JP3943750B2 - トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法等における静電荷像を現像するために使用するトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法では、感光体に形成された静電荷像を、通常、顔料等を含むトナーで現像し、得られたトナー像を転写紙上に転写し、熱ロール等で定着し、他方、感光体は再び静電荷像を形成するためにクリーニングが行われる。
【0003】
このような電子写真法等で使用する乾式現像剤は、結着樹脂中に着色剤を分散したトナーそのものを用いる一成分現像剤と、そのトナーにキャリアを混合した二成分現像剤とに大別することができ、そしてこれ等の現像剤を用いてコピー操作を行なう場合、プロセス適合性を有するためには、現像剤が、流動性、耐ケーキング性、定着性、帯電性、クリーニング性等に優れていることが必要である。そして、持に流動性、耐ブロッキング性を高めるために無機微粉末をトナーに添加することがしばしば行われている。
【0004】
しかしながら、これらの微粉末は帯電性に大きな影響を与えてしまう。例えば、一般に使用されているシリカ系微粉末の場合、負極性が強く、高温高湿度と低温低湿度環境で帯電性に大きな差を生じてしまうという問題があった。その結果、背景カブリ、濃度再現不良の原因となることがあった。
【0005】
また分散性もトナー特性に大きな影響を与え、そして分散性が不均一な場合、流動性や耐ブロッキング性に所望の特性が得られなかったり、クリーニングが不十分になって、感光体上にトナー固着などが発生し、白抜け状の画像欠陥の生じる原因となることがあった。
【0006】
これらの点を改善する目的で、無機微粉未を表面処理したものを用いることが種々提案されている。正帯電性トナーに閑しては、例えば、特開昭55−135854号公報にトナーの荷電性を正に制御する荷電制御物質で処理したシリカを用いることが、特開平1−123252号公報にはアンモニウム塩を官能基として含有するポリシロキサンにより処理された無機微粒子を用いることが、特開平4−125568号公報にはジアルキルアミノアクリレートまたはジアルキルアミノメタクリレートを第4級アンモニウム塩の形態で含有する樹脂を用いてシリカ微粒子の表面処理を行ったトナーを用いた例がそれぞれ記載されている。負帯電性トナーに関しては、特開平7−311475号公報にシリコーンオイルにより表面処理された負帯電性疎水性シリカ微粒子からなる外添剤が磁性トナー母体の表面に添加されていることが、特開平10−10773号公報に少なくとも3種の外添剤を混含添加してなる負荷電性トナーが、特開平10−171155号公報に外添剤が鉄粉と摩擦帯電させたときに正に帯電する無機微粒子及び負に帯電する無機微粒子を含んでいるトナーが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来提案されたものは、一長一短があり、必ずしも満足のいく結果が得られるものではなかった。例えば、上記特開昭55−135854号公報に記載の場合は、処理する荷電制御物質が染料であるため、外添剤微粒子が着色され、カラートナーに適用することが困難であるという問題があった。さらに、特開平10−171155号公報に記載の場合は、帯電量分布が広くなることから、十分な画像濃度と地カブリの両立に対する許容幅が少ないという問題があった。また、その他のものについても、要求される性質を全て満足するものではなかった。
【0008】
したがって、本発明は、従来の技術における上記のような実状に鑑みてなされたものである。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、流動性、帯電性ともに優れ、低温低湿から高温高湿環境まで環境安定性に優れたトナーを提供することにある。また、十分な画像濃度が得られ、地カブリの少ない、白抜けの画像欠陥が発生しにくいトナーを提供することにある。さらに、トナー表面に外添剤が均一に分散していることから、耐凝集性と耐久性に優れ、ドラムからの転写性、クリーニング性、画像のハイライト部(薄い画像濃度の部分)の再現性に優れたトナーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トナー粒子及び外添剤微粒子を有するトナーにおいて、
