バインダサイズ:バインダのサイズである。綴じ代位置:バインダの綴じ代位置を示す、例えば左端または上端等である。サブ文書リンク:バインダを構成、すなわち束ねられた文書の識別値(例えば、記憶装置におけるデータアドレス)である。
次に、図3下に示す文書属性データの構成を説明する。文書名:その文書を示す識別名称である。カレントページ:現在ディスプレイに表示されている(または表示された)ページの識別子、例えばページ番号である。総ページ:文書を構成する総ページ数である。ページリンク:文書を構成するページの識別値(例えば、記憶装置におけるページオブジェクトのデータアドレス)である。
バインダサイズは、例えばA3、B4等のバインダサイズである。バインダに束ねる文書がA4であったり、B5であるとき、バインダを特定の大きさとして、例えばその属性データとして、バインダ大きさ:A3を図2のバインダ・サムネイルの下部に表示するようにすれば、バインダに重ねられて表示される文書の大きさが、バインダの大きさとの比較から推察できる。バインダの色については、他の文書と容易に判別可能な色を用いることがバインダであることの判別容易化のためには望ましい。
次に、各オブジェクトのリンク態様について説明する。図3で説明したように本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法において処理されるオブジェクトには、バインダ・オブジェクト、文書オブジェクト、ページ・オブジェクトがある。これら3種類のオブジェクトのリンクについて図4を用いて説明する。
図4は、オブジェクトのリンク態様について、(a)合成前の個々の文書の構成、(b)文書の合成の結果、(c)バインダに2つの文書を追加した状態、これら3種類のリンク態様を示した概念図である。
(a)合成前の個々の文書の構成は、図3の下部に示す文書オブジェクトが個別に存在する状態、すなわち、文書1と文書2が別々に何の関係も持たずに記憶装置に記憶されている状態である。これは、従来の電子文書管理装置において一般的に存在する構成である。
(b)文書の合成の結果は、文書1に文書2を合成して、新規な1つの文書(文書1)を生成した場合である。この場合、元の文書2は存在しなくなり、元の文書2のページ1,2は新規文書である文書1のページ3,4として記憶される。従って、合成後は、元の文書2の第1ページ、第2ページは、新規合成文書の第3ページの指定または第4ページの指定によってのみ取り出すことが可能となる。この構成は、従来の文書合成方法と同様のものである。
(c)バインダに2つの文書を追加した状態は、本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法における特有の文書管理構成である。図から理解されるように、文書1、文書2のオブジェクトは、バインダとして合成された後も、そのまま存在し、文書1、文書2にリンクする形でバインダ・オブジェクトが存在する。それぞれの文書1,文書2は、バインダにおいて合成された文書として存在するとともに、元の合成前の文書オブジェクトの構成をなくすことなく合成前と全く同じ状態で保持している。すなわち、この(c)の構成によれば、(b)の構成とは異なり、バインダから文書1または文書2を指定して取り出すこと等の処理が可能となる。バインダに対する処理について、以下、各態様毎にその詳細を説明する。
[バインダへの文書追加処理]
次に、本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法におけるバインダを利用した文書のバインダへの追加処理の処理フローを図5を用いて説明する。
ステップS501は、バインダの現文書、これは例えば図2の表示態様においてバインダ・サムネイル上に表示されている文書を現文書とし、この現文書を示す識別子Dを識別する処理である。
次にステップS502において、設定が「現文書の後に追加する」の設定であるかが判定される。本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法においては、文書のバインダへの追加処理方法として2つの態様による処理が選択可能であり、新規文書をバインダに追加する場合、すでにバインダに束ねられている現文書Dの前に新規文書を追加する構成とするか、または後に追加する構成とするかのいずれかの設定をすることができる。これらの設定に応じて、図3のバインダ・オブジェクトのリンク文書フィールドに書き込む文書識別子データ構成を変更する。
図3のバインダ・オブジェクトのリンク文書フィールドは、バインダ内に複数の文書が束ねられている場合、それぞれの文書識別子、例えば各文書オブジェクトのアドレスデータを順序づけて保持しており、上記設定に従って、新規追加文書の文書オブジェクトのアドレスデータの書き込み処理態様を変更する。なお、これらの属性データ処理は、図1のオブジェクト管理部200、具体的には、属性書き込み部107が実行する。
ステップS502の判定がYesの場合、ステップS503において、新規文書が現文書Dの後ろの位置に挿入される。また、ステップS502の判定がNoの場合、ステップS504において、新規文書が現文書Dの前の位置に挿入される。
