JP3946591B2 - ホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性、耐摩耗性に優れたホウ化物分散耐食性・耐摩耗性Ni基合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、耐食性、耐摩耗性に優れた表面硬化用材料としては、Ni基、Co基など各種の合金がある。一方、近年、耐食性、耐摩耗性向上を目的とした表面硬化は各種産業分野において、広く用いられている。しかしながら、その使用環境は厳しさを増してきており、それにともない表面硬化用材料も、より高性能なものが要求されている。このような要求に対し、例えばBを含む合金粉末を塩酸耐食性として溶射、肉盛りし、使用する方法が特開平8−157991号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Bを含む合金粉末を表面硬化、耐食性向上を目的として溶射、肉盛りに使用する方法においては、溶射法ではポアの残留、不純物の混入が避けられず、耐食性、耐摩耗性を劣化させてしまう。また、肉盛り法の場合肉盛り層は凝固組織となりホウ化物の粗大化、凝集が避けられず、耐摩耗性や抗折力を劣化させてしまう問題がある。
一般にホウ化物は金属との濡れ性が悪く焼結性が問題となるため、これらを混合し焼結させるサーメットは抗折力などが劣り実用が困難であった。これに対し、反応焼結法によって良好な特性を得ている例(例えば東洋鋼板文献)が知られているが、しかしながら、この方法でも焼結性の観点から合金系の選択が制限されると言う問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、合金粉末を使用することにより焼結性を考慮する必要がなく合金系選択の自由度を高くし、かつ、液相からの凝固組織でなく、固相または固液共存領域からホウ化物を析出させることによりホウ化物を微細化でき、しかもホウ化物を10μm以下に均一分散させることにより良好な硬さおよび抗折力を得る耐食性、耐摩耗性に優れたホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金を提供するものである。
【0005】
その発明の要旨とするところは、
(1)質量%で、Mo:40%超〜45%、Cr:7〜13%、B:0.5〜4.0%、残部Niおよび不可避的不純物からなるNi基合金であって、該Ni基合金粉末を固化成形し、ホウ化物面積率が20〜80%、かつホウ化物の平均径が10μm以下であることを特徴とするホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金。
(2)質量%で、Mo:40%超〜45%、Cr:7〜13%、B:0.5〜4.0%、残部Niおよび不可避的不純物からなるNi基合金であって、該Ni基合金粉末を固化成形し、ホウ化物面積率が20〜80%、かつホウ化物の平均径が10μm以下で、20μm×20μmの視野におけるホウ化物面積率の部位による差が30%以下であることを特徴とするホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金。
(3)請求項1または2に記載する合金粉末を固相または固液共存領域にて固化成形したことを特徴とするホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金。
(4)ポア面積率が5%以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)に記載のホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金にある。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においては、Bを含む合金粉末を用い、固相または固液共存領域にて固化成形し、ホウ化物を析出させ、このホウ化物の平均径が10μm以下で個々のホウ化物が分散したポアの面積率が5%以下の合金とするものである。すなわち、ホウ化物面積率が20〜80%、かつホウ化物の平均径が10μm以下であるホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金である。ホウ化物面積率が20%未満では良好な硬さが得られず、80%を超えると抗折力が低下する。従って、その範囲を20〜80%とする。また、ホウ化物の平均径が10μmを超えると抗折力が低下する。従って、ホウ化物の平均径を10μm以下とする。
【0007】
また、ホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金であるが、このNi基合金はMo:40超〜45質量%、Cr:7〜13質量%、B:0.5〜4.0%、残部Niおよび不可避的不純物なるNi基合金を用いる。この場合に、Bは複合ホウ化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。また、Crはマトリックスの耐食性、硬さを向上させると共に、複合ホウ化物を形成し、耐摩耗性を向上させるものである。
【0008】
