JP3943339B2 - 移動通信システムにおける移動機の位置推定方法及びシステム - Google Patents

移動通信システムにおける移動機の位置推定方法及びシステム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにおける移動機の位置推定方法及びシステムに係り、詳しくは、複数の基地局と通信を行う移動機の位置をその送受信信号の状態から統計的手法により推定するようにした移動機の位置推定方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動機の位置を推定する手法として、例えば、複数の基地局からの下り信号の受信レベル(電界強度)を移動機にて測定し、その各基地局に対応した受信レベルに基づいて移動機の位置を推定する手法が提案されている。具体的には、次のようにして移動機の位置が推定される。
【0003】
移動機にて複数の基地局のそれぞれからの下り信号(例えば、LCCH)の受信レベルを所定時間(例えば、数秒間)、所定周期(例えば、100ミリ秒)にて測定し、その間に得られた測定値の平均値を各基地局に対応する受信レベルとしてセンタに報告する。センタでは、報告された各基地局に対応する受信レベル及び各基地局の位置情報を用いて、そのレベル内分点を移動機の推定位置として演算する。
【0004】
即ち、各基地局CSiの位置を(xi、yi)とし、各基地局CSiに対応した受信レベルをEiとしたときに、移動機PSの推定位置(X、Y)が、
【0005】
【数1】
Figure 0003943339
に従って演算される。上式において、Mは、移動機PSの位置推定のために下り信号が用いられる基地局の総数である。上記式に従った演算の結果、各基地局CS1〜CSMの重心位置に対して受信レベルにて重み付けした点が、移動機PSの推定位置として得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
移動機と各基地局との間の無線伝送路の状態は、車両によるシャドウイングなどのように時間的に変動したり、地形、建造物の配置などによって地域的に変化したりする。そのため、移動機が複数の基地局に対して一定の相対的位置関係を維持したとしても、各基地局からの受信レベルは、時間的、地域的に変動してしまう。
【0007】
上述した従来の手法では、所定時間内の測定された受信レベルの平均値を各基地局に対応した受信レベルとしているので、無線伝送路の状態の時間的な変動による影響はある程度除去することができる。しかし、地形、建造物の配置の違いに依存した無線伝送路の状態の地域的な変動の影響は除去することができず、移動する移動機の位置を精度よく推定することができない。
【0008】
そこで、本発明の課題は、移動機と基地局間との間の無線伝送路の状態が、地域的な要因等によって変化しても、より精度よく移動機の位置の推定ができるようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法及びシステムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載されるように、複数の基地局と移動機との間で所定の信号を送受信し、測定される受信強度及び各基地局の位置情報に基づいて移動機の位置推定を行う方法において、各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って測定される複数の受信強度に基づいて各基地局毎に受信強度の平均的な値を測定受信強度として求め、基地局と移動機との間の距離に対する受信強度の地理的な変動を考慮して予め定められた各基地局からの距離と受信強度との統計的な関係を確率にて表した確率分布特性と、上記のように求められた各基地局に対応した測定受信強度とに基づいて、当該基地局が各位置に存在する確率を求め、このように求められた各位置での当該移動機の存在しうる確率に基づいて、当該移動機の存在位置を推定するように構成される。
【0010】
このような移動通信システムにおける移動機の位置推定方法では、基地局と移動機との間の距離に対する受信強度の地理的な変動を考慮して予め定められた各基地局からの距離と受信強度との統計的な関係を確率にて表した確率分布特性と、実際に測定された複数の受信強度から求められる受信強度の平均的な値(測定受信強度)とに基づいて、移動機が各位置に存在しうる確率を求めている。この各位置にて移動機が存在しうる確率は、上記測定受信強度の地理的な変動に依存したものとなる。従って、実際に測定される複数の受信強度に基づいて得られる測定受信強度が、地域的に変化するものであっても、その変化を考慮した状態で当該移動機の存在位置の推定が行われる。
【0011】
複数の受信強度に基づいて求められる受信強度の平均的な値は、当該複数の受信強度の瞬時値変動が無視できると見なし得る値となることが好ましい。そのような観点から、測定の回数、平均化のアルゴリズムが決められる。
【0012】
特に、複数の受信強度の瞬時値変動が無視できると見なし得る値として、当該複数の受信強度の短区間中央値を用いることができる。この場合、本発明は、請求項2に記載されるように、上記移動機の位置推定方法において、測定される複数の受信強度の短区間中央値とみなし得る平均的な値を上記測定受信強度とし、上記確率分布特性は、各基地局からの距離に対して受信強度の短区間中央値のとりうる確率を表す特性となるように構成することができる。
【0013】
上記移動機が各位置に存在する確率は、例えば、請求項3に記載されるように、上記移動機の位置推定方法において、上記確率分布特性に基づいて、各位置において各基地局毎に対応する測定受信強度のとり得る確率を求め、各基地局毎に求められた確率を結合して得られる結合確率に基づいて得ることができる。
【0014】
移動機の推定位置を効率的に得ることができるという観点から、本発明は、請求項4に記載されるように、上記各移動機の位置推定方法において、移動機の存在する確率を得るべき位置の範囲となるエリアを上記複数の基地局の設置位置に基づいて決めるように構成することができる。
【0015】
このような移動通信システムにおける移動機の位置推定方法では、決定されたエリア内だけを対象として移動機の存在確率が求められることになる。
【0016】
移動機の存在位置を推定するためにより有効な情報が効率的に得られるという観点から、本発明は、請求項5に記載されるように、上記移動機の位置推定方法において、複数の基地局のうちで、移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局が中央に位置する所定エリアを、移動機の存在する確率を得るべき位置の範囲とするように構成することができる。
【0017】
このような移動通信システムにおける移動機の位置推定方法では、移動機は、当該移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局の近傍に存在する確率が高いので、このようなエリアを設定することにより、そのエリアが比較的狭くても、得られる各位置での当該移動機の存在確率は比較的高い値となる。
【0018】
更に、具体的にそのエリアを決定する手法を提供するという観点から、本発明は、請求項6に記載されるように、そのような移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、上記移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局が中央に位置する上記所定エリアは、上記測定受信強度に対応した確率分布特性において、ある距離以遠では移動機の存在確率が統計的に所定の閾値以下となる当該距離に基づいて決めるように構成することができる。
【0019】
容易に移動機の存在確率を得るべき位置が指定できるという観点から、本発明は、請求項7に記載されるように、上記各移動機の位置推定方法において、移動機の存在する確率を得るべき位置の範囲として決められたエリアを格子状に区切って得られる各格子点の位置を、移動機が存在する確率を得るべき位置とするように構成することができる。
【0020】
また、移動機の位置推定結果により大きな影響を与える位置を指定できるという観点から、本発明は、請求項8に記載されるように、上記移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、移動機の存在する確率を得るべき位置の範囲として決められたエリアを格子状に区切って得られる各格子点の位置を、移動機が存在する確率を得るべき位置とし、上記移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局の位置を少なくとも格子点とすると共に、当該測定受信強度に対応した確率分布特性のピーク点における当該基地局からの距離に基づいて格子間隔を決めるように構成することができる。
【0021】
統計的に精度の高い移動機の存在位置の推定が可能となるという観点から、本発明は、請求項9に記載されるように、上記各移動機の位置推定方法において、各位置での当該移動機の存在する確率に基づいて、当該移動機の存在する位置の期待値を求め、該期待値を当該移動機が存在すると推定される位置とするよう構成することができる。
【0022】
また、比較的精度の高い移動機の存在位置の推定が簡便に行えるという観点から、本発明は、請求項10に記載されるように、上記各移動機の位置推定方法において、各位置での当該移動機の存在する確率のうち、最も確率の高い位置を当該移動機が存在すると推定される位置とするように構成することができる。
【0023】
精度の高い推定位置を得るための処理量を低減できるという観点から、本発明は、請求項11に記載されるように、上記各移動機の位置推定方法において、第一のエリア内に隙間をもって配列された地点において当該移動機の存在しうる確率を求め、その各地点での当該移動機の存在しうる確率に基づいて当該移動機の存在位置を推定し、その後、その推定された存在位置が中央に位置する上記第一のエリアより狭い第二のエリア内に上記隙間より狭い隙間にて配列された地点において当該移動機の存在しうる確率を求め、その各地点での当該移動機の存在しうる確率に基づいて当該移動機の最終的な存在位置を推定するように構成することができる。
