JP3943517B2 - 浴室状態管理システム - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴室の状態を管理するシステムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
入浴は単に身体の清潔の観点のみならず、心身のリラックス等の観点から、生活時間の中で重要な位置を占めており、より心地のよい浴室状態の提供という観点から様々な商品が提供されている。たとえば、浴室への送風温度、送風量等、浴室の空気状態を調節する温調システムが提供されている（たとえば、特許文献１参照）。また、ＤＶＤ等の映像コンテンツや、ＣＤ等の音響を入浴中に楽しめるような映像システム、音響システムが提供されている。さらに、浴槽の湯に入れられることで、芳香を放ち、湯の色調を変化させるさまざまな入浴剤が提供されている。
【０００３】
【特許文献１】
特開２００２−３３３２０４号公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、浴室温度、浴室に提供される映像や音響、浴槽の湯に投入される入浴剤等、浴室状態を構成する複数要素の調節態様を逐一設定する作業がユーザにとっては煩わしい場合がある。また、浴室温度や映像等の複数要素が調和しておらず、当該複数要素により構成される浴室状態がユーザの嗜好にはそぐわないものとなり、入浴中のユーザに違和感を覚えさせる場合もある。
【０００５】
そこで、本発明は、簡単な操作によってユーザの嗜好に応じた浴室状態を提供可能なシステムを提供することを解決課題とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第１発明の浴室状態管理システムは、浴室状態を管理するシステムであって、目標浴室状態のユーザによる設定操作を可能とする浴室状態設定操作手段と、該目標浴室状態と、該目標浴室状態を構成する複数要素の調節態様との対応関係（以下、適宜「第１対応関係」という。）に関する情報を記憶保持する第１情報源との通信に基づき、該第１対応関係にしたがって、該浴室状態設定操作手段を通じて設定された該目標浴室状態を構成する該複数要素の調節態様を認識する第１認識手段と、該第１認識手段により認識された該複数要素の調節態様にしたがって該複数要素を調節する要素調節手段とを備え、前記浴室状態設定操作手段が、ユーザによる入浴効能および健康状態のうち少なくとも一方の設定操作と、当該設定入力効能および健康状態のうち少なくとも一方に応じて選定された温泉の範囲内での温泉の名称または種類の設定操作とを通じた、前記目標浴室状態の設定操作を可能とすることを特徴とする。
【０００７】
第１発明の浴室状態管理システムによれば、ユーザにより浴室状態を構成する複数要素が逐一設定されなくても、浴室状態設定操作手段において「入浴効能」および「健康状態」のうち少なくとも一方の設定操作と、これに続く「温泉名称または種類」の設定操作を通じて「目標浴室状態」が設定されれば、第１情報源により記憶保持されている第１対応関係にしたがって当該目標浴室状態を構成する複数要素が自動的に調節される。このように、本発明によれば、浴室状態を構成する複数要素のそれぞれの調節態様が設定される場合と比較して簡単で、ユーザの嗜好に応じた目標浴室状態の設定操作を通じ、当該目標浴室状態が実現されうる。
【０００８】
また、ユーザによる設定されうる「温泉名称または種類」は、これより前に当該ユーザにより設定された「入浴効能」および「健康状態」のうち少なくとも１つに応じて選定されている。これにより「‥という名称（または種類）の温泉には‥という効能がある」「‥という健康状態にある場合、‥という名称または種類の温泉に入浴するのが健康管理のために適切である」等の対応関係をユーザに把握させることができる。そして、ユーザに当該対応関係を把握することの魅力、ひいては本システムの魅力を感じさせることができる。
【０００９】
また、第２発明の浴室状態管理システムは、第１発明の浴室状態管理システムにおいて、前記浴室に湯水を供給する給湯装置、該給湯装置により該浴室に供給される湯水に薬剤を混入する薬剤混入装置、浴室空気を調節する浴室空調装置、該浴室に照明を施す浴室照明装置、該浴室に映像コンテンツを提供する映像装置および該浴室に音響コンテンツを提供する音響装置のうち少なくともいずれか２つを備え、前記要素調節手段が前記給湯装置により前記浴室へ供給される湯水、前記薬剤混入装置により該湯水に混入される薬剤、前記浴室空調装置により調節される該浴室の空気状態、前記浴室照明装置による照明、前記映像装置を通じて提供される映像コンテンツおよび前記音響装置を通じて提供される音響コンテンツのうち少なくとも２つの要素を調節することを特徴とする。
【００１０】
第２発明の浴室状態管理システムによれば、（ａ）浴室に供給される湯水、（ｂ）当該湯水に混入される薬剤、（ｃ）浴室における空気状態、（ｄ）浴室の照明、（ｅ）映像コンテンツ、および（ｆ）音響コンテンツのうち２つ以上の要素の調節態様が制御されることで浴室状態が実現される。本発明によれば、要素（ａ）〜（ｆ）の調節態様に幅を持たせることにより、ユーザの幅広い嗜好に応じた浴室状態を実現することができる。
【００１２】
さらに、第３発明の浴室状態管理システムは、第１または第２発明の浴室状態管理システムにおいて、浴室状態と入浴方法との対応関係（以下、適宜「第２対応関係」という。）に関する情報を記憶保持する第２情報源との通信に基づき、該第２対応関係にしたがって、前記浴室状態設定操作手段を通じて設定された前記目標浴室状態に応じた入浴方法を認識する第２認識手段と、該第２認識手段により認識された入浴方法に関する情報を前記浴室状態設定操作手段が設けられている空間または浴室に提供する情報提供手段とを備えていることを特徴とする。
【００１３】
第３発明の浴室状態管理システムによれば、前記のように複数要素の調節態様の逐次設定と比較して簡単で、ユーザの嗜好に応じた目標浴室状態の設定操作を通じ、当該目標浴室状態が構成されうる。また、第２対応関係にしたがい、複数の要素により構成された目標浴室状態に応じた入浴方法に関する情報がユーザに対して提供される。これにより当該入浴方法にしたがってユーザに入浴時間を過ごさせ、本システムの魅力をユーザに感じさせることができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の浴室状態管理システムの実施形態について図面を用いて説明する。
【００１５】
まず、本発明の一実施形態における浴室状態管理システムの構成について図１を用いて説明する。
【００１６】