ステップS503、504のいずれかにおいて、バインダに対する新規文書の追加処理、具体的には、図3のバインダ・オブジェクトの文書リンクフィールドに新たな追加文書の識別子が書き込まれると、次に、ステップS505において、その他の更新処理が行われる。例えば、バインダの総ページ数の更新処理として、現在の総ページ数+追加文書のページ数の演算により求められ、結果が図3のバインダ・オブジェクトの総ページ数フィールドに書き込まれる。さらに、総文書数等、バインダに対する文書追加によって生じるバインダ・オブジェクトの属性データの更新が実行される。
さらに、表示装置のワークスペースにおいてバインダの表示が行なわれる場合は、ステップS506において、バインダの再表示がなされる。この処理は、具体的には、更新バインダ・オブジェクトに基づいて、記憶装置102から、オブジェクト管理部200、具体的には、属性読み出し部105が更新バインダ・オブジェクトの属性データを読み出す。さらに、イメージ読み出し部104が、バインダ上に表示するページデータを、バインダ・オブジェクト→文書オブジェクト→ページ・オブジェクトとたどることによって獲得し、ページイメージを読み出す。
さらに、読み出したイメージをイメージ縮小部112が縮小してサムネイルを生成する。次に、表示情報作成部111が、表示の設定がなされた属性値、例えば「3/5」のような「現ページ数/総ページ数」等の属性データをサムネイルとともに表示装置120に表示する。このような処理によって更新バインダは表示装置に表示され、図2に示すような表示がなされる。
上述のように、バインダ・オブジェクトの属性データは新規文書をバインダに追加した場合等にオブジェクト管理部200によって更新処理がなされることになるが、さらに、ユーザ自身がバインダ・オブジェクトの属性を設定することも可能である。
図6に表示装置120にバインダ・オブジェクトの属性データ設定画面を表示した例を示す。この設定画面を用いて、例えばバインダ・ファイル名、バインダの表示色、バインダのサイズ等を変更することが可能であり、例えば装置中に複数のバインダを設定する場合等において、各バインダの色、サイズ等を変えて様々なタイプのバインダを用意することができる。
図6に示すバインダの属性データ設定画面は、新規バインダを生成する場合にも表示画面に呼び出して、任意の大きさ、バインダ色等を設定して新たなバインダを生成することができる。この新規バインダ生成時点では、新規作成バインダには文書は含まれないので、図3のバインダ・オブジェクトの文書リンクフィールドにはリンクする文書アドレスは設定されない。
なお、本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法では、先に説明したように各バインダと各文書は図3または4に示すようなリンクするデータとして関係づけられているのみであるので、ある1つのバインダAに束ねられたある1つの文書、例えば文書Pは、他のバインダBに同時に束ねられた構成、すなわちバインダAもバインダBも同一文書Pをバインダ内文書として有する構成が可能である。文書PはバインダAもバインダB各々のサブ文書として、バインダAもバインダBの属性データのサブ文書フィールドに登録される。
[バインダ内の文書整理]
本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法では、バインダ内に束ねられた文書の追加のみではなく、バインダ内の文書の削除またはバインダ内の文書の順序の入れ替え処理が可能である。図7にバインダ内の文書整理処理を実行する際、表示装置120に表示される画面の例を示す。
図7に示すように、バインダ内の文書一覧が示されるとともに、バインダ内に束ねられた文書の整理処理として使用可能な操作ボタン「上に移動」〜「追加」が表示される。バインダ内の文書一覧には、文書名と各文書のページ数が表示される。
「上に移動」は、バインダ内の文書一覧から文書を選択して、「上に移動」をクリックすることによって、選択文書がバインダ内で上に移動して順序が入れ替わる処理を行なう。「下に移動」は選択文書をした方向に移動する処理を実行する。「削除」は選択文書を削除する処理である。「追加」は、例えば他の文書一欄表示において選択した文書をバインダに追加する処理を実行する。これらの追加、削除、順序入れ替え処理は、具体的には、図1における入力装置108からの入力値を属性書き込み部107が受領して書き換え対象のバインダ・オブジェクトの属性データ(図3参照)の書き換えを行なう処理として実行される。すなわち、例えばバインダに対する文書の追加処理においては、図3のバインダ・オブジェクトの文書リンクフィールドに追加文書の識別子が書き込まれるとともに、バインダ・オブジェクトについて、その他必要な更新処理が行なわれる。例えば、バインダの総ページ数、総文書数等、バインダに対する文書追加によって生じるバインダ・オブジェクトの属性データの更新が実行される。
[マウス操作によるバインダ文書整理]
さらに、バインダ内への文書の追加処理等、各種処理は、本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法において、図2に示すアイコン表示を用いて、アイコンをドラッグ、ドロップすることによっても実行可能である。図8にアイコンの移動によって処理される一例を示す。図9にアイコンのドラッグその他の指示による処理フローを示す。
