JP3943006B2 - 燃料供給デバイス集積構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、燃料電池車両の燃料電池システム等に用いられる燃料供給デバイス集積構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムの中には燃料電池に燃料ガスとしての水素ガスを供給する水素ガス供給流路に、燃料電池から排出される水素ガスの排出ガスである水素オフガスをエゼクタを介して合流させる構造のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−30075号公報
【0004】
このような燃料電池システムによれば、酸化剤ガスである空気と燃料ガスである水素ガスを多めに供給することにより反応によって不可避的に生ずる生成水の排出性向上を図る一方で、供給量を増加した分だけ増加する未反応の水素ガスを再利用するため、エゼクタ等を利用して水素ガスの排出ガスを循環させている。
ここで、エゼクタは流路に流れ込むガス流を利用して負圧室に接続された導入路から他のガスを引き込むようにして合流させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこのような燃料電池システムを車両に搭載しようとした場合には、搭載される燃料電池システムの大きさが車室内スペースに大きな影響を与えるためできるだけコンパクトにする必要がある。
また、燃料電池システムが大きなものとなれば、それだけ系内にある水素ガスの容積が増加するため水素ガスが多く必要となり燃費が悪化する。
そこで、この発明は、小型化を図ることができる燃料供給デバイス集積構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項に記載した発明は、水素供給源(例えば、実施形態における水素タンク4)から水素供給流路(例えば、実施形態における水素ガス供給流路5)上に配置された調圧弁(例えば、実施形態における調圧弁7)により調圧された燃料ガスが、エゼクタ(例えば、実施形態におけるエゼクタ11)を経由して加湿器(例えば、実施形態における加湿器18)に、あるいは前記エゼクタをバイパスするバイパス流路(例えば、実施形態におけるエゼクタバイパス流路14)上に配置されたエゼクタバイパス調圧弁(例えば、実施形態におけるエゼクタバイパス調圧弁15)を経由して前記加湿器に供給されて燃料電池において発電に供され、前記燃料電池から排出される燃料ガスの排出ガスが燃料ガス循環流路(例えば、実施形態における水素オフガス循環流路8)上に配置された逆止弁(例えば、実施形態における逆止弁10)を経由して前記エゼクタに合流する燃料電池システムの燃料供給デバイス集積構造であって、前記加湿器の入口側を構成するインレットブロックの略中央部に前記エゼクタを取り付けると共に、このエゼクタを跨ぐ位置に前記調圧弁と前記エゼクタバイパス調圧弁と前記逆止弁を振り分けて配置して前記インレットブロックに接続固定したことを特徴とする。
このように構成することで、前記加湿器の入口側を構成する前記インレットブロックを前記調圧弁、前記エゼクタ、前記エゼクタバイパス調圧弁、前記逆止弁の連結用及び流路形成用部材として有効利用すると共に比較的大型の部品であり前記加湿器に対して燃料ガスを供給する前記エゼクタを前記加湿器に対して直接的に最短経路で接続することが可能となる。
【0008】
請求項に記載した発明は、前記水素供給流路、前記バイパス流路及び前記循環流路がインレットブロックに形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、前記調圧弁、前記エゼクタ、前記エゼクタバイパス調圧弁を固定する部材として機能する前記加湿器の前記インレットブロックに上記機器類の接続用配管としての機能を持たせることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1は車載用の燃料電池システムを示す概略図である。
燃料電池(FC)1は、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟持し更にセパレータで挟持したセルを複数積層して構成されている。アノード電極に燃料ガスとして水素ガスを供給し、カソード電極に酸化剤ガスとして酸素を含む空気を供給すると、アノード電極で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を通過してカソード電極まで移動し、カソード電極で酸素と電気化学反応を起こして発電し、水が生成される。
【0010】
