JP3942481B2 - 水性ゲルシート用セパレートフィルム - Google Patents

水性ゲルシート用セパレートフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性ゲルシート用セパレートフィルムに関する。更に詳しくは、水性ゲルを用いた経皮吸収医薬品、医薬部外品および化粧品等の製造、輸送および使用において、水性ゲルの保護に用いられ、きれいに剥離することのできる水性ゲルシート用セパレートフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、吸水性樹脂に、ローション、乳液、軟膏、クリーム等の薬剤を含有させた水性ゲルを不敷布等の支持体のうえに積層した水性ゲルシートが開発され、経皮吸収医薬品、医薬部外品、化粧品として、医薬品メーカーや化粧品メーカーから盛んに販売されている。
【0003】
水性ゲルシートは、一般的に水分を多量に含む含水ゲルである水性ゲルの層が支持体のうえに積層された構造をしている。水性ゲルには、安全性が広く確認されているポリアクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーが用いられており、これらカルボキシル基含有ポリマーを多価金属塩(例えば水酸化アルミニウム等)で架橋し、非水溶化した吸水性樹脂が使用されている。支持体には、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムまたは不織布が通常使用されている。
【0004】
このようなゲルシートは、例えば次のようにして作成される。すなわち、カルボキシル基含有ポリマーを、例えば水やアルコール水溶液といった親水性溶媒に溶解するか懸濁させて液状体とする。この液状体を、水性ゲルシート用セパレートフィルム上に膜状にキャスティングしてシート化する。その後、多価金属塩をシート化された液状体に吹き付けるなどして、液状体をゲル化して水性ゲルの層を得る。これに替えて、上記ポリマーの液状体に多価金属塩を溶解させて塗工機を用いてセパレートフィルムに塗工して水性ゲルの層を得てもよい。
【0005】
こうして得られた水性ゲルの層のうえに支持体を積層して、ロール状に巻き取る。この後、場合によっては架橋を完全なものにするため、50℃前後に加温して数時間から数日間程度熟成させて水性ゲルシートを得る。得られた水性ゲルシートは、必要な寸法や形に断裁されゲルシート製品となる。製造工程で使用されたセパレートフィルムはそのままの状態、すなわち水性ゲルの表面に積層されたままの状態で、ゲルシート製品は梱包および輸送される。なお、セパレートフィルムは使用時に剥離除去される。
【0006】
最近、吸水性樹脂の改良改質が進み、樹脂中にローション、乳液、軟膏、クリーム等の薬剤を含有させた水性ゲルを、フィルムや不織布等の支持体のうえにシート状に積層したゲルシート製品が、経皮吸収医薬品、医薬部外品、化粧品等として医薬品や化粧品メーカーより数多く開発、販売されるようになっている。
【0007】
また、薬事法の規制緩和により、従来薬局、薬店など販売が限られていた医薬部外品の一部がコンビニエンスストアや駅の売店などでも販売が可能になったことにより、ゲルシート形態の化粧品ばかりでなく効能を明示できる医薬部外品もゲルシートの態様で販売することができるようになり、新製品も販売量も著しく増えてきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これらの水性ゲルシート形態の化粧品、医薬部外品等の製品は、販売店で売られる際に、消費者の目に付き易くするために、また手に取り易いように、通常、立てた状態で陳列されたり、吊り下げた状態で陳列される。
【0009】
しかし、水分を多く含んだゲルシート製品は粘着剤を媒体とした経皮吸収薬に比べ、重量があり、粘着力も弱いため時間が経つにつれ自重で擦り下がる現象が起きる。ひどい場合はゲルシート製品の運搬中にも擦り下がり、ゲルが浮いたり、最終的にはセパレートフィルムから剥離して、ゲルの表面同士が貼り付いてしまうことがある。このゲルシートの擦り下がり現象を防ぐために、梱包時にパッケージ内の空気を抜いて包装紙で挟むような工夫をしたりするが、梱包の従来設備が使用できないばかりか、一度開封してしまうと効果がなくなり、擦り下がりを完全に防止することも困難である。
【0010】
本発明は、かかる問題点を解決することを目的する。本発明の目的は、医薬品、医薬部外品や化粧品等の水性ゲルシート製品に最適なセパレートフィルムを提供することにあり、ゲルシートでのセパレートフィルムの擦り下がりや、浮きおよび剥離が少ない水性ゲルシート用セパレートフィルムを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、中心線平均粗さ(Ra)が100nm〜500nmであるポリエステルフィルムの少なくとも片面に、硬化型シリコーン中に、(i)SiO単位を有するシリカ構造、(ii)SiO単位と(CHSiO1/2単位を有するシリコーンレジン構造、または(iii)SiO単位とCH=CH(CHSiO1/2単位を有するシリコーンレジン構造を有する微粒子を含有する離形層を設けた水性ゲルシート用セパレートフィルムであって、該離型層は下記式(I)で定義される最大表面張力(γLmax)が24〜36mN/mの範囲にある、水性ゲルシート用セパレートフィルムである。