図8は、バインダのアイコンに対して、文書アイコンをドラッグしてバインダに文書が追加される処理例を説明するものである。図8Aにおいて、新規バインダが表示される。バインダには文書が表示されておらず、このバインダには束ねられた文書は存在しないことを示している。図8Bは、バインダ−1に文書Aをドラッグする処理である。文書Aを選択して、バインダ−1の表示位置までドラッグして移動する。図8Cはドラッグした文書Aをバインダ−1の位置でドロップする処理である。この処理によって文書Aはバインダ−1に束ねられた文書として構成される。
これらのバインダに対する新規文書の追加処理は、図5で説明した処理と同様の処理であり、図3のバインダ・オブジェクトの文書リンクフィールドに追加文書の識別子が書き込まれるとともに、バインダ・オブジェクトについて、その他必要な更新処理が行なわれる。例えば、バインダの総ページ数、総文書数等、バインダに対する文書追加によって生じるバインダ・オブジェクトの属性データの更新が実行される。これら一連の処理は、図7で説明した処理と同様、図1における入力装置108からの入力値を属性書き込み部107が受領して書き換え対象のバインダ・オブジェクトの属性データ(図3参照)の書き換えを行なう処理として実現される。
図9にマウス操作によるバインダ内文書の変更処理フローを示す。図9は、マウスによるアイコン操作、例えば図2に示される文書アイコン、バインダ・アイコンをマウスによってドラッグ、ドロップ処理する代表的処理をフローとして示したものである。なお、図9の処理フローは、本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法で実現される処理の一部として、バインダ内のページめくり要求処理と、文書追加要求処理を中心として示したフローであり、本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法では、さらに様々な処理がアイコン操作によって実現される。
図9のフローについて説明する。図9のフローは、例えば図2の表示態様においてマウス操作を行なった結果実行される処理である。
図9のステップ900は、イベント入力を識別する処理であり、イベントとしてはマウスボタンのアップ(UP)、ダウン(DOWN)、ダブルクリックの3種類がある。
ステップ900のイベント入力が、ダブルクリックであり、マウス位置にアイコンIがある場合は、文書編集要求であると解釈される(S900→S913〜S915)。
ステップ900のイベントがボタンダウンであり、マウス位置にアイコンIがある場合は、アイコンIのドラッグ開始であると解釈される(S900→S910〜S912)。
ステップ900のイベントがボタンアップであるときは、「ページめくり要求」であるか、「文書追加要求」のいずれかである。この場合、マウスがドラッグ中であり、マウス位置にアイコンIがあり、ドラッグ中のアイコンがマウス位置のアイコンIと同じであれば、アイコンIを選択し、マウス位置にページめくりマークがあれば、ページめくり要求と解釈する(S900〜S907)。この場合のページめくりマークは、図2におけるバインタの綴じ代位置の三角(△または▽)である。
またステップS904において、ドラッグ中のアイコンがマウス位置のアイコンIでないならば、さらにドラッグ中のアイコンがあるかを確認して、文書追加要求と解釈する(S900〜S904→S908〜S909)。
これら図9に示す処理は、具体的には、図1における入力装置108、この場合はマウスからの入力値を、入力処理部109を介して属性書き込み部107が受領して書き換え対象のバインダ・オブジェクトの属性データ(図3参照)の書き換えを行なう処理によって実現される。
なお、文書追加処理において、例えば、バインダに表示された文書のページ(カレントページ)が1ページ目ではなく途中のページである場合において、その文書の前に新規追加文書を例えばドラッグ&ドロップで追加した場合、新規追加文書に覆い隠されて後続文書となった元のバインダ中の文書は、その文書オブジェクトの属性データ中のカレントページ(図3参照)がそのまま保存されるので、例えば新規追加文書を削除して、文書を追加する前の状態に復帰させる処理を行なった場合、新規文書追加前に開いていたページ(カレントページ)を、そのまま表示することができる。この構成は、図3に示すようにそれぞれの文書オブジェクトの属性データが、バインダ・オブジェクトの属性データとリンクするのみで、文書オブジェクト自体が書換えられることなく保存されるという構成に基づくものである。
[バインダ内文書のページ送り]
次に、図1010に、本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法においてページ送り処理を行なった場合のバインダ表示の更新処理フローを示す。すなわち、図2のバインダ表示において、ページめくりマーク、すなわちバインタの綴じ代位置の三角(△または▽)マークをクリックした場合の処理であり、図9のステップ907に続く処理である。
