JP3943012B2 - 被記録媒体 - Google Patents

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    • B41M5/52Macromolecular coatings
    • B41M5/5227Macromolecular coatings characterised by organic non-macromolecular additives, e.g. UV-absorbers, plasticisers, surfactants

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクによる記録に好適な被記録媒体に関する。特に、インクジェット記録方式を利用したプリンターやプロッターに適用した際に、画像濃度が高く、インク吸収性に優れ、銀塩写真と同等の画質を有し、大気中の酸性ガス及び光による画像の退色や変色を防止すると同時に、シアンの色調変化が少ない被記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させることで画像や文字等の記録を行う記録方式である。また、インクジェット記録方式は、高速印字性、低騒音性及び記録パターンの融通性に優れ、更に多色化を容易に行うことができ、現像及び画像定着が不要であるといった特徴がある。特に、多色インクジェット方式で形成された画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画と比較しても遜色のない記録を得ることが可能で、作成部数が少ない場合には通常の印刷技術や写真技術より印刷コストが安価に済むという利点もあることから、近年、各種情報機器の画像記録装置として急速に普及している。例えば、デザイン業界におけるイメージデザインの出力、写真画質が要求される印刷分野におけるカラー版下の作製、頻繁に取り替えられる看板や商品の見本等、フルカラー画像記録が必要な分野へと幅広く応用されつつある。
【0003】
このようなインクジェット記録方式において、記録の高速化、高精細化、或いはフルカラー化といった記録特性を向上させるため、記録装置や記録方法の改良が行われてきたが、それに伴い被記録媒体にもより高度な特性が要求されるようになってきた。即ち、被記録媒体に求められる特性としては、印字ドットの濃度が高く鮮やかで明るい色調が出せること、コントラストが高いこと、印字ドットが重なってもインクが流れ出したり、滲んだりしないような高いインク吸収性を有すること、インクの横方向への拡散が必要以上に大きくならず真円に近い印字ドット形状であること、更にドットの周辺が滑らかで、ぼやけないこと等が挙げられる。
【0004】
これらの要求に対して、従来から幾つかの提案がなされてきた。例えば、微細なアルミナ水和物を水溶性のバインダーとともに支持体上に塗布した被記録媒体が提案された。特許文献1には、多孔質のカチオン性アルミナ水和物を含有した塗工層を有する記録紙が開示されている。また、特許文献2〜8では、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有した記録シートが開示されている。特に、特許文献5や特許文献9には、擬ベーマイト構造のアルミナゾルと、ホウ酸又はホウ酸塩を含有する記録シートが開示されている。このような無機顔料を含有した被記録媒体は空隙が多く、インクの吸収性に優れ、良好な光沢が得られるため、銀塩写真と同等の画像を得ることが可能だが、大気中のオゾン、窒素酸化物、硫黄酸化物等の酸性ガスにより著しく変色あるいは退色し、ひどい場合には1週間と経たずに画像の色味が変化してしまう。
【0005】
上記のような問題を回避するために、各種酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含有させた被記録媒体が提案されている。
【0006】
耐ガス性向上を目的としては、特許文献10にはヒドラジド系化合物、特許文献11及び12には、チオ尿素誘導体、チオセミカルバジド誘導体、チオカルボヒドラジド誘導体等を含有させた被記録媒体が開示されている。また、特許文献13では、チオ尿素誘導体、チオセミカルバジド誘導体及びチオカルボヒドラジド誘導体からの1種類と、ヨウ素、ヨウ化物、ジチオカルバミン酸、チオシアン酸塩及びチオシアン酸エステルからの1種類とをそれぞれ含有させた被記録媒体が開示されている。
【0007】
耐光性を向上させる方法としては、例えば、特許文献14〜17では、フェノール系酸化防止剤、ベンゾフェノン系或いはベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を含有させた被記録媒体が開示されている。また、特許文献17にはヒンダードアミン系化合物を含有したものが、特許文献10ではヒドラジド系化合物を含有した被記録媒体がそれぞれ提案されている。
【0008】
しかしながら、上述した耐ガス及び耐光性を向上させる化合物は、一つの特性に限定した場合には一応の効果が認められるが、もう一方の特性には効果がないか逆に悪化させる場合が多く、画像の変色・退色の主要因である大気中の酸性ガスと光に対しての堅牢性を同時に改善するのは困難であった。
【0009】
上記の問題に対し、耐ガス性及び耐光性の両特性を改善する化合物として、特許文献18にチオジプロピオン酸を含有させた被記録媒体が開示されている。
【0010】
これらの化合物は、耐ガス性及び耐光性にある程度の効果は認められるが、実際にこれらの化合物を含有した記録媒体にインクジェット方式で記録を行うと、シアンがグリーンに近い色調になってしまうという弊害がある。