【0012】
【数2】
γLmax=1/b+γc/2 (I)
ただし、式(I)で、bはzismanプロットより求まる定数、γcは臨界表面張力を表す。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
[ポリエステルフィルム]
[ポリエステル]
本発明において、セパレートフィルムの基材フイルムとしてポリエステルフイルムを用いる。ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルである。このポリエステルは実質的に線状のポリエステルで、フイルム状に形成可能なものであるが、溶融成形によりフイルム状に形成可能なポリエステルであることが好ましい。
【0015】
ポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸を挙げることができる。
【0016】
また、ポリエステルを構成する脂肪族グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールの如き炭素数2〜10のポリメチレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールを挙げることができる。
【0017】
ポリエステルとしては、アルキレンテレフタレートおよび/またはアルキレン−2,6−ナフタレートを主たる構成成分とするものが好ましい。これらのポリエステルの中で、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは、全ジカルボン酸成分の80モル%以上がテレフタルであり、全グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールである共重合体も好ましい態様として包含する。ポリエチレン−2,6−ナフタレートは、全ジカルボン酸成分の80モル%以上が2、6−ナフタレンジカルボキシレートであり、全グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールである共重合体も好ましい態様として包含する。
【0018】
ポリエステルが共重合体である場合、全ジカルボン酸成分の20モル%以下はテレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸以外の上記芳香族ジカルボン酸であることができる。また、例えばアジピン酸、セバチン酸の如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸を共重合成分として用いることができる。
【0019】
ポリエステルが共重合体である場合、全グリコール成分の20モル%以下はエチレングリコール以外の上記グリコールであることができる。また、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの如き芳香族ジオール;1,4−ジヒドロキシジメチルベンゼンの如き芳香環を有する脂肪族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの如きポリアルキレングリコール(ポリオキシアルキレングリコール)を共重合成分として用いることができる。
【0020】
ポリエステルには、例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸;ω−ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸といったオキシカルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分およびオキシカルボン酸成分の総量に対し20モル%以下の範囲で共重合してもよい。
【0021】
ポリエステルには、実質的に線状である範囲の量、例えば全酸成分に対し2モル%以下の量で、3官能以上のポリカルボン酸またはポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエリスリトール、を共重合してもよい。
【0022】
ポリエステルとしては、o−クロロフェノール中の溶液として35℃で測定して求めた固有粘度が0.4〜0.9dl/gのものが好ましく、0.5〜0.7dl/gのものがさらに好ましく、0.55〜0.65dl/gのものが特に好ましい。
【0023】
[フイルムの中心線平均粗さ]
本発明において、ベースのポリエステルフィルムの中心線平均粗さ(Ra)は100nm〜500nmであることが好ましい。中心線平均粗さが100nm未満であるとゲルシート成型時に混入したエアが抜け難くなり、中心線平均粗さ(Ra)が500nmを超えるとフィルム表面を離形層で被うために必要とする離形層の厚みを厚くしなければならず好ましくない。
