JP3946300B2 - ビフィズス菌用シャトルベクター及びビフィズス菌プラスミドの複製タンパク質遺伝子 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ビフィズス菌と大腸菌とにおいて複製可能な新規のビフィズス菌用シャトルベクター及びビフィズス菌プラスミドの複製タンパク質遺伝子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インビトロ(in vitro)の遺伝子操作においては、所望の外来遺伝子を宿主細胞内に移入させ、その遺伝子情報を発現させることのできる、宿主細胞に適合したベクターを使用することが必要とされる。
【0003】
遺伝的な知見が集積していた大腸菌や枯草菌、酵母などでは、早くからベクターの開発が進められ、今日では一般的な遺伝子クローニングシステムとして確立されている。これら以外にも放線菌、動植物の培養細胞、乳酸菌等で各種のベクターが実用化されているが、ビフィズス菌のように開発の遅れているものもある。
【0004】
ところで、ベクターとしての必須条件が、次の(1) 及び(2) の存在であることが知られている。
(1) 自己複製に必要な遺伝子配列、
(2) 外来遺伝子を挿入するための制限酵素の認識切断部位、
【0005】
更に実用化のためには、例えば遺伝子操作を可能にし、且つ容易にするために、次の(3) 〜(8) 等の種々の条件を全て満たすような厳しい特性が要請されている。
(3) 形質転換体の検出等に必要なマーカー遺伝子の存在、
(4) 利用可能な制限酵素の種類とその認識切断部位の多様性、
(5) 形質発現の高効率性、
(6) 宿主細胞との適合性と宿主域、
(7) 宿主細胞内での安定性、
(8) 仮想される生物封じ込めに対する適応性、
【0006】
前記のような特性を有する遺伝子操作におけるベクターに関しては、前述のように研究例の多い大腸菌(E.coli)の宿主−ベクター系にて最もよく開発されているが、大腸菌以外の微生物、例えば工業的に有用な微生物である枯草菌、抗生物質の生産菌である放線菌、醸造分野で広く利用されている酵母等に関しても、宿主−ベクター系の開発研究が活発に行われているところである。
【0007】
しかしながら、食品,医薬品,飼料等に利用されているビフィズス菌においての宿主−ベクター系の研究開発は依然として遅れているのが現状である。これは、ビフィズス菌が嫌気性菌であるために取り扱いが煩雑なこと、遺伝子組換え操作に使用することができるビフィズス菌由来のプラスミドや選択マーカーとして利用できる遺伝子の研究が少ないためである。
【0008】
一方、微生物に外来DNAを導入する方法については、エンテロコッカス・フェカリス由来で広宿主域で接合伝達可能な公知のプラスミドpAMβ1がビフィドバクテリウム属に属する1菌株に導入され、導入されたpAMβ1のエリスロマイシン耐性遺伝子が、このビフィドバクテリウム属に属する微生物で発現するとの報告がある(特開平2−107192号公報)。しかし、pAMβ1自身のDNAサイズが26.5kbと大きく、導入頻度が著しく低いため、そのままではプラスミドベクターとしての使用が難しいという欠点があった。
【0009】
また、近年になって、僅かであるがビフィズス菌のプラスミドの検索が進み、特開昭63−123384号公報、特開平5−130876号公報、特開平7−255481号公報等でプラスミドベクターが作成されている。
【0010】
しかしながら、これらはビフィズス菌ベクターとしての構造体を形作ってはいるものの、実際にビフィズス菌に導入が報告されているプラスミドベクターとしては、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)B2577から分離されたpMB1(Jounal of General Microbiology,128,2121-2131,1982 )を材料として作成されたpDG7(Letters in Applied Microbiology,11,220-223,1990 )と、pRM2(Plasmid,32,208-211,1994 )との報告だけである。
【0011】
最初にビフィズス菌の形質転換に成功したのは、pRM2であるが、ビフィドバクテリウム・ロンガムに1μgDNAあたり、3.8×102 という低頻度であった。また、pDG7については、作成された当初は、これを用いてビフィズス菌を形質転換することはできなかった。しかし、その後、形質転換に使用するビフィズス菌を4℃の特定のバッファー中で長時間インキュベーションした後に、エレクトロポレーションを行うことで、pDG7でビフィズス菌が形質転換できることが報告された(EP−94201746,Microbiology,142,109-114,1996 )。pDG7を用いたこの形質転換法は、種々のビフィズス菌を形質転換できるが、エレクトロポレーションに用いるビフィズス菌細胞の調製に時間と手間とが必要である等の欠点もある。
【0012】
一方、この他にもビフィズス菌からの単離されているプラスミドとして、文献(Letters in Applied Microbiology,9,165-168,1989)のものや、更には、FEMS Microbiology Letters 110,11-20,1993) において開示されているビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )由来のプラスミドpNBb1等があるが、これらを材料として未だ好適な宿主−ベクター系を構築した例はない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明はビフィズス菌の広範囲の種において発現可能であり、操作時の取り扱いも容易な新規なビフィズス菌用シャトルベクターを得ることを目的とし、更にベクターをビフィズス菌で複製させるビフィズス菌プラスミドの複製タンパク質遺伝子を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本請求項1に記載された発明に係るビフィズス菌用シャトルベクターでは、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve )ATCC 15698株のプラスミドpNBb1由来の複製必須領域と、
大腸菌(Escherichia coli)のプラスミド由来の複製必須領域と、
大腸菌(Escherichia coli)のプラスミド由来の抗生物質耐性遺伝子と、
ビフィズス菌で機能する抗生物質耐性遺伝子とを備え、
大腸菌( Escherichia coli )由来のプラスミドが、pACYC177又はpUC118である。
【0016】
本請求項2に記載された発明に係るビフィズス菌用シャトルベクターでは、請求項1に記載されたビフィズス菌で機能する抗生物質耐性遺伝子が、サッカロポリスポラ・エリスレア(S.erythraea )JCM 4748(ATCC 11635)株のエリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)又はエンテロコッカス・フェカーリス(E.faecalis)のエリスロマイシン耐性遺伝子(ermAM)である。
【0017】
