図1はこの発明を実施するための左画像識別アダプタの外観図である。この左画像識別アダプタは、ステレオ画像を撮影するときに使用されるものであり、左眼の視点から撮影される左画像を撮影するときに左画像である旨のキーマークを画像ファイルに写し込むためのものである。ステレオ画像は上記左眼用の左画像と右眼用の右画像からなる組画像である。左画像識別アダプタ10は、I字形をしたI金具11、L字形をしたL金具12、I金具11とL金具12を接続するネジ13、カメラにマーク画像を写し込むキー14、キー14とL金具12とを接続するヒンジ金具15、このアダプタおよびカメラ水平を検出する気泡水準器16などで構成される。I金具11には長手方向に長穴11aが開設されており、この長穴11aに前記ネジ13およびカメラ(不図示)の三脚用ネジ穴に螺合するネジ(不図示)が貫通している。長穴11aはI金具11の長手方向のほぼ全体にわたって開設されているため、カメラおよびL金具12の固定位置は自由である。また、L金具12の垂直部12aおよび水平部12bにも長穴12c,12dが開設されており、前記ネジは水平部12bの長穴12dを貫通している。長穴12dは水平部12bのほぼ全域にわたって開設されているため、L金具12がI金具11と交わる位置は自由である。ヒンジ金具14は、細長い棒状であるキーを支持するとともに、垂直部12aの長穴12cに固定され、90度揺動可能である。L金具12およびヒンジはキー14をカメラのレンズの前に移動させたり、レンズの前から外したりすることができる。利用者は、カメラの大きさやバランスを考慮して、長穴11aの適当な部分にカメラおよびL字金具12をネジ固定し、ヒンジ15の固定位置やキー14の固定位置を調節してキー14の先端部がカメラのレンズの左端に掛かるようにする。液晶ディスプレイを備えたデジタルカメラ、デジタルビデオカメラであれば、この液晶ディスプレイに写る映像でキーの位置を確認することができる。
利用者が、1台のカメラを用いて立体視用のステレオ組画像を撮影する場合、左画像と右画像を順次撮影するが、左画像を撮影するとき前記キー14をレンズの前にかかるようにして撮影し、右画像を撮影するとき、ヒンジ15を視点に前記キー14を回動させ、キー14の先端部がレンズにかからないようにして撮影する。これにより、図5(D)の左側の画像のように、画像の左端にマークが写し込まれ、左右の画像の識別が容易になる。
なお、この左画像識別アダプタ10は手持ち撮影で用いてもよいし、三脚等に固定した撮影に用いてもよい。また、この左識別アダプタ10にカメラを取り付けて三脚に固定し、もう一つのカメラを別の三脚に固定して前記カメラの右側に設置することにより、2台のカメラを用いて同時にステレオ撮影をすることも可能である。
次に、図2に、スライド式撮影アダプタを示す。このスライド式撮影アダプタは、カメラをスライドさせることによって左右の画像を撮影することができるものである。同図において、このスライド式撮影アダプタ20は、撮影方向に直角に設置されるスライドレール21、このスライドレール21に摺動自在に嵌合し、カメラが固定されるカメラ台22、スライドレール21の両端に設けられる左右のエンドピース23,24、および、スライドレールを三脚に固定するための固定部25を有している。エンドピース23,24はスライドレール21の両端に固定されており、カメラ台22がスライドレール21から外れないようにしている。カメラ台22および左側のエンドピース23上にはI金具11(図1参照)が取り付けられており、この上にカメラまたはL金具12を取り付けられるようになっている。また、エンドピース23上に設けられたI金具11には気泡水準器16が設けられており、このスライド式撮影アダプタが水平に設置されているかを判定することができる。
カメラはカメラ台22上のI金具11の長穴11aに取り付ける。そして、スライドレール21の左端に移動させて左画像を撮影し、所定の長さ右に移動させて右画像を撮影する。右画像は1枚でもよく、左画像の撮影位置との間隔を変えて複数枚撮影してもよい。
図3は図2のスライド式撮影アダプタに左画像識別用のキー14を設けた実施形態を示す。同図において、左エンドピース23上に取り付けられているI金具11にネジ13を用いてL金具12を取り付け、このL金具12の垂直部12aにキー14を固定している。このキー14を左画像を撮影する位置のカメラのレンズに掛かるように設けることにより、左画像の左端部にマークを写し込むことができ、識別が容易になる。
なお、図2、図3のスライド式撮影アダプタにおいて、1枚の左画像と1枚の右画像からなる組画像をペア画像といい、1枚の左画像と、この左画像の視点から距離を変化させて撮影した複数枚の右画像からなる組画像をシリーズ画像という。これは、左画像と右画像の視点の距離が変化すると、距離感・立体感が変化するため、立体視したときの距離感や立体感を変化させたいとき、右画像を複数枚撮影してこれを切り換えながら鑑賞する。
この場合、図4(A)に示すように光軸を並行にしたまま複数枚の画像を撮影してもよい(この場合、視線は常に無限遠を向いている)が、同図(B)に示すように特定のオブジェクトを視線を向けてカメラの向きを変化させるようにしてもよい。これはカメラの取り付け角度を変えてカメラの向きを変化させてもよいが、カメラ台を回動可能なものに構成し、カメラ台を回転させることでカメラの向きを変化させるようにしてもよい。回転可能なカメラ台については後述する。 ここで、1枚の左画像、1枚の右画像からなるペア画像、および、1枚の左画像、複数枚の右画像からなるシリーズ画像の画像ファイル群の配列のしかたについて、図5を参照して説明する。同図(A)は一般的なペア画像の配列の例を示し、同図(B)は一般的なシリーズ画像の配列の例を示す図である。このような画像の配列では組画像の区切りや左画像がどれかが分からないため内容を比較して決定する必要がある。一方、同図(D)、(I)のペア画像や同図(E)〜(H)のシリーズ画像のように左画像にマークを写し込んでおくことにより、左画像および組画像の開始点を容易に判断することができる。なお、この図において(C)、(E)〜(H)の黒い画像ファイルはシリーズ画像の区切り(終了または開始)を表す画像ファイルであり、カメラ(デジタルカメラ)の場合レンズをマスクして撮影することによって作成することができる。すなわちシリーズ画像を撮影し終わったとき、または、シリーズ画像を撮影する前にマスク撮影して黒い画像ファイルを作成しておくことにより、シリーズ画像の区切りを容易に判断することができる。また、同図(G)〜(H)の右画像の右端にもマークが写し込まれている。これは図6に示すように右側のエンドピース24にもキー14を設けて撮影したものである。これにより、左画像には左側のキー画像が写し込まれ、右画像には右側のキー画像が写し込まれ、識別が容易になる。また、シリーズ画像の場合には、左画像と右端の右画像にそれぞれキーが写し込まれるため、シリーズの最初と最後が分かりやすい。
図6において、このスライド式撮影アダプタは、図3のスライド式撮影アダプタに更に右側のキー14を設けた実施形態を示している。右側のキー14の取付機構は左側のキーの取付機構と左右対称であるため説明を省略する。
上記構成では、1台のカメラを右に移動させて左右の画像を別々の画像ファイルとして撮影する場合に使用するアダプタを示したが、次に1つの画像ファイルに左右の画像を写し込むステレオアダプタ、および、2台のカメラを取り付けて同時に左右の画像ファイルを撮影するアダプタについて説明する。
図7は、1つの画像ファイルに左右画像を写し込む単眼カメラ用ステレオアダプタを示す図である。この単眼カメラ用ステレオアダプタ30は、図1のアダプタと同様、I金具11上にL金具12とカメラ(不図示)とを固定するようになっている。L金具の垂直部12aに取付金具32を介してステレオミラー31が取り付けられている。ステレオミラー30は、内部に鏡やプリズムを内蔵し、撮像素子を横に2等分した左右のエリアに左右の画像を別々に結像させる光学機械である。左右の画像は約6cm離れている。この単眼カメラ用ステレオアダプタ30を用いて撮影した画像ファイルは、図5(J)のようになり、1枚でステレオのペア画像となる。なお、I金具11の後端部には気泡水準器16が設けられている。
また、図8は、上記単眼カメラ用ステレオアダプタ30において、ステレオミラー31を垂直部12aに取り付ける取付金具をヒンジ金具33とした例を示している。ヒンジ金具33を中心としてステレオミラー31を最大270度回動させることができ、ステレオ画像を撮影しない通常の撮影時にも、この単眼カメラ用ステレオアダプタ30からカメラを取り外すことなく、ステレオミラー31を回動させて、カメラのレンズにステレオミラー31がかからないようにして、通常の撮影を可能にしている。