【0024】
このような移動通信システムにおける移動機の位置推定方法では、比較的広い第一のエリアにおける比較的粗い隙間で位置する各点での移動機の存在確率に基づいて、移動機の大まかな位置が推定される。そして、その推定された位置を取り巻く比較的狭い第二のエリアにおいて比較的狭い隙間で位置する各点での移動機の存在確率に基づいて移動機のより正確な位置が推定される。
【0025】
同様の観点から、本発明は、請求項12に記載されるように、上記移動機の位置推定方法において、設定されたエリア内に隙間をもって配列される各地点において当該移動機の存在しうる確率を求め、その確率のうち最も高い確率が統計的に所定の閾値以上となるときに、その最も高い確率を与える地点が中央に位置する上記エリアより狭い他のエリアを設定し、その設定されたエリアに上記隙間より狭い隙間にて配列された各地点において当該移動機の存在し得る確率を求め、上記のように求められた各地点での当該移動機の存在し得る確率に基づいて移動機の存在位置を推定するように構成することができる。
【0026】
このような移動機の位置推定方法では、より高い確率を与える地点の近傍領域のより多くの地点において求められる当該移動機の存在し得る確率を用いて当該移動機の存在位置の推定が行われる。そのため、移動機のより正確な位置推定が可能となる。
【0027】
また、請求項13に記載されるように、上記求められた確率のうち最も高い確率が統計的に所定の閾値以上となるときに、その最も高い確率を与える地点が中央に位置する上記エリアより狭い他のエリアを設定し、その設定されたエリアに上記隙間より狭い隙間にて配列された各地点において当該移動機の存在し得る確率を求めることを繰り返し行うことができる。
【0028】
より精度の高い各位置での移動機の存在確率を得ることができるという観点から、本発明は、請求項14に記載されるように、上記各移動機の位置推定方法において、各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って所定数の受信強度が測定されなかったときに、その測定にて得られた受信強度に基づいて測定受信強度として求められた当該平均的な値は、当該移動機が各位置に存在しうる確率を求める際に用いないように構成することができる。
【0029】
本発明に係る方法では、各点での移動機の存在確率を、受信強度の平均的な値(測定受信強度)の地理的な変動を考慮して統計的な手法により求めている。このような手法では、複数回測定された受信強度の平均的な値に含まれる瞬時値変動の成分の影響が少ないということが、より精度の高い移動機の各点での存在確率を得ることの条件である。上記のように所定数の受信強度が測定されなかった際に得られた受信強度の平均的な値には、瞬時値変動の成分の影響が大きく残る可能性が高いと考え得る。従って、そのような受信強度の平均的な値を移動機が各位置に存在しうる確率を求める際に用いないことによって、より精度の高い移動機の各位置での存在確率を得ることができる。
【0030】
上記受信強度の平均的な値を、当該移動機が各位置に存在しうる確率を求める際に用いるか否かの基準となる測定受信強度の数(所定数)は、その数の受信強度の平均的な値から受信強度の瞬時値変動の影響が除去されていると見なし得るか否かに基づいて定められる。
【0031】
また、本発明は、請求項15に記載されるように、上記各移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って所定数の受信強度が測定されなかったときに、上記各基地局からの距離と受信強度との統計的な関係を確率にて表した確率分布特性を、各基地局からの距離に対する受信強度の出現し得る範囲が広くなるように補正するように構成することができる。
【0032】
上述したように各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って所定数の受信強度が測定されなかった場合、その所定数に達しない受信強度の平均的な値には受信強度の瞬時値変動の影響がより多く含まれ、その平均的な値が出現するか否かは統計的により曖昧なものとなる。この場合、上記確率分布特性を、各基地局からの距離に対する受信強度の出現し得る範囲が広くなるように補正することにより、受信強度の平均的な値の曖昧さに則した当該確率分布特性を用いて当該移動機が各位置に存在する確率を求めることが可能となる。
【0033】
請求項16に記載されるように、上記各位置での当該移動機の存在し得る確率に基づいて、当該移動機が所定の確率以上の確率で存在し得る範囲を当該移動機の存在位置の推定結果として得るようにすることができる。
【0034】
上記本発明の課題を解決するため、本発明は、請求項17に記載されるように、複数の基地局と移動機との間で所定の信号を送受信し、測定される受信強度及び各基地局の位置情報に基づいて移動機の位置推定を行うシステムにおいて、各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って測定される複数の受信強度に基づいて各基地局毎に受信強度の平均的な値を測定受信強度として求める受信強度平均化手段と、基地局と移動機との間の距離に対する受信強度の地理的な変動を考慮して予め定められた各基地局からの距離と受信強度との統計的な関係を確率にて表した確率分布特性と、上記のように求められた各基地局に対応した測定受信強度とに基づいて、当該基地局が各位置に存在する確率を求める存在確率演算手段と、このように求められた各位置での当該移動機の存在しうる確率に基づいて、当該移動機の推定される存在位置を演算する推定位置演算手段とを有するように構成される。
【0035】
上記受信強度平均化手段、存在確率演算手段及び推定位置演算手段の一部または全部は、移動通信システムにおける移動機、基地局及びその他のノードに設けることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
本発明の実施の一形態に係る移動機の位置推定方法及びシステムが適用される移動無線システムは、例えば、図1に示すように構成される。このシステムは、簡易型携帯電話システム(PHS)である。
【0038】
図1において、通信サービスエリアに設置された各基地局CSは、公衆回線網10に接続され、該公衆回線網を介して位置情報センタ20と通信を行うことが可能となる。移動機PS(例えば、PHS端末)は、通常の通信サービスを受ける場合、下り信号の受信レベルの最も高くなる基地局CS、公衆回線網10を介して他の端末(電話端末、情報処理端末など)と通信(音声通信、データ通信)を行う。
【0039】
位置情報センタ20は、各基地局CSの位置情報(緯度、経度)、送信アンテナ高、送信電力等の情報を蓄積したデータベースを備えている。そして、位置情報センタ20は、移動機PSにて測定された各基地局CSからの下り信号の受信レベルを当該移動機PSから基地局CS及び公衆回線網10を介して受信し、その各基地局CSに対応した受信レベル、各基地局CSの位置情報等に基づいて移動機PSの推定位置を演算する。この移動機PSの推定位置の演算についての詳細は、後述する。
【0040】
上述した移動機PSの位置検索の処理は、例えば、次のような手順に従ってなされる。
【0041】
移動機PSの位置検索の依頼を受けた位置情報センタ20は、当該移動機PSに対して通話チャネルを通して位置検索要求がある旨を通知する。
【0042】
移動機PSは、各基地局CSから制御チャネルで送信される報知信号を受信し、信号受信レベル(瞬時値)を測定する。また、上記報知信号には送信元となる各基地局CSを特定するCS−IDが含まれている。この報知信号は、所定周期(例えば、100ミリ秒)にて報知されており、所定時間(例えば、数秒)受信することで、各基地局CSからの受信レベル(瞬時値)を複数回測定できる。
【0043】
移動機PSは、上記所定時間内で測定した各基地局CSからの信号の受信レベル(瞬時値)の平均値を演算する。そして、この平均値を各基地局CSi(i=1、2、…)に対する測定受信レベルEiとする。
【0044】
移動機PSは、上記のようにして各基地局CSiに対する測定受信レベルEiを得ると、各基地局CSiを特定するCS−IDと対応する測定受信レベルEiを対にしたCS情報を生成する。そして、移動機PSは、通話チャネルを確立し、その通話チャネルを通して当該CS情報を位置情報センタ20へ送信する。
【0045】
位置情報センタ20は、上述したように、位置検索対象移動機PSに対して位置検索要求がある旨を通知した後、例えば、図2に示す手順に従って処理を行う。この位置情報センタ20では、移動機PSでの受信レベルが種々の要因にて変動することを考慮して、統計的な手法により各位置における移動機PSの存在確率が演算され、その各位置での存在確率に基づいて移動機PSの推定位置が演算される。
【0046】
図2において、位置情報センタ20は、移動機PSからのCS情報の受信待ち状態となっている(S1)。この状態で、上述したように、移動機PSからのCS情報を公衆回線網10を介して受信すると(S1でYES)、そのCS情報に基づいて、移動機PSの位置推定を行うために必要な基地局を決定する。例えば、測定受信レベルEiが大きい上位所定数(例えば、3局)の基地局CSが選択される。
【0047】
なお、測定受信レベルEiが所定レベル以上の場合、送信出力がより小さい基地局CSを優先的に選択するようにしてもよい。これは、同じ測定受信レベルの場合、その送信元での送信出力が小さいほど、その送信元の基地局が移動機PSに近いとみなし得るからである。
【0048】
上記のようにして、移動機PSの位置推定を行うために必要な基地局CSが決定されると、その決定された基地局CSの設置位置に基づいて、移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアが決定される(S3)。例えば、図3に示すように、移動機PSの位置推定を行うために必要な基地局として決定された3つの基地局CS1、CS2、CS3に対して、矩形エリアA(例えば、500メートル四方のエリア)が対象エリアとして決定される。この対象エリアの決定手法については後述する。
【0049】