ステップS1001では、バインダのカレント文書をD、カレント文書Dのカレント文書をPとする処理を行なう。これは図2のバインダ表示態様において、現在表示されているページについて、文書Dであり、ページPであるとするものである。
次にステップS1002において、ページPが文書Dの総ページ数に等しいか否かの判定がなされる。ステップS1002の判定がYes、すなわちページPは文書Dのページ数に等しいと判定された場合は、ステップS1003において、文書Dが、バインダ中で最後の文書であるかが判定される。最後の文書であれば、現在の表示ページ、すなわち文書DのページPは、バインダにおける最終ページであるのでページめくりは実行されず、処理は終了する。
ステップS1003において、文書Dが、バインダ中で最後の文書でないと判定されると、ステップS1004において、Dの次の文書をカレント文書Dとする。さらに、ステップS1005において、更新されたカレント文書Dの1ページをカレントページとする処理を実行し、ステップS1007において、バインダのカレントページをバインダのカレントページ+1とする処理を実行し、ステップS1008で更新データの表示を実行する。この一連のS1001〜S1008の処理により、バインダ中の複数文書中、連続する文書の最終ページから、次の文書の最初のページに表示が切り換えられ、同一バインダ内の異なる文書間でのページ送りが実行される。
また、ステップS1002の、ページPが文書Dの総ページ数に等しいか否かの判定において、判定がNo、すなわちページPは文書Dのページ数に等しくないと判定された場合は、ステップS1006に進み、文書DのカレントページをDのカレントページ+1として、ステップS1007に進み、バインダのカレントページをバインダのカレントページ+1とする処理を実行し、ステップS1008で更新データの表示を実行する。この一連のS1001〜S1002→S1006〜S1008の処理により、バインダ中の同一文書の中でページ送りが実行される。
[バインダ内文書の束送り]
次に、図11に、本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法においてバインダ内の文書の文書単位のページ送り、すなわち、1つの文書を束としてまとめてページ送りを行なう束送り処理をおこなった場合のバインダ表示の更新処理フローを示す。
図2のバインダの表示は、バインダにおける束送り用のアイコンが表示されていない例であるが、この表示態様において、例えばページ送りのアイコンをキーボード中のコントロールキーを押下しながらクリックすることにより束送り処理を実行するように構成する。すなわち、図2の例では1つのアイコンの使用により2種類の動作を可能とし、ページ送り、束送りの動作を実行することができる構成としたものである。
束送りを可能とするアイコンを別表示としたバインダ例を図12に示す。図12(a)に示す例においては、各文書のページ送りは、文書上部のクリップ左右にある三角マークをクリックして行われ、文書の束としてのページ送りは、文書右側のタグをクリックして行われる。この図に示されたバインダには4つのタグが示され、4つの文書が束ねられていることを示している。この図に示されたバインダの上部の1/4は、「現表示文書(カレント文書)/総文書数」であり、1/7は「現表示ページ(カレントページ)/現文書の総ページ」である。
また、図12(b)に示す例では、文書上部のクリップの左右に大小の三角マークが並んで表示され、小さい三角マークをクリックすることにより、同一文書内でのページ送りが実行され、大きい三角マークをクリックすることにより、文書の束としてのページ送りがなされる。
この図12に示す態様に限らず、様々な態様での文書の束送り実行を実現するアイコンを表示することは可能である。
図11に戻ってバインダ内の文書束送りの処理について説明する。まず、ステップS1101において、バインダのカレント文書(例えば現在表示されている文書)をDとし、文書DのカレントページをPとする。
さらに、ステップS1102において、カレント文書Dの総ページ−P+1をページめくり数Sとする。
次にステップS1103において、カレント文書Dがバインダ内における最後の文書であるか否かが判定される。最後の文書であれば(Yes)、バインダ内に次の文書は存在しないので、文書束送りとしてのページめくりは実行されない。
ステップS1103において、カレント文書Dがバインダ内における最後の文書でないと判定されると、ステップS1104において、カレント文書Dをバインダ内の次の文書とする更新処理を実行する。さらに、ステップS1105において、Dのカレントページを1とする処理を実行する。
次にステップS1106において、バインダのカレントページを現在のバインダ内カレントページにページめくり数Sを加算した値を新たなバインダのカレントページとして更新する。
次に、ステップS1107において、更新データに基づいてバインダの表示、例えば図2、または図12のバインダ表示形態を用いてバインダ表示を実行する。
ステップS1101〜ステップS1106の一連の処理により、バインダ内に次の文書がある場合、カレント文書の残りページがまとめてページめくりされ、バインダ内でカレント文書に後続する次の文書の1ページが表示されることになり、文書束の束送りが実現される。
