JP3942863B2 - 無線通信システム、通信プログラム、及び通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

無線通信システム、通信プログラム、及び通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一つの制御局とその他複数の被制御局から構成される無線通信システムにおいて、その無線通信システムが動作している中でも新たな機能を提供する制御局が動作することを可能とする無線通信システム、通信プログラム、及び通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、DVDやBSデジタル放送などの登場により、DVDプレーヤやBSデジタルチューナーなどの映像ソースとテレビやディスプレイ間のデジタルデータ伝送をはじめとして、より高度な家庭内デジタルネットワークシステムの登場が期待されている。
【0003】
このような家庭内デジタルネットワークシステムを実現する有力候補の一つとして、IEEE802.11システムがある。既存のIEEE802.11システムは、もともとコンピュータ向けの無線通信システムであり、インターネットプロトコルに代表されるベストエフォート型のデータ転送が主目的であったため、映像等に代表されるようなデータは遅延に厳しいようなリアルタイム型データの伝送を行う場合、十分な性能が得られない場合がある。
【0004】
そのため、このようなリアルタイム型データの伝送にも耐えられるように拡張するべく、QoSサポートへの試みが多方面でなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、QoSサポートを実現するためには、帯域や遅延管理などのリソースを管理する主体(ここでは単に制御局とする)が必要となる。IEEE802.11システムの場合、アクセスポイントと呼ばれる制御局に相当する主体の制御下で実現されるネットワーク(インフラストラクチャネットワーク)と制御の主体が存在せず分散的な制御により実現されるアドホックネットワーク(IBSS)が存在する。
【0006】
インフラストラクチャネットワークにおいて、従来のアクセスポイントを機能拡張することを前提にしてQoSサポートを行うことは容易に行える。しかしながら、QoSをサポートしない従来のIEEE802.11対応アクセスポイントは既に市場に出回っており、QoSサポートを行うためにアクセスポイントの置き換えが必要というのではユーザに対して大きな負担となることは明らかである。
【0007】
また、アクセスポイントのような高機能な装置を用意することなくリアルタイムデータを伝送したいという要求も多い。そのためアクセスポイントの存在しないIBSSにおいてもQoSを実現するためには、新規にQoSサポート制御局を設ける必要がある。
【0008】
すなわち、本発明の目的は、既存のアクセスポイントやIEEE802.11端末が動作しているネットワークにおいて、既存の機器に何ら変更を加えることなく、QoSサポートを行う端末と従来の端末とが共存可能とすることにある。より詳細には、本発明は、以下の課題を解決するためになされたものである。
(1)異なる機能の制御局の混在について
既存システム内でQoSサポートを実現するためには、QoS制御局は既存システムの制御局に対しては1つの既存端末として動作しつつ、かつ、QoSをサポートするための制御局としても機能しなければならない。このため起動時に既存システムの制御局が動作していることを認識し、かつ、QoS制御局の動作も認識する必要がある。
【0009】
例えば、IEEE802.11の場合、アクセスポイント(インフラストラクチャネットワーク動作時)もしくは各端末(アドホックネットワーク動作時)が常にビーコンを送信することにより、ネットワークの存在を知らしめているが、複数のタイプの制御局が存在する場合には対応できないという問題がある。
(2)制御局の停止について
一般的な家電機器においては、ユーザが動作状態に関わらず電源オフする可能性が十分考えられるので、制御局の緊急停止に代替制御局がスムーズに起動開始できることが望ましい。
【0010】
例えば、特開平11−8585号公報では、現在、制御局として動作している端末機器が次の制御局候補の端末機器を選択し、現行制御局としての端末機器と次の制御局候補の端末機器との間で制御データをやり取りすることにより、制御局の交代を実施する。しかしながら、上述の従来技術では、現行の制御局としての端末機器が緊急停止した場合は制御局の交代に必要な制御データのやり取りが実施できないという問題点を有している。
【0011】
また、異なる例として、ワイヤレス1394システム(ARIB STD−T72)などにおいては、制御局に相当するハブステーションが緊急停止した場合の対処方法が規定されている。
【0012】
これによれば、自身が停止した場合に備え、あらかじめネットワークに参加している各端末にそれぞれ起動開始順の優先順位を与え、被制御局は、ハブステーションが停止したと判断したときに、与えられた優先順位に従って、制御局としての起動を試みる。
【0013】
ただし、この従来技術では、より確実に同時起動を防止するためには、ハブ対応ステーションが参加するたびに、優先順位を与え、制御パケット(ビーコンとは異なるパケット)を送信しなおす必要がある。このように優先順位を付与するための制御データを送信するために別途回線が必要となり、回線の使用効率が低下するという問題点を有している。
(3)混信回避について
QoSサポートを行う制御局は、例えば、ビデオカメラなど容易に移動できるような装置に組み込まれるケースも十分考えられる。そのため、同じ機能を備えた複数のQoS制御局が最初は全く異なるエリアで動作していても、それらの端末が移動することにより、両者が同一のエリアで動作し、エリアが重なる可能性が高い。そのような状況下では、例えば、複数の制御局が相互に無関係でリソース(ネットワーク内の帯域やコネクションの許可時間や遅延管理等)を割り当てるため、被制御局が期待通りにデータを送信できなくなるという問題を招来していた。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線通信システムは、上記の課題を解決するために、主制御局と、上記主制御局の制御下で動作する複数の被主制御局と、上記被主制御局のうちの一つであって、新たな機能を提供するための制御局として動作する従制御局と、上記従制御局の制御下で動作する複数の被従制御局とを備え、上記の各制御局は、システムの動作モードに応じたビーコンを定期的に送信システム内の端末が、起動したあと、上記主制御局が送信する主ビーコンと上記従制御局が送信する従ビーコンとを検出し、この検出結果に基づいてシステムの動作モードを決定するものである。