図40、図41は、1つの画像ファイルに左右画像を写し込む単眼カメラ用ステレオアダプタの他の構成を示す図である。この単眼カメラ用ステレオアダプタは、固定ベルト94および固定金具95を用いてカメラに直接取り付けられる。固定金具95はカメラの三脚穴に固定されアダプタの本体90をカメラに対して下から支持する。そして、固定ベルト94は、バネによって本体内部に巻き取り式になっており、これを繰り出してカメラの上から固定金具95に係止する。
本体90は四角錐台形状をしておりその底面が開口していてその開口部にカメラのレンズが挿入される。本体90の内部には2枚の内部鏡92R,92Lが設けられている。2枚の内部鏡92R,92Lは挿入されるレンズの中央で当接し、左右に90度の開角でレンズに向けて設けられている。各内部鏡92R,92Lは、レンズに向けて45度の角度で対向する。本体の両側面には外部鏡91R,91Lが設けられており、前記底面の両側の辺部に設けられたヒンジを支点に揺動自在に支持されている。持ち運び時や収納時には、この外部鏡91R,91Lは、本体90の側面に沿うようにたたまれている。外部鏡91R,91Lの先端にはこの鏡を本体90に係止するためのフックが設けられている。使用時には、外部鏡91R,91Lは、前記ヒンジを中心に開かれる。開いて状態で固定される角度は、左右の内部鏡92R,92Lと並行になる角度である。これにより、レンズの右半分にはカメラの中心よりも右側の映像が入射し、レンズの左半分にはカメラの中心よりも左側の映像が入射する。したがって、このカメラで撮影した画像は図5(J)のようになり1枚で左右のステレオ画像となる。
図9は、左識別ボタン付のデジタルカメラを示す図である。このカメラは、左識別ボタン36を備え、左画像の撮影時にシャッターボタン38とは別に左識別ボタン36を押すようにする。左識別ボタン36が押された状態でシャッターボタン38が押されると、このとき撮影した画像データに左識別情報を自動で付加(記録)する。また左識別ボタン36が押されたときに、音声やファインダ37内のランプ等で左識別ボタン36が押されたことを自動告知する。さらに、モード選択スイッチ39でステレオモードが選択されているときに、左識別ボタン36が押されなかった場合は、右画像であるという自動告知を行う。これにより、利用者の運用の誤りを無くすことができる。さらにファイダ37内に左画像が撮影済のときに点灯するランプを設け、ステレオモード時に左画像が撮影済であるか否かを告知できるようにする。
このようにモード設定スイッチ39で種々の撮影モードを設定できるようにし、そのなかにステレオモードを設けて、ステレオ画像の撮影に適したカメラ設定、たとえば、時刻設定、各種撮影状態の設定などを自動設定するか、または、音声、ファインダ37内のランプ等で半自動警告する機能を装備することで、より一層利用者の操作を確実なものにすることができる。また、ステレオ撮影モードで撮影された画像データにその旨の識別情報を自動的に付加することにより、後の画像処理が容易になる。
また、カメラに液晶ディスプレイが搭載されている場合には左画像の撮影と同時にディスプレイの左半分に左画像を表示させる。右側も同様に、右画像の撮影と同時にディスプレイの右半分に右画像を表示させる。これにより、左右の間違いやモード違いなどを確認することができ、利用者の運用の誤りを無くすことができる。また、左右同時にディスプレイに表示させることで、いわゆる裸眼立体視が可能になり、撮影結果の確認を即座に行うことができるという利点がある。なお、同図(A)は気泡水準器を設けたタイプ、同図(B)は電子水平センサを設けたタイプを示しており、このように電子水平センサまたは気泡水準器を設けたことにより、撮影時の水平確認が容易になる。
図10は、左右にシャッターボタンを装備したデジタルカメラを示す図である。このカメラは左右にシャッターボタン38R,38Lを装備しており、左画像を撮影する場合には左シャッターボタン38L、右画像を撮影する場合には右シャッターボタン38Rをオンする。左シャッターが押されると、そのとき撮影した画像データに左画像であることを示す左識別情報を自動で付加(記録)する。同様に、右シャッターが押されると、そのとき撮影された画像データに右画像であることを示す右識別情報を自動的に付加(記録)する。また、左右のシャッターボタンが重複してオンされた場合には撮影を行わず、これを自動告知して利用者の運用の誤りを正す。
また、このカメラは、モード設定スイッチ39で種々の撮影モードを設定できるようにし、そのなかにステレオモードを設けて、ステレオ画像の撮影に適したカメラ設定、たとえば、時刻設定、各種撮影状態の設定などを自動設定するか、または、音声、ファインダ37内のランプ等で半自動警告する機能を装備することで、より一層利用者の操作を確実なものにすることができる。また、ステレオ撮影モード自体も付加情報として自動記録する。
また、カメラに液晶ディスプレイが搭載されている場合には左画像の撮影と同時にディスプレイの左半分に左画像を表示させる。右側も同様に、右画像の撮影と同時にディスプレイの右半分に右画像を表示させる。これにより、左右の間違いやモード違いなどを確認することができ、利用者の運用の誤りを無くすことができる。また、左右同時にディスプレイに表示させることで、いわゆる裸眼立体視が可能になり、撮影結果の確認を即座に行うことができるという利点がある。なお、同図(A)は気泡水準器を設けたタイプ、同図(B)は電子水平センサを設けたタイプを示しており、このように電子水平センサまたは気泡水準器を設けたことにより、撮影時の水平確認が容易になる。
図11は、筐体の右側に赤外線の物体感知センサ41を装備したデジタルカメラを示す図である。このカメラでは、カメラ筐体の右側に赤外線の物体感知センサ41を装備している。利用者は、右画像撮影時には右目でファインダ37を覗き、左画像撮影時には左目でファインダ37を覗くようにする。そうすると、左目でファインダ37を覗く場合には顔がカメラに対して相対的に右に移動して物体感知センサ41に被さってオンする。この物体感知センサ41がオンしたときに撮影された画像ファイルに対して左画像である旨の左識別情報を付加(記録)する。逆に、物体感知センサ5が物体を感知しない場合には、そのとき撮影された画像ファイルに対して右画像である旨の右識別情報を付加(記録)する。
また、このカメラを横に倒し、縦長の画像を撮影する場合には、同図(B)に示すように上記物体感知センサ41のアームを立ててカメラの右側にセンサ部41が来るようにする。このようにすることによって、カメラの構えかたが違っても左右どちらの目でファインダーを覗いているか、すなわち、右画像,左画像のどちらを撮影しているかを検出することができる。
また、このカメラは、モード設定スイッチ39で種々の撮影モードを設定できるようにし、そのなかにステレオモードを設けて、ステレオ画像の撮影に適したカメラ設定、たとえば、時刻設定、各種撮影状態の設定などを自動設定するか、または、音声、ファインダ37内のランプ等で半自動警告する機能を装備することで、より一層利用者の操作を確実なものにすることができる。また、ステレオ撮影モード自体も付加情報として自動記録する。
また、カメラに液晶ディスプレイが搭載されている場合には左画像の撮影と同時にディスプレイの左半分に左画像を表示させる。右側も同様に、右画像の撮影と同時にディスプレイの右半分に右画像を表示させる。これにより、左右の間違いやモード違いなどを確認することができ、利用者の運用の誤りを無くすことができる。また、左右同時にディスプレイに表示させることで、いわゆる裸眼立体視が可能になり、撮影結果の確認を即座に行うことができるという利点がある。また、電子水平センサまたは気泡水準器を設ければ、撮影時の水平確認が容易になる。
次に、2台のカメラを用いてステレオ撮影するときに用いるアダプタについて説明する。図12は、単眼カメラを2台取り付けて同時にステレオ画像を撮影するスライド式撮影アダプタを示す図である。このアダプタにおいて、図2に示したアダプタと同一構成の部分は同一番号を付して説明を省略する。
このスライド式撮影アダプタでは、左エンドピースを左カメラ台23とし、ここに左カメラを固定的に取り付け、レール21上をスライド可能なカメラ台22に右カメラを取り付ける。そして、両手で両方のカメラのシャッタを同時に押し下げるか、または、赤外線リモコンを用いて両方のカメラを同時に駆動して撮影する。赤外線リモコンを用いる場合、リモコンは後方から操作されるため、固定部25の前方に反射板26を取り付ける。この反射板26は後方から照射される赤外線を反射してカメラの赤外線受光部に入光させるものである。また、カメラ台23の右側約6cmのレール21上にスライドストッパ27が取り付けられている。このスライドストッパ27は、右カメラ台22が左カメラ台23に接近しすぎないように規制するためのものである。
