JP3947605B2 - 足場ユニット及び足場ユニットを用いた足場構造 - Google Patents

足場ユニット及び足場ユニットを用いた足場構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築・土木作業現場や一般住宅において、外装作業や内装作業のために用いられる足場ユニット及び同足場ユニットを用いた足場構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記した目的に供される足場構造として、図20に示すように、一対の脚部88、89を、それぞれ、矩形枠からなる梯子型枠90を複数段上下方向に連設することによって形成する共に、最上段の梯子型枠90間に足場板92を架設し、さらに、脚部88、89間に補強ブレース91を取付けた足場構造Bがある。
【0003】
この足場構造Bにおいて、梯子型枠90は、図20に示すように、上、下水平枠部材94、95と、左、右垂直枠部材96、97とによって矩形枠を構成し、上、下水平枠部材94、95の中央部同士を中央補強部材98によって連結し、さらに、中央補強部材98と右垂直枠部材97との間に、垂直方向に所定の間隔を開けて横桟部材99を架設することによって構成されている。
【0004】
かかる構成によって、梯子型枠90の一側に作業者出入口100を設けることができると共に、他側に垂直梯子101を設けることができる。
そして、足場構造Bの使用に際しては、作業者は作業者出入口100を通して足場構造Bの内部へ入り、内側から垂直梯子101を昇降することができ、昇降動作の安全を確保できる。
【0005】
また、図21に示す足場構造Cは、複数の足場ユニット102を例えば壁面に沿って上、下、左、右方向に連結することによって構成されている。そして、各足場ユニット102は、実質的に、4つの支持脚103〜106と、2つの上部水平連結部材107、108と、補強ブレース110、111と、足場板112、113とから形成されており、所定の足場ユニット102内には傾斜状態に階段114が取付けられている。かかる構成によって、作業者は、階段114や足場板112、113を介して所定の作業場所まで移動することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の足場構造B、Cは、未だ、以下の解決すべき課題を有していた。
即ち、図20に示す足場構造Bにおいて、足場板92の両端部に設けられた掛止金具は、それぞれ、最上段の梯子型枠90の上水平枠部材94のみに掛止することができる構成となっている。従って、この足場構造Bを用いて、例えば、高さの異なる天井面に塗布作業等の高所作業を行おうとする場合、梯子型枠90単位でしか足場構造Bの作業床面の高さ調整ができず、高所作業を円滑に行うことができなかった。
【0007】
同様に、図21に示す足場構造Cにおいても、足場板112、113の両端部に設けられた掛止金具は、それぞれ、各足場ユニット102の上部水平連結部材107、108のみに掛止することができる構成となっている。従って、この足場構造Cを用いて、例えば、高さの異なる天井面に高所作業を行おうとする場合、足場ユニット102単位でしか足場構造Cの作業床面の高さ調整ができず、同様に高所作業を円滑に行うことができなかった。特に、階段、傾斜地等での作業ができなかった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、作業床面の高さを自在に調整することができ、高所作業を円滑かつ安全に行うことができる足場ユニット及び足場ユニットを用いた足場構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う請求項1記載の足場ユニットは、2つの矩形枠の上部間に足場板を架設することによって構成される足場ユニットにおいて、
少なくとも一方の前記矩形枠に、上、下水平枠部材と一対の垂直部材とによって区画される作業者出入口が設けられ、該作業者出入口の両側に第1と第2の横桟部材がそれぞれ垂直方向に間隔をあけて複数段にわたって連設され、対をなす掛止金具が前記足場板の少なくとも一端部に前記作業者出入口の幅より大きい間隔をあけて取付けられ、前記対をなす掛止金具が前記上水平枠部材のみならず、前記第1と第2の横桟部材にも前記作業者出入口を跨がった状態で着脱自在に掛止され、
更に、該足場ユニットの両側には両端にC形状の湾曲板部材からなる掛止金具が取付けられた補強ブレースが配設され、該補強ブレースの端部は前記第1、第2の横桟部材に該C形状の掛止金具を介して着脱自在に掛止され、しかも、該補強ブレースは入れ子式の伸縮部材とその固定装置を備えて長さ調整自在に構成されている。
【0010】
請求項2記載の足場ユニットは、請求項1記載の足場ユニットにおいて、前記下水平枠部材のうち、前記作業者出入口の下方に位置する部分が切り取られている。