本請求項3に記載された発明に係るビフィズス菌用シャトルベクターでは、次の化6の制限酵素地図で示された受託番号FERMP−16075として生命工学技術研究所に寄託されているE.coli JM108株に含有されるプラスミドシャトルベクターpBE1、化7の制限酵素地図で示された受託番号FERMP−16076として生命工学技術研究所に寄託されているE.coli JM108株に含有されるプラスミドシャトルベクターpBE1β、化9の制限酵素地図で示された受託番号FERMP−16077として生命工学技術研究所に寄託されているE.coli JM108株に含有されるプラスミドシャトルベクターpBEΔ5、化8の制限酵素地図で示された前記プラスミドシャトルベクターpBEΔ5のプラスミドpNBb1由来の複製必須領域の連結の方向のみが相違するプラスミドシャトルベクターpBEΔ4、又は、化10の制限酵素地図で示された受託番号FERMP−16078として生命工学技術研究所に寄託されているE.coli JM109株に含有されるプラスミドシャトルベクターpBEΔHCの何れかであるものである。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0018】
本請求項4に記載されたビフィズス菌プラスミドの複製タンパク質遺伝子は、次のアミノ酸配列をコードする遺伝子である。
Met-Ser-Val-Pro-Thr-Gln-Gly-Thr-Lys-Trp-Asn-Pro-Met-Gly-Val-Pro-Ser-Pro-Ser-Gln-His-Gln-Thr-Ala-Glu-Arg-Leu-His-Ala-Ala-Val-Ala-Ala-Lys-Pro-Gln-Gly-Val-Ala-Ala-Glu-Ala-Ala-Ser-Gly-Ala-Arg-Ser-Gly-Pro-Pro-Trp-Glu-Lys-Thr-Asn-Lys-Ile-Thr-Pro-Ser-Leu-Ser-Arg-Thr-Asp-Leu-Arg-Arg-Leu-Ala-Tyr-Gly-Arg-Arg-Ala-Glu-Ser-Arg-Lys-Ile-Leu-Val-Arg-His-Ala-Gly-Gly-Glu-Thr-Leu-Gly-Phe-Glu-Pro-Ile-Lys-Leu-Pro-Arg-Cys-Ala-Arg-Cys-Gly-Gln-Pro-Val-Asp-Thr-Gly-Val-Gly-Val-Met-Thr-Asn-Gly-Glu-Lys-Ala-Arg-Phe-Thr-Gly-Thr-Met-Leu-Cys-Gly-Ser-Ile-Trp-Ala-Cys-Pro-Thr-Cys-Ser-Ala-Ile-Ile-Arg-His-Glu-Arg-Ala-His-Glu-Val-Ala-Leu-Ala-Ile-Gly-Asn-His-Ala-Glu-Lys-Leu-Arg-Lys-Ala-Ala-Ala-Asp-Gln-Trp-Gln-Ala-Glu-His-Glu-Gly-Gln-Arg-Leu-Pro-Pro-Glu-Leu-Met-Val-Ser-Asp-Ser-Phe-Gly-Asn-Tyr-Ile-Phe-Gly-Thr-Leu-Thr-Leu-Arg-His-Asp-Arg-Thr-Met-Pro-Leu-Ala-Met-Thr-Leu-Asp-Ala-Ile-Leu-Lys-Gly-Trp-Thr-Lys-Met-Ile-Asn-Gly-Ser-Pro-Trp-Gln-Arg-Ala-Ser-Glu-Arg-Trp-Lys-Ile-Arg-Gly-Phe-Val-Arg-Ala-Ile-Glu-Ile-Thr-Tyr-Gly-Val-Asn-Gly-Trp-His-Pro-His-Ile-His-Phe-Val-Met-Phe-Leu-Asp-Gly-Asp-Leu-Asp-Asp-Gly-Gln-Arg-Glu-Ala-Met-Gln-Gln-Trp-Leu-Leu-Asp-Arg-Trp-Lys-Thr-Met-Val-Lys-Arg-Val-Ala-Lys-Ala-Tyr-Lys-Lys-Lys-Asp-Gly-Asn-Pro-Tyr-Asn-Val-Ala-Pro-Asn-Asp-Glu-His-Gly-Ile-Asp-Leu-Gln-Phe-Lys-Ser-Gly-Lys-Asp-Ala-Gly-Thr-Ala-Ala-Ala-Glu-Tyr-Ile-Thr-Lys-Ile-Gln-Gly-Asp-Lys-Gly-Gly-Val-Thr-Leu-Ala-Gln-Glu-Ile-Ala-Arg-Gly-Asp-Ile-Lys-Asn-Gly-Arg-Met-Gly-Ser-Val-Asn-Pro-Phe-Gln-Leu-Leu-Asp-Ser-Gly-Cys-Leu-Gly-Leu-Ser-Asp-Phe-Gln-Arg-Glu-Asp-Leu-Trp-Leu-Glu-Tyr-Trp-Gln-Ala-Thr-Leu-Arg-Arg-Arg-Cys-Ile-Thr-Trp-Ser-Arg-Gly-Leu-Lys-Glu-Asp-Met-Glu-Val-Glu-Glu-Leu-Glu-Asp-Glu-Glu-Leu-Ala-Glu-Lys-Ala-Asp-Glu-Leu-Pro-Gly-Leu-Val-Gly-Tyr-Val-Val-Pro-Asn-Arg-Val-Tyr-Lys-Asp-Ile-Arg-Lys-Ser-Ala-Pro-Glu-Thr-Leu-Ala-Asp-Ala-Leu-Asp-Ala-Ala-Glu-Arg-Glu-Asp-Trp-Gln-Glu-Val-Ala-Arg-Leu-Leu-Pro-Gly-Gly-Val-Ile-Leu-Thr-Asp-Glu-Gln-Gln-Asp-Ala-Ile-Ala-Asp-Gly-Glu-Ala-Lys-Pro-Gly-Asp-Tyr-Leu-Pro-Thr-Met-Ser-Val-Met-Val
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )ATCC 15698株のプラスミドpNBb1由来の複製必須領域と、大腸菌(E.coli)のプラスミド由来の複製必須領域と、大腸菌(E.coli)のプラスミド由来の抗生物質耐性遺伝子と、ビフィズス菌で機能する抗生物質耐性遺伝子とを備えたものであるため、大腸菌及びビフィズス菌で発現可能なシャトルベクターとして用いることができる。尚、本発明のシャトルベクターは当然ではあるが、外来遺伝子を挿入するための制限酵素の認識切断部位を一つ以上有する。
【0020】
本発明のシャトルベクターを構成する成分の中のベクターをビフィズス菌で複製させるための複製開始点及び複製タンパク質を含む複製必須領域は、公知のものであるビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )ATCC 15698株のプラスミドpNBb1に由来する(FEMS Microbiology Letters,110,11-20(1993) )。
【0021】
更に、本発明では、このプラスミドpNBb1由来の複製必須領域の塩基配列を決定し、複製タンパク質遺伝子を得た。具体的には後述する配列表の配列番号1に示された2997bpの遺伝子配列のうち、539bp から2020bpに示されたアミノ酸配列をコードする遺伝子である。
【0022】
また、本発明のベクターについて、ビフィズス菌に移入し組換え体を選択する際の選択マーカーとしては、ビフィズス菌で機能する抗生物質耐性遺伝子が用いられる。この抗生物質耐性遺伝子としては、ビフィズス菌で機能するものであればよく、グラム陽性菌由来のもの、放線菌又は乳酸菌又は乳酸球菌に由来のものから選ばれる。具体的には、放線菌サッカロポリスポラ・エリスレア(S.erythraea )JCM4748(ATCC 11635) 株由来のエリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)を用いた。このエリスロマイシン耐性遺伝子は塩基配列が公知となっており、遺伝子のGC含量がビフィズス菌のそれに近いことが判明している(Gene,38,103-110(1985) )。
【0023】
従って、本抗生物質耐性遺伝子はビフィズス菌内で発現する可能性が高いと考えられ、実際にビフィズス菌にこのエリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)を用いて作出したプラスミドベクターpBE1をビフィズス菌内に移入した際には、組換え体の選択について、好適な結果が得られた。このプラスミドベクターpBE1は、9.05kbの大きさを有し、前述の化6に示された制限酵素切断部位を有する。