該外添剤微粒子は、(1)シランカップリング剤によって処理されており、(2)該シランカップリング剤は、後述の一般式(I)で示される構造単位を有する縮合物を含有しており、(3)処理された外添剤微粒子のクロロホルム溶媒抽出分が、処理された外添剤微粒子の重量基準で2.0〜20.0重量%であり、該クロロホルム溶媒抽出分の温度25℃で5日間放置後の減量分が0〜5重量%であることを特徴とするトナーに関する。
【0011】
すなわち、本発明のトナーは、シランカップリング剤によって最適条件となるように処理された微粒子をトナー粒子に添加することにより、キャリアに対する外添剤微粒子の帯電特性とトナー粒子の帯電特性を同立し、なおかつトナー粒子表画上に外添剤微粒子が均一に分散され、ストレスを受けても遊離しにくくなるので、その特性を長期にわたって維持できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明において、トナー粒子に添加される外添剤微粒子は、平均粒径は好ましくは0.002〜0.1μm、より好ましくは0.005〜0.05μmの範囲のものが良い。
【0014】
平均粒径が0.1μmより大きいと、流動性が付与されにくく、トナーの帯電量が不均一となりやすく、結果として、トナーの飛散が発生しやすくなる。また、平均粒径が0.002μmより小さいと、粒子同士が凝集し易くなり、流動性が低くなりやすい。外添剤微粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡により測定した。
【0015】
本発明者らが従来の外添剤の問題点について、鋭意検討したところ、処理された外添剤微粒子のクロロホルム溶媒抽出分が、処理された外添剤微粒子の重量基準で2.0〜20.0重量%であり、該クロロホルム溶媒抽出分の温度25℃で5日間放置後の減量分が0〜5重量%であるように制御することが重要であることを見いだした。即ち、「外添剤微粒子のクロロホルム溶媒抽出分」は疎水化処理された処理剤量を、また、「クロロホルム溶媒抽出分の温度25℃で5日間放置後の減量分」は処理された状態を現わしていることを見いだした。外添剤の疎水化処理は、実際に付着している量と処理された後の状態が重要であって、局在化してばらつきがあるとトナーから遊離したり、トナー表面に均一に分散せずに、帯電の立ち上がりが悪くなったり、キャリアやスリーブなどの帯電付与部材を汚染するもととなる。
【0016】
外添剤微粒子のクロロホルム溶媒抽出分が、2.0重量%未満のものは、疎水化処理量が少なすぎて高湿下での耐久性に劣るものとなる。20.0重量%を超えるものは処理剤が過剰に存在し、低湿下でのキャリアやスリーブなどの帯電付与部材を汚染、ひいてはトナー飛散を生じるもととなる。一方、クロロホルム溶媒抽出分の温度25℃で5日間放置後の減量分が5重量%を超えたものでは、モノマーやダイマーなどの低分子量成分が揮発したものと考えられ、処理剤中にそれらが残存しているものと考えられる。特にこの低分子量成分は品質の振れや経時変化の原因となり易いことから好ましいものではなく、ハイライト部での画像不均一(ガサツキ)や、高温環境下でのトナー流動性に問題を生じる。
【0017】
また、外添剤微粒子上のシランカップリング剤は、下記一般式(I)
【0018】
【化2】
で示される構造を有するものを含んでいることが好ましい。外添剤微粒子上にこの状態の物質が見いだされることで、疎水化度が同レベルでも表面の疎水化反応が安定して行われているかどうかの指標となる。即ち、環境の違いに対する安定性が、この化合物が見いだされたものについてはさらに好ましいことが見いだされた。この化合物は、溶媒抽出後にNMRスペクトルによって、確認することができる。
【0019】
また、クロロホルム溶媒抽出分は、GPC測定による分子量分布において、重量平均分子量が600〜1800であることが望ましい。重量平均分子量が600未満の場合には、低湿環境下におけるカブリが若干増加する傾向が見られる。1800を超える場合には、外添剤微粒子のトナー表面への付着が若干不均一になる傾向が見られ、ハイライト部のガサツキが悪化する傾向が見られる。
【0020】
本発明において使用する処理剤は、公知の方法で製造することができる。
【0021】
湿式法による疎水化処理方法としては、まず所定量の外添剤微粒子を水系中で十分に混合撹拌しながら、所定量の疎水化剤またはその希釈液またはその混合液を添加し、十分に混合撹拌を行った後、乾燥、解砕する。
【0022】