浴室状態管理システムは給湯装置１１０と、薬剤混入装置１２０と、浴室空調装置１３０と、浴室照明装置１４０と、映像装置１５０と、および音響装置１６０と、浴室リモコン１７０とを備えている。
【００１７】
給湯装置１１０は浴槽１１２に湯水を供給するとともに、浴室に設けられたカラン１１４およびシャワー１１６を介して浴室に湯水を供給する。
【００１８】
薬剤混入装置１２０は給湯装置１１０により浴室に供給される湯水に薬剤を混入する。薬剤混入装置１２０は複数の貯蔵容器１２２と、貯蔵量測定ユニット１２４と、発注ユニット１２６とを備えている。
【００１９】
複数の貯蔵容器１２２は入浴剤や芳香剤等の複数種類の液状（粉状でもよい）薬剤を種類ごとに貯蔵する。詳細な構成は図示しないが、それぞれの貯蔵容器１２２は電磁弁が設けられた１次薬剤管を介して混合室に連結され、混合室で電磁弁の開閉により流量が調節されたそれぞれの薬剤が混合され、混合室は２次薬剤管を介し、給湯装置１１０から浴室まで延設された給湯・給水管１１８に連結されている。
【００２０】
貯蔵量測定ユニット１２４は貯蔵容器１２２における薬剤の貯蔵量を薬剤の種類ごとに測定する。貯蔵量測定ユニット１２４はたとえば貯蔵容器１２２に連結された１次配管に設けられた電磁弁の開度および開弁時間に基づき、当該貯蔵容器１２２の薬剤の流出量ひいては貯蔵量を測定する。
【００２１】
発注ユニット１２６は貯蔵量測定ユニット１２４により測定されるそれぞれの貯蔵容器１２２の薬剤の貯蔵量が所定量以下になったとき、当該薬剤の「発注情報」をネットワークを介して薬剤供給者の端末２５０に送信する。
【００２２】
浴室空調装置１３０は浴室への送風温度（ひいては浴室温度）、送風量、送風方向および浴室の換気量等、浴室の空気状態を調節する。浴室照明装置１４０は浴室の照明の明るさや色を調節する。映像装置１５０は映像コンテンツサーバ２３０からネットワークを介して映像コンテンツを取得した上で浴室に提供する。音響装置１６０は音響コンテンツサーバ２４０からネットワークを介して音響コンテンツを取得した上で浴室に提供する。
【００２３】
浴室リモコン１７０は第１認識ユニット１７１と、第２認識ユニット１７２と、要素調節ユニット１７３と、液晶パネル１７４とを備えている。
浴室リモコン１７０は液晶パネル１７４におけるタッチパネル方式の操作が可能とされており、「温泉名称（または種類）」の設定を通じた「目標浴室状態」の設定操作を可能とする「浴室状態設定操作手段」を構成する。
【００２４】
第１認識ユニット１７１は「目標浴室状態と複数要素の調節態様との対応関係（第１対応関係）に関する情報」を第１サーバ（第１情報源）２１０からネットワークを介して取得した上で、当該情報にしたがって、浴室リモコン１７０を通じてユーザにより設定された目標浴室状態に応じた複数要素の調節態様を認識・決定する。第１サーバ２１０により記憶保持されている第１対応関係に関する情報は入浴者に調和を感じさせる観点から専門家等により決定されている。
【００２５】
複数の要素には（ａ）浴槽１１２の湯水の温度、カラン１１４等を通じて浴室に供給される湯水の温度、量、（ｂ）浴槽１１２等に供給される湯水に混入される薬剤の種類や量、（ｃ）浴室の温度、送風量、送風方向等の空気状態、（ｄ）浴室の照明、（ｅ）映像コンテンツの取得先や内容、および（ｆ）音響コンテンツの取得先や内容等が含まれる。
【００２６】
第２認識ユニット１７２は「目標浴室状態および入浴方法の対応関係（第２対応関係）に関する情報」を第２サーバ（第２情報源）２２０からネットワークを介して取得した上で、当該情報にしたがって、浴室リモコン１７０を通じてユーザにより設定された目標浴室状態に応じた入浴方法を認識・決定する。第２サーバ２２０により記憶保持されている第２対応関係に関する情報は、入浴者の健康維持・増進を図る観点から医者等の専門家により決定されている。
【００２７】
要素調節ユニット１７３は第１認識ユニット１７２により認識された複数要素の調節態様にしたがって、浴槽１１２の湯の温度や当該湯に混入される薬剤の種類等の複数要素を調節する。
【００２８】
液晶パネル１７４は本発明の「情報提供手段」を構成し、第２認識ユニット１７２により認識された「目標浴室状態に応じた入浴方法に関する情報」等が表示される。
【００２９】
続いて前記構成の本発明の一実施形態における浴室状態管理システムの機能について図２および図３を用いて説明する。
【００３０】
まず、ユーザにより浴室リモコン１７０の設定操作を通じて「目標浴室状態」が設定される（図２／ｓ１）。
【００３１】
具体的には、ユーザにより浴室リモコン１７０がＯＮ操作される等のタイミングで、図３（ａ）に示すように液晶パネル１７４に「どの温泉を選びますか」というメッセージとともに「Ａ温泉」「Ｂ温泉」等の複数の温泉名称を表示する複数のボタンと、各温泉の所在地を示すマップとが表示される。この状態で、ユーザが「Ａ温泉の雰囲気を味わいたい」といった嗜好等に応じて液晶パネル１７４の「Ａ温泉」のボタンに触れることにより、Ａ温泉に応じた「目標浴室状態」が設定される。なお、温泉の「名称」の代わりに、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉等、温泉の「種類」に応じて目標浴室状態が設定されてもよい。
【００３２】
次に第１認識ユニット１７１により「第１対応関係に関する情報」が第１サーバ２１０からダウンロードされる（図２／矢印１）。この上で、当該情報と、浴室リモコン１７０においてユーザにより設定された目標浴室状態とに基づき、第１認識ユニット１７１によって当該目標浴室状態を構成する複数要素の調節態様が認識・決定される（図２／ｓ２）。
【００３３】
また第２認識ユニット１７２により「第２対応関係に関する情報」が第２サーバ２２０からダウンロードされる（図２／矢印２）。この上で、当該情報と、浴室リモコン１７０においてユーザにより設定された目標浴室状態とに基づき、第２認識ユニット１７２により当該目標浴室状態に応じた入浴方法が認識・決定される（図２／ｓ３）。これにより図３（ｂ）に示すように、液晶パネル１７４に「入浴に関する注意事項」というメッセージとともに「湯が熱いので１０分ごとに湯から出て５分休むというサイクルを繰り返すとよい」等の入浴方法に関する情報が表示される。
【００３４】
なお、タイマ（図示略）による計測時間に基づき、入浴後１０分経過時に「湯からあがりましょう」というメッセージが液晶パネル１７４に表示され、さらに５分後に「湯に浸かりましょう」というメッセージが液晶パネル１７４に表示される等、入浴方法に関する情報が逐次提供されてもよい。また、液晶パネル１７４を通じた視覚的情報提供のほか、浴室リモコン１７０の音声発生装置（図示略）を通じた聴覚的な情報提供も可能である。
【００３５】
これにより、健康維持・増進等の観点から適切な入浴方法が温泉の種類によって相違することをユーザに認識させうる。