請求項3記載の足場ユニットは、請求項1又は2記載の足場ユニットにおいて、前記作業者出入口の一側に垂直方向に複数段にわたって連設された第1及び第2の横桟部材のいずれかによって昇降用梯子が形成される。
請求項4記載の足場構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の足場ユニットを水平方向に連設することによって構築される。
請求項5記載の足場構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の足場ユニットを垂直方向に積み重ねることによって構築される。
請求項6記載の足場構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の足場ユニットを水平方向に連設すると共に垂直方向に積み重ねることによって構築される。
【0011】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る足場ユニットAについて説明する。
図示するように、足場ユニットAは、それぞれ前後方向に配設された前、後矩形枠10、11の上部間に第1及び第2の足場板12、13を架設すると共に、その側面に一対の交差する補強ブレース14〜17を取付けることによって構成されている。
【0013】
図2に示すように、前、後矩形枠10、11は同一構成を有する。即ち、前、後矩形枠10、11の外枠は、それぞれ、左、右方向に間隔を開けて配設された左、右垂直支柱18、19と、左、右垂直支柱18、19の上、下端同士を連結する上、下水平枠部材20、21とから形成されている。
上、下水平枠部材20、21の中間部分同士は、左、右方向に平行間隔を開けて配設された一対の垂直部材22、23によって連結されており、垂直部材22、23間には、縦長の作業者出入口24が形成されている。
【0014】
作業者出入口24の左側方において、左垂直支柱18と垂直部材22との間には、垂直方向に間隔を開けて複数の長尺の第1の横桟部材25が架設されている。そして、左垂直支柱18、垂直部材22及び第1の横桟部材25によって昇降用梯子26を形成することができると共に、第1の横桟部材25は、図3を参照して後に説明するように、第1の足場板12の掛止金具28〜31と第2の足場板13の掛止金具34、36を着脱自在に掛止することができる。
【0015】
一方、作業者出入口24の右側方において、右垂直支柱19と垂直部材23との間には、垂直方向に間隔を開けて複数の短尺の第2の横桟部材27が架設されており、この第2の横桟部材27の取付数と、間隔と、取付レベルは、昇降用梯子26の第1の横桟部材25と同一に設定されている。そして、第2の横桟部材27も、図3を参照して後に説明するように、第2の足場板13の掛止金具35、37を着脱自在を掛止することができる。
【0016】
図1と図2に示すように、好ましくはアルミニウム合金製の第1の足場板12は、その前、後端部に、左、右方向に間隔を開けて、C形状の湾曲板部材からなる掛止金具の一例である掛止金具28〜31を具備しており、掛止金具28、29は前矩形枠10の上水平枠部材20に着脱自在に掛止されると共に、掛止金具30、31は後矩形枠11の上水平枠部材20に着脱自在に掛止されている。
【0017】
また、第1の足場板12の幅は、前、後矩形枠10、11における昇降用梯子26の第1の横桟部材25の長さより小さく設定されている。従って、第1の足場板12の掛止金具28〜31は、前、後矩形枠10、11の上水平枠部材20のみならず、昇降用梯子26の任意の段の第1の横桟部材25にも掛止することができる。
【0018】
なお、第1の足場板12は開閉自在な蓋32を具備する有蓋板であり、蓋32を開けることによって、昇降用開口33が形成されることになる。
一方、図1及び図2に示すように、好ましくは同様にアルミニウム合金製の第2の足場板13は無蓋板であり、その前、後端部に、左、右方向に間隔を開けて、C形状の湾曲板部材からなる掛止金具34〜37を具備しており、これらの掛止金具34〜37は、それぞれ、前、後矩形枠10、11の上水平枠部材20に着脱自在に掛止されている。
【0019】
また、第2の足場板13の幅は、前、後矩形枠10、11における作業者出入口24の幅より大きく設定されている。従って、第2の足場板13の掛止金具34〜37は、前、後矩形枠10、11の上水平枠部材20のみならず、任意の段の第1及び第2の横桟部材25、27に作業者出入口24を跨がった状態で掛止することができる。即ち、掛止金具34、36は、昇降用梯子26の第1の横桟部材25に着脱自在に掛止することができると共に、第2の横桟部材27にも掛止金具35、37を着脱自在に掛止することができる。
【0020】