【0011】
上記のようなシアンの色調変化は、デジタルカメラで記録された写真画像を出力することが多くなった近年において、風景を撮影した画像等を出力した際に、空、海の色等がくすんでしまうため、全体として暗い画像となり鮮明さに欠ける等、写真の印象を大きく変える重大な欠点となってしまう。従って画像の色調や印象を変化させずに、耐ガス性及び耐光性を同時に向上させるのは困難であるのと同時に、前記欠点を改善することへの要求は強い。
【0012】
【特許文献1】
特開昭60−232990号公報
【特許文献2】
特開平2−276670号公報
【特許文献3】
特開平6−48016号公報
【特許文献4】
特開平6−55829号公報
【特許文献5】
特開平7−76161号公報
【特許文献6】
特開平8−22608号公報
【特許文献7】
特開平10−44585号公報
【特許文献8】
特開平11−34484号公報
【特許文献9】
特開2000−239578号公報
【特許文献10】
特開昭61−154989号公報
【特許文献11】
特公平4−34953号公報
【特許文献12】
特開平7−314883号公報
【特許文献13】
特開平8−25796号公報
【特許文献14】
特開昭57−74192号公報
【特許文献15】
特開昭57−87989号公報
【特許文献16】
特開昭60−72785号公報
【特許文献17】
特開昭61−146591号公報
【特許文献18】
特開2002−103807号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実態に鑑みてなされたものであり、画像濃度が高く、インク吸収性に優れ、銀塩写真と同等の画質を有し、大気中の酸性ガス及び光による画像の退色や変色を防止すると同時に、シアンの色調変化が少ない被記録媒体を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、画像濃度が高く、インク吸収性に優れ、銀塩写真と同等の画質を有し、大気中の酸性ガス及び光による画像の退色や変色を防止すると同時に、シアンの色調変化が少ない被記録媒体を得るために種々検討を重ねた結果、無機顔料と水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂を主成分としたインク受理層を有する被記録媒体において、該インク受理層中に、チオジプロピオン酸又はその塩、及びトコフェロール誘導体を含有させた場合に、前述した課題が解決できることを見い出し本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち本発明は、支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも1層のインク受理層を設けた被記録媒体において、該インク受理層が、無機顔料、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂、チオジプロピオン酸又はその塩、及びトコフェロール誘導体を含有することを特徴とする被記録媒体である。また本発明は、上記の被記録媒体からなるインクジェット記録用被記録媒体である。
【0016】
また、本発明で使用されるチオジプロピオン酸又はその塩(以下、「チオジプロピオン酸(塩)」とも表記する。)、及びトコフェロール誘導体の総添加量が、前記無機顔料に対して1〜20質量%であることが好ましい。
【0017】
また、本発明で使用される無機顔料は、ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物であることが好ましい。更に、このアルミナ水和物の水分散体のpH=3.5〜4.5におけるゼータ(ζ)電位が、+40mV以上であることが好ましい。また、本発明のインク受理層は、更にホウ素化合物を含有することが好ましい。
【0018】
上記インク受理層を有する本発明の被記録媒体は、画像濃度が高く、インク吸収性に優れ、銀塩写真と同等の画質を有し、大気中の酸性ガス及び光による画像の退色や変色を防止すると同時に、シアンの色調変化が少ない被記録媒体である。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
(支持体)
本発明で使用される支持体は、特に限定されるものではないが、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙等の紙類、合成紙、白色プラスチックフィルム、透明プラスチックフィルム、又は半透明プラスチックフィルム、樹脂被覆紙等が使用できる。支持体としては、原紙に熱可塑性樹脂組成物等を被覆したラミネート紙(樹脂被覆紙)や白色プラスチックフィルム等が好ましい。
【0020】
光沢をより効果的に発現させるためには、インク受理層の水系組成物に対するバリヤー性の高い基材が好ましく、酸化チタンや硫酸バリウム等の顔料を配合したり、多孔性化することにより不透明化したポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の白色プラスチックフィルム等、更に紙基材にポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたいわゆる樹脂被覆紙が好適である。
【0021】