このように対象エリアが決定されると、その対象エリア内の位置sjが指定され(S4)、その指定された位置sjにおいて各基地局CSiから受信レベルEiにて信号受信がなされる確率P(Ei|sj)が演算される(S5)。この演算は、次のようにしてなされる。
【0050】
移動機PSと基地局CSiとの間の無線伝送路では、受信レベルは種々の要因で変動する。その変動は瞬時値変動と中央値変動に分類できる。中央値変動における中央値レベルは長区間中央値と短区間中央値に分類される。短区間中央値は瞬時値変動分布の中央値であり、伝搬距離が同じであっても建物等の場所的要因により値が変動する。この変動は、統計的に対数正規分布となる。そして、その平均値が長区間中央値である。
【0051】
この例では、測定される受信レベルの平均値は、その受信レベルの瞬時値変動(人や自動車等の周囲の動くもの等の影響により電界強度が変わることに起因)の影響を除去するという観点から求められ、その平均値を得るための受信レベルの測定回数や、その平均化のアルゴリズムは、得られる平均値が受信レベルの短区間中央値として見なし得るように定められる。
【0052】
また、移動機PSと基地局CSiとの間の無線伝送路における受信レベルの長区間中央値と伝搬距離との関係は、伝搬推定式f(r)にて表される。この伝搬推定式は、例えば、図4の特定Q1、Q2で示されるように、伝搬距離r[m]に対する受信レベルの長区間中央値E(=f(r))を与えている。
【0053】
なお、上述したように移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアは、各基地局CSiに対応した測定受信レベルEiを長区間中央値としてみなし、各基地局CSiの送信能力(アンテナ高、送信出力など)で決まる伝搬推定式からその測定受信レベルに基づいて定まる移動機PSまでの距離のうちで、最短の距離となる測定受信レベルを与える基地局CS1を中心とた所定矩形エリアAに決定される。この矩形エリアAが、例えば、図3に示すように、格子状に区切られ、各格子点sjが上記各基地局CSiから受信レベルEiにて信号受信を行う確率P(Ei|sj)を演算すべき位置となる。
【0054】
測定受信レベルが短区間中央値としてみなすことができ、上記のような、受信レベルの短区間中央値が、長区間中央値を平均値として所定の標準偏差を持つ対数正規分布となるという前提に基づいて、基地局CSiからRi,jだけ離れた(r=Ri,j)地点sjにおいて、受信レベルの短区間中央値(測定受信レベル)がEi(dB値)になる確率P(Ei|sj)は、
【0055】
【数2】
Figure 0003943339
に従って演算される。この式において、f(r)は、上記伝搬推定式を表し、σは、短区間中央値変動の標準偏差[dB]を表す。
【0056】
図3に示す例の場合、例えば、位置s9において基地局CS1からの測定受信レベルがE1となる確率P(E1|R1,9)、位置s9において基地局CS2からの測定受信レベルがE2となる確率P(E2|R2,9)、更に、位置s9において基地局CS3からの測定受信レベルがE3となる確率P(E3|R3,9)は、それぞれ次のようにして演算される。
【0057】
【数3】
Figure 0003943339
このように、位置sjにおいて各基地局CSiからの測定受信レベルがEiとなる確率が演算されると、それらの演算値を用いて、M個(例えば、3個)の基地局から測定受信レベルE1、E2、…、EMにて信号受信を行う移動機PSが位置sjに存在する確率P(sj|E1,E2,…,EM)が演算される(S6)。この確率P(sj|E1,E2,…,EM)は、ベイズの定理を用いて、
【0058】
【数4】
Figure 0003943339
のように変換される。上記式において、P(Ei)は測定受信レベルEiとなる確率を表す。また、P(sj)は移動機PSが位置sjに存在する確率であり、位置によらず一定の値であると仮定している。従って、Cは、位置によらないゼロでない定数となる。また、Pjは位置sjにおいてM個の基地局CS毎に求めた上記式2の確率を結合して得られる結合確率を表す。
【0059】
上記式4より、測定受信レベルE1、E2、…、EMの組み合わせを条件とした移動機PSが位置sjに存在する確率P(sj|E1,E2,…,EM)は、各基地局について演算された位置sjにおいて測定受信レベルがEiとなる確率P(Ei|sj)の結合確率Pjに比例した値となる。従って、移動機PSの位置sjでの存在確率P(sj|E1,E2,…,EM)の演算は結合確率Pjの演算で置き換えることができる。
【0060】
例えば、図3に示す例において、基地局CS1からrの位置にて測定受信レベルE1となる確率P(E1|r)、基地局CS2からrの位置にて測定受信レベルがE2となる確率P(E2|r)、及び基地局CS3からrの位置にて測定受信レベルがE3となる確率P(E3|r)が、それぞれ、図5に示す特定Q1、Q2、Q3のように表される。この場合、基地局CS1から距離R1,9、基地局CS2から距離R2,9、基地局CS3から距離R3,9となる位置s9での移動機PSの存在する確率P(s9|E1,E2,E3)は、
P(s9|E1,E2,E3)∝P9
=P(E1|R1,9)×P(E2|R2,9)×P(E3|R3,9)
となり、結合確率P9に比例する。
【0061】
上記のようにして演算された移動機PSの位置sjでの確率Pjは、所定の記憶装置に格納される(S7)。そして、上記のように設定された対象エリア内の全ての位置sjについて確率Pjが得られたか否かが判定される(S8)。まだ、確率Pjの演算されていない位置sjがある場合(S8において、NO)、新たな位置sj+1が指定され(S4)、この新たに設定された位置sj+1について、上述したのと同様の処理が行われる(S5、S6、S7、S8)。そして、対象エリア内の全ての位置sjでの確率Pjが演算されて、記憶装置内に蓄積されると(S8において、YES)、各位置での確率Pjに基づいて、移動機PSの推定位置演算が行われる(S9)。
【0062】
この移動機PSの推定演算は、例えば、次のように行われる。
【0063】
上記のようにして、図3に示すような対象エリア内における各格子点での移動機PSの存在する確率を用いて、移動機PSの存在位置の期待値を推定位置として演算する。これは、各基地局からの測定受信レベルの組み合わせが(E1,E2,…,EM)である際に生じうる誤差(判定位置と実際の位置との距離)の2乗平均値を最小にするものであるからである。具体的な計算は、格子点の総数をN、各格子点sjの座標を(xj、yj)とすると、その推定位置(X、Y)は、
【0064】
【数5】
Figure 0003943339
に従って与えられる。ここで、分母は、上記式4を全ての対象エリアで積分すると1となるという条件を満たすために必要となる。ただし、対象エリアに設定さされた格子1マス中の各位置での移動機PSの存在する確率を、各格子点での移動機PSの存在する確率で代表している。また、対象エリア外での上記式4の値は、「0」としている。
【0065】
上述したような例では、各基地局からの測定受信レベル(短区間中央値と見なし得る平均値)が、長区間中央値を平均値として所定の標準偏差を持つ対数正規分布となるという統計的な特性を用いて、各地点sjで各基地局CSiからの測定受信レベルがEiになる確率P(Ei|sj)を求め、それらの確率に基づいて、複数の基地局から測定受信レベルE1,E2,…,EMにて信号受信を行っている移動機PSの各位置sjに存在する確率P(sj|E1,E2,…,EM)を求めている。そして、それら各位置sjでの移動機PSの存在確率P(sj|E1,E2,…,EM)から、存在位置の期待値が当該移動機PSの推定位置として演算される。
【0066】
位置情報センタ20は、上記のように移動機PSの推定位置が得られると、その推定位置を要求元に対して当該指定された移動機PSの位置情報として供給する。
【0067】
なお、上記例においては、各地点での移動機PSの存在確率に基づいて得られる当該移動機PSの存在位置の期待値を推定位置としたが、移動機PSの推定位置を得るための手法は、これに限られない。例えば、移動機PSの存在確率が最大となる地点を当該移動機PSの推定位置としても、また、存在確率が大きくなる上位所定数の地点の重心位置に対して存在確率により重み付けした点を推定位置とすることもできる。
【0068】
上記例では、複数の受信レベル(瞬時値)の平均値を短区間中央値として扱っている。これは、複数の受信レベルの平均値は、受信レベルの瞬時値変動の影響が無視でき、主に地理的な変動を含むものと考え得るからである。実際にその平均値が短区間中央値として扱うことの信頼度は、平均化に用いられた受信レベルの測定数(受信レベルのサンプル数)に依存する。何らかの影響により、各基地局からの信号の受信レベルの測定数が減少した場合には、その平均値となる測定受信レベルを上述した各確率の演算に用いないことが好ましい。そこで、移動機PSから位置情報センタ20に提供されるCS情報に測定受信レベルを得るために用いた受信レベル(瞬時値)の数を含めておき、その数が所定数に達しない場合には、その測定受信レベルを上記確率演算に用いないような条件設定を行うこともできる。
【0069】
また、上記のように各基地局からの信号の受信レベルの測定数が上記所定数に達しない場合、その平均値が出現するか否かは統計的により曖昧なものとなる。この場合、上記2式における標準偏差値σを大きくなるように変更することができる。これは、測定される受信レベルの平均値の出現するか否かがより曖昧になった分、基地局からの距離に対するその受信レベルの平均値のとり得る範囲を広げることを意味する。これにより、受信レベルの平均値の曖昧さに則した当該受信レベルの平均値と基地局−移動機間距離との統計的関係を用いて、基地局CSiからRだけ離れた地点sjにおいて、受信レベルの平均値がEiとなる確率P(Ei|sj)を演算できるようになる。
【0070】
なお、上記例では、移動機PSで測定した受信レベルを位置情報センタ20に報告し、その位置情報センタ20にて当該移動機PSの位置の推定演算を行うようにしたが、この位置の推定演算を移動機PSが行うこともできる。この場合、移動機PSと通信を行う複数の基地局CSから各基地局CSに関する情報(設置位置、送信出力、伝搬推定式など)が当該移動機PSに伝送される。
【0071】