本発明において、処理剤は、微粒子に対して0.1〜300重量%、好ましくは0.5〜150重量%の範囲の処理量で使用される。処理方法としては、上記重合体を適当な溶剤に溶解し外添剤微粒子に添加して、表面被覆した後、溶剤を乾燥する方法が一般的であり、具体的には、ニーダーコーター、スプレードライヤー、サーマルプロセッサー、流動床等の装置を用いて行なうのが好ましい。また、溶液中で微粒子を機械的に一次粒径となるように分散しながら、カップリング剤を加水分解させて処理する方法が好適である。本発明においては、カップリング剤の溶解度の異なる2種の溶媒を用いて表面の処理を行うことが特に好ましい。このように外添剤微粒子に対して疎水化剤を分散させた溶媒を段階的に加えることは、本発明の特定な物性を付与することができる手段の一例であるが必ずしもこの手段に限定されるものではない。
【0023】
さらに、2種以上の疎水化剤を用いて疎水化処理を施すことも可能であって、例えばi−C4H9−Si−(OCH3)3とi−C12H25−Si−(OCH3)3のように、2種類のカップリング剤を混合して疎水化剤とし、これによって疎水化処理をした場合には、炭素数の少ない疎水化剤と外添剤微粒子表面の水酸基とが反応する。次に粒子表面の未反応水酸基と炭素数の多い疎水化剤とが反応することによって、表面に付着する疎水化剤の付き方を制御することも可能である。
【0024】
また、必要に応じて、乾燥後に粉砕し、分級を行なってもよい。これらの方法を用いるに当たっては、条件など特に限定されるものではない。
【0025】
本発明において、使用することができる疎水化剤としては、例えば次のものがあげられる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、あるいは、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルメトキシシラン類があげられる。また、メチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等を併用することも可能である。
【0026】
本発明において、特に好適なのは一般式
CnH2n+1−Si−(OCmH2m+1)3
n=4〜12,m=1〜3
で示されるカップリング剤である。ここで、一般式におけるnが4よりも小さいと、処理は容易となるが疎水化度が不十分となり易い。また、nが12よりも大きいと、疎水性が十分になるが、外添剤微粒子同士の合一が多くなり、流動性付与能が低下してしまう。また、mは3よりも大きいと反応性が低下して疎水化が十分に行われなくなってしまう。
【0027】
また、外添剤微粒子の疎水化度は30〜90%であることが好ましく、外添剤微粒子の疎水化度は30%よりも小さいと、高湿下における長期放置による帯電量の低下が大きく、帯電促進の機構が必要となり装置の複雑化が避けられなくなる。疎水化度が90%を超えると、外添剤微粒子自身の帯電コントロールが難しくなり、結果として低湿下でトナーがチャージアップしてしまい好ましくない。
【0028】
疎水化度の測定は次の方法に基づく。後述の実施例も同様である。
【0029】
(疎水化度測定)
メタノール滴定試験は、疎水化された表面を有する外添剤微粒子の疎水化度を確認する実験的試験である。
【0030】
外添剤微粒子0.2gを容量250mlの三角フラスコ中の水50mlに添加する。メタノールをビューレットから外添剤微粒子の全量が湿潤されるまでに滴定する。この際フラスコ内の溶液はマグネチックスターラーで常時撹拌する。その終点は外添剤微粒子の全量が液体中に懸濁されることによって観察され、疎水化度は終点に達した際のメタノールおよび水の液状混合物中のメタノールの百分率として表わされる。
【0031】
外添剤微粒子の材質としては、特に限定されないが、帯電特性がニュートラルに近いアルミナもしくは酸化チタンを用いることが好ましい。
【0032】
本発明において、トナー粒子としては、結着樹脂と着色剤を主成分として構成される公知のものが使用される。
【0033】
使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体或いは共重合体を例示することができる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等をあげることができる。
【0034】
また、トナーの着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
【0035】