図13は上記スライド式撮影アダプタに左識別キー14を設けた例を示している。同図において、左カメラ台23上に取り付けられているI金具11にネジ13を用いてL金具12を取り付け、このL金具12の垂直部12aにキー14を固定している。L金具12とカメラのI金具11への取り付け位置は適宜決定すればよい。このキー14を、この左カメラ台23に取り付けられた左画像を撮影するカメラのレンズに掛かるように設けることにより、左画像の左端部にマークを写し込むことができ、識別が容易になる。
図14は、上記スライド式撮影アダプタに左右の識別キー14を設けた例を示している。右の識別キー14は右のエンドピース24上にI金具11、L金具12を介して取り付けられており、右カメラ台22が右に移動したとき右カメラのレンズがキー14の先端に掛かるようになっている。これにより、右画像の識別が容易になるとともに、シリーズ画像を撮影したとき右端の画像すなわちシリーズの終了の判断が容易になる。
図15(A)および図19は、図12のスライド式撮影アダプタにメカニカルな同時シャッタアタッチメント50を設けた図を示している。同時シャッタアタッチメント50は、図16に示すような構成をしており、シャッタキュー53をカメラのシャッタに当接させたのち、可動側機構部51全体を押し下げることにより左右両方のカメラのシャッタを同時に押すことができる。
図16において、同時シャッタアタッチメント50は、スライド式撮影アダプタ20の固定部25に取付固定される固定側機構部52と、この固定側機構部に上下動可能に係止される可動側機構部51からなっている。固定側機構部52は、固定部25に差し込まれるアーム55、および、スプリングを内蔵し可動側機構部51を係止する係止部56を有している。係止部56は、上記スプリングにより上方に付勢されている。可動側機構部51は、前記係止部56に係止される逆L形の支柱60、支柱60に取り付けられ複数のシャッタキュー金具62が取り付けられるアーム61、および、先端にピン状のシャッタキュー53を有するシャッタキュー金具62からなっている。支柱60、アーム61、シャッタキュー金具62は、それぞれ長穴を有しており、カメラの形状や高さに合わせて適宜位置合わせして互いにネジ固定される。
図12〜図14のスライド式撮影アダプタ20に、予め固定側機構部52を取り付けておく。そして、左右のカメラ台22,23に左右のカメラを取り付けたのち、上から可動側機構部51を被せ、この可動側機構部51の先端のシャッタキュー53が左右のカメラのシャッタ位置にくるように、各機構部品の接続位置を調整する。こののち、利用者が可動側機構部51を押し下げると、先端のシャッタキュー53が左右のカメラのシャッタを押し下げ、同時に左右画像が撮影される。
なお、左右のカメラとも同じカメラであれば問題はないが、左のカメラと右のカメラとが異なる種類のカメラであった場合、シャッタ位置やレンズ位置が異なる場合がある。このような場合には図17(A)に示すようなカメラ高さ調整アタッチメントをカメラ台に取り付け、この上にカメラを載置固定することにより、レンズの高さを同じにすることができる。また、シャッタの高さが異なる場合には図17(B)に示すようにシャッタキュー53を有するシャッタキュー金具62のアーム61に対する高さを調整することによって左右2台のカメラのシャッタを同時に押し下げられるようにする。
また、カメラを横に倒して固定し、縦長の画像を撮影する場合には、図17(C)に示すような縦カメラ取付アタッチメント65をI金具11に代えてカメラ台22,23に取り付け、この縦カメラ取付アタッチメント65に横向きにカメラを固定する。その場合において、同時シャッタアタッチメントを使用する場合は、固定側機構部52を用いず、可動側機構部51のみを用いる。すなわち、図18,図20に示すように、可動側機構部51の支柱60を固定部25に差し込み、支柱60とアーム61との接続部を緩めることでアーム61を左右に移動可能にし、アーム61を左に移動させることによって、シャッタキュー53の側面の突起がカメラのシャッタを同時に押し下げるようにする。
なお、図21にこのスライド式撮影アダプタに使用される各部品の外観を示しておく。同図(A)は、スライドストッパ27を示す図である。このスライドストッパは、スライドレール21上をスライド可能なカメラ台22をスライドレール21上で規制するためのストッパであり、スライドレール21に嵌合させて前後のネジを締めることによってレール21に固定される。同図(B)は、カメラの底板であるI金具11の外観図である。長穴11aにカメラの三脚ネジに螺合するネジが嵌合している。また、同図(C)はこのI金具11の後端部に気泡水準器16を設けたものを示している。また、同図(D)はレール21上をスライド可能なカメラ台22を示す図であるが、このカメラ台22は、I金具と係合するシューの部分がレール上を摺動する基台部に対して回動可能になっている。これを用いて、レールに垂直以外の方向の撮影も可能になる。
上記の同時シャッタアタッチメント50は、機構的にシャッタの同時押しを実現したが、電子的にシャッタを切ることのできるカメラ(デジタルカメラ(ビデオカメラを含む))であって、外部に同期端子が設けられているものを用いる場合、図22に示すようにこのカメラを2台並べて設置し、ケーブルまたは赤外線で同期させて同時にシャッタが切れるようにすることもできる。なお、2台並べて配置する場合、何らかの台の上に並べて設置してもよく、利用者が両手に1台ずつ持ってもよい。
ここで、赤外線を用いた連動カメラの構成について説明する。
(1)カメラ本体の左側に赤外線受光部、右側に赤外線発光部を組み込む。
(2)上記(1)のカメラを2台並べてステレオ撮影する際に、左側に位置するカメラでしかシャッタが切れないようにしておく。
(3)左側のカメラのシャッタを軽く押すと、2台のカメラの状態同期設定を指示する赤外線情報が左側のカメラから右側のカメラに送信される。右側のカメラはこの情報を受信して両方のカメラが同じ状態に設定される。
(4)左側のカメラのシャッタをさらに押し込むと、シャッタを切る旨の情報が左側のカメラから右側のカメラに向けて送信され、2台のカメラのシャッタが同期して切られて、同期したステレオ画像が撮影される。デジタルカメラの場合、撮影された画像のファイル名に右側画像,左側画像を示す情報が記載される。
2台のカメラをケーブルで接続した場合でも上記と同様の連動をさせることが可能である。
(1)カメラ本体にコネクタを組み込む。
(2)上記(1)のカメラを2台並べてステレオ撮影する際に、コネクタをケーブルで接続して、それぞれのカメラに右側、左側の設定をする。
(3)左側のカメラのシャッタを軽く押すと、2台のカメラの状態同期設定を指示する信号が左側のカメラから右側のカメラに送信される。右側のカメラはこの信号を受信して両方のカメラが同じ状態に設定される。
(4)左側のカメラのシャッタをさらに押し込むと、シャッタを切る旨の信号が左側のカメラから右側のカメラに向けて送信され、2台のカメラのシャッタが同期して切られて、同期したステレオ画像が撮影される。デジタルカメラの場合、撮影された画像のファイル名に右側画像,左側画像を示す情報が記載される。
また、デジタルカメラを用いた場合には、2台のカメラが写している画像を一方のファインダディスプレイに重ねて表示することにより、撮影する画像の位置を確認することができるとともに、2台のカメラの位置合わせが楽になる。
図23および図24にステレオ画像の撮影が可能な2眼カメラの例を示す。この2眼カメラ70は、レンズ、撮像素子、ファインダ等からなる左右のカメラ部71,72を1筐体に2つ組み込んだものである。図23(A)は同カメラの正面側の斜視図、同図(B)は同カメラの背面側の斜視図である。右カメラ部71、左カメラ部72は、下端部でヒンジ73によって接合されており、このヒンジ73を中心として図24(A)のように開くことができる。開く角度は図23の完全に閉じた状態(0度)から図24(A)の完全に開いた(180度)までの間の任意の角度にすることができる。各カメラ部のレンズ、撮像素子、ファインダ等は、カメラ部がどの角度に開かれても筐体内でその開角分だけ逆に回動し、常に正立状態を保つようにされている。そして、撮影された画像ファイルにこの開角に応じたレンズ間隔が付加情報として記憶される。また、左カメラ部72は、図24(B)に示すように水平に270度回転させることができる。
このカメラは、ストロボ、デジタル・アナログ出力用コネクタ、水平センサを備えているほか、閉じたとき用・開いているとき用の2つのシャッタ、閉じたとき用・開いているとき用の2つの三脚穴、および、撮影モードスイッチを備えている。
