JP3940841B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビジョン受像機、コンピューター等のディスプレイ、メッセージボードなどの文字または画像の表示に用いられる表示装置のアノード電極端子と、電圧供給線に接続された接続端子との接続部に被せられるアノードカバーおよびそれを有する表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CRTにおいて、アノード電極端子と、電圧供給線に接続された接続端子との接続部に、全体が絶縁性材料で構成された吸盤状のアノードカバーを被せ、当該接続部を覆うことで、高電圧が印加される上記接続部へのほこりの付着、水分の浸入を防止し、放電を抑制できるようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献】
実開平4−106861号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アノードキャップで覆う接続部には高電圧が印加されることから、上記従来のアノードキャップでは、アノードキャップで覆った部分のみならず、その周囲の本来グランドレベルにあるべき部分にまで電位分布が発生する。そのため、アノードキャップ周囲へのほこりの付着、水分の吸着により、放電が発生し、アノード電極への電圧印加が不安定になりやすい問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、表示装置のアノード電極への安定した電圧印加を維持できるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的のために、本発明は、アノード電極端子が設けられた基板と、
絶縁性部材を有し、前記アノード電極端子を覆うアノードカバーと、
を有する表示装置において、
前記絶縁性部材の内面側外周縁部の全周に亘って環状に第1の導電性部材が配置され、
前記アノード電極端子の周囲の前記基板上に第2の導電性部材が配置され、
前記第1の導電性部材が前記第2の導電性部材と接触し、前記第1及び第2の導電性部材が所定の電位に規定される
ことを特徴とする表示装置を提供するものである。
【0007】
上記本発明は、前記アノードカバーは、前記絶縁性部材および前記第1の導電性部材が共に弾性材料で構成されており、吸盤状をなすこと、前記アノードカバーは、前記絶縁性部材が弾性材料で構成され、前記第1の導電性部材が可撓性を有する材料で構成されており、吸盤状をなすこと、前記第1および第2の導電性部材が、グランド電位に規定されていること、をその好ましい態様として含むものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいてさらに説明する。
【0011】
まず、本発明に係るアノードカバーについて図1および図2に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明に係るアノードカバーの一例を示す縦断面図、図2はその底面図である。
【0013】
図中Aはアノードカバーで、絶縁性材料で構成された絶縁性本体1と、この絶縁性本体1の一部に設けられた、導電性材料で構成された導電性接触部2とから構成されている。
【0014】
絶縁性本体1は、アノードカバーAの主要部分を構成するもので、その構成材料は、電気的絶縁性に優れた材料であることが好ましい。具体的には、後述する電圧供給線3によって印加される高電圧に対しての絶縁性が機能できるよう、体積抵抗値が1.0×109[Ω/m2]以上の絶縁材料で構成されていることが好ましい。この体積抵抗値の上限は特に制限されるものではないが、一般的には1.0×1014[Ω/m2]程度である。
【0015】
導電性接触部2は、アノードカバーAを表示装置B(図3参照)に取り付けた時に、表示装置Bとの接触する位置に設けられているもので、その構成材料としては、上記絶縁性本体1の構成材料に比して十分な電気的導電性を発揮する材料が用いられる。具体的には、体積抵抗値が1.0×106[Ω/m2]以下の材料であることが好ましい。
【0016】
絶縁性本体1および導電性接触部2の構成材料は、いずれも硬質材料(例えば、絶縁性本体1については硬質合成樹脂、セラミックスなど。導電性接触部2については金属板など。)とすることもできるが、両者とも弾性材料とし、吸盤状のアノードカバーAとすると、アノードカバーAの着脱が容易となるので好ましい。絶縁性本体1を構成する弾性材料としては、例えばシリコーンゴム、クロロプレンゴムなどを挙げることができ、導電性接触部2を構成する弾性材料としては、導電性フィラーを混入したシリコーンゴム、クロロプレンゴムなどを挙げることができる。