この図11に示す処理も、図5、図7、図1010で説明した処理と同様、図1における入力装置108からの入力値を属性書き込み部107が受領して書き換え対象のバインダ・オブジェクトの属性データ(図3参照)の書き換えを行なう処理として実現される。表示装置120における表示処理は、更新されたバインダ・オブジェクトの属性データ等に基づいて行われる。
[バインダの表示処理]
次に、図13を用いて、本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法における文書ファイル・オブジェクト、バインダ・オブジェクトの表示処理フローについて説明する。本発明の電子文書管理装置および電子文書管理方法においては、図1に示す表示装置に、図2に示すように、文書を構成するページのサムネイル(縮小画像)とバインダのアイコン、複数ページからなることを示すクリップ、文書のページ数、バインダのページ数、サムネイルとして表示しているカレントページ等の各種の属性等が表示される。
これらの表示処理は、記憶装置102に記憶された文書オブジェクトの属性データ、またはバインダ・オブジェクトの属性データ等に基づいて、属性読み出し部105が表示対象となるオブジェクトの属性を読み出し、イメージ読み出し部104が表示すべきページのページデータを属性データに関連付けられたページオブジェクトから読み出し、さらにイメージ縮小部112が、イメージ読み出し部104が読み出したページデータの縮小処理を実行してサムネイル画像を生成する。
さらに、表示属性作成部111がサムネイル画像に併せて、各属性データから表示態様を設定に併せて表示装置に出力することによって行われる。なお、例えばバインダの色、文書名を表示するかしないか等、各種の表示態様は、表示情報作成部の設定を変更する処理によって変更することができる。
図13のフローについて説明する。図13のフローは、表示情報作成部111が行なう処理を簡潔にまとめたものである。まず、ステップS1301において、表示対象がバインダであるか否かを判定する。表示対象がバインダである場合は、ステップS1302に進み、バインダの綴じ代を表示する。さらに、ステップS1303において、バインダ中の文書を構成するページ数が1より大、すなわち2以上であるかが判定される。2以上である場合は、ステップS1304に進み、ページ送りコントロールを表示する。ページ送りコントロールは、図2のバインダ表示態様では、綴じ代の上下に表示された三角マークである。図12の例では、(a)におけるクリップおよび三角マークがページ送りコントロールである。次にステップS1305において、カレントページのサムネイルを表示し、さらに、ステップS1306において、総ページ数とカレントページ数を表示して、バインダの表示処理が終了する。
なお、この表示処理は、表示情報作成部において、予め設定された表示すべき属性データに基づいて実行されるものであり、先にも説明したように、例えばバインダ名、あるいは文書名を表示するように設定しておくことにより、バインダ名をバインダ・オブジェクトの属性データから読み出し、また文書名を文書オブジェクト属性データから読み出して、これを表示する処理を実行することが可能である。
ステップS1303において、バインダ中の文書を構成するページ数が1以下であると判定されると、ステップS1304のページ送りコントロールの表示ステップがスキップされ、ステップS1305のカレントページのサムネイルの表示処理のみが実行される。なお、バインダ中に文書が全く含まれない場合は、バインダ・オブジェォクトの属性データ(図3参照)中のリンク文書フィールドには、リンク文書が記録されず、ページ・オブジェクトを抽出することができないので、サムネイル画像は生成されない。
ステップS1301において、表示対象がバインダではないと判定されると、ステップS1307において、文書を構成するページ数が1より大、すなわち2以上であるかが判定される。2以上である場合は、ステップS1308に進み、ページ送りコントロールとクリップを表示(図2参照)する。なお、これらのページ送りコントロールは、図2に示すクリップと三角マークの組には限らず、これとは異なる態様で表示してもよい。
次にステップS1309において、カレントページのサムネイルを表示し、さらに、ステップS1306において、総ページ数とカレントページ数を表示して、文書の表示処理が終了する。
[綴じ代位置とプリンタ出力制御]
上述の実施例においては、バインダの表示において、例えば図2に示すように綴じ代をバインダの左側に表示するもののみを説明したが、綴じ代位置を可変とし、さらに表示した綴じ代位置を反映した印刷における印刷用紙方向制御および綴じ処理制御構成を持つ電子文書管理装置および電子文書管理方法について、以下説明する。
図14は、この実施例の電子文書管理装置100を文書編集作成手段101とともに示した図である。電子文書管理装置100は、例えばパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等のドキュメント作成可能な機器によって構成される。