【0015】
上記の発明によれば、上記主制御局の制御下で複数の被主制御局が動作しており、このうちの一つが、新たな機能を提供するための制御局として動作する従制御局となる。この従制御局の制御下で複数の被従制御局が動作している。そして、これらの制御局は、システムの動作モードに応じたビーコンを定期的(周期的)にそれぞれ送信している。
【0016】
上記従制御局が新たな機能を提供するとき(たとえば、QoSサポートを行う端末として機能するとき)、主制御局が送信する主ビーコンと上記従制御局が送信する従ビーコンとが上記の各制御局によって検出される。そして、各制御局は、上記の検出結果に基づいてシステムの動作モードを判定する。
【0017】
以上のように上記発明によれば、主制御局が送信する主ビーコンと上記従制御局が送信する従ビーコンとを検出してシステムの動作モードを決定する機能を上記の各制御局が備えているので、主制御局の機能を拡張したり、別途新たに専用の制御局を設けたりすることなく、主・従2つのタイプの制御局を一つの無線通信システム内に混在(共存)させて新しい機能を提供することが可能となる。
【0018】
システム内において、主制御局と従制御局の双方の制御局として動作している制御局は、上記主ビーコンと上記従ビーコンとを一つのパケットにまとめて送信することが好ましい。この場合、2つのビーコン(主ビーコンと従ビーコン)が一つのパケットで送信されるので、その分、必要な帯域が削減され、これにより、帯域の有効活用(回線効率のより有効な利用)が可能となる
【0019】
上記の各制御局は、複数の周波数チャネルのうち空き周波数チャネル上で動作することが好ましい。
【0020】
上記の各制御局は、上記ビーコン中の端末識別子に基づいて複数の周波数チャネルから選択した周波数チャネル上で動作し、既知の端末が制御局として動作している場合にはその周波数チャネル上で被制御局として動作することが好ましい。
【0021】
上記の各制御局は、上記ビーコン中の上位層識別子を設け、自身がサポートしているか否かに基づいて複数の周波数チャネルから選択した周波数チャネル上で動作することが好ましい
【0022】
本発明のプログラムは、コンピュータに上記の各無線通信システムの機能を実現させるためのものであることが好ましい。
【0023】
本発明の記録媒体は、コンピュータに上記の各無線通信システムの機能を実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることが好ましい。
【0024】
本発明の参考例に係る無線通信システムは、上記課題を解決するために、一つの制御局と複数の被制御局を備えた無線通信システムであって、上記制御局は、次制御局候補を選定すると共に自身の動作終了予定時刻を決定し、これらの情報をビーコンに含めて送信し、且つ、上記動作終了予定時刻が到来したときにビーコン送信を停止すると共に、上記の各被制御局は、上記ビーコンに含まれる情報から制御局候補として選定されているか否かを検出すると共に上記制御局の動作終了予定時刻を検出し、選定された次制御局候補は上記動作終了予定時刻が到来したときにビーコンの送信を開始することを特徴としている。
【0025】
上記の発明によれば、次制御局候補が制御局によって選定されると共に、自身の動作終了予定時刻が制御局によって決定される。制御局は、次制御局候補に係る情報と、自身の動作終了予定時刻に係る情報とをビーコンに含めて送信する。上記制御局は、上記動作終了予定時刻が到来したときに上記ビーコン送信を停止する。
【0026】
一方、各被制御局は、上記ビーコンを受信し、次制御局候補に係る上記の情報に基づいて、自身が制御局候補として選定されているか否かを検出する。また、上記の各被制御局は、制御局の動作終了予定時刻に係る情報に基づいて動作終了予定時刻を検出する。
【0027】
被制御局のうち制御局によって選定された次制御局候補は、制御局の動作終了予定時刻が到来したときにビーコンの送信を開始する。
【0028】
以上のように、上記の発明によれば、予め各制御局に起動開始順の優先順位を付与したり、回線の使用効率を低下させたりことなく、制御局が選定した次制御局候補と制御局の動作終了予定時刻とがビーコンを介してあらかじめ被制御局へ通知されるので、制御局が緊急停止するまでに制御局の交代に必要な制御データのやりとりが確実に行える。その結果、制御局が緊急停止することによる影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0029】
上記制御局は、上記の動作終了予定時刻の決定後、ネットワークステータス情報を上記の次制御局候補に通知し、上記の次制御局候補は上記制御局から通知されたネットワークステータス情報に基づいて制御局としての動作を開始することが好ましい。
【0030】
この場合、ネットワークステータス情報(たとえば、ネットワークに存在する被制御局(端末)の情報やコネクションの割り当て状態等に係る情報)が次制御局候補へ通知される。これにより、制御局の交代の直後でも、同じネットワークステータス情報に基づいてデータ伝送が即座に再開できる。
【0031】
上記制御局は、上記ネットワークステータス情報を上記の次制御局候補へ通知した後、上記ネットワークステータス情報の変更に係る要求を上記の被制御局から受け付けないことが好ましい。この場合、ネットワークステータス情報の次制御局候補へ通知以降は、ネットワークステータス情報が変化しなくなるので、その分、システムの安定性が向上する。
【0032】
本発明の参考例に係る他の無線通信システムは、上記課題を解決するために、一つの制御局と複数の被制御局を備えた無線通信システムであって、上記の各被制御局は、上記の制御局から送信されるビーコンの受信結果に基づいて制御局が動作停止したかどうかの判定を行い、任意に設定したランダム時間の間上記ビーコンを受信しなかった場合、上記制御局が停止したと判断してビーコンの送信を開始することを特徴としている。
【0033】
上記の発明によれば、被制御局は、制御局から送信されるビーコンの受信結果に基づいて制御局が動作停止したかどうかの判定を行う。この際、ランダム時間が設定され、この間にビーコンを受信しない場合は、被制御局は、制御局が停止したと判断する。これにより、次制御局候補を選定する前に突然制御局が停止してしまうような場合にも、制御局の交代を確実に行える。また、被制御局ごとにランダム時間が設定されているので、制御局能力を備えた複数の被制御局が同時に制御局として動作することを抑制できる。
【0034】