さらに、確認用液晶ディスプレイ76,77が左右の筐体の背面に設けられており、撮影時のモードに対応した左右の映像を確認することができ、撮影済の画像データを裸眼立体視表示用に表示することなどが可能である。また、100ヘルツ以上の垂直リフレッシュレートの映像出力インタフェースおよびこれに同期した液晶シャッタメガネを接続するインタフェースを設けてもよい。
このカメラは、撮影モードスイッチを切り換えることにより、以下の8つの撮影モードを設定することができる。
ノーマルモード:片目のレンズだけを用いた普通の撮影モード
ステレオ同時モード:左右の各1枚を同時にステレオ撮影するモード
パノラマ同時モード:左右の各1枚を同時にパノラマ撮影するモード、また、この場合、片方のレンズが電動で左右に首振りできるようにして自動で左右の画像を比較してパノラマ撮影に適した撮影角度を決められるようにしてもよい
ノーマル連写:片目だけで撮影して数秒間隔で同じ位置を連写するモード
ステレオ連写:2眼を利用して高速に同じ位置を連写するモード(通常の車などの移動体に乗っていてステレオ撮影する場合に適する)
パノラマ連写:2眼を利用して数秒間隔で同じ位置をパノラマ連写するモード(非常に遅い移動体に乗っているとき、この移動による視点の移動を利用してパノラマのステレオ撮影をする場合に適する)
パノラマ180:2眼を利用してパノラマ撮影したのち、片方レンズ筐体を回転させて180度の広いパノラマ風景撮影を行う。電動で自動で片方のレンズが回転する機構であってもよい
パノラマ270:2眼を利用してパノラマ撮影したのち、片方レンズ筐体を回転させて270度の広いパノラマ風景撮影を行う。電動で自動で片方のレンズが回転する機構であってもよい。
また、左右のカメラ部背面に液晶ディスプレイ76,77が設けられているため、左画像の撮影と同時にディスプレイの左半分に左画像を表示させる。右側も同様に、右画像の撮影と同時にディスプレイの右半分に右画像を表示させる。これにより、左右の間違いやモード違いなどを確認することができ、利用者の運用の誤りを無くすことができる。また、左右同時にディスプレイに表示させることで、いわゆる裸眼立体視が可能になり、撮影前の画像の確認や撮影結果の確認を即座に行うことができるという利点がある。また、電子水平センサ、気泡水準器などの水平検出手段を設けることにより、撮影時の水平確認が容易になる。
図25および図26は、ステレオ画像の撮影が可能な2眼カメラの他の例を示す図である。この2眼カメラ80は、本体81に左カメラ部を備え、この本体に対して摺動可能な棒83で接続されている別体82に右カメラ部を備えている。各カメラ部は、レンズ、撮像素子、ファインダ等からなっている。図25(A)は同カメラの正面側の斜視図、同図(B)は同カメラの背面側の斜視図、同図(C)は、棒の端部の第2ストッパ83bを収納した状態を示す正面側の一部斜視図である。図25に示す状態で左カメラ部と右カメラ部のレンズの距離が、人間の両眼の間隔である6cmになるように設計されている。そして、棒83を摺動させて別体82と本体81との距離を離し、第1ストッパ83aが本体81に当接する位置で停止させると左右のカメラ部の距離は両眼の間隔の2倍(12cm)になる(図26(A)参照)。また、棒の端部に設けられている太い部分である第2ストッパ83bが本体81内部で壁に当接し、それ以上引き出せなくなるところで停止させると左右のカメラ部の距離は両眼の間隔の3倍(18cm)になる(図26(B)参照)。なお、別体82を本体81と合体させた図25の状態では第2ストッパ83bがカメラの側面から突出するが(図25(A)参照)、これを折り曲げて同図(C)のように収納することができる。そして、撮影された画像ファイルに棒83が引き出された長さに応じたレンズ間隔が付加情報として記憶される。また、別体82の右カメラ部は、図26に示すように水平に360度回転させることができる。
なお、一般的に左右のレンズ間の距離を、被写体からの距離の1/20〜1/50に設定すると適当な立体感を得ることができる。
このカメラは、シャッタ、ストロボ、三脚穴、デジタル・アナログ出力用コネクタ、水平センサを備えているほか、撮影モードスイッチを備えている。
さらに、確認用液晶ディスプレイ83が本体81の背面に設けられており、撮影時のモードに対応した左右の映像を確認することができ、撮影済の画像データを裸眼立体視表示用に表示することなどが可能である。これにより、左右の間違いやモード違いなどを確認することができ、利用者の運用の誤りを無くすことができる。また、裸眼立体視を可能にすることで撮影前の画像の確認や撮影結果の確認を即座に行うことができるという利点がある。また、100ヘルツ以上の垂直リフレッシュレートの映像出力インタフェースおよびこれに同期した液晶シャッタメガネを接続するインタフェースを設けてもよい。また、電子水平センサ、気泡水準器などの水平検出手段を設けることにより、撮影時の水平確認が容易になる。
このカメラは、撮影モードスイッチを切り換えることにより、以下の8つの撮影モードを設定することができる。
ノーマルモード:片目のレンズだけを用いた普通の撮影モード
ステレオ同時モード:左右の各1枚を同時にステレオ撮影するモード
パノラマ同時モード:左右の各1枚を同時にパノラマ撮影するモード、また、この場合、片方のレンズが電動で左右に首振りできるようにして自動で左右の画像を比較してパノラマ撮影に適した撮影角度を決められるようにしてもよい。
ノーマル連写:片目だけで撮影して数秒間隔で同じ位置を連写するモード
ステレオ連写:2眼を利用して高速に同じ位置を連写するモード(通常の車などの移動体に乗っていてステレオ撮影する場合に適する)
パノラマ連写:2眼を利用して数秒間隔で同じ位置をパノラマ連写するモード(非常に遅い移動体に乗っているとき、この移動による視点の移動を利用してパノラマのステレオ撮影をする場合に適する)
パノラマ180:2眼を利用してパノラマ撮影したのち、片方レンズ筐体を回転させて180度の広いパノラマ風景撮影を行う。電動で自動で片方のレンズが回転する機構であってもよい。
パノラマ360:2眼を利用してパノラマ撮影したのち、片方レンズ筐体を回転させて360度の広いパノラマ風景撮影を行う(図29参照)。電動で自動で片方のレンズが回転する機構であってもよい。
そして、片方のカメラ部(図示では左カメラ部)がパノラマ、ステレオ撮影用に360度横回転するようになっている。
また、図27および図28は、さらに他のステレオ画像の撮影が可能な2眼カメラを示す図である。この2眼カメラ80′は、上記図25、図26に示した2眼カメラの棒83に代えて2段の角パイプ85を備えたものである。図25,図26の2眼カメラと同一構成の部分は説明を省略する。図27(A)は同カメラの正面側の斜視図、同図(B)は同カメラの背面側の斜視図である。図25に示す状態で左カメラ部と右カメラ部のレンズの距離が、人間の両眼の間隔である6cmになるように設計されている。そして、図28(A)に示すように、角パイプ85を1段引き出すと、左右のカメラ部の距離は両眼の間隔の2倍(12cm)になる。さらに、図28(B)に示すように、角パイプ85を2段引き出すと、左右のカメラ部の距離は両眼の間隔の3倍(18cm)になるそして、撮影された画像ファイルに棒83が引き出された長さに応じたレンズ間隔が付加情報として記憶される。また、別体82の右カメラ部は、図26に示すように水平に360度回転させることができる。
なお、一般的に左右のレンズ間の距離を、被写体からの距離の1/20〜1/50に設定すると適当な立体感を得ることができる。
このカメラは、シャッタ、ストロボ、三脚穴、デジタル・アナログ出力用コネクタ、水平センサ、および、撮影モードスイッチを備えている。
さらに、確認用液晶ディスプレイ83が本体81の背面に設けられており、撮影時のモードに対応した左右の映像を確認することができ、撮影済の画像データを裸眼立体視表示用に表示することなどが可能である。また、100ヘルツ以上の垂直リフレッシュレートの映像出力インタフェースおよびこれに同期した液晶シャッタメガネを接続するインタフェースを設けてもよい。
このカメラは、撮影モードスイッチを切り換えることにより、以下の8つの撮影モードを設定することができる。
ノーマルモード:片目のレンズだけを用いた普通の撮影モード
ステレオ同時モード:左右の各1枚を同時にステレオ撮影するモード
パノラマ同時モード:左右の各1枚を同時にパノラマ撮影するモード、また、この場合、片方のレンズが電動で左右に首振りできるようにして自動で左右の画像を比較してパノラマ撮影に適した撮影角度を決められるようにしてもよい。
ノーマル連写:片目だけで撮影して数秒間隔で同じ位置を連写するモード
ステレオ連写:2眼を利用して高速に同じ位置を連写するモード(通常の車などの移動体に乗っていてステレオ撮影する場合に適する)
