JP3948468B2 - 空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放電により発生したイオンを空気とともに室内に供給する空調装置に関する。
従来技術として、下記特許文献1に開示された空調装置がある。この空調装置は所謂車両用空気清浄器であって、車両室内の天井部に取り付けられた通風ダクトをなす薄型の筐体内に、電気的に作られるマイナスイオンやプラズマクラスターイオン(登録商標)を発生するイオン発生手段を備えている。そして、このイオン発生手段で発生したイオンを、イオン発生手段の直下に形成した空気吹出開口部から車両室内に向かって吹き出すようになっている。
特開2003−290326号公報
しかしながら、上記従来技術の空調装置では、イオン発生手段において、一般的に放電素子における放電によりイオンが生成される。したがって、イオン発生時には、放電素子において放電に伴ない発生した放電音が、空気吹出開口部から車両室内に放出され、乗員が不快を感じる場合があるという問題がある。
これに対し、放電素子と空気吹出開口部との距離を大きくして、空気吹出開口部から放出される放電音を抑制する方法も知られている。ところが、イオンは通風ダクト等に衝突すると消滅する性質を有しているため、放電素子と空気吹出開口部との距離を大きくすると、放電素子によるイオン発生量に対し、空気吹出開口部から吹き出されるイオン量が激減するという不具合を発生する。
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、イオン発生手段の放電素子を吹出開口部の近傍に設けたとしても、吹出開口部から放出される放電音を低減することが可能な空調装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
吹出開口部(11)から室内に吹き出すための空気を内部に流通し、内部を流通する空気流れを湾曲する湾曲部(12)が形成されたダクト(10)と、
湾曲部(12)を構成する外側壁(13)のうち、吹出開口部(11)に対向する対向面部(15)に形成された配設開口部(16)に装着され、イオンを発生するためのイオン発生手段(30)とを備える空調装置であって、
イオン発生手段(30)は、本体部(31)と、本体部(31)のダクト内方側端面に設けられ放電によりイオンを発生する放電素子(32)とを有し、
ダクト(10)内の放電素子(32)と吹出開口部(11)の開口領域との間に板状の遮音部材(42)を形成し、
遮音部材(22)は、ダクト(10)内の空気の流通方向において対向面部(15)に略平行に配置され、
ダクト(10)内を流通する空気の一部は遮音部材(22)と対向面部(15)との間を流れることを特徴としている。
これによると、放電素子(32)と吹出開口部(11)の開口領域との間に設けられた遮音部材(42)により、放電素子(32)において発生した放電音が吹出開口部(11)に直線的に向かうことを抑制できる。すなわち、吹出開口部(11)に到達する放電音をダクト(10)内の反射等により減衰することができる。したがって、放電素子(32)を吹出開口部(11)の近傍に設けたとしても、吹出開口部(11)から室内に放出される放電音を低減することができる。
また、板状の遮音部材(42)は、ダクト(10)内の空気の流通方向において対向面部(15)に略平行に配置され、ダクト(10)内を流通する空気の一部は前記遮音部材(22)と前記対向面部(15)との間を流れる。したがって、遮音部材(42)の放電素子(32)側における空気の流れが阻害され難い。このようにして、放電素子(32)において発生したイオンを安定した空気の流れに乗せて下流方向に送り易い。
また、請求項2に記載の発明では、遮音部材(42)は、放電素子(32)上の点と吹出開口部(11)の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも形成されていることを特徴としている。
これによると、放電素子(32)において発生した放電音が吹出開口部(11)に直線的に向かうことを遮音部材(42)により確実に防止できる。すなわち、吹出開口部(11)に到達する放電音をダクト(10)内の反射等により確実に減衰することができる。したがって、放電素子(32)を吹出開口部(11)の近傍に設けたとしても、吹出開口部(11)から室内に放出される放電音を確実に低減することができる。
また、請求項3に記載の発明では、遮音部材(42)の放電素子(32)側に吸音部材(44)を設けたことを特徴としている。
これによると、放電素子(32)から遮音部材(42)に向かった放電音を吸音部材(44)により吸音することができる。したがって、吹出開口部(11)に到達する放電音をさらに減衰することができる。
