JP3946410B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プリンタ装置や複写機,ファクシミリ装置等で入力されたデジタル画像信号に対してエッジ強調を行い、違和感のない高画質の画像を形成する画像処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ装置やデジタル複写機等のスキャナで原稿を読み取り、読み取った原稿の画像を処理して出力する画像処理装置で取り扱われる原稿は、文字原稿と銀塩写真(連続階調)原稿及び網点印刷原稿の3種類に大別され、これらが同一原稿内に混在する原稿もごく一般的に取り扱われる。また、デジタル複写機においては、スキャナによる変調伝達関数(MTF)の劣化に対応するために、エッジ強調処理が行われたり、網点のモアレを除去する目的により平滑化処理などの所謂フィルタ処理が行われるのが通例である。この場合、上記のように各種の原稿に対しては、それぞれに要求される画質評価が異なるため、一意に同様なフィルタ処理を行った場合、全ての原稿を満足させるような処理を行うことは非常に困難であった。例えば、文字の画質を重視してエッジ強調を強くすれば網点部でモアレが生じたり、網点部でモアレを抑制するように平滑化処理を強くすれば、文字のボケや銀塩写真のシャープネス不足を招いたりする。
【0003】
これに対して例えば特公平6−5885(特開昭61−157162)号公報に示された画像処理装置は、文字と絵柄の混在する原稿の局所的な情報によってエッジ量算出を行ない、網点にレスポンスさせずに、文字エッジにレスポンスするようなエッジ検出フィルタを用い、そのエッジ検出出力により平滑化フィルタとエッジ強調フィルタの出力を混合して、網点部には平滑化フィルタが施され、モアレを抑制するようにしている。
【0004】
また、特開平7−95409号公報に示された画像処理装置は、入力画像データから文字と非文字を分離し、エッジ強調回路で白地上の文字を強調し、平滑化回路で入力画像データに平滑化を施し、網点を除去してモアレの発生を防止し、適応エッジ強調回路で網点の文字や色地上の文字を細かく鮮明に処理して絵柄中のエッジを強調し、網点上の文字や色地上の文字,網点原稿,写真原稿をそれぞれ高画質に再生するようにしている。
【0005】
特開平8−181865号公報に示された画像処理装置は文字部と網点部を識別する手段をそれぞれ設け、平滑化フィルタの有無とエッジ強調の度合いを切り替えるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特公平6−5885号公報に示すように、エッジ検出のフィルタサイズを網点画像の高調波周波数よりも低周波にすることによって、網点画像に対して高いエッジ量を算出しないようにしている場合、低線数の網点まで同様な処理を行おうとすると、非常に大きなサイズのエッジ検出用フィルタが必要になるため、コストアップにつながるハード量の増大を招くとともに、それによってサイズの小さな文字にレスポンスできなくなる。すなわち小サイズの文字のエッジ量が低くなり、エッジ強調されなくなるという問題があった。
【0007】
また、特開平7−95409号公報に示されたように、白地上の文字領域と非文字領域を分離し、文字領域に対してはエッジ強調を施し、非文字領域に対しては平滑化を行った後にエッジ量に応じて適応的にエッジ強調を施す場合、網点と銀塩写真を絵柄領域と同様に扱っているために、網点画像におけるモアレを除去するようなエッジ強調の設定を行えば、網点上の文字がボケる方向になるとともに銀塩写真のシャープネスが不足し、網点上文字の解像度や銀塩写真のシャープネスを上げようと設定すると、網点上にモアレが発生するという問題があった。
【0008】
さらに、特開平8−181865号公報に示されたように文字部と網点部を識別する場合、一般的に像域分離処理と呼ばれる局所的な画像の特徴から画像を識別する手段においては、誤判定という問題はどうしても避けられない問題であり、像域によって2値的に処理を切り替えるような場合、例えば通常は網点と判定する網点上の文字を文字部と誤判定された場合、そのフィルタ特性の違いから、特に平滑化処理の有無は出力画像に与える影響が極めて大きいため、文字と判定された部分のみが浮き上がるような違和感のある出力画像となり、非常に大きな画質劣化を招いていた。このような2値的な像域分離処理の問題は、文字と判定された領域と絵柄と判定された領域のフィルタ強度の違いを少なくすれば解決できるが、通常の複写機等においては、網点上の文字を含む網点領域に強い平滑化処理を行い、エッジ強調を行う場合でも弱いエッジ強調しか行わないため白地上の文字と比較して網点上の文字がどうしてもボケてしまう傾向にあった。これは、網点領域に強いエッジ強調を行ってしまうとモアレが発生し、モアレと網点上の文字を両立させることは非常に困難であった。