上記ビーコンの送信を開始した被制御局が少なくとも第1及び第2被制御局である場合、第1被制御局は、第2被制御局からのビーコンを受信すると、任意のランダム時間を設定し、このランダム時間の経過後に、第2被制御局からのビーコンを受信したときにはビーコンの送信を停止する一方、第2被制御局からのビーコンを受信しなかったときにはビーコンの送信を継続することが好ましい。
【0035】
この場合、たとえ複数の被制御局が制御局として同時に動作しても、一つの被制御局のみを制御局とすることが確実に行え(他の被制御局が誤動作する可能性をより低減することが可能となり)、これにより、非常に信頼性の高いシステムを実現できる。
【0036】
本発明の参考例に係る更に他の無線通信システムは、上記課題を解決するために、一つの制御局と複数の被制御局を備えたシステムであって、上記の各被制御局は、複数の制御局からのビーコンを受信した場合、自身が送信する予定のデータの送信を停止すると共に、データ送信停止後であって上記複数の制御局からのビーコンが検出されなくなったときに、データの送信を再開することを特徴としている。
【0037】
上記の発明によれば、たとえば、他の無線通信システムに属する制御局の移動に伴って両無線通信システムの複数の制御局が混在する場合、これを被制御局はビーコンの受信により複数の制御局が動作していることを知る。このような場合、当該被制御局が送信する予定のデータの送信を停止する。その後、上記複数の制御局からのビーコンが検出されなくなったときに、データの送信が上記被制御局によって再開される。これにより、複数の制御局が相互に無関係にリソース(コネクション)を割り当てることが回避され、被制御局は期待通りにデータを送信できる。このように、上記発明によれば、他の端末への影響を確実に低減できる。
【0038】
上記制御局は、交代指示に基づいて指定されたものを次制御局候補として選定すること が好ましい。
【0039】
上記制御局は、収容端末台数、収容コネクション数、サポートレート、及び電波出力に基づいて、より高機能な性能を有するものを次制御局候補として選定することが好ましい。
【0040】
上記制御局は、そのバッテリー残量が所定量以下に低下した場合に上記の次制御局候補を選定することが好ましい。
【0041】
上記制御局は、上記の各被制御局に係る通信履歴に基づいて上記の次制御局候補を選定することが好ましい。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明に係る無線通信装置及び無線通信方法の一実施形態について、図1〜図15を参照しながら説明すると以下のとおりである。
【0043】
まず、端末起動について説明する。本実施の形態に係る無線通信システムでは、既存の無線通信システムを制御する一つの制御局(主制御局)と、その制御局の下で動作する複数の被制御局(被主制御局)から構成される。
【0044】
さらに、その主制御局が制御する既存の無線通信システム内において新たな機能を提供するために、一つの端末が新たな機能を提供するために必要な制御局(従制御局)として動作し、既存の無線通信システム内における他の端末の全てもしくは一部が従制御局の制御の下で動作する複数の被制御局(被従制御局)から構成される(図2参照)。
【0045】
ここで、端末起動時の処理について図1を参照しながら以下に説明する。
【0046】
通常の無線通信システムでは、複数の周波数チャネルが使用できるようになっている。そのため、まず、既存の複数の周波数チャネルをスキャンし、どの周波数チャネルを使用するかが選択される(S1)。
【0047】
その後、選択された周波数チャネル上の信号の検出が行われる(S2)。もし、信号が検出されなければ、上記選択周波数チャネルが他の端末によって使用されていない(ネットワークが存在しない)ことを意味するので、自身の能力に応じた動作を行うこと(例えば、自身が制御局として動作をする等)が可能である(S3)。
【0048】
一方、上記S2において、何らかの信号が検出された場合、S4へ移行し、検出された信号の解析が行われる。つまり、最初に、主制御局が送信しているビーコン(以下、主ビーコンと称す。)の検出が行われた後、従制御局から送信されているビーコン(以下、従ビーコンと称す。)の検出が行われる(S5)。
【0049】
もし、制御局が既に動作しているのであれば、該制御局からビーコンが送信されているため、ビーコン送信周期もしくはそれより長い間ビーコンの検出を行うことにより該制御局の存在が確認できる。なお、ビーコンとは、ネットワーク全体を制御するために必要な情報(各端末の状態やネットワークの通信速度等)を含むものである。
【0050】
上記S4において主ビーコンが検出され、上記S5において従ビーコンが検出されなかった場合、S6へ移行し、自端末が従制御局としての能力を有するか否かが判定される。S6において、自端末が従制御局としての能力がなければ、従制御局としての動作を開始することができず、従制御局によって提供される機能を使用することができない(S7)。つまり、主制御局の制御下でのみ動作開始する。一方、自端末が従制御局としての能力を有していれば、主制御局の制御下で従制御局としての動作を開始することが可能となる(S8)。
【0051】
主ビーコンも従ビーコンも検出された場合、S9へ移行し、該端末は主制御局および従制御局の制御の下で動作を開始する(S9)。
【0052】
ところで、もし、いずれのビーコンも検出されなければ、S10へ移行し、認識不可能なシステムが動作していると判断し、異なる周波数チャネルを選択し、上記の処理が行われる。
【0053】
QoSをサポートしたIEEE802.11システムについて、より具体的に説明すれば、それぞれ主制御局はアクセスポイント(IBSSにおいては、アクセスポイントは存在しないが、ビーコン送信端末を主制御局として適用できる)として、従制御局はQoS管理局としてそれぞれ適用可能である。
【0054】
図1の上記S3は、端末の能力に応じて、既存のシステムの動作モード(インフラストラクチャネットワークもしくはIBSS)としても、またQoSサポートのネットワークとしても動作可能である。
【0055】
図1の上記S7の場合、QoS管理局が存在しないため、既存のシステムの動作モードでのみの動作となる。
【0056】
図1の上記S8の場合、既存のアクセスポイントが存在するネットワークにおいて、自身がQoS管理局として動作することになり、QoSサポートが可能である。
【0057】
図1の上記S9の場合、既存の端末としてもQoSサポートも可能である。
【0058】
ここで、上記S1において、どのようにして上記周波数チャネルが選択されるかについて以下に説明する。すなわち、全周波数チャネルがスキャンされ、どの周波数チャネル上でどのようなシステムが動作しているかについて確認された後、使用すべき周波数チャネルが選択される。この選択動作においては、以下のような状況が考えられる。