本発明の被記録媒体の支持体として、好ましく用いられるのは、少なくともインク受理層の設けられる一方の面を被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙が挙げられ、より好ましくは両面を被覆したポリオレフィン被覆紙である。前記ポリオレフィン被覆紙の好ましい形態としては、JIS−B0601による中心線平均粗さが0.5μm以下で、且つJIS−P8142による75度鏡面光沢度が30〜80%である。
【0022】
また、支持体の厚さには特に制限はないが、好ましくは25〜500μm、より好ましくは50〜300μmである。厚さが25μmより薄いと、インクジェット記録用シートの剛性が低く、手にしたときの感触や、質感、或いは不透明性が低下する等の不都合が生じる場合がある。また、500μmより厚いと剛直になり扱いにくく、プリンターでの給紙走行でのトラブル発生の原因となることがある。また、支持体の重さにも特に制限はないが、30〜500g/m2の範囲であることが好ましい。
【0023】
また、支持体としてはその他にも、ガラス又は金属等からなるシート等を使用してもよい。また、これら支持体とインク受理層との接着強度を向上させるため、支持体表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施すことも可能である。
【0024】
(無機顔料)
本発明において使用する無機顔料は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、けいそう土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、リトポン、ゼオライト、アルミナ、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト等の無機顔料が挙げられ、これらを単独あるいは複数種併用することができる。
【0025】
上記無機顔料のうち、本発明においては、インク吸収能が高く、発色性に優れ、高品位の画像が形成可能であるものとして、ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を使用することが好ましい。
【0026】
高光沢且つ高透明性のインク受理層を得るためには、ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物の形態として、平均粒子径が150〜250nmで、且つ、多分散指数(μ/<Γ>2)が0.01〜0.20の範囲が好ましく、更に、平均粒子径が160〜230nmの範囲で、且つ、多分散指数が0.01〜0.18の範囲であることがより好ましい。前記アルミナ水和物の平均粒子径が150nmより小さい場合には、インク受理層のインク吸収性が低下し、インクの吐出量が多いプリンターや、高速出力するプリンターで印字した際に、滲みやビーディングが発生するおそれがある。一方、平均粒子径が250nmより大きい場合には、インク受理層の透明性が低下するとともに、耐ガス性が低下する。また、多分散指数が0.20を超える場合も、平均粒径の場合と同様にインク受理層の透明性、印字濃度及び光沢が低下することがある。
【0027】
尚、本発明でいう平均粒子径と多分散指数は動的光散乱法によって測定され、「高分子の構造(2)散乱実験と形態観察 第1章 光散乱」(共立出版 高分子学会編)、或いはJ.Chem.Phys.,70(B),15 Apl.,3965(1979)に記載のキュムラント法を用いた解析から求めることができる。動的光散乱の理論によれば、異なる粒径を持つ微粒子が混在している場合、散乱光からの時間相関関数の減衰に分布を有する。この時間相関関数をキュムラント法を用いて解析することで、減衰速度の平均(<Γ>)と分散(μ)が求まる。減衰速度(Γ)は粒子の拡散係数と散乱ベクトルの関数で表わされるため、ストークス−アインシュタイン式を用いて、流体力学的平均粒径を求めることができる。従って、減衰速度の分散(μ)を平均の二乗(<Γ>2)で除した多分散指数(μ/<Γ>2)は、粒径の散らばりの度合いを表しており、値が0に近づく程、粒径の分布は狭くなることを意味する。本発明で定義される平均粒子径及び多分散指数は、例えば、レーザー粒径解析装置PARIII(大塚電子(株)製)等を用いて容易に測定することができる。
【0028】
本発明で好ましく用いられる、ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物は下記一般式(1)により表わされる。
Al23-n(OH)2n・mH2O (1)
上式中、nは0、1、2又は3の整数のうちの何れかを表わし、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表わす。mH2Oは、多くの場合結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表わすものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、この種のアルミナ水和物をか焼すると、mは0の値に達することがありうる。
【0029】
一般に、ベーマイト構造を示すアルミナ水和物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを示す。ベーマイト構造としては、完全ベーマイトの他に擬ベーマイトと称する、過剰な水を(020)面の層間に含んだ構造を取ることもできる。この擬ベーマイトのX線回折図形は、完全なベーマイトよりも幅広な回折ピークを示す。完全ベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別できるものではないので、以下特に断らない限り、両者を含めてベーマイト構造を示すアルミナ水和物という。
