本発明は、半導体発光素子からの光を導くためのレンズの位置決めと半導体発光素子の良好な放熱とを共に実現できる発光モジュールを提供することを課題とする。
本発明に係る発光モジュールは、第1の面を有する搭載部材と、複数の絶縁層を有しており該絶縁層の最上層に配線面を有する積層セラミック部を含む側壁部材、および前記側壁部材と前記搭載部材とを搭載し所定の面に沿って伸びるベースを含む筐体と、前記第1の面上に搭載された半導体発光素子と、前記第1の面上に搭載される設置面を有しており、該半導体発光素子の出射する光を集光するレンズと、前記搭載部材上に搭載されており、前記半導体発光素子に電気的に接続され該半導体発光素子を駆動する駆動素子とを備え、前記レンズは、前記設置面に直交する軸に交差する面に沿って設けられた対向面を有し、前記ベースは、第1の熱伝導率を示す材料から構成されており、前記搭載部材の材料の熱伝導率は、前記第1の熱伝導率より大きく、前記側壁部材の最下の絶縁層が前記搭載部材と前記ベースとの間に設けられており、前記ベースは金属製である。
本発明に係る発光モジュールでは、前記搭載部材は、前記駆動素子を搭載する第2の面を有しており、前記第2の面は前記第1の面より高い位置にあり、前記配線面は前記第2の面よりも高い位置にある。
本発明に係る発光モジュールでは、前記搭載部材は、前記レンズを搭載する第1の搭載面と、前記半導体発光素子を搭載するための第2の搭載面と、前記駆動素子を搭載する第3の搭載面とを有しており、前記第3の搭載面は前記第2の搭載面より高い位置にある。また、本発明に係る発光モジュールでは、前記配線面は前記第3の搭載面よりも高い位置にある。
本発明に係る発光モジュールでは、前記半導体発光素子はチップキャリアを介して前記搭載部材上に実装されている。
本発明の一側面は発光モジュールに係わる。発光モジュールは、第1及び第2の端面を有する半導体発光素子と、光学窓を有する筐体と、設置面を有し、半導体発光素子の第1の端面からの光を光学窓に導くためのレンズと、を備え、筐体は、レンズの設置面に対面すると共にレンズ及び半導体発光素子を搭載する実装面を含む。
本発明によれば、実装面に搭載されるための設置面をレンズが有しているので、レンズを実装面に搭載できる。例えば、レンズを保持する金属筐筒やLキャリアといった部材が不用になるので、発光モジュールの高さ方向を低くしたりといった設計の自由度が増す。
また本発明の発光モジュールは、レンズが、設置面に沿って延びる対向面を有するようにしてもよい。レンズの高さ方向の長さは設置面と対向面とで挟まれた長さとなるので、例えば、設置面と対向面とで挟まれた部分に半導体発光素子の光が通るようにすればレンズの高さをより低くできる。
また本発明の発光モジュールは、レンズの設置面と、実装面とを固定するための接着部材を備えるようにしてもよい。接着部材でレンズを実装面に固定するので、レンズを搭載するための部材を別途設ける必要がなくなる。
本発明の別の側面は発光モジュールに係わる。発光モジュールは、筐体と、半導体発光素子と、第1の搭載面と、第2の搭載面と、レンズとを備える。筐体は、ベース及び光学窓を有する。ベースは、所定の面に沿って伸びており、第1の熱伝導率を示す材料から構成された。半導体発光素子は、筐体内に設けられている。第1の搭載面は、第1の熱伝導率以上の熱伝導率を示す材料から構成される。第2の搭載面は、第1の熱伝導率以上の熱伝導率を示す材料から構成され半導体発光素子を搭載する。レンズは、筐体内に設けられている。レンズは、また、第1の搭載面上に搭載される設置面を有しており、半導体発光素子からの光を光学窓に導くために利用される。
本発明の発光モジュールでは、ベースの材料は、第1の搭載面を構成する材料と異なっており、また第2の搭載面を構成する材料と異なっている。第1の搭載面を構成する材料の熱伝導率は第1の熱伝導率を越えており、また、第2の搭載面を構成する材料の熱伝導率は前記第1の熱伝導率を越えることが好ましい。
本発明によれば、レンズは、第1の搭載面に搭載されるための設置面を有しているので、レンズを第1の搭載面に搭載できると共に、第1の搭載面上においてレンズを位置合わせできる。半導体発光素子は、第2の搭載面上に搭載されるので、放熱が良好に行われる。第1及び第2の搭載面が、共に第1の熱伝導率以上の熱伝導率を示す材料から構成されるので、半導体発光素子からの光を光学窓に導くためのレンズの位置決めと半導体発光素子の良好な放熱とを共に実現できる。
本発明の発光モジュールは、光学窓を介して半導体発光素子からの光を受ける光ファイバを更に備えることができる。レンズの位置と半導体発光素子との位置の距離は、半導体発光素子からの光のコリメートを可能にする位置と半導体発光素子との位置の距離より大きくなっている。
この発光モジュールによれば、光ファイバと半導体発光素子との間に設けられた単一のレンズを用いて、半導体発光素子を光ファイバに光学的に結合できる。
本発明の発光モジュールでは、筐体は、ベース上に設けられた側壁部材を有している。側壁部材は、ベース上に設けられた複数の絶縁層と複数の導電層とを備える。各導電層は、絶縁層の間に設けられている。半導体発光素子は、配線層に電気的に接続されている。側壁部材が複数の絶縁層と複数の配線層とを備えるので、発光モジュール内の半導体発光素子といった電子素子を配線層を介して互いに接続できる。故に、発光モジュール内の半導体発光素子といった電子素子を互いに接続するために別個の配線基板が不要になる。
本発明の発光モジュールは、第1の搭載面と第2の搭載面とを有する搭載部材を更に備えることができる。光学窓、レンズ、半導体発光素子は、所定の軸方向に配置されている。側壁部材は、所定の軸方向に伸びる第1及び第2の側壁と所定の軸に交差する方向に伸びる第3の側壁とを有している。第1〜第3の側壁は、所定の面に直交する軸に交差する面に沿って伸びており各側壁の内側に位置する絶縁性の配線面を有する。搭載部材は、第1の側壁部材と第2の側壁との間に位置している。側壁部材は、導電層を備える配線面を有している。配線面は、導電層に電気的に接続された電子部品を搭載する。
この発光モジュールによれば、導電層を備える配線面を有する側壁部材が搭載部材の三辺に位置しているので、発光モジュール内の半導体発光素子といった電子素子を導電層を介して互いに接続できる。
本発明の発光モジュールでは、筐体は、側壁部材及びベース上に設けられた金属製部材と、金属製部材上に設けられた金属製蓋とを含むことができる。筐体が絶縁物を含む側壁部材を備えるけれども、金属製蓋及び金属製部材を利用して金属製蓋及び金属製部材間を気密に封止できる。また、本発明の発光モジュールでは、光学窓は気密に封止されている。
本発明の発光モジュールは、光学窓を介して半導体発光素子からの光を受ける光ファイバを更に備えることができる。光ファイバは、側壁部材上に位置決めされ光ファイバを保持する保持部材を有する。
本発明の発光モジュールは、光学窓を介して半導体発光素子からの光を受ける光ファイバを更に備えることができる。光ファイバは、金属製部材上に位置決めされた光ファイバを保持するための金属製の保持部材を有する。筐体が絶縁物を含む側壁部材を備えるけれども、光ファイバの位置決めは、金属製の保持部材及び金属製部材を利用して実現される。
本発明の発光モジュールは、側壁部材の配線面上に設けられ半導体発光素子に光学的に結合されたモニタ用受光素子を更に備えることができる。側壁部材が複数の絶縁層と複数の配線層とを備えるので、モニタ用受光素子といった電子素子を配線層を介して互いに接続できる。