【００３６】
続いて、要素調節ユニット１７３により、第１認識ユニット１７１により認識された「複数要素の調節態様」にしたがって当該複数の要素が調節される（図２／ｓ４〜ｓ９）。
【００３７】
具体的には、給湯装置１１０から浴槽１１２に供給される湯水の温度（給湯装置１１０が追焚機能を有する場合は追焚温度）、カラン１１４およびシャワー１１６を通じて浴槽に供給される湯水の温度およびこれらの時間変化が調節される（図２／ｓ４）。なお、ジェットバス機能がある場合には、浴槽１１２へのジェットバブルの供給量、供給態様等が制御されてもよい。また、浴室に供給される湯水に薬剤混入装置１２０によって混入される薬剤の種類、量およびこれらの時間変化が制御される（図２／ｓ５）。さらに浴室温度、浴室への送風量、浴室の換気量、およびこれらの時間変化が浴室空調装置１３０を通じて調節される（図２／ｓ６）。また、浴室における照明の明るさ、色調、およびこれらの時間変化が浴室照明装置１４０を通じて調節される（図２／ｓ７）。
【００３８】
さらに要素調節ユニット１７３により「映像コンテンツ」が映像コンテンツサーバ２３０からダウンロードされ（図２／矢印４）、当該映像コンテンツが映像装置１５０を通じて浴室に提供される（図２／ｓ８）。また、要素調節ユニット１７３により「音響コンテンツ」が音響コンテンツサーバ２４０からダウンロードされ（図２／矢印５）、当該音響コンテンツが音響装置１６０を通じて浴室に提供される（図２／ｓ９）。
【００３９】
また、薬剤混入装置１２０において、貯蔵量測定ユニット１２４により測定される各貯蔵容器１２２の薬剤の貯蔵量が所定量以下となったか否かが定常的に判断されている（図２／ｓ１０）。そして、薬剤の貯蔵量が所定量以下になったとき（図２／ｓ１０‥ＹＥＳ）、当該薬剤を取扱い薬剤の種類、納期、価格等の基準により注文主を特定した上で注文する「発注情報」が発注ユニット１２６によって薬剤供給者の端末２５０に送信される（図２／矢印６）。これに応じて薬剤供給者から当該注文主に対し、発注情報に係る薬剤が提供される（図２／矢印Ｄ）。
【００４０】
本発明の一実施形態における前記浴室状態管理システムによれば、浴室リモコン（浴室状態設定操作手段）１７０におけるユーザの設定操作を通じて「目標浴室状態」が設定される（図２／ｓ１参照）。これに応じ、第１認識ユニット１７１と第１サーバ２１０との通信（図２／矢印１参照）に基づき目標浴室状態を構成する複数要素の調節態様が認識・決定される（図２／ｓ２参照）。また、第１認識ユニット１７１により認識された複数要素の調節態様にしたがい、要素調節ユニット１７３により当該複数要素が調節される。そして、当該複数要素により構成され、ユーザの嗜好に応じて設定された温泉名称に応じた「目標浴室状態」においてユーザに入浴時間を過ごさせることができる。
【００４１】
ユーザの設定操作により温泉名称さえ設定されれば、複数要素の調節態様がユーザによりいちいち設定されなくてもこの温泉名称に応じた目標浴室環境が構成される。また、目標浴室状態を構成する複数要素は、ユーザに調和を感じさせる観点から決定された調節態様にしたがって調節される。このため、入浴中のユーザに複数要素に調和を感じさせながら、当該目標浴室環境において心地よい入浴時間を過ごさせることができる。
【００４２】
したがって、複数要素の調節態様の逐一設定操作と比較して簡単な、温泉名称の設定操作（図２／ｓ１参照）によって、当該ユーザに調和を感じさせうるように複数要素が調節され、当該複数要素により目標浴室状態が構成されうる。
【００４３】
また（ａ）浴室に供給される湯水、（ｂ）当該湯水に混入される薬剤、（ｃ）浴室における空気状態、（ｄ）浴室の照明、（ｅ）映像コンテンツ、および（ｆ）音響コンテンツの調節態様に幅を持たせることにより、ユーザの幅広い嗜好に応じた浴室状態を実現することができる。
【００４４】
たとえば「Ａ温泉は湯量が豊富で湯が熱く、緯度が高いので空気が冷たい」等の情報に基づき、給湯装置１１０により浴槽１１２に熱めの湯が定常的に豊富に供給されるとともに、浴室空調装置１３０により浴室に冷風が供給されるようにされうる。これにより、Ａ温泉に応じた目標浴室状態において、湯水の動態、湯水が立てる音、湯水の温度や浴室温度が変化し、入浴中のユーザにその視覚、聴覚、体感を通じたリラクゼーション効果等のユーザにとって好ましい効果を実感させることができる。
【００４５】
また「Ａ温泉の泉質は塩化物泉（炭酸水素塩泉、‥）である」等の情報に基づき、薬剤混入装置１２０により当該泉質が実現されるように入浴剤等の薬剤が調合された上で浴室（特に浴槽１１２）に供給される湯水に混入されうる。これにより、目標浴室状態において入浴中のまたは入浴済みのユーザに、当該薬剤の放つ香りや色彩、薬効に基づきこのユーザの嗅覚、視覚、体感を通じてリラクゼーション効果等を実感させることができる。
【００４６】
さらに、夜の露天風呂における入浴が擬似的に実現されるように浴室照明装置１４０の明るさが抑制され、Ａ温泉の周囲の環境を映し出すような映像コンテンツが映像装置１５０を通じて提供されうる。これにより、目標浴室状態において入浴中のユーザに対し、その視覚を通じてリラクゼーション効果等を実感させることができる。
【００４７】
また、川のせせらぎ、小鳥のさえずり、ししおどし等の音響コンテンツが音響装置１６０を通じて提供される。これにより、当該要素により構成される目標浴室状態において入浴中のユーザに対し、その聴覚を通じてリラクゼーション効果等を与えることができる。
【００４８】
目標浴室状態における入浴を通じ、Ａ温泉等、ユーザの嗜好等に応じて設定された温泉への入浴を当該ユーザに擬似体験させることができる。そして、ユーザはその視覚、聴覚、嗅覚や体感を通じて好ましい効果を実感することができるので、本システムの利用に対する魅力を当該ユーザに覚えさせることができる。
【００４９】
さらにユーザにより設定された目標浴室状態に応じ、健康増進の観点から適切な入浴方法に関する情報が液晶パネル１７４に表示される（図３（ｂ）参照）。これにより、ユーザの健康状態の維持・増進を図りうるような形で当該ユーザに入浴時間を過ごさせ、本システムの魅力をユーザに覚えさせることができる。
【００５０】
また、ユーザは「温泉」を自ら設定したことで（図２／ｓ１、図３（ａ）参照）、どのような目標浴室状態が構成されるかをある程度予測しながらも、不測の部分に期待を抱いて入浴に望むことができる。入浴に際しこのような期待をユーザに抱かせることで、本システムの魅力を当該ユーザに覚えさせることができる。また「‥温泉を設定すると‥のような浴室状態が実現されるのか」等の感慨を入浴中のユーザに与え、ひいては本システムの強い魅力を当該ユーザに覚えさせることができる。
【００５１】