【0017】
絶縁性本体1および導電性接触部2の両者を弾性材料で構成した吸盤状のアノードカバーAは、二色射出成形法による一体成形品として容易に製造することができる。具体的には、絶縁性本体1を構成する材料を射出した後、導電性接触部2を構成する材料を所定の位置に射出することで容易に一体成形品を得ることができる。
【0018】
吸盤状のアノードカバーAは、絶縁性本体1を前記弾性材料で構成し、導電性接触部2を可撓性を有する導電性膜として構成することでも得ることができる。この可撓性を有する導電性膜は、導電性ペーストの塗膜として形成することができる。導電性接触部2を導電性ペーストの塗膜として形成する場合、絶縁性本体1を通常の射出成形設備で成形した後導電性接触部2の付設を行えば足るので、射出成形設備が簡易なもので済む利点がある。
【0019】
図示されるアノードカバーAは、伏せ椀状の絶縁性本体1の内面側外周縁部全周に亘って環状に導電性接触部2が形成されたもので、絶縁性本体1および導電性接続部2共に弾性材料で構成されており、表示装置B(図3参照)に押し付けて側壁部4を弾性的に外方に押し広げて偏平化させることで、当該押し付け面に吸着させることができる吸盤状をなしている。導電性接触部2は、アノードカバーAを表示装置Bに吸着させたときに、表示装置Bと接触する位置に設けられているものである。導電性接触部2が接触する表示装置Bの位置は、後述するアノード電極端子5(図3参照)の周辺部分であるが、表示装置Bの筐体表面、表示装置Bの構成部品の表面、表示装置Bに付加された部品の表面のいずれでもよい。
【0020】
絶縁性本体1の頂部は側壁部4に比して肉厚となっており、一側方に管状の電圧供給線挿入部6が延出している。この電圧供給線挿入部6内の空間は、絶縁性本体1の頂部で内側へと屈曲しており、頂部内面に開口している。
【0021】
アノードカバーAは、先端に接続端子7がハンダ付部8を介して取り付けられた電圧供給線3を接続して使用されるものである。この電圧供給線3の接続は、電圧供給線3の先端部に割環状のストッパ9を嵌め込んだ後、この電圧供給線3の先端部を電圧供給線挿入部6内に差し込み保持させると共に、接続端子7を絶縁性本体部1の頂部内面側に臨ませておくことで行われる。
【0022】
次に、上述したアノードカバーを有する表示装置について図3に基づいて説明する。
【0023】
図3は本発明に係るアノードカバーを有する表示装置の一例を示す一部分の断面図である。この図3において、図1および図2と同じ符号は同じ部材または部位を示すものである。
【0024】
図中Bはパネル型の表示装置で、内面にアノード電極および蛍光体(不図示)などを有する前面ガラス板10と、前面ガラス板10との対向面に電子放出素子(不図示)を有する裏面ガラス板11を、枠体(不図示)を介して間隔をあけて対向配置し、内部を排気して真空雰囲気で封止したものとなっている。
【0025】
裏面ガラス板11は、直径10mm程度の孔12が形成されており、この孔12には、アノード電極端子5が外方に突出した状態で封着されている。また、アノード電極端子5は、スプリング電極13を介して前面ガラス板10のアノード電極(不図示)に接続されている。
【0026】
アノードカバーAは、接続端子7が上記アノード電極端子5に差し込まれて接続され、裾部がこの接続部(接続端子7およびアノード電極端子5)の周囲にの周囲に押し付けられて、当該接続部を覆って裏面ガラス板11に吸着されている。従って、電圧供給線3から供給される電圧は、アノードカバーAが被せられた接続端子7およびアノード電極端子5の接続部を介して、スプリング電極13から不図示のアノード電極へと印加されるものとなっている。
【0027】
裏面ガラス板11のアノード電極端子5の周囲には、グランドに接続されたグランド電極14が設けられており、アノードカバーAの導電性接続部2はこのグランド電極14に接触している。
【0028】
ところで、電圧供給線3から不図示のアノード電極に電圧を印加すると、この印加電圧が一般に高電圧であることから、漏れ電流を生じ、前記接続部付近に電位勾配を生じる。本例においては、アノードカバーAの導電性接触部2がグランド電位に規定されたグランド電極14に接触していることから、漏れ電流のルートは、接続端子7から周囲の絶縁性本体部1および導電性接触部2を通ってグランドに流れるルートと、接続端子7からアノード電極端子5、裏面ガラス板11および導電性接触部2を通ってグランドに流れるルートである。いずれのルートも、導電性接触部2からグランドに流れることになるので、発生する電位勾配はアノードカバーA内に納まり、アノードカバーAの外側に電位勾配を生じるのを防止することができる。従って、アノードカバーAの外側に電位勾配を生じることによるほこりの付着や水分の吸着を防止することができ、これらによる放電の発生を抑制して、不図示のアノード電極への印加電圧を安定させることができる。