本発明の発光モジュールは、第1の搭載面と第2の搭載面とを有する搭載部材を更に備えることができる。搭載部材は、ベース上に位置している。半導体発光素子からの熱は、搭載部材及びベースを介して放散される。
本発明の発光モジュールは、搭載部材上に搭載され半導体発光素子に電気的に接続された駆動素子を更に備えることができる。駆動素子及び半導体発光素子が搭載部材上に搭載されているので、駆動素子及び半導体発光素子を互いに近くに配置できる。駆動素子からの熱は、搭載部材及びベースを介して発散される。
本発明の発光モジュールでは、搭載部材は、第1の面と、第2の面と、第1の面と第2の面との間に位置する段とを有している。半導体発光素子は、第1の面上に搭載されている。駆動素子は、第2の面上に搭載されている。搭載部材の第1の面とベースとの距離は、搭載部材の第2の面とベースとの距離より小さい。半導体発光素子は、第1の面上に搭載されている。第1の面の高さと第2の面の高さとの違いを利用して、駆動素子の高さ及び半導体発光素子の高さを調整できる。駆動素子と半導体発光素子とを接続するための配線の長さを短縮できる。
本発明の発光モジュールでは、搭載部材の第1の搭載面とベースとの距離は、側壁部材の配線面とベースとの距離より小さい。搭載部材は、第1の面と、第2の面と、第1の面と第2の面との間に位置する段とを有している。レンズは第1の面上に搭載されている。駆動素子は第2の面上に搭載されている。搭載部材の第1の面とベースとの距離は、搭載部材の第2の面とベースとの距離より小さい。半導体発光素子は、第1の面上に搭載されている。搭載部材の第1の搭載面とベースとの距離が側壁部材の配線面とベースとの距離より小さいので、レンズと光ファイバとの高さ合わせが容易になる。
本発明の発光モジュールでは、レンズは非球面レンズであることができる。非球面レンズによれば、半導体発光素子からの光を効率的に集光できる。
本発明の発光モジュールでは、レンズは、設置面に沿って延びる対向面を有している。設置面は、第1の搭載面に交差する軸に交差する面に沿って伸びている。対向面は、第1の搭載面に交差する軸に交差する別の面に沿って伸びている。レンズの高さを小さくできるので、発光モジュールの高さを短縮できる。
本発明の発光モジュールは、レンズの設置面と第1の搭載面とを固定するためのUV硬化剤を含む接着部材を更に備えることができる。レンズの位置合わせとレンズの固定が容易にできる。レンズの固定に溶接を用いないので、溶接に起因する金属の歪みを生じることがない。
本発明の発光モジュールでは、ベースは、所定の面に沿って伸びている。光学窓は、所定の面に所定の角度で交差する別の面に沿って伸びる光入射面を有している。所定の角度は、0度より大きく90度より小さい。光入射面はベースに向けて傾斜している。光入射面による反射光は、筐体の内壁により多重反射されることが無い。
本発明の発光モジュールでは、光ファイバは光学窓に直接に光学的に結合されていることができる。また、本発明の発光モジュールでは、光学窓と光ファイバとの間に設けられた光アイソレータを更に備えることができる。光アイソレータは、光学窓に直接に光学的に結合されている。
本発明の更なる別の側面は発光モジュールを製造する方法に係わる。この方法は、(a)筐体内の第1の搭載エリア上に搭載された半導体発光素子を備える光モジュール部品と、筐体内の第1の搭載エリア上に搭載可能なように設けられた設置面を有するレンズと、半導体発光素子からの光をモニタする光モニタ装置とを準備する工程を備えることができる。この方法は(b)半導体発光素子がレンズを介して光モニタ装置に光学的に結合されるように、筐体外に光モニタ装置を置くと共に第2の搭載エリア上にレンズを置く工程を備えることができる。この方法は(c)第2の搭載エリア上においてレンズを移動して、光モニタ装置からのモニタ信号に基づいてレンズの第1の位置を決定する工程を備えることができる。この方法は(d)レンズを第2の位置に移動する工程とを備えることができる。この方法によれば、単一のレンズを用いて、半導体発光素子からの光の集光を行うことができる。
第1の位置におけるレンズと半導体発光素子との距離は、第2の位置におけるレンズと半導体発光素子との距離より小さい。レンズは、第1の位置において、半導体発光素子からの光から実質的にコリメートされた光を生成する。
本発明の方法では、レンズは、設置面に反対の対向面を有することができる。筐体内の第2の搭載面上にレンズを置く工程では、レンズの対向面を保持する組立ツールを用いて第2の搭載エリア上にレンズを置いている。レンズの対向面は、レンズの移動を行うために便利である。
本発明の方法では、レンズは、設置面に反対の対向面を有している。レンズの第1の位置を決定する工程では、レンズの対向面を保持する組立ツールを用いてレンズを第2の搭載面において移動する。レンズの対向面は、レンズの位置決めのための移動を行うために便利である。
本発明の方法では、レンズを第2の位置に移動する工程では、第2の位置は、第1の位置に対して所定の値だけシフトされる。レンズを所定値だけシフトすることにより、レンズは、半導体発光素子からの光は所定の場所に集光する。この場所は、光ファイバの位置合わせの際に光ファイバが移動できる領域内に位置する。
本発明の方法では、レンズを第2の位置に移動する工程では、第2の位置は、光モニタ装置における光ビームを表す像の面積が所定値より小さくなるように決定される。この移動の結果、レンズが半導体発光素子からの光の集光できる位置に、レンズが位置する。この位置は、光ファイバの位置合わせの際に光ファイバが移動する領域内に位置する。
本発明の上記の目的及び他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述からより容易に明らかになる。
本発明によれば、半導体発光素子からの光を導くためのレンズの位置決めと半導体発光素子の良好な放熱とを共に実現できる発光モジュールが提供される。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の半導体光素子に係わる実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
(第1の実施の形態)
本発明の実施形態である発光モジュール1について図1(a)及び図1(b)を用いて説明する。図1(a)は、本発明の実施形態に係る発光モジュール1を構成するための筐体10を示した図である。図1(b)は、図1(a)のI−I断面を示した図である。筐体10は、その外壁及び底面の主要な部分を構成するコバール製の金属製フレーム101と、金属製フレーム101の底面に設けられた開口部に配置される実装部102と、金属製フレーム101の外壁に設けられた開口部を封止する封止部103と、を備える。金属製フレーム101には更に、配線パターンを有するアルミナ製の積層セラミック部101bと、複数のリードピン101aとを備える。
ハーメチックガラス103bは、ホルダ103aにAuGeまたはAuSn等でロー付けし、気密を確保する。ホルダ103cは、保持部材(図4の部材106)をレーザ溶接で取り付ける際の当接面を、十分な面積で確保することを目的に取り付けられている。封止部103は、光学窓としてのハーメチックガラス103bを、ホルダ103a及びホルダ103cで挟み込んで保持して構成されている。封止部103は、金属フレーム101の外壁に設けられた円筒形の開口部を封止するように、AuGeを用いてロウ付けされている。