また、請求項4に記載の発明では、放電素子(32)は、全体が配設開口部(16)のダクト(10)内方側面(17)よりダクト(10)外方側に配設されていることを特徴としている。
これによると、放電素子(32)は、配設開口部(16)のダクト(10)内方側面(17)よりダクト(10)内方側に突出していない。したがって、放電素子(32)により、遮音部材(42)の放電素子(32)側における空気の流れが乱されることがない。これにより、放電素子(32)において発生したイオンを安定した空気の流れに乗せて、より下流方向に送り易い。
また、請求項5に記載の発明では、遮音部材(42)は、イオン発生手段(30)に固定もしくは一体形成されていることを特徴としている。
ダクト(10)にイオン発生手段(30)を装着しない空調装置の場合には、ダクト(10)内に遮音部材(42)は不要である。本請求項の発明によると、イオン発生手段(30)をダクト(10)に取り付けるときに、遮音部材(42)をダクト(10)内に設けることができる。したがって、ダクト(10)にイオン発生手段(30)を装着するタイプと、ダクト(10)にイオン発生手段(30)を装着しないタイプとにおいて、イオン発生手段(30)の取付部を除きダクト(10)を共通化することができる。
また、請求項6に記載の発明では、遮音部材(42)は、ダクト(10)に固定もしくは一体形成されていることを特徴としている。
これによると、イオン発生手段(30)をダクト(10)に取り付ける前に、遮音部材(42)はダクト(10)内に設けられ、イオン発生手段(30)に設ける必要がない。したがって、ダクト(10)へのイオン発生手段(30)取り付け前において、両者の占有容積を小さくすることが可能である。
また、請求項7に記載の発明では、
吹出開口部(11)から室内に吹き出すための空気を内部に流通し、内部を流通する空気流れを湾曲する湾曲部(12)が形成されたダクト(10)と、
湾曲部(12)を構成する外側壁(13)のうち、吹出開口部(11)に対向する対向面部(15)に形成された配設開口部(16)に装着され、イオンを発生するためのイオン発生手段(30)とを備える空調装置であって、
イオン発生手段(30)は、本体部(31)と、本体部(31)のダクト内方側端面に設けられ放電によりイオンを発生する放電素子(32)とを有し、
ダクト(10)内に設けられ、吹出開口部(11)から吹き出す空気の流路を、放電素子(32)が設けられた第1流路(21)と第1流路(21)に並設された第2流路(22)とに仕切る仕切部材(23)を備え、
この仕切部材(23)は、放電素子(32)と吹出開口部(11)の開口領域との間に配設され、ダクト(10)内の空気の流れ方向に延びていることを特徴としている。
これによると、放電素子(32)と吹出開口部(11)の開口領域との間に設けられた仕切部材(23)により、放電素子(32)において発生した放電音が吹出開口部(11)に直線的に向かうことを抑制できる。すなわち、吹出開口部(11)に到達する放電音をダクト(10)内の反射等により減衰することができる。したがって、放電素子(32)を吹出開口部(11)の近傍に設けたとしても、吹出開口部(11)から室内に放出される放電音を低減することができる。
また、第1流路(21)における空気の流れが阻害され難い。したがって、放電素子(32)において発生したイオンを安定した空気の流れに乗せて下流方向に送り易い。
また、請求項8に記載の発明では、仕切部材(23)は、放電素子(32)上の点と吹出開口部(11)の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも配設されていることを特徴としている。
これによると、放電素子(32)において発生した放電音が吹出開口部(11)に直線的に向かうことを仕切部材(23)により確実に防止できる。すなわち、吹出開口部(11)に到達する放電音をダクト(10)内の反射等により確実に減衰することができる。したがって、放電素子(32)を吹出開口部(11)の近傍に設けたとしても、吹出開口部(11)から室内に放出される放電音を確実に低減することができる。
また、請求項9に記載の発明では、仕切部材(23)の放電素子(32)側に吸音部材(24)を設けたことを特徴としている。
これによると、放電素子(32)から仕切部材(23)に向かった放電音を吸音部材(24)により吸音することができる。したがって、吹出開口部(11)に到達する放電音をさらに減衰することができる。
また、請求項10に記載の発明では、仕切部材(23)は、第1流路(21)の流路断面積を、放電素子(32)配設部位より上流側から下流側に渡って略同一とするように形成されていることを特徴としている。