【0009】
この発明はかかる短所を改善し、網点上のモアレの抑制と網点上(色地上)の文字の解像度向上及び銀塩写真画質のシャープネスの向上を両立させ、白地上文字と網点上(色地上)文字の解像度(シャープネス)の差を縮小し、違和感のない高画質な画像を形成する画像処理装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
また、像域分離による誤判定個所においても画質劣化や出力画像上での違和感を比較的安易な方法で緩和することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る画像処理装置は、入力した画像データに対して像域分離処理を行い網点画像とそれ以外の画像を識別する像域分離処理手段と、前記像域分離処理手段で得た識別結果に応じて前記画像データの特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段で算出した特徴量に基づいて前記画像データに適応的に空間フィルタ処理を行う適応フィルタ手段とを備えた画像処理装置において、前記特徴量算出手段は、前記像域分離処理手段で得た識別結果が網点画像である場合に、斜めのエッジ成分を含めずに特徴量を算出し、前記像域分離処理手段で得た識別結果が網点画像以外である場合に、斜めのエッジ成分を含めて特徴量を算出することを特徴とする。
【0012】
この発明に係る他の画像処理装置は、入力した画像データに対して像域分離処理を行い網点画像とそれ以外の画像を識別する像域分離処理手段と、前記像域分離処理手段で得た識別結果に応じて前記画像データの特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段で算出した特徴量に基づいて前記画像データに適応的に空間フィルタ処理を行う適応フィルタ手段を備えた画像処理装置において、前記特徴量算出手段は、前記像域分離処理手段で得た識別結果が網点画像である場合に、斜めのエッジ成分を他のエッジ成分よりも低い値に抑えて特徴量を算出することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
この発明の画像形成装置はスキャナ部と画像処理部とプリンタ部を有する。スキャナ部は文字や網点画像,写真画像等の混在した原稿を光学的に読み取りデジタル画像信号へ変換をして出力する。画像処理部は像域分離処理部とエッジ量算出部及びエッジ強調処理部を有する。像域分離処理部は入力した画像を文字画像と網点画像とそれ以外の連続階調画像の3種類に識別する。エッジ量算出部は像域分離処理部の識別結果により入力した画像のエッジの度合いをエッジ量として算出する。エッジ強調処理部はエッジ量算出部から出力されるエッジ量信号に応じてスキャナ部から入力された画像データを適応的にエッジ強調してプリンタ部へ出力する。プリンタ部は入力された画像データを記録媒体上へ印写する。
【0018】
このように入力された画像データに対して、像域分離処理の結果によってエッジ量を変換し、エッジ強調の強さを変換することによって混在原稿による網点上文字の解像度向上とモアレ抑制の両立,文字画像の解像度向上,銀塩写真等のシャープネスの向上を図る。
【0019】
【実施例】
〔実施例1〕 図1はこの発明の一実施例の構成を示すブロック図である。図に示すように、画像形成装置はスキャナ部1と画像処理部2とプリンタ部3を有する。スキャナ部1は文字や網点画像,写真画像等の混在した原稿を光学的に読み取り8bit(0〜255)のデジタル画像信号へ光電変換をして出力する。画像処理部2は像域分離処理部4とエッジ量算出部5及びエッジ強調処理部6を有する。像域分離処理部4は入力した画像を文字画像と網点画像(網点上の文字に関しては網点と識別される)とそれ以外の連続階調画像の3種類に識別する。エッジ量算出部5は入力画像のエッジの度合いをエッジ量として算出する。このエッジ量は像域分離処理部4の識別結果によって変換される。エッジ強調処理部6はエッジ量算出部5から出力されるエッジ量信号に応じてスキャナ部1から入力された画像データを適応的にエッジ強調してプリンタ部3へ出力する。プリンタ部3は入力された画像データを記録媒体上へ印写する。
【0020】
この画像処理部2において、像域分離処理部4では公知の像域分離処理を行う。この像域分離処理に関しては各種の方法が開示されており、例えば電子情報通信学会論文誌「92/1 Vol75-D-I No.1 pp.39-47」に示された「文字/絵柄(網点,写真)混在画像の像域分離方式」等がある。この像域分離処理方法は白地上の文字領域と網点画像領域を識別する機能を有するものであればいずれの方法でも良い。像域分離処理部4で像域分離処理した結果はエッジ量算出部5に入力する。