【0024】
しかしながら、ビフィズス菌での組換え体の選択マーカーは放線菌由来のエリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)に限定したものではなく、エンテロコッカス・フェカリス(E.faecalis)由来のpAMβ1のエリスロマイシン耐性遺伝子(ermAM)(J.Bacteriol.157,445-453,1984)をこのエリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)と入替えたベクターpBE1βでも可能であった。このプラスミドベクターpBE1βは、9.35kbの大きさを有し、前述の化7に示された制限酵素切断部位を有する。
【0025】
また、このシャトルベクターを大腸菌(E.coli)に導入し、ベクターDNAを増幅する際に必要となる大腸菌(E.coli)のプラスミド由来の複製必須領域と、大腸菌(E.coli)のプラスミド由来の抗生物質耐性遺伝子とは、公知の大腸菌プラスミドから選択することができる。具体的には、大腸菌の複製必須領域及び選択マーカーとしてのアンピシリン耐性遺伝子(Apr )は、公知の大腸菌プラスミドpACYC 177由来のものが利用できる。更に、大腸菌を宿主とした時に高いプラスミドDNAの収率が望めるpUC 118由来の複製必須領域を使用したシャトルベクターも作出できる。尚、pUC 118を用いたものとしては、具体的にはpBEΔHCが作出された。このpBEΔHCは、7.15kbの大きさを有し、前述の化10に示された制限酵素切断部位を有する。
【0026】
本発明のシャトルベクターの構築に際しては、先ず、放線菌サッカロポリスポラ・エリスレア(S. erythraea)JCM 4748株の染色体DNAを BamHIとKpnIで切断し、エリスロマイシン耐性遺伝子を含む 1.4kbの切断断片を公知の方法(Gene,38,103-110,1985)に従い単離した。次に、この遺伝子に化学合成したSD配列を付加し、選択マーカーとしての機能発現がより確実なものとした。
【0027】
更に、SD配列の直前にエリスロマイシン耐性遺伝子をビフィズス菌内で発現させるためのプロモータ配列として、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )の染色体に由来するプロモータ配列、もしくは、ビフィズス菌と同じグラム陽性菌であるところの枯草菌のファージSPO2に由来するプロモータ配列を連結した。
【0028】
ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )に由来するプロモータ配列は例えば特開平5−146296号公報に開示されたβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含むDNA断片上の配列でよく、ここに示されているpTI−BBI−3.8上の挿入DNA断片をHaeIIIで切断し、 318塩基対のDNA断片を分離することで得られる。
【0029】
一方、枯草菌ファージSPO2のプロモータ配列は、ファージDNAを EcoRIで切断した時に生じる 0.3kbのDNA断片を分離することで得られるが、このDNA断片を組込んだプラスミドであるpPL608の構造並びに、このプロモータを含む 0.3kbのDNA断片の塩基配列は公知のものであり(Gene,22,45-57,1983)、また、pPL608はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)からATCC 37108番の分譲を受ければよい。
【0030】
一方、シャトルベクターの本体となる大腸菌プラスミドベクターとpNBb1の複合体はpNBb1上に1カ所のみの切断点を持つ制限酵素サイトを用いて両者を連結すればよい。即ち、大腸菌プラスミドベクター上のScaIサイトとpNBb1上のScaIサイトを用いて両者をT4DNAリガーゼにより連結した。
【0031】
このようにして作成した大腸菌プラスミドベクターとpNBb1の複合体にプロモータ配列、SD配列等を付加したエリスロマイシン耐性遺伝子を更に連結し、前述のシャトルベクターpBE1を構築した。
【0032】
本発明では、シャトルベクターpBE1のビフィズス菌(B.breve )への移入には、エレクトロポレーション法を用いた。
【0033】
また、ベクターを使用する場合には、一般に同じ構築要素からなるベクターであれば、そのベクターの大きさが小さいほど、形質転換頻度は高い。pBE1は9.05kbであり、宿主に移入するには多少大きい。このため、本発明では、更に形質転換頻度の高いベクターを構築するため、宿主内での複製に必要なプラスミドの領域を決定し、数種類のサイズのベクターを作成した。こうして作成されたベクター中で、最も形質転換頻度が高かったのは、pBEΔ4、pBEΔ5であり、プラスミドDNA重量あたりで、pBE1より約5倍頻度は上昇した。このプラスミドpBEΔ4及びpBEΔ5は各々 5.7kbの大きさを有し、前述の化8及び化9に示された制限酵素切断部位を有する。
【0034】
pBEΔ5はまた、広範囲のビフィズス菌において発現可能であり、少なくともビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(B.pseudolongum)に対して、1μgDNAあたり102 〜104 の頻度で導入できることが確認された。
【0035】
また、本発明ではシャトルベクターをビフィズス菌に移入する際に、宿主であるビフィズス菌の菌株によってプラスミドDNAのメチル化の有無が、導入頻度に大きく影響することを明らかにした。即ち、ビフィズス菌シャトルベクターを大腸菌中で増幅する際に、DamメチレースとDcmメチレースの活性を有する大腸菌を用いるか、DamメチレースとDcmメチレースの活性を失った大腸菌を使い分けることによって、各種ビフィズス菌への導入効率をより上昇させることができる。尚、このメチレースの欠損大腸菌は、これらの遺伝子(dam、dcm)に欠損があり、各メチレース活性がないものであれば、何れの大腸菌を用いてもよく、分譲機関や商業的に容易に入手できる。
【0036】
尚、今回作成した新規シャトルベクターpBE1は生命工学研究所に菌寄第16075号(平成09年02月10日付け寄託)として、pBE1βは同じく菌寄第16076号(平成09年02月10日付け寄託)として、pBEΔ5は同じく菌寄第16077号(平成09年02月10日付け寄託)として、pBEΔHCは同じく菌寄第16078号(平成09年02月10日付け寄託)として既に寄託されている。尚、pBEΔ4とpBEΔ5とは、プラスミドpNBb1由来の複製必須領域の連結の方向のみが相違するため、pBEΔ5のみ寄託し、pBEΔ4の寄託は行わなかった。
【0037】
【実施例】
以下に、上記シャトルベクターの作成について、実施例を示し、詳述する。
実施例1(プラスミドpNBb1の分離)
下記の表1に示す組成を有するMILS培地(Letters in Applied Microbiology,9,165-168,1989)を用いてビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )ATCC 15698株を培養した。
【0038】
【表1】
【0039】