本発明において、20μm×20μmの視野におけるホウ化物面積率の部位による差が30%以下としたのは、30%を超えると抗折力が低下するからである。また、20μm×20μmの視野におけるホウ化物面積率としたのは、例えば100μm×100μmでは部分的に面積率の低い所があっても平均化されてしまい正しい評価がされないことから、20μm×20μmの視野におけるホウ化物面積率の部位に定めた。すなわち、20μm×20μm未満では部位による差が大きくなり過ぎてしまい、20μm×20μmを超えると部位による差が平均化されてしまうことからその面積に定めたものである。
【0009】
また、Bを含む合金粉末を固化成形することにより、ホウ化物と金属相の界面の焼結性を考慮する必要がなく、成分的な自由度が高くなり、固相または固液共存領域にて固化成形することにより、ホウ化物の粗大化、凝集を抑えることができる。さらに、ポア面積率が5%を超えると、抗折力が劣化することから5%以下とする。
【0010】
【実施例】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1に示す合金組成を有するNi基合金を真空誘導溶解炉にて溶解し、出湯温度1500℃、噴霧圧4MPaにてガスアトマイズ法で作製した粉末を−500μmに分級した粉末を、φ150mm×400mmLのステンレス容器の中心にφ50mmのSCM440、その周りに上記ガスアトマイズ法で作製したホウ化物析出合金粉末を充填し、脱気し封入しビレットをφ150mmからφ70mmに1100℃で熱間押出し固化成形した。また比較材としてSCM440の基板にガスフレーム溶射し、ガスバーナーで再溶融処理したもの、およびSCM440の基板にPTA肉盛りしたものを使用した。
【0011】
【表1】
【0012】
表2に示す、ホウ化物面積率は、湿式研磨した後光学顕微鏡写真で撮影し、視野100μm×100μmでの画像解析で評価した。また、ホウ化物径は、同じく湿式研磨した後光学顕微鏡写真で撮影し、視野100μm×100μmでの画像解析で評価した。また、ホウ化物面積率のバラツキは、湿式研磨した後光学顕微鏡写真で撮影した10個所を画像解析で視野20μm×20μmの10個所のホウ化物面積率のバラツキを「最大の面積率(%)−最小の面積率(%)」で評価した。また、ポア面積率は、湿式研磨した後光学顕微鏡写真で撮影し、視野100μm×100μmでの画像解析で評価した。硬さは、400HV以上を○、400HV未満を×とし、抗折力は、2GPa以上を○、2GPa未満を×とた。さらに、耐食性は、40℃、10%弗化水素酸水溶液、10時間浸漬後の腐食減量を1時間当たりに換算し、300mg/m2 /h未満を○、300mg/m2 /h以上を×で評価した。
【0013】
【表2】
【0014】
表2に示すように、No.1〜4は本発明例であり、No.5〜8は比較例である。比較例No.5はホウ化物面積率が低く、かつホウ化物面積率の場所による差が大きいために硬さが劣る。また、比較例No.6はホウ化物面積率が高いために抗折力が劣る。また、比較例No.7はホウ化物面積率の場所による差が大きく、かつポア面積率が大きいことから、硬さ、抗折力および耐腐食性が劣る。比較例No.8はホウ化物面積率の場所による差が大きいために抗折力が劣る。これに対し、本発明はいずれも硬さ、抗折力および耐腐食性に優れていることが分かる。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により硬質相、金属相の選択の自由度が高く、硬さに優れたホウ化物析出合金が得られる優れた効果を奏するものである。
Claims (4)
- 質量%で、
Mo:40%超〜45%、
Cr:7〜13%、
B:0.5〜4.0%、
残部Niおよび不可避的不純物からなるNi基合金であって、該Ni基合金粉末を固化成形し、ホウ化物面積率が20〜80%、かつホウ化物の平均径が10μm以下であることを特徴とするホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金。 - 質量%で、
Mo:40%超〜45%、
Cr:7〜13%、
B:0.5〜4.0%、
残部Niおよび不可避的不純物からなるNi基合金であって、該Ni基合金粉末を固化成形し、ホウ化物面積率が20〜80%、かつホウ化物の平均径が10μm以下で、20μm×20μmの視野におけるホウ化物面積率の部位による差が30%以下であることを特徴とするホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金。 - 請求項1または2に記載する合金粉末を固相または固液共存領域にて固化成形したことを特徴とするホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金。
- ポア面積率が5%以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載のホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金。
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JP2002207661A JP3946591B2 (ja) | 2002-07-17 | 2002-07-17 | ホウ化物分散耐食耐摩耗性Ni基合金 |
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- 2002-07-17 JP JP2002207661A patent/JP3946591B2/ja not_active Expired - Lifetime
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