さらに薬剤混入装置１２０の貯蔵容器１２２により貯蔵されている薬剤が所定量以下になったとき、当該薬剤の発注情報が薬剤供給者の端末２５０に送信される（図２／矢印５参照）。したがって、端末２５０を通じて薬剤の発注情報を受信した薬剤供給者により薬剤が迅速に補給されうる（図２／矢印Ｄ参照）。
【００５２】
なお、前記実施形態ではユーザによる「温泉名称」の設定を通じて目標浴室状態が設定されたが（図２／ｓ１、図３（ａ）参照）、他の実施形態として「温泉名称」に加えまたはこれに替えて「関節痛が和らぐ」「肌が綺麗になる」等の「入浴による効能」や、「肩が痛い」「眼が疲れている」等の「健康状態」の設定を通じて目標浴室状態が設定されてもよい。
【００５３】
当該他の実施形態において「関節痛が和らぐ」等の設定に応じ、設定された入浴による効能を示す情報が、浴室リモコン１７０から医療機関等の専門機関の端末に送信され、関節痛が和らぐためにはどのように複数要素が調節されるべきかを示す情報が専門機関の端末から浴室リモコン１７０に送信され、当該情報にしたがって目標浴室状態が設定されてもよい。
【００５４】
また、当該他の実施形態において、ユーザにより入浴効能および健康状態のうち少なくとも一方が設定された後、浴室リモコン１７０により当該設定入浴効能および健康状態のうち少なくとも一方に応じた温泉が選定され、当該選定温泉の範囲内で温泉の設定操作（図３（ａ）参照）が可能とされてもよい。
【００５５】
この場合、ユーザによる「効能」の設定に応じ、その後に当該ユーザにより設定されうる「温泉」が浴室リモコン１７０により選定される。これにより「‥という名称（または種類）の温泉には‥という効能がある」等の「温泉名称（または種類）」と「効能」との対応関係をユーザに把握することができる。また、ユーザによる「健康状態」の設定に応じ、その後に当該ユーザにより設定されうる「温泉」が浴室リモコン１７０により選定される。これにより「‥という健康状態にある場合、‥という名称（または種類）の温泉に入浴するのが健康管理のために適切である」等の「温泉名称（または種類）」と「健康状態」との対応関係をユーザに把握させることができる。
【００５６】
そして、どの温泉にどのような効能があるか等の対応関係を把握することの魅力をユーザに感じさせ、ひいては本システムの魅力を当該ユーザに感じさせることができる。
【００５７】
「入浴効能」等に応じた「温泉名称（または種類）」の選定に際し、浴室リモコン１７０が第１サーバ２１０等のサーバからネットワークを介して「入浴効能等および温泉名称または種類との対応関係に関する情報」をダウンロードしてもよい。当該サーバが温泉の宿泊施設の運営者等により提供される情報を管理することで、ユーザに対して「入浴効能」等と「温泉名称（または種類）」とのより正確な対応関係を知らせることができる。
【００５８】
なお、前記実施形態では第１サーバ２１０からダウンロードされた第１対応関係に関する情報（図２／矢印１参照）に基づき、目標浴室状態に応じた複数要素の調節態様が第１認識ユニット１７１により認識されたが（図２／ｓ２参照）、他の実施形態として第１認識ユニット１７１により第１サーバ２１０に「目標浴室状態に関する情報」がアップロードされ、当該情報に基づき第１サーバ２１０により決定され、ダウンロードされる「目標浴室状態に応じた複数要素の調節態様に関する情報」に基づき、当該調節態様が第１認識ユニット１７１により認識・決定されてもよい。
【００５９】
また、前記実施形態では第２サーバ２２０からダウンロードされた第２対応関係に関する情報（図２／矢印２参照）に基づき、目標浴室状態に応じた入浴方法が第２認識ユニット１７２により認識されたが（図２／ｓ３参照）、他の実施形態として第２認識ユニット１７２により第２サーバ２２０に「目標浴室状態に関する情報」がアップロードされ、当該情報に基づき、第２サーバ２２０により決定され、ダウンロードされる「目標浴室状態に応じた入浴方法に関する情報」に基づき、当該入浴方法が第２認識ユニット１７２により認識・決定されてもよい。
【００６０】
前記実施形態では映像コンテンツサーバ２３０からダウンロードされた映像コンテンツが映像装置１５０を通じて浴室に提供されたが（図２／矢印３、ｓ８参照）、他の実施形態としてＤＶＤ等の映像記録媒体の再生装置により再生され、または放送局から無線・有線放送された映像コンテンツが映像装置１５０を通じて浴室に提供されてもよい。
【００６１】
前記実施形態では音響コンテンツサーバ２４０からダウンロードされた音響コンテンツが音響装置１６０を通じて浴室に提供されたが（図２／矢印４、ｓ９参照）、他の実施形態として「音響コンテンツ」がＣＤ等の音響記録媒体の再生装置により再生され、または放送局からの無線・有線放送された音響コンテンツが音響装置１６０を通じて浴室に提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】浴室状態管理システムの構成説明図
【図２】浴室状態管理システムの機能説明図
【図３】目標浴室状態の設定方法説明図
【符号の説明】
１１０‥給湯装置、１２０‥薬剤混入装置、１２２‥薬剤容器、１２４‥貯蔵量測定ユニット、１２６‥発注ユニット、１３０‥浴室空調装置、１４０‥浴室照明装置、１５０‥画像装置、１６０‥音響装置、１７０‥浴室リモコン（浴室状態設定操作手段）、１７１‥第１認識ユニット、１７２‥第２認識ユニット、１７３‥要素調節ユニット、１７４‥液晶パネル（情報提供手段）、２１０‥第１サーバ、２２０‥第２サーバ、２３０‥映像コンテンツサーバ、２４０‥音響コンテンツサーバ、２５０‥薬剤供給者の端末
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴室の状態を管理するシステムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
入浴は単に身体の清潔の観点のみならず、心身のリラックス等の観点から、生活時間の中で重要な位置を占めており、より心地のよい浴室状態の提供という観点から様々な商品が提供されている。たとえば、浴室への送風温度、送風量等、浴室の空気状態を調節する温調システムが提供されている（たとえば、特許文献１参照）。また、ＤＶＤ等の映像コンテンツや、ＣＤ等の音響を入浴中に楽しめるような映像システム、音響システムが提供されている。さらに、浴槽の湯に入れられることで、芳香を放ち、湯の色調を変化させるさまざまな入浴剤が提供されている。
【０００３】
【特許文献１】