空気はスーパーチャージャーなどのコンプレッサ(S/C)2により所定圧力に昇圧されて燃料電池1のカソード電極に空気供給流路16から供給され、反応後には燃料電池1から空気オフガスとして空気オフガス流路17から調圧弁3を経由して排出される。
一方、高圧の水素タンク(H2)4から供給される水素ガスは、水素ガス供給流路(燃料供給流路)5の途中に設けられた遮断弁6を経由して、調圧弁(機器)7によって所定圧力に減圧されて燃料電池1のアノード電極に供給される。燃料電池1に供給された水素ガスは発電に供された後、燃料電池1から水素オフガスとして水素オフガス循環流路(循環流路)8に排出される。
【0011】
水素オフガス循環流路8は、調圧弁7よりも下流の水素ガス供給流路5に後述するエゼクタ(機器)11を介して接続され、水素オフガス循環流路8の途中には逆止弁(機器)10が設けられている。燃料電池1から排出された水素オフガスは、逆止弁10を通って水素ガス供給流路5にエゼクタ11を介して合流するようになっており、これにより水素オフガスは、水素タンク4から供給される新鮮な水素ガスと混合されて、再び燃料電池1のアノード電極に供給される。
【0012】
ここで、水素オフガス循環流路8には分岐流路19が設けられ、この分岐流路19には排出弁20が設けられている。
また、前記水素ガス供給流路5にはエゼクタ11をバイパスするエゼクタバイパス流路14が設けられ、このエゼクタバイパス流路14にはエゼクタバイパス調圧弁(機器)15が設けられている。このエゼクタバイパス流路14はエゼクタ11を通過する以上の大流量で水素ガスを燃料電池1に送り込みたい場合等に使用するものである。
【0013】
エゼクタ11の下流側には燃料電池1の手前側に、燃料電池1に供給される水素ガスを加湿する加湿器18が設けられている。この加湿器18は供給される水素ガスを適度に湿潤させた状態にして、固体高分子電解質膜を保護すると共に発電が効率良く行われるようにしたものである。
ここで、前記調圧弁7とエゼクタバイパス調圧弁15は、コンプレッサ2の下流側の空気供給流路16のパイロット圧力に応じて作動するようになっている。
【0014】
図2はこの発明の実施形態の水素ガス供給デバイス集積構造を示す概略斜視図、図3は図2の側面説明図である。
上述した燃料電池システムを車載するにあたっては、車室内スペースを広く確保するためにできるだけシステムの占有スペースを少なくする必要がある。
また、燃料電池システムにおいて上述した機器(デバイス)類を接続する配管の配索長さが長いと、水素タンク4から供給されてはいるが発電に利用されない配管内の滞留ガス量が増加して燃費悪化の原因となる。
そこで、この実施形態では以下のように代表的な機器類を集積した構造を採用することで小型化を図るようにしている。
【0015】
図2、図3において、水素ガス供給流路5に設けられた加湿器18には、入口側に厚板状のインレットブロック21が設けられている(図1では省略する)。
このインレットブロック21は加湿器18のエンドプレートを構成すると共に、前記水素ガス供給流路5、エゼクタバイパス流路14、及び水素オフガス循環流路8が形成されるものである。
インレットブロック21の略中央部にはエゼクタ11が取り付けられ、このエゼクタ11を跨ぐ位置に燃料電池1の燃料給排に関与する機器類が配置されインレットブロック21に直接的に接続固定されている。
【0016】
具体的にはエゼクタ11を跨ぐ位置に、下側に調圧弁7が上側にエゼクタバイパス調圧弁15が、右横に逆止弁10が振り分けられた状態で配置され、インレットブロック21に直接的に接続固定されている。調圧弁7には遮断弁6が直結され、この遮断弁6には水素ガス供給流路5である配管が接続されている。
ここで、図3に模式的な経路を含めて示すように、前記インレットブロック21の内部には調圧弁7からエゼクタ11までの間の水素ガス供給流路5、エゼクタバイパス調圧弁15の上下流のエゼクタバイパス流路14、エゼクタ11から加湿器18までの間の水素ガス供給流路5、逆止弁10からエゼクタ11までの間の水素オフガス循環流路8が形成されている。尚、図1においては鎖線で示す範囲がインレットブロック21内部に形成されている部位を示している。
【0017】
上記実施形態によれば、調圧弁7により調圧された水素タンク4からの水素ガスが、エゼクタ11を経由して加湿器18に、あるいはエゼクタ11をバイパスしエゼクタバイパス流路14からエゼクタバイパス調圧弁15を経由して加湿器18に供給されて燃料電池1において発電に供され、燃料電池1から排出される水素オフガスが逆止弁10を経由して水素オフガス循環流路8からエゼクタ11に合流する。
【0018】