【0059】
すなわち、ユーザからの指示がある場合、空き周波数チャネルを探して制御局としての動作を開始する。もし、空きチャネルがなければ、エラー通知がなされるようにしてもよい。
【0060】
あるいは、ビーコン中の端末識別子(MACアドレス)に基づいて周波数チャネルを選択してもよい。既知の端末が制御局として動作しているのであれば、その周波数チャネルにて被制御局として動作する。既知の端末が確認できなければ、空き周波数チャネルを選択し、制御局として動作することにより新たなネットワークを構築する。
【0061】
あるいは、ビーコン中に上位層識別子を設け、自身がサポートしているか否かに基づいて周波数チャネルを選択してもよい。例えば、IP端末もしくはAV専用端末が該当例として挙げられる。
【0062】
ここで、制御局の定常動作について説明する。図1の処理が終了後、主制御局もしくは従制御局として動作を開始する場合、図3のシーケンスAに基づいて定常的な動作を行う。
【0063】
まず、各種イベントの検出を行い(S21)、S22でイベントの種別の判定が行われる。種別判定の結果、ビーコン送信時刻になった旨の判定がなされると(S23)、図4に示すシーケンス(A−1)の処理が行われる。
【0064】
また、上記S22において、ユーザからの指示や他端末からの要求により、制御局の変更が必要である旨の判定がなされた場合、制御局変更を開始すべく図5に示すシーケンス(A−2)の処理が行われる。
【0065】
さらに、自端末以外の制御局からのビーコンを受信した旨の判定がなされた場合、混信防止動作として図6に示すシーケンス(A−3)の処理が行われる。
【0066】
ここで、上記シーケンス(A−1)について図4を参照しながら説明する。まず、自端末が主制御局かつ従制御局として動作しているか否かが確認される(S31)。確認の結果、自端末が主制御局もしくは従制御局のいずれかの局として動作している場合、該当するビーコンが送信される(S33)。このときのメッセージ交換の様子を図11に示す。
【0067】
なお、QoSサポートされたIEEE802.11システムの場合、既存アクセスポイントが動作している中で、QoSサポート制御局が動作する状況に相当する。この場合、アクセスポイントは、QoSサポート制御局から送信されるビーコンの内容を認識できないだけで、誤動作につながるようなことはない。
【0068】
一方、上記S31において、もし、自端末が主制御局および従制御局の両方の局として動作している場合、ビーコン(主ビーコンと従ビーコン)が一つのパケットとして送信される(S32)。これにより帯域の有効活用が可能となる。このときのメッセージ交換の様子を図12に示す。
【0069】
QoSサポートされたIEEE802.11システムの場合、インフラストラクチャネットワークにおけるアクセスポイント自体がQoSサポートしている端末であるような状況に相当する。
【0070】
さらに、QoSサポートされたIBSSについても、QoSサポート制御局がビーコンを送信する場合、上記のような動作が適用可能である。ただし、そのまま適用すると別の問題が発生する。
【0071】
既存のIBSSの場合、先に述べたとおり、どの端末がビーコンを送信するか分からない。これは、QoSサポートした端末において、QoSサポート制御局が存在しているかどうかを判断することが困難になることを意味する。したがって、QoSサポートをするための制御局は常にビーコンを送信することが望ましいが、そのためにはランダムなビーコン送信待ち時間を常に最小値にすることが望ましい。これにより、QoSサポート制御局は常にビーコンを送信することが可能となる。
【0072】
ここで、その他の端末の定常動作について説明する。図1の処理が終了後、主制御局もしくは従制御局の下で動作を開始する場合、図7に示すシーケンスBに基づいて定常的な動作が行われる。
【0073】
まず、各種イベントの検出が行われる(S41)。S42でイベントの種別の判定が行われる。種別判定の結果、制御局からのビーコンの受信待である旨の判定がなされる(制御局からビーコン受信が予想される)と(S43)、図8に示すシーケンス(B−1)に基づいてビーコン受信動作が行われる。
【0074】
又、ユーザからの指示や、他端末からの要求により制御局変更が必要である旨の判定がなされた場合、図9に示すシーケンス(B−2)の処理が行われる。
【0075】
さらに、複数の制御局からのビーコンの受信を検出した旨の判定がなされた場合、混信防止動作として図10のシーケンス(B−3)の処理が行われる。
【0076】
ここで、制御局停止の場合について説明する。なお、これ以降に示す例では、主制御局と従制御局の区別なく実施可能である。
【0077】
制御局が停止する場合、主として次の2通りが考えられる。すなわち、事前に他の端末に対し予告して停止する場合と、電源オフや端末の移動した結果等により突然制御局が停止する場合との2通りである。
【0078】
ここでは、事前に制御局が他の端末に対し予告して停止する場合を図5のシーケンス(A−2)と図9のシーケンス(B−2)とを用いて説明する。
【0079】
図5のシーケンス(A−2)は、制御局の動作を示している。制御局端末は制御局としての動作を開始した後に、自身の停止に備えて、次の制御局候補端末およびその動作終了予定時刻を決定し、ビーコンによって通知する(S51及びS52)。
【0080】
このとき、端末がいつ起動するかわからないこと、及び一時的にビーコンが受信できない可能性があることを考慮して、決定次第、連続して通知することが好ましい。また、より確実に通知するために次の制御局候補端末を決定した場合、ビーコンにて通知するのと同時にその端末に対し直接パケットを送信することにより確認することが好ましい。
【0081】
次に、ネットワークステータス情報、例えばネットワークに存在する端末の情報やコネクションの割り当て状態等を制御局候補端末に通知する(S53)。これは制御局を変更する直後でも、現在割り当てられているコネクションにおけるデータ伝送が即座に再開できるようにするためである。また終了予定時刻に対し、あらかじめ定められた時間前になると、例えば該制御局への端末登録や新規のコネクション割り当てを一時的に停止し、ネットワークステータス情報に変化を与えないようにすることが好ましい。
【0082】
ビーコンにて通知済の動作終了予定時刻になったことがS54において確認されると、制御局はビーコンの送信を停止することによって制御局としての動作を停止する(S55)。それから、シーケンスBへ移行する。
【0083】
ここで、どのような場合に制御局の交代が実施されるかについて説明する。すなわち、以下のような場合に制御局の交代、及び制御局候補端末の選択が行われる。