特開２００２−３３３２０４号公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、浴室温度、浴室に提供される映像や音響、浴槽の湯に投入される入浴剤等、浴室状態を構成する複数要素の調節態様を逐一設定する作業がユーザにとっては煩わしい場合がある。また、浴室温度や映像等の複数要素が調和しておらず、当該複数要素により構成される浴室状態がユーザの嗜好にはそぐわないものとなり、入浴中のユーザに違和感を覚えさせる場合もある。
【０００５】
そこで、本発明は、簡単な操作によってユーザの嗜好に応じた浴室状態を提供可能なシステムを提供することを解決課題とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第１発明の浴室状態管理システムは、浴室状態を管理するシステムであって、目標浴室状態のユーザによる設定操作を可能とする浴室状態設定操作手段と、該目標浴室状態と、該目標浴室状態を構成する複数要素の調節態様との対応関係（以下、適宜「第１対応関係」という。）に関する情報を記憶保持する第１情報源との通信に基づき、該第１対応関係にしたがって、該浴室状態設定操作手段を通じて設定された該目標浴室状態を構成する該複数要素の調節態様を認識する第１認識手段と、該第１認識手段により認識された該複数要素の調節態様にしたがって該複数要素を調節する要素調節手段とを備え、前記浴室状態設定操作手段が、ユーザによる入浴効能および健康状態のうち少なくとも一方の設定操作と、当該設定入力効能および健康状態のうち少なくとも一方に応じて選定された温泉の範囲内での温泉の名称または種類の設定操作とを通じた、前記目標浴室状態の設定操作を可能とすることを特徴とする。
【０００７】
第１発明の浴室状態管理システムによれば、ユーザにより浴室状態を構成する複数要素が逐一設定されなくても、浴室状態設定操作手段において「入浴効能」および「健康状態」のうち少なくとも一方の設定操作と、これに続く「温泉名称または種類」の設定操作を通じて「目標浴室状態」が設定されれば、第１情報源により記憶保持されている第１対応関係にしたがって当該目標浴室状態を構成する複数要素が自動的に調節される。このように、本発明によれば、浴室状態を構成する複数要素のそれぞれの調節態様が設定される場合と比較して簡単で、ユーザの嗜好に応じた目標浴室状態の設定操作を通じ、当該目標浴室状態が実現されうる。
【０００８】
また、ユーザによる設定されうる「温泉名称または種類」は、これより前に当該ユーザにより設定された「入浴効能」および「健康状態」のうち少なくとも１つに応じて選定されている。これにより「‥という名称（または種類）の温泉には‥という効能がある」「‥という健康状態にある場合、‥という名称または種類の温泉に入浴するのが健康管理のために適切である」等の対応関係をユーザに把握させることができる。そして、ユーザに当該対応関係を把握することの魅力、ひいては本システムの魅力を感じさせることができる。
【０００９】
また、第２発明の浴室状態管理システムは、第１発明の浴室状態管理システムにおいて、前記浴室に湯水を供給する給湯装置、該給湯装置により該浴室に供給される湯水に薬剤を混入する薬剤混入装置、浴室空気を調節する浴室空調装置、該浴室に照明を施す浴室照明装置、該浴室に映像コンテンツを提供する映像装置および該浴室に音響コンテンツを提供する音響装置のうち少なくともいずれか２つを備え、前記要素調節手段が前記給湯装置により前記浴室へ供給される湯水、前記薬剤混入装置により該湯水に混入される薬剤、前記浴室空調装置により調節される該浴室の空気状態、前記浴室照明装置による照明、前記映像装置を通じて提供される映像コンテンツおよび前記音響装置を通じて提供される音響コンテンツのうち少なくとも２つの要素を調節することを特徴とする。
【００１０】
第２発明の浴室状態管理システムによれば、（ａ）浴室に供給される湯水、（ｂ）当該湯水に混入される薬剤、（ｃ）浴室における空気状態、（ｄ）浴室の照明、（ｅ）映像コンテンツ、および（ｆ）音響コンテンツのうち２つ以上の要素の調節態様が制御されることで浴室状態が実現される。本発明によれば、要素（ａ）〜（ｆ）の調節態様に幅を持たせることにより、ユーザの幅広い嗜好に応じた浴室状態を実現することができる。
【００１２】
さらに、第３発明の浴室状態管理システムは、第１または第２発明の浴室状態管理システムにおいて、浴室状態と入浴方法との対応関係（以下、適宜「第２対応関係」という。）に関する情報を記憶保持する第２情報源との通信に基づき、該第２対応関係にしたがって、前記浴室状態設定操作手段を通じて設定された前記目標浴室状態に応じた入浴方法を認識する第２認識手段と、該第２認識手段により認識された入浴方法に関する情報を前記浴室状態設定操作手段が設けられている空間または浴室に提供する情報提供手段とを備えていることを特徴とする。
【００１３】
第３発明の浴室状態管理システムによれば、前記のように複数要素の調節態様の逐次設定と比較して簡単で、ユーザの嗜好に応じた目標浴室状態の設定操作を通じ、当該目標浴室状態が構成されうる。また、第２対応関係にしたがい、複数の要素により構成された目標浴室状態に応じた入浴方法に関する情報がユーザに対して提供される。これにより当該入浴方法にしたがってユーザに入浴時間を過ごさせ、本システムの魅力をユーザに感じさせることができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の浴室状態管理システムの実施形態について図面を用いて説明する。
【００１５】
まず、本発明の一実施形態における浴室状態管理システムの構成について図１を用いて説明する。
【００１６】
浴室状態管理システムは給湯装置１１０と、薬剤混入装置１２０と、浴室空調装置１３０と、浴室照明装置１４０と、映像装置１５０と、および音響装置１６０と、浴室リモコン１７０とを備えている。
【００１７】
給湯装置１１０は浴槽１１２に湯水を供給するとともに、浴室に設けられたカラン１１４およびシャワー１１６を介して浴室に湯水を供給する。
【００１８】
薬剤混入装置１２０は給湯装置１１０により浴室に供給される湯水に薬剤を混入する。薬剤混入装置１２０は複数の貯蔵容器１２２と、貯蔵量測定ユニット１２４と、発注ユニット１２６とを備えている。
【００１９】
複数の貯蔵容器１２２は入浴剤や芳香剤等の複数種類の液状（粉状でもよい）薬剤を種類ごとに貯蔵する。詳細な構成は図示しないが、それぞれの貯蔵容器１２２は電磁弁が設けられた１次薬剤管を介して混合室に連結され、混合室で電磁弁の開閉により流量が調節されたそれぞれの薬剤が混合され、混合室は２次薬剤管を介し、給湯装置１１０から浴室まで延設された給湯・給水管１１８に連結されている。
【００２０】
貯蔵量測定ユニット１２４は貯蔵容器１２２における薬剤の貯蔵量を薬剤の種類ごとに測定する。貯蔵量測定ユニット１２４はたとえば貯蔵容器１２２に連結された１次配管に設けられた電磁弁の開度および開弁時間に基づき、当該貯蔵容器１２２の薬剤の流出量ひいては貯蔵量を測定する。