文書編集作成手段101は例えばパーソナルコンピュータによって使用可能なソフトウェアによって実現される。電子文書管理装置100は、後述するページ構造を有する文書ファイルを扱い、この文書ファイルのアイコンを、例えばデスクトップの画面上に配列して表示させ、その中から選択した文書ファイルに対して、文書編集作成手段(編集プログラム)101を呼びだす。また、それに加えて、アイコンを通じての文書ファイルの操作が可能である。さらに、文書編集作成手段101は、接続されたプリンタ600による印刷処理を実行するために記憶装置102に記憶した印刷ダイアログを呼び出して、印刷態様の設定をすることができる。
図14において、電子文書管理装置100において処理された文書は、LAN等のネットワーク等の通信手段、あるいは電子文書管理装置100にローカル接続されたプリンタ600によって印刷することができる。プリンタ600は図14中のプリンタドライバ500によって制御される。
図14において、電子文書管理装置100は、図1と同様の構成であり、文書編集作成手段101に加えて、記憶装置102、記憶入出力部103、イメージ読み出し部104、属性読み出し部105、ページ書き込み部106、属性書き込み部107、入力装置108、入力処理部109、表示情報作成部111、イメージ縮小部112、表示装置120を含んで構成されている。点線枠で示したイメージ読み出し部104、属性読み出し部105、ページ書き込み部106、属性書き込み部107は、オブジェクト管理部200である。電子文書管理装置100のこれら構成は、図1と同様であり、説明を省略する。
本実施例の電子文書管理装置および電子文書管理方法においては、バインダ・オブジェクトの属性データに設けた綴じ位置を設定するフィールドに設定したデータに基づいて印刷処理における綴じ処理を制御する構成としたことを特徴とする。
先に説明した図3のバインダ・オブジェクトの属性データ中には、バインダの綴じ代位置フィールドが設けられており、これは、表示装置120においてバインダを表示する場合に読み取られて設定データの通りに表示される。図15にこの例を示す。図15(a)は綴じ代1501の位置を左として設定した例であり、図15(b)は綴じ代1502の位置を上として設定した例である。
バインダ・オブジェクトの属性データ中の設定値を属性読み出し部105が読み取りこれに基づいて表示情報作成部111が表示データを生成することで、図15に示すような各表示が実行される。本実施例では、この属性データをさらに印刷処理時の印刷用紙方向あるいは、綴じ処理機能を持つプリンタを接続した場合における綴じ代設定処理に反映させたものである。
バインダの属性データとして設定される綴じ代位置は、ユーザが属性データの設定を行なうことによって自由に設定できる。これは図14における属性読み出し部105が読み出したバインダ・オブジェクトの属性データを入力装置108、入力処理部109、属性書き込み部107を介して属性書き込み処理を行なって達成される。
バインダ属性データの書き込みダイアログの例を図16に示す。図16には、バインダの名称、バインダの色、サイズ、綴じ代位置等のフィールドがあり、それぞれ設定が可能な構成を持つ。綴じ位置を左、または上と設定することにより、図3のバインダ・エオブジェクトの属性データの綴じ代位置の設定値が書換えられて、図15に示すような表示処理がなされる。
さらに、本実施例では、この設定した綴じ代位置を印刷処理時の印刷用紙方向、あるいは綴じ代位置として反映させる処理を実行するものである。印刷出力における綴じ代位置を印刷処理時の綴じ代位置として反映させる印刷処理フローを図17に、印刷出力における印刷方向をバインダ綴じ代位置を基準として制御する印刷処理フローを図19に示す。
まず、図17を用いて綴じ代位置を制御する処理フローについて説明する。なお、この図17に示す処理は、印刷処理対象となっているバインダをまず選択し、その選択されたバインダについて行われる処理である。従って、選択されたバインダのバインダ・オブジェクトは特定されており、その綴じ代位置等の属性データは、すでに識別されている。
まず、印刷処理を開始する際に、ステップ1701において、プリンタドライバ500に能力問い合わせが実行される。これは、印刷処理を実行するプリンタ600が製本機能、すなわち綴じ処理を実行可能なプリンタであるかを確認する処理である。
なお、このステップ1701のプリンタドライバに対する能力の有無を問い合わせるステップは、予め、プリンタドライバの名称と能力のリストを保持しておき、それとの照合で判断するステップとして実行することも可能である。
ステップ1702でプリンタドライバに製本処理が可能であると判定されると、ステップ1703において、製本機能ボタンの有効化処理が行なわれる。これは、図18に示す印刷ダイアログ画面において、最下段に表示される「製本機能を利用する」のチェックを可能とする処理である。プリンタに製本機能が無い場合、プリンタによる綴じ処理はできないので、ステップ1703の、製本機能ボタンの有効化処理が行われず、図18の印刷ダイアログが表示されても、「製本機能を利用する」にチェックをすることができない。