実装部102の筐体10内部に向かって形成されている実装面102a上には、半導体発光素子(半導体発光素子部)21がチップキャリア20を介して実装されている。半導体発光素子21は、第1の端面及び第2の端面を有しており、それぞれの端面からレーザ光が放射され、第1の端面は封止部103のハーメチックガラス103bに向かうように、第2の端面は第1の端面とは反対側になるようにそれぞれ配置されている。このような半導体発光素子21としては、例えば分布帰還型(DFB)半導体レーザを用いることができる。半導体発光素子は、DFBレーザに限られるものではなく、ファブリペロー型半導体レーザにも同様に適用できる。チップキャリア20は、AlNを用いて形成されている。
実装部102には更に、半導体発光素子21を駆動するための電子半導体チップ22が搭載されている。電子半導体チップ22は、半導体発光素子21を挟んで封止部103とは反対側に配置されており、この配置によって、半導体発光素子21及び積層セラミック部101b上に配置されている配線部材との電気的な接続距離が短縮されると共に、発光素子と電子半導体チップとの間に距離を短縮でき、また電子半導体チップのデータ入力部と積層セラミック部101bの配線との距離を短縮できる。また、電子半導体チップ22は、半導体発光素子21を駆動する駆動回路を内蔵している。駆動回路からの駆動信号に応じて、半導体発光素子21での発光素子の発光が制御される。
積層セラミック部101b上には、フォトダイオードチップ24がチップキャリア23を介して搭載されている。フォトダイオードチップ24は、電子半導体チップ22を挟んで、半導体発光素子21から放射されるレーザ光を受光できるように配置されている。また、フォトダイオードチップ24は、半導体発光素子21の第2の端面から放射されるレーザ光の波長を含む波長域に対して受光感度を有している。電子半導体チップ22を用いて、フォトダイオードチップ24が受光するレーザ光に基づいて、半導体発光素子21の駆動電流を制御してもよい。
図2(a)は、筐体10に搭載されて発光モジュール1を構成するレンズ30を示した図であり、図2(b)は、図2(a)のII−II断面を示した図である。レンズ30は、実質的に光が通過する部分を残して残余の部分を切削し、設置面30b及び対向面30aを備える。設置面30bは、筐体10の実装面102aに当接する面である。対向面30aは、設置面30bに沿うように形成されている面であり、本実施形態の場合は設置面30bと平行になるように構成している。
レンズ30では、対向面30aは、設置面30bに直交する軸に交差する面に沿って伸びている。図2(b)を参照すると、レンズ30の光軸を含む平面とレンズ30の外面との交差線が示されている。この交差線は、対向面30aから設置面30bまで伸びている。交差線の曲率半径は、対向面30aから離れるにつれて増加及び減少の一方の変化を示しており、曲率半径の極値(極大値或いは極小値)を取った後に、設置面30bに近づくにつれて増加及び減少の他方の変化を示す。このようなレンズは、非球面レンズと呼ばれている。好適な実施例では、対向面30aは設置面30bに平行である。
レンズ30を筐体10の実装面102aに実装する場合には、対向面30aを真空吸着するなどして半導体発光素子21と封止部103との間の実装面102aに配置する。この場合、マーカーといった位置決め手段に基づいて、そのマーカーを画像認識してレンズの位置を決めて配置するようにしてもよいが、いわゆるアクティブアライメントによって位置を決めるほうがより精度を上げることができる。そこで本実施形態では、実装面102a上にレンズ30を仮配置した後、封止部103の外側に所定の距離だけ離してカメラを配置し、半導体発光素子21を発光させてレンズ30による集光スポットがその所定の距離に合致するように調心する。この所定の距離とは、発光モジュール1に光ファイバを取り付ける際の光ファイバ端面位置に相当する。
レンズ30は、実装面102a上に紫外線硬化型樹脂を接着部材として用いて固定される。接着部材としてはこのような接着剤に限られず、例えば、レンズ30の設置面30bに金属膜をコーティングし、半田を接着部材として実装面102aに固定してもよい。
引き続いて、図1(a)及び図1(b)に示した筐体10と、図2(a)及び図2(b)に示したレンズ30とを用いて構成した発光モジュール1について図3を用いて説明する。図3は、発光モジュール1の断面を示した図である。
筐体10の実装面102a上にレンズ30を、上述の方法で固定している。電子半導体チップ22及び半導体発光素子21と、電子半導体チップ22及び積層セラミック部101b上に配置されている配線部材とのそれぞれは、所定の電極同士がボンディングワイヤによって結線されている。その後、筐体10の上部開口部を塞ぐようにコバール製のリッド25(蓋)を取り付けて気密封止を行って、発光モジュール1が形成される。
このように形成された発光モジュール1は、レンズ30を実装面102aに直接取り付けているので、金属筐筒やLキャリアといった部材を用いることがない。また、レンズ30には設置面30bに対向して対向面30aが形成されており、レンズ30を実装面102a上に実装した場合には、レンズ30の対向面30aは、チップキャリア23よりも低い位置にある。したがって、発光モジュール1の高さ方向の寸法Lは、発光モジュール1を構成する他の部材や、レンズ30を調心する際に用いるカメラなどによってその限界値が定まることとなる。
このように形成された発光モジュール1には光ファイバ70を取り付けることができる。光ファイバ70は、フェルール60に挿入固定されており、フェルール60はブッシュ50に圧入固定されている。ブッシュ50は、発光モジュール1の封止部103に取り付けられるスリーブ40と摺動可能に配置されている。このような構成によって、光ファイバ70の端面が所定の位置にくるように調心できる。また、発光モジュール1は、レセプタクル型の発光モジュールであっても、ピッグテール型の発光モジュールであってもよい。
本実施形態では、1レンズ系の発光モジュールを例にとって説明したが、発光モジュールの筐体の外部にもレンズを設ける2レンズ系の発光モジュールにおいても本発明は適用することが可能である。また、半導体発光素子21の発光素子が複数ある場合にも本発明は適用できる。
Lキャリアを使用している発光モジュールでは、レンズを固定している金属筐筒の外径の制約やLキャリアをYAGレーザ溶接する部分を確保するための制約といった種々の、発光モジュールをより小型化することを阻害する要因がある。特に、これらの小型化を阻害する要因は、発光モジュールの高さ方向への小型化を阻害するものである。本実施形態の作用及び効果によれば、レンズ30は、筐体10の実装面102aに搭載されるための設置面30bを有しているので、レンズ30を実装面102aに搭載できる。レンズ30を保持する金属筐筒やLキャリアといった部材が不用になるので、金属筐筒やLキャリアを用いている場合に比較して発光モジュール1の高さ方向の寸法Lを低くできる。より具体的には、金属筐筒の外形は4mm程度が限界であり、Lキャリアの高さは更にYAGレーザ溶接スペース等の関係から6mm程度が限界である。従って、本実施の形態を採用すれば、このLキャリアの高さ限界に起因する制約がなくなる。