【0021】
エッジ量算出部5は、図2のブロック図に示すように、エッジ量算出フィルタ51と絶対値処理部52と最大値選択部53と連続階調用演算部54と文字用演算処理部55と網点用演算処理部56及びセレクタ57を有する。エッジ量算出フィルタ51は、図3に示すように2種類のフィルタf1,f2を有する。フィルタf1,f2は一次微分フィルタであり、フィルタf1は縦方向のエッジに対して最も高い出力値を示し、フィルタf2は横方向のエッジに対して最も高い出力値を示す。
【0022】
スキャナ部1からの入力画像データはエッジ量算出フィルタ51のフィルタf1,f2へ入力して通常のフィルタ演算が行われ、2つの符号付11bitの信号(1023〜−1024)として絶対値処理部52に出力される。絶対値処理部52は入力した信号の絶対値化処理を行ない、2つの符号無し10bit信号(0〜2047)として最大値選択部53に出力する。最大値選択部53は2つの信号のうち最大値を選択して10bit信号として連続階調用演算処理部54と文字用演算処理部55及び網点用演算処理部56に出力する。連続階調用演算処理部54と文字用演算処理部55及び網点用演算処理部56は入力した信号を処理して8bit信号として出力するものであり、連続階調用演算処理部54は入力データが256以上の場合、出力データを255に変換して出力する。文字用演算処理部55は入力データを2倍した後、256以上のデータを255に変換して出力する。網点用演算処理部56は入力データを1/2倍した後、256以上のデータを255に変換して出力する。この連続階調用演算処理部54と文字用演算処理部55及び網点用演算処理部56の入力データに対する出力データを図4に示す。この出力データは概ねエッジ強調の強さを表すことになる。すなわち同一の入力値であっても文字画像には強いエッジ強調を行い、網点画像には弱いエッジ強調を行う。この連続階調用演算処理部54と文字用演算処理部55及び網点用演算処理部56の出力データはセレクタ57に入力され、像域分離処理部4から出力された像域識別信号によって選択される。像域分離処理部4から出力する像域識別信号が文字を表す場合には文字用演算処理部55の出力を選択し、網点を表す場合には網点用演算処理部56の出力を選択し、銀塩写真等その他の場合には連続階調用演算処理部54の出力を選択して8bitのエッジ量信号としてエッジ強調処理部6へ出力する。
【0023】
エッジ強調処理部6は、図5のブロック図に示すように、ラプラシアンフィルタ61と乗算器62及び加算器63を有する。スキャナ部1からの入力画像データはラプラシアンフィルタ61によりエッジ成分のみ抽出され符号付のLAP信号9bit(255〜−256)となる。図6はラプラシアンフィルタ61の一例を示す。このラプラシアンフィルタ61は図6に示したもの以外にも様々な形態が考えられ、これに限定されるものではなく、スキャナ部1やプリンタ部3の特性等をも考慮して決定する必要があるため、各々のシステムに対して最適なフィルタ形状を実験的に選択すると良い。このラプラシアンフィルタ61が出力するLAP信号はエッジ量算出部5から出力されたエッジ量信号と乗算器62で乗算された後9bitへ正規化(エッジ量信号を1以下の値とすることと等価)され、再び符号付9bit信号として、入力画像データ8bitと加算器63で加算され、8bit信号として出力画像データとしてプリンタ部3に出力される。なお、この際に255以上の数値は255に、0以下の数値は0に置き換えられる。
【0024】
このように入力された画像データに対して、像域分離処理の結果によってエッジ量を変換し、エッジ強調の強さを変換することによって混在原稿による網点上文字の解像度向上とモアレ抑制の両立,文字画像の解像度向上,銀塩写真等のシャープネスの向上を図ることができ高画質の画像を得ることができる。
【0025】
また、エッジ量算出部5でエッジ量を算出する場合、通常の画像におけるエッジ量はほぼ255未満の値となるため、エッジ量算出フィルタ51の算出結果が便宜上1000以上の値を取り得る可能性があってもエッジ量に関してダイナミックレンジが不足するという問題は起こらないですむ。
【0026】