ここで、加湿器18の入口側を構成するインレットブロック21を調圧弁7、エゼクタ11、エゼクタバイパス調圧弁15、逆止弁10の連結用及び流路形成用部材として有効利用すると共に比較的大型の部品であり加湿器18に対して水素ガスを供給するエゼクタ11を加湿器18に直接的に最短経路で接続することが可能となるため、配管経路が少なくなり系内の水素ガス容量を最小限に抑えて燃費向上に寄与することができると共に、調圧弁7、エゼクタバイパス調圧弁15、逆止弁10をエゼクタ11を跨いで振り分けるようにして配置することで突出部分が少なく小型化して配置することができる。
とりわけ、加湿器18に対して直接的に最短経路で接続されたエゼクタ11によりロスを少なく燃料ガスの供給を行うことができる。
【0019】
ここで、エゼクタ11はインレットブロック21の略中央部に配置されているため、例えば、加湿性能を確保するため加湿器18を複数設けた場合であっても、略中央部に位置する1つのエゼクタ11から均等に複数の加湿器18に水素ガスを供給することができ、したがって加湿器18を複数配置した場合であっても対応できる等設計の自由度を高めることができる。
また、調圧弁7、エゼクタ11、エゼクタバイパス調圧弁15、逆止弁10を固定する部材として機能する加湿器18のインレットブロック21に上記機器類を最短距離で接続する配管としての機能を持たせることが可能となるため、部品点数が少なくなり小型化できると共に、接続部及びシール点数が少なくなり機密性を高く確保できる。
【0020】
その結果、燃料電池1自体でも配置場所に大きな制限がある車載用として使用される燃料電池システムに適用した場合には、車室内スペースに与える影響を最小限に抑えて少ないスペースでも搭載が可能となる。
【0021】
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、インレットブロック21に直接的に接続固定される燃料電池1の燃料給排に関与する機器類は上記エゼクタ11,調圧弁7、エゼクタバイパス調圧弁15、逆止弁10に限られず、インレットブロック21に流路が形成可能であるならば他の機器類を接続固定することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項に記載した発明によれば、加湿器の入口側を構成するインレットブロックを調圧弁、エゼクタ、エゼクタバイパス調圧弁、逆止弁の連結用及び流路形成用部材として有効利用すると共に比較的大型の部品であり前記加湿器に対して燃料ガスを供給する前記エゼクタを前記加湿器に対して直接的に最短経路で接続することが可能となるため、配管経路が少なくなり系内の燃料ガス量を最小限に抑えて燃費向上に寄与することができると共に、前記調圧弁、前記エゼクタバイパス調圧弁、前記逆止弁を前記エゼクタを跨いで振り分けるようにして配置することで突出部分少なくして小型化を図ることができる効果がある。
【0024】
請求項に記載した発明によれば、調圧弁、エゼクタ、エゼクタバイパス調圧弁、逆止弁を固定する部材として機能する加湿器のインレットブロックに上記機器類を最短距離で接続する配管としての機能を持たせることが可能となるため、部品点数が少なくなり小型化できると共に、接続部及びシール点数が少なくなり機密性を高く確保できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態の車載用の燃料電池システムを示す概略図である。
【図2】 この発明の実施形態の水素ガス供給デバイス集積構造を示す概略斜視図である。
【図3】 図2の側面説明図である。
【符号の説明】
1 燃料電池
5 水素ガス供給流路(燃料供給流路)
7 調圧弁(機器)
8 水素オフガス循環流路(循環流路)
10 逆止弁(機器)
11 エゼクタ(機器)
15 エゼクタバイパス調圧弁(機器)
18 加湿器
21 インレットブロック

Claims (2)

  1. 水素供給源から水素供給流路上に配置された調圧弁により調圧された燃料ガスが、エゼクタを経由して加湿器に、あるいは前記エゼクタをバイパスするバイパス流路上に配置されたエゼクタバイパス調圧弁を経由して前記加湿器に供給されて燃料電池において発電に供され、前記燃料電池から排出される燃料ガスの排出ガスが燃料ガス流路上に配置された逆止弁を経由して前記エゼクタに合流する燃料電池システムの燃料供給デバイス集積構造であって、前記加湿器の入口側を構成するインレットブロックの略中央部に前記エゼクタを取り付けると共に、このエゼクタを跨ぐ位置に前記調圧弁と前記エゼクタバイパス調圧弁と前記逆止弁を振り分けて配置して前記インレットブロックに接続固定したことを特徴とする燃料供給デバイス集積構造。
  2. 前記水素供給路、前記バイパス流路及び前記循環流路がインレットブロックに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給デバイス集積構造。
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