また、レンズ30には設置面30bに沿って対向面30aが形成されているので、対向面30aを形成しない場合に比較して、レンズ30の高さをより低くできる。
レンズ30の設置面30bと、実装面102aとを接着部材を用いて固定しているので、レンズ30を搭載するための部材を別途設ける必要がなくなる。更に、実装面102aにレンズ30を取り付けるための微細な加工も不要となる。
本実施の形態の発光モジュールによれば、実装面に搭載されるための設置面をレンズが有しているので、レンズを実装面に搭載できる。例えば、レンズを保持する金属筐筒やLキャリアといった部材が不用になるので、発光モジュールの高さ方向を低くしたりといった設計の自由度が増す。従って、半導体発光素子を搭載する実装面に微細な加工が不要であり、発光モジュールの高さを小型化可能とする構造を有する発光モジュールを提供することができる。
(第2の実施の形態)
図4は、別の実施の形態の光モジュールの構成部品を示す図面である。図5(a)は、本実施の形態の光モジュールを示す図面である。図5(b)は、図5(a)に示された破線のサークル内に示された光モジュールを示す図面である。
図4、図5(a)及び図5(b)を参照すると、光モジュール80は、筐体(ハウジング)82と、半導体発光素子84と、第1の搭載面86と、第2の搭載面88と、レンズ90とを備える。筐体82は、第1の熱伝導率を示す材料から構成されたベース83及び光学窓92を有する。第1の搭載面86は、レンズ90を搭載する。第2の搭載面88は、半導体発光素子84を搭載する。レンズ90は、第1の搭載面86上に搭載される設置面90aを有しており、半導体発光素子84からの光を光学窓92に導くために利用される。
光モジュール80では、第1の搭載面86は、ベース83の第1の熱伝導率以上の熱伝導率を示す材料から構成される。第2の搭載面88は、第1の熱伝導率以上の熱伝導率を示す材料から構成されている。第1の搭載面86及び第2の搭載面88は、実装面を構成することができる。筐体82のベース83は、例えば、コバール、銅タングステン、といった金属材料から成ることが好ましい。また、筐体82のベース83は、アルミナセラミックといったセラミックス材料から成ることができる。第1の搭載面86及び第2の搭載面88は、銅タングステン、窒化アルミニウム、シリコンカーバイト(SiC)といった高熱伝導率を示す導電体材料又は絶縁体材料から成ることが好ましい。また、光モジュール80内に含まれる電子素子からの発熱を放出する観点から、光モジュール80では、第1の搭載面86を構成する材料の熱伝導率は第1の熱伝導率を越えており、また、第2の搭載面88を構成する材料の熱伝導率は第1の熱伝導率を越えることが好ましい。発明者らの実験によれば、搭載面86及び88を提供する部材が十分な体積と高熱伝導率を有していれば、筐体82のベース83にアルミナセラミック材を実用的に使用できることを発見している。筐体82のベース83にアルミナセラミックを用いると、積層セラミック部や後述の側壁部材と同一のプロセスで一体に形成することができる。あるいは、筐体82のベース83と積層セラミック部等を別個にアルミナセラミックで形成した後に、ベース83と積層セラミック部等とをロー材を介して貼り付けることもできる。
光モジュール80によれば、レンズ90は、第1の搭載面86に搭載されるための設置面90aを有しているので、レンズ90を第1の搭載面86に搭載できると共に、第1の搭載面86上においてレンズ90を位置合わせできる。半導体発光素子84は、第2の搭載面88上に搭載されるので、放熱が良好に行われる。第1及び第2の搭載面86、88が、共に第1の熱伝導率以上の熱伝導率を示す材料から構成されるので、半導体発光素子からの光を光学窓に導くためのレンズの位置決めと半導体発光素子の良好な放熱とを共に実現できる。また、第1及び第2の搭載面が共に熱伝導性の良い材料から構成されている。
光モジュール80は、搭載部材94を更に備えることができる。搭載部材94は、例えば実装部として機能している。搭載部材94は、ベース83上に位置している。半導体発光素子84からの熱は、搭載部材94及びベース83を介して発散される。搭載部材94は、所定の軸の方向に配置された第1〜第3の領域94a〜94cを備える。第1の領域94aは、第1の搭載面86を有しており、レンズ90を搭載する。第2の領域94bは、第2の搭載面88を有しており、半導体発光素子84を搭載する。ヒートシンクといった搭載部品86が、半導体発光素子84と搭載部材94との間に設けられている。搭載部品86は、半導体発光素子84からの熱の放散及び半導体発光素子84の高さ方向に関する位置合わせに利用される。第2の領域94bは、また、電子素子98を搭載することができる。電子素子98としては、ダイキャップといったキャパシタ及びワイヤリングポストといった配線部品が例示される。電子素子98は、半導体発光素子84の隣りに配置され、半導体発光素子84の高速動作のために利用される。
光モジュール80は、搭載部材94上に搭載され半導体発光素子84に電気的に接続された駆動素子100を更に備えることができる。第3の領域94cは、駆動素子100を搭載する。駆動素子100及び半導体発光素子84が搭載部材94上に搭載されているので、駆動素子100及び半導体発光素子84を互いに近くに配置できる。駆動素子100からの熱は、搭載部材94及びベース83を介して発散される。搭載部材94は、第3の搭載面99と、第2の搭載面88と第3の搭載面99との間に位置する段94dと、設置面94eとを有している。搭載部材94は、設置面94eをベース83に向けて、筐体82内に配置される。搭載部材94の第2の搭載面88と設置面94eとの距離(高さ)は、第3の搭載面99と設置面94aとの距離(高さ)より小さい。第2の搭載面88と、第2の搭載面88と段差(ステップ)94dによって分離される第3の搭載面99と高さの違いを利用して、駆動素子100の高さ及び半導体発光素子84の高さを位置合わせでき、駆動素子100と半導体発光素子84とを接続するための配線の長さを短縮できる。
光モジュール80は、光学窓92を介して半導体発光素子84からの光を受ける光ファイバ104を更に備えることができる。光ファイバ104は、フェルール108により保持されている。光モジュール80は、フェルール108を保持するための保持部材106を有する。保持部材106は、例えば金属製の部材であり、筐体82上において位置決めされた後に筐体82に固定される。フェルール108は、光ファイバ104を保持しており、保持部材106は、フェルール108及び必要な場合には光アイソレータ110を保持している。光ファイバ104は一端104a及び他端104bを有しており、一端104aは、光学窓92を介してレンズ90からの光を受ける。光ファイバ104は、一端104aに受けた光を他端104bまで伝送するために利用される。
この光モジュール80によれば、光学窓92を気密に封止することができる。また、光ファイバ104と半導体発光素子84との間に設けられた単一のレンズ90を用いて、半導体発光素子84を光ファイバ104に光学的に結合できる。レンズ90は、半導体発光素子84の光出射面からの光を光ファイバ104の一端104aに集光するように作用する。一レンズ系構成を用いると、いくつかの利点がある。まず、光モジュールの構成部品の数を少なくできるので、光モジュールを小型化できる。また、部品点数が少なくなるので、部品コストが低減される。さらに、部品点数が少なくなるので、組立時間が短縮される。例えば、2レンズ系構成では、光ファイバの近くに配置されるレンズの調芯に時間を要しているので、時間短縮の効果は大きい。