図2に示すように、補強ブレース14〜17の両端には、それぞれ、C形状の湾曲板部材からなる掛止金具38〜45が取付けられている。これらの掛止金具38〜45のうち、補強ブレース14の両端に取付けられている掛止金具38、39は、それぞれ、前矩形枠10における昇降用梯子26の最上段の第1の横桟部材25と、後矩形枠11における昇降用梯子26の下水平枠部材21に掛止されている。補強ブレース15の両端に取付けられている掛止金具40、41は、それぞれ、前矩形枠10における昇降用梯子26の下水平枠部材21と、後矩形枠11における昇降用梯子26の最上段の第1の横桟部材25に掛止されている。補強ブレース16の両端に取付けられている掛止金具42、43は、それぞれ、前矩形枠10における最上段の第2の横桟部材27と、後矩形枠11における下水平枠部材21に掛止されている。補強ブレース17の両端に取付けられている掛止金具44、45は、それぞれ、前矩形枠10における下水平枠部材21と、後矩形枠11における最上段の第2の横桟部材27に掛止されている。
【0021】
図示の実施の形態における足場ユニットAのその他の構成について説明すると、図1及び図2に示すように、前、後矩形枠10、11の左、右垂直支柱18、19の下端には高さ調整金具50、51を介してキャスター52、53がそれぞれ取付けられている。
また、図4に示すように、第1の足場板12の掛止金具28〜31には公知の着脱掛止機構55が取付けられており、この着脱掛止機構55を操作することによって掛止金具28〜31を容易かつ確実に上水平枠部材20等にに掛止できると共に、逆の手順で操作することによって容易に解除できる。また、第2の足場板13の掛止金具34〜37にも、上記した着脱掛止機構55が取付けられている。
【0022】
次に、上記した構成を有する足場ユニットAを用いた高所作業について、図1及び図3を参照して説明する。
図1に示すように、作業者は、例えば、作業者出入口24より足場ユニットAの内部空間に入り、後矩形枠11に設けた昇降用梯子26を内側から昇ると共に蓋32を開け、昇降用開口33をくぐり抜けて第1の足場板12上に立ち、その後、蓋32を閉じて、第1及び第2の足場板12、13上に形成される作業床面上で、側壁の上部への塗布作業等、所望の高所作業を、適正な姿勢で行うことができる。
【0023】
ところで、側壁の他の個所について高所作業を行いたい場合、作業床面が同じ高さでは、作業者は無理な姿勢で高所作業を行わなければならない。そこで、本実施の形態では、作業床面の高さを段階的に調整可能としている。即ち、まず、第1、第2の足場板12、13の掛止金具28〜31、34〜37を前、後矩形枠10、11の上水平枠部材20から取り外す。次に、第1の足場板12の掛止金具28〜31を、前、後矩形枠10、11における昇降用梯子26の最上段の第1の横桟部材25に掛止する。同様に、第2の足場板13の掛止金具34、36を、前、後矩形枠10、11における昇降用梯子26の第1の横桟部材25に掛止すると共に、掛止金具35、37を第2の横桟部材27に掛止する。このような掛止金具28〜31、34〜37の掛け替え作業によって、図3に示すように、第1及び第2の足場板12、13上に形成される作業床面の高さを所定の高さだけ低くすることができ、作業者は適正な姿勢で所望の高所作業を行うことができる。
【0024】
また、第1の足場板12の掛止金具28〜31と、第2の足場板13の掛止金具34〜37は、同様にして、昇降用梯子26の次段又は他の段の第1の横桟部材25及び次段又は他の段の第2の横桟部材27に掛止することができ、作業床面の高さを変えることができる。
このように、本実施の形態では、高所作業の作業態様に応じて自在に作業床面を変えることでき、高所作業を能率的に行うことができると共に、適正姿勢で作業を行うことができるので、疲労感がなく、安全性も向上できる。
【0025】
また、足場ユニットAを図3に示す形態とした場合は、前、後矩形枠10、11の上部が作業床面より上方に突出して、いわゆる安全柵を形成することになり、高所作業の安全をさらに向上することができる。
さらに、本実施の形態では、作業者は、昇降用梯子26を内側から昇るので、万一落下しても落下高さが低く、落下事故を可及的に少なくかつ軽微なものとすることできる。
【0026】
また、本実施の形態では、昇降用梯子26の第1の横桟部材25と第2の横桟部材27は、第1及び第2の足場板12、13の掛止金具28〜31、34〜37を掛止することができるのみならず、補強ブレースの掛止金具38〜45も掛止することができる幅を有するので、足場ユニットAの組み立てや分解作業等も容易に行うことができる。
さらに、図示しないが、下水平枠部材21のうち、作業者出入口24の下方に位置する部分を切り取ることもでき、この場合、作業者出入口24の下部が自由空間になるので、作業者の出入りを容易にすることができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