これによると、第1流路(21)における空気の流れが阻害され難い。したがって、放電素子(32)において発生したイオンを安定した空気の流れに乗せて下流方向に送り易い。
また、請求項11に記載の発明では、ダクト(10)のうち第1流路(21)を形成する部位には放電素子(32)を配設するための配設開口部(16)が設けられ、放電素子(32)は、全体が配設開口部(16)の第1流路内方側面(17)より第1流路外方側に配設されていることを特徴としている。
これによると、放電素子(32)は、配設開口部(16)の第1流路(21)内方側面(17A)より第1流路(21)内方側に突出していない。したがって、放電素子(32)により、第1流路(21)における空気の流れが乱されることがない。これにより、放電素子(32)において発生したイオンを安定した空気の流れに乗せて、より下流方向に送り易い。
また、請求項12に記載の発明では、仕切部材(23)は、ダクト(10)に固定もしくは一体形成されていることを特徴としている。
これによると、イオン発生手段(30)をダクト(10)に取り付ける前に、仕切部材(23)をダクト(10)内に設けることができる。したがって、ダクト(10)へのイオン発生手段(30)取り付け前において、両者の占有容積を小さくすることが可能である。
また、請求項13に記載の発明では、前記室内は車両室内であることを特徴としている。
車両室内は比較的狭い空間であるので、吹出開口部(11)から車両室内に放出される放電音が大きいと、車両室内に搭乗している乗員は不快を感じ易い。したがって、本請求項の発明により、吹出開口部(11)から車両室内に放出される放電音を低減することができる効果は大きい。
また、請求項14に記載の発明では、ダクト(10)内を流通する空気は、温度調節された空気であることを特徴としている。
これによると、吹出開口部(11)から車両室内に温度調節されるとともにイオンを含んだ空気吹き出し、搭乗している乗員の空調フィーリングを向上するばかりでなく、吹出開口部(11)から車両室内に放出される放電音を抑制して乗員が不快を感じることを防止できる。
また、請求項15に記載の発明では、吹出開口部(11)は、空気を車両室内の乗員頭部側に向けて吹き出すフェイス吹出口(11)であることを特徴としている。
フェイス吹出口(11)から放電音が放出されると、放電音は乗員頭部側に向かい易いので、乗員は特に不快を感じ易い。本請求項の発明によれば、フェイス吹出口(11)から乗員頭部側に向かう放電音を抑制できるので、乗員が不快を感じることを防止できる効果は極めて大きい。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態における車両用の空調装置の要部を示す断面図であり、図2は、図1におけるB−B線断面図である。
図1は、図示しない空調ユニットと車室内計器盤の車両幅方向略中央に設けられたフェイス吹出口(センタフェイス吹出口)11との間を繋ぐフェイスダクト(センタフェイスダクト)10の最下流側部分を示している。
フェイス吹出口11には吹き出し方向を調節するための図示しないレジスタが設けられている。そして、空調ユニット内の周知の冷却用熱交換器や加熱用熱交換器との熱交換により温度調節された空気がフェイスダクト10内を流通した後、レジスタにより吹き出し方向を制御されてフェイス吹出口11から車室内の乗員の頭部方向に吹き出すようになっている。
フェイスダクト10のフェイス吹出口11より上流側近傍には、空気の流れ方向に曲率の大きな内側壁14と、内側壁14より曲率が小さい外側壁13とを有し、空気流路を湾曲させる湾曲部12が形成されている。
湾曲部12を構成する外側壁13のうち、フェイス吹出口11に対向する面をなす対向面部15には、開口部16が開口している。そして、この開口部16には、樹脂製(本例ではポリプロピレン製)の繋ぎダクト部材40を介して本実施形態におけるイオン発生手段であるイオン発生器30が装着されている。
本実施形態のイオン発生器30は、本体部31の装着時ダクト内方側端面に平板状の放電素子32を備えている。この放電素子32は、図示は省略しているが、誘電体の表面に形成された放電電極と誘電体内に形成された誘導電極との間に交番電圧を印加し、図1に示す放電領域Aにおいてプラズマクラスターイオン(登録商標)を発生するものである。なお、両電極間に電圧を印加する電圧印加回路は本体部31内に設けられている。
イオン発生器30にはブラケット33が組みつけられており、イオン発生器30はブラケット33を介してフェイスダクト10に取り付けられている。また、イオン発生器30の放電素子32形成側面とフェイスダクト10の開口部16周縁部との間には、前述の繋ぎダクト部材40のダクト部41が介在している。これにより、放電素子32は、全体が開口部16のダクト内方側面17よりダクト外方側に配設され、フェイスダクト10内には突出していない。