光モジュール80は、半導体発光素子84に光学的に結合されたモニタ受光素子114を更に備えることができる。モニタ受光素子114は、筐体82内のキャビティを所定の軸の方向に配置された第1〜第4の領域に分けたとき、第4の領域に配置される。第1の領域には、レンズ90が配置されており、第2の領域には半導体発光素子84が配置されており、第3の領域には駆動素子100が配置されている。モニタ受光素子114は、半導体発光素子84の第2の端面からの光を受ける。この光は、駆動素子100を越えてモニタ受光素子114に到達する。レンズ90は、半導体発光素子84の第1の端面からの光を受ける。この配置形態によれば、駆動素子100を半導体発光素子84の隣りに配置できると共に、半導体発光素子84の背面光をモニタできる。モニタ受光素子114は搭載部品116上に配置されており、モニタ受光素子114の受光面114aは、半導体発光素子84の背面に向いている。モニタ受光素子114の受光面114aは、半導体発光素子84の背面からの光が半導体発光素子84に戻らないように向き付けされている。
図5(b)は、光モジュール80の内部を詳細に示す。半導体発光素子84は、一対の端面84a及び84bを備える。端面84aは、レンズ90と面しており、レンズ90に光学的に結合されている。端面84bは、受光素子114と面しており、受光素子114に光学的に結合されている。
図6は、本実施の形態の光モジュールの筐体の構成部品を示す図面である。図7は、本実施の形態の光モジュールの裏面を示す図面である。図6及び図7を参照しながら、筐体の構造を説明する。筐体82は、ベース83と、フレーム113と、蓋120とを備える。フレーム113は、第1の側壁部材116と、第2の側壁部材118とを含む。第1の側壁部材116及び第2の側壁部材118は、ベース82a上に配置される。この配置により、レンズ90といった光学部品、並びに半導体発光素子及び駆動素子といった電子素子を収容するためにキャビティが形成される。蓋120が、第2の側壁部材118を覆うことにより、キャビティを封止することが可能になる。ベース83は、平坦な面を有する基板上に当該光モジュール80を搭載できるように設けられた外底面83aと、搭載部材94及び第1の側壁部材116を搭載できるように設けられた内底面83bとを有する。好適な実施例は、ベース83の材料は導電性材料である。
第1の側壁部材116は、裏面116aに対向する配線面116bを有する。図8を参照しながら第1の側壁部材116を後述するので、ここでは、第1の側壁部材116を概説する。第1の側壁部材116は、筐体82に側壁116c、116d、116eを提供する。側壁116c、116d、116eの各々は、第1の側壁部材116の3つのエッジ116f、116g、116hから伸びる外側面116i、116j、116kを有する。また、第1の側壁部材116は、開口116mを有する。開口116mは、第1の側壁部材116のエッジ116nから軸122の方向に伸びるように設けられている。開口116mは、本実施の形態では、軸122の方向に伸びる側面116p及び116qと軸122の交差する方向に伸びる側面116rとによって規定されている。第1の側壁部材116がベース83上に配置されたとき、第1の側壁部材116の開口116mの位置にベース83の内底面83bが露出する。第1の側壁部材116の開口116mには、搭載部材94が配置される。
第1の側壁部材116は、軸122に交差する面に沿って伸びる前端面116sを備える。第2の側壁部材118は、側壁116c、116d、116e及び前端面116s上に接触するように、ベース83及び第1の側壁部材116上に位置合わせされる。この位置合わせにより、フレーム113が形成される。フレーム113では、第1の側壁部材116の開口116mの位置に、第2の側壁部材118の前壁118aに設けられた光学窓(図5の参照番号92)が位置する。第2の側壁部材118は、蓋120を載せるための上面118bを有する。第2の側壁部材118の上面118b上に蓋120が配置される。好適な実施例では、第2の側壁部材118及び蓋120の材料は金属であり、これにより、第2の側壁部材118と蓋120との間を気密に封止することが可能になる。
光モジュール80は、光学窓92を介して半導体発光素子84からの光を受ける光ファイバ104を備えている。光ファイバ104は、金属製の第2の側壁部材118上に位置決めされた後に、金属製の保持部材106により保持される。光ファイバ104の位置決めは、金属製の保持部材106及び金属製の側壁部材118を利用して実現される。
図6及び図7を参照しながら、ベース83及び第1の側壁部材116を説明する。ベース83は、軸122の方向に配置された第1の部分83c及び第2の部分83dを有する。第1の部分83cの幅(軸122に交差する方向に関する長さ)は、第2の部分83dの幅より大きい。第1の部分83cの幅は、筐体82の横幅と実質的に同じであり、この形状のおかげで、ベース83が側壁部材116及び118を支持できる。第2の部分83dの幅は、側壁部材116の裏面116aが露出するように設けられている。この露出により、側壁部材116の裏面116a上の電極126に接続されるリード端子124がベース83に接触しない。ベース83の第2の部分83dのエッジ83e、83f、83gは、第1の側壁部材116の裏面116aに設けられている電極と接触しないように、側壁部材116の底面116aのエッジ116f、116g、116hの位置から内側に後退した位置に設けられている。ベース部83の第2の部分83dは、リード端子124a、124bが伸びる方向に伸びるベースリード端子83h、83i、83jを備える。これらのベースリード端子83h、83i、83jは、接地電位といった所定の電位をベース83に与えるために利用される。リード端子124a、124b及びベースリード端子83h、83i、83jは、第1の側壁部材116の側面よりも外に突き出している。
図8は、図6に示された第1の側壁部材を示す図面である。第1の側壁部材116は、裏面116aから配線面116bに向かう方向Sに順に設けられた複数の絶縁層126a〜126f及び126g〜126iを備える。絶縁層126aの一表面は、第1の側壁部材116の裏面116aを構成することができる。絶縁層126fの一表面は、第1の側壁部材116の配線面116bを構成することができる。複数の絶縁層126g〜126iは、第1の側壁部材116の側壁116c、116d、116eを構成する。好適な実施の形態では、絶縁層の各々は、アルミナといったセラミック材料から構成され、セラミック配線基板を形成する手法により第1の側壁部材116を製造することができる。第1の側壁部材116は、複数の導電層128a〜128dを備える。導電層128a〜128dの各々は、いずれか絶縁層126a〜126fの間に設けられている。第1の側壁部材116は、配線面116b上に設けられた配線層132a〜132fを備える。これらの配線層132a〜132f及び導電層128a〜128dを接続するために、第1の側壁部材116は、ビア130a〜130fを備える。第1の側壁部材116においては、導電層128a〜128d、ビア130a〜130f及び配線層132a〜132fを介して、配線面116b上に搭載された電子素子(図5(b)に示された電子素子134a〜134f)及び受光素子114、壁部116cと側壁116eとの間に位置している搭載部材94上に搭載された半導体発光素子84及び駆動素子100、リード端子124a、124bを電気的に接続することができる。また、第1の側壁部材116が複数の絶縁層と複数の配線層とを備えるので、モニタ用受光素子114といった電子素子を配線層及び導電層を介して互いに接続できる。第1の側壁部材116によれば、発光モジュール内の半導体発光素子、駆動素子及びモニタ用受光素子といった電子素子を互いに電気的に接続するために別個の配線基板が不要になる。
