JP3946672B2 - 道床安定化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低臭性、発泡抑制に優れ、かつ低温時でも容易に散布できる粘度を有し、且つ低温でも短時間で硬化させることができる性能を有した道床砕石用固着剤用いる道床安定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に鉄道軌道用道床は、レール、枕木、砕石(バラスト)から構成される。バラストは、枕木やレールが曲がったり移動するのを防止し安定化させるために軌道に於かれる砕石のことであるが、バラスト自体も列車の振動や通過時の風圧により飛散する恐れがある。特に近年列車の高速化にともないバラストが飛散し車体や沿線の家屋に危害を与えることを防止することがより重要となってきた。
【0003】
こうした飛散を防止するために酢酸ビニルエマルジョンやウレタン樹脂をバラスト上に散布硬化させ飛散を防止している。例えば、特開平4−296385号公報、特開平6−158601号公報において樹脂エマルジョンや水性樹脂散布によるバラストの固着方法について述べられているが、エマルジョンや水性樹脂では雨水により機械的強度が低下し、長期のバラスト固着能力が低下する為、頻繁に再施工が必要となる。
【0004】
又、特開平6−10301号公報、特開平8−157552号公報にはウレタン樹脂を用いたバラスト固着方法が述べられているが、これは湿気硬化型ウレタン樹脂で空気中の湿気と反応硬化するため、硬化時間が施工時の温湿度に影響されやすく、冬場の低温低湿度下では硬化に時間がかかりすぎる問題がある。
【0005】
一般にバラスト固着剤の施工(散布、硬化)は列車の通過しない夜間に如雨露で固着剤を砕石上に散布し一番列車が通過するまでに硬化を完了させる必要があるため、低温化での作業性と硬化性とが要求される。
【0006】
即ち、冬場の条件(0℃)では、如雨露で散布出来、硬化まで3時間以内の性能が要求される。このため一液湿気硬化型ウレタン樹脂では反応性を向上すべく高分子量のプレポリマーを使用している場合が多いが、粘度が高く、作業性確保のため酢酸エチルやアセトン、トルエンといった揮発性の高い低沸点溶剤で希釈使用しており、臭気が強く、民家の多い沿線では使用できない。更には、粘度を低下させるため該ウレタン樹脂を加熱使用したり、高圧吹付機で樹脂を散布する場合もあるが施工が大がかりで手間がかかり危険を伴う。逆に高温高湿度の夏場や水を添加し硬化させる場合は、硬化が速いものの、ウレタンが発泡し硬化するため、発泡した樹脂がバラストを突き動かしてしまうといった問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、1年を通じ低粘度、低臭気で、温湿度に影響されにくい安定した硬化性と固着力を有す塗膜を形成できる道床定化方法にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、ポリオキシプロピレンジオールとポリオキシプロピレントリオールとからなるポリオールとポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートを含む有機ポリイソシアネート化合物とを反応させて得られNCO%=10.9〜18.3%である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)及び低沸点溶剤、パラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、オレフィン系溶剤等の高沸点溶剤、二塩基酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステルから選択される減粘剤(B)から成る主成分と、イソシアネート三量化触媒(C)からなる硬化剤成分とからなり、該混合物が0℃で150〜500cpsの粘度である道床砕石用固結剤を道床の砕石上に如雨露で散布することを特徴とする道床安定化方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明(A)に使用される有機ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されることはなく、芳香族系、脂肪族系、あるいは脂環族系ポリイソシアネート化合物、それら2種以上の混合物、及びそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートのいずれでもよい。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI)等のポリイソシアネートやそれらの変性ポリイソシアネート、例えば、カルボジイミド変性物、ビュウレット変性物、2量体、3量体等があり、更にこれらのポリイソシアネートと活性水素含有化合物との末端イソシアネート基プレポリマー等をあげることができる。好ましくはポリメリックMDIである。
【0011】
本発明(A)または(D)におけるポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールエタン、1,3,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ノボラック等の多価アルコール類、および又はこれらのポリヒドロキシ化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させたものが挙げられる。使用される上記ポリオールは、単独で使用することは勿論、他のイソシアネート基と反応し得る活性水素含有官能基を2個以上有する活性水素化合物を併用することができ、この具体例としては、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール、高級脂肪酸エステルポリオール等がポリオールとして一部併用して使用される。
【0012】
また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トルエンジアミン等活性水素を2個以上含有する化合物および/又はこれらのアミン類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加重合させたものも挙げられる。
【0013】
本発明に使用されるイソシアネート三量化触媒(C)としては、イソシアネート基どうしを反応させるヌレート化触媒である。例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチル−N’−ジメチル−アミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノシクロヘキシルアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン−1−メチルイミダソール、1,2−ジメチルイミダソール、1−イソブチル−2−メチルイミダソール、が挙げられるこれらは、単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。また補助的に活性水素含有官能基とイソシアネート基の反応を促進させる触媒として以下のアミン触媒や金属系触媒が使用される。スタナスオクトエート、ジブチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸錫(II)、オクタン酸鉛、オクチル酸カリウム、オクチル酸鉛、酢酸カリウム等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0014】