本発明におけるトナー粒子には、所望に応じて電荷制御剤等、公知の添加剤を含有させることができる。
【0036】
また、本発明におけるトナー粒子は、磁性材料を内包する磁性トナー或いは、カプセルトナーであってもよい。
【0037】
本発明におけるトナー粒子は、一般に3〜15μmの平均粒径を有するものが好適に使用できる。
【0038】
本発明のトナーは、必要に応じて、上述以外の添加剤を添加してもよい。
【0039】
例えば帯電補助剤、導電性付与剤、ケーキング防止剤、熱ロール定着時の離型剤、滑剤、研磨剤等の働きをする微粒子などである。具体的には、テフロン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンのごとき滑剤、あるいは酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤、また、逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0040】
本発明において、上記表面処理微粒子は、トナー粒子に添加し、混合されるが、混合は、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー等によって行なうことができる。
【0041】
外添剤微粒子の添加量は、トナー全重量に対して0.05〜20重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。含有量が0.05重量%よりも少ない場合にはトナーの高い流動性、十分な研磨性が得られにくく、含有量が20重量%を超える場合においてはトナーの流動性が高すぎるために逆に均一な帯電が得られにくくなる。
【0042】
上記のようにして、外添剤微粒子が添加された本発明のトナーは、一成分現像剤として、或いは二成分現像剤として使用することができる。
【0043】
二成分現像剤として使用する場合においては、上記外添剤微粒子は予めトナー粒子に添加せずに、トナーとキャリアとを混合するに際に添加して、トナーとキャリアとの混合と同時に外添処理してもよい。
【0044】
なお、二成分現像剤として使用する場合におけるキャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、マグネタイト粉、ニッケル粉、磁性体微粉を樹脂中に分散させて造粒したもの、或いはそれらの表面に樹脂コーティングを施したもの等が使用される。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。しかしながら、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、下記の説明において、「部」は、すべて「重量部」を表わす。
【0046】
外添剤微粒子の製造:
[外添剤微粒子G−1]
3リットルの2M重炭酸アンモニウム溶液に、0.2Mアンモニウム明礬溶液2リットルを、気温30℃に保ちながら、1時間に0.8リットルの速度で滴下し、撹拌しながら十分に反応させ、アルミニウムアンモニウムカーボネートハイドロオキサイド微粉体を生成し、濾過、乾燥、解砕した。
【0047】
ここで、解砕は、スピードミルで行い、凝集体が無くなるまで繰り返し、一次粒径80nm以上を有する微粉体が5個数%以下となるように行った。該微粉体を約900℃で24時間加熱処理してアルミナ微粉体を生成した。このアルミナ微粉体は、BET比表面積260m2/g、平均粒径は8nm、1〜60nmの粒径を有する粒子が99個数%であり、X線回折によって結晶型はγ系であることが確認された。
【0048】
次に、トルエンとメタノールの混合溶媒中で上記アルミナ微粉体を直径2mmのジルコニアボールを用いたボールミルで十分に湿式粉砕し、溶液中でアルミナ微粉体を十分に分散させた後、疎水化剤として、i−C4H9−Si−(OCH3)3をアルミナ微粉体100部に対して固形分で30部となるように、液温を44℃に保ち、撹拌しながら滴下混合し、加水分解させた。その後、濾過、乾操した後、160℃で2時間焼き付けし、解砕した。解砕はスピードミルで行い、外添剤微粒子G−1(アルミナ微粒子)を得た。
【0049】
なお、外添剤微粒子G−1〜11微粒子の諸物性を表1に示した。
【0050】
[外添剤微粒子G−2]