ここで、フェイスダクト10が本実施形態におけるダクトであり、フェイス吹出口11が本実施形態における吹出開口部である。また、対向面部15に開口する開口部16が放電素子32を配設するための本実施形態における配設開口部である。
なお、イオン発生器30の本体部31から突出した鍔状部31aとブラケット33との間にはパッキン34が配設されている。また、繋ぎダクト部材40のダクト部41とブラケット33との間にはパッキン47が配設され、ダクト部41とフェイスダクト10外側壁13との間にはパッキン48が配設されている。
これらのパッキン34、47、48により、イオン発生器30装着部におけるフェイスダクト10からの空調風漏れを防止している。
繋ぎダクト部材40は、開口部16から外壁部13の内側に突出した遮音部材である遮音板部42と支持板部43とを備えている。遮音板部42は、フェイスダクト10内の空調空気の流通方向において対向面部15に略平行に配置されており、支持板部43は、遮音板部42の図1紙面表裏方向両縁部(図2では図示上下方向両縁部)とダクト部41とを連結して遮音板部42を支持している。
図1および図2に示すように、遮音板部42は、イオン発生装置30の放電素子32とも略平行に配設されており、遮音板部42の放電素子32側(すなわち放電領域A側)面には、発泡ウレタン材からなる吸音部材44が貼着されている。
図1に示すように、放電素子32の放電領域A内の点とフェイス吹出口11の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも、遮音板部42および吸音部材44の少なくともいずれかが形成されている。したがって、2本の直線状二点鎖線で示して明らかなように、フェイス開口部11から放電素子32の放電領域Aは直視できないようになっている。
なお、本実施形態のフェイスダクト10ではフェイス吹出口11近傍の図示上方面部の内側に段部形成に伴なう突出部19が設けられている。したがって、放電領域Aの図示上端と突出部19とを結ぶ二点鎖線が、放電領域Aの図示上端とフェイス吹出口11図示上端とを結ぶ二点鎖線と実質的に同一であると言える。
図2に示すように、繋ぎダクト部材40は、図示下方側に延びる延設部45を有しており、この延設部45を螺子46によりブラケット33に螺子止めされている。すなわち、遮音板部42を有する繋ぎダクト部材40は、実質的にイオン発生器30に固定されている。したがって、イオン発生器30がフェイスダクト10に取り付けられるときに、遮音板部42および吸音部材44は、図1および図2に図示した位置に配設される。
次に、上記構成に基づき本実施形態の空調装置の作動について説明する。
本実施形態の車両用空調装置は、運転されているときには、いずれの吹き出しモードが形成されているときであっても、図示しない空調ユニットから温度調節された空気がフェイスダクト10を介してフェイス吹出口11に送られるようになっている。
空調ユニットからフェイスダクト10内に送られた空調風は、湾曲部12において方向を変えられフェイス吹出口11に向かう。このとき湾曲部12では、空調風が内側壁14側より外側壁13側近傍を主に流れる。そして、この空調風の主流の一部は、図1図示下方側から上方側に向かって遮音板部42と外側壁13対向面部15との間を流れる。
このとき、空調風は、対向面部15開口部16のダクト内方側面17より若干下げて設けられた(ダクト外方側に配置された)放電素子32の表面をなめるように流れ、放電領域Aにおける放電で発生したイオンを取り込む。
遮音板部42と対向面部15との間では、遮音板部42が対向面部15に略平行に配置され、放電素子32がダクト内方側面17よりダクト内に突出していないので、空調風の流れが乱れ難く、安定した流れのまま下流側に送られる。
そして、イオンを取り込んだ空調風は、曲率が比較的小さい滑らかな曲面をなす外側壁13に沿って流れ、フェイス吹出口11から車室内に吹き出す。この外側壁13に沿った空調風の流れにより、イオンはフェイスダクト10内面に衝突し難く、フェイス吹出口11から吹き出される空調風に含まれるイオン量は、イオン発生器30における発生量に対し然程減少することはない。
一方、放電素子32の放電領域Aで放電に伴ない発生した放電音は、遮音板部42および吸音部材44により、フェイス吹出口11まで直進することはない。したがって、フェイス吹出口11に到達する放電音は、必ずフェイスダクト10内のいずれかの部位で反射して減衰する。また、一部の放電音は、吸音部材44により吸音され消滅する。本実施形態では、遮音板部42および吸音部材44からなる構成が実質的な遮音部材であると言える。
