JP3947754B1 - 紫外線硬化型印刷インキ - Google Patents

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Abstract

【課題】 PP,PE等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等の難接着性なプラスチック素材に対して、好適に印刷、塗装、接着等を施すことができる紫外線硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 光反応性希釈剤として、グリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方又は両方を含む組成の紫外線硬化型樹脂組成物とした。
【選択図】 なし

Description

本発明は、印刷インキとして用いることができる紫外線硬化型樹脂組成物に関し、詳しくは、塩素系の有害物質を含まない組成であって、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE)等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等の、難接着性なプラスチック素材に対しても適度な密着性を有する紫外線硬化型樹脂組成物を有効成分とする印刷用インキに関する。
今日、PP,PE等のポリオレフィン系樹脂は、自動車部品,電気部品,建築資材,食品包装材等の分野で大量に使用されている。更に、PP自身は塩素系等の有害物質等を含まず、環境に対する影響の少ない材料であることから、益々使用分野が拡大している。
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は、構造的に官能基を持たないと共に、結晶性で且つ非極性であるがゆえに、通常の組成の印刷インキ,塗料,接着剤等の密着性が悪く、印刷,塗装,接着等を施すことが困難であるという問題があった。
このようなポリオレフィン系樹脂に対して印刷等を施すために、特許文献1には、塩素化ポリオレフィンをバインダー樹脂として含んだ紫外線硬化型樹脂組成物が提案されている。
特開2005−139305号公報
しかし、前記した従来の紫外線硬化型樹脂組成物は塩素系物質としての塩素化ポリオレフィンを含有しており、環境に対してやさしい組成であるとは言い難いものであった。
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、PP,PE等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等の難接着性なプラスチック素材に対しても、印刷皮膜を適度な密着性をもって形成し得る新規な印刷用インキとしての紫外線硬化型樹脂組成物を提供することにある。また、本発明は、塩素系の有害物質を含まない環境に対してやさしい組成としながら、前記した密着性を満足しうる印刷用インキとしての紫外線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記したような従来事情に鑑み、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、光反応性希釈剤として、環境にやさしい成分であるグリセロールモノメタクリレート、グリセロールジメタクリレートを含有した組成の紫外線硬化型樹脂組成物とすることで、塩素化ポリオレフィン等を含有しなくとも、PP,PE等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等のプラスチック素材に対し、印刷皮膜,塗装膜,接着剤膜等を適度な密着性をもって形成し得ることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物は、少なくとも、光重合開始剤と光反応性希釈剤を含んでなり、前記光反応性希釈剤として、グリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方又は両方を含むことを特徴とする。
詳しくは、光反応性希釈剤としてのグリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方又は両方:1〜99重量%、光重合開始剤:1〜15重量%、他の光反応性希釈剤:0〜90重量%、重合性オリゴマー:0〜90重量%、ポリマー:0〜70重量%、光増感剤:0〜15重量%、添加剤:0〜20重量%、顔料:0〜65重量%からなる組成(但し、塩素系のポリマーとモノマーを除く)の紫外線硬化型樹脂組成物であって、印刷インキ、塗料、接着剤として用いる紫外線硬化型樹脂組成物であることを特徴とする。
本発明に用いられるグリセロールモノメタクリレートとしては、例えば下記一般式(1)で表されるグリセロールモノメタクリレートを挙げることができる。市販品としては、例えば日本油脂社の「ブレンマーGLM」を挙げることができる。
一般式(1)
Figure 0003947754
本発明に用いられるグリセロールジメタクリレートとしては、例えば下記一般式(2)で表されるグリセロールジメタクリレートを挙げることができる。市販品としては、例えば日本油脂社の「ブレンマーGMR−H」を挙げることができる。
一般式(2)
Figure 0003947754
本発明に用いられる光重合開始剤としては、例えば、アリールケトン系光重合開始剤(例えば、ベンジルジメチルケタール類、アセトフェノン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、オキシムケトン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類等)、含イオウ系光重合開始剤(例えば、スルフィド類、チオキサントン類等)、その他、紫外線硬化型樹脂組成物で用いられる各種の光重合開始剤をあげることができる。
本発明において、光重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用して含むことができる。
また、本発明において、光重合開始剤は、アミン類等の光増感剤と組み合わせて含むこともできる。具体的には、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、メチルジエタノールアミン等の光増感剤を挙げることができる。
より具体的な光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトンフェノン、2,4−ジエチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ビス−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラキス(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4',4"−ジエチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アシルホスフィンオキシド等を挙げることができる。