【0024】
[フィルム中のフィラーおよび顔料]
ポリエステルフィルムの中心線平均粗さの範囲を上記の範囲とするためには、例えばポリエステルフィルムの原料のポリエステル中にフィラーや顔料を含有させるとよい。ポリエステルフィルムの表面にフィラーや顔料を含有させた樹脂塗料を塗布してもよい。さらに、サンドブラスト法、エンボス法、エッチング法を適応してもよい。コストや品質を考慮すると、原料のポリエステル中にあらかじめフィラーや顔料を含有させる方法(練り込み法)をとることが好ましい。
【0025】
ポリエステル中に含有させるフィラーや顔料としては、例えば酸化チタン、酸化ケイ素、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルクのような無機フィラー;例えばポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機フィラー;例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンターポリマー、オレフィン系アイオノマーのような樹脂フィラーを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤などを配合してもよい。
【0026】
本発明の水性ゲルシート用セパレートフィルムは、意匠性を良好にすることや離形層の反対面に印刷などをすることを考慮すると、ポリエステルフィルムとして白色のものを用いることが好ましい。ポリエステルフィルムを白色にするためには、ポリエステル中に白色顔料を練り込む方法や、離形層を設ける面あるいは反対面に白色の印刷をする方法をとることができ、ポリエステル中に白色顔料を練り込む方法をとることが好ましい。
【0027】
ポリエステル中に含有させるフィラーや顔料としては、前述のものが適宜使用できるが、少量添加で白色とするには、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。
【0028】
ポリエステル中に含有させるフィラーや顔料は、平均粒径0.1〜6.0μmの範囲が好ましく、ポリエステルの重量あたり2〜20重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0029】
[フィルムの製造方法]
本発明ではポリエステルフイルムとして二軸配向ポリエステルフイルムを用いることが好ましい。ポリエステルフィルムの厚さは好ましくは50〜250μm、さらに好ましくは65〜188μmである。二軸配向ポリエステルフィルムは従来から知られている製造方法で製造することができる。
【0030】
例えば、融点(Tm:℃)〜(Tm+70)℃の温度でポリエステルを溶融押出して未延伸フイルムを得、この未延伸フイルムを一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸するのが好ましい。さらに必要に応じて縦方向および/又は横方向に再度延伸してもよい。このようにして全延伸倍率は、面積延伸倍率として9倍以上が好ましく、12〜35倍がさらに好ましく、15〜30倍が特に好ましい。さらにまた、二軸配向フイルムは、(Tg+70)℃〜(Tm−10)℃の温度で熱固定することができ、例えば180〜250℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0031】
[離形層]
本発明の水性ゲルシート用セパレートフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、硬化型シリコーンの硬化物からなる離形層を設けた水性ゲルシート用セパレートフィルムであって、該離型層は下記式(I)で定義される最大表面張力(γLmax)が24〜36mN/mの範囲にあることが必要である。最大表面張力が24mN/m未満であると水性ゲルシートがズレやすく、36mN/mを超えると水性ゲルシートと剥がすとき、剥離しずらく水性ゲルシートが伸びてしまったりゲルの一部がセパレートフィルム側に移行してしまう。
【0032】
【数3】
γLmax=1/b+γc/2 (I)
但し、式(I)で、bはzismanプロットより求まる定数、γcは臨界表面張力を表す。
【0033】
このような最大表面張力の離型層は、次に説明する微粒子を含有する硬化型シリコーンを用ることにより、ベースのフィルム上に設けることができる。
【0034】
硬化型シリコーンは、ポリジメチルシロキサン、好ましくは付加反応型および/または縮合反応型のポリジメチルシロキサン、特に好ましくは付加反応型の剥離紙用ポリジメチルシロキサンから構成される。
【0035】
付加反応型のポリジメチルシロキサンとしては、両末端と側鎖にビニル基をもつポリジメチルシロキサンを、3つ以上のハイドロジェンシロキサン(SiH)基をもつポリジメチルシロキサンで、白金触媒下で架橋反応させたものを用いることができる。
【0036】