第1の側壁部材116は、多層の絶縁層とこれらの間に位置する導電層とを備えるので、10Gbps以上の伝送速度を実現する高周波電気信号を伝送するための伝送線(例えば、マイクロストリップライン、ストリップライン)を実現することができる。本実施の形態において、例えば、半導体発光素子84を駆動するために信号は、一対のリード端子124aに入力される。リード端子124aは、第1の側壁部材116内のビア130e、130f及び導電層128を介して、一対の配線層132c、132dに電気的に接続される。配線層132c、132dは、図5(b)に示されるように、ボンディングワイヤといった接続部材を介して駆動素子100に接続される。図7を参照すると、リード端子124aの両側には、ベースリード端子83iが位置している。ベースリード端子83iは、ベース83に電気的に接続されているので、接地電位といった安定な電位になる。故に、本筐体82は、高周波信号を取り扱う小型の光モジュールを実現するために好適な構造になる。
図9(a)は、図5(a)に示されたIII−III線に沿った断面図である。光モジュール80では、搭載部材94は、ベース83上に配置されている。搭載部材94の第1の搭載面86とベース83との距離d2は、側壁部材116の配線面116aとベース83との距離d1より小さいので、レンズ90と光ファイバ104との光学的な位置合わせが容易になる。また、搭載部材94の第1の面86及び88とベース83との距離d2は、搭載部材94の第2の面99とベース83との距離d3より小さい。この差(d3−d2)は、搭載部材94の段94dにより生じている。この段94dにより、半導体発光素子84の高さ及び駆動素子100の高さを調整できるので、半導体発光素子84と駆動素子100との配線長を短縮できる。さらに、搭載部材94の第2の面99とベース83との距離d3は、側壁部材116の配線面116aとベース83との距離d1より小さい。この差(d1−d3)により、配線面116bの高さ及び駆動素子100の高さを調整できるので、配線面116bと駆動素子100との配線長を短縮できる。レンズ90の設置面90bは、第1の搭載面86と接着部材119とを介して固定されている。好適な実施例では、接着部材119はUV硬化剤を含む。UV硬化接着部材によれば、レンズ90の位置合わせとレンズ90の固定が容易にできる。レンズ90の固定に溶接を用いないので、溶接に起因する金属の歪みを生じることがない。また、溶接のために必要とされる金属製のレンズ保持部材が不要になる。
図9(b)は、III−III線と等価な線に沿って取られた光モジュールの変形例を示す断面図である。図9(b)を参照すると、光モジュール80aが示されている。光モジュール80aは、側壁部材116に替えて、側壁部材115を備える。側壁部材115は、裏面115a及び配線面115bを備える。光モジュール80aでは、側壁部材115の最下の絶縁層115cが搭載部材95とベース83との間に設けられている。側壁部材115は、ベース83の上面を覆うように設けられた絶縁層115c上に側壁部材116を配置することにより得られる形状を有する。搭載部材95の高さは、絶縁層115cの厚さ分だけ、搭載部材94の高さより低い。光モジュール80aでは、搭載部材95が導電性を示すときでも、ベース83と搭載部材95とを電気的に絶縁できる。また、絶縁層115cは、側壁部材115と一体に設けられているので、搭載部材95のための電位を側壁部材115の導電層を介して提供できる。
図9(c)は、III−III線と等価な線に沿って取られた光モジュールの変形例を示す断面図である。図9(c)を参照すると、光モジュール80bが示されている。光モジュール80bでは、搭載部材95とベース83との間には、絶縁層117が設けられている。絶縁層117は、ベース83の上面を覆うように設けられている。好適な実施例では、絶縁層117の材料は、側壁部材116の絶縁体或いはベース83の材料の熱伝導率より優れた熱伝導率を示す絶縁体であり、例えば窒化アルミニウム(AlN)がある。搭載部材95の高さは、絶縁層117の厚さ分だけ、搭載部材94の高さより低い。光モジュール80bでは、搭載部材95が導電性を示すときでも、ベース83と搭載部材95とを電気的に絶縁できる。また、光モジュール80bでは、搭載部材95からの熱の放熱性に優れる。
図10は、光モジュールの光学的な結合を示す図面である。光モジュール80において、半導体発光素子84の一端面84aからの光Aはレンズ90に入射する。レンズ90は、発散的な光Aを集光的な光Bに変換する。光Bは、光学窓92に入射する。光学窓92の光入射面92aにおいて、入射光Bの一部は反射光Cになり、残りの光は透過光Dになる。透過光Dは、光ファイバ104の端部104aに入射する。
光モジュール80では、レンズ90の位置と半導体発光素子84の位置との距離は、半導体発光素子84からの光をコリメート光に変えるためのレンズ90の位置と半導体発光素子84の位置の距離より大きくなっている。光モジュール80によれば、光ファイバ104と半導体発光素子84との間に設けられた単一のレンズ90を用いて、半導体発光素子84を光ファイバ014に光学的に結合できる。
光モジュール80では、光学窓92は、光入射面92aを有している。光入射面92aが、ベース83が伸びる方向に沿って設けられた所定の面に対して0度より大きく90度より小さい角度(図10におけるα)、例えば8度程度の角度で交差する別の面に沿って伸びるとき、光入射面92aによる反射光Cは、筐体82の底面に向けて進む。結果として、反射光Cは、筐体82の内壁により多重反射されて、半導体発光素子84及び受光素子114に入射することが無い。好適な角度の範囲は、2度以上45度以下であり、望ましくは、8度程度または8度以下である。光入射面92aの傾斜角が2度以上のであれば、半導体発光素子への戻り光が低減される。傾斜角が8度以下であれば、半導体発光素子への戻り光が低減でき、傾斜による寸法の増大が許容できる。45度程度の傾斜角が上限値を考えられる。