ステップ1704では、図18の印刷ダイアログが表示されて、ステップ1705において「製本機能を利用する」のチェックの有無が判定され、チェックがある場合は、ステップ1706において「製本実行」の記憶、すなわち、プリンタドライバに送信するコマンド中に製本実行処理を含ませる処理を行なう。チェックがない場合は、ステップ1706における「製本実行」の記憶処理をスキップして、ステップ1707の印刷ダイアログのクローズ処理に進む。
ステップ1707において、図18の印刷ダイアログのクローズ処理で「OK」、「キャンセル」のいずれのボタンがクリックされたかを判定し、「キャンセル」の場合は、印刷処理は実行されず処理終了とする。
「OK」がクリックされたときは、ステップ1708に進みプリンタドライバに送信するコマンドとして製本実行コマンドが設定されているかを判定し、設定されていない場合は、製本処理を行なわない通常印刷処理と判断し、ステップ1710に進み、プリンタドライバに印刷データを送信する。
ステップ1708において、プリンタドライバに送信するコマンドに製本実行コマンドが設定されている場合は、ステップ1709に進み、プリンタドライバに製本位置を指示する。これは印刷対象として選択されたバインダのバインダ・オブジェクト属性データの綴じ代位置フィールドに設定されたデータを読み出して、これに対応する製本位置データをプリンタドライバに製本位置データとして、すなわち綴じ位置を示すパラメータとして製本実行コマンドとともに送信するものである。さらに、ステップ1710において、プリンタドライバに対して印刷データが送信され、バインダに設定された綴じ代位置と同じ位置に綴じ代を有する印刷処理が実行される。
次に、バインダに設定した綴じ代位置を印刷処理時の印刷用紙方向の基準位置として反映させる印刷処理フローを図19に示す。
図19の処理フローについて説明する。なお、この図19に示す処理は、印刷処理対象となっているバインダをまず選択し、その選択されたバインダについて行われる処理である。従って、選択されたバインダのバインダ・オブジェクトは特定されており、その綴じ代位置等の属性データ等はすでに識別され、印刷対象の文書も特定されている。
まず、印刷処理を開始する際に、ステップ1901において、プリンタドライバ500に能力問い合わせが実行される。これは、印刷処理を実行するプリンタ600が用紙方向設定可能なプリンタであるかを確認する処理、すなわち用紙方向指定パラメータによる用紙方向制御が可能なプリンタであるか否かを確認する処理である。
なお、このステップ1901のプリンタドライバに対する能力の有無を問い合わせるステップは、予め、プリンタドライバの名称と能力のリストを保持しておき、それとの照合で判断するステップとして実行することも可能である。
ステップ1902でプリンタドライバに用紙方向設定が可能であると判定されると、ステップ1903において、用紙方向設定機能ボタンの有効化処理が行なわれる。これは、図20に示す印刷ダイアログ画面において、最下段に表示される「用紙方向設定機能を利用する」のチェックを可能とする処理である。プリンタに用紙方向設定機能が無い場合、プリンタによる用紙方向設定処理はできないので、ステップ1903の、用紙方向設定機能ボタンの有効化処理が行われず、図20の印刷ダイアログが表示されても、「用紙方向設定機能を利用する」にチェックをすることができない。
ステップ1904では、図20の印刷ダイアログが表示されて、ステップ1905において「用紙方向設定機能を利用する」のチェックの有無が判定され、チェックがある場合は、ステップ1906において「用紙方向設定実行」の記憶、すなわち、プリンタドライバに送信するコマンド中に用紙方向設定実行処理パラメータを含ませる処理を行なう。チェックがない場合は、ステップ1906における「用紙方向設定実行」の記憶処理をスキップして、ステップ1907の印刷ダイアログのクローズ処理に進む。
ステップ1907において、図20の印刷ダイアログのクローズ処理で「OK」、「キャンセル」のいずれのボタンがクリックされたかを判定し、「キャンセル」の場合は、印刷処理は実行されず処理終了とする。
「OK」がクリックされたときは、ステップ1908に進みプリンタドライバに送信するコマンドとして用紙方向設定パラメータを含む印刷処理実行コマンドが設定されているかを判定し、設定されていない場合は、用紙方向設定処理を行なわない通常印刷処理と判断し、ステップ1910に進み、プリンタドライバに印刷データを送信する。
ステップ1908において、プリンタドライバに送信するコマンドに用紙方向設定実行コマンドが設定されている場合は、ステップ1909に進み、プリンタドライバに用紙方向を指示する。これは印刷対象として選択されたバインダのバインダ・オブジェクト属性データの綴じ代位置フィールドに設定されたデータを読み出して、これに対応する用紙方向データをプリンタドライバに用紙方向データとして出力する。すなわち用紙方向を示す用紙方向指定パラメータを印刷実行コマンドとともに送信するものである。
さらに、ステップ1910において、プリンタドライバに対して印刷データが送信され、バインダに設定された綴じ代位置によって判別される用紙方向と同じ用紙方向を有する印刷処理が実行される。