パノラマ連写:2眼を利用して数秒間隔で同じ位置をパノラマ連写するモード(非常に遅い移動体に乗っているとき、この移動による視点の移動を利用してパノラマのステレオ撮影をする場合に適する)
パノラマ180:2眼を利用してパノラマ撮影したのち、片方レンズ筐体を回転させて180度の広いパノラマ風景撮影を行う。電動で自動で片方のレンズが回転する機構であってもよい。
パノラマ360:2眼を利用してパノラマ撮影したのち、片方レンズ筐体を回転させて360度の広いパノラマ風景撮影を行う。電動で自動で片方のレンズが回転する機構であってもよい。
そして、片方のカメラ部(図示では左カメラ部)がパノラマ、ステレオ撮影用に360度横回転するようになっている(図29参照)。
さらに、確認用液晶ディスプレイ83が本体81の背面に設けられており、撮影時のモードに対応した左右の映像を確認することができ、撮影済の画像データを裸眼立体視表示用に表示することなどが可能である。これにより、左右の間違いやモード違いなどを確認することができ、利用者の運用の誤りを無くすことができる。また、裸眼立体視を可能にすることで撮影前の画像の確認や撮影結果の確認を即座に行うことができるという利点がある。
また、100ヘルツ以上の垂直リフレッシュレートの映像出力インタフェースおよびこれに同期した液晶シャッタメガネを接続するインタフェースを設けてもよい。また、電子水平センサ、気泡水準器などの水平検出手段を設けることにより、撮影時の水平確認が容易になる。また、左右のレンズで撮影された左右情報を同時に記録し、あとで編集、鑑賞時に利用できるようにしてもよい。
図30は立体視画像作成表示システムの概略構成図である。この疑似立体視システムは、上述したカメラで撮影されたステレオ画像を取り込んで立体視表示するシステムである。なお、取り込む画像は上述のカメラで撮影されたものに限定されずスキャナで読み込んだ画像やネットワークを介して受信した画像などを用いてもよい。
この立体視画像作成表示システムは、パーソナルコンピュータ1、ディスプレイ2、入力デバイス3、画像入力機器4、液晶シャッタメガネ5を有している。なお、液晶シャッタメガネ5はなくてもよい。入力デバイス3はキーボードやマウスで構成されており、画像入力機器4は、アダプタを用いてステレオ画像を撮影したデジタルカメラ(デジタルビデオカメラを含む)を用いる。また、上記アダプタを用いてステレオ画像を撮影したカメラが銀塩カメラの場合には、現像されたフィルムをスキャンするフィルムスキャナまたはプリントされた印画紙をスキャンするスキャナが用いられる。パーソナルコンピュータ1は、利用者の入力デバイス3の操作に応じて画像入力機器4から画像を取り込む。そして、内部の処理によって立体視の組画像を作成する。そして、利用者の入力デバイス3の操作に応じてディスプレイ2にこれを表示する。
以下、立体視画像作成表示システムの処理動作について説明する。
図31,図32および図43,図44は同パーソナルコンピュータの動作を示すフローチャートである。図31において、s1で画像入力機器から画像データを取り込む。このなかから、どの画像が左画像であり、右視角の画像であるかを識別して左右画像からなるステレオ組画像を抽出する(s2)。
以下、ステレオ組画像の抽出について説明する。図5(C)〜(I)に示すように複数の画像ファイルが何らかの識別画像を写し込んで撮影されている場合は、この識別子に基づいて組画像を抽出する。ここで、組画像は左画像、右画像1枚ずつのペア画像、または、1枚の左画像および間隔を変えて撮影された複数枚の右画像からなるシリーズ画像である。図5(C)において連続する画像ファイルの両端の黒い画像ファイルはシリーズの開始と終了を示すために故意にマスクして撮影された画像ファイルである。黒い画像ファイルが発見されると、そこがシリーズ画像の区切りであると判断される。また、同図(D)〜(I)の画像ファイルの左端または右端に写し込まれている黒画像は、図2などに示すキー14によるマーク画像である。マーク画像を左端に有する画像ファイルは左画像であると判断され、マーク画像を右端に有する画像ファイルは右画像である、または、シリーズ画像の場合には右端の画像であると判断される。
また、ファイル名や各画像ファイルに添付されているデータなどに基づき、画像ファイルそのものを開かなくても判断できる場合には、そのファイル名やデータでステレオ組画像を抽出する。
また、図5(A)、(B)のように、画像ファイルにマークがなく、且つファイル名やデータで組画像を判断できない場合には、画像そのものの特徴に基づいて組画像を抽出する。これは、たとえば、画像の色のヒストグラムをとりその類似性で判断するなどの手法を用いる。画像全体のヒストグラムをとると処理量が膨大になるため、画像の縦横の所定の数ラインのヒストグラムをとり、これを比較する。
また、図5(J)に示すような1枚を画像ファイルを左右画像に分割したものであった場合には(s3)、これを左右の画像に分割する(s4)。このようにして、抽出・作成された左右の画像データに対して、左右のステレオ画像であることを表示する新たなファイル名を付与する(s5)。
そしてこの左右のステレオ画像を、大きさや位置関係が立体視可能になるように加工(自動立体化処理)する(s6)。この自動立体化処理の手順を図33〜図35に示す。立体化の処理は、基本的に図33(B)の手法のように、最も近距離の画像が左右で一致するように重ね合わせる処理である。これは立体視したときの遠近感が画面から奥に向かって生じるようにするためである。同図(A)の手法のように、遠景が一致するように左右の画像を合成した場合、立体視したとき遠近感が画面の手前に生じて画像が画面から飛び出しているように見え、鑑賞しづらくなる。このように画像を合成する場合、左右の画像は同じ倍率且つ同じ角度(水平)の画像である必要がある。このため、図34に示すように、基準となる左画像Lに対して右画像Rの条件が種々異なっていた場合、これを左画像に合わせて修正する。左右の画像のヒストグラムを取ると左右の輝度、色相、コントラストの相違が分かる。これが極端に異なっている場合には自然な立体視ができない。そこで、右画像をこれに合わせて修正する。すなわち、輝度、色相、コントラストのヒストグラムがほぼ一致するように画像処理する。そして、遠近(倍率)、画像サイズ、傾き、左右ズレ、縦横が異なっている場合には、それぞれ同じ倍率、同じサイズ、同じ角度、同じ方向の画像になるように画像ファイルを修正する。この場合において、図42に示すように左右の画像上で共通の3点をそれぞれ指定しすることにより、自動で画像の回転、拡大、左右決定をしてステレオ画像を作成するようにすることもできる。
このようにして合成された画像ファイルに前記マーク画像が写し込まれている場合、図35(A)示すように画像の合成部分からこのマーク画像は外れているため、表示するときにこれを削除するようにしてもよく、また同図(B)に示すように画像ファイルからこのマーク画像を含む左右画像の不要部分を切り取って保存するようにしてもよい。
図31において、上記の処理により立体視可能に処理されたステレオ組画像データを利用者の要求に応じた方式で出力する(s7〜s10)。出力の方式としては、ディスプレイへの表示(s8)、画像ファイルとして出力(s9)、紙への印刷出力(s10)がある。
図32は上記s8の表示動作を詳細に説明するフローチャートである。まず利用者が表示モードを選択する(s13)。表示モードは、図36に示すように、裸眼立体視モード、3Dスコープを用いた3Dスコープモード、2色メガネを用いた2色メガネモード、液晶シャッタメガネを用いたインタレース3Dモードの4種類である。s14でどの表示モードが選択されたかを判断する。裸眼立体視モードが選択された場合には、左右の画像を人間の左右の眼の間隔である6cmの間隔に配置して画面を構成し(s15)、これを表示する(s16)。利用者は左画像を左眼で見るとともに右画像を右眼で見て自分の能力で小さな画像を立体視する。3Dスコープモードが選択された場合には、3Dスコープの対物鏡の間隔に合わせて画像を配置し(s17)、これを表示する(s18)。利用者は鏡を用いて左右の眼に別々の画像を入力する3Dスコープを用いてこの画面を見ることによって大きな画像を立体視する。2色メガネモードが選択された場合には、左画像を赤色に変換し、右画像を青色に変換する(s19)。そしてこれらの画像を図33Bの関係になるように合成して表示する(s20)。