【0030】
本発明で好適に用いられる、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物の製造方法としては、特に限定されないが、ベーマイト構造をもつアルミナ水和物を製造できる方法であれば、例えば、アルミニウムアルコキシドの加水分解又はアルミン酸ナトリウムを加水分解する等の公知の方法で製造することもできる。また、特開昭56−120508号公報に開示されているように、X線回折的に無定形のアルミナ水和物を、水の存在下で50℃以上で加熱処理することによってベーマイト構造に変えて用いることができる。なかでも、本発明において特に好ましく用いることができる方法は、長鎖のアルミニウムアルコキシドに対して、酸を添加して加水分解及び解膠を行うことによってアルミナ水和物を得る方法である。
【0031】
ここで、長鎖のアルミニウムアルコキシドとは、例えば、炭素数が5以上のアルコキシドであり、更に炭素数12〜22のアルコキシドを用いると、後述するようにアルコール分の除去及びアルミナ水和物の形状制御が容易になるため好ましい。添加する酸としては有機酸、無機酸の中から1種又は2種以上を自由に選択して用いることができるが、加水分解の反応効率、及び得られたアルミナ水和物の形状制御や分散性の点で硝酸が最も好ましい。この工程の後に水熱合成等を行って粒子径を制御することも可能である。硝酸を含むアルミナ水和物分散液を用いて水熱合成を行うと、水溶液中の硝酸がアルミナ水和物表面に硝酸根として取り込まれて水分散性を向上させることができる。
【0032】
上記方法には、アルミナヒドロゲルやカチオン性アルミナを製造する方法と比較して、各種イオン等の不純物が混入しにくいという利点がある。更に長鎖のアルミニウムアルコキシドは、加水分解後のアルコールが除去し易いため、アルミニウムイソプロポキシド等の短鎖のアルコキシドを用いる場合と比較して、アルミナ水和物の脱アルコールを完全に行うことができるという利点がある。
【0033】
また、上記方法で合成されたアルミナ水和物の分散液を、更に粉砕分散機等を用いた物理的な手段で所望とする粒径にすることも可能である。粉砕分散機としては、公知の様々な分散機を使用することが可能である。例えば、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、湿式メディア型粉砕機(サンドミル、ボールミル)、連続式高速撹拌型分散機、超音波分散機等が挙げられる。具体的には、マントンゴーリンホモジナイザー、ソノレータ(同栄商事社製)、マイクロフルイタイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(月島機械社製)、アルティマイザー(伊藤忠産機社製)、パールミル、グレンミル、トルネード(浅田鉄鋼社製)、ビスコミル(アイメックス社製)、マイティーミル、RSミル、SΓミル(井上製作所製)、荏原マイルダー(荏原製作所製)、ファインフローミル、キャビトロン(大平洋機工社製)等が挙げられる。
【0034】
上記ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を水分散体として用いる場合は、pH3.5〜4.5におけるゼータ(ζ)電位が、+40mV以上のものを用いることが好ましい。ゼータ電位の値が+40mV以上である場合は、アルミナ水和物粒子の粒子間の静電気的反発が強くなり、分散体の安定性が高くなる。しかし、+40mV未満になると、アルミナ水和物粒子の凝集が起こりやすくなる場合があるためである。また、一般に塗工液の調整によく使用される添加剤は、アルミナ水和物分散体のゼータ電位を低下させることがあるため、これら添加物を含有する塗工液を安定に分散させるためには、ゼータ電位の値が高いほど好ましい。
【0035】
一般的に固体微粒子を溶媒に分散させると、粒子はプラス或いはマイナスに帯電し、固体微粒子表面には、粒子とは反対の符号を持った対イオンが静電気的に引き寄せられる。一方、対イオンは熱運動で拡散しているため、固体表面の近傍では対イオンの密度が高く、遠ざかるにつれて次第に低下していくようなイオン分布(イオン雰囲気)、つまり拡散電気二重層を形成する。拡散電気二重層中で、特に固体表面近傍では対イオンが強く引き寄せられ、固体表面に固定されているシュテルン層と呼ばれる層が存在し、またシュテルン層の外側にあるイオン雰囲気は拡散層と呼ばれる。一般に固体微粒子表面の電位は、固体表面に近いほうから表面電位、シュテルン層中心面のシュテルン電位、更に本発明で定義されるゼータ電位(シュテルン層と拡散層との境界面に近い滑り面における電位(滑り面:固体粒子が電気泳動する際に、固体微粒子表面、シュテルン層の移動度に比べ、滑り面より外側の拡散層は遅れて運動する。))に分類される。ゼータ電位は、例えば、電気泳動型光散乱光度計 ELS−8000(大塚電子株式会社製)等を用いて容易に測定することができ、測定値の絶対値が増加するほど粒子間の反発が強くなり、固体粒子の分散安定性がよくなる。
【0036】
(水溶性樹脂又は水分散性樹脂)