平均粒径が10nm、1〜60nmの粒径を有する粒子が97個数%の製造例G−1記載のアルミナ微粉体生成方法により得られたアルミナ微粉体を、小粒径のメディアを用いたボールミルで十分に湿式粉砕を行った後、十分に混合撹拌しながら、i−C4H9−Si−(OCH3)3とi−C12H25−Si−(OCH3)3とを1:1で混合した疎水化剤を、アルミナ微粉体100重量部に対して固形分で40重量部となるように添加した。このとき、まず疎水化剤の全添加量の1/10当量を添加した。そして、十分に混合・撹拌した後、残りの9/10当量の疎水化剤を混合・撹拌を行いながら添加した。さらに、十分混合・撹拌した後、乾燥、解砕して外添剤微粒子G−2を得た。
【0051】
[外添剤微粒子G−3]
原料にチタンテトライソプロポキシドを使用した。ケミカルポンプで原料をごく少量ずつ、チッ素ガスをキャリアガスとして使用して、200℃に加熱したペーパーライザーのグラスウールに送り込んで蒸発させ、反応器内で温度320℃で加熱分解した後、急冷却を行い、生成物を捕集し、親水性のアモルファスの酸化チタン微粉体(1)を得た。これを300℃で2時間焼成し、親水性の結晶性の酸化チタン微粉体(2)を得た。
【0052】
次に、製造例G−1と同様にして、疎水化処理を行い、外添剤微粒子G−3を得た。
【0053】
[外添剤微粒子G−4]
外添剤微粒子G−3の製造例において、疎水化剤としてi−C4H9−Si−(OCH3)3とC6H13−Si−(OCH3)3とを1:1で混合したものを使用すること以外は同様にして、外添剤微粒子G−4を得た。
【0054】
[外添剤微粒子G−5]
外添剤微粒子G−3の製造例において、疎水化剤の添加量を25部とし、ろ過、乾操した後の処理温度を130℃で2時間加熱に変更して疎水化処理後の解砕処理を酸化チタンの凝集体が存在しなくなるまで繰り返し行なう以外は同様にして、外添剤微粒子G−5を得た。
【0055】
[外添剤微粒子G−6]
外添剤微粒子G−1の製造例において、アルミナの代わりに、疎水性シリカ(R972、日本アエロジル社製;一次平均粒径16nm)を用いる以外は、同様にして、処理シリカ微粒子G−6を得た。
【0056】
[外添剤微粒子G−7]
外添剤微粒子G−1の製造例において、溶媒としてトルエンのみを使用すること以外は同様にして、外添剤微粒子G−7を得た。
【0057】
[外添剤微粒子G8〜11]
外添剤微粒子G−3の製造例において、疎水化剤混合撹拌速度条件を変えたものを使用することと溶媒としてトルエンのみを使用すること以外は外添剤微粒子G−3の製造例と同様にして、外添剤微粒子G8〜11を得た。
【0058】
外添剤微粒子それぞれについてクロロホルムを用いて溶媒抽出を行い、NMRスペクトルを調べたところ、G−1、G−3、G−4、G−5およびG−6について一般式(I)で示される構造を有する化合物(ポリイソブチルメトキシシラン)に帰属可能なピークが観測された(図1参照)。その他のものについては明確なピークが現れなかった(図2参照)。
【0059】
[実施例1]
・プロポキシ化ビスフェノールとフマル酸を縮合して
得られたポリエステル樹脂 100部
・フタロシアニン顔料 5部
・ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のクロム錯塩 4部
をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行った後、3本ロールミルで少なくとも2回以上溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度に粗粉砕した。次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。さらに、得られた微粉砕物を多分割分級装置で分級して、体積平均粒径が7.3μm,4μm以下が10個数%,12.7μm〜16μmが0.6体積%,16μm以上が実質上0である着色剤含有樹脂粒子(非磁性のトナー粒子)を得た。
【0060】
上記トナー粒子100部に対して、表1に示す外添剤微粒子G−11 1.1部を外添した後、200メッシュのフルイでふるってシアントナーとした。
【0061】
このシアントナー6部に対し、スチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸2エチルヘキシル共重合体で表面被覆したCu−Zn−Fe系フェライト粒子94部を混合して現像剤とした。
【0062】