図5及び図6に示すように、本実施の形態に係る足場構造A1は、実質的に、第1の実施の形態に係る足場ユニットAを、同一水平面上で直列に連結したことを特徴とする。
即ち、図示するように、本実施の形態に係る足場構造A1は、第1の実施の形態に係る2つの足場ユニットAを前後方向に所定の間隔を開けて配設し、前方に位置する足場ユニットAにおける後矩形枠11の上水平枠部材20と、後方に位置する足場ユニットAにおける前矩形枠10の上水平枠部材20との間に、第1の実施の形態に係る第1、第2の足場板12、13を架設することによって構成されている。
【0028】
上記した構成によって、足場構造A1は、例えば、長い壁面に沿って広い作業床面を確保することができ、高所作業を能率的に行うことができる。また、本実施の形態においても、第1、第2の足場板12、13の掛止金具28〜31、34〜37の掛け替え作業によって、図6に示すように、第1、第2の足場板12、13上に形成される作業床面の高さを所定の高さだけ容易に低くすることができる。
【0029】
このように、本実施の形態においても、高所作業の作業態様に応じて自在に作業床面を変えることでき、高所作業を能率的に行うことができると共に、適正姿勢で作業を行うことができるので、疲労感がなく、安全性も向上できる。
【0030】
(第3の実施の形態)
図7及び図8に示すように、本実施の形態に係る足場構造A2は、実質的に、第1の実施の形態にかかる足場ユニットAを、垂直方向に積み重ねたことを特徴とする。
【0031】
上記した構成によって、足場構造A2は、例えば、高い壁面に沿って複数階にわたって高さの異なる作業床面を確保することができ、高所作業を能率的に行うことができる。また、本実施の形態においても、各階の第1、第2の足場板12、13の掛止金具28〜31、34〜37の掛け替え作業によって、図8に示すように、各階の第1、第2の足場板12、13上に形成される作業床面の高さを所定の高さだけ容易に低くすることができる。
【0032】
このように、本実施の形態においても、各階において行う高所作業の作業態様に応じて、作業床面の高さを自在に変えることできると共に、作業床面間の間隔、即ち、作業床面上の作業空間の高さも変えることができる。従って、高所作業をさらに能率的に行うことができると共に、適正姿勢で作業を行うことができるので、疲労感がなく、安全性も向上できる。
【0033】
(第4の実施の形態)
図9及び図10に示すように、本実施の形態に係る足場構造A3は、実質的に、第1の実施の形態にかかる足場ユニットAを、水平方向及び垂直方向に組み立てたことを特徴とする。
【0034】
上記した構成によって、足場構造A3は、例えば、長くかつ高い壁面に沿って複数階にわたって高さの異なる広い作業床面を確保することができ、高所作業を能率的に行うことができる。また、本実施の形態においても、各階の第1、第2の足場板12、13の掛止金具28〜31、34〜37の掛け替え作業によって、図10に示すように、各階の第1、第2の足場板12、13上に形成される作業床面の高さを所定の高さだけ容易に低くすることができる。
【0035】
このように、本実施の形態においても、各階において行う高所作業の作業態様に応じて、作業床面の高さを自在に変えることできると共に、作業床面間の間隔、即ち、作業床面上の作業空間の高さも変えることができる。従って、高所作業をさらに能率的に行うことができると共に、適正姿勢で作業を行うことができるので、疲労感がなく、安全性も向上できる。
【0036】
(第5の実施の形態)
図11に示すように、本実施の形態に係る足場構造A4は、実質的に、階段56上に設置して用いるものであり、第1の実施の形態にかかる足場ユニットAの前矩形枠10の下端に、前矩形枠10と同一構造の矩形枠57を連結することによって、前矩形枠10の最上段の第1の横桟部材25と後矩形枠11の上水平枠部材20を同一水平レベルにしたことを特徴とする。
【0037】
また、本実施の形態では、第1、第2の足場板12、13の作業床面に階段56に合わせて僅かに傾斜を持たせている。即ち、第1の足場板12の掛止金具28、29は前矩形枠10における昇降用梯子26の最上段の第1の横桟部材25に掛止されると共に、掛止金具30、31は、後矩形枠11の上水平枠部材20に掛止されている。第2の足場板13の掛止金具34、35はそれぞれ前矩形枠10における昇降用梯子26の最上段の第1の横桟部材25と第2の横桟部材27に掛止されると共に、掛止金具36、37は、後矩形枠11の上水平枠部材20に掛止されている。
【0038】
さらに、本実施の形態では、第1の足場板12の下方には第2の足場板13と同一構造を有する足場板58が配設されており、足場板58の作業床面は第1、第2の足場板12、13と同様に、階段56に合わせて僅かに傾斜を持たせている。即ち、足場板58の両端に取付けられた掛止金具59〜62は、それぞれ、矩形枠57の上水平枠部材20と、足場ユニットAの後矩形枠11の下水平枠部材21に掛止されている。