また、文字画像(線画含む)に関しては非常に大きなエッジ量となる場合がほとんどであり、文字に対しては最大のエッジ強調(エッジ量=255)が行われることになる。これは網点上でも同様であり、この実施例では算出された網点上文字画像のエッジ量が512以上であれば白地上の文字同様最大のエッジ強調を行うことが可能となっている。逆に、網点上の文字に対しては最大のエッジ強調が行えるように演算式を設定すれば良いのである。一方、文字以外の網点画像は通常の1/2のエッジ強調となるため、特にモアレが懸念される平坦部(網点率が同一な個所)ではほとんどエッジ強調が行われなくなりモアレの抑制を行なうことができる。
【0027】
さらに、従来網点画像に対してはモアレを抑制する意味で平滑化のみでエッジ強調を行わなかったり、一般の文字画像よりも平滑化を強めていたりしたため、フィルタ強度の違いが混在画像に対して違和感を与えたり、像域分離処理によるエラー部での劣悪な画質劣化を招いたり、あるいは白地上の文字と同様なエッジ強調を行ってモアレが発生したりして、モアレと網点上文字の解像度(シャープネス)の両立は非常に困難であったが、この実施例によればこれらの両立が可能となる。
【0028】
また、白地上の文字画像に関しては、エッジ量が低く算出されるような小さな文字に対しても通常よりも強いエッジ強調を行う事ができ文字画像の解像度を向上させることができる。
【0029】
また、銀塩写真等の連続階調画像に対しては、特別エッジ量の変換は行っていないが、連続階調画像は一般的に網点画像よりもエッジ量が低く算出される可能性が高くエッジ強調がほとんど行われない場合もしばしば起こるため、ときには連続階調画像に対してエッジ量を文字画像よりも高く設定した方が良い場合もある。この強いエッジ強調を行うことによって銀塩写真のシャープネスを向上することができる。これら各々のシステムによって種々調整されるべき項目に対してもこの実施例による構成によって各演算処理部の計算を変換するのみで安易に実現することができる。
【0030】
なお、エッジ量の算出方法や算出のフィルタ形状,エッジ量の変換方法及びその値に関しては様々な形態が考えられ、この実施例においてはこれらの方法において制約をうけるものではない。また、この実施例においては便宜上平滑化処理を含んでいないが、複写機等では平滑化処理が行われる方が一般的であり、この実施例は平滑化処理の方法などでは制約を受けない。
【0031】
〔実施例2〕 上記実施例はエッジ量算出部5に連続階調用演算処理部54と文字用演算処理部55及び網点用演算処理部56を設けた場合について説明したが、図7に示すように、連続階調用演算処理部54と文字用演算処理部55及び網点用演算処理部56の代わりに連続階調用ルックアップテーブル(LUT)541と文字用LUT551及び網点用LUT561を使用しても良い。連続階調用LUT541と文字用LUT551及び網点用LUT561は最大値選択部53からの出力信号である10bit信号を入力して8bitの信号へ変換する。この連続階調用LUT541と文字用LUT551及び網点用LUT561の入力信号に対する出力信号を図8に示す。このように連続階調用LUT541と文字用LUT551及び網点用LUT561を使用して非線形に変換することにより、入力データに対する出力データの設定の自由度が高くすることができ、より緻密な設定を行なうことができる。なお、実施例1の場合においても、セレクタ57の後段にLUTを設けて、エッジ量を比較的簡単な方法で非線形に変換させることもできる。その場合、実施例2の場合よりも設定の自由度が少なくなるが、LUTの入力が10bitから8bitとなるため、LUTの容量とLUTの数を減らして、より低コスト化をはかることができる。
【0032】
〔実施例3〕 また、図9のブロック図に示すように、エッジ量算出部5のエッジ量算出フィルタ51を文字用と連続階調処理用の文字用エッジ量算出フィルタ511と網点用のエッジ量算出フィルタ512に分けても良い。実施例1,2に示したエッジ量算出フィルタ51は、図3に示すように、2種類の一次微分フィルタf1,f2を有し、フィルタf1は縦方向のエッジに対して最も高い出力値を示し、フィルタf2は横方向のエッジに対して最も高い出力値を示すが、エッジ量の算出がこの2つフィルタf1,f2のみであると、斜め線のエッジ量を算出する場合に縦線や横線のエッジ量と比較して低い値となってしまう。そのため、この実施例における文字用エッジ量算出フィルタ511はフィルタf1,f2に、図10に示すように、斜め方向のエッジに対して高い出力値を示すフィルタf3,f4を加えてフィルタ演算を行う。なお、この実施例では便宜上文字用エッジ量算出フィルタ511に連続階調用エッジ量の算出を兼ねているが、文字用と連続階調用別々に設けても良い。一方、網点用のエッジ量算出フィルタ512はフィルタf1,f2のみを有する。そして後段の処理を文字,連続階調用処理と網点用処理の2系等に分け、実施例2の場合と同様に、絶対値処理部521,522と最大値選択部531,532で絶対値処理と最大値選択処理を行ない、連続階調用LUT541と文字用LUT551及び網点用LUT561でエッジ量の変換を行なう。