【0084】
ユーザからの指示に基づいて制御局の交代が行われる。ユーザから制御局に対して制御局の交代指示が与えられたとき、いずれかの被制御局端末を制御局候補として選択する。また、被制御局端末に対し交代指示が与えられた場合、制御局に対して要求メッセージを送信する。制御局はその要求に必ず応じることが好ましい。
【0085】
あるいは、制御局におけるバッテリー残量が所定量以下に低下した場合に、制御局の交代が行われる。この場合、いずれかの端末を制御局候補端末として選択する。この際、端末起動時に、参加要求を送信し、そのときに自身の機能を制御局に通知しておく。制御局候補を自動で選択する場合、それらの機能を比較し、より高機能な端末を制御局候補端末として選択すればよい。
【0086】
より高機能な制御局とは、次のような要素を備えたものである。つまり、より高機能な端末としては、収容端末台数が最も多い端末、収容コネクション数が最も多い端末、サポートレートが最も高い端末、及び/又は電波出力が最も大きい端末などが挙げられる。
【0087】
また、各端末は、自身の通信履歴(受信電力、再送回数、パケットエラー率等)を保持しておく。制御局候補の選択時、被制御局が送信する制御局交代応答の中にそれらの通信状況の通信履歴を含め、制御局は自身が保持している通信履歴よりも悪い状況であれば、異なる制御局候補端末を選択すればよい。
【0088】
図9のシーケンス(B−2)は、被制御局の端末の動作を示している。制御局以外の端末は、通常、ビーコンを受信して制御局の存在を確認し、その際、ビーコン内の情報に基づいて詳細動作を決定すると共に、次の制御局候補端末や動作終了予定時刻に基づいて、制御局の交代が行われることを知ることができる。
【0089】
特に、S61において次の制御局候補端末として選定されている端末は、制御局から通知されるネットワークステータス情報を受信し(S62)、他の端末に影響を与えないように、交代後に制御局として動作を再開するための準備を行う。その後、動作終了予定時刻になるまで待ち、動作終了予定時刻後にビーコン送信を再開し制御局としての動作を再開する。なお、上記S61において次の制御局候補端末として選定されていない端末は、上記シーケンスBへ移行する。
【0090】
上記のシーケンスに基づいて動作した場合の制御局と制御局候補との間でやりとりされるメッセージの流れの一例を図13に示す。
【0091】
ここで、制御局交代の他の例について説明する。つまり、異なるシチュエーションとして、上記のように予告することができずに突然制御局が停止する場合がある。このような状況が発生した場合の動作を図8に示すシーケンス(B−1)を用いて説明する。
【0092】
制御局以外の端末は、制御局が送信するビーコンの受信を期待する。S71においてビーコンの受信に成功したら、図7のシーケンスBの処理が行われる。一方、ビーコンが所定期間の間受信できなければ(S72)、制御局が緊急停止したと判断してS73へ移行する。なお、上記S72においてビーコンが所定期間内に受信されたら、上記シーケンスBへ移行する。
【0093】
まず、自端末が制御局として動作する能力を持つかどうかについて確認される(S73)。制御局として動作する能力がなければ、図1に示されるように初期動作から開始される。
【0094】
もし、自端末が制御局として動作する能力を持っておれば、ランダム時間(TR2)が任意に決定され(S74)、その期間、他の制御局からのビーコンを検出しなければ(S75)、ビーコンの送信を開始する(S76)ことによって制御局として動作する。一方、上記S75において、上記ランダム時間の間に制御局からのビーコンを検出した場合、上記シーケンスBへ移行する。
【0095】
上記のようにランダム時間を設定することにより、各端末が同時に起動する確率を確実に下げ、一つのネットワークに複数の制御局が動作することを防ぐことが可能となる。
【0096】
上記シーケンス(B−1)に基づいて動作した場合の制御局と制御局候補との間でやりとりされるメッセージの流れの一例を図14に示す。この例では、制御局と2台の制御局の能力を持つ端末1及び2から構成されるネットワークにおいて、従制御局が緊急停止した後、端末1(図示しない)が制御局として動作を開始した様子を示している。
【0097】
なお、上記ランダム時間を設定するときの他の例として、上述の端末の高機能な性能(収容端末台数が最も多い端末、収容コネクション数が最も多い端末、サポートレートが最も高い端末、及び/又は電波出力が最も大きい端末)や上述の通信履歴に重み付けをし、そのスコアに応じて上記ランダム時間を設定してもよい。
【0098】
ここで、複数の制御局が相互に動作していることを検出した場合について説明する。つまり、複数の制御局が同時に動作していることを検出した場合の動作について、図6に示すシーケンス(A−3)と、図10に示すシーケンス(B−3)とを用いて以下に説明する。
【0099】
このような状況は、例えばユーザが動作中に端末を移動させてしまった場合やアパート等の集合住宅において隣室の無線通信システムの電波を受信してしまった場合等に生じる可能性がある。
【0100】
また、制御局が突然動作を停止した場合、上述のとおり、ランダム時間だけ制御局動作の開始を遅らせることにより制御局の乱立を防いでいるが、これでは完全に複数の制御局の起動を防ぐことはできず、複数の制御局が同時に動作してしまう場合も考えられる。そのような理由で複数の制御局が同時に動作した場合以下のように処理すればよい。
【0101】
図6に示すシーケンス(A−3)は、制御局が直接他の制御局から送信されたビーコンを検出した場合の動作を示している。
【0102】
制御局が他の制御局から送信されたビーコンを受信した場合、ランダム時間TR1を任意に設定し(S81)、ランダム時間TR1経過するまで待つ(S82)。もし、上記ランダム時間TR1の間、他の制御局からのビーコンが停止されたことを確認できれば(S83)、そのままビーコン送信を継続し、上記シーケンスAへ移行する。一方、他の制御局からのビーコンがなお検出されていれば、自身はビーコンの送信を停止する(S84)。
【0103】
上記のように、送信停止まで任意時間待つのは、制御局の移動したことにより生じた場合等瞬間的に発生する可能性があることや、急激なネットワークステータスの変化により他の端末への影響を軽減させるためである。
【0104】
