JP3945314B2 - 蓄熱床暖房装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、深夜電力を利用して蓄熱し、この蓄熱した熱を昼間等に放熱して暖房するようにした蓄熱床暖房装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の蓄熱床暖房装置としては、図4に示すような蓄熱床暖房パネルAを敷設したものがある。この蓄熱床暖房パネルAは潜熱蓄熱材を内包した蓄熱体1の下面にヒータ2を装着し、蓄熱体1の上に放熱制御アクチュエータ3を配設し、放熱制御アクチュエータ3の上に下地合板4を貼り、下地合板4の上に床表面材5を貼ってある。上記床表面材5は厚みが12〜15mm程度の床材であり、下地合板4は厚み12mmの合板である、上記放熱アクチュエータ3はPETの袋の表面側にアルミニウム箔を貼り、袋を膨張収縮させることにより蓄熱体1から放熱される放熱量を制御するようになっている。蓄熱体1は潜熱蓄熱材を内包させてあり、潜熱蓄熱材の融点は例えば55℃で溶融して潜熱を蓄熱するものである。ヒータ2は均熱作用をさせるアルミニウム箔の下面にコードヒータを融着して形成されている。
【0003】
この床暖房装置で蓄熱を行うときは、蓄熱体1の潜熱蓄熱材を融点である55℃以上にヒータ2の温度を上昇させ、急速に蓄熱を行っている(例えば約80℃まで温度を上昇させ、潜熱を蓄熱する温度である55℃と温度勾配を持たせている。)。これにより、深夜電力時間帯(例えば23:00〜7:00の間)に蓄熱体1への必要熱量を投入し蓄熱を完了させている。昼間等には蓄熱体1に蓄熱した熱を徐々に放熱して床暖房を行うようになっている。このとき放熱制御アクチュエータ3を制御することにより放熱量を制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにして床暖房を行っているとき、夕方以降、蓄熱量が少なくなって床温度が低下してきたらヒータ2に通電し、必要な分だけ床温度を上昇させるように追い焚きする必要がある。追い焚きするとき、ヒータ2に通電して温度上昇させ、この熱が蓄熱体1を通過することで床表面まで伝わって行くようになっている。
【0005】
しかし、従来通りの温度でヒータ2を運転した場合、蓄熱体1の潜熱蓄熱材に潜熱として熱が取られてしまい、本来、電気代の安い深夜電力で投入するべき熱量まで割高の時間帯の電力で賄うこととなる。つまり、追い焚きするときも潜熱蓄熱材の融点より高い温度でヒータ2にて加熱あるため図4の矢印aのようにヒータ2から床表面に伝熱されるとき、蓄熱体1の潜熱蓄熱材に図4の矢印bのように熱(潜熱+顕熱)が奪い取られ、床表面に伝熱される熱量が少なくなり、また必要以上の熱量を割安でない電力で供給してしまうという問題がある。これでは深夜電力利用でランニングコストが安いという最大の特徴を打ち消してしまうという問題がある。追い焚きするときは深夜電力時間帯以外の通電なので、電気代が割高になり、極力使用電力量を抑えたい。そのためには蓄熱体1に蓄熱せずに床温度のみを上昇させるのが理想的である。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、床表面の温度が下がってきて追い焚きするときの電気使用量を極力抑えることができてランニングコストを低減できる蓄熱床暖房装置を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の蓄熱床暖房装置は、筐体7内に潜熱蓄熱材を内包した蓄熱体1の下面側にヒータ2を配置し、蓄熱体1の上で筐体7と一体の周壁8にて囲まれた部分に放熱制御アクチュエータ3を配設し、放熱制御アクチュエータ3の上に下地合板4を介して床表面材5を貼ってあり、蓄熱体1の上記放熱制御アクチュエータ3はPETの袋の表面側にアルミニウム箔を貼り、袋を膨張収縮させることにより蓄熱体1から放熱される放熱量を制御するように構成してあり、深夜電力を利用できる時間帯にはヒータ2にて蓄熱体1を潜熱蓄熱材の融点以上の温度に加熱して蓄熱体1に蓄熱すると共に深夜電力を利用できる時間帯以外で蓄熱体1の蓄熱量が低下して床温度が低下したとき潜熱蓄熱材の融点以下の温度で蓄熱体1を加熱するようにヒータ2を制御したことを特徴とする。