更に、上記例では、各基地局CSから制御チャネルLCCHを用いて移動機PSに送信される信号の受信レベルを移動機PSにて測定したが、移動機PSから送信される上り信号の受信レベルを各基地局において測定することもできる。
【0072】
また、上記例では、移動機PSにおいて各基地局CSから複数得られた信号の受信レベルの平均化処理を行っているが、その得られた受信レベル(瞬時値)全てを移動機PSから位置情報センタ20に伝送し、位置情報センタ20において平均化の処理を行って測定受信レベルを得るようにしてもよい。
【0073】
上述したように移動機PSの推定位置は、統計的に求められた各地点での当該移動機PSの存在しうる確率に基づいて演算されることから、その位置を厳密に求めようとすると、無限に広いエリアに渡って連続的な位置(格子間隔0)に対して上記確率の演算を行なわなければならない。従って、厳密に求められる移動機PSの推定位置により近い推定位置を得るためには、より広いエリアにわたってより多くの地点に対して上述したような確率の演算を行なうことが好ましい。
【0074】
しかし、このようにより広いエリアにわたってより多くの地点に対して上述したような確率の演算を行なうと当該確率計算の処理量が多くなって処理時間が大きくなると共に処理資源(ハードウエア、ソフトウエア)の規模も大きくなってしまう。そこで、上記移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアの広さ及びその中において存在確率を求める地点は、得られる推定位置を厳密に求められる推定位置にどの程度近づけるべきか、許容される処理時間、処理資源などに基づいて適正なものに決められる。
【0075】
以下、確率計算の処理量をできるだけ少なくして厳密に求められる移動機PSの推定位置により近い推定位置が得られるような上記エリアの決定手法及びそのエリア内における上記存在確率を演算すべき地点の決定手法について説明する。
【0076】
上記移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアを当該移動機PSの推定位置に大きく寄与する存在確率が得られると見込まれる範囲に限定しても、得られる推定位置は厳密に求められた推定位置に比較的近いものとなると考えられる。このような観点から、測定受信レベルEiに基づいて、そのような測定受信レベルEiを得る移動機PSが存在しうる確率が比較的高いと見込まれるエリアを決定し、そのエリアに基づいて上記移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアを決定する。
【0077】
基地局CSiからの距離とある受信電界強度が得られる確率との関係(確率分布特性)は、前述したように測定受信レベルEiの変動が対数正規分布に従うという仮定から(式2参照)、基地局CSiからの測定受信レベルEiが移動機PSにて得られたときに、その測定受信レベルEiが当該基地局CSiからの各距離位置にて得られる確率、即ち、そのような測定受信レベルEiを得る移動機PSの存在する各距離位置での確率は、例えば、図6に示すような分布特性にて表される。図6では、基地局CSiの位置C1を中心に全方位(東西南北平面)の各位置について測定受信レベルEiを得る移動機PSの存在確率(縦軸)が表される。この確率分布特性において、基地局CSi(位置C1)からある距離離れた円C2上に移動機PSが存在する確率が最も高くなる。
【0078】
この図6に示す確率分布特性を一方向について表すと、図7に示すようになる。このような確率分布特性において確率が最大値(M)となる基地局CSiからの距離(図6の円C2に対応)を伝搬距離推定値と定義する。この伝搬距離推定値は、測定受信レベルEiを得る移動機PSの存在する確率の最も高くなる基地局CSiからの距離を表す。
【0079】
ところで、移動機PSと基地局CSiとの間の無線伝送路における受信レベルの長区間中央値と伝搬距離との関係は、前述したように伝搬推定式f(r)にて表される。この伝搬推定式f(r)は、図8の特性Qのように表される。移動機PSにてある測定受信レベルE1が得られたときに、この特性Q(伝搬推定式)に従ってその測定受信レベルE1に対応した基地局CS1からの距離r1(伝搬距離)が求められる。この距離r1は、測定受信レベルE1を得る移動機PSの基地局CS1からの各距離位置での存在確率を表した確率分布特性QP1の伝搬距離推定値と一致する。また、同様に、移動機PSにて測定受信レベルE2が得られたときに上記特性Q(伝搬推定式)に従って求められた当該測定受信レベルE2に対応した距離r2が伝搬距離推定値となる確率分布特性QP2が、当該移動機PSの基地局CS2からの各距離位置での存在確率を表すことになる。このように、基地局CSiからの電波の測定受信レベルEiが移動機PSにて得られると、対応する確率分布特性が決まる。
【0080】
このように決まる確率分布特性において、ある距離以遠では移動機PSの存在確率が統計的に所定の閾値Pth以下となる当該距離が最大伝搬距離として定義される。例えば、図8において、移動機PSが測定受信レベルE1を得た場合、対応する確率分布特性QP1が決まる。そして、その確率分布特性QP1において、基地局CS1からの距離R1以遠では移動機PSの存在確率が閾値Pth以下となる。この距離R1がこの場合の最大伝搬距離となる。また、同様に、移動機PSが測定受信レベルE2を得た場合、対応する確率分布特性QP2が決まる。そして、その確率分布特性QP2において、基地局CS2からの距離R2以遠では移動機PSの存在確率が閾値Pth以下となる。この距離R2がこの場合の最大伝搬距離となる。
【0081】
上記のような最大伝搬距離は、次のようにして決定することができる。
【0082】
図8に示すように、移動機PSで得られた測定受信レベルEi(E1またはE2)に対応した確率分布特性(QP1またはQP2)において、確率が閾値Pthに対応した基地局CSi(CS1またはCS2)からの距離である最大伝搬距離Ri(R1またはR2)は、電波伝搬の特性を表す特性Qにおいて、測定受信レベルEi(E1またはE2)から偏差Edi(Ed1またはEd2)だけ変動(減少)した受信レベルに対応した距離となる。従って、電波伝搬の特性を表す数式から最大伝搬距離Riを求めることができる。
【0083】
この電波伝搬の特性を表す数式(基地局の参照番号を示すiを省略する)は、上記伝搬推定式f(r)を距離rについて解いた形式となり、
【0084】
【数6】
Figure 0003943339
にて表される。
【0085】
そして、最大伝搬距離Rは、上記式における測定受信レベルEを、上記変動成分(最大偏差)Edを考慮した(E−Ed)に変えることにより、次式
【0086】
【数7】
Figure 0003943339
に従って得ることができる。
【0087】
上記6式及び7式において、
Va=Xa+Ya+3Za
Xa=113+10log108Po−At−Lc+Gat+Gar+A+T−69.55−26.16log10F+13.82log10H1
Ya=(1.1log10F−0.7)H2−(1.56log10F−0.8)
Za=44.9−6.55log10H1
E:基地局からの測定受信レベル(単位:dBμV)
Po:基地局からの送信電力(単位:mW)
H1:基地局の送信アンテナ高(単位:m)
Ed:測定受信レベルに見込まれる最大偏差(単位:dB)
(図8参照)
At:アッテネータ挿入量(単位:dB)
Lc:送信アンテナケーブル損失(単位:dB)
Gat:送信アンテナ利得(単位:dBi)
Gar:受信アンテナ利得(単位:dBi)
A:エリアランク補正値(単位:dB)
F:搬送波周波数(単位:MHz)
H2:受信アンテナ高(単位:m)
である。
【0088】
基地局CSiからの電波の測定受信レベルEiが移動機PSにて得られると、その測定受信レベルEiと対応する確率分布特性の閾値Pthを決める最大偏差Ediとを上記7式に代入することにより、最大伝搬距離Riが演算される。
【0089】
移動機PSにおいて、複数の基地局CSi(例えば、CS1、CS2、CS3の3つ)からの測定受信レベルE1、E2、E3が得られると、その測定受信レベルに基づいた上述した手法により、例えば、図9に示すように、各基地局CS1、CS2、CS3を中心にしたそれぞれ半径が伝搬距離推定値r1、r2、r3となる円形のエリアa1、a2、a3が得られる。そして、最小となる伝搬距離推定値r1を与える基地局CS1を中心とした半径が最大伝搬距離R1となるエリアA1が移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアの基礎となる。
【0090】
上記最小となる伝搬距離推定値r1を与える基地局CS1は、移動機PSに最も近い基地局であると推定される(図8における確率分布特性QP1参照)。従って、この移動機PSに最も近いと推定されるこの基地局CS1を中心とした半径が最大伝搬距離R1となる円形のエリアA1に当該移動機PSが存在する確率は比較的高いとものと見込まれる。このようなエリアA1に基づいて上記移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアが決定される。
【0091】
更に、上記のように最小となる伝搬距離推定値r1を与える基地局CS1を中心としたエリア内において移動機PSの上記存在確率P(sj|E1、E2、…EM)を演算すべき地点は、次のようにして決定される。
【0092】
対象エリアに設定された格子点(図3参照)における移動機PSの存在確率は、格子点を中心とするある区域にある各地点での存在確率を代表している。従って、その区域内に当該格子点での存在確率から著しく異なる存在確率が得られる地点がなければ、各格子点での存在確率に基づいて厳密解に近い当該移動機PSの推定位置を得ることができる。移動機PSの存在する確率は、複数の基地局CSiそれぞれからの測定受信レベルEiにより導出される確率の結合確率で表されるため、その移動機PSの存在確率はどこでどのように変化するかは推定が困難である。
【0093】