本発明で使用される水溶性樹脂又は水分散性樹脂としては、例えば、ゼラチン、カゼイン及びそれらの変性物、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、完全又は部分ケン化のポリビニルアルコール又はその変性物(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性等)、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、エピクロルヒドリン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸又はその共重合体、アクリルアミド系樹脂、無水マレイン酸系共重合体、ポリエステル系樹脂、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス及びこれらの各種重合体ラテックスにカチオン性基又はアニオン性基を付与した官能基変性重合体ラテックス類等が挙げられる。これらのなかでも、好ましいのは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールで、平均重合度が300〜5,000のものである。ケン化度は70〜100%未満のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。また、これらの水溶性樹脂又は水分散性樹脂は単独或いは複数種混合して用いることができる。
【0037】
また、前記アルミナ水和物と、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂の混合質量比は、好ましくは、アルミナ水和物:水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂=1:1〜30:1、より好ましくは3:1〜20:1の範囲である。水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂の量がこれらの範囲内であれば、形成されたインク受理層のひび割れや粉落ちが発生し難くなり、インク吸収性も良いものとなる。
【0038】
(チオジプロピオン酸)
次に、本発明において使用されるチオジプロピオン酸の構造を下記一般式(2)に示す。
Figure 0003943012
【0039】
上記チオジプロピオン酸は、遊離酸(未中和)のまま用いてもよく、また、塩として用いてもよい。チオジプロピオン酸と塩を形成する塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の金属原子を含む無機化合物や、アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
【0040】
(トコフェロール誘導体)
次に、本発明において使用されるトコフェロール誘導体の構造を下記一般式(3)に示す。下式中、R1は、水素原子、アシル基又はメシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)を表わし、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表わす。また、下記一般式(3)で表わされるトコフェロール誘導体は、D体及びL体を包含しており、それぞれの誘導体は単独又は複数種を混合して使用することができる。
Figure 0003943012
【0041】
一般式(3)で表わされるトコフェロール誘導体として、具体的には、以下のような化合物が挙げられる。尚、本発明で使用できる化合物は以下の化合物に限定されるものではない。
Figure 0003943012
【0042】
また、チオジプロピオン酸(塩)及びトコフェロール誘導体の総添加量は、前記アルミナ水和物に対して1〜20質量%であることが好ましい。使用量が1質量%未満では、目的とする耐ガス性と耐光性の効果を十分得ることができない場合がある。また、使用量が20質量%を超える場合には、インクの吸収性を悪化させる場合がある。
【0043】
更に、チオジプロピオン酸(塩)及びトコフェロール誘導体の混合質量比は、好ましくはチオジプロピオン酸(塩):トコフェロール誘導体=9:1〜1:9の範囲である。チオジプロピオン酸(塩)とトコフェロール誘導体の混合質量比がこの範囲内である場合、大気中の酸性ガス及び光による画像の退色や変色を効果的に防止できると同時に、写真画質において重要であるシアンの色調変化を抑制することができる。
【0044】
(カチオン性樹脂)
また、本発明では必要に応じてカチオン性樹脂を併用することができる。カチオン性樹脂は、一般に被記録媒体に形成された画像の耐水性を改善する目的で染料固着剤として使用される。このような染料固着剤はアニオン性の基を持つ染料分子と塩を形成し、水に対して不溶化することで画像の耐水性を向上させる。
【0045】
本発明で使用可能なカチオン性樹脂は、水に溶解したとき解離してカチオン性を呈する1級〜3級アミン又は4級アンモニウム塩のオリゴマーないしポリマーである。特に、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、或いはこれらを主なブロックとして含む共重合物であることが好ましい。
【0046】
上記のカチオン性樹脂の高分子鎖中のモノマー配列は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、マルチブロック共重合体等の何れの構造でもよい。また、特に分子量や分子量分布も限定されるものではないが、水溶液にした時の粘性を考慮すると、平均分子量は5,000〜200,000が好ましい。
【0047】
カチオン性樹脂を使用する場合の使用量としては、前記無機顔料に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。使用量が0.1質量%より少ない場合には、耐水性に対して効果がなく、また、使用量が10質量%より多い場合には、インク受理層を形成するための塗工液粘度の経時変化が大きくなり、塗工安定性が劣る場合があるほか、画像の色調が全体的に変わってしまったり、耐光性を低下させるおそれがあるからである。