【0033】
このようにエッジ量算出フィルタ51を文字用と連続階調処理用の文字用エッジ量算出フィルタ511と網点用のエッジ量算出フィルタ512に分け、文字用エッジ量算出フィルタ511に斜め方向のエッジに対して高い出力値を示すフィルタf3,f4を加えることにより、斜め線の文字画質および銀塩写真等の連続階調画質を向上することができる。
【0034】
また、網点用のエッジ量算出フィルタ512ではフィルタf1,f2によるフィルタ処理だけを行なうことにより、網点画像等において斜め方向のエッジを検出した場合、網点とフィルタの干渉によりエッジ量自体がモアレを発生しやすくなり、最終的に出力画像上にてモアレを発生させる要因となることを抑制することができる。
【0035】
なお、フィルタ形状に関しては、特にこの実施例に示した形状だけでなく、例えばラプラシアン(2次微分)フィルタ等各種のが考えられる。この実施例の場合、網点用のエッジ量算出において斜め成分のエッジを算出しないか、または図11に示すフィルタf3,f4のようにサイズを小さくする等して斜め成分のエッジを縦成分と横成分と比較して低い値に抑えれば良いため、フィルタ形状等に制約を受けるものではない。
【0036】
また、この実施例においてはフィルタf1,f2を各々2個設けた場合について説明したが、フィルタf1,f2は共通に使用することによりハード量を少なくすることができる。
【0037】
〔実施例4〕 また、実施例1〜実施例3は適応エッジ強調処理に適用した場合について説明したが、適応平滑化処理に適用した実施例を説明する。図12のブロック図に示すように、画像処理部2には像域分離処理部4とエッジ量算出部50とエッジ強調処理部6及び平滑化処理部7を有する。そしてスキャナ部1から入力した入力画像データに対して平滑化処理部7で適応平滑化処理を行なったのちエッジ強調処理部6で前記各実施例1〜3と同様な適応エッジ強調処理を行う。この適応平滑化処理部7で使用される特徴量であるエッジ量信号Bは3bit(0〜7)信号とする。
【0038】
平滑化処理部7は、図13のブロック図に示すように、平滑化フィルタ71と乗算器72と加算器73と除数設定部74及び除算器75を有する。平滑化フィルタ71は、例えば図14に示す構成を有し、8bitの入力画像データのフィルタ演算を行ない、12bit(0〜4095)の信号として出力する。これと並行して入力画像データは乗算器72でエッジ量算出部5で処理された3bitのエッジ量信号Bが乗算され、11bitの信号(0〜2023)として出力される。加算器73は平滑化フィルタ71から出力する12bitの信号と乗算器72から出力する11bitの信号を加算して、13bit信号(0〜8191)として出力する。
【0039】
一般的に画像処理で用いられる平滑化フィルタ演算は、フィルタの合計値を「1」として正規化を行う。通常、図14に示すフィルタは、フィルタ演算(一般的にはコンボリューション演算)を行った後にフィルタの合計値によってフィルタ演算後の合計値を除算する。この場合、除数は「13」となる。これは、フィルタの各要素が1/13となっているのと等価であり、フィルタ演算時に各要素値「/13」を入力データに乗算しても良い。この実施例においては、特徴量であるエッジ量信号Bにおいて平滑化の強度を変えるため、エッジ量信号Bの値によって平滑化フィルタ71を変化させる機構を備えており、注目画素に対応するフィルタの中央の要素値を「1〜8」の間で可変としている。このような平滑化フィルタ71の場合、中央の要素値が大きいほど弱い平滑化処理となる。
【0040】
このようにフィルタの合計値が変化するために、除算する数もそれに合わせて設定する必要がある。この設定はエッジ量信号Bの値により除数設定部74にて行なう。除数設定部74はエッジ量信号Bが「0」の場合の値、この実施例の場合は「13」とエッジ量信号Bを加算した5bitの値となる。この5bitの値により加算器73から出力された13bitの値を除算器75で除算し、8bitの出力データとする。
【0041】