図11(a)及び図11(b)は、レンズの変形例を示す図面である。図11(a)を参照すると、レンズ136が示されている。レンズ136は、レンズ30及び90と同様に、対向面136a及び設置面136bを有する。レンズ136では、対向面136aは、設置面136bに直交する軸に交差する面に沿って伸びている。対向面136a及び設置面136bを設けることにより、レンズの高さを小さくできるので、光モジュールの高さを縮小できる。図11(b)は、図11(a)におけるIV−IV線に沿った断面を示す。図11(b)を参照すると、レンズ136の中心軸を含む平面とレンズ136の外面との交差線が示されている。この交差線は、対向面136aから設置面136bまで伸びている。交差線の曲率半径は、面136cにおいて、対向面136aから離れるにつれて増加及び減少の一方の変化を示しており、曲率半径の極値(極大値或いは極小値)を取った後に、設置面136bに近づくにつれて増加及び減少の他方の変化を示す。また、交差線の曲率半径は、面136dにおいて、対向面136aから離れるにつれて増加及び減少の一方の変化を示しており、曲率半径の極値(極大値或いは極小値)を取った後に、設置面136bに近づくにつれて増加及び減少の他方の変化を示す。このようなレンズも、また非球面レンズと呼ばれている。非球面レンズによれば、半導体発光素子からの光を効率的に集光できる。
図11(c)は、レンズを製造する方法を示す図面である。レンズ材料140は、中心軸140aに沿って伸びる柱状の部分140bを備えており、柱状部分140bは、中心軸140aに交差する一対の面140c及び140dを有している。一方の面140cには、曲面を有する凸部140eが設けられている。凸部140は、中心軸140aを軸とする回転対称性を有する。他方の面140dには、曲面を有する凸部140fが設けられている。凸部140は、中心軸140aを軸とする回転対称性を有する。中心軸140aを含む平面に交差する一対の平面140g、140hとレンズ材料140との交差面において、レンズ材料140を切断することにより、レンズ136が得られる。平面140gと平面140hとの間に、中心軸140aが存在する。
図12は、光モジュールの別の変形例を示す図面である。図12を参照すると、光モジュール80cが示されている。光モジュール80cは、ピグテールファイバ104に替えて、光コネクタと結合可能なレセプタクル133を備える。レセプタクル133は、所定の軸方向に伸びるフェルール142を保持している。フェルール142は、その中に光ファイバ144を含む。フェルール142の一端はレセプタクル133から突出しており、フェルール142の一端には、光ファイバ144の一端が現れている。フェルール142に保持された光ファイバ144の他端は光学窓92を介して、半導体発光素子84からの光を受ける。レセプタクル133は、光コネクタに嵌め合わされる突起103aを有する。
(第3の実施の形態)
図13〜図17は、光モジュールを製造する方法を示す図面である。図13〜図17では、座標系が示されている。
図13に示されるように、レンズ90、光モジュールのワークピース146及び光モニタ装置150を準備する。ワークピース146は、半導体発光素子84が発光可能なように組み立てられている。半導体発光素子84は、第2の搭載面88上に搭載されている。光モニタ装置150は、半導体発光素子84からの光をモニタするために利用される。例示的な光モニタ装置150は、半導体発光素子84からの光を受ける画像発生器152と、画像発生器152からの画像を表示する表示器154とを有する。画像発生器152は、ワークピース146から所定の距離、例えば50センチメートル程度の距離の位置に配置される。また、レンズ90を取り扱うために、真空チャック装置148といった組み立てツールを準備する。第2の搭載面86上にレンズ90を配置するに先だって、紫外線硬化剤を含む接着部材160を搭載面86上に設ける。接着部材160は、供給ツール161を用いて搭載面86に供給される。後の工程において、接着部材160上にレンズ90が配置される。
次いで、図14に示されるように、半導体発光素子84がレンズ90を介して光モニタ装置150に光学的に結合されるように、筐体82外に光モニタ装置150を置くと共に第2の搭載面86上にレンズ90を配置する。この配置の結果、光モニタ装置150及びワークピース146は、Z軸方向に配列される。レンズ90は、レンズ90の対向面90bを真空チャック装置148で吸着して第1の搭載面86に移動する。ワークピース146の半導体発光素子84に電力を供給できるように、ワークピース146に電源156を接続する。レンズ90は、第1の搭載面86上において、X軸及びZ軸の方向に真空チャック装置148を利用して移動される。
続いて、第1の搭載面86上においてX軸及びZ軸の方向にレンズ90を移動して、光モニタ装置150からのモニタ信号I1に基づいてレンズの第1の位置を決定する。モニタ信号I1は、半導体発光素子84からの光ビームNCがコリメートされていないことを示す。図15に示されるように、表示器154の画面には、基準線154a及び光ビーム像154bが表示される。第1の位置を決定するために、光ビーム像154bが基準線154aに対して所定の位置に来るようにレンズ90を移動する。第1の位置では、半導体発光素子84からの光ビームCBが実質的にコリメートされている。このとき、画像発生器152は、モニタ信号I2を生成する。モニタ信号I2は、半導体発光素子84からの光ビームがコリメートされていることを示す。この移動により、光モニタ装置152における光ビームを表す像の面積は小さくなる。好適な実施の形態では、第1の位置は、光モニタ装置152における光ビームを表す像の面積が実質的に最小になるように決定される。この配置(コリメート配置)において、半導体発光素子84とレンズ90との間隔は、シンボルL1で示す。
第1の位置が決定された後に、真空チャック装置148を用いてレンズ90を第2の位置に移動する。図16に示されるように、第1の位置P1におけるレンズ90と半導体発光素子84との距離は、第2の位置P2におけるレンズ90と半導体発光素子84との距離より小さい。このとき、画像発生器152は、モニタ信号I3を生成する。モニタ信号I3は、半導体発光素子84からの光ビームがコリメートされる位置からレンズ90がシフトされたことを示す。レンズ90を第2の位置に移動する工程では、レンズ90を光学窓92の方向に移動する。この移動により、半導体発光素子84からの光は、レンズ90によりある位置に集光する。この位置は、光ファイバの位置合わせにより、光ファイバが移動できる領域内に位置する。この製造方法によれば、単一のレンズ90を用いて、半導体発光素子84からの光の集光を行うレンズ90の位置を決定できる。第1の位置P1と第2の位置P2との距離は、△Zにより表されている。この配置(シフトト配置)において、半導体発光素子84とレンズ90との間隔は、シンボルL2で示す。距離L1は、距離L2より小さい(L2>L1)。一実施例では、L1=0.2ミリメートル程度から2ミリメートル程度であり、画像発生器152とレンズとの間隔を50センチメートル程度であるので、画像表示器に生じされるブームスポットの面積が実質的に最小になるように、レンズの位置を調整することにより、レンズは実質的なコリメートの位置にある。レンズのコリメート位置が決定された後に、レンズ90をZ軸(半導体発光素子84から光学窓92に向かう方向)に所定値△Zだけ移動させる。このとき、画像表示器156のビーム像は、像が薄くなると共に大きくなる(画像表示器156の大きさによっては、表示範囲を超えて大きくなる)。所定値△Zは、設計段階で設計した固定値である。
第2の位置においてレンズ90を移動することなく、予め搭載面86上に設けられていた紫外線硬化剤を含む接着部材160に紫外線を含む光158をレンズ90に照射すると、接着部材160の紫外線硬化剤が硬化する。この硬化により、レンズ90の位置決めが完了する。この位置のレンズ90は、光ファイバ104の位置合わせの際に光ファイバ104が移動する位置範囲内に半導体発光素子からの光を集光する。