【0048】
(ホウ素化合物)
また、本発明においては、前記カチオン性樹脂と同様に、ホウ素化合物を併用してもよい。本発明で使用するホウ素化合物とは、ホウ酸若しくはホウ酸塩等のようなホウ素原子を中心とした酸素酸又はその塩であり、具体的には、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。
【0049】
一般に、ホウ酸は、親水性ポリマーによって形成される皮膜の造膜性、耐水性及び皮膜強度を改善するための硬膜剤として使用される。硬膜剤は、使用するポリマーが持つ反応性基の種類によって様々なものが選択されるが、例えば、ポリビニルアルコール系の樹脂であれば、エポキシ系硬膜剤や、ホウ酸或いは水溶性アルミニウム塩等の無機系硬膜剤が用いられる。しかし、本発明におけるホウ素化合物の役割は、支持体上に形成されたインク受理層中に含有させた場合に、画像の退色防止効果及び変色防止効果を増大させることにあり、硬膜剤としての作用に限定した用途とは異なる。
【0050】
本発明におけるホウ素化合物の使用量は、画像の退色及び変色防止に対する相乗効果と、良好な塗工安定性とを両立させるために、前記アルミナ水和物に対して0.5〜5質量%とすることが好ましく、1〜5質量%とすることがより好ましい。使用量が0.5質量%未満である場合は、基材上に形成されるインク受理層がひび割れる等の不具合が生じる場合がある。また、5質量%を超える場合には塗工液がゲル化したり、塗工安定性が悪くなる場合がある。
【0051】
(塗工液)
本発明の被記録媒体は、無機顔料、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂、チオジプロピオン酸又はその塩、及びトコフェロール誘導体という必須成分、及びその他の任意成分を、必要に応じた量の水性媒体とともに混合して塗工液を調製し、これを支持体の表面に塗布し乾燥させてインク受理層を形成することで得られる。
【0052】
本発明の被記録媒体の構成としては、支持体上に1層以上のインク受理層を設けたもの、更にチオジプロピオン酸(塩)及びトコフェロール誘導体を、インク受理層上にオーバーコートしたもの、或いは塗工液を支持体表面に微量塗工してインク受理層を形成させた構成等が選択できる。本発明では、これらの構成も「支持体の表面にインク受理層が形成された」ものとして包含する。
【0053】
塗工液の水性媒体としては、水又は水に混合可能な有機溶剤との混合溶液であれば特に制限はない。水に混合可能な有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。
【0054】
インク受理層を形成するための塗工液中の固形分濃度は、基材上にインク受理層を形成できる程度の粘度であれば特に制限はないが、塗工液全質量に対して5〜50質量%が好ましい。固形分濃度が5質量%未満の場合は、インク受理層の膜厚を厚くするのに塗工量を増やす必要があり、乾燥に多くの時間とエネルギーを必要とすることから非経済的となる場合がある。また、50質量%を超えると塗工液の粘度が高くなり、塗工性が低下する場合がある。
【0055】
また、前記塗工液には、本発明の効果を妨げない範囲内で各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、インク定着剤、ドット調整剤、着色剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤等を挙げることができる。
【0056】
調製された塗工液を基材上に塗布する方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えば、ブレードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、スロットダイコーティング法、バーコーティング法、グラビアコーティング法、ロールコーティング法等が挙げられる。これらの方法により塗工した後、熱風乾燥機、熱ドラム、遠赤外線乾燥機等の乾燥装置を用いて乾燥することで、インク受理層を形成することができる。尚、インク受理層は、無機顔料その他の必須成分、及びその他の添加剤の組成比を変更して形成してもよく、基材の片面若しくは両面に形成することも可能である。また、画像の解像度及び搬送性等を向上させる目的で、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の装置を用いて平滑化処理してもよい。
【0057】
塗工液の支持体上への塗工量として好ましい範囲は、固形分換算で0.5〜60g/m2であり、より好ましい範囲は5〜55g/m2である。塗工量が0.5g/m2未満の場合は、形成されたインク受理層がインクの水分を十分に吸収できず、インクが流れたり、画像が滲んだりする場合があり、60g/m2を超えると、乾燥時にカールが発生したり、印字性能に期待されるほど顕著な効果が現れない場合がある。
【0058】
以上の如き本発明の被記録媒体が、印字品位に優れ、ガスや光による画像の退色や変色を防止すると同時に、シアンの色調変化を効果的に抑制した理由については明確ではないが、おそらくチオジプロピオン酸(塩)とトコフェロール誘導体との間で何らかの相互作用が生じ、このような効果を発現したものと考えられる。
【0059】
尚、本発明の被記録媒体に記録する際に使用するインクは特に限定されないが、色材として染料又は無機顔料を使用し、媒体として水と水溶性有機溶剤との混合物を使用し、該媒体に染料又は顔料を溶解又は分散させた一般的なインクジェット記録用の水性インクを使用することが好ましい。