深夜電力を利用できる時間帯にはヒータ2にて蓄熱体1を潜熱蓄熱材の融点以上の温度に加熱して蓄熱体1に蓄熱することができ、また床の温度が低下して追い焚きするときは潜熱蓄熱材の融点以下の温度で(潜熱を蓄熱する温度以下)ヒータ2にて加熱することにより、蓄熱体1に熱を取られることなく床表面材5にヒータ2からの熱を伝達することができる。これにより追い焚きするときの電気使用量を極力抑えることができてランニングコストを低減できる。
【0008】
また蓄熱体1と床表面材5との間に放熱制御アクチュエータ3を介装したことを特徴とすることも好ましい。放熱制御アクチュエータ3にて放熱量を制御して適切な床暖房ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
床暖房装置は床暖房パネルAを床下地に敷設して構成されている。床暖房パネルAは、図3に示すようにポリプロピレン等で形成せる偏平な矩形状の筐体7内に潜熱蓄熱材を内包して蓄熱体1を形成し、蓄熱体1の下面にヒータ2を装着し、蓄熱体1の上で筐体7と一体の周壁8にて囲まれ部分に放熱制御アクチュエータ3を配設し、放熱制御アクチュエータ3の上に下地合板4を貼り、下地合板4の上に床表面材5を貼って形成してある。潜熱蓄熱材は例えば融点が55℃であり、この融点付近の温度で溶融して潜熱を蓄熱するようになっている。
【0010】
図1に示すようにヒータ2には交流電源10からリレーユニット11を介して電気が供給されるようになっている。コントローラ12は制御部13を有し、制御部13でリレーユニット11が制御されるようになっている。コントローラ12には時間が深夜電力時間帯であるか否かを判断する時間判断部14を有し、時間判断部14からの信号が制御部13に入力されるようになっている。時間判断部14は本例の場合、時刻タイマー15にて時間を判断するようになっている。かかる時刻タイマー15に代えて深夜電力の供給の開始の有無で判断してもよい。またコントローラ12には追い焚き釦16を有しており、追い焚き時に追い焚き釦5を操作することで追い焚き信号が制御部13に入力されるようになっている。またヒータ2の温度は温度センサー17で検出されて制御部13に入力されるようになっている。
【0011】
蓄熱体1には深夜電力を利用できる時間帯に蓄熱される。このときヒータ2に深夜電力が通電されて潜熱蓄熱材の融点以上温度で蓄熱体1が加熱されて蓄熱体1に熱(潜熱+顕熱)が蓄熱される。これにより安価な深夜電力を利用して蓄熱される。昼間等には蓄熱体1から放熱することで床表面に伝熱して床暖房をする。床暖房をして夕方などに床表面の温度が低下したとき、追い焚きするときは追い焚き釦16を操作して追い焚きをする。このとき、ヒータ2で蓄熱体1を潜熱蓄熱材の融点以下の温度で加熱する。これにより蓄熱体1の潜熱蓄熱材に殆ど熱が奪われることなく床表面材2に伝熱される。これにより深夜電力の時間帯以外にヒータ2に通電して追い焚きするものでも電気の使用量を少なくしてランニングコストを低減することができる。
【0012】
次に潜熱蓄熱材の融点が55℃の場合の制御についてさらに具体的に述べる。通常の深夜蓄熱運転時は従来通りヒータ2を高温に発熱するように制御する(本例では80℃程度)。床表面の温度が下がって追い焚きする場合、追い焚き釦16を押して追い焚きを開始する。追い焚き釦16を押したとき時間判断部14で深夜電力時間帯か否かが判定され、深夜電力時間帯以外のときにはヒータ2の加熱温度を潜熱蓄熱材の融点55℃程度以下とする(ヒータ2をON/OFF制御する場合は、ヒータ2のOFF温度を55℃±5℃程度とする)。追い焚き釦16を押したとき、深夜電力時間帯の場合、既にヒータ2への通電を行っている(温度制御80℃)ので55℃の制御温度をそのままとする。
【0013】