上述の構成および作動によれば、放電素子32の放電領域Aで発生した放電音を、フェイス吹出口11に到達する前に確実に減衰することができる。また、フェイス吹出口11に近い放電素子32の放電領域Aで発生したイオンを、空調風とともに確実にフェイス吹出口11から車室内に吹き出すことができる。
したがって、車室内の乗員が放電音による不快を感じ難く、良好な空調フィーリングを得ることができる。
遮音板部42は、内側壁14より外側壁13寄りに配設されているが、湾曲部12では、外側壁13寄りに空調風が主に流れるため、放電素子32の表面をなめるように流れる風量が不足することはない。
また、遮音板部42が内側壁14より外側壁13寄りに配設され、放電素子32の放電領域Aに近接することで、遮音板部42および吸音部材44を比較的小型化しても、放電素子32の放電領域A内の点とフェイス吹出口11の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも遮音板部42および吸音部材44の少なくともいずれかを配置することができる。
また、遮音板部42は、イオン発生器30側に固定され、イオン発生器30をフェイスダクト10に取り付けるときに、遮音板部42がフェイスダクト10内に配設されるようになっている。イオン発生器30を装着しない仕様を設定する場合には、フェイスダクト10の開口部16を廃止するだけでよく、内部に不要な遮音板部42が残ることもない。したがって、イオン発生器30の装着仕様および非装着仕様においてフェイスダクト10を共通化し易い。なお、遮音板部42は、イオン発生器30もしくはブラケット33に一体形成されるものであってもよい。
また、遮音板部42はフェイスダクト10側に固定もしくは一体形成することも可能である。この場合には、フェイスダクト10に組み付けるイオン発生器30を含む組付体を小型化することができ、組み付け工程における占有スペースの点で有利である。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図3に基づいて説明する。
本第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、イオン発生器30の取り付け箇所においてフェイスダクト10内流路が、空気流れ方向に長く2つに仕切られている点が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態では、フェイスダクト10の湾曲部12内に、空調風流れ方向に延び、空調風流路を外側壁13側の第1流路21と内壁部14側の第2流路とに仕切る仕切部材23が一体形成されている。仕切部材23はフェイスダクト10とは別部材として形成し、フェイスダクト10に固定されるものであってもよい。
仕切部材23は、内側壁14より外側壁13寄りに設けられ、上流端23aでフェイスダクト10内流路を第1流路21と第2流路22とに分岐し、下流端23bで第1流路21と第2流路22とを合流している。仕切部材23により仕切られた第1流路21および第2流路22は、それぞれの流路断面積が上流端23a部から下流端23b部に渡って略同一となっている。
そして、第1流路21を形成する外側壁13に配設開口部である開口部16が形成され、この開口部16に繋ぎダクト部材40のダクト部41を介してイオン発生器30が装着されている。本実施形態の繋ぎダクト部材40は、ダクト部41と延設部45(図2参照)とにより構成され、遮音板部42および支持板部43は設けられていない。
これにより、放電素子32は、全体が開口部16の第1流路内方側面17Aよりダクト(第1流路)外方側に配設され、第1流路21内には突出していない。
また、仕切部材23の放電素子32(すなわち放電領域A)に対向する部位から下流側部位には、発泡ウレタン材からなる吸音部材24が貼着されている。
図3に示すように、放電素子32の放電領域A内の点とフェイス吹出口11の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも、仕切部材23が形成されている。したがって、2本の直線状二点鎖線で示して明らかなように、フェイス開口部11から放電素子32の放電領域Aは直視できないようになっている。
なお、本実施形態のフェイスダクト10にもフェイス吹出口11近傍の図示上方面部の内側に段部形成に伴なう突出部19が設けられている。したがって、放電領域Aの図示上端と突出部19とを結ぶ二点鎖線が、放電領域Aの図示上端とフェイス吹出口11図示上端とを結ぶ二点鎖線と実質的に同一であると言える。