【0060】
前記被記録媒体に上記インクを付与して画像形成を行う方法としては、インクジェット記録方法が特に好適であり、このインクジェット記録方法としてはインクをノズルより効果的に離脱させて、被記録媒体にインクを付与し得る方法であれば如何なる方法でもよい。特に特開昭54−59936号公報等に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット方式は有効に使用することができる。
【0061】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。尚、以下の実施例中、「部」及び「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
<アルミナ水和物の製造>
米国特許第4,242,271号明細書に記載された方法でアルミニウムドデキシドを製造した。次に、米国特許第4,202,870号明細書に記載された方法で、前記アルミニウムドデキシドを加水分解してアルミナスラリーを製造した。このアルミナスラリーを、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物固形分が7.7%になるまで水を加えた。アルミナスラリーのpHは9.4であった。次いで、3.9%の硝酸溶液を加えてpHを6.0に調整した。
【0062】
次に、オートクレーブを用いて、熟成温度:150℃、熟成時間:6時間にて熟成を行い、コロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを、入口温度87℃でスプレードライしてアルミナ水和物粉末としたが、得られた粉末は粒子形状が平板状で、結晶構造がベーマイト構造であるアルミナ水和物であった。更に、イオン交換水中に、前記ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を19%混合することにより、アルミナ水和物分散液Aを調製した。
【0063】
前記方法で得られたアルミナ水和物分散液Aを、超音波ホモジナイザーMUS−600CCVP−12((株)日本精機製作所製)を用いて再分散後、遠心分離操作により粗大粒子を取り除き、イオン交換水を加えることで濃度17%のアルミナ水和物分散液Bを調製した。得られたアルミナ水和物分散液Bの平均粒径と多分散指数は、レーザー粒径解析装置PARIII(大塚電子(株)製)を用いて測定し、ゼータ電位はレーザーゼータ電位計ELS−6000(大塚電子(株)製)を用いて測定した。その結果、平均粒径は178.5nm多分散指数は0.1143であり、pH=4.2におけるゼータ電位は+58.6mVであった。
【0064】
<被記録媒体1の作製>
アルミナ水和物分散液Bを100部(固形分17部)に、3%ホウ酸水溶液を固形分換算で0.51部(アルミナ水和物に対して3%)及びスミレーズレジン1001(アクリルアミド−ジアリルアミン塩酸塩共重合体、住友化学(株)製)を固形分換算で0.17部(アルミナ水和物に対して1%)加えたものと、ポリビニルアルコール(PVA−235、(株)クラレ製、ケン化度88%、重合度3,500)1.7部(固形分)を水15.3部に溶解したものを混合して塗工液を調製した。次に、ポリエチレン被覆紙(JIS−P8142による75度鏡面光沢度が77.9%)を支持体とし、この支持体上に先程調製した塗工液を、乾燥塗布量35g/m2となるようにバーコート法にて塗工し、インク受理層を形成させた。次に、抽出混合トコフェロール(三共(株)製)と、チオジプロピオン酸の10%メタノール溶液(抽出混合トコフェロールとチオジプロピオン酸の質量比1:3)をアルミナ水和物に対して固形分換算で5%添加されるように、前記で作製したインク受理層上にオーバーコートを行い、被記録媒体1を作製した。
【0065】
<被記録媒体2の作製>
被記録媒体1の作製において、抽出混合トコフェロールを使用する替わりに、DL−α−トコフェロール(東京化成工業(株)製)用いた以外は、被記録媒体1と同様にして被記録媒体2を作製した。
【0066】
<被記録媒体3の作製>
被記録媒体1の作製において、抽出混合トコフェロールとチオジプロピオン酸の混合比率を3:1に替えた以外は、被記録媒体1と同様にして被記録媒体3を作製した。
【0067】
<被記録媒体4の作製>
被記録媒体1の作製において、抽出混合トコフェロールを使用せず、チオジプロピオン酸の添加量をアルミナ水和物に対して5%とした以外は、被記録媒体1と同様にして被記録媒体4を作製した。
【0068】
<被記録媒体5の作製>
被記録媒体1の作製において、チオジプロピオン酸を使用せず、DL−α−トコフェロールの添加量をアルミナ水和物に対して5%とした以外は、被記録媒体1と同様にして被記録媒体5を作製した。
【0069】
<被記録媒体6の作製>
被記録媒体1の作製において、抽出混合トコフェロールとチオジプロピオン酸をオーバーコートしなかった以外は、被記録媒体1と同様にして被記録媒体6を作製した。
【0070】
<評価1:ガスによる退色・変色抑制効果についての評価方法>
オゾン暴露による退色・変色を、インクジェット記録装置(BJ F870、キヤノン(株)製)を用いてブラック(Bk)インク及びシアン(C)インクを単色で、且つインク量100%でベタ印字した被記録媒体をオゾン暴露試験機(スガ試験機社製、特注品)に入れて、40℃・55%RHの条件下で濃度1ppmのオゾンに4時間暴露し、Bkインク画像及びCインク画像の光学濃度を光学反射濃度計(グレタマクベス社製、RD−918)を用いて測定し、下記式(A)より残OD率を算出し、下記のように評価した。