【0039】
なお、本実施の形態では、足場構造A4の両側には、補強ブレース15a、17aが取付けられており、足場構造A4の強度を高めている。
上記した構成によって、足場構造A4は、階段56の上方においても水平な作業床面を確保することができ、かつ、必要な場合は、図11に示すように、階段56の傾斜に応じてわずかな傾斜を持たせ、最適の作業床面を容易に形成することができる。また、足場板58が足場構造A4の一側のみしか設けられていないので、前矩形枠57に設けた作業者出入口24と後矩形枠11に設けた作業者出入口24との間に十分な空間を確保することができ、作業者は足場構造A4内を通って階段56を昇降することができ、階段56を昇降する作業者を、天井等からの落下物から効果的に保護することができる。
【0040】
(第6の実施の形態)
図12に示すように、本実施の形態に係る足場構造A5は、実質的に、長い階段63上に設置して用いるものであり、第1の実施の形態に係る足場ユニットAと第5の実施の形態にかかる足場構造A4を階段63の長手方向に沿って連結することによって構成されている。
【0041】
上記した構成によって、足場構造A5は、階段63の上方においても、複数の異なる高さの水平な作業床面を複数段に分けて確保することができ、かつ、必要な場合は、図12に示すように、階段63の傾斜に応じてわずかな傾斜を持たせ、最適の作業床面を容易に形成することができる。また、この場合も、足場板58が足場ユニットAと足場構造A4の一側のみしか設けられていないので、前矩形枠10に設けた作業者出入口24と、矩形枠57に設けられた作業者出入口24と、後矩形枠11に設けた作業者出入口24との間に十分な空間を確保することができ、作業者は足場構造A4内を通って階段63を昇降することができ、階段63を昇降する作業者を、天井等からの落下物から効果的に保護することができる。
【0042】
(第7の実施の形態)
図13及び図14に示すように、本実施の形態に係る足場ユニットA6は、実質的に、傾斜地64に設置して用いるものであり、第1の実施の形態に係る足場ユニットAの前矩形枠10と後矩形枠11とを、補強ブレース14〜17に代えて、長さ調整自在な補強ブレース65〜68によって連結することによって構成したことを特徴とする。
【0043】
即ち、図14に示すように、各補強ブレース65〜68は、入れ子式の伸縮部材65a、65b、66a、66b、67a、67b、68a、68bと、固定装置又はロック装置65c〜68cから構成されている。また、補強ブレース65〜68の両端には、それぞれ、C形状の湾曲板部材からなる掛止金具69〜76が取付けられている。これらの掛止金具69〜76のうち、補強ブレース65の両端に取付けられている掛止金具69、70は、それぞれ、前矩形枠10における昇降用梯子26の最上段の第1の横桟部材25と、後矩形枠11における下水平連結部材21に掛止されている。補強ブレース66の両端に取付けられている掛止金具71、72は、それぞれ、前矩形枠10における昇降用梯子26の下水平連結部材21と、後矩形枠11における昇降用梯子26の最上段の第1の横桟部材25に掛止されている。補強ブレース67の両端に取付けられている掛止金具73、74は、それぞれ、前矩形枠10における最上段の第2の横桟部材27と、後矩形枠11における下水平枠部材21に掛止されている。補強ブレース68の両端に取付けられている掛止金具75、76は、それぞれ、前矩形枠10における下水平枠部材21と、後矩形枠11における最上段の第2の横桟部材27に掛止されている。
【0044】
上記した構成によって、足場ユニットA6は、側面視において、前、後矩形枠10、11と、補強ブレース65〜68とによって、いわゆる平行四辺形からなる枠を形成することができる。従って、図13に示すように、緩傾斜角度の傾斜地64の上方において、傾斜地64と同一の傾斜面を有する作業床面を容易に形成することができ、また、必要に応じて、水平な作業床面を形成することもできる。また、前矩形枠10に設けた作業者出入口24と後矩形枠11に設けた作業者出入口24との間に十分な高さの空間が確保されているので、作業者は足場ユニットA6内を通って傾斜地64上を昇降することができ、傾斜地64を昇降する作業者を、天井等からの落下物から効果的に保護することができる。
【0045】
(第8の実施の形態)
図15に示すように、本実施の形態に係る足場構造A7は、実質的に、長い傾斜地77上に設置して用いるものであり、第7の実施の形態にかかる足場ユニットA6を傾斜地77の長手方向に沿って連結することによって構成されている。