一方、インタレース3Dモードが選択された場合には、図33Bの位置関係になるように左右の画像を交互に表示する。すなわち、まず左画像を表示するとともに(s21)、インタフェース1aから左眼オン信号を出力する(s22)。この信号は液晶シャッタメガネ5に伝達される。この状態で10ms待機したのち(s23)、表示を右画像に切り換えるとともに(s24)、インタフェース1aから右眼オン信号を出力する(s25)。そして、この状態で10ms待機したのち(s26)、s21にもどりこの動作を繰り返す。これにより、画面の表示切り換えタイミングと液晶シャッタの切り換えタイミングが同期し、自然に大きな画像を立体視することができる。なお、パーソナルコンピュータ1に液晶シャッタメガネが接続されている場合には、自動的に液晶シャッタメガネのモードが選択されるようにしてもよい。
各鑑賞モードで眼の疲れを防ぐために一定時間毎に例えばアラーム音を発生するなどの警告を行うようにしてもよい。また、一定時間で強制的に立体視の表示モードを解除してしまうようにしてもよい。また、各モードの鑑賞時間を記録して利用時間を参照できるようにしてもよい。
なお、液晶シャッタメガネや2色メガネを用いて立体視する場合、図30に示したパーソナルコンピュータシステムのディスプレイを用いる方式以外に、図37(A)に示すようにデジタルカメラに付属したディスプレイをそのまま用いて表示する方式や、同図(B)に示すようにデジタルカメラを大型ディスプレイやテレビに接続し、これら大型ディスプレイやテレビに表示させる方式を採用することができる。この場合、上記組画像の抽出処理や合成処理はデジタルカメラが行う。
また、画像データのソースとしては、図38に示すようにデジタルカメラ、デジタルカメラ等にセットされるメモリカード、ネットワーク、MO,フロッピィディスク,CD−ROM等のリムーバブルメディア、イメージスキャナ等を用いることができ、また、図39に示すようにパーソナルコンピュータを含む各種機器をセットトップボックスを介して接続するようにしてもよい。
また、液晶シャッタメガネは光の透過率が低いため、液晶シャッタメガネのモードが選択された場合にはディスプレイの輝度を若干高くする自動処理を行ってもよい。また、100Hz以上で画面を切り換える性能を発揮できる解像度や表示タイミングに自動切り換えするようにしてもよい。
また、ステレオ画像を表示しているとき、マウスのポインタもこのステレオ画像と一緒に立体視できるように左右画像に合わせて表示するようにしてもよい。すなわち、左眼用ポインタ画像と右眼用ポインタ画像を別々に構成する。
また、ステレオ画像の左右のずれを利用して撮影されているオブジェクトの奥行き情報を得ることもできる。そして、この奥行き情報を利用して等高線画像を表示することもでき、または色の濃さで高さを表現した画像を表示することもできる。
図43は出力モードとしてファイル出力モードを選択した場合の詳細動作を示している。まず利用者がファイル出力の形式(モード)を選択する(s30)。ファイル出力モードは表示と同様に、裸眼立体視モード、3Dスコープモード、2色メガネモード、インタレース3Dモードの4種類である。s31でどのファイル出力モードが選択されたかを判断する。裸眼立体視モードが選択された場合には、左右の画像を人間の左右の眼の間隔である6cmの間隔に配置して画面を構成し(s32)、これを合成して1つの画像ファイルにして出力する(s33)。ファイル出力は具体的にはハードディスクへの保存、ネットワークを介して他の端末装置への送信などがある。3Dスコープモードが選択された場合には、3Dスコープの対物鏡の間隔に合わせて画像を配置し(s34)、これを1つの画像ファイルにして出力する(s35)。2色メガネモードが選択された場合には、左画像を赤色に変換し、右画像を青色に変換する(s36)。そしてこれらの画像を図33Bの関係になるように合成してファイルに出力する(s37)。一方、インタレース3Dモードが選択された場合には、図32のs21からs26の動作をするように画像切換のシーケンスデータと画像データを組み合わせたファイルを作成して出力する。このファイルを再生すればインタレース3Dモードで画像を再生することができる。
図44は出力モードとして印刷モードを選択した場合の詳細動作を示している。まず利用者が印刷形式(モード)を選択する(s40)。印刷モードは、裸眼立体視モード、3Dスコープモード、2色メガネモードの3種類である。印刷物ではインタレース3D表示は不可能であるのでそのモードは存在していない。s41でどの印刷モードが選択されたかを判断する。裸眼立体視モードが選択された場合には、左右の画像を人間の左右の眼の間隔である6cmの間隔に配置して画面を構成し(s42)、これを合成して1枚の用紙上に印刷する(s43)。3Dスコープモードが選択された場合には、3Dスコープの対物鏡の間隔に合わせて画像を配置し(s44)、これを1枚の用紙上に印刷する(s45)。2色メガネモードが選択された場合には、左画像を赤色に変換し、右画像を青色に変換する(s46)。そしてこれらの画像を図33Bの関係になるように合成して1枚の用紙上に印刷する(s47)。
なお、この実施形態では画像データ処理装置としてパーソナルコンピュータを用いているが、ゲーム機やセットトップボックスを用いることもできる。
≪液晶シャッタメガネのモード制御の実施形態≫
ディスプレイ2に表示される画像のモード等に応じて液晶シャッタメガネ5の動作モードを切り換える必要があるが、これをパーソナルコンピュータ1側から行うことができるようにした実施形態を図45に示す。図45のブロック図は、図30のインタフェース1a付近の詳細図である。この図の構成では、液晶シャッタメガネの専用コントロールボックスのほか、パーソナルコンピュータ1のキーボードまたはソフトウェアから液晶シャッタメガネの制御ができるようになっている。
同図において、パーソナルコンピュータ1にはビデオカード(VGA CARD)110が接続されており、このビデオカード110にモニタ111およびLCDコントローラ113が接続されている。
ビデオカード110とモニタ111との間は、映像信号が伝送されるPGB線,Sync線のほか、制御信号が送受信されるSDA線および制御信号の同期用クロック信号が伝送されるSCL線が接続されている。また、LCDコントローラ113には、上記SDA,SCL,Sync線が接続されている。
ビデオカード110は、SDA線を介してモニタ111に対してモニタの種類を確認する信号を送信する。これに対してモニタ111は、モニタの種類を示すデータを返信してくる。この信号は、バッファ114を介してLCDコントローラ113にも入力される。バッファ114は、信号の波形を整形するための回路である。
LCDコントローラ113には、LCDドライバ116、赤外線信号発生部118が接続されているとともに、リモートコントロールボックス115が接続されている。LCDドライバ116には1または複数の液晶シャッタメガネ117が接続されている。また、赤外線信号発生部(IR Generator)118には赤外線送信部(IR Transmitter)119が接続されている。赤外線信号は、赤外線で制御されるワイヤレスの液晶シャッタメガネ120に送信される。液晶シャッタメガネ120は送られてくる赤外線信号に基づいて右目,左目のシャッタの開閉を制御する。
リモートコントロールボックス115は、ユーザが手動で動作モードなどを切り換えるためのボタンスイッチなどが設けられている。設けられているボタンスイッチとしては、電源オン/オフスイッチ、インターレース/ノンインターレースモードスイッチ、左右切り換えスイッチなどがある。
また、LCDコントローラ113は、リモートコントローラ115のスイッチ操作でモードが切り換えられるのみでなく、ビデオカード110から出力される制御信号の回数でモードを切り換える。制御信号としてはREAD EDIDの信号を用い、この信号を2秒間に何回送信したかでモードを切り換える。すなわち、この信号はモニタ111のIDを確認する信号であるためこれを何度送信してもモニタ111の設定自体に影響はない。そこで、これを複数回連続して送信することをLCDコントローラに対するコマンドとしている。
READ EDIDを2秒間に3回送信すると、ターンオフコマンドとなり、LCDコントローラ113は接続している液晶シャッタメガネ117(および120)シャッタ切り換えを停止する。これにより、アプリケーションから長時間の液晶シャッタメガネの使用を制限することができるようになる。また、READ EDIDを2秒間に4回送信すると、インタレース偶数フレームコマンドとなり、偶数ラインが右画像(奇数ラインが左画像)となっているインタレース映像を見るモードに液晶シャッタの開閉タイミングが設定される。また、READ EDIDを2秒間に5回送信すると、インタレース奇数フレームコマンドとなり、奇数ラインが右画像(偶数ラインが左画像)となっているインタレース映像を見るモードに液晶シャッタの開閉タイミングが設定される。ここで、インタレース映像とは図47に示すような1ラインおきに右映像と左映像がはめ込まれた合成映像である。このような映像がビデオカード110から出力された場合、LCDコントローラ113は、1ライン毎にアナログスイッチ112をオン/オフして奇数フレームは奇数ラインのみ、偶数フレームは偶数ラインのみを表示するようにして1フレーム毎に右画像のみと左画像のみが交互に表示されるようにし、液晶シャッタメガネを1フレーム毎に交互に開閉する。