なお、上記の処理が正常に機能すれば、この時点で最もランダム時間TR1が長く設定された端末が制御局としての動作を継続することになる。ただし、同じランダム時間を使用した場合等、同時にビーコン停止する可能性もあるため、なお所定の時間ビーコンの送信状況を観察する。その間に、他の制御局から全くビーコンを検出できなくなった場合(S85)、上記所定時間経過後、ビーコンの送信を再開する(S86)ことにより制御局の動作を再開する。なお、上記所定時間は制御局が停止したと判断する期間より短くすることが好ましい。これにより、これらの制御局以外の端末が新規に制御局としての動作を開始することを確実に防止することが可能となる。
【0105】
また、上記S85において、他の制御局からのビーコンが検出された場合、S87へ移行し、ビーコンの送信を停止してから所定時間経過したか否かが判断される。所定時間経過していた場合、上記シーケンスBへ移行する一方、所定時間経過していなければ、上記S85へ戻る。
【0106】
上記のような処理が実施されたときのメッセージ交換の様子に係る一例を図15に示す。図15の場合は、3台の制御局1〜3(何れも図示しない)が同時に検出された場合を想定しており、最も長い送信停止待ち時間を設定した制御局1が最終的に制御局としての動作を継続している様子を示している。
【0107】
なお、図15の再開待ち時間は、図14の停止検出時間よりも短いことが好ましい。これは、制御局が存在しなくなったと他の被制御局が誤解し、該被制御局自身が制御局になることを回避するためである。したがって、この場合、他の端末が制御局となることを確実に回避できる。
【0108】
ここで、被制御局が複数の制御局を検出した場合、つまり、被制御局が複数の制御局を検出した場合の動作を図10に示すシーケンス(B−3)を用いて説明する。
【0109】
複数の制御局が動作しているような状況(このような状況としては、複数の制御局がそれぞれ別々のネットワークに属する場合等が考えられる。)では、データ送受信の効率が低下することはもちろん、複数の制御局間でコネクション割り当てやそのスケジューリングに矛盾が生じる可能性が高くなる。さらには、データ伝送そのものも失敗する可能性が高くなる。このため、本発明では基本的にデータ伝送をストップすることによって、他の端末への影響を軽減させることとしている。
【0110】
複数の制御局からのビーコンが検出された場合、データ送信を即座に停止し(S91)、複数の制御局からのビーコンが検出されている間その状態を維持する(S92)。もし、一つのみの制御局からのビーコンが検出されるようになった場合、所定の手続きを経てデータ送信が再開される(S93)。
【0111】
本発明は、上記無線通信システムに加えて、コンピュータ(図示しない)に上記記載の無線通信システムの機能を実現させるためのプログラムと、コンピュータに上記記載の無線通信システムの機能を実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(図示しない)も含むものである。
【0112】
以上のように、本発明によれば、上記制御局は、次制御局候補を選定する機能、動作終了予定時刻を決定する機能、それらの情報をビーコン内に含める機能、ネットワークステータス情報を次制御局候補に通知する機能、及び動作終了予定時刻となったときにビーコン送信を停止する機能を有している。
【0113】
また、被制御局は、ビーコンに含まれている情報から次制御局候補として選定されていることを検出する機能、ネットワークステータス情報を制御局から受信し、反映する機能、及びビーコンで示されている動作終了予定時刻となったときにビーコン送信を開始する機能を有している。これにより、スムーズな制御局交代が可能となる。
【0114】
また、上記被制御局は、ビーコン受信結果に基づき制御局が動作停止したかどうかの判定する機能、及び任意に設定したランダム時間他の制御局からのビーコンを検出しなかったときに、ビーコンの送信を開始する機能を有している。これにより、制御局が緊急停止した場合でも複数の制御局が同時に起動する可能性を低減することが可能となる。
【0115】
また、本発明によれば、制御局として動作している場合、他の制御局からのビーコンを受信したときに、任意に設定したランダム時間経過後も他の制御局からのビーコンを受信しているかどうかを判定する機能、上記判定結果に基づき、ビーコンの送信を停止する機能、ビーコン送信停止してから所定期間の間他の制御局からのビーコンを検出されているかどうかの判定する機能、及び上記判定結果に基づきビーコンの送信を再開する機能を有している。これにより、制御局が他の制御局を検出した場合でも混信の影響を低減できる。
【0116】
また、本発明によれば、被制御局として動作している場合、複数の制御局からのビーコンを受信したときにデータの送信を停止する機能、及びデータ送信停止後、複数の制御局からのビーコンが検出されなくなったときに、データ送信を再開する機能を有している。これにより、複数の制御局を検出した場合でも他の端末への影響を低減できる。
【0117】
以上説明したように、本発明によれば既存ビーコンのほかに新制御局用ビーコンを設け、各端末がそれぞれのビーコンを検出することによりネットワーク種別を判定し、ネットワークの(システムの)動作モードを決定する機能を設けることにより、既存制御局の機能に変更を加えることなく新制御局が動作することが可能となる。さらにその際、両記ビーコンを一つのビーコンパケットとして送信することにより、回線効率をより有効利用することが可能となる。
【0118】
また、本発明によれば、あらかじめ、制御局候補端末と終了予定時刻をビーコンにて通知することにより、停止するまでにネットワークステータス情報の通知等の準備を可能とし、制御局が交代することによる影響を最小限にすることができる。
【0119】
また本発明によれば、制御局が何らかの理由により緊急停止した場合でもランダムな時間経過を待って他の制御局能力を持つ端末のビーコン送信開始によって、制御局動作を開始することにより、より効率的に複数の制御局能力を持つ端末の同時起動を防ぐことができる。
【0120】
また本発明によれば、複数の制御局が相互に動作していることを検出した場合、それぞれの制御局がランダム時間経過後ビーコン送信を停止し、その後所定の期間他の制御局が動作をつづけているかどうかを確認することにより、他の端末が誤動作する可能性をより低減させることができる。
【0121】
また本発明によれば、被制御局が複数の制御局が動作していることを検出した場合、データ伝送を停止することにより、他の端末への影響を低減させることができる。
【0122】
【発明の効果】
本発明の無線通信システムは、以上のように、主制御局と、上記主制御局の制御下で動作する複数の被主制御局と、上記被主制御局のうちの一つであって、新たな機能を提供するための制御局として動作する従制御局と、上記従制御局の制御下で動作する複数の被従制御局とを備え、上記の各制御局は、システムの動作モードに応じたビーコンを定期的に送信し、システム内の端末が、起動したあとに、上記主制御局が送信する主ビーコンと上記従制御局が送信する従ビーコンとを検出し、この検出結果に基づいてシステムの動作モードを決定するものである。