【0029】
また、アノードカバーの裾側の端部が全周にわたって導電性を有することによって、アノードカバーの裾側の端部の少なくともいずれかに所定電位(好適にはグランド)が供給されることによって裾の端部の全周の電位が該電位に略規定されることになり、アノードカバーの裾の一部が表示装置と接触していない状態になってもアノードカバーの裾の全周の電位を確実に規定できることになる。すなわち、表示装置のアノード電極端子と、電圧供給線に接続された接続端子との接続部に被せられるアノードカバーにおいて、前記表示装置と接触する裾側の端部の全周にわたって導電性を有する部分を設けたことを特徴とするアノードカバーを用いることによって、好適なアノードカバーの電位規定を行うことができる。特にアノード電極端子を有する表示装置にこのアノードカバーが取り付けられた状態において、アノードカバーの裾の導電性を有する部分に所定の電位を供給する手段(好適にはアノードカバーが取り付けられる表示装置に設けられる電極)を設けておくことによって、アノードカバーの電位規定を好適に行うことができる表示装置を実現することができる。
【0030】
上記の例においては、導電性接触部2の電位をグランド電位に規定できるようにしているが、上記アノードカバーAの外側での電位勾配の発生を抑制できる範囲で、グランド電位以外の電位に規定してもよい。但し、アノードカバーAの外側での電位勾配の発生を簡便かつ確実に抑制できるようにする上では、グランド電位に規定することが好ましい。また、上記の例における導電性接触部2の電位の規定は、導電性接触部2を表示装置Bに設けられたグランド電極14に接触させることで行っているが、アノードカバーAに電位規定線を設けておき、この電位規定線を介して導電性接触部2の電位を一定に規定することもできる。具体的には、アノードカバーAに導電性接触部2に接続されたアース線を設けておくことによって、導電性接触部2の電位をグランドレベルに保持することもできる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したとおりのものであり、電位を規定できる導電性接触部2によって電位勾配をアノードカバーA内に納めることができるので、アノードカバーAの外側に電位勾配を生じることによるほこりの付着や水分の吸着を防止することができ、これらによる放電の発生を抑制して、アノード電極への印加電圧を安定させ、表示装置の画像を長期に亘って安定させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアノードカバーの一例を示す縦断面図である。
【図2】図1に示されるアノードカバーの底面図である。
【図3】本発明に係るアノードカバーを有する表示装置の一例を示す一部分の断面図である。
【符号の説明】
A アノードカバー
B 表示装置
1 絶縁性本体
2 導電性接触部
3 電圧供給線
4 側壁部
5 アノード電極端子
6 電圧供給線挿入部
7 接続端子
8 ハンダ付部
9 ストッパ
10 前面ガラス板
11 裏面ガラス板
12 孔
13 スプリング電極
14 グランド電極
Claims (4)
- アノード電極端子が設けられた基板と、
絶縁性部材を有し、前記アノード電極端子を覆うアノードカバーと、
を有する表示装置において、
前記絶縁性部材の内面側外周縁部の全周に亘って環状に第1の導電性部材が配置され、
前記アノード電極端子の周囲の前記基板上に第2の導電性部材が配置され、
前記第1の導電性部材が前記第2の導電性部材と接触し、前記第1及び第2の導電性部材が所定の電位に規定される
ことを特徴とする表示装置。 - 前記アノードカバーは、前記絶縁性部材および前記第1の導電性部材が共に弾性材料で構成されており、吸盤状をなすことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記アノードカバーは、前記絶縁性部材が弾性材料で構成され、前記第1の導電性部材が可撓性を有する材料で構成されており、吸盤状をなすことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記第1および第2の導電性部材が、グランド電位に規定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
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