【００２１】
発注ユニット１２６は貯蔵量測定ユニット１２４により測定されるそれぞれの貯蔵容器１２２の薬剤の貯蔵量が所定量以下になったとき、当該薬剤の「発注情報」をネットワークを介して薬剤供給者の端末２５０に送信する。
【００２２】
浴室空調装置１３０は浴室への送風温度（ひいては浴室温度）、送風量、送風方向および浴室の換気量等、浴室の空気状態を調節する。浴室照明装置１４０は浴室の照明の明るさや色を調節する。映像装置１５０は映像コンテンツサーバ２３０からネットワークを介して映像コンテンツを取得した上で浴室に提供する。音響装置１６０は音響コンテンツサーバ２４０からネットワークを介して音響コンテンツを取得した上で浴室に提供する。
【００２３】
浴室リモコン１７０は第１認識ユニット１７１と、第２認識ユニット１７２と、要素調節ユニット１７３と、液晶パネル１７４とを備えている。
浴室リモコン１７０は液晶パネル１７４におけるタッチパネル方式の操作が可能とされており、「温泉名称（または種類）」の設定を通じた「目標浴室状態」の設定操作を可能とする「浴室状態設定操作手段」を構成する。
【００２４】
第１認識ユニット１７１は「目標浴室状態と複数要素の調節態様との対応関係（第１対応関係）に関する情報」を第１サーバ（第１情報源）２１０からネットワークを介して取得した上で、当該情報にしたがって、浴室リモコン１７０を通じてユーザにより設定された目標浴室状態に応じた複数要素の調節態様を認識・決定する。第１サーバ２１０により記憶保持されている第１対応関係に関する情報は入浴者に調和を感じさせる観点から専門家等により決定されている。
【００２５】
複数の要素には（ａ）浴槽１１２の湯水の温度、カラン１１４等を通じて浴室に供給される湯水の温度、量、（ｂ）浴槽１１２等に供給される湯水に混入される薬剤の種類や量、（ｃ）浴室の温度、送風量、送風方向等の空気状態、（ｄ）浴室の照明、（ｅ）映像コンテンツの取得先や内容、および（ｆ）音響コンテンツの取得先や内容等が含まれる。
【００２６】
第２認識ユニット１７２は「目標浴室状態および入浴方法の対応関係（第２対応関係）に関する情報」を第２サーバ（第２情報源）２２０からネットワークを介して取得した上で、当該情報にしたがって、浴室リモコン１７０を通じてユーザにより設定された目標浴室状態に応じた入浴方法を認識・決定する。第２サーバ２２０により記憶保持されている第２対応関係に関する情報は、入浴者の健康維持・増進を図る観点から医者等の専門家により決定されている。
【００２７】
要素調節ユニット１７３は第１認識ユニット１７２により認識された複数要素の調節態様にしたがって、浴槽１１２の湯の温度や当該湯に混入される薬剤の種類等の複数要素を調節する。
【００２８】
液晶パネル１７４は本発明の「情報提供手段」を構成し、第２認識ユニット１７２により認識された「目標浴室状態に応じた入浴方法に関する情報」等が表示される。
【００２９】
続いて前記構成の本発明の一実施形態における浴室状態管理システムの機能について図２および図３を用いて説明する。
【００３０】
まず、ユーザにより浴室リモコン１７０の設定操作を通じて「目標浴室状態」が設定される（図２／ｓ１）。
【００３１】
具体的には、ユーザにより浴室リモコン１７０がＯＮ操作される等のタイミングで、図３（ａ）に示すように液晶パネル１７４に「どの温泉を選びますか」というメッセージとともに「Ａ温泉」「Ｂ温泉」等の複数の温泉名称を表示する複数のボタンと、各温泉の所在地を示すマップとが表示される。この状態で、ユーザが「Ａ温泉の雰囲気を味わいたい」といった嗜好等に応じて液晶パネル１７４の「Ａ温泉」のボタンに触れることにより、Ａ温泉に応じた「目標浴室状態」が設定される。なお、温泉の「名称」の代わりに、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉等、温泉の「種類」に応じて目標浴室状態が設定されてもよい。
【００３２】
次に第１認識ユニット１７１により「第１対応関係に関する情報」が第１サーバ２１０からダウンロードされる（図２／矢印１）。この上で、当該情報と、浴室リモコン１７０においてユーザにより設定された目標浴室状態とに基づき、第１認識ユニット１７１によって当該目標浴室状態を構成する複数要素の調節態様が認識・決定される（図２／ｓ２）。
【００３３】
また第２認識ユニット１７２により「第２対応関係に関する情報」が第２サーバ２２０からダウンロードされる（図２／矢印２）。この上で、当該情報と、浴室リモコン１７０においてユーザにより設定された目標浴室状態とに基づき、第２認識ユニット１７２により当該目標浴室状態に応じた入浴方法が認識・決定される（図２／ｓ３）。これにより図３（ｂ）に示すように、液晶パネル１７４に「入浴に関する注意事項」というメッセージとともに「湯が熱いので１０分ごとに湯から出て５分休むというサイクルを繰り返すとよい」等の入浴方法に関する情報が表示される。
【００３４】
なお、タイマ（図示略）による計測時間に基づき、入浴後１０分経過時に「湯からあがりましょう」というメッセージが液晶パネル１７４に表示され、さらに５分後に「湯に浸かりましょう」というメッセージが液晶パネル１７４に表示される等、入浴方法に関する情報が逐次提供されてもよい。また、液晶パネル１７４を通じた視覚的情報提供のほか、浴室リモコン１７０の音声発生装置（図示略）を通じた聴覚的な情報提供も可能である。
【００３５】
これにより、健康維持・増進等の観点から適切な入浴方法が温泉の種類によって相違することをユーザに認識させうる。
【００３６】
続いて、要素調節ユニット１７３により、第１認識ユニット１７１により認識された「複数要素の調節態様」にしたがって当該複数の要素が調節される（図２／ｓ４〜ｓ９）。
【００３７】
具体的には、給湯装置１１０から浴槽１１２に供給される湯水の温度（給湯装置１１０が追焚機能を有する場合は追焚温度）、カラン１１４およびシャワー１１６を通じて浴槽に供給される湯水の温度およびこれらの時間変化が調節される（図２／ｓ４）。なお、ジェットバス機能がある場合には、浴槽１１２へのジェットバブルの供給量、供給態様等が制御されてもよい。また、浴室に供給される湯水に薬剤混入装置１２０によって混入される薬剤の種類、量およびこれらの時間変化が制御される（図２／ｓ５）。さらに浴室温度、浴室への送風量、浴室の換気量、およびこれらの時間変化が浴室空調装置１３０を通じて調節される（図２／ｓ６）。また、浴室における照明の明るさ、色調、およびこれらの時間変化が浴室照明装置１４０を通じて調節される（図２／ｓ７）。
【００３８】