READ EDIDを2秒間に6回送信すると、ノンインタレース偶数フレームコマンドとなり、偶数フレームが右画像(奇数フレームが左画像)となっているノンインタレース映像を見るモードに液晶シャッタの開閉タイミングが設定される。また、READ EDIDを2秒間に7回送信すると、ノンインタレース奇数フレームコマンドとなり、奇数フレームが右画像(偶数フレームが左画像)となっているノンインタレース映像を見るモードに液晶シャッタの開閉タイミングが設定される。ここで、ノンインタレース映像とは1フレームずつ右(左)画像と左(右)画像が交互に表示されるモードである。このような映像がビデオカード110から出力された場合、LCDコントローラ113は、アナログスイッチ112を常時オンにし、液晶シャッタメガネを1フレーム毎に交互に開閉する。
なお、従来のLCDコントローラは上記のような機能がなく、液晶シャッタメガネのモード切り換えをリモートコントローラ115のボタンスイッチのみで行っていた。このため、パソコンのキーボードで切り換えることやソフトウェアで自動制御することができず、長時間液晶シャッタを開閉させて立体視鑑賞をしていると目が疲れたり痛くなる場合があったが、このような場合でも自分で手動でオフするしかなく、液晶メガネにチラツキが発生する場合、子供が誤って見ると問題がある可能性があり、PL問題に発展する可能性があった。しかし、図45の構成およびSDAを用いたコマンド制御により、ユーザは、手元にボックスを置かなくてもパーソナルコンピュータのキーボードなどから遠隔制御でき、加えて、アプリケーションプログラムから自動で制御できるため、間違った使い方を防ぐことも可能になる。また、上記PL問題解決も可能で、自動的にある一定時間が経過すると立体視の外付けハードウェアの機能がオフになったり、ユーザの希望で鑑賞延長できたり自由に制御が可能になる。
≪左右画像の合わせ方の実施形態≫
以下、ステレオの左右画像の位置合わせを、利用者が効率的に行うことができるようにした処理方式について説明する。この実施形態では利用者の以下の操作を実現している。手動で画面上で2枚の画像を重ね合わせる場合、一方の画像を画面上で固定し、他方の画像の一部分(マウス等で範囲指定した区画)のみをリアルタイムでずらして一方の画像と重ね合わせ、好みの位置が決まったのち、他方の画像の全体を移動して重ね合わせる。また、2枚の画像が重なっても両方とも透けて見えるようになっており、マウス等で範囲指定された区間も透けており、重ね合わせの状態を視覚的、直観的に判断することができる。
なお、従来の2枚の画像を手動で重ね合わせる場合、一方の画像を画面上で固定し、他方の画像の全体をリアルタイムでずらして重ね合わせして、好みの位置を決めていた。このため、大きい画像の場合、画像の書き換え表示の処理が重くなって、利用者の操作に追従できなくなり、画像のズレの微調整の場合など作業効率が極端に落ちるという欠点があり、また、画像全体が同時にズレるため、2枚の画像のどちらをずらしているのかが、すぐに判断できないという欠点があった。
以下、図面を参照してこの実施形態(パーソナルコンピュータ1)の処理手順について説明する。
図46は、同パーソナルコンピュータ1の処理の流れを示す図である。まず、画像合成表示用のウィンドウを表示し(s101)、このウィンドウに左右の画像ファイルのデータを読み込む(s102)。左右の画像ファイルは所定の縦サイズ×横サイズの画像データであるが、これを図47に示すように、インタレース合成処理(左画像を奇数ラインのみ、右画像を偶数ラインのみ(左右の奇偶は逆でもよい))を行う(s103)。これにより、左右画像の両方が透けて見える1枚の画像となる。そして、この左右画像のうち一方を固定画像とし、他方を移動可能な画像と設定する(s104)。そして、合成された画像をディスプレイ上に表示する(s105)。この表示例を図48に示す。同図に示すように、ディスプレイには左右の画像が両方見えるように重なって表示される。この表示のとき、利用者が、マウス等のポインティングデバイス(以下マウスという)でドラッグして小領域を指定するので、その小領域の区切り線を表示する(s106)。利用者は、この領域をマウスで持って任意の最適な位置へ移動させる。これをその移動中の位置でインタレース表示する(s107:図49)。移動された領域は小領域であるため、このインタレース表示の書き換えもリアルタイムで可能である。マウスが開放されたとき(s108:図50)、移動位置がその位置に決定されたものとして移動画像の全体をその位置に移動させて表示する(s109:図51)。この状態で保存操作がされればこの画像ファイルを保存して(s110)動作を終了する。移動位置が最適でなかった場合には、利用者がs106以下の操作をやり直す。
上記のように、マウスでドラッグして少しだけ小領域をズラせば、すぐに、重なっている画像のうちどちらの画像をドラッグしたかも直観的にわかり、また、小領域として特徴的な画像部分を選択し、この小領域を最適な位置に移動させながら重ね合わせることにより、効率的に最適位置を探すことができる。そして、最適位置が見つかったとき、マウスドラッグを開放すれば画像全体がその位置に移動するため、インタレース合成処理の負担を少なく最適位置への移動合成処理を行うことができる。
≪ステレオ画像の自動合成処理の実施形態≫
この実施形態では、ステレオ撮影された2枚の画像を自動的に最適位置に合成する処理を提案する。この処理は、利用者が、撮影された画像内の物体のなかから画面の半分くらいを占める上下に長い棒状物体または上下に長い物体の縦ラインを探してこれを指定することにより、パーソナルコンピュータ1がこの棒状物体または縦ラインに基づいて左右画像を自動的に合成するものである。指定する棒状物体は、その両端(全体)が撮影者からほぼ同じ距離のものであることが望ましい。利用者は、左右2枚の画像に撮影されている棒状物体(縦ライン)の上下の頂点、すなわち4点の指定を行うのみでよい。パーソナルコンピュータ1は左右画像に撮影されている棒状物体(縦ライン)の両端の2点の距離、角度、傾き、位置を計算し、これを一致させることで2枚のステレオ画像の自動重ね合わせを行う。
また、この自動重ね合わせを行ったのちの2つの画像の位置関係でどちらが左画像でどちらが右画像であるかを自動決定することも可能である。すなわち、両方の画像が重なり合っている範囲から左側にはみ出している画像が左画像であり、逆に右側にはみ出している画像が右画像であると決定することができる。
なお、従来は、ステレオ撮影された類似の2枚画像の重ね合わせは、手動で量画像を比較して単純に見ながら、画像回転、拡大縮小、上下左右移動、左右指定の各作業を1つずつ行っており非常に効率が悪かった。
以下、図52のフローチャートを参照してこのステレオ画像の自動合成処理について詳細に説明する。まず、ディスプレイの全体を使って左右に2分割したウィンドウを表示する(s111)。ステレオ撮影された左右画像を読み込んで(s112)、上記左右ウィンドウ内に読み込んだ左右の各画像を表示する(s113)。このときは、画像の左上端をウィンドウの左上端に合わせて表示する。画像サイズがウィンドウサイズよりも大きい場合は上下、左右のスクロールバーを表示する。このとき、画像が大きくて画面からはみ出した場合でも、見やすくなるように画像を縮小するなどの処理をしない。このほうが、位置計算を正確に行うことができるためである。この表示とともに、左右のウィンドウの中心にウィンドウの縦サイズの2/3程度の長さの直線(バーポインタ)を表示する(s114:図53)。バーポインタは、図53に示すように上端および下端にハンドル(小四角形)を有している。
この状態で、スクロールバーを操作することにより、画像をウィンドウ内で上下左右にスクロールすることができ、一方の画像をスクロールしたとき他方の画像も同期して同じ方向に同じだけスクロールされるが(s115)、画像のスクロールにかかわらずバーポインタはウィンドウ内で同じ位置である(s116:図54参照)。
画像が適当な位置にスクロールされると、利用者は、一方のウィンドウ上でバーポインタの上端のハンドルをマウスのドラッグで移動させる(s117)。この移動に合わせてバーポインタを伸縮表示する(s118)。なお、バーポインタの上端ハンドルの移動範囲はウィンドウの上半分に制限する。これは、バーポインタが短くなりすぎて自動合成処理が不正確になるのを防止するためである。そして、マウスのドラッグが解除されるとそのときのマウス位置に上端ハンドルの位置を決定し、この上端ハンドルの色または形状を変えて表示する(s119)。上記s117、s118、s119の処理を他方のウィンドウ上で同様に行う(s120:図55)。左右画像上における上端ハンドルの位置は、撮影されている同じ物体の同じ位置になるように指定される。