残OD率=(試験後のOD/試験前のOD)×100%・・・(A)
○:残OD率が90%以上であった。
△:残OD率が80%以上、90%未満であった。
×:残OD率が80%未満であった。
【0071】
<評価2:光による退色・変色抑制効果についての評価方法>
インクジェット記録装置(BJ F870、キヤノン(株)製)を用いてBkインク及びマゼンタ(M)インクを単色で、且つインク量100%でベタ印字した被記録媒体を、アトラスフェードオメーター(条件;波長340nmにおける照射強度0.39W/m2、温度45℃、湿度50%)に投入し、100時間後にBkインク画像及びMインク画像の光学濃度を光学反射濃度計(グレタマクベス社製、RD−918)を用いて測定し、上記の式(A)より残OD率を算出し、評価1と同様に3段階評価を行った。
【0072】
<評価3:シアンの色調変化についての評価法>
オーバーコートを行わなかった被記録媒体5に、BJ F870を用いてCをインク量100%でベタ印字を行い、測色色差計ZE2000(日本電色工業(株)製)を用いてCインク画像のL***(CIEにより規定されている色差表示法のL***表色系の座標)を測定し、この値を基準として、その他の被記録媒体に印字したCインク画像のL***との差を、下記式(B)で定義されるΔE*を用いて以下のように3段階で評価した。
ΔE*=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2・・・(B)
(式中、ΔL*、Δa*、及びΔb*は、被記録媒体1に印字したCインク画像とその他の被記録媒体に印字したCインク画像における、L***表色系のL*、a*、及びb*の座標のそれぞれの差を意味する。)
○:ΔE*が10未満であった。
△:ΔE*が10以上、20未満であった。
×:ΔE*が20以上であった。
【0073】
<評価4:インク吸収性についての評価法>
被記録媒体にBJ F870でCインク、イエロー(Y)インクをそれぞれ打ち込み量100%とした、総打ち込み量200%のグリーン(G)インクをベタ印字した際のインク吸収性を目視により、ビーディング(インクジェットプリンターで記録する場合に、インク吸収性が不足していると、被記録媒体に付着したインク液滴同士が被記録媒体表面で融合して、色ムラのある画像ができる現象を言う)の有無で評価した。
○:ビーディングが発生しなかった。
×:ビーディングが起きていた。
【0074】
<実施例1>
被記録媒体1を用いて上記評価1〜評価4を行った。結果を下記表1に示す。
【0075】
<実施例2>
被記録媒体2を用いて上記評価1〜評価4を行った。結果を下記表1に示す。
【0076】
<実施例3>
被記録媒体3を用いて上記評価1〜評価4を行った。結果を下記表1に示す。
【0077】
<比較例1>
被記録媒体4を用いて上記評価1〜評価4を行った。結果を下記表1に示す。
【0078】
<比較例2>
被記録媒体5を用いて上記評価1〜評価4を行った。結果を下記表1に示す。
【0079】
<比較例3>
被記録媒体6を用いて上記評価1〜評価4を行った。結果を下記表1に示す。
【0080】
Figure 0003943012
【0081】
以上の実施例及び比較例から明らかなように、チオジプロピオン酸(塩)及びトコフェロール誘導体をインク受理層に同時に含有した被記録媒体に画像を記録した場合に、印字直後のシアンの色調変化を防止し、且つガス、及び光による画像の変色及び退色を長期間に渡り効果的に防止することができた。
【0082】
【発明の効果】
インク受理層に、ベーマイト構造、又は擬ベーマイト構造であるアルミナ水和物、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂、チオジプロピオン酸(塩)及びトコフェロール誘導体を含有させることで、画像濃度が高く、インク吸収性に優れ、銀塩写真と同等の画質を有し、大気中の酸性ガス及び光による画像の退色や変色を防止すると同時に、シアンの色調変化が少ない被記録媒体とすることができた。

Claims (6)

  1. 支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも1層のインク受理層を設けた被記録媒体において、該インク受理層が、無機顔料、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂、チオジプロピオン酸又はその塩、及びトコフェロール誘導体を含有することを特徴とする被記録媒体。
  2. チオジプロピオン酸又はその塩、及びトコフェロール誘導体の総添加量が、無機顔料に対して1〜20質量%である請求項1に記載の被記録媒体。
  3. 前記無機顔料が、ベーマイト構造又は擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物である請求項1又は請求項2に記載の被記録媒体。
  4. 前記アルミナ水和物の水分散体のpH=3.5〜4.5におけるゼータ(ζ)電位が、+40mV以上である請求項3に記載の被記録媒体。
  5. 前記インク受理層が、更に、ホウ素化合物を含有する請求項1から4の何れか1項に記載の被記録媒体。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載の被記録媒体からなるインクジェット記録用被記録媒体。
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