MILS培地 100mlを 120℃で15分間滅菌し、室温まで冷やした後、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )ATCC 15698株の培養液を1%(v/v)接種し、密栓し、37℃で16時間静置培養した。培養終了後、遠心分離(6,000rpm,15分)によって菌体を集めた。次いで、プラスミドを以下の方法により単離した。回収した菌体を2mlのソリューションI(50mM Tris-HCl ,pH 7.5、10mM EDTA 、 100μg/ml RNaseA )に懸濁した後、 200μg/mlとなるようにリゾチームを加え、更に50μg/mlとなるように、M−アセチルムラミダーゼSG(生化学工業社製)を加え37℃で20分間保温した。
【0040】
遠心分離(15,000rpm ,5分間)により、再び菌体を回収し、これを 0.4mlのソリューションIに懸濁した。この菌体懸濁液に、 0.4mlのソリューションII(0.2N NaOH 、1% SDS)を加え、穏やかに混合し、溶菌させた。更に、 2.55Mの酢酸カリウム溶液を 0.4ml加え、よく混合した。遠心分離(15,000rpm 、10分間)にかけ、上清を分取した。
【0041】
この上清に等量のフェノール(TEバッファーで飽和したもの)を加え、タンパク質の抽出を2度行った後、水層を分取し、1/10量の3M−酢酸ナトリウム溶液と、 2.5倍量のエタノールを加え、 -80℃で10分間冷却した。これを遠心分離(15,000rpm ,10分間)し、沈殿を回収し、80%エタノールで洗浄後、真空乾燥した。沈殿を再びTEバッファー(10mM Tris-HCl pH 8.0、1mM EDTA )2mlに溶解し、 1.9gの塩化セシウムと40μlの臭化エチジウム溶液(10mg/ml)を加え、塩化セシウム/臭化エチジウムの濃度勾配遠心法によりプラスミドDNAの精製を行った。これにより得られたpNBb1のプラスミドDNAは約2μgであった。
【0042】
図1は得られたプラスミドpNBb1の制限酵素切断地図である。本プラスミドは既報(FEMS Microbiology Letter,110,11-20,1993 )の通り、 5.6kbで、図1に示す制限酵素断片部位が存在した。また、既報に示されていた制限酵素切断部位以外に、AccI,SacI,SmaIの切断部位が各1カ所、KpnI,XbaI,SalI,PstIの切断部位は存在しないことが新たに確認された。
【0043】
実施例2(放線菌エリスロマイシン耐性遺伝子の単離とSD配列、プロモータ配列の付加)
(1) 放線菌染色体DNAの調製
放線菌サッカロポリスポラ・エリスレア(S.erythraea )JCM 4748株はペプトン・コーン培地(Japan collection of microorganisms,Catalogue of Streins,5th edition,1992)を用いて28℃、4日間、振盪培養した。
【0044】
培養液より菌体を遠心分離によって集め、TEバッファで洗浄後、Aバッファ(2μg/mlリゾチーム、10%グルコース、50mM Tris-HCl ,pH 8.0,1mM EDTA )に懸濁し、37℃で15分間保温した。10% SDS溶液を1/10量加え、穏やかに混合し、溶菌させた。65℃、1時間保温した後、プロテネースK(終濃度 200μg/ml)を加え、37℃で3時間保温した。
【0045】
保温後、TEバッファーで飽和したフェノールを当量加え、15分間、ゆっくりと混合して、タンパク質を抽出した。遠心分離により水層を回収し、フェノール抽出を繰返す操作を3回行った。分取した水層に2倍量のエタノールを重層し、境界面に凝集したDNAをガラス棒で巻取った。再びこのDNAを少量のTEバッファーに溶解し、エタノールを重層してDNAを巻取る操作を3回繰返した。少量のTEに巻取ったDNAを溶解し、RNaseA(終濃度50μg/ml)を加え、37℃で30分間保温した。再びエタノールの重層とガラス棒による巻取り操作を3回繰返した。巻取ったDNAは風乾した後、少量のTEバッファーに溶解した。
【0046】
(2) エリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)の単離
放線菌(S.erythraea )JCM 4748株のエリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)は、染色体DNAの BamHI切断とKpnI切断により生じる 1.4kbのDNA断片に存在し、この部分の塩基配列は公知のものとなっている(Gene,38,103-110,1985)。
【0047】
そこで、染色体DNAを BamHIとKpnIで消化し、アガロースゲル電気泳動法により、 1.4kbに相当するDNA画分を得た。アガロースゲルからのDNAの抽出はジーン・クリーン(BIO101,USA)を用いた。抽出したDNAと、 BamHIとKpnIで切断してアルカリホスファターゼ処理した大腸菌プラスミドベクターpUC119とを混合し、DNAリガーゼを用い、ライゲーションを行った。ライゲーション後、大腸菌JM108をハナハン(Hanahan )の方法により形質転換し、 100μg/mlのアンピシリンと 500μg/mlのエリスロマイシンを添加したLB培地(塩化ナトリウム 0.5%,トリプトン1%,酵母エキス 0.5%)の寒天平板培地に塗抹し、37℃で16時間培養し、生じたコロニーを選択した。
【0048】
コロニーをアンピシリンとエリスロマイシンとを添加したLB培地3mlに接種し、37℃16時間振盪培養し、遠心分離により菌体を集め、アルカリ溶菌法によりプラスミドDNAを抽出した。
【0049】
プラスミドDNAを BamHI、KpnI等の制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動法により解析したところ、挿入されたDNA断片はエリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)であることが確認された。得られたプラスミドをpUCEmと命名した。図2は得られたプラスミドpUCEmの構造を示す説明図である。
【0050】
(3) エリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)へのSD配列の付加
1.4kbのDNA断片上でermEは BamHIサイトの直後が開始コドンとなっていることが判っている(Gene,38,103-110,1985)。このため、ermEの選択マーカー遺伝子としての機能発現をより確実とする目的で、化学合成したSD配列をermEの直前に付加した。
【0051】
図3はプラスミドpUCEm上のermEのSD配列を合成DNAの挿入による変化した過程を示す説明図である。pUCEmをプラスミドベクター側のポリリンカー上の制限酵素サイトであるXbaIとermEのクローニングサイトである BamHIで切断した後、5’末端をリン酸化した5’−CTAGAAAGGAG−3’と、5’−GATCCTCCTTT−3’という2本の相補的な配列をもつ合成DNAを2つのサイトの間に挿入し、T4リガーゼによりライゲーションし、pUCSDEmを作成した(図3参照)。
【0052】
(4) エリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)へのプロモータ配列の付加
前項までに作成したプラスミドであるpUCEmや、pUCSDEmは大腸菌を宿主とした場合、プラスミドベクター上のlacプロモータによりermEは発現している。ビフィズス菌中でグラム陰性である大腸菌のプロモータが機能するという知見はないので、ビフィズス菌自身のプロモータ又はビフィズス菌と同じくグラム陽性菌である枯草菌のプロモーターをpUCSDEmに挿入する操作を行った。
【0053】
ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )より既に単離され、塩基配列の決定されたβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含むDNA断片(特開平5−146296号公報)からプロモーター類似の塩基配列の認められる部分を取出し使用した。このDNA断片は特開平5−146296号の配列表1における塩基番号2267から2584までで、この公報に開示されたプラスミドpTI−BBI−3.8をHaeIIIで切断し 318塩基対のDNA断片を分離することで得た。
【0054】
この断片のプラスミドへの挿入は次の手順で行った。即ち、pUCSDEmをXbaIで切断した後、切断末端をT4DNAポリメラーゼで処理して平滑末端とし、末端をアルカリホスファターゼ処理した後、分離した 318塩基対の大きさを持つDNA断片を加え、T4DNAリガーゼを加えて連結させた。この反応をハナハン(Hanahan )の方法により、大腸菌JM108に形質転換し、アンピシリン( 100μg/ml)とエリスロマイシン( 500μg/ml)を加えたLB寒天平板培地に塗抹し、37℃で一晩培養した。
【0055】
平板上に生じたコロニーは大きいものと小さいものが認められたので、このうち大きなコロニーより、アンピシリンとエリスロマイシンとを含む3mlのLB培地に菌を接種、培養し、アルカリ法でプラスミドを精製した。このプラスミドを複数の制限酵素で切断後、アガロースゲル電気泳動法により解析したところ、目的の部位に約 300塩基対のDNA断片が挿入されていることを確認した。本プラスミドをpUCP1SDEmと命名した。図4はプラスミドpUCP1SDEmの構造を示す説明図である。
【0056】
一方、ビフィズス菌と同じグラム陽性菌の枯草菌では強いプロモーターであることが知られている枯草菌溶源化ファージSP02のプロモータをpUCSDEmに挿入したプラスミドpUCP2SDEmは以下の手順で構築した。
【0057】
ファージSP02のプロモーターは EcoRIの切断により生じる約 0.3kbのDNA断片上にあることが知られているが、この断片を含む公知の枯草菌プラスミドベクターpPL608(Gene,22,45-57,1983)を EcoRIで切断し、アガロースゲル電気泳動法で分離することにより本断片を得た。pUCSDEmはXbaIで切断し、T4DNAポリメラーゼで末端を平滑化した後、アルカリホスファターゼ処理を行った。プロモーター断片はT4DNAポリメラーゼで末端を平滑化した。両DNAを混合し、T4DNAリガーゼを加え、プロモーターの連結を行った。この反応液を大腸菌JM108に形質転換し、アンピシリン( 100μg/ml)とエリスロマイシン( 500μg/ml)を添加したLB寒天平板培地に塗抹し、37℃で一晩培養した。
【0058】
平板上に生じたコロニーは大きなものと小さなものとが認められたので、大きなコロニーからプラスミドDNAを抽出し、複数の制限酵素で切断し解析した。その結果、本実験で得たpUCP1SDEmは、目的のプロモータを含むDNA断片を連結する過程で行ったT4DNAポリメラーゼ処理において、プロモータ断片とプラスミドとの連結部位の EcoRIとXbaI切断点は消失していたが、目的のプロモーターDNA断片はプラスミド上に挿入されていることが確認された。
【0059】
実施例3(シャトルベクターpBE1の構築)
(1) 大腸菌プラスミドpACYC177の小型化とポリリンカーの付与
図5はプラスミドpACYC177の小型化とポリリンカーの付与を説明する説明図であり、a図は各操作を示す工程図、b図はポリリンカーDNAの塩基配列と制限酵素切断部位とを示す説明図である。a図に示す通り、pACYC177(3.94kb)をEco47IIIで切断し、T4DNAリガーゼを用いセルフライゲーションすることで、1.43kbのEco47III断片を除去したpACYCΔ1(2.51kb)を得た。次に SacII切断し、末端をT4DNAポリメラーゼで処理し、平滑化した後、末端をリン酸化した8baseの HindIIIリンカー(5’−CAAGCTTG−3’)をこの部分に挿入し、T4DNAリガーゼで連結することで SacII切断部位を HindIII切断部位に変えた。
【0060】
HindIIIとEco47IIIでこれを切断し、0.25kbのDNA断片を除去した後、プラスミド部分の末端をアルカリホスファターゼで処理した。末端をリン酸化したb図に示すポリリンカーDNAをこれに加え、T4DNAリガーゼで先のプラスミドに挿入した(pACYCΔ2PL;2.31kb)。pACYCΔ2PLをEco47IIIとAatIIとで切断し、末端をT4DNAポリメラーゼで平滑化した後、T4DNAリガーゼでセルフライゲーションし、約1.75kbのプラスミドpACYCΔPLを得た(図5a図)。
【0061】
(2) pACYCΔPLへのpNBb1のクローニング
図6はpNBb1のpACYCΔPLへのクローニング操作を示す工程図である。図に示す通り、(1) で得たpACYCΔPLをポリリンカー内のSacI切断部位において切断した後、アルカリホスファターゼ処理を行った。これに対し、pNBb1を同じくSacIで切断したものを加え、T4DNAリガーゼにより連結し、pACPNB(7.35kb)を得た(図6中段)。
【0062】
(3) pACPNBへのermEのクローニング
実施例2により得たpUCP2SDEmをPstIとKpnIとで切断し、アガロースゲル電気泳動法により分画し、プロモーター,SD配列,ermEが含まれる約1.65kbのDNA断片を分離した。一方、pACPNBをPstIとKpnIで切断し、アルカリホスファターゼ処理した。これら2つのDNAを混合し、T4DNAリガーゼを加え、両者を連結し、pBE1(9.05kb)を得た(図6後段)。
【0063】
実施例4(シャトルベクターpBE1βの作製)
ビフィズス菌のGC含量が60%前後であるのに対し、pBE1の作製にはGC含量が約70%のermEをその選択マーカー遺伝子として使用した。ビフィズス菌中で遺伝子発現の有無がGC含量に依存するか否か明らかにする目的でermE部分を低いGC含量のエリスロマイシン耐性遺伝子であるermAM(GC含量約33%)(Nucleic Acid Res.,15,3177,1987)と入れ換えたpBE1βを以下の手順で作製した。
【0064】
エンテロコッカス・フェカリスのプラスミドpAMβ1のエリスロマイシン耐性遺伝子ermAMが組込まれているプラスミドpVA838(ATCCNo.37160)をAvaIと HindIIIで切断し、ermAMを含む 1.7kbのDNA断片を取得した。このDNA断片の末端をT4DNAポリメラーゼ処理により平滑化し、pUC119のSmaI切断部位に一度連結した。これを BamHIとKpnIで切断し、末端に BamHIとKpnI切断部位を持つermAMのDNA断片を分離・精製した。
【0065】
一方、pBE1を BamHIとKpnIで切断し、ermEを含むDNA断片を除去した後、アルカリホスファターゼ処理し、先に分離・精製したermAMを含む 1.7kbのDNA断片とT4DNAリガーゼを加え、これを連結した。得られたプラスミドをpBE1βとした。
【0066】
実施例5.(ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )のエレクトロポレーション用細胞の調製)
1%のグルコース又はラクトースを含むMILS培地にて一昼夜37℃で、嫌気培養したビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )培養菌液を同じ組成の新しい培地に1/50接種し、37℃で嫌気培養した。培養液の濁度が 660nmの波長で約 0.2になったところで集菌し、もとの液量と同量の0℃に冷却したグリセリン溶液(10%)で洗浄した。更に 1/2量のグリセリン溶液(10%)で2度洗浄した後、菌体を 0.4mlのグリセリン溶液(10%)に懸濁した。この菌体懸濁液は小分けにし、エタノール/ドライアイス上で凍結した後、 -80℃で保存した。本凍結菌体をエレクトロポレーションに使用したが、少なくとも2週間は使用可能であった。