平滑化処理部7で使用する特徴量であるエッジ量信号Bを出力するエッジ量算出部50は、図15のブロック図に示すように、エッジ量算出フィルタ51と絶対値処理部52と最大値選択部53とエッジ強調部58とエッジ量信号B用の平滑化部59及びセレクタ57を有する。エッジ強調部58は連続階調用演算部54と文字用演算処理部55と網点用演算処理部56とを有し、平滑化部59は連続階調用LUT541と文字用LUT551と網点用LUT561を有する。連続階調用LUT541と文字用LUT551と網点用LUT561は、図8に示すように、入力信号を非線形に変換して出力信号とする。この平滑化部59から出力するエッジ量信号Bは、値が大きいほど弱い平滑化処理となるため、中間部の同一入力データ(エッジ量)に対しては文字画像用の出力が最も弱い平滑化処理を行い、ついで銀塩写真等の連続階調画像と網点画像が最も強い平滑化処理が施される。但し、適応エッジ強調処理の場合と同様に網点画像においても網点上の文字等のエッジ量の非常に高い画像に関しては、白地上の文字と同様に弱い平滑化処理が施されるように構成されている。これら3つの出力信号は、エッジ強調処理の場合と同様、像域分離処理部4から出力される像域識別信号によってセレクタ57により選択されエッジ量信号Bとして出力される。
【0042】
以上説明したように、この実施例によれば、入力された画像データに対して、像域分離処理の結果によってエッジ量を変換し、平滑化処理の強さを変換することにより、混在原稿による網点上の文字の解像度向上とモアレ抑制の両立と、文字画像の解像度向上及び銀塩写真等のシャープネスの向上を図ることができ、高画質画像を安定して形成することができる。
【0043】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、入力した画像を網点画像と識別したとき、斜めのエッジ成分を含めずに特徴量を算出し、入力した画像を網点画像以外と識別したとき、斜めのエッジ成分も含めて特徴量を算出したり、入力した画像を網点画像と識別したとき、斜めのエッジ成分を他のエッジ成分よりも低く算出することにより、網点画像のモアレ成分の発生を抑制するとともに白地上文字や銀塩写真画像等には斜め線にも対応した高画質な画像を出力することができ、入力した画像と違和感のない高画質な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】エッジ量算出部の構成を示すブロック図である。
【図3】エッジ量算出フィルタの構成図である。
【図4】エッジ量算出部の出力データの特性図である。
【図5】エッジ強調処理部の構成を示すブロック図である。
【図6】ラプラシアンフィルタの構成図である。
【図7】第2の実施例のエッジ量算出部の構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施例のエッジ量算出部の出力データの特性図である。
【図9】第3の実施例のエッジ量算出部の構成を示すブロック図である。
【図10】第3の実施例の文字用エッジ量算出フィルタの構成図である。
【図11】第3の実施例の文字用エッジ量算出フィルタの他の構成図である。
【図12】第4の実施例の構成を示すブロック図である。
【図13】平滑化処理部の構成を示すブロック図である。
【図14】平滑化フィルタの構成図である。
【図15】第4の実施例のエッジ量算出部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1;スキャナ部、2;画像処理部、3;プリンタ部、4;像域分離処理部、
5;エッジ量算出部、6;エッジ強調処理部。
Claims (2)
- 入力した画像データに対して像域分離処理を行い網点画像とそれ以外の画像を識別する像域分離処理手段と、前記像域分離処理手段で得た識別結果に応じて前記画像データの特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段で算出した特徴量に基づいて前記画像データに適応的に空間フィルタ処理を行う適応フィルタ手段とを備えた画像処理装置において、
前記特徴量算出手段は、前記像域分離処理手段で得た識別結果が網点画像である場合に、斜めのエッジ成分を含めずに特徴量を算出し、前記像域分離処理手段で得た識別結果が網点画像以外である場合に、斜めのエッジ成分を含めて特徴量を算出することを特徴とする画像処理装置。 - 入力した画像データに対して像域分離処理を行い網点画像とそれ以外の画像を識別する像域分離処理手段と、前記像域分離処理手段で得た識別結果に応じて前記画像データの特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段で算出した特徴量に基づいて前記画像データに適応的に空間フィルタ処理を行う適応フィルタ手段を備えた画像処理装置において、
前記特徴量算出手段は、前記像域分離処理手段で得た識別結果が網点画像である場合に、斜めのエッジ成分を他のエッジ成分よりも低い値に抑えて特徴量を算出することを特徴とする画像処理装置。
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