さらに要素調節ユニット１７３により「映像コンテンツ」が映像コンテンツサーバ２３０からダウンロードされ（図２／矢印４）、当該映像コンテンツが映像装置１５０を通じて浴室に提供される（図２／ｓ８）。また、要素調節ユニット１７３により「音響コンテンツ」が音響コンテンツサーバ２４０からダウンロードされ（図２／矢印５）、当該音響コンテンツが音響装置１６０を通じて浴室に提供される（図２／ｓ９）。
【００３９】
また、薬剤混入装置１２０において、貯蔵量測定ユニット１２４により測定される各貯蔵容器１２２の薬剤の貯蔵量が所定量以下となったか否かが定常的に判断されている（図２／ｓ１０）。そして、薬剤の貯蔵量が所定量以下になったとき（図２／ｓ１０‥ＹＥＳ）、当該薬剤を取扱い薬剤の種類、納期、価格等の基準により注文主を特定した上で注文する「発注情報」が発注ユニット１２６によって薬剤供給者の端末２５０に送信される（図２／矢印６）。これに応じて薬剤供給者から当該注文主に対し、発注情報に係る薬剤が提供される（図２／矢印Ｄ）。
【００４０】
本発明の一実施形態における前記浴室状態管理システムによれば、浴室リモコン（浴室状態設定操作手段）１７０におけるユーザの設定操作を通じて「目標浴室状態」が設定される（図２／ｓ１参照）。これに応じ、第１認識ユニット１７１と第１サーバ２１０との通信（図２／矢印１参照）に基づき目標浴室状態を構成する複数要素の調節態様が認識・決定される（図２／ｓ２参照）。また、第１認識ユニット１７１により認識された複数要素の調節態様にしたがい、要素調節ユニット１７３により当該複数要素が調節される。そして、当該複数要素により構成され、ユーザの嗜好に応じて設定された温泉名称に応じた「目標浴室状態」においてユーザに入浴時間を過ごさせることができる。
【００４１】
ユーザの設定操作により温泉名称さえ設定されれば、複数要素の調節態様がユーザによりいちいち設定されなくてもこの温泉名称に応じた目標浴室環境が構成される。また、目標浴室状態を構成する複数要素は、ユーザに調和を感じさせる観点から決定された調節態様にしたがって調節される。このため、入浴中のユーザに複数要素に調和を感じさせながら、当該目標浴室環境において心地よい入浴時間を過ごさせることができる。
【００４２】
したがって、複数要素の調節態様の逐一設定操作と比較して簡単な、温泉名称の設定操作（図２／ｓ１参照）によって、当該ユーザに調和を感じさせうるように複数要素が調節され、当該複数要素により目標浴室状態が構成されうる。
【００４３】
また（ａ）浴室に供給される湯水、（ｂ）当該湯水に混入される薬剤、（ｃ）浴室における空気状態、（ｄ）浴室の照明、（ｅ）映像コンテンツ、および（ｆ）音響コンテンツの調節態様に幅を持たせることにより、ユーザの幅広い嗜好に応じた浴室状態を実現することができる。
【００４４】
たとえば「Ａ温泉は湯量が豊富で湯が熱く、緯度が高いので空気が冷たい」等の情報に基づき、給湯装置１１０により浴槽１１２に熱めの湯が定常的に豊富に供給されるとともに、浴室空調装置１３０により浴室に冷風が供給されるようにされうる。これにより、Ａ温泉に応じた目標浴室状態において、湯水の動態、湯水が立てる音、湯水の温度や浴室温度が変化し、入浴中のユーザにその視覚、聴覚、体感を通じたリラクゼーション効果等のユーザにとって好ましい効果を実感させることができる。
【００４５】
また「Ａ温泉の泉質は塩化物泉（炭酸水素塩泉、‥）である」等の情報に基づき、薬剤混入装置１２０により当該泉質が実現されるように入浴剤等の薬剤が調合された上で浴室（特に浴槽１１２）に供給される湯水に混入されうる。これにより、目標浴室状態において入浴中のまたは入浴済みのユーザに、当該薬剤の放つ香りや色彩、薬効に基づきこのユーザの嗅覚、視覚、体感を通じてリラクゼーション効果等を実感させることができる。
【００４６】
さらに、夜の露天風呂における入浴が擬似的に実現されるように浴室照明装置１４０の明るさが抑制され、Ａ温泉の周囲の環境を映し出すような映像コンテンツが映像装置１５０を通じて提供されうる。これにより、目標浴室状態において入浴中のユーザに対し、その視覚を通じてリラクゼーション効果等を実感させることができる。
【００４７】
また、川のせせらぎ、小鳥のさえずり、ししおどし等の音響コンテンツが音響装置１６０を通じて提供される。これにより、当該要素により構成される目標浴室状態において入浴中のユーザに対し、その聴覚を通じてリラクゼーション効果等を与えることができる。
【００４８】
目標浴室状態における入浴を通じ、Ａ温泉等、ユーザの嗜好等に応じて設定された温泉への入浴を当該ユーザに擬似体験させることができる。そして、ユーザはその視覚、聴覚、嗅覚や体感を通じて好ましい効果を実感することができるので、本システムの利用に対する魅力を当該ユーザに覚えさせることができる。
【００４９】
さらにユーザにより設定された目標浴室状態に応じ、健康増進の観点から適切な入浴方法に関する情報が液晶パネル１７４に表示される（図３（ｂ）参照）。これにより、ユーザの健康状態の維持・増進を図りうるような形で当該ユーザに入浴時間を過ごさせ、本システムの魅力をユーザに覚えさせることができる。
【００５０】
また、ユーザは「温泉」を自ら設定したことで（図２／ｓ１、図３（ａ）参照）、どのような目標浴室状態が構成されるかをある程度予測しながらも、不測の部分に期待を抱いて入浴に望むことができる。入浴に際しこのような期待をユーザに抱かせることで、本システムの魅力を当該ユーザに覚えさせることができる。また「‥温泉を設定すると‥のような浴室状態が実現されるのか」等の感慨を入浴中のユーザに与え、ひいては本システムの強い魅力を当該ユーザに覚えさせることができる。
【００５１】
さらに薬剤混入装置１２０の貯蔵容器１２２により貯蔵されている薬剤が所定量以下になったとき、当該薬剤の発注情報が薬剤供給者の端末２５０に送信される（図２／矢印５参照）。したがって、端末２５０を通じて薬剤の発注情報を受信した薬剤供給者により薬剤が迅速に補給されうる（図２／矢印Ｄ参照）。
【００５２】
なお、前記実施形態ではユーザによる「温泉名称」の設定を通じて目標浴室状態が設定されたが（図２／ｓ１、図３（ａ）参照）、他の実施形態として「温泉名称」に加えまたはこれに替えて「関節痛が和らぐ」「肌が綺麗になる」等の「入浴による効能」や、「肩が痛い」「眼が疲れている」等の「健康状態」の設定を通じて目標浴室状態が設定されてもよい。
【００５３】
当該他の実施形態において「関節痛が和らぐ」等の設定に応じ、設定された入浴による効能を示す情報が、浴室リモコン１７０から医療機関等の専門機関の端末に送信され、関節痛が和らぐためにはどのように複数要素が調節されるべきかを示す情報が専門機関の端末から浴室リモコン１７０に送信され、当該情報にしたがって目標浴室状態が設定されてもよい。
【００５４】