【0067】
実施例6(pBE1及びpBE1βのビフィズス菌へのエレクトロポレーション)
エレクトロポレーションには、ジーンパルサーとパルスコントローラー(Bio-Rad Laboratories,USA)を使用した。この際、機械の内部抵抗200Ω、コンデンサー容量25μFで固定し、電圧に関しては適宜変更した。実際の操作は以下の通り行った。実施例5により調製したビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )の凍結菌液を氷の上で溶解し、40μlずつをマイクロ遠心チューブに分取した。1μl(1μg/μl)のプラスミドDNAを加えて混合した後、氷上で冷却した専用キュベット(電極間 0.1cm幅)に40μlを移し、電気パルスをかけた。パルス後は直ちに、菌液を小試験管内の窒素置換したMILS培地(細胞を調製したときと同じ糖を含む)3mlに懸濁した。37℃で3時間嫌気培養した後、選択用の薬剤を添加したMILS寒天培地(細胞を調製したときと同じ糖を含む)と混合し、混釈法により寒天平板上にまいた。この寒天平板をアネロパック(住友ガス化学社製)を用いて37℃で嫌気的に3〜4日間培養した。
【0068】
先ず、pBE1を用いてビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )YIT4065 とビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )YIT4064 に対するエレクトロポレーションの至適電圧を調べた。12KV/cmから2KV刻みで24KV/cmまで7点の電圧を取り、形質転換対数を計測したところ、YIT4064 は20KV/cmで最高値が得られ、このときの形質転換体数は1μgDNAあたり 365個であった。一方、pBE1βでは同条件で92個の形質転換体を得た。
【0069】
これらの形質転換体より、実施例1に従ってプラスミドDNAを抽出し、アガロースゲル電気泳動法により大きさを調べたところ、用いたpBE1並びにpBE1βと一致することが判った。一方、何れの場合もビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )YIT4065 を宿主として、形質転換体は得られなかった。
【0070】
実施例7(pBE1の小型化による形質転換頻度の上昇)
ビフィズス菌シャトルベクターpBE1の小型化を図った。図7はプラスミドpBE1より小型化したプラスミドベクターにおける欠失領域を示す説明図である。pBE1を材料にして、図7に示したpNBb1に由来する部分に欠失を持つ4種類のプラスミドを作製した。尚、図7では欠失部分を細線で残した部分を太線で示した。
【0071】
これらプラスミドがビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )YIT4064 を形質転換できるか否かを調べた。その結果、 1.4kbのClaI−SacI領域を欠失したpBEΔ1、 2.4kbのClaI−BstXI 領域を欠失したpBEΔ2、3.35kbのClaI−BglI領域を欠失したpBEΔ4では、各々形質転換体が得られたが、 2.8kbの PvuII− BstXI領域を欠失したpBEΔ3では得られなかった。
【0072】
形質転換体の得られたもののうち最小のプラスミドは前述の化8及び化9の制限酵素地図に示すpBEΔ4並びにpBEΔ5であった。また、pBEΔ3やpBE12(pNBb1を BglIIで切断することによって得られる 4.7kbの BglII断片を、pBE1のpNBb1部分と入れ換えたもの)では、形質転換体が得られなかった点を考慮すると、ビフィズス菌中での複製に必要な領域はpNBb1由来の2.25kbのClaI−BglI断片上に存在し、且つ、断片上の制限酵素サイトである PvuII並びに BglIIサイト上に少なくともその一部が存在していると考えられる。
【0073】
小型化した各プラスミドベクターの大きさ並びに形質転換効率を次の表2にまとめた。図8はプラスミドpBE1とpBEΔ4及びpBEΔ5との関係を示す説明図である。得られた最小のプラスミドベクターpBEΔ4及びpBEΔ5は、 5.7kbの大きさで、当初のベクターであるpBE1の63%の大きさまで小型化できた(図8参照)。また、形質転換効率も1μgDNAあたりで最高2500まで上昇し、この場合、もとのpBE1より 5.3倍高い値を得ることができた。
【0074】
【表2】
【0075】
実施例8(pBEΔHCの作製とエレクトロポレーションによるビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )への導入)
先の実施例で述べたpBE1,pBE1β,pBEΔ4,pBEΔ5等は、大腸菌ベクター部分としてpACYC177を使用している。pACYC177は大腸菌中でのコピー数がpUC118等に比べて低いため、大腸菌部分にpUC118を用いることで、大腸菌を宿主とした時に高いプラスミドDNAの収率が望めるpBEΔHCを作製した。
【0076】
図9はプラスミドpBEΔHCの作製を説明する説明図である。先ず、pBEΔ5をPstIと EcoRIで切断し、pACYC177に由来する部分を除き、ermE領域とビフィズス菌複製領域とを備えたDNA断片を得た。これにPstIと EcoRIで切断したpUC118を加え、T4DNAリガーゼにより連結し、pBEΔHCを得た。
【0077】
大腸菌(E.coli)JM109中で増幅したpBEΔHCを用い、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )YIT4064 に先と同様の条件でエレクトロポレーションを行ったところ、コントロールに用いたpBEΔ5とほぼ同じ頻度で形質転換できた。
【0078】
実施例9(種々ビフィズス菌へのプラスミドベクターの導入効率とプラスミドのメチル化の影響)
実施例7でビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )YIT4064 への導入効率が最も高かったpBEΔ5を使用して、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )YIT4064 以外のビフィズス菌についてその形質転換頻度を調べた。上記の実施例ではプラスミドDNAを増幅するための大腸菌の宿主はDNAメチレース遺伝子であるdamとdcmに欠損のない(dam+ ,dcm+ )のJM108又はJM109を使用したが、以下の実験ではこれら2種類のDNAメチレース遺伝子に欠損のある(dam- ,dcm- )の大腸菌であるところのJM110を宿主として増幅したプラスミドについてもその形質転換頻度を検討した。
【0079】
ビフィドバクテリウム属のうち、ヒト糞便由来の菌種とヒト以外の動物に由来する菌種について、材料と方法の項に従って形質転換を検討した。その結果を次の表3に示す。
【0080】
【表3】
【0081】
表3に示す通り、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )YIT4065 ,ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )YIT4064 ,ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )ATCC15700 (基準株),ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.lomgum)ATCC15707 (基準株),ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)ATCC15697 (基準株),ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(B.pseudolongum)ATCC25526 (基準株)などの菌株で、形質転換体が得られた。