付加反応型および/または縮合反応型のポリジメチルシロキサンに配合する微粒子は、下記のいずれかの微粒子であることが好ましい。
(i)SiO単位のシリカ構造の微粒子
ポリジメチルシロキサンポリマー中にシリカフィラーを配合することにより離型層中の−Si−OH基の濃度が高くなるよう調整して表面張力を増加させたもの。なお、このシリカフィラーは平均粒径が1μm以下のものが好ましい。平均粒径が1μmを超えるとフイルムの曇り度(ヘイズ)が大きくなり、透明性を要求される用途に用いる際に支障となることがあったり、加工工程でフイルムを走行させる際に離型層の削れが発生することがあるため好ましくない。また、シリカフィラーの配合割合は固形分濃度で0.1〜2重量%であることが好ましい。配合割合が0.1重量%よりも少ないと所望の濡れ性が得られないことがあり、2重量%を超えるとシリカフィラーが離型層から削れて脱落することがあるため好ましくない。
ii (CHSi 1/2 単位を有するシリコーンレジン構造の微粒子
および
iii CH=CH(CHSi 1/2 単位を有するシリコーンレジン構造の微粒子
ポリジメチルシロキサンポリマー中に下記のD単位、T単位及び/又はQ単位の構造を有するシリコーンレジンを配合して離型層中のメチル基の濃度を調整し表面張力を増加させたもの。なお、このシリコーンレジンの配合割合は固形分濃度で5〜40重量%であることが好ましい。配合割合が5重量%よりも少ないと離型層の濡れ性が不良となることがあり、40重量%を超えると離型層が硬くなりすぎて耐削れ性が不良となることがあるため好ましくない。
【0037】
【化1】
Figure 0003942481
【0038】
但し、D単位およびT単位においてRはメチル基等のアルキル基またはフェニル基等の芳香族炭化水素基を表わす。
【0039】
[離型層の塗設]
いずれの場合も、離型層は、これら硬化型シリコーンの未硬化の塗液を、ポリエステルフィルムに塗布し、その後硬化させることで形成することができる。すなわち、離型層は、例えば、シリコーン樹脂を0.5〜5重量%の固形分濃度で含有する塗液を基材のポリエステルフィルムに塗布して、乾燥および重合反応を行なうことにより形成することができる。塗液の溶媒としては、例えば、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサンといった有機溶剤を用いることができる。
【0040】
ポリエステルフィルムには、塗液を、例えば3〜10g/m2で塗布する。塗液を硬化させて、離型層を形成するが、このための乾燥および重合反応は、100〜180℃、好ましくは130〜150℃で、15〜120秒間加熱することにより行なうことができる。
【0041】
[水性ゲル層]
本発明では、水性ゲルシート用セパレートフィルムのうえに水性ゲルの層を設け、水性ゲルの層のうえに支持体を積層して水性ゲルシートとする。
【0042】
水性ゲルの層は、水分を多量に含みシート状に展延層できる層であり、例えばポリアクリル酸やその塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンといった水溶性ポリマーを、多価金属塩類で架橋したものを用いることができる。特に、薄膜状に含水ゲル層を形成させるためには、カルボキシビニルポリマーを含み、多価金属塩で架橋されたものを用いるのが好ましい。
【0043】
本発明においてカルボキシビニルポリマーは、広義の意味で用いられ、ポリアクリル酸やポリアクリル酸塩のように、カルボキシビニル基が重合されたものを意味し、その一部もしくは全部が中和されたものを包含し、さらにその一部が架橋されたものを包含する概念である。これらは、例えば、商品名カーボポール、ハイビスワコー、ジュロンとして市販されている。
【0044】
カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸を主としてこれに少量のアリルショ糖などを配した共重合体であって、その一部が架橋された狭義のカルボキシビニルポリマーを包含する概念である。ポリカルボキシビニルポリマーとしては、ポリアクリル酸および/またはその塩が好ましい。なお、ポリアクリル酸としては、アクリル酸塩共重合体、デンプン・アクリル酸塩グラフト共重合体が好ましい。
【0045】
ポリカルボキシビニルポリマーとしては、重量平均分子量2万〜1000万、さらには100万〜700万のものを用いることが望ましい。このポリカルボキシビニルポリマーは、水性ゲル中に2〜30重量%の濃度で含有されることが好ましく、3〜10重量%の濃度で含有されることが好ましい。ポリカルボキシビニルポリマーとして上記範囲の重量平均分子量のものを用い、濃度を上記範囲内に調整することによって、最適な三次元構造をつくることができる。
【0046】
本発明では、水性ゲルシートを保管したときの水性ゲルシート用セパレートフィルムのズレの最大値が水性ゲルシートのサイズの10%以内である水性ゲルシート用セパレートフィルムを得ることができる。
【0047】