上記した構成によって、足場構造A7は、傾斜地77の上方においても、複数の異なる高さでかつ傾斜地77と同一傾斜角度で傾斜した作業床面を複数段に分けて確保することができ、かつ、必要な場合は、水平面とすることによって、最適の作業床面を容易に形成することができる。また、前矩形枠10に設けた作業者出入口24と後矩形枠11に設けた作業者出入口24との間に十分な空間を確保されているので、作業者は足場構造A7内を通って傾斜地77を昇降することができ、傾斜地77を昇降する作業者を、天井等からの落下物から効果的に保護することができる。
【0046】
(第9の実施の形態)
図16に示すように、本実施の形態に係る足場ユニットA8は、実質的に、第1の実施の形態の前、後矩形枠10、11に相当する前、後矩形枠78、79が狭幅であり、その上水平枠部材80間に一つの第2の足場板13のみしか取付けることができない構成となっていることを特徴とする。
従って、図16に示すように、上水平枠部材80と下水平枠部材81と、2つの垂直部材82、83によって区画形成される作業者出入口84の両側には、第1の実施の形態に係る第2の横桟部材27に相当する横桟部材85、86がそれぞれ設けられている。
また、足場ユニットA8の両側部には、足場ユニットA8を補強するための補強ブレース87a〜87dが取付けられている。
【0047】
本実施の形態においても、第2の足場板13の掛止金具34、36を、前、後矩形枠78、79における横桟部材85に掛止すると共に、掛止金具35、37を横桟部材86に掛止することができる。このような掛止金具34〜37の掛け替え作業によって、図17に示すように、第2の足場板13上に形成される作業床面の高さを所定の高さだけ低くすることができ、作業者は適正な姿勢で所望の高所作業を行うことができる。
また、横桟部材85、86によって昇降用梯子を形成することができる。即ち、作業者は、横桟部材85、86に両足をそれぞれ載せながら昇ることによって第2の足場板13上の作業床面まで容易に移動することができる。
【0048】
(参考例)
図18に示すように、建て枠A9は、左、右垂直支柱18a、19aと上、下水平枠部材20a、21aとからなる矩形枠によって構成されている。上、下水平枠部材20a、21aと一対の垂直部材22a、23aとによって区画される作業者出入口24aが設けられている。作業者出入口24aの両側に第1と第2の横桟部材25a、27aがそれぞれ垂直方向に間隔をあけて複数段にわたって連設されている。そして、第1の足場板12aの一端に設けられた一対の掛止金具28a、29aが、共に、第1の横桟部材25aに着脱自在に掛止されている。一方、第2の足場板13aの一端に設けられた一対の掛止金具34a、35aのうち、一方の掛止金具34aが第1の横桟部材25aに着脱自在に連結されると共に、他方の掛止金具35aが第2の横桟部材26aに着脱自在に掛止されている。なお、第1の横桟部材24aによって昇降用梯子26aが形成されている。
かかる構成によって、第2の足場板13aを上水平枠部材20aに架設することができるのみならず、第1及び第2の横桟部材25a、27a間にも架設することができ、第1の足場板12aのみならず、第2の足場板13aの作業床面も高所作業の作業態様に応じて自在に変えることでき、高所作業を能率的に行うことができると共に、適正姿勢で作業を行うことができるので、疲労感がなく、安全性も向上できる。
また、下水平枠部材21aのうち、作業者出入口24a下方に位置する部分が切り取られている。従って、作業者出入口24aの下部が自由空間になるので、作業者の出入りを容易にすることができる。
【0049】
以上、本発明を、幾つかの実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、図19に概念的に示すように、第1の実施の形態に係る足場ユニットにおけるブレース14、15は右垂直支柱18に自在クランプDを用いることによって連結することができる。
【0050】
【発明の効果】
請求項1〜3記載の足場ユニットにおいては、2つの矩形枠の上部間に足場板を架設することによって構成される足場ユニットにおいて、作業者出入口の両側に第1と第2の横桟部材がそれぞれ垂直方向に間隔をあけて複数段にわたって連設され、対をなす掛止金具が足場板の少なくとも一端部に作業者出入口の幅より大きい間隔をあけて取付けられ、これらの掛止金具が上水平枠部材のみならず、それぞれ第1と第2の横桟部材にも作業者出入口を跨がった状態で着脱自在に掛止される。
【0051】
従って、足場板を上水平枠部材に架設することができるのみならず、横桟部材間にも架設することができ、足場板の作業床面を高所作業の作業態様に応じて自在に変えることでき、高所作業を能率的に行うことができると共に、適正姿勢で作業を行うことができるので、疲労感がなく、安全性も向上できる。また、足場板の掛止金具を第1、第2の横桟部材に掛止した場合は前、後矩形枠の上部が作業床面より上方に突出して、いわゆる安全柵を形成することになり、高所作業の安全をさらに向上することができる。さらに、階段においても、足場板の両端部の横桟部材への掛止位置を調整することによって、容易に水平又は適正な傾斜角度を有する作業床面を形成することができる。