【0082】
エレクトロポレーションにおける各菌株の至適電圧は、何れも16KV/cm以上の高い電圧の領域に存在した(表3)。ただし、ビフィドバクテリウム・ロンガム,ビフィドバクテリウム・インファンティス,ビフィドバクテリウム・シュードロンガムの各菌株では検討した電圧の最高値で最高の形質転換頻度を示したので、装置の上限電圧(25KV/cm)より高い電圧をかければ更によい結果が得られるかもしれない。また、菌株によっては使用するプラスミドDNAのメチル化の有無が形質転換頻度に影響し、dam- ,dcm- の大腸菌で増殖したプラスミドでないと形質転換体が得られない菌株(B.breve YIT4065 ,B.lomgum ATCC15707,B.pseudolongum ATCC25526)、dam+ ,dcm+ の大腸菌で増殖したプラスミドの方が高い形質転換頻度を示した菌株(B.breve YIT4064 ,B.breve ATCC15700 )、どちらのDNAでも殆ど差のない菌株(B.infantis ATCC15697)に別けられた(表3参照)。
【0083】
また、形質転換の最高値は菌株によって差があり、pBEΔ5 DNA1μgあたり102 〜104 であった(表3参照)。
【0084】
以上のように、本研究におけるビフィズス菌プラスミドベクターは広くビフィズス菌種に利用できることが示された。また、ビフィズス菌への外来DNAの導入にそのDNA自身のメチル化の有無が影響し、これは菌株毎に異なることが以上から明らかになった。同様の現象は細菌では一般に制限修飾系として知られているが、ビフィズス菌へのDNAの導入に関して同様の系が働くことについては、初めて見出されたものである。将来、プラスミドベクターの導入が困難な宿主に直面した際、Damメチレース,Dcmメチレースに限らず、DNAメチル化酵素の種類や、強弱の異なる中間宿主でビフィズス菌用のプラスミドベクターを増幅することで、所望するビフィズス菌へこれを導入できる可能性を示唆している。
【0085】
実施例10(pNBb1の複製に必要な領域の塩基配列の決定)
プラスミドベクターの全塩基配列を明らかにすることは、そのプラスミドベクターの利便性を上げるために重要である。塩基配列が分かれば、各制限酵素サイトも明らかとなるため、プラスミドの改良や目的遺伝子のクローニングが容易になるからである。研究において作製したビフィズス菌用プラスミドベクターは、その材料のうち大腸菌複製必須領域と薬剤耐性遺伝子は既知のものであるため、塩基配列の明らかでない部分はビフィズス菌複製必須領域のみである。そこで、ビフィズス菌複製必須領域、即ち、pNBb1由来の 2.3kbのClaI−BglI断片の塩基配列を解析した。
【0086】
プラスミドベクターpBEΔ5より、 2.3kbのDNA断片をその連結に用いたリンカーのサイトSacIで切り出し、pUC118のSacIサイトにクローニングした。DNA断片の挿入方向が互いに逆向きのプラスミドを選び、各々Kilo−Sequence用DeletionKit(宝酒造社製)を使用して挿入DNA部分の段階的欠失を作製した。常法に従ってこれらから1本鎖DNAを調製し、蛍光色素プライマーとPCRを用いたサイクルシークエンス法により塩基配列を決定した。耐熱製ポリメラーゼはTakara Ex Taq(宝酒造)を使用した。PCR反応はアプライドバイオシステムズ(ABI)社製のマニュアルに従い、解析にはABI社製373A型シークエンサーを使用した。
【0087】
決定した塩基配列は、後述する配列表の配列番号1に示した。決定された塩基配列の長さは2297bpで、この領域内には1482bpのオープンリーディングフレーム(ORF)が見出された。このORFの直前にはビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )の16S rRNAの3’末端付近の配列5’AUCACCUCCUUUCU3’と相補する配列、所謂SD配列が認められ、更に上流にはプロモータ様配列も認められた。このことから、見出されたORFは何らかのポリペプチドをコードすると考えられた。また、ORFにコードされるポリペプチドの分子量は 54860と算出された。
【0088】
先のORFの塩基配列をアミノ酸配列に翻訳し、「GENETYX−CDのSWISS−PROT Protein Sequence Database Ver.11.20(ソフトウエア開発株式会社)」を使用して、アミノ酸配列に相同性のあるタンパク質を検索した。その結果、最も高い相同性を示したものとして、ストレプトコッカス・リビダンス(Streptomyces lividans )のプラスミドpIJ101の複製タンパク質が見出された。
【0089】
pIJ101はローリングサークル方式によって複製するプラスミドのうち、複製タンパク質の相同性などから、pC194,pUB110,φX174等と同じグループとされており、pNBb1の複製タンパク質のアミノ酸配列中にもこれらのプラスミドの複製タンパク質のアクティブサイトと高い相同性の認められる領域が存在した。また、周辺領域でも相同性が認められた。このことから、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve )のプラスミドpNBb1はローリングサークル方式で複製するpIJ101,φX174,pC194,pUB110等と同じグループのプラスミドであることが示唆された。
【0090】
一方、この領域の塩基配列が明らかになったことにより、pBEΔ4,pBEΔ5では外来DNAとクローニングできる1カ所切断の制限酵素サイトとしてAccIII, EcoRI,KpnI,Sse8387I,XhoI等があることが判った。一方、pBEΔHCでは EcoRI,KpnI,PstI,Sse8387I,XhoI等がクローニングサイトとして使用可能であることが明らかとなった。また、これら制限酵素を用いて各々のプラスミドDNAを実際に切断し、切断点が1カ所であることを確認した。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によるシャトルベクターは、多種類のビフィズス菌を形質転換できるので、これを用いることにより、外来遺伝子を種々のビフィズス菌に導入することが可能となる。また、その結果として、ビフィズス菌を種々の用途に利用する際に、より有用性の高い菌株を分子育種できるという効果がある。
【0092】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:2997
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
起源
生物名:ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve )
株名:ATCC15698(pNBb1)
配列の特徴
特徴を表わす記号: -35 signal
存在位置:387..392
特徴を決定した方法:S
特徴を表わす記号: -10 signal
存在位置:410..415
特徴を決定した方法:S
特徴を表わす記号:RBS
存在位置:525..530
特徴を決定した方法:S
特徴を表わす記号:CDS
存在位置:539..2020
特徴を決定した方法:S
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドpNBb1の制限酵素切断地図である。
【図2】プラスミドpUCEmの構造を示す説明図である。