複写機(キヤノン製カラーレーザーコピアCLC730)をスリーブ周速200mm/secとなるよう改造して、常温常湿(23℃,60%RH),低温低湿(15℃,10%RH),高温高湿(35℃,95%RH)の各環境において行った結果、いずれの環境においても十分な画像濃度の高画質な画像が得られた。さらに、連続複写試験を行い、初期及び5万枚後および途中の2000枚ごとについて、ベタ部濃度、背景部カブリを測定した。また、画像の品質についても観察を行なった。それらの結果を表3に示した。
【0063】
ここで、白画像上に生じたカブリを『リフレクトメーター』(東京電色社製)により測定した。定着器通過の白地部分の白色度と定着器通過前の転写紙の白色度の関係から、カブリ(%)を算出し、画像汚れを評価した。
【0064】
また、画像濃度は、低温低湿(15℃,10%RH)での5万枚画出し後の結果、カブリ、トナー飛散及びハイライト部ガサツキについては、初期および5万枚後を含む耐久途中における3環境における最悪値を記載した。
【0065】
[実施例2〜6および比較例1〜5]
表2に示した外添剤微粒子を用いた組み合わせで表3の結果を得た。
【0066】
(評価方法)
外添剤分散状態は、トナー表面の外添剤微粒子の様子についてFE−SEMによる観察を行った。
◎:凝集体がほとんど見られず、トナー表面にほぼ均一に分散している。
○:若干凝集しているものもあるが、トナー表面にほぼ均一に分散している。
△:外添剤微粒子がトナー表面にまばらになっている。
×:凝集体が多く、トナー表面にむらが多い。
【0067】
ハイライト部ガサツキは、同一画像濃度0.5の部分について、画像濃度を10点測定し、その差の大きさを評価した。
〇:差が0.1以下。
△:差が0.2以下。
×:差が0.2を超える。
【0068】
高温高湿下凝集性は、カップ中にトナーを35℃,95%RHの環境下で10日間放置し、そのトナー6gをサンプルとして、同じ環境下で上記複写機の現像器の補給口から供給し、帯電付与の様子を調べた。
〇:画像にも現像器にも問題発生せず。
△:カブリがやや増えるがOKレベル。
×:カブリ、トナー飛散が発生する。
【0069】
環境安定性は、低温低湿(15℃,10%RH),高温高湿(35℃,95%RH)の濃度の差について、現した。
◎:濃度差0.1未満。
〇:濃度差0.1以上0.2未満。
△:濃度差0.2以上。
【0070】
トナー飛散は、低温低湿(15℃,10%RH),高温高湿(35℃,95%RH)のそれぞれの環境で5万枚複写後の現像器周囲へのトナー飛散の状況を目視で評価した。
○:いずれの環境においても現像器周囲へのトナー飛散は極めて少ない。
△:いずれかの環境でわずかに飛散は生じているが、転写材等への影響は見られない。
×:いずれかの環境でトナー飛散が生じ、転写材への汚れが見られる。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【発明の効果】
本発明のトナーは、上記した性質を示すようにカップリング剤で表面処埋された外添剤微粒子を添加したことから、外添剤微粒子の持つ良好な粉体流動向上効果と、帯電性・環境安定性向上効果を両立させることが可能となる。さらに、帯電性、低温低湿から高温高湿環境まで環境安定性に優れていることによって、十分な画像濃度が得られ、地カブリの少ない、白抜けの画像欠陥が発生しにくい。また、トナー表面に外添剤が均一に分散していることから、耐凝集性や耐久性に優れ、ドラムからの転写性、クリーニング性、画像のハイライト部(薄い画像濃度の部分)の再現性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例中の外添剤微粒子G−1、G−3〜G−6について観測されたNMRスペクトルの概念図を示す。
【図2】実施例中の外添剤微粒子G−2、G−7〜G−11について観測されたNMRスペクトルの概念図を示す。
Claims (4)
- 該クロロホルム溶媒抽出分は、GPC測定による分子量分布において、重量平均分子量が600〜1800であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 該外添剤微粒子は、無機酸化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
- 該外添剤微粒子は、酸化チタン微粒子又はアルミナ微粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
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