また、横桟部材は、足場ユニットを補強するために用いられる補強ブレースの端部を掛止するためにも用いられる。従って、十分な強度を確保しながら、足場ユニットをコンパクトに組み立てることができる。
さらに、補強ブレースを長さ調整自在に構成しているので、足場ユニットを側面視において平行四辺形とした状態で構築することができ、傾斜地においても容易に足場ユニットを設置することができる。
【0052】
請求項2記載の足場ユニットにおいては、下水平枠部材のうち、作業者出入口の下方に位置する部分が切り取られているので、作業者出入口の下部が自由空間になり、足場ユニットへの作業者の出入りを容易にすることができる。
【0053】
請求項3記載の足場ユニットにおいては、作業者出入口の一側に第1及び第2の横桟部材のいずれかによって昇降用梯子が形成される。従って、この昇降用梯子を利用して、足場ユニット内外を昇降することができる。
【0054】
請求項4記載の足場構造においては、請求項1〜3のいずれか1項に記載の足場ユニットを水平方向に連設することによって構築されるので、例えば、長い壁面に沿って広い作業床面を確保することができると共に、それぞれの足場板の作業床面の高さを変えることによって、高所作業を能率的に行うことができる。
請求項5記載の足場構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の足場ユニットを垂直方向に積み重ねることによって構築されるので、各階において行う高所作業の作業態様に応じて、作業床面の高さを自在に変えることができると共に、作業床面間の間隔、即ち、作業床面上の作業空間の高さも変えることができる。従って、高所作業をさらに能率的に行うことができると共に、適正姿勢で作業を行うことができるので、疲労感がなく、安全性も向上できる。
請求項6記載の足場構造においては、請求項1〜3のいずれか1項に記載の足場ユニットを水平方向に連設すると共に垂直方向に積み重ねることによって構築されるので、長い壁面に沿って各階ごとに広い作業床面を確保できると共に、各階において行う高所作業の作業態様に応じて、作業床面の高さを自在に変えることができ、さらに、作業床面間の間隔、即ち、作業床面上の作業空間の高さも変えることができる。従って、高所作業をさらに能率的に行うことができると共に、適正姿勢で作業を行うことができるので、疲労感がなく、安全性も向上できる。
【0055】
【0056】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る足場ユニットの斜視図である。
【図2】同分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る足場ユニットの作業床面を変えた状態の斜視図である。
【図4】同足場板の側面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る足場構造の斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る足場構造の作業床面を変えた状態の斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る足場構造の斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る足場構造の作業床面を変えた状態の斜視図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る足場構造の斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る足場構造の作業床面を変えた状態の斜視図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る足場構造の斜視図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態に係る足場ユニットの斜視図である。
【図13】本発明の第7の実施の形態に係る足場ユニットの斜視図である。
【図14】同分解斜視図である。
【図15】本発明の第8の実施の形態に係る足場構造の作業床面を変えた状態の斜視図である。
【図16】本発明の第9の実施の形態に係る足場ユニットの斜視図である。
【図17】本発明の第9の実施の形態に係る足場ユニットの作業床面を変えた状態の斜視図である。
【図18】参考例に係る建て枠の正面図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態に係る足場ユニットの変形例である。