本発明に使用される減粘剤(B)としては、(A)成分と相溶し(A)成分に添加することで減粘作用のあるもので例えば、キシレン、トルエン、酢酸エチル、アセトンなどの公知の低沸点溶剤の減粘はもちろん、より低臭気のパラフィン系溶剤ナフテン系溶剤、オレフィン系溶剤等の高沸点溶剤でも希釈できる。り低臭気である従来から公知の可塑剤や、脂肪酸エステルが使用され、例えば、ジメチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジブチルフタレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート等のフタル酸エステルやトリメリット酸エステル、ジブチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等の二塩基酸エステル、トリメチルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリ−2−エチルヘキシルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、クレジルフェニルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、等のリン酸エステル、ヤシ脂肪酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル、が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0015】
その他必要に応じて助剤および/または添加剤が加えることができる。例えば、耐候安定剤、充填剤、染料、顔料、加水分解防止剤、防かび剤および殺細菌剤、難燃剤等がある。
【0016】
(A)成分におけるポリオールに反応させる有機ポリイソシアネートはポリオールを含む活性水素化合物の総量に対してポリイソシアネートを当量比で1.5以上で使用する。
【0017】
本発明では、(A)と(B)、または(C)と(D)は予め混合して於いて散布直前に両者を混合して使用するが、(A)、(B)、(C)、必要により(D)を散布直前に混合して使用しても良い。またポリオール(D)は、触媒(C)を希釈し(A)(B)成分との混合比率調整及び混合性を向上させるものである為、混合性等に問題がなければ使用しなくても良い。本発明の固結剤混合物の粘度は、0℃で500cps以下であることが必要である。これより粘度が大きいと、如雨露で固結剤の散布が出来ない。
【0018】
本発明の道床砕石用固結剤をバラストに散布する方法は、(A)、(B)、(C)、必要により(D)成分からなる固結剤を均一に混合したのち、バラストに塗布できる方法としては、如雨露散布することでる。その散布量は、好ましくは道床1平方メートル当たり0.1〜5Kgである。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例、比較例等を挙げ、詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。この実施例および比較例の中で記載される「部」、「%」は「重量部」、「重量%」を意味するものとする。
【0020】
実施例1〜13 比較例1〜10
以下に実施例および比較例において使用した各原料を示す。
【0021】
プレポリマーA
1リットルフラスコに平均分子量2000の平均分子量2000のポリオキシプロピレンジオール〔大日本インキ化学工業(株)製商品名ハイプロックスDP−2000〕300gと平均分子量4000のポリオキシプロピレントリオール〔大日本インキ化学工業(株)製商品名ハイプロックスTG−3009〕100gにMDI(日本ポリウレタン(株)製ミリオネートMR−200)300gを加え反応させたNCO%=10.9%のウレタンプレポリマー
【0022】
プレポリマーB
1リットルフラスコに平均分子量2000のポリオキシプロピレンジオール〔大日本インキ化学工業(株)製商品名ハイプロックスDP−2000〕200gと平均分子量4000のポリオキシプロピレントリオール〔大日本インキ化学工業(株)製商品名ハイプロックスTG−3009〕50gにMDI(日本ポリウレタン(株)製ミリオネートMR−200)450gを加え反応させたNCO%=18.3%のウレタンプレポリマー
【0023】
プレポリマーC
プレポリマーBに使用した平均分子量2000のポリオールを平均分子量1000にした以外はプレポリマーCと同様の方法で合成した、NCO%=17.1%のウレタンプレポリマー
【0024】
プレポリマーD
プレポリマーAに使用した平均分子量2000のポリオールを平均分子量3000にした以外はプレポリマーAと同様の方法で合成した、NCO%=11.5%のウレタンプレポリマー
【0025】
プレポリマーE
プレポリマーAに使用したMDIを300gの内60gをTDI(日本ポリウレタン(株)製コロネートT−80)にした以外はプレポリマーBと同様の方法で合成した、NCO%=12.4%のウレタンプレポリマー
【0026】
エマルジョンA
エバデイックEV−15(大日本インキ化学工業株式会社製、エチレン/酢酸ビニル共重合タイプ、樹脂分55%)
【0027】
エマルジョンB
ボンコート5495(大日本インキ化学工業株式会社製、アクリル/スチレン共重合タイプ、樹脂分55%)
【0028】
Figure 0003946672
【0029】
上記プレポリマーに減粘剤と触媒を加え粘度と硬化性、臭気を測定した。
硬化性はJISK−5400に準拠した指触乾燥時間を測定し2時間以内に硬化した物を○、3時間以内を△、4時間以上を×と判定した。
【0030】
臭気はポータブル型ニオイセンサXP−329型(新コスモ電気(株)製)で臭気を測定。測定値が1000未満を低,1000以上を高と判定した。
流動性は、如雨露での散布可能(粘度500cps以下)であるかを確認した。
【0031】
圧縮強度は5〜10mmの砕石にウレタン樹脂を8%添加し7日間常温で硬化させた後、常態圧縮強度を測定。
【0032】
耐水圧縮強度は、上記内容で硬化させた試験体を1週間水没し取り出し後直ちにた圧縮強度を測定した。耐水試験後の強度保持率が50%以上のものを良、50以下を不良と判定。
【0033】
【表1】
Figure 0003946672
【0034】
【表2】
Figure 0003946672
【0035】
【表3】
Figure 0003946672
【0036】
【発明の効果】
本発明は、低臭気で低温(0℃)においても低粘度でバラストに如雨露で散布することができ、且つ散布後2時間以内に硬化させることができ、1年を通じて温湿度や雨水に影響されにくい安定した硬化性と固着力を有す塗膜を形成できる優れた道床砕石固結剤による道床安定化方法を提供できる。

Claims (1)

  1. ポリオキシプロピレンジオールとポリオキシプロピレントリオールとからなるポリオールとポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートを含む有機ポリイソシアネート化合物とを反応させて得られ、NCO%=10.9〜18.3%である末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)及び低沸点溶剤、パラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、オレフィン系溶剤等の高沸点溶剤、二塩基酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステルから選択される減粘剤(B)から成る主成分と、イソシアネート三量化触媒(C)からなる硬化剤成分とからなり、該混合物が0℃で150〜500cpsの粘度である道床砕石用固結剤を道床の砕石上に如雨露で散布することを特徴とする道床安定化方法。
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