本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物は、光反応性希釈剤として前記したグリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方又は両方を含み、さらに他の光反応性希釈剤を含むこともできる。
他の光反応性希釈剤としては、脂肪族系(メタ)アクリレート、脂環式系(メタ)アクリレート、芳香族系(メタ)アクリレート、エーテル系(メタ)アクリレート、ビニル系モノマー、(メタ)アクリルアミド類等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタアクリレートの少なくともいずれかを含有するものを意味する。
より具体的な他の光反応性希釈剤として、例えば、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシル−カルビトールアクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエートアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ECH変性フェノキシアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、トリシクロデカンジメタノールアクリレート、ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−1アクリロイロキシプロピルメタクリレート、9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールポリプロピレンオキサイド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート等を挙げることができる。
本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物は、前記した組成に加えて、重合性オリゴマーをさらに含むこともできる。
重合性オリゴマーとしては、ウレタン系オリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、エポキシ系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、アクリル系オリゴマー等を挙げることができる。
より具体的には、ウレタン系オリゴマーとして、例えば、ダイセル・ユーシービ社のEB230、EB244、EB245、EB270、EB284、EB285、EB4830、EB4835、EB4858、EB1290、EB210、EB215、EB4827、EB4849、EB6700、EB204、EB8804、EB8800−20R、EB204、共栄社化学社のAH−600、AT−600、UA−306H、荒川化学工業社のビームセット502H、ビームセット504H、ビームセット505A−6、ビームセット550B、ビームセット575、AKCROS社のActilane200、Actilane200TP20、Actilane210TP30、Actilane230HD30、Actilane250HD25、Actilane250TP25、Actilane270、Actilane280、Actilane290、Actilane165、Actilane167、Actilane170、サートマー社のCN929、CN961E75、CN961H81、CN962、CN963、CN963A80、CN963B80、CN963E75、CN983E80、CN964、CN965、CN980、CN981、東亞合成アロニックスM−1100、M−1200、アロニックスM−1600、日本化薬社のカヤラッドUX−2201、カヤラッドUX−2301、カヤラッドUX−3204、カヤラッドUX−3301、カヤラッドUX−4101、カヤラッドUX−7101等を挙げることができる。
ポリエーテル系オリゴマーの具体例として、例えば、BASF社のPO84F、LR−8894等を挙げることができる。
エポキシ系オリゴマーの具体例として、例えば、AKCROS社のActilane300、Actilane310、Actilane320、Actilane320DA25、Actilane340、Actilane330、ダイセル・ユーシービ社のEB600、EB3500、EB3600、EB3700−20H、EB3702、サートマー社のCN104、CN111、CN115、CN151等を挙げることができる。
ポリエステル系オリゴマーの具体例として、例えば、荒川化学工業社のビームセット700、ビームセット710、ビームセット720、ビームセット730、ビームセット750、ダイセル・ユーシービ社のEB770、EB81、EB830、東亞合成アロニックスM−6100、M−6200、アロニックスM−7100等を挙げることができる。
アクリル系オリゴマーの具体例として、例えば、ダイセル・ユーシービ社のEB1701、EB767等がある。
本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物は、前記した組成に加えて、さらにポリマーを含有することができる。
ポリマーとしては、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物に溶解するポリマーであれば使用可能である。例えば、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル共重合体、エポキシ樹脂、セルロース誘導体等を使用することができる。
また、本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱重合防止剤等の安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料分散剤、帯電防止剤、防曇剤等の界面活性剤類、ワックス、スリップ剤、近赤外線吸収剤等の各種添加剤を、適宜配合しても良い。更に、着色顔料や体質顔料等の微粒子を分散させても良い。
また、プラスチック素材への塗布性や印刷性の向上、あるいは紫外線硬化型樹脂組成物の粘度や、硬化皮膜(印刷皮膜,塗装膜,接着剤膜等)の厚さ調整のため等に、非重合性の有機溶剤を加えてもよく、あるいは合成樹脂を添加しても良い。
ここで、有機溶剤としては、低級アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、酢酸n−ブチル、ジエチレングリコールモノアセテート等のエステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等を挙げることができる。そして、耐溶剤性の悪いPC(ポリカーボネート樹脂)の被覆には、低級アルコール類、セロソルブ類、エステル類、それらの混合物が適当である。