【図20】従来の足場構造の斜視図である。
【図21】従来の足場構造の斜視図である。
【符号の説明】
A 足場ユニット A1 足場構造
A2 足場構造 A3 足場構造
A4 足場構造 A5 足場構造
A6 足場ユニット A7 足場構造
A8 足場ユニット A9 建て枠
D 自在クランプ 10 前矩形枠
11 後矩形枠 12 第1の足場板
12a 第1の足場板 13 第2の足場板
13a 第2の足場板 14 補強ブレース
15 補強ブレース 15a 補強ブレース
16 補強ブレース 17 補強ブレース
17a 補強ブレース 18 左垂直支柱
18a 左垂直支柱 19 右垂直支柱
19a 右垂直支柱 20 上水平枠部材
20a 上水平枠部材 21 下水平枠部材
21a 下水平枠部材 22 垂直部材
22a 垂直部材 23 垂直部材
23a 垂直部材 24 作業者出入口
24a 作業者出入口 25 第1の横桟部材
25a 第1の横桟部材 26 昇降用梯子
26a 昇降用梯子 27 第2の横桟部材
27a 第2の横桟部材 28 掛止金具
28a 掛止金具 29 掛止金具
29a 掛止金具 30 掛止金具
31 掛止金具 32 蓋
33 昇降用開口 34 掛止金具
34a 掛止金具 35 掛止金具
35a 掛止金具 36 掛止金具
37 掛止金具 38 掛止金具
39 掛止金具 40 掛止金具
41 掛止金具 42 掛止金具
43 掛止金具 44 掛止金具
45 掛止金具 50 高さ調整金具
51 高さ調整金具 52 キャスター
53 キャスター 55 着脱掛止機構
56 階段 57 矩形枠
58 足場板 59 掛止金具
60 掛止金具 61 掛止金具
62 掛止金具 63 階段
64 傾斜地 65 補強ブレース
65a 伸縮部材 65b 伸縮部材
65c 固定装置 66 補強ブレース
66a 伸縮部材 66b 伸縮部材
66c 固定装置 67 補強ブレース
67a 伸縮部材 67b 伸縮部材
67c 固定装置 68 補強ブレース
68a 伸縮部材 68b 伸縮部材
68c 固定装置 69 掛止金具
70 掛止金具 71 掛止金具
72 掛止金具 73 掛止金具
74 掛止金具 75 掛止金具
76 掛止金具 77 傾斜地
78 前矩形枠 79 後矩形枠
80 上水平枠部材 81 下水平枠部材
82 垂直部材 83 垂直部材
84 作業者出入口 85 横桟部材
86 横桟部材 87a 補強ブレース
87b 補強ブレース 87c 補強ブレース
87d 補強ブレース

Claims (6)

  1. 2つの矩形枠の上部間に足場板を架設することによって構成される足場ユニットにおいて、
    少なくとも一方の前記矩形枠に、上、下水平枠部材と一対の垂直部材とによって区画される作業者出入口が設けられ、該作業者出入口の両側に第1と第2の横桟部材がそれぞれ垂直方向に間隔をあけて複数段にわたって連設され、対をなす掛止金具が前記足場板の少なくとも一端部に前記作業者出入口の幅より大きい間隔をあけて取付けられ、前記対をなす掛止金具が前記上水平枠部材のみならず、前記第1と第2の横桟部材にも前記作業者出入口を跨がった状態で着脱自在に掛止され、
    更に、該足場ユニットの両側には両端にC形状の湾曲板部材からなる掛止金具が取付けられた補強ブレースが配設され、該補強ブレースの端部は前記第1、第2の横桟部材に該C形状の掛止金具を介して着脱自在に掛止され、しかも、該補強ブレースは入れ子式の伸縮部材とその固定装置を備えて長さ調整自在に構成されていることを特徴とする足場ユニット。
  2. 前記下水平枠部材のうち、前記作業者出入口の下方に位置する部分が切り取られていることを特徴とする請求項1記載の足場ユニット。
  3. 前記作業者出入口の一側に垂直方向に複数段にわたって連設された第1及び第2の横桟部材のいずれかによって昇降用梯子が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の足場ユニット。
  4. 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の足場ユニットを水平方向に連設することによって構築されることを特徴とする足場構造。
  5. 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の足場ユニットを垂直方向に積み重ねることによって構築されることを特徴とする足場構造。
  6. 前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の足場ユニットを水平方向に連設すると共に垂直方向に積み重ねることによって構築されることを特徴とする足場構造。
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