本実施形態の構成によれば、放電素子32の放電領域Aで発生した放電音は、仕切部材23により、フェイス吹出口11まで直進することはない。したがって、フェイス吹出口11に到達する前に反射等により確実に減衰することができる。また、吸音部材24の吸音作用により一部を消滅することができる。
また、フェイス吹出口11に近い第1流路21内において放電素子32の放電領域Aで発生したイオンを、空調風とともに確実にフェイス吹出口11から車室内に吹き出すことができる。
したがって、車室内の乗員が放電音による不快を感じ難く、良好な空調フィーリングを得ることができる。
仕切部材23は、内側壁14より外側壁13寄りに配設され、第1流路21の流路断面積が第2流路22の流路断面積より小さくなっているが、湾曲部13では、外側壁13寄りに空調風が主に流れるため、仕切部材23の上流端23aにおいて第1流路21側に比較的多量の空調風が流れ込み、放電素子32の表面をなめるように流れる風量が不足することはない。
また、仕切部材23はフェイスダクト10に固定もしくは一体形成されている。したがって、フェイスダクト10に組み付けるイオン発生器30を含む組付体を小型化することができ、組み付け工程における占有スペースを小さくすることができる。
なお、本実施形態の仕切部材23は上流端23aで流路を分岐し、下流端23bで流路を合流するものであったが、下流端23bで流路を合流し、第1流路21を流れる空気と第2流路22を流れる空気とを、共通のフェイス吹出口11から吹き出すものであればよい。例えば、第1流路21を流れる空気と第2流路22を流れる空気とが、異なるユニットから供給されるものであってもよい。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、放電素子32の放電領域A内の点とフェイス吹出口11の開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも、実質的な遮音部材もしくは仕切部材を形成し、放電領域Aで発生した放電音がフェイス吹出口11まで直進しないようにするものであった。しかし、フェイス吹出口11から放出される放電音が問題とならないレベルまで低減できるのであれば、放電素子32の放電領域Aとフェイス吹出口11の開口領域との間の一部に遮音部材もしくは仕切部材を形成し、一部の放電音を遮音して残部の放電音を吹出口に向けて直進させるものであってもよい。
また、上記各実施形態では、吹出開口部は所謂センタフェイス吹出口であったが、他の吹出口であってもよい。例えば、サイドフェイス吹出口、フット吹出口、デフロスタ吹出口であってもかまわない。ただし、センタフェイス吹出口もしくはサイドフェイス吹出口、すなわち広義でのフェイス吹出口である場合には、放出された放電音は乗員頭部側に向かい易いので、乗員は特に不快を感じ易い。したがって、本発明をフェイス吹出口に適用した場合には、乗員が不快を感じることを防止できる効果は極めて大きい。
また、上記各実施形態では、ダクトは空調ユニットで温度調節された空調風を流通するダクトであったが、これに限定されるものではない。例えば、空気清浄機能のみを有する独立した空調装置(所謂空気清浄装置)の通風経路を形成するケース体(ダクト)であってもかまわない。また、送風手段等を備えず走行風を車室内に取り込むためのダクトであってもかまわない。
また、上記各実施形態では、空調装置の吹出開口部は車両室内に設けられるものであったが、これに限定されるものではない。家屋等の室内に吹出開口部を備える空調装置もしくは空調機能を有する電気機器等にも、本発明は広く適用可能である。
本発明を適用した第1の実施形態における車両用の空調装置の要部を示す断面図である。 図1におけるB−B線断面図である。 第2の実施形態における車両用の空調装置の要部を示す断面図である。
符号の説明
10 フェイスダクト(ダクト)
11 フェイス吹出口(吹出開口部)
15 対向面部
16 開口部(配設開口部)
17 ダクト内方側面
17A 第1流路内方側面
21 第1流路
22 第2流路
23 仕切部材
24 吸音部材
30 イオン発生器(イオン発生手段)
32 放電素子
42 遮音板部(遮音部材)
44 吸音部材
A 放電領域

Claims (15)

  1. 吹出開口部(11)から室内に吹き出すための空気を内部に流通し、内部を流通する空気流れを湾曲する湾曲部(12)が形成されたダクト(10)と、
    前記湾曲部(12)を構成する外側壁(13)のうち、前記吹出開口部(11)に対向する対向面部(15)に形成された配設開口部(16)に装着され、イオンを発生するためのイオン発生手段(30)とを備える空調装置であって、