【0123】
上記の発明によれば、上記主制御局の制御下で複数の被主制御局が動作しており、このうちの一つが、新たな機能を提供するための制御局として動作する従制御局となる。この従制御局の制御下で複数の被従制御局が動作している。そして、これらの制御局は、システムの動作モードに応じたビーコンを定期的(周期的)にそれぞれ送信している。
【0124】
上記従制御局が新たな機能を提供するとき、主制御局が送信する主ビーコンと上記従制御局が送信する従ビーコンとが上記の各制御局によって検出される。そして、各制御局は、上記の検出結果に基づいてシステムの動作モードを判定する。
【0125】
それゆえ、上記発明によれば、主制御局が送信する主ビーコンと上記従制御局が送信する従ビーコンとを検出してシステムの動作モードを決定する機能を上記の各制御局が備えているので、主制御局の機能を拡張したり、別途新たに専用の制御局を設けたりすることなく、主・従2つのタイプの制御局を一つの無線通信システム内に混在(共存)させて新しい機能を提供することが可能となるという効果を奏する。
【0126】
システム内において、上記従制御局が、主制御局と従制御局の双方の制御局として動作している制御局は、上記主ビーコンと上記従ビーコンとを一つのパケットにまとめて送信することが好ましい。この場合、2つのビーコン(主ビーコンと従ビーコン)が一つのパケットで送信されるので、その分、必要な帯域が削減され、これにより、帯域の有効活用(回線効率のより有効な利用)が可能となるという効果を併せて奏する。
【0127】
上記の各制御局は、複数の周波数チャネルのうち空き周波数チャネル上で動作することが好ましい。
【0128】
上記の各制御局は、上記ビーコン中の端末識別子に基づいて複数の周波数チャネルから選択した周波数チャネル上で動作し、既知の端末が制御局として動作している場合にはその周波数チャネル上で被制御局として動作することが好ましい。
【0129】
上記の各制御局は、上記ビーコン中の上位層識別子を設け、自身がサポートしているか否かに基づいて複数の周波数チャネルから選択した周波数チャネル上で動作することが好ましい。
【0130】
本発明のプログラムは、コンピュータに上記の各無線通信システムの機能を実現させるためのものであることが好ましい。
【0131】
本発明の記録媒体は、コンピュータに上記の各無線通信システムの機能を実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることが好ましい。
【0132】
本発明の参考例に係る無線通信システムは、以上のように、一つの制御局と複数の被制御局を備えた無線通信システムであって、上記制御局は、次制御局候補を選定すると共に自身の動作終了予定時刻を決定し、これらの情報をビーコンに含めて送信し、且つ、上記動作終了予定時刻が到来したときにビーコン送信を停止すると共に、上記の各被制御局は、上記ビーコンに含まれる情報から制御局候補として選定されているか否かを検出すると共に上記制御局の動作終了予定時刻を検出し、選定された次制御局候補は上記動作終了予定時刻が到来したときにビーコンの送信を開始することを特徴としている。
【0133】
上記の発明によれば、次制御局候補が制御局によって選定されると共に、自身の動作終了予定時刻が制御局によって決定される。制御局は、次制御局候補に係る情報と、自身の動作終了予定時刻に係る情報とをビーコンに含めて送信する。上記制御局は、上記動作終了予定時刻が到来したときに上記ビーコン送信を停止する。
【0134】
一方、各被制御局は、上記ビーコンを受信し、次制御局候補に係る上記の情報に基づいて、自身が制御局候補として選定されているか否かを検出する。また、上記の各被制御局は、制御局の動作終了予定時刻に係る情報に基づいて動作終了予定時刻を検出する。
【0135】
被制御局のうち制御局によって選定された次制御局候補は、制御局の動作終了予定時刻が到来したときにビーコンの送信を開始する。
【0136】
それゆえ、上記の発明によれば、予め各制御局に起動開始順の優先順位を付与したり、回線の使用効率を低下させたりことなく、制御局が選定した次制御局候補と制御局の動作 終了予定時刻とがビーコンを介してあらかじめ被制御局へ通知されるので、制御局が緊急停止するまでに制御局の交代に必要な制御データのやりとりが確実に行える。その結果、制御局が緊急停止することによる影響を最小限に抑えることが可能となるという効果を併せて奏する。
【0137】
上記制御局は、上記の動作終了予定時刻の決定後、ネットワークステータス情報を上記の次制御局候補に通知し、上記の次制御局候補は上記制御局から通知されたネットワークステータス情報に基づいて制御局としての動作を開始することが好ましい。
【0138】
この場合、ネットワークステータス情報(たとえば、ネットワークに存在する被制御局(端末)の情報やコネクションの割り当て状態等に係る情報)が次制御局候補へ通知される。これにより、制御局の交代の直後でも、同じネットワークステータス情報に基づいてデータ伝送が即座に再開できるという効果を併せて奏する。
【0139】
上記制御局は、上記ネットワークステータス情報を上記の次制御局候補へ通知した後、上記ネットワークステータス情報の変更に係る要求を上記の被制御局から受け付けないことが好ましい。この場合、ネットワークステータス情報の次制御局候補へ通知以降は、ネットワークステータス情報が変化しなくなるので、その分、システムの安定性が向上するという効果を併せて奏する。
【0140】
本発明の参考例に係る他の無線通信システムは、上記課題を解決するために、一つの制御局と複数の被制御局を備えた無線通信システムであって、上記の各被制御局は、上記の制御局から送信されるビーコンの受信結果に基づいて制御局が動作停止したかどうかの判定を行い、任意に設定したランダム時間の間上記ビーコンを受信しなかった場合、上記制御局が停止したと判断してビーコンの送信を開始することを特徴としている。
【0141】
上記の発明によれば、被制御局は、制御局から送信されるビーコンの受信結果に基づいて制御局が動作停止したかどうかの判定を行う。この際、ランダム時間が設定され、この間にビーコンを受信しない場合は、被制御局は、制御局が停止したと判断する。これにより、次制御局候補を選定する前に突然制御局が停止してしまうような場合にも、制御局の交代を確実に行える。また、被制御局ごとにランダム時間が設定されているので、制御局能力を備えた複数の被制御局が同時に制御局として動作することを抑制できるという効果を併せて奏する。
【0142】