しかし、少なくとも、上記のように移動機PSに最も近いと推定される基地局CS1からの電波の測定受信レベルE1から得られる確率分布特性(最も急峻に変化する。図8参照)のピークとなる地点での確率(最大値)は、最終的に演算される移動機PSの推定位置に大きく寄与することが見込まれる。従って、上記のように決定された最小となる伝搬距離推定値r1を与える基地局CS1を中心として最大伝搬距離R1を半径とする円形のエリアにおいて、少なくとも、中心に位置する基地局CS1からの電波の測定受信レベルE1に基づいて得られる確率分布特性QP1のピークとなる地点が当該移動機PSの存在確率を演算すべき格子点に含まれるようにする。その具体的な決定は、図10に示す手順に従って行なわれる。なお、図9において最小となる伝搬距離推定値r1を与える基地局CS1を中心に最大伝搬距離R1を半径とした円形のエリアA1について移動機PSの存在確率(結合確率)を演算すべき地点となる格子点(図3参照)を決定する場合を例に説明する。
【0094】
図10において、上記のように決定されたエリアA1の中心(座標原点)に位置する基地局CS1からの伝搬距離推定値r1に所定の係数を乗算して一次格子間隔が演算される(S1)。この所定の係数は0より大きい実数で例えば「1」に設定されている。この一次格子間隔が予め定めた格子密度(存在確率を求めるべき地点の密度)に対応した閾値(0より大きい実数)以下となるか否かが判定される(S2)。
【0095】
その一次格子間隔が上記閾値以下となる場合(S2でYES)、その一次格子間隔が最終的な格子間隔として決定される(S3)。一方、上記一次格子間隔が上記閾値より大きくなる場合(S2でNO)、その一次格子間隔の値を正の整数で割った値のうち上記閾値以下で最大となる値が最終的な格子間隔として決定される(S4)。例えば、一次格子間隔が900(m)となり、閾値が500(m)である場合、その一次格子間隔900(m)を正の整数で割った値のうち閾値500(m)以下で最大となる450(m)が格子間隔として決定される。また、一次格子間隔が1200(m)となり、閾値が500(m)である場合、その一次格子間隔1200(m)を正の整数で割った値のうち閾値500(m)以下で最大となる400(m)が格子間隔として決定される。
【0096】
上記のようにして格子間隔が決定されると、原点に位置する基地局CS1に対応する最大伝搬距離R1以上で当該格子間隔の倍数である値のうちの最小値Wdが演算される(S5)。上記のように演算されたWdに基づいて、基地局CS1を原点とした、
−Wd≦x≦Wd
−Wd≦y≦Wd
で表される図11に示す矩形領域A10が移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアとして決定され、当該対象エリアA10において原点(格子点)を基準に上記のように決定された格子間隔にて格子点が決定される(S6)。例えば、原点に位置する基地局CS1に対応する最大伝搬距離R1が123.5m、格子間隔が25mであるとすると、格子間隔の倍数である値のうち最小となる値Wdは、
Wd=25×5=125(m)
に決定される。この場合、移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアは、基地局CS1を原点として
−125≦x≦+125
−125≦y≦+125(単位:m)
の矩形領域A10となり、この矩形領域A10内において移動機PSの存在確率を演算すべき地点が25m間隔の格子点となる。
【0097】
上記のようにWdが原点に位置する基地局CS1に対応する最大伝搬距離R1以上で当該格子間隔の倍数である値のうちの最小値であるので、上記のように決定された対象エリア(−Wd≦x≦Wd、−Wd≦y≦Wd)は、上記基地局CS1を中心に最大伝搬距離R1を半径とした円形のエリアA1を含むできるだけ小さいエリアとなる。
【0098】
更に、具体的に格子点の決定手法を説明する。
【0099】
図11に示すように基地局CS1を原点とした−Wd≦x≦+Wd及び−Wd≦y≦+Wdで囲まれる正方形エリアA10に設定される格子点は、例えば、図12のテーブルを参照して指定することができる。
【0100】
図10で示した−Wd〜+Wd(単位:m)の範囲を格子間隔Δで除算し、メッシュ位置番号c(整数)を得る。上述した例では、−Wd(−125m)〜+Wd(+125m)、Δ=25mであるので、−Wd/Δ≦c≦+Wd/Δにより、メッシュ位置番号cは、−5〜+5(整数)までの範囲の値が得られる。
【0101】
さらに、x=cΔ(m)とy=cΔ(m)は、メッシュ位置番号cと格子間隔Δを乗算した値となる。このとき、x=cΔ(−Wd≦y≦+Wd)で表されるy軸に平行な成分とy=cΔ(−Wd≦x≦+Wd)で表されるx軸に平行な成分との交点が移動機の存在する確率を求める格子点として指定される。例えば、x=cΔにおけるcの値を−3とした場合、x=−3×25=−75m、即ち、線分L1(図11参照)が決まり、一方、y=cΔにおけるcの値を+1とした場合、y=+1×25=+25m、即ち、線分L2(図11参照)が決まり、それぞれの線分の交点、G(格子点)が移動機の存在しうる確率を求める点となる。
【0102】
上述のような手法を用いて移動機の位置推定を行う対象エリア及び格子間隔を決定することにより、移動機PSの推定位置に大きく寄与することが見こまれる確率をもつエリアを簡易に絞り込んで対象エリアとして確定することができる。また、上記対象エリア内に移動機の存在する確率が比較的高いとみなせる位置に格子点及び格子間隔が設定される。
【0103】
その結果、厳密に求められる推定位置により近い推定位置が得られると共に、移動機の存在しうる確率計算の処理量を低減することができる。
【0104】
上述したような手法や、他の手法に従って、移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリア及びその中において存在確率を求めるべき地点(格子点)が決定された後に、移動機PSの推定位置を求めるためにその対象エリアにおけるその各地点での移動機PSの存在確率(結合確率)が前述したように演算される(図2におけるS4〜S8参照)。その際、ある地点(格子点)での存在確率が非常に高い場合、その地点とその周囲の存在確率を求めるべき他の地点との隙間に移動機PSの推定位置の決定に大きく寄与する地点(存在確率が高い地点)が含まれることが考えられる。
【0105】
このような観点から、対象エリア内に上記のように非常に高い存在確率が得られた地点がある場合に、その地点の近傍領域において更に高い密度で分布する各地点(格子点)での存在確率を求め、その各地点での存在確率を移動機PSの推定位置の決定に反映させることが好ましい。
【0106】
そこで、例えば、図13及び図14に示す手順に従った処理がなされる。
【0107】
図13において、まず、リトライ回数カウンタが「1」にセットされる(S11)。次いで、対象エリア及び格子点(地点)が決定される(S12)。上記リトライ回数カウンタが「1」にセットされた直後では、この対象エリア及び格子点は、例えば、前述した手順に従って決定される(図10参照)。
【0108】
このように対象エリアとその中の格子点が決定されると、その対象エリア内の全ての格子点での当該移動機PSの存在確率、即ち、結合確率が演算される(S13:図2に示すS4〜S8参照)。上記対象エリア内の全ての格子点での結合確率が得られると、その得られた結合確率のうちの最大値を正規化した値が所定の閾値以上であるか否かが判定される(S14)。この結合確率のうちの最大値を正規化した値は、その最大値を全格子点に対する結合確率の和で割った値であり、0より大きく1未満の値となる。また、上記所定の閾値は、結合確率が突出していると判定するための基準値であり、0以上かつ1以下の実数、例えば、「0.9」に設定される。
【0109】
上記結合確率の最大値を正規化した値が上記所定の閾値(例えば、0.9)以上であると判定される(結合確率が突出していると判定される:S14でYES)と、更に、上記のように得られた各格子点の間隔が予め定められた最小格子間隔以上であるか否かが判定される(S15)。この最小格子間隔は、その最小格子間隔の各格子点にて求められた結合確率に基づいて得られる移動機PSの推定位置が厳密に求められるべき推定位置にどの程度近づけるべきかという要求に基づいて定められ、その要求を満足するような格子間隔に設定される。最小格子間隔は、例えば、「1メートル」に設定される。
【0110】
上記のように得られた各格子点の間隔が上記最小格子間隔以上であると判定されると(S15でYES)、更に、リトライ回数カウンタのカウント値が最大リトライ回数未満であるか否かが判定される(S16)。この最大リトライ回数は、処理の繰り返し回数を制限して処理時間が必要以上に長くなることを防止するために設定される。この最大リトライ回数が、例えば、「4」に設定されと、その処理回数が4回に制限されることになる。
【0111】
上記リトライ回数カウンタのカウント値が最大リトライ回数未満であると(S16でYES)、リトライ回数カウンタが+1だけインクリメントされ(S17)、その後、再び、対象エリア及び格子点を決定するための処理が行われる(S12)。
【0112】
2回目以降の(リトライ回数カウンタのカウント値が2以上での)対象エリア及び格子点を決定するための処理は、例えば、図14に示す手順に従って行われる。
【0113】
図14において、前回、結合確率(存在確率)を演算すべき格子点を決めるために用いられた格子間隔Δi−1を予め定められた設定値C1で割った値(Δi−1/C1)が今回使用すべき格子間隔Δとして得られる(S121)。この設定値C1は、1以上の整数であり、例えば、2に設定される。このように設定値C1が「2」に設定される場合、今回用いられるべき格子間隔Δは、前回用いられた格子間隔Δi−1の半分となる。即ち、この新たな格子間隔Δを用いて決められる格子点の分布密度は、前回、格子間隔Δi−1を用いて決められた格子点の分布密度の4倍になる。
【0114】
次に、このようにして得られた格子間隔Δに予め定められた設定値C2を乗じて、値Wd(=C2・Δ)が得られる(S122)。そして、上記結合確率の最大値を与える格子点の座標(X,Y)を中心とした1辺が2Wdの正方形領域
−Wd+X≦x≦Wd+X
−Wd+Y≦y≦Wd+Y
が今回の対象エリアとして決定される(S123)。
【0115】