    前記イオン発生手段(30)は、本体部(31)と、前記本体部(31)のダクト内方側端面に設けられ放電によりイオンを発生する放電素子(32)とを有し、
    前記ダクト(10)内の前記放電素子(32)と前記吹出開口部(11)の開口領域との間に板状の遮音部材(42)を形成し、
    前記遮音部材(22)は、前記ダクト(10)内の空気の流通方向において前記対向面部(15)に略平行に配置され、
    前記ダクト(10)内を流通する空気の一部は前記遮音部材(22)と前記対向面部(15)との間を流れることを特徴とする空調装置。
  2. 前記遮音部材(42)は、前記放電素子(32)上の点と前記開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
  3. 前記遮音部材(42)の前記放電素子(32)側に吸音部材(44)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空調装置。
  4. 前記放電素子(32)は、全体が前記配設開口部(16)の前記ダクト(10)内方側面(17)より前記ダクト(10)外方側に配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の空調装置。
  5. 前記遮音部材(42)は、前記イオン発生手段(30)に固定もしくは一体形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の空調装置。
  6. 前記遮音部材(42)は、前記ダクト(10)に固定もしくは一体形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の空調装置。
  7. 吹出開口部(11)から室内に吹き出すための空気を内部に流通し、内部を流通する空気流れを湾曲する湾曲部(12)が形成されたダクト(10)と、
    前記湾曲部(12)を構成する外側壁(13)のうち、前記吹出開口部(11)に対向する対向面部(15)に形成された配設開口部(16)に装着され、イオンを発生するためのイオン発生手段(30)とを備える空調装置であって、
    前記イオン発生手段(30)は、本体部(31)と、前記本体部(31)のダクト内方側端面に設けられ放電によりイオンを発生する放電素子(32)とを有し、
    前記ダクト(10)内に設けられ、前記吹出開口部(11)から吹き出す空気の流路を、前記放電素子(32)が設けられた第1流路(21)と前記第1流路(21)に並設された第2流路(22)とに仕切る仕切部材(23)を備え、
    前記仕切部材(23)は、前記放電素子(32)と前記吹出開口部(11)の開口領域との間に配設され、前記ダクト(10)内の空気の流れ方向に延びていることを特徴とする空調装置。
  8. 前記仕切部材(23)は、前記放電素子(32)上の点と前記開口領域内の点とを結ぶいずれの線分上にも配設されていることを特徴とする請求項7に記載の空調装置。
  9. 前記仕切部材(23)の前記放電素子(32)側に吸音部材(24)を設けたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の空調装置。
  10. 前記仕切部材(23)は、前記第1流路(21)の流路断面積を、前記放電素子(32)配設部位より上流側から前記配設部位より下流側に渡って略同一とするように形成されていることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1つに記載の空調装置。
  11. 前記放電素子(32)は、全体が前記配設開口部(16)の前記第1流路(21)内方側面(17A)より前記第1流路(21)外方側に配設されていることを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれか1つに記載の空調装置。
  12. 前記仕切部材(23)は、前記ダクト(10)に固定もしくは一体形成されていることを特徴とする請求項7ないし請求項11のいずれか1つに記載の空調装置。
  13. 前記室内は車両室内であることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1つに記載の空調装置。
  14. 前記ダクト(10)内を流通する前記空気は、温度調節された空気であることを特徴とする請求項13に記載の空調装置。
  15. 前記吹出開口部(11)は、前記空気を前記車両室内の乗員頭部側に向けて吹き出すフェイス吹出口(11)であることを特徴とする請求項13または請求項14に記載の空調装置。
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