上記水性ゲルと水からなる流動性の水性ゲルを、本発明の水性ゲルシート用セパレートフィルムに接して設け、さらに支持体を水性ゲルに接して設けることにより、水性ゲルの表面が保護された水性ゲルシートを製造することができる。水性ゲルには、薬効成分を含有させることができる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳述する。
【0049】
なお、本発明における物性値および特性値は下記の方法により測定した。
(1)最大表面張力(γLmax)
エタノールに対しエチレングリコールを適宜割合で配合し、表面張力が20〜40dyne/cmの範囲にある数種の標準液を調整する。この表面張力はデュヌイの輪環引き上げ法により測定する。次いで、この標準液をフィルムの離型層上に滴下して標準液と離型層との接触角(θ)を測定する。得られた測定角(θ)からcosθ値を算出し、このcosθ値と上記方法により測定された表面張力とのプロット(Zismanプロット)を作成し、その直線の傾きをbとする。また、このZismanプロットの直線とcosθ=1で占めされる直線との好転において表面張力の値はcosθ=1で示される直線との交点における表面張力の価をγC(臨界表面張力)とする。かくして得られたb、γCを用いて下記式(I)からγLmaxを求めた。
【0050】
【数4】
γLmax=1/b+γC/2 (I)
式(I)で、bは上記Zismanプロットより求まる定数、γCは上記の方法で求まる臨界表面張力を表わす。
【0051】
(2)水性ゲルシートのズレ
ポリアクリル酸ナトリウム6重量部、架橋型ポリアクリル酸4重量部、パラオキシ安息香酸エステル0.1重量部をグリセリン40重量部に懸濁させた後、精製水50重量部と乾燥水酸化アルミニウム0.3重量部を配合して水性ゲルを得た。これを幅30cmのテフロン(登録商標)シート(厚み100μm)にゲル厚が約1mmになるように、バーコータを用いて製膜した後、目付100g/mのポリエステル不織布支持体を水性ゲルに接して貼り合わせ、直ちにロール状に30m連続して巻き取った。この後、アルミニウムシートで当該ロールを密封し、50℃で3日間エージングして、ズレ評価用のゲルシートを得た。実施例と比較例で作成したセパレートフィルムの10cm×20cmに対し、得られたズレ評価用ゲルシートを8cm×12cmにカットし、テフロン(登録商標)シートを剥離し、ゲルシートを離型フィルムの上部が2cm、下部が6cm、左右1cmずつになるように張り替え、それらを約3枚ずつ作成し、ジッパーの付いたアルミをラミネートした袋に入れ、それを23℃の室温下で垂直に成るように置き、3日後に開封し、ゲルシートのズレを測定し、ズレ量/ゲルシートの縦方向の長さ(12cm)×100%で表わした。
【0052】
(3)中心線平均粗さ(Ra)
JIS B0601に準じ、小坂研究所株式会社製の商精度表面粗さ計SE−3FATを使用して、針の半径2μm、荷重30mgで拡大倍率20万倍、カットオフ0.08mmの条件下にチャートを描かせ、表面粗さ曲線からその中心線方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線をy=f(x)で表わしたとき、下記式で与えられた値をμm単位で表わす。測定は、基準長を1.25mmとして4回測定し、平均値で表わした。
【0053】
【数5】
Figure 0003942481
【0054】
(4)剥離強度
セパレートフィルムの離形層面に5kgの圧着ローラーで圧着した後、離形層と粘着テープとの剥離力(Rf0)を引張り試験機にて測定した。
【0055】
(5)残留接着率
ポリエステル粘着テープ(ニットー31B)をJIS G4305に規定する冷間圧延ステンレス板(SUS304)に貼り付けた後の剥離力を測定し、基礎接着力(f0)とした。次に新しい前記ポリエステル粘着テープをサンプルフィルムの離形層面に5kgの圧着ローラーで圧着し30秒間維持した後粘着テープを剥がした。そして、この剥がしたポリエステル粘着テープを前記ステンレス板に貼り、該貼合部の剥離力を測定し残留接着力(f)とした。得られた基礎接着力(f0)と残留接着力(f)とから下記式を用いて残留接着率を求めた。
【0056】
【数6】
残留接着率(%)=(f/f)×100
[実施例1]
付加反応型のシリコーン樹脂(信越化学工業(株)製;KS−778、ビニル基とSiH基を含有するポリマー固形分30%のトルエン溶解液)100重量部と、(CHSi 1/2 単位、或いはCH=CH(CHSi 1/2 単位を有するシリコーンレジン(信越化学工業(株)KS−3800)15部と、更に白金触媒(信越化学工業(株)製;PL−50T)1重量部とをトルエンに溶解して、全体の固形分が2重量%のトルエン溶液(離形層塗設用)を調製した。
【0057】
他方、テレフタル酸およびエチレングリコールからつくられたポリエステル(固有粘度0.63)90重量%と酸化チタン(平均粒径:0.25μm)10重量%からなる組成物を、20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して未延伸フイルムとし、次に機械軸方向に3.6倍延伸した後、引き続き横方向に3.9倍延伸し、厚さ75μmの2軸延伸ポリエステルフイルムを得た。これに離形層塗設用塗液を、6g/m2(塗液量ベース)の塗布量で塗布し、150℃、30秒間加熱乾燥および付加重合反応を行なわせ、セパレートフィルムを作成した。評価結果を表1に示す。