また、当該他の実施形態において、ユーザにより入浴効能および健康状態のうち少なくとも一方が設定された後、浴室リモコン１７０により当該設定入浴効能および健康状態のうち少なくとも一方に応じた温泉が選定され、当該選定温泉の範囲内で温泉の設定操作（図３（ａ）参照）が可能とされてもよい。
【００５５】
この場合、ユーザによる「効能」の設定に応じ、その後に当該ユーザにより設定されうる「温泉」が浴室リモコン１７０により選定される。これにより「‥という名称（または種類）の温泉には‥という効能がある」等の「温泉名称（または種類）」と「効能」との対応関係をユーザに把握することができる。また、ユーザによる「健康状態」の設定に応じ、その後に当該ユーザにより設定されうる「温泉」が浴室リモコン１７０により選定される。これにより「‥という健康状態にある場合、‥という名称（または種類）の温泉に入浴するのが健康管理のために適切である」等の「温泉名称（または種類）」と「健康状態」との対応関係をユーザに把握させることができる。
【００５６】
そして、どの温泉にどのような効能があるか等の対応関係を把握することの魅力をユーザに感じさせ、ひいては本システムの魅力を当該ユーザに感じさせることができる。
【００５７】
「入浴効能」等に応じた「温泉名称（または種類）」の選定に際し、浴室リモコン１７０が第１サーバ２１０等のサーバからネットワークを介して「入浴効能等および温泉名称または種類との対応関係に関する情報」をダウンロードしてもよい。当該サーバが温泉の宿泊施設の運営者等により提供される情報を管理することで、ユーザに対して「入浴効能」等と「温泉名称（または種類）」とのより正確な対応関係を知らせることができる。
【００５８】
なお、前記実施形態では第１サーバ２１０からダウンロードされた第１対応関係に関する情報（図２／矢印１参照）に基づき、目標浴室状態に応じた複数要素の調節態様が第１認識ユニット１７１により認識されたが（図２／ｓ２参照）、他の実施形態として第１認識ユニット１７１により第１サーバ２１０に「目標浴室状態に関する情報」がアップロードされ、当該情報に基づき第１サーバ２１０により決定され、ダウンロードされる「目標浴室状態に応じた複数要素の調節態様に関する情報」に基づき、当該調節態様が第１認識ユニット１７１により認識・決定されてもよい。
【００５９】
また、前記実施形態では第２サーバ２２０からダウンロードされた第２対応関係に関する情報（図２／矢印２参照）に基づき、目標浴室状態に応じた入浴方法が第２認識ユニット１７２により認識されたが（図２／ｓ３参照）、他の実施形態として第２認識ユニット１７２により第２サーバ２２０に「目標浴室状態に関する情報」がアップロードされ、当該情報に基づき、第２サーバ２２０により決定され、ダウンロードされる「目標浴室状態に応じた入浴方法に関する情報」に基づき、当該入浴方法が第２認識ユニット１７２により認識・決定されてもよい。
【００６０】
前記実施形態では映像コンテンツサーバ２３０からダウンロードされた映像コンテンツが映像装置１５０を通じて浴室に提供されたが（図２／矢印３、ｓ８参照）、他の実施形態としてＤＶＤ等の映像記録媒体の再生装置により再生され、または放送局から無線・有線放送された映像コンテンツが映像装置１５０を通じて浴室に提供されてもよい。
【００６１】
前記実施形態では音響コンテンツサーバ２４０からダウンロードされた音響コンテンツが音響装置１６０を通じて浴室に提供されたが（図２／矢印４、ｓ９参照）、他の実施形態として「音響コンテンツ」がＣＤ等の音響記録媒体の再生装置により再生され、または放送局からの無線・有線放送された音響コンテンツが音響装置１６０を通じて浴室に提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】浴室状態管理システムの構成説明図
【図２】浴室状態管理システムの機能説明図
【図３】目標浴室状態の設定方法説明図
【符号の説明】
１１０‥給湯装置、１２０‥薬剤混入装置、１２２‥薬剤容器、１２４‥貯蔵量測定ユニット、１２６‥発注ユニット、１３０‥浴室空調装置、１４０‥浴室照明装置、１５０‥画像装置、１６０‥音響装置、１７０‥浴室リモコン（浴室状態設定操作手段）、１７１‥第１認識ユニット、１７２‥第２認識ユニット、１７３‥要素調節ユニット、１７４‥液晶パネル（情報提供手段）、２１０‥第１サーバ、２２０‥第２サーバ、２３０‥映像コンテンツサーバ、２４０‥音響コンテンツサーバ、２５０‥薬剤供給者の端末
Claims (3)
- 浴室状態を管理するシステムであって、
目標浴室状態のユーザによる設定操作を可能とする浴室状態設定操作手段と、
該目標浴室状態と、該目標浴室状態を構成する複数要素の調節態様との対応関係（以下、適宜「第１対応関係」という。）に関する情報を記憶保持する第１情報源との通信に基づき、該第１対応関係にしたがって、該浴室状態設定操作手段を通じて設定された該目標浴室状態を構成する該複数要素の調節態様を認識する第１認識手段と、
該第１認識手段により認識された該複数要素の調節態様にしたがって該複数要素を調節する要素調節手段とを備え、
前記浴室状態設定操作手段が、ユーザによる入浴効能および健康状態のうち少なくとも一方の設定操作と、当該設定入力効能および健康状態のうち少なくとも一方に応じて選定された温泉の範囲内での温泉の名称または種類の設定操作とを通じた、前記目標浴室状態の設定操作を可能とすることを特徴とする浴室状態管理システム。 - 前記浴室に湯水を供給する給湯装置、該給湯装置により該浴室に供給される湯水に薬剤を混入する薬剤混入装置、浴室空気を調節する浴室空調装置、該浴室に照明を施す浴室照明装置、該浴室に映像コンテンツを提供する映像装置および該浴室に音響コンテンツを提供する音響装置のうち少なくともいずれか２つを備え、
前記要素調節手段が前記給湯装置により前記浴室へ供給される湯水、前記薬剤混入装置により該湯水に混入される薬剤、前記浴室空調装置により調節される該浴室の空気状態、前記浴室照明装置による照明、前記映像装置を通じて提供される映像コンテンツおよび前記音響装置を通じて提供される音響コンテンツのうち少なくとも２つの要素を調節することを特徴とする請求項１記載の浴室状態管理システム。 - 浴室状態と入浴方法との対応関係（以下、適宜「第２対応関係」という。）に関する情報を記憶保持する第２情報源との通信に基づき、該第２対応関係にしたがって、前記浴室状態設定操作手段を通じて設定された前記目標浴室状態に応じた入浴方法を認識する第２認識手段と、
該第２認識手段により認識された入浴方法に関する情報を前記浴室状態設定操作手段が設けられている空間または浴室に提供する情報提供手段とを備えていることを特徴とする請求項１または２記載の浴室状態管理システム。
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