上記のような処理からも明らかなように、設定値C2は対象エリアの大きさを決めるパラメータである。この設定値C2が例えば「4」となる場合、図15に示すように、今回決定される対象エリアは、上記結合確率の最大値を与える格子点(X,Y)を中心とした一辺8Δの矩形領域A1’となる。更に、前述したように、設定値C1が「2」となる場合、今回決定される対象エリアA1’は、前回決定された対象エリアA1(格子間隔Δi−1で分布される格子点を含む)より狭くなり、その格子点の分布密度は前回決定された対象エリアA1内の格子点の分布密度の4倍になる。
【0116】
このように対象エリアA1’が決定されると、上記格子間隔Δを用いて結合確率を演算すべき格子点が次のようにして決定される。
【0117】
x=cΔ+X(−Wd+Y≦y≦Wd+Y
で表されるy軸に平行な線分と、
y=cΔ+Y(−Wd+X≦x≦Wd+X
で表されるx軸に平行な線分との交点が格子点として決定される。なお、上記cは、−C2、−C2+1、…、C2(例えば、C2=4の場合、−4、−2、−1、0、1、2、3、4)となる。
【0118】
上記のようにして対象エリアA1’の各格子点が決定されると(S12)、そのように決定された各格子点での結合確率(存在確率)が演算される(S13)。その後、前述したのと同様に、そのようにして得られた結合確率のうちの最大値を正規化した値が上記閾値以上となるか否かの判定(S14)、格子間隔Δが最小格子間隔以上であるか否かの判定(S15)及びリトライ回数が最大リトライ回数未満であるか否かの判定(S16)の各処理が行われる。
【0119】
上述した処理(S12〜S17)は、繰り返し行われる。その過程で、ステップS12(図14に示すS121〜S123)での処理にて決定される対象エリアが順次狭くなると共にその対象エリア内の格子間隔が順次小さくなる。そして、決定された格子間隔が最小格子間隔より小さくなる(S15でNO)、または、リトライ回数が最大リトライ回数に達すると(S16でNO)、処理が終了する。
【0120】
上記図13に示す手順での処理が終了すると、その時点で得られている各格子点での結合確率(存在確率)に基づいて移動機PSの推定位置が演算される(図2におけるS9参照)。
【0121】
上述したように、対象エリア内に突出した存在確率を与える格子点がある場合、その格子点を含むより狭い対象エリア内の更に小さい格子間隔で分布される格子点について存在確率を演算する処理を繰り返し行うことにより、より高い存在確率となる格子点の位置をより多く考慮して移動機の推定位置を演算することができる。その結果、得られる移動機PSの推定位置は、厳密に求められる推定位置により近いものとすることができる。
【0122】
また、その処理の繰り返しの都度、突出した存在確率を与える格子点を含む対象エリアを狭すると共に格子間隔を小さくしているので、効率的に処理を行うこと(計算量の削減)も可能となる。
【0123】
上述した各例では、移動機PSの位置の推定結果は、単一の地点(推定位置)として得られていたが、移動機PSの存在する確率がある値以上の範囲を推定結果として得ることも可能である。
【0124】
例えば、図16に示すように、対象エリアA内で格子間隔Δで分布する各格子点Gにて演算される存在確率(結合確率)は、その格子点を中心としたセルC(Δ×Δ)での代表値であると仮定する。また、
x≦Xe、y≦Ye
の範囲で最も推定位置(Xe,Ye)に近い格子点を基準格子点(XB,YB)として定義する。
【0125】
そして、基準格子点(XB,YB)を中心としたセル及び推定位置(Xe,Ye)を含み、複数のセルで構成されるエリアB(後述する積算範囲に対応)が決められる。
【0126】
推定位置(Xe,Ye)を中心として半径Rdの円は、推定位置(Xe,Ye)が上記のように定義される基準格子点(XB,YB)とどのような位置関係(例え一致していても)にあっても、
Rd≧√2・Δ(N+1/2)
の条件を満足するとき、エリアB内の全ての格子点を中心としたセルを含むことになる。上記Nは、基準格子点(XB,YB)から対象エリアBのX方向(Y方向)における最も遠方の端部の格子点までの格子間隔Δの繰り返し回数である。図16に示す例の場合、N=1である。
【0127】
上記のような推定位置(Xe,Ye)を中心とした格子間隔Δと値Nで決まる半径Rdの円にて移動機PSがある確率以上で存在する領域を特定する場合、例えば、図17に示す手順に従って処理が行われる(以下、必要に応じて、上記移動機PSがある確率以上で存在する領域を囲む円を推定円、その半径を推定円半径という)。この図17に示す手順に従った処理は、上述したように、対象エリア及び格子点の決定、各格子点での結合確率(存在確率)の演算、その各格子点での結合確率に基づいた推定位置の演算が行われた(図2参照)後に行われる。
【0128】
図17において、まず、最大繰り返し回数Nmaxが演算される(S21)。予め定められた推定円半径の最大値Rdmax(例えば、500メートル)を用いて、
Rdmax/(√2・Δ)−1/2
の演算を行い、その演算結果の小数点以下を切り上げた値が上記最大繰り返し回数Nmaxとして得られる。この演算は、図16に示すRdをRdmaxに置き換え、NをNmaxに置き換えたときに得られる上記条件
Rdmax≧√2・Δ(Nmax+1/2)
に基づいてなされるものである。
【0129】
上記推定円半径の最大値Rdmaxは、例えば、移動機PSが所定の確率(閾値:例えば、0.9)で存在すると見込まれる推定円の最大の半径として統計的に定められる。
【0130】
上記のように最大繰り返し回数Nmaxが得られると、この最大繰り返し回数Nmaxが1であるか否かが判定される(S22)。この最大繰り返し回数Nmaxが1である場合(S22でYES)、上記推定円半径の最大値Rdmaxが推定円半径として決定される(S31)。この場合、移動機PSが所定の閾値以上の確率で存在する範囲が、その半径Rdmaxの推定円であるという推定結果が得られる。
【0131】
一方、上記最大繰り返し回数Nmaxが1でなければ(S22でNO)、推定位置(Xe,Ye)に基づいて上述した条件を満足する基準格子点(XB,YB)が決定される(S23)(図18(a)参照)。その後、カウンタnが「1」にセットされる(S24)。
【0132】
この状態で、推定位置(Xe,Ye)を含む積算範囲が決定される(S25)。この積算範囲は、基準格子点(XB,YB)、上記カウンタ値n及び格子間隔Δに基づいて、
XB−(n−1)Δ≦x≦XB+nΔ
YB−(n−1)Δ≦y≦YB+nΔ
の条件を満足する矩形領域として決定される。上記のようにカウンタ値nが「1」の場合(n=1)、図18(a)に示すように、基準格子点(XB,YB)と他の3つの格子点で推定位置(Xe,Ye)を囲む矩形領域が積算範囲B1として決定される。
【0133】
このようにして積算範囲B1が決定されると、その積算範囲B1に含まれる格子点について演算された正規化結合確率(正規化存在確率)の総和が演算される(S26)。この正規化結合確率(正規化存在確率)は、格子点での結合確率(存在確率)を対象エリア内の全格子点での結合確率(存在確率)の総和で割った値であり、0以上1以下の実数となる。
【0134】
なお、上記積算範囲の一部が対象エリアと重ならない場合がありうる。このような場合、積算範囲の対象エリアに重なった部分に含まれる格子点での正規化結合確率だけが、上記総和演算の対象となる。
【0135】
次いで、上記正規化結合確率の総和が予め定めた閾値(例えば、0.9)以上であるか否かが判定される(S27)。この正規化結合確率の総和がその閾値に達していない場合(S27でNO)、更に、上記カウンタ値nに「1」を加算した値(n+1)が上記最大繰り返し回数Nmax未満であるか否かが判定される(S28)。上記カウンタ値nがそのような条件を満足する場合(S28でYES)、当該カウンタ値nが+1だけインクリメントされ(S29)、その新たなカウンタ値を用いて積算範囲が再度決定される(S25)。カウンタ値nが「2」の場合(n=2)、図18(b)に示すように、上記積算範囲B1の更に外周に存在する格子点まで含む矩形領域が積算範囲B2として決定される。
【0136】
このように新たな積算範囲B2が決定されると、上述した処理と同様に、その積算範囲B2に含まれる各格子点での正規化結合確率の総和が演算され(S26)、その総和が所定の閾値以上となるか否かが判定される(S27)。そして、その正規化結合確率の総和がその閾値に達していない場合、更に、カウンタ値nが上記条件(n+1<Nmax)を満足しているか否かの判定が行われる(S28)。以後、カウンタ値nが上記条件を満足している状態で、カウンタ値nが+1だけインクリメントされる(S29)毎に、上記と同様の処理(S25〜S28)が実行される。
【0137】
その過程で、上記積算範囲内の各格子点での正規化結合確率の総和が上記閾値以上になると(S27でYES)、その積算範囲に基づいて推定円半径Rdが演算される(S30)。この推定円半径Rdは次のようにして演算される。
【0138】
まず、一次推定円半径Rdが、
Rd=√2・Δ(Nr+1/2)
に従って演算される。上記式において、Nrは、上記積算範囲内の各格子点での正規化結合確率の総和が上記閾値以上となったと判定された際のカウンタ値nである。この演算は、図16に示すRdとNとの関係(Rd≧√2・Δ(N+1/2)に基づいてなされるものである。
【0139】
上記のように一次推定円半径Rdが決定されると、以下の条件に従って推定円半径Rdが決定される。
【0140】
Rd=Rdmin (Rd<Rdmin
Rd=Rd (Rdmin≦Rd≦Rdmax
Rdminは、推定円半径の最小値であり、例えば、50メートルに設定される。この推定円半径の最小値Rdminは、例えば、推定位置の演算アルゴリズムから、その推定円内に移動機PSが存在する確率が上記閾値以上であることを保証しうる最小の半径として定められる。
【0141】
なお、図17に示す処理において、積算範囲の再設定回数(カウント値nに対応)が最大繰り返し回数Nmaxに基づいて制限されているため(S28参照)、Rd>Rdmaxとなることはない。
【0142】
上記のようにして推定円半径Rdが演算されると、移動機PSの存在位置が所定の閾値(例えば0.9)以上の確率で、その半径Rdの推定円内に含まれるという推定結果が得られる。例えば、Nr=2の場合、図19に示すように、推定位置(Xe,Ye)を中心とした半径Rd=5√2・Δ/2の推定円D内に移動機PSが所定の閾値以上の確率で存在すると結果が得られる。上記推定円半径Rdが小さければ小さいほど、利用者が移動機PSの位置を特定し易くなる。