図21に具体例を示す。バインダが縦長A4バインダとして表示され、左側に綴じ代が設定されたバインダ、例えば図21に示すバインダ(A4であるとする)であった場合、そのバインダを指定して、そのバインダに含まれる文書2101,2102,2103が印刷処理されるとする。
バインダの表示では、1つの文書の1ページのみのサムネイルが表示されるので、実際は図に示す点線の文書2102,2103は表示されないが、説明のために図で示した。図21に示すように、3つの文書がバインダに含まれ、このバインダを指定した印刷処理を実行することにより、バインダに含まれる文書はバインダの綴じ代方向によって、その印刷方向が設定され、3つの各文書は、バインダ上において表示される方向で印刷される。
これらの制御は、用紙方向指定パラメータの生成によって行われ、用紙方向指定パラメータは、図3に示すバインダ・オブジェクト属性データの綴じ代位置と、サブ文書リンクからリンクする文書データ、ページデータの属性データ等から検出される用紙方向に基づいて生成される。
より、具体的には、プリンタドライバに対する印刷指示コマンド中に印刷用紙の印刷用紙方向指定パラメータを含ませて印刷用紙方向を設定した印刷処理を実行するものである。この際、ユーザが印刷処理対象として選択したバインダのバインダ属性データ中の綴じ代位置データと、そのバインダに含まれる文書の文書オブジェクトまたはその文書オブジェクトにリンクするページデータから検出される用紙属性に基づいて、綴じ代位置データを基準とした用紙方向を設定する用紙方向指定パラメータを生成して、用紙方向指定パラメータを印刷処理コマンドに併せてプリンタドライバに送信することで、表示手段に表示されるバインダの綴じ代位置に対する各文書の表示態様と同様の用紙方向態様での印刷出力をするものである。
この用紙方向設定実行コマンドの発行により、図21(b)に示すように、バインダの綴じ代を基準とした用紙方向が設定されて各文書の印刷出力2104,2105,2106が実行される。
[その他の実施例]
上述の実施例においては、バインダの生成は、図6のバインダの属性設定画面によって実行できると説明したが、図2に示すような文書表示画面等において、文書のサムネイルどうしを重ねあわせると自動的にバインダが作成されるように構成してもよい。
この電子文書管理装置および電子文書管理方法の構成は、重ねあわせた複数の文書オブジェクトの属性データに基づいて、それらの文書のアドレスをサブ文書リンクフィールドに書き込んだ新たなバインダ・オブジェクトの属性データ(図3参照)を生成する処理によって実現される。その他の属性として、例えばバインダ色等の値は予めデフォルト値として設定された値を使用する。
ただし、バインダの生成ではなく、従来のシステムと同様のページ単位で束ねた新たな文書ファイルを作成したい場合は、例えばシフトキーなどを押したまま文書を重ねる等、ユーザによる指示態様をバインダ生成とは区別してその処理を認識するように構成することで、文書合成処理、バインダ生成処理の2つの処理を区別して実行するように構成することができる。
また、バインダから文書を取り出す文書ドラッグ処理により、バインダ中の文書を分解し、バインダ内の文書が0となった時点で、バインダが消滅するように構成してもよい。このような構成とすることで、バインダの生成メニューや、空のバインダの削除処理が必要なくなる。
さらに、上述の実施例においては、バインダの大きさは、属性データとして設定されており、図6に示すバインダの属性設定が面においてのみ設定変更が可能な構成であったが、バインダに含まれる内部文書の最大サイズにバインダの大きさを合わせるようにバインダサイズを動的に変化させる構成としてもよい。バインダに文書が追加されるごとに、追加される文書に含まれるページの大きさを、各文書の属性データ、またはリンクするページオブジェクト属性データから取り出して、現在のバインダサイズをバインダの属性データから取り出して、両者を比較し、大きいほうを新たなバインダのサイズとしてバインダ・オブジェクトの新たな属性データとする処理を行なうことにより、常にバインダはバインダ中の文書の最大ページと同じ大きさに設定されることになる。
このような構成とし、例えばバインダサイズをバインダ・オブジェクト属性データから読み出してバインダ・サムネイルの近傍に表示するように設定する構成とすれば、そのバインダ内の文書を印刷する場合の印刷用紙のサイズ選択に際して、表示されたサイズを印刷用紙として選択することで、印刷結果が用紙からはみでる等の印刷ミスが発生することがなく、適切な印刷用紙サイズを容易に選択できる。
さらに、バインダに表示されるページの態様については様々な態様とした構成が可能である。例えば、バインダのサイズが固定である場合、バインダサイズより大きなページを含む文書がバインダに追加された場合、そのページのサムネイル表示において、ページの端部に折り返し表示をする構成として、ページがバインダより大であることを示す構成としてもよい。
さらに、バインダサムネイルの大きさからはみ出てしまうページについて、ページが折り返されている表示において、折り返されている部分を選択するとページ全体を表示する構成としてもよい。これは、ページの選択処理と同一の処理として識別することにより実現される。
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。