上記ビーコンの送信を開始した被制御局が少なくとも第1及び第2被制御局である場合、第1被制御局は、第2被制御局からのビーコンを受信すると、任意のランダム時間を設定し、このランダム時間の経過後に、第2被制御局からのビーコンを受信したときにはビーコンの送信を停止する一方、第2被制御局からのビーコンを受信しなかったときにはビーコンの送信を継続することが好ましい。
【0143】
この場合、たとえ複数の被制御局が制御局として同時に動作しても、一つの被制御局のみを制御局とすることが確実に行え(他の被制御局が誤動作する可能性をより低減することが可能となり)、これにより、非常に信頼性の高いシステムを実現できるという効果を併せて奏する。
【0144】
本発明の参考例に係る更に他の無線通信システムは、以上のように、一つの制御局と複数の被制御局を備えたシステムであって、上記の各被制御局は、複数の制御局からのビーコンを受信した場合、自身が送信する予定のデータの送信を停止すると共に、データ送信停止後であって上記複数の制御局からのビーコンが検出されなくなったときに、データの送信を再開することを特徴としている。
【0145】
上記の発明によれば、他の無線通信システムに属する制御局の移動に伴って、両無線通信システムの複数の制御局が混在する場合、これを被制御局はビーコンの受信により複数の制御局が動作していることを知る。このような場合、当該被制御局が送信する予定のデータの送信を停止する。その後、上記複数の制御局からのビーコンが検出されなくなったときに、データの送信が上記被制御局によって再開される。これにより、複数の制御局が相互に無関係にリソース(コネクション)を割り当てることが回避され、被制御局は期待通りにデータを送信できる。このように、上記発明によれば、他の端末への影響を確実に低減できるという効果を併せて奏する。
【0146】
上記制御局は、交代指示に基づいて指定されたものを次制御局候補として選定することが好ましい。
【0147】
上記制御局は、収容端末台数、収容コネクション数、サポートレート、及び電波出力に基づいて、より高機能な性能を有するものを次制御局候補として選定することが好ましい。
【0148】
上記制御局は、そのバッテリー残量が所定量以下に低下した場合に上記の次制御局候補を選定することが好ましい。
【0149】
上記制御局は、上記の各被制御局に係る通信履歴に基づいて上記の次制御局候補を選定することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における端末の起動手順の例を示すシーケンス図である。
【図2】 本発明に係る無線通信システムの端末の構成例を示した説明図である。
【図3】 本発明における制御局の動作手順の例を示したシーケンス図である。
【図4】 本発明における制御局のビーコン送信手順の例を示したシーケンス図である。
【図5】 本発明における制御局の停止手順の例を示したシーケンス図である。
【図6】 本発明における制御局の混信回避手順の例を示したシーケンス図である。
【図7】 本発明における被制御局が他の制御局からのビーコンを検出したときの手順の例を示したシーケンス図である。
【図8】本発明における被制御局のビーコン受信手順の例を示したシーケンス図である。
【図9】 本発明における次制御局候補端末として選定された被制御局の制御局動作開始手順の例を示したシーケンス図である。
【図10】 本発明における被制御局が複数の制御局からのビーコンを検出したのときの手順の例を示したシーケンス図である。
【図11】 本発明の無線通信システムにおいて制御局がビーコンを送信する様子の一例を示した説明図である。
【図12】 本発明の無線通信システムにおいて制御局がビーコンを送信する様子のほかの例を示す説明図である。
【図13】 本発明の無線通信システムにおいて制御局が交代するときの、制御局と一つの被制御局の間でメッセージ交換の様子の一例を示す説明図である。
【図14】 本発明の無線通信システムにおいて制御局が緊急停止新たな制御局が動作を開始する様子を示す説明図である。
【図15】 本発明の無線通信システムにおいて複数の制御局が相互にビーコンを検出したときの様子を示す説明図である。
【符号の説明】
TR1 ランダム時間
TR2 ランダム時間
A シーケンス
B シーケンス
A−1 シーケンス
A−2 シーケンス
A−3 シーケンス
B−1 シーケンス
B−2 シーケンス
B−3 シーケンス

Claims (7)

  1. 主制御局と、
    上記主制御局の制御下で動作する複数の被主制御局と、
    上記被主制御局のうちの一つであって、新たな機能を提供するための制御局として動作する従制御局と、
    上記従制御局の制御下で動作する複数の被従制御局とを備え、
    上記の各制御局は、システムの動作モードに応じたビーコンを定期的に送信
    システム内の端末が、起動したあとに、上記主制御局が送信する主ビーコンと上記従制御局が送信する従ビーコンとを検出し、該検出結果に基づいてシステムの動作モードを決定する無線通信システム。
  2. システム内において、主制御局および従制御局の双方の制御局として動作している制御局は、上記主ビーコンと上記従ビーコンとを一つのパケットにまとめて送信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 上記の各制御局は、複数の周波数チャネルのうち空き周波数チャネル上で動作することを特徴とする請求項1または2項に記載の無線通信システム。
  4. 上記の各制御局は、上記ビーコン中の端末識別子に基づいて複数の周波数チャネルから選択した周波数チャネル上で動作し、既知の端末が制御局として動作している場合にはその周波数チャネル上で被制御局として動作することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の無線通信システム。
  5. 上記の各制御局は、上記ビーコン中の上位層識別子を設け、自身がサポートしているか否かに基づいて複数の周波数チャネルから選択した周波数チャネル上で動作することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の無線通信システム。
  6. コンピュータに請求項1からのいずれか1項に記載の無線通信システムの機能を実現させるための通信プログラム。
  7. コンピュータに請求項1からのいずれか1項に記載の無線通信システムの機能を実現させるための通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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