本発明で用いる紫外線硬化型樹脂組成物に必要により添加することができる顔料としては、例えば、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、紫顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料等が挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の如き、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の如き溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の如き、各種の(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の如き、各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の如き、各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の如き、各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の如き、各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の如き、各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の如き各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラック等が挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の如き、各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン等の如き、各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の如き、各種の硫化物ないしはセレン化物;硫酸バリウム、硫酸鉛等の如き、各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の如き、各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の如き、各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫の如き、各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の如き、各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等の如き、メタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土等が挙げられる。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、必須成分である光反応性希釈剤としてのグリセロールモノメタクリレート及び/又はグリセロールジメタクリレートを、1〜99重量%含むことができる。該光反応性希釈剤の望ましい含有割合は1〜45重量%である。
下記表1に、本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物の配合例を示す。
Figure 0003947754
本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物は、スクリーン印刷や他の一般印刷用としてのインキ、塗料、接着剤等として用いることができる。
本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物は、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等の難接着性なプラスチック素材に対しても、印刷又は塗装又は接着を施すことができる。また、ポリカーボネート,ポリエステル等のプラスチック素材や紙,金属等の易接着性な素材に対しても、印刷又は塗装又は接着を施すことができる。
前記した素材上に本発明の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する方法としては、特に制限は無く、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法等のコート法や、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法等を用いることができる。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物は、素材上に塗布した後に紫外線を照射することで、硬化塗膜を形成することができる。また、その硬化塗膜上においてさらに塗布と硬化を繰り返し行うことで、多層状に積層塗布することもできる。
PP,PE等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等の難接着性なプラスチック素材に印刷又は塗装又は接着を施す場合は、該プラスチック素材に、フレーム処理又はコロナ処理等の前処理を施すことが好ましい。
本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物は以上説明したように、少なくとも、光反応性希釈剤としてのグリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方を含む組成としたので、PP,PE等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等のプラスチック素材に対しても密着性が良好であって、これら難接着性素材にも好適に印刷,塗装,接着等を施すことができる。よって、印刷インキ、塗料、接着剤等として、幅広く用いることができる。
また、塩素系のバインダー樹脂等を含むことなく前記効果を得られるので、廃品回収やリサイクルの際等に有害物質を発生する虞れが無く、環境対応型の新規な紫外線硬化型樹脂組成物として極めて有用である等、多くの効果を有する。
以下、本発明の実施形態例について説明する。
まず、本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物として、下記配合の試料1〜3を作製した。
(試料1)
光反応性希釈剤 グリセロールモノメタクリレート:95重量%
光重合開始剤 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン:5重量%
(試料2)
光反応性希釈剤 グリセロールジメタクリレート:95重量%
光重合開始剤 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン:5重量%
(試料3)