【図3】プラスミドpUCEm上のermEのSD配列を合成DNAの挿入による変化した過程を示す説明図である。
【図4】プラスミドpUCP1SDEmの構造を示す説明図である。
【図5】プラスミドpACYC177の小型化とポリリンカーの付与を説明する説明図であり、a図は各操作を示す工程図、b図はポリリンカーDNAの塩基配列と制限酵素切断部位とを示す説明図である。
【図6】pNBb1のpACYCΔPLへのクローニング操作を示す工程図である。
【図7】プラスミドpBE1より小型化したプラスミドベクターにおける欠失領域を示す説明図である。
【図8】プラスミドpBE1とpBEΔ4及びpBEΔ5との関係を示す説明図である。
【図9】プラスミドpBEΔHCの作製を説明する説明図である。
Claims (4)
- ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve )ATCC 15698株のプラスミドpNBb1由来の複製必須領域と、
大腸菌(Escherichia coli)のプラスミド由来の複製必須領域と、
大腸菌(Escherichia coli)のプラスミド由来の抗生物質耐性遺伝子と、
ビフィズス菌で機能する抗生物質耐性遺伝子とを備え、
大腸菌( Escherichia coli )由来のプラスミドが、pACYC177又はpUC118であることを特徴とするビフィズス菌用シャトルベクター。 - ビフィズス菌で機能する抗生物質耐性遺伝子が、サッカロポリスポラ・エリスレア(Saccharopolyspora erythraea )JCM 4748(ATCC 11635)株のエリスロマイシン耐性遺伝子(ermE)又はエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis )のエリスロマイシン耐性遺伝子(ermAM)であることを特徴とする請求項1に記載のビフィズス菌用シャトルベクター。
- 次の化1の制限酵素地図で示された受託番号FERMP−16075として生命工学技術研究所に寄託されているE.coli JM108株に含有されるプラスミドシャトルベクターpBE1、化2の制限酵素地図で示された受託番号FERMP−16076として生命工学技術研究所に寄託されているE.coli JM108株に含有されるプラスミドシャトルベクターpBE1β、化4の制限酵素地図で示された受託番号FERMP−16077として生命工学技術研究所に寄託されているE.coli JM108株に含有されるプラスミドシャトルベクターpBEΔ5、化3の制限酵素地図で示された前記プラスミドシャトルベクターpBEΔ5のプラスミドpNBb1由来の複製必須領域の連結の方向のみが相違するプラスミドシャトルベクターpBEΔ4、又は、化5の制限酵素地図で示された受託番号FERMP−16078として生命工学技術研究所に寄託されているE.coli JM109株に含有されるプラスミドシャトルベクターpBEΔHCの何れかであることを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載のビフィズス菌用シャトルベクター。
- 次のアミノ酸配列をコードするビフィズス菌プラスミドの複製タンパク質遺伝子。
Met-Ser-Val-Pro-Thr-Gln-Gly-Thr-Lys-Trp-Asn-Pro-Met-Gly-Val-Pro-Ser-Pro-Ser-Gln-His-Gln-Thr-Ala-Glu-Arg-Leu-His-Ala-Ala-Val-Ala-Ala-Lys-Pro-Gln-Gly-Val-Ala-Ala-Glu-Ala-Ala-Ser-Gly-Ala-Arg-Ser-Gly-Pro-Pro-Trp-Glu-Lys-Thr-Asn-Lys-Ile-Thr-Pro-Ser-Leu-Ser-Arg-Thr-Asp-Leu-Arg-Arg-Leu-Ala-Tyr-Gly-Arg-Arg-Ala-Glu-Ser-Arg-Lys-Ile-Leu-Val-Arg-His-Ala-Gly-Gly-Glu-Thr-Leu-Gly-Phe-Glu-Pro-Ile-Lys-Leu-Pro-Arg-Cys-Ala-Arg-Cys-Gly-Gln-Pro-Val-Asp-Thr-Gly-Val-Gly-Val-Met-Thr-Asn-Gly-Glu-Lys-Ala-Arg-Phe-Thr-Gly-Thr-Met-Leu-Cys-Gly-Ser-Ile-Trp-Ala-Cys-Pro-Thr-Cys-Ser-Ala-Ile-Ile-Arg-His-Glu-Arg-Ala-His-Glu-Val-Ala-Leu-Ala-Ile-Gly-Asn-His-Ala-Glu-Lys-Leu-Arg-Lys-Ala-Ala-Ala-Asp-Gln-Trp-Gln-Ala-Glu-His-Glu-Gly-Gln-Arg-Leu-Pro-Pro-Glu-Leu-Met-Val-Ser-Asp-Ser-Phe-Gly-Asn-Tyr-Ile-Phe-Gly-Thr-Leu-Thr-Leu-Arg-His-Asp-Arg-Thr-Met-Pro-Leu-Ala-Met-Thr-Leu-Asp-Ala-Ile-Leu-Lys-Gly-Trp-Thr-Lys-Met-Ile-Asn-Gly-Ser-Pro-Trp-Gln-Arg-Ala-Ser-Glu-Arg-Trp-Lys-Ile-Arg-Gly-Phe-Val-Arg-Ala-Ile-Glu-Ile-Thr-Tyr-Gly-Val-Asn-Gly-Trp-His-Pro-His-Ile-His-Phe-Val-Met-Phe-Leu-Asp-Gly-Asp-Leu-Asp-Asp-Gly-Gln-Arg-Glu-Ala-Met-Gln-Gln-Trp-Leu-Leu-Asp-Arg-Trp-Lys-Thr-Met-Val-Lys-Arg-Val-Ala-Lys-Ala-Tyr-Lys-Lys-Lys-Asp-Gly-Asn-Pro-Tyr-Asn-Val-Ala-Pro-Asn-Asp-Glu-His-Gly-Ile-Asp-Leu-Gln-Phe-Lys-Ser-Gly-Lys-Asp-Ala-Gly-Thr-Ala-Ala-Ala-Glu-Tyr-Ile-Thr-Lys-Ile-Gln-Gly-Asp-Lys-Gly-Gly-Val-Thr-Leu-Ala-Gln-Glu-Ile-Ala-Arg-Gly-Asp-Ile-Lys-Asn-Gly-Arg-Met-Gly-Ser-Val-Asn-Pro-Phe-Gln-Leu-Leu-Asp-Ser-Gly-Cys-Leu-Gly-Leu-Ser-Asp-Phe-Gln-Arg-Glu-Asp-Leu-Trp-Leu-Glu-Tyr-Trp-Gln-Ala-Thr-Leu-Arg-Arg-Arg-Cys-Ile-Thr-Trp-Ser-Arg-Gly-Leu-Lys-Glu-Asp-Met-Glu-Val-Glu-Glu-Leu-Glu-Asp-Glu-Glu-Leu-Ala-Glu-Lys-Ala-Asp-Glu-Leu-Pro-Gly-Leu-Val-Gly-Tyr-Val-Val-Pro-Asn-Arg-Val-Tyr-Lys-Asp-Ile-Arg-Lys-Ser-Ala-Pro-Glu-Thr-Leu-Ala-Asp-Ala-Leu-Asp-Ala-Ala-Glu-Arg-Glu-Asp-Trp-Gln-Glu-Val-Ala-Arg-Leu-Leu-Pro-Gly-Gly-Val-Ile-Leu-Thr-Asp-Glu-Gln-Gln-Asp-Ala-Ile-Ala-Asp-Gly-Glu-Ala-Lys-Pro-Gly-Asp-Tyr-Leu-Pro-Thr-Met-Ser-Val-Met-Val
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