バーコードポインタの上下頂点の2点は、指定する2点となるため丸い小さなリングにしてマウスでドラッグしやすい形状として位置決定後は丸い小さなリング内の色または形状が変わるようにする。
次に、バーポインタの下端ハンドルを指定するために画像を下方向にスクロールした場合でも(s121)、下端ハンドルの位置はまだ決定されていないため、画像のスクロールにかかわらずウィンドウ上で固定されている(図56参照)。なお、上端ハンドルの画像上の位置は既に決定されているため、画像とともにスクロールしている。
画像が適当な位置にスクロールされると、利用者は、一方のウィンドウ上でバーポインタの下端のハンドルをマウスのドラッグで移動させる(s122)。この移動に合わせてバーポインタを伸縮表示する(s123)。なお、バーポインタの下端ハンドルの移動範囲はウィンドウの下半分に制限する。これは、バーポインタが短くなりすぎて自動合成処理が不正確になるのを防止するためである。そして、マウスのドラッグが解除されるとそのときのマウス位置に下端ハンドルの位置を決定し、この下端ハンドルの色または形状を変えて表示する(s124)。上記s122、s123、s124の処理を他方のウィンドウ上で同様に行う(s125:図57)。左右画像上における下端ハンドルの位置は、撮影されている同じ物体の同じ位置になるように指定される。
なお、上端ハンドル、下端ハンドルの位置決定がうまくいかなかった場合には、これをやり直すことも可能である。
左右画像の上端ハンドル、下端ハンドルの位置が決定されると、左右の画像のバーポインタが重なるように両画像全体の伸縮・回転・上下左右の移動を行う(s126)。このとき、一方の画像を固定して、他方をこの一方の画像に合わせるように伸縮・回転・上下左右の移動を行うようにしてもよく、両画像の中間値をとるように伸縮・回転・上下左右の移動を行うようにしてもよい。
上記処理で重ね合わされた左右画像をインタレース合成して表示し、利用者がその重なり具合を確認できるようにする(s127)。この表示状態で重なり具合に問題があればs115にもどって処理をやり直す。重なり具合が問題なければ、左端が重なっていない画像を左画像、右端が重なっていない画像を右画像としてファイル名を付け、左右画像を保存して(s128)、処理を終える。
≪左右画像の表示ウィンドウの制御を同期させる実施形態≫
以下、ステレオ撮影された左右の画像をそれぞれ別々のウィンドウに表示したとき、そのウィンドウサイズやスクロール位置を1組のスクロールバーだけで同期して変えられるようにした実施形態について説明する。
これにより、スレオスコープで立体鑑賞する際、サイズ、解像度が異なるディスプレイでも、2枚の立体視画像を画面いっぱいに表示させ、もし、画像が大きくて表示ウィンドウから読み出した場合でも、常に同じ部分が表示させるようにすることにより、迫力ある画像を楽しむことができるようになる。
また、ステレオスコープ無しで裸眼のみでステレオ画像を鑑賞する際は、縦方向はステレオ鑑賞での制限はないが、横方向は、個人の能力によって鑑賞範囲が制限される。このため、横方向のみ左右のウィンドウを最適な距離で表示調整できるようにする必要がある。この実施形態では、ディスプレイの縦中心から左右の表示ウィンドウを同期をとって横方向に縮ませたり伸ばしたりできるようにすることにより、鑑賞者の能力に応じた表示範囲を容易に設定できるようにした。
なお、従来は、2つのウィンドウを左右に並べて表示させることは可能であったが、画像が大きくてウィンドウからはみ出した場合、左右のウィンドウに表示されている画像を別々にスクロールして位置合わせする必要があり、操作が極めて面倒であり、左右画像の位置関係をスクロールしても同じにしておくことが困難であったため、位置が移動するごとに立体感が異なり、全体を同じ感じで鑑賞することが困難であった。また、ウィンドウの大きさを変える場合でも各ウィンドウを個々に縮めたり伸ばしたりする必要があり、このとき画像のスクロールも個別に行う必要があり、手間と根気が必要であった。
以下図面を参照してこの実施形態のウィンドウ制御処理について説明する。図58および図59は立体視スコープ(3Dスコープ)用のウィンドウ制御処理を説明する図である。
図58のフローチャートにおいて、まずステレオの左右画像を読み込む(s131)。つぎに、ディスプレイの最大表示エリア(縦横ピクセル数)を算出し(s132)、これを左右に2分割して2つのウィンドウを表示し(s133)、各ウィンドウに、立体視鑑賞できるように算出済み位置関係で左右画像を表示する(s134:図59)。左右のウィンドウには、それぞれ左右スクロールバー、上下スクロールバーが表示されているが、一方のウィンドウ(たとえば左ウィンドウ)のスクロールバーを移動させるとこれに同期して他方のウィンドウ(たとえば右ウィンドウ)のスクロールバーも移動し、利用者が好みの位置を決定することができる(s135)。利用者は好みの位置を決定したのち立体視スコープ鑑賞する(s136)。
図60および図61は裸眼による立体視用のウィンドウ制御処理を説明する図である。
図60のフローチャートにおいて、まずステレオの左右画像を読み込む(s141)。つぎに、ディスプレイの最大表示エリア(縦横ピクセル数)を算出し(s142)、ディスプレイを中心から左右に2分割して2つのウィンドウを表示し横方向のみウィンドウサイズを可変にする(s143)。なお、縦方向はディスプレイの表示可能最大サイズで固定する。各ウィンドウに、立体視鑑賞できるように算出済み位置関係で左右画像を表示する(s144:図61)。左右のウィンドウは横方向に伸縮可能であり、一方のウィンドウを伸縮させると他方のウィンドウも同期して同じサイズに伸縮される。なお、右側のウィンドウは右辺が左右に移動することによって伸縮し、左側のウィンドウは左辺が左右に移動することによって伸縮する。また、左右のウィンドウには、それぞれ左右スクロールバー、上下スクロールバーが表示されているが、一方のウィンドウ(たとえば左ウィンドウ)のスクロールバーを移動させるとこれに同期して他方のウィンドウ(たとえば右ウィンドウ)のスクロールバーも移動し、利用者が好みの位置を決定することができる(s145)。利用者は、好みのウィンドウサイズ、好みの位置を決定したのち裸眼で立体視鑑賞する(s146)。
≪ステレオ画像の奥行き情報を表示する実施形態≫
人間の眼の左右視差を利用して立体視鑑賞できるように、一方の画像(左画像または右画像)に対する他方の画像(右画像または左画像)の画像を作成する際に、画面の縦横カーソルの位置とカーソルの長さに合わせて、その画像断面の奥行き具合を、リアルタイムに画像の表示ウィンドウの上端の帯枠内と左端の帯枠内でグラフ表示させる。
図62のフローチャートおよび図63のディスプレイの表示例を参照して奥行き情報表示動作について説明する。図62のフローチャートにおいて、まず、ディスプレイにメインウィンドウ、奥行き表示ウィンドウ、奥行きポイント表示ウィンドウを表示する(s151)。メインウィンドウは合成されたステレオ画像を表示するウィンドウである。奥行き表示ウィンドウは、メインウィンドウの左辺,上辺に沿って2つ表示されるウィンドウであり、メインウィンドウに表示される十字カーソル(縦ラインカーソル、横ラインカーソル)上の画像の奥行きを表示するためのウィンドウである。また、奥行きポイント表示ウィンドウは、上記十字カーソルの交点の奥行きを奥行きバーおよび数値で表示するためのウィンドウである。
ウィンドウを表示すると、メインウィンドウに疑似立体視画像を読み込み(s152)、メインウィンドウ上に縦ラインカーソル、横ラインカーソルからなるクロスラインカーソルを表示する(s153)。クロスラインカーソルの交点の奥行き値を計算し、これを奥行き表示ウィンドウの奥行きバーおよび数値で表示する(s154)。また、逆に奥行きバーまたは数値で指定ポイント(クロスラインカーソルの交点)の奥行き値を指定して、指定ポイントの奥行き値がそうなるように画像を修正することもできる。
つぎに、縦ラインカーソルに沿って一連の奥行き情報を縦ラインの奥行き表示ウィンドウにグラフ表示する(s155)とともに、横ラインカーソルに沿って一連の奥行き情報を横ラインの奥行き表示ウィンドウにグラフ表示する(s156)。クロスラインカーソルはマウス操作によって任意の位置に移動させることができる(s157)。所望の奥行きになったところでファイルを保存する(s158)。これにより、疑似立体視の奥行き感を任意に最適に設定することができる。