【0058】
[実施例2]
付加反応型のシリコーン樹脂(信越化学工業(株)製;KS−778、固形分30%トルエン溶解液)100重量部に、表面に水酸基を有するシリカフィラー(アエロジル200CF)を0.5重量部を加え、更に白金触媒(信越化学工業(株)製;PL−50T)1重量部とをトルエンに溶解して、全体の固形分が2重量%のトルエン溶液(離形層塗設用)を調製した。以下、実施例1と同様にしてセパレートフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0059】
[実施例3]
付加反応型のシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製;SD−7335,固形分30%のトルエン溶液)100重量部に、表面に水酸基を有するシリカフィラーを含有する付加反応型のシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製;BY24−400)を10部とCH=CH(CHSi 1/2 単位を基本構造としたシリコーンレジンを含有する付加反応型のシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製;SD−7236,固形分30%のトルエン溶液)20重量部を加え、更に白金触媒(東レ・ダウコーニング社製;SRX−212)を1.2重量部とをトルエンに溶解して、全体の固形分が2重量%のトルエン溶液(離型層塗設用)を調整した。以下実施例1と同様にしてセパレートフイルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0060】
[実施例4]
硬化型シリコーンおよびシリコーン樹脂の替わりに、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の混合物90重量部に、末端基に−SiOH基を有するジメチルポリシロキサンを10重量部を配合した組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてセパレートフイルムを作成した。評価結果を表1に示す。
【0061】
[比較例1]
付加反応型シリコーン樹脂(信越化学工業(株)製;KS−778、固形分濃度30重量%トルエン溶解液)100重量部と、白金触媒(信越化学工業(株)製;PL−50T)1重量部とをトルエンに溶解して、全体の固形分濃度が2重量%のトルエン溶液(離型層塗設用)を調整したこと以外は実施例1と同様にしてセパレートフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0062】
[比較例2]
実施例2のシリカフィラーの添加量を0.05重量部にしたこと以外は実施例2と同様にしてセパレートフイルムを作成した。評価結果を表1に示す。
【0063】
[比較例3]
実施例2のシリカフィラーの添加量を2.0重量部にしたこと以外は実施例2と同様にして、セパレートフイルムを作成した。評価結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0003942481
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、医薬品、医薬部外品や化粧品等の水性ゲルシート製品に最適なセパレートフィルムを提供することができ、ゲルシートでのセパレートフィルムの擦り下がりや、浮きおよび剥離が少ない水性ゲルシート用製パレートフィルムを提供することができる。

Claims (3)

  1. 中心線平均粗さ(Ra)が100nm〜500nmであるポリエステルフィルムの少なくとも片面に、硬化型シリコーン中に、(i)SiO単位を有するシリカ構造、(ii)SiO単位と(CHSiO1/2単位を有するシリコーンレジン構造、または(iii)SiO単位とCH=CH(CHSiO1/2単位を有するシリコーンレジン構造を有する微粒子を含有する離形層を設けた水性ゲルシート用セパレートフィルムであって、該離型層は下記式(I)で定義される最大表面張力(γLmax)が24〜36mN/mの範囲にある、水性ゲルシート用セパレートフィルム。
    Figure 0003942481
    (式(I)で、bはzismanプロットより求まる定数、γcは臨界表面張力を表す。)
  2. 請求項1記載の水性ゲルシート用セパレートフィルムの上に水性ゲルの層が設けられ、さらにこの層のうえに支持体が設けられた水性ゲルシート。
  3. 水性ゲルシートを保管したときの水性ゲルシート用セパレートフィルムのズレの最大値が水性ゲルシートのサイズの10%以内である、請求項記載の水性ゲルシート。
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