深夜電力の時間帯以外の時間に追い焚きする場合で、例えば床表面を27℃にする場合、前述の蓄熱床暖房パネルAの構成では蓄熱体1の床表面側の温度を約45℃に保てばよい。蓄熱体1の厚みが約25mm程度なら、ヒータ2の加熱時の蓄熱体1の表裏面の温度差が10〜15℃であり、ヒータOFF温度:55〜60℃ヒータON温度:45〜50℃で運転することにより、蓄熱体1(潜熱蓄熱材部分)に蓄熱されることなく、蓄熱体1の床表面側の温度を45℃以上に保つことができ、床表面温度の低下を防止できる。
【0014】
これは蓄熱体1の床表面側の温度が室温程度に下がってしまい、再度45℃程度まで加熱する場合でも同じである。この際、蓄熱体1の潜熱蓄熱材が融点温度を越えなければ潜熱蓄熱材に蓄熱されることはない。
【0015】
追い焚きモードの終了は追い焚き釦16をもう一度押すか、深夜電力の供給開始を判断することで行う。
【0016】
なお、本発明に用いる潜熱蓄熱材の特性としては、潜熱を蓄熱する温度域が狭く、急峻な潜熱特性を持つもので、且つ融点が暖房効果を得るのに必要な温度よりも10〜20℃程度高いものが効果的である。低温域からなだらかな潜熱特性を持つもの、融点が必要温度より低い特性の潜熱蓄熱材は効果は少なくなる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明は、筐体内に潜熱蓄熱材を内包した蓄熱体の下面側にヒータを配置し、蓄熱体の上で筐体と一体の周壁にて囲まれた部分に放熱制御アクチュエータを配設し、放熱制御アクチュエータの上に下地合板を介して床表面材を貼ってあり、蓄熱体の上記放熱制御アクチュエータはPETの袋の表面側にアルミニウム箔を貼り、袋を膨張収縮させることにより蓄熱体から放熱される放熱量を制御するように構成してあり、深夜電力を利用できる時間帯にはヒータにて蓄熱体を潜熱蓄熱材の融点以上の温度に加熱して蓄熱体に蓄熱すると共に深夜電力を利用できる時間帯以外で蓄熱体の蓄熱量が低下して床温度が低下したとき潜熱蓄熱材の融点以下の温度で蓄熱体を加熱するようにヒータを制御したので、深夜電力を利用できる時間帯にはヒータにて蓄熱体を潜熱蓄熱材の融点以上の温度に加熱して蓄熱体に蓄熱することができ、また床の温度が低下して追い焚きするときは潜熱蓄熱材の融点以下の温度でヒータにて加熱することにより、蓄熱体に熱を取られることなく床表面材にヒータからの熱を伝達することができるものであって、追い焚きするときの電気使用量を極力抑えることができてランニングコストを低減できるものである。
【0018】
また本発明の請求項2の発明は、請求項1において、蓄熱体と床表面材との間に放熱制御アクチュエータを介装したので、放熱制御アクチュエータにて放熱量を制御して適切な床暖房ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例の蓄熱床暖房装置を説明する説明図である。
【図2】 同上の制御のフローチャートである。
【図3】 同上の蓄熱床暖房パネルの断面図である。
【図4】 従来例を説明する蓄熱床暖房パネルの断面図である。
【符号の説明】
A 蓄熱床暖房パネル
1 蓄熱体
2 ヒータ
3 放熱制御アクチュエータ
5 床表面材
Claims (2)
- 筐体内に潜熱蓄熱材を内包した蓄熱体の下面側にヒータを配置し、蓄熱体の上で筐体と一体の周壁にて囲まれた部分に放熱制御アクチュエータを配設し、放熱制御アクチュエータの上に下地合板を介して床表面材を貼ってあり、蓄熱体の上記放熱制御アクチュエータの上に下地合板を貼り、下地合板の上に床表面材を貼ってあり、蓄熱体の上記放熱制御アクチュエータはPETの袋の表面側にアルミニウム箔を貼り、袋を膨張収縮させることにより蓄熱体から放熱される放熱量を制御するように構成してあり、深夜電力を利用できる時間帯にはヒータにて蓄熱体を潜熱蓄熱材の融点以上の温度に加熱して蓄熱体に蓄熱すると共に深夜電力を利用できる時間帯以外で蓄熱体の蓄熱量が低下して床温度が低下したとき潜熱蓄熱材の融点以下の温度で蓄熱体を加熱するようにヒータを制御したことを特徴とする蓄熱床暖房装置。
- 蓄熱体と床表面材との間に放熱制御アクチュエータを介装したことを特徴とする請求項1記載の蓄熱床暖房装置。
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