光反応性希釈剤 グリセロールモノメタクリレート:47.5重量%
〃 グリセロールジメタクリレート:47.5重量%
光重合開始剤 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン:5重量%
次に、試験素材として、厚さ2.0mmのPP板,PE板を用意し、各素材の表面を、ぬれ張力が、PP板:40mN/m、PE板:46mN/mとなるよう前処理を施した。
その後、前記した試料1〜3を用いて、各試験素材の表面に、380メッシュのスクリーン版を使用して、スクリーン印刷法により印刷を施し試験用印刷物を得、これら印刷物に対し紫外線を照射し、硬化塗膜(印刷皮膜)を作成した。
各硬化塗膜に対し、20℃で24時間放置後に、JIS K 5400 8.5.2に規定された「碁盤目テープ法」に準拠して密着性試験を行った結果、全ての試料、全ての試験素材において評価「10」を得ることができた。
以下に、本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物を、印刷用の紫外線硬化型インキとして用いる場合について、より詳細な実施例に基づき詳述する。
本例に係る印刷用インキは、印刷素材上に所定量を塗布した後、紫外線照射により硬化させることで、該素材上に印刷皮膜(硬化塗膜)を形成することができる。
印刷皮膜を形成するための印刷素材としては、特に制限は無く、例えば、PP,PE等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等の難接着性なプラスチック素材、ポリカーボネート,ポリエステル等のプラスチック素材や紙,金属等の易接着性な素材等を挙げることができる。
前記した素材上に本例の印刷用インキを塗布する方法としては、特に制限は無く、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法等を用いることができる。
PP,PE等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等の難接着性なプラスチック素材に印刷を施す場合は、印刷皮膜の密着性を上げる為等に、該プラスチック素材の被印刷面に、フレーム処理又はコロナ処理等の前処理を施すと良い。
これら前処理を施す場合は、JIS K 6768に規定された「ぬれ張力試験方法」に準拠して測定を行い、被印刷面のぬれ張力が、PP素材においては40mN/m以上、PE素材においては46mN/m以上、エチレン−ビニルアルコール共重合体素材においては46mN/m以上になるよう、フレーム処理又はコロナ処理を施す。
より好ましいぬれ張力は、PP素材においては48mN/m以上、PE素材においては54mN/m以上、エチレン−ビニルアルコール共重合体素材においては54mN/m以上である。
以下、実施例と比較例について説明する。
(実施例1〜9)
本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物として、下記表2〜4中の実施例1〜9に示す配合(単位:重量%)の印刷用インキを作製した。
印刷素材として、厚さ1.5mmのPP板,PE板,エチレン−ビニルアルコール共重合体板を用意し、これら素材の被印刷面のぬれ張力が、PP板:40mN/m、PE板:46mN/m、エチレン−ビニルアルコール共重合体板:46mN/mとなるよう前処理を施した。その後、460メッシュのスクリーン版を使用してスクリーン印刷法により、各実施例の印刷用インキを、各印刷素材の被印刷面に印刷し、印刷物を得た。
これら印刷物を、80W/cm1灯のメタルハライドランプの下で、コンベアー5m/minの速度で1回通過させて紫外線を照射し、硬化塗膜(印刷皮膜)を作成した。
各硬化塗膜に対し、20℃で24時間放置後に、JIS K 5400 8.5.2に規定された「碁盤目テープ法」に準拠して、密着性試験を行った。結果を表中に示す。
(比較例1〜9)
印刷用インキの配合(単位:重量%)を表中記載のようにして比較例1〜9を作製し、前記実施例と同様にして密着性試験を行った。結果を表中に示す。
Figure 0003947754
Figure 0003947754
Figure 0003947754
以上の結果から、少なくとも、光反応性希釈剤としてのグリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方を含む組成とした紫外線硬化型インキは、PP,PE等のポリオレフィンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等の難接着性素材にも、好適に密着することが確認できた。
これに対し、グリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れも含まず、他の光反応性希釈剤のみ含有した比較例では、前記した難接着性素材に対する密着性に劣ることが確認できた。
以上、本発明に係る紫外線硬化型樹脂組成物の実施形態例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各請求項に記載された技術的思想の範疇において種々の変更が可能であることは言うまでもない。

Claims (5)

  1. 光反応性希釈剤としてグリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方又は両方を含んでなる紫外線硬化型印刷インキであって、前記グリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方又は両方は前記紫外線硬化型印刷インキ100重量%中10〜21重量%の割合で配合されている、ポリオレフィン又はエチレン−ビニルアルコール共重合体からなるプラスチック素材用紫外線硬化型印刷インキ。
  2. 光反応性希釈剤としてグリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方又は両方を含み、且つ、他の光反応性希釈剤をさらに含んでなる紫外線硬化型印刷用インキであって、前記グリセロールモノメタクリレートとグリセロールジメタクリレートの何れか一方又は両方は前記紫外線硬化型印刷インキ100重量%中10〜21重量%の割合で配合されている、ポリオレフィン又はエチレン−ビニルアルコール共重合体からなるプラスチック素材用紫外線硬化型印刷インキ。
  3. 重合性オリゴマーをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載の印刷インキ。
  4. ポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の印刷インキ。
  5. 請求項1〜4の何れか1項記載の印刷インキを用いて、ポリオレフィン又はエチレン−ビニルアルコール共重合体からなるプラスチック素材に、印刷を施してなる成型品。
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