【0143】
なお、図17に示す処理の過程において、カウント値nが条件(n+1<Nmax)という条件を満足しなくなると(S28でNO)、最大繰り返し回数Nmaxが1となる場合と同様に、推定円半径の最大値Rdmaxが推定円半径Rdとして決定される(S31)。
【0144】
また、上記例では、移動機PSが所定の閾値以上の確率で存在する範囲として、推定位置(Xe,Ye)を中心とした推定円半径Rdの推定円が用いられたが、各格子点での正規化結合確率の総和が所定閾値以上となる範囲を、例えば、上記積算領域にて表すなど、他の手法にて表すことも可能である。
【0145】
上記各例において、移動機PSによる受信レベルの測定機能が上記受信強度平均化手段に対応し、図2に示すS2乃至S8での処理が存在確率演算手段に対応し、S9での処理が推定位置演算手段に対応する。、また、S5での処理が演算手段に対応し、S6での処理が確率結合手段に対応する。S3での処理が対象エリア決定手段に対応する。
【0146】
また、図10に示す処理が格子点決定手段に対応する。
【0147】
【発明の効果】
以上、説明してきたように、請求項1乃至32記載の本願発明によれば、受信強度の平均的な値(測定受信強度)の地理的な変動の状況が反映される各位置での移動機の存在確率に基づいて当該移動機の存在位置が推定されるので、移動機と基地局間との間の無線伝送路の状態が、地域的な原因などで変化しても、より精度よく移動機の位置の推定ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る移動機の位置推定方法及びシステムが適用される移動通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】位置情報センタにおける移動機PSの位置推定を行うための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】移動機PSの位置推定に必要な基地局として選択された複数の基地局と、移動機PSの位置を推定する範囲となる対象エリアの例を示す図である。
【図4】伝搬推定式の例を表す図である。
【図5】基地局からの距離rと、該距離rの位置にて測定受信レベルEiを得る確率との関係を示す図である。
【図6】基地局からの測定受信レベルより求められる各地点における移動機PSの存在確率を表す図である。
【図7】基地局からの測定受信レベルより求められる当該基地局からの距離に移動機が存在する確率を表す図である。
【図8】電波伝搬特性と確率分布特性との関係を示す図である。
【図9】移動機PSの位置推定に必要な基地局として選択された複数の基地局と、その複数の基地局に対して生成されるエリアの例を示す図である。
【図10】対象エリア内に設定される格子間隔を決めるための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】対象エリアと格子点の一例を示す図である。
【図12】格子点を指定する際に用いられるテーブルの一例を示す図である。
【図13】対象エリアを順次狭くすると共に各対象エリアでの格子間隔を順次小さくする際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】対象エリア及び格子間隔を決定するための処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】図13及び図14に示す手順に従って決定される対象エリアの一例を示す図である。
【図16】基準格子点(XB,YB)を中心としたセル及び推定位置(Xe,Ye)を含み、複数のセルで構成されるエリアとそれを含む円の関係を示す図である。
【図17】移動機が所定確率以上の確率で存在し得る推定円の半径を求めるための処理の一例を示すフローチャートである。
【図18】積算範囲の推移の一例を示す図である。
【図19】図17の処理に従って演算された推定円半径の一例を示す図である。
【符号の説明】
CS1、CS2、CS3 基地局
PS 移動機
10 公衆回線網
20 位置情報センタ

Claims (24)

  1. 複数の基地局と移動機との間で所定の信号を送受信し、測定される受信強度及び各基地局の位置情報に基づいて移動機の位置推定を行う方法において、
    各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って測定される複数の受信強度に基づいて各基地局毎に受信強度の平均的な値を測定受信強度として求め、
    複数の基地局のうちで、移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局を基準とした所定エリアを、移動機の存在する確率を得るべき位置の範囲とし、
    移動機の存在する確率を得るべき位置の範囲として決められたエリアを格子状に区切って得られる各格子点の位置を、移動機が存在する確率を得るべき位置とし、
    上記移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局の位置を少なくとも格子点とすると共に、当該測定受信強度に対応した確率分布特性のピーク点における当該基地局からの距離に基づいて格子間隔を決め、
    上記の位置の範囲内で、基地局と移動機との間の距離に対する受信強度の地理的な変動を考慮して予め定められた各基地局からの距離と受信強度との統計的な関係を確率にて表した確率分布特性と、上記のように求められた各基地局に対応した測定受信強度とに基づいて、当該移動機が各位置に存在する確率を求め、
    このように求められた各位置での当該移動機の存在しうる確率に基づいて、当該移動機の存在位置を推定するようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  2. 請求項1記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    測定される複数の受信強度の短区間中央値とみなし得る平均的な値を上記測定受信強度とし、
    上記確率分布特性は、各基地局からの距離に対して受信強度の短区間中央値のとりうる確率を表す特性となる移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  3. 請求項1または2記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    上記確率分布特性に基づいて、各位置において各基地局毎に対応する測定受信強度のとり得る確率を求め、各基地局毎に求められた確率を結合して得られる結合確率に基づいて、移動機が各位置に存在する確率を得るようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  4. 請求項1記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    上記移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局を基準とした上記所定エリアは、上記測定受信強度に対応した確率分布特性において、ある距離以遠では移動機の存在確率が統計的に所定の閾値以下となる当該距離に基づいて決めるようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  5. 請求項1乃至いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    各位置での当該移動機の存在する確率に基づいて、当該移動機の存在する位置の期待値を求め、該期待値を当該移動機が存在すると推定される位置とした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  6. 請求項1乃至いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    各位置での当該移動機の存在する確率のうち、最も確率の高い位置を当該移動機が存在すると推定される位置とした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  7. 請求項1乃至いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    第一のエリア内に隙間をもって配列された地点において当該移動機の存在しうる確率を求め、その各地点での当該移動機の存在しうる確率に基づいて当該移動機の存在位置を推定し、
    その後、その推定された存在位置が中央に位置する上記第一のエリアより狭い第二のエリア内に上記隙間より狭い隙間にて配列された地点において当該移動機の存在しうる確率を求め、
    その各地点での当該移動機の存在しうる確率に基づいて当該移動機の最終的な存在位置を推定するようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  8. 請求項1乃至いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    設定されたエリア内に隙間をもって配列される各地点において当該移動機の存在しうる確率を求め、その確率のうち最も高い確率が統計的に所定の閾値以上となるときに、その最も高い確率を与える地点が中央に位置する上記エリアより狭い他のエリアを設定し、その設定されたエリアに上記隙間より狭い隙間にて配列された各地点において当該移動機の存在し得る確率を求め、