図17に示されるように、光ファイバ104の位置合わせを行った後に、保持部材106とブッシュ(図3の参照番号50)の固定(Z軸方向の位置決め)を行い、次いで、保持部材106を側壁部材118に固定する(X、Y軸方向の位置決め)。これらの主要な工程により、光モジュール80が完成する。
図18は、光モジュールを製造する方法の変形例を示す図面である。変形例の方法では、レンズ90を第2の位置に移動する工程において、第2の位置は、第1の位置に対して所定の値△Zだけシフトされている。このシフトは、光モニタ装置を用いることなく、レンズ90の位置を所定値だけシフトする。シフトされた位置において、レンズ90は、半導体発光素子84からの光を集光できる。この位置において、光ビーム像の面積が実質的に最小になっていると期待される。
(第4の実施の形態)
図19は、更なる別の実施の形態の光モジュールの構成部品を示す図面である。図20は、本実施の形態の光モジュールを示す図面である。
図19及び図20を参照すると、光モジュール80dは、筐体81と、半導体発光素子84と、レンズ90と、搭載部材94と、電子素子98と、駆動素子100と、受光素子114とを備える。光モジュール80dによれば、レンズ90は、第1の搭載面86に搭載されるための設置面90aを有しているので、レンズ90を第1の搭載面86に搭載できると共に、第1の搭載面86上においてレンズ90を位置合わせできる。半導体発光素子84は、第2の搭載面88上に搭載されるので、放熱が良好に行われる。第1及び第2の搭載面86、88が、共に第1の熱伝導率以上の熱伝導率を示す材料から構成されるので、半導体発光素子からの光を光学窓に導くためのレンズの位置決めと半導体発光素子の良好な放熱とを共に実現できる。
図19及び図20を参照しながら、筐体の構造を説明する。筐体81は、ベース85と、第1の側壁部材125と、第2の側壁部材127と、蓋121とを備える。第1の側壁部材125及び第2の側壁部材127は、ベース85上に配置される。この配置により、レンズ90といった光学部品、並びに半導体発光素子及び駆動素子といった電子素子を収容するためにキャビティが形成される。蓋121が、第2の側壁部材127を覆うことにより、キャビティを封止することが可能になる。ベース85は、平坦な面を有する基板上に当該光モジュール80を搭載できるように設けられた外底面85aと、搭載部材94及び第1の側壁部材116を搭載できるように設けられた内底面85bと,延出されたフランジ85cとを有する。好適な実施例は、ベース85の材料は導電性材料である。
第1の側壁部材125は、第1の側壁部材116と同様の構造を有しており、例えば筐体81に側壁125c、125d、125eを提供する。第1の側壁部材125は、開口125mを有する。第1の側壁部材125の開口125mには、搭載部材94が配置される。第1の側壁部材125は、前端面125sを備える。
第2の側壁部材127は、側壁125c、125d、125e及び前端面125s上に接触するように、ベース85及び第1の側壁部材125上に位置合わせされる。この位置合わせにより、第1の側壁部材125の開口125mの位置に、第2の側壁部材127の前壁127aに設けられた光学窓92が位置する。
第1の側壁部材125は、第1の側壁部材116と同様に複数の絶縁層を備える。好適な実施の形態では、絶縁層の各々はセラミック材料から構成され、セラミック配線基板を形成する手法により第1の側壁部材125を製造することができる。第1の側壁部材126は、第1の側壁部材116と同様に複数の導電層を備える。導電層の各々は、いずれか絶縁層の間に設けられている。第1の側壁部材125は、第1の側壁部材116と同様に配線面125b上に設けられた配線層を備える。これらの配線層及び導電層を接続するために、第1の側壁部材125は、第1の側壁部材116と同様にビアを備える。第1の側壁部材125においては、導電層、ビア及び配線層を介して、配線面125b上に搭載された電子素子135a〜135f及び受光素子114、半導体発光素子84及び駆動素子100、並びにリード端子123a、123bを電気的に接続することができる。配線面125bが、半導体発光素子84を駆動するために信号を伝送するために一対の配線層129a及び129bを有する。配線層129a及び129bの各々の両側には、接地電位の導電層129c、129d、129eを有する。光モジュール80dは、配線層129a及び129bを越えて接地電位線129c、129d、129eの間を接続する複数のボンディングワイヤ131を備えている。発明者の実験によれば、配線層129a及び129bの各々の両側の導電層の電位を安定化するために好適である。以上、説明したように、第1の側壁部材125は、多層の絶縁層とこれらの間に位置する導電層とを備えるので、10Gbps以上の伝送速度を実現する高周波電気信号を伝送するための伝送線(例えば、マイクロストリップライン、ストリップライン)を実現することができる。故に、本筐体82は、高周波信号を取り扱う小型の光モジュールを実現するために好適である。
以上説明したように、本実施の形態の光モジュールでは、設置面を有するレンズと、このレンズに光学的に結合する半導体発光素子とを搭載部材上に搭載することにより、発光モジュールの高さを小型化可能とする構造を実現している。また、光モジュール内の電子素子のうち発熱量の大きい半導体発光素子及び駆動素子を放熱性の優れる搭載部材上に配置することにより、光モジュールの温度の低減を実現している。さらに、半導体発光素子及び駆動素子を除く電子素子を配置できると共に電子素子相互を接続するために接続構造を備える筐体の構造と一体に形成している。故に、配線基板を別個に準備する必要がない。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることができることは、当業者によって認識される。例えば、半導体発光素子には、半導体レーザ素子、EA変調器、並びに半導体レーザ素子及びEA変調器を集積する半導体光集積素子等が含まれる。また、側壁部材は、筐体の側壁を提供するために利用されており、側壁に加えて筐体の外表面を提供することができる。側壁部材の構造の詳細は必要なように変更されることができる。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
1…発光モジュール、10…筐体、101…金属製フレーム、101a…リードピン、101b…積層セラミック体、102…実装部、102a…実装面…103…封止部、103a、103c…ホルダ、103b…ハーチメックガラス、20、23…チップキャリア、21…半導体発光素子、22…電子半導体チップ、24…フォトダイオードチップ、30…レンズ、30a…対向面、30b…設置面、40…スリーブ、50…ブッシュ、60…フェルール、70…光ファイバ、80、80a、80b、80c、80d…光モジュール、82…筐体(ハウジング)、83…ベース、84…半導体発光素子、86…第1の搭載面、88…第2の搭載面、90…レンズ、90a…設置面、90b…対向面、92…光学窓、100…駆動素子、104…光ファイバ、108…フェルール、106…保持部材、110…光アイソレータ、114…モニタ受光素子、113…フレーム、120…蓋、116…第1の側壁部材、118…第2の側壁部材