    上記のように求められた各地点での当該移動機の存在し得る確率に基づいて移動機の存在位置を推定するようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  9. 請求項記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    上記求められた確率のうち最も高い確率が統計的に所定の閾値以上となるときに、その最も高い確率を与える地点が中央に位置する上記エリアより狭い他のエリアを設定し、その設定されたエリアに上記隙間より狭い隙間にて配列された各地点において当該移動機の存在し得る確率を求めることを繰り返し行う移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  10. 請求項1乃至いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って所定数の受信強度が測定されなかったときに、その測定にて得られた受信強度に基づいて測定受信強度として求められた当該平均的な値は、当該移動機が各位置に存在しうる確率を求める際に用いないようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  11. 請求項1乃至いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って所定数の受信強度が測定されなかったときに、上記各基地局からの距離と受信強度との統計的な関係を確率にて表した確率分布特性を、各基地局からの距離に対する受信強度の出現し得る範囲が広くなるように補正するようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  12. 請求項1乃至11いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定方法において、
    上記各位置での当該移動機の存在し得る確率に基づいて、当該移動機が所定の確率以上の確率で存在し得る範囲を当該移動機の存在位置の推定結果として得るようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定方法。
  13. 複数の基地局と移動機との間で所定の信号を送受信し、測定される受信強度及び各基地局の位置情報に基づいて移動機の位置推定を行うシステムにおいて、
    各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って測定される複数の受信強度に基づいて各基地局毎に受信強度の平均的な値を測定受信強度として求める受信強度平均化手段と、
    複数の基地局のうちで、移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局を基準とした所定エリアを、移動機の存在する確率を得るべき位置の範囲として決定する対象エリア決定手段と、
    上記対象エリア決定手段にて決定されたエリアを格子状に区切って得られる各格子点の位置を移動機が存在する確率を得るべき位置とし、
    上記移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局の位置を少なくとも格子点とすると共に、当該測定受信強度に対応した確率分布特性のピーク点における当該基 地局からの距離に基づいて格子間隔を決め、
    上記対象エリア決定手段で決定された位置の範囲内で、基地局と移動機との間の距離に対する受信強度の地理的な変動を考慮して予め定められた各基地局からの距離と受信強度との統計的な関係を確率にて表した確率分布特性と、上記のように求められた各基地局に対応した測定受信強度とに基づいて、当該基地局が各位置に存在する確率を求める存在確率演算手段と、
    このように求められた各位置での当該移動機の存在しうる確率に基づいて、当該移動機の推定される存在位置を演算する推定位置演算手段とを有する移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  14. 請求項13記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記受信強度平均化手段は、測定される複数の受信強度の短区間中央値とみなし得る平均的な値を上記測定受信強度として求め、
    上記存在確率演算手段は、上記確率分布特性として、各基地局からの距離に対して受信強度の短区間中央値のとりうる確率を表す特性を用いるようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  15. 請求項13または14記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記存在確率演算手段は、上記確率分布特性に基づいて、各位置において各基地局毎に対応する測定受信強度のとり得る確率を演算する演算手段と、
    該演算手段にて各基地局毎に得られた確率を結合して結合確率を求める確率結合手段とを有し、該確率結合手段にて得られた結合確率に基づいて、移動機が各位置に存在する確率を得るようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  16. 請求項13記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記対象エリア決定手段は、上記移動機との距離が最短とされる測定受信強度を与える基地局を基準とした上記所定エリアを、上記測定受信強度に対応した確率分布特性において、ある距離以遠では移動機の存在確率が統計的に所定の閾値以下となる当該距離に基づいて決めるようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  17. 請求項13乃至16いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記推定位置演算手段は、各位置での当該移動機の存在する確率に基づいて、当該移動機の存在する位置の期待値を演算する期待値演算手段を有し、該期待値を当該移動機が存在すると推定される位置とするようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  18. 請求項13乃至16いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記推定位置演算手段は、各位置での当該移動機の存在する確率のうち、最も確率の高い位置を当該移動機が存在すると推定される位置とするようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  19. 請求項13乃至18いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記存在確率演算手段は、第一のエリア内に隙間をもって配列された地点において当該移動機の存在しうる確率を求め、その各地点での当該移動機の存在しうる確率に基づいて当該移動機の存在位置を推定する手段と、
    その後、その推定された存在位置が中央に位置する上記第一のエリアより狭い第二のエリア内に上記隙間より狭い隙間にて配列された地点において当該移動機の存在しうる確率を求める手段とを有し、
    上記推定位置演算手段は、上記存在確率演算手段にて得られた各地点での当該移動機の存在しうる確率に基づいて当該移動機の最終的な存在位置を推定するようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  20. 請求項13乃至18いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記存在確率演算手段は、設定されたエリア内に隙間をもって配列される各地点において当該移動機の存在しうる確率を求め、その確率のうち最も高い確率が統計的に所定の閾値以上となるときに、その最も高い確率を与える地点が中央に位置する上記エリアより狭い他のエリアを設定し、その設定されたエリアに上記隙間より狭い隙間にて配列された各地点において当該移動機の存在し得る確率を求め、
    上記推定位置演算手段は、上記存在確率演算手段にて求められた各地点での当該移動機の存在し得る確率に基づいて移動機の存在位置を推定するようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  21. 請求項20記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記存在確率演算手段は、上記求められた確率のうち最も高い確率が統計的に所定の閾値以上となるときに、その最も高い確率を与える地点が中央に位置する上記エリアより狭い他のエリアを設定し、その設定されたエリアに上記隙間より狭い隙間にて配列された各地点において当該移動機の存在し得る確率を求めることを繰り返し行う移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  22. 請求項13乃至21いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記存在確率演算手段は、各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って所定数の受信強度が測定されなかったときに、その測定にて得られた受信強度に基づいて測定受信強度として求められた当該平均的な値は、当該移動機が各位置に存在しうる確率を求める際に用いないようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  23. 請求項13乃至21いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記存在確率演算手段は、各基地局と移動機との間において信号の送受信を複数回行って所定数の受信強度が測定されなかったときに、上記各基地局からの距離と受信強度との統計的な関係を確率にて表した確率分布特性を、各基地局からの距離に対する受信強度の出現し得る範囲が広くなるように補正する特性補正手段を有する移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
  24. 請求項13乃至23いずれか記載の移動通信システムにおける移動機の位置推定システムにおいて、
    上記推定位置演算手段は、各位置での当該移動機の存在し得る確率に基づいて、上記移動機が所定の確率以上の確率で存在し得る範囲を当該移動機の存在位置の推定結果として得るようにした移動通信システムにおける移動機の位置推定システム。
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