JP3940710B2 - 掘進装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は掘進装置に関し、詳しくは地山の緩みによる切羽の崩落を最小限に抑えながら安定的に掘進できるようにする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば矩形断面に掘削する掘進装置としては、掘削機本体の先端部に掘進方向と直交する水平軸で回動するドラムカッターを上下2体取り付けた構造のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、前記掘進装置は上下の各ドラムカッターが掘削機本体から同一距離の位置に取り付けられているから、緩み易い地山の場合、切羽の上部が崩落した土砂がドラムカッターを直撃して回転を阻害し、安定的な掘進ができなくなる問題があった。また、掘削土砂の排出路が下段だけに設置されているから、上下の水圧や土圧に別々に対応できず、掘削土砂の排出が円滑に行われない問題があった。さらに、ドラムカッターが大型で大きな駆動力を必要とするから、コスト高となり、小・中口径の掘進機への応用は不向きであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−229774号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、地山の緩みによる切羽の崩落を最小限に抑えながら安定的に推進でき、しかも切羽圧力が上下で異なっても掘削土砂の排出を円滑に行える推進装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 掘削機の後端に推進管を連結して掘進方向へ押し出し、切羽に添加材を送り込みながら地盤を掘削し、掘削土砂を添加材と混合撹拌して取り込んで排出し、押し込んだ推進管の後端に後続の推進管を次々と継ぎ足して地中に管路を構築する掘進装置において、前記掘削機のカッターを上下複数段設け、各カッターの後方に隔壁をそれぞれ設け、各隔壁に添加材の注入口と掘削土砂及びその混合物の排泥口をそれぞれ設け、しかも各排泥口に取り込んだ掘削土砂及びその混合物を後方に送出する排土路をそれぞれ設け、更に各排土路それぞれに切羽圧力を調整する圧力バルブを設け、上下独立して切羽圧力制御できるようにし、上側のカッター及び隔壁を下側のカッター及び隔壁より掘進方向へ突出するように位置をずらした構造とし、地盤の上下部分を上から段階的に距離をおいて掘削することで切羽の崩落を低減できるようにしたことを特徴とする掘進装置
2) 各カッターの先端同士を結んだ仮想線の傾斜角を切羽の安息角とし、地山の緩みを防止できるようにした前記1)記載の掘進装置
3) 掘削機のカッターが、掘進方向と直交する水平な回転軸に複数の爪体を軸端間に渡って突設した構造で、矩形断面の推進管を用いて矩形断面の管路を構築できるようにした前記1)又は2)記載の掘進装置
にある。
【0007】
【作用】
本発明によれば、前後に位置をずらせた上下の各カッターで地盤の上下部分を距離をおいて上から段階的に掘削するから、地山が緩くて切羽が崩落し易い場合でも上側のカッターが崩落前に掘削して安定的に掘進される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の上下複数段のカッターは、その各カッターの先端同士を結んだ仮想線の傾斜角を切羽の安息角(崩落しない角度)にするのが望ましい。様々な地質による安息角の違いに対応できるように上側又は下側のカッターの位置を前後方向へ調整して仮想線の傾斜角を変更できる構造にしてもよい。
【0009】
また、掘削位置毎に排土圧が異なることがあるから、排泥口から取り込んで掘削土砂を後方へ送出する各排土路に切羽圧力を調整するバルーン状の圧力バルブをそれぞれ設け、切羽圧を上下独立して綿密に制御できるようにしている。
【0010】
掘削機のカッターとしては常用のリングカッターの他、水平な回転軸に複数の爪体を軸端間に渡って突設した構造カッターを用いると、矩形断面の推進管を用いて矩形断面の管路を構築できる。また、両端側のカッターの側面にカッタービットを突設して外郭も削孔できるようにしてもよい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【0011】
【実施例】
図1〜6に示す実施例は、矩形断面の管路を構築する掘進装置に本発明を適用した例である。図1は実施例の掘削機の説明図、図2は実施例の掘削機の正面図、図3は実施例の掘削機の斜視説明図、図4は実施例の掘削機のカッターを省略した状態の斜視説明図、図5は実施例の推進管の断面図、図6は実施例の矩形断面推進装置の使用状態を示す説明図である。
【0012】
図中、1は掘削機、1aはケーシング、1bは隔壁、1cは排泥口、1dは注入口、2は回転軸、3はカッター、3aはカッタービット、4は直交軸ギヤモータ、4aはカバー、5は排土路、6は圧力バルブ、7は排土貯留槽、8は添加材注入路、Aは切羽、Gは地盤、Gaは掘削土砂、Hは推進管、Sは削孔である。
【0013】
本実施例の矩形断面掘進装置の掘削機1は、図1〜4に示すように箱型のケーシング1aの前部に上側が下側より前方へ突出するように上下位置をずらして湾曲状の隔壁1bを形成し、各隔壁1bに掘削土砂Ga及び泥水泥土を取り込む排泥口1cを開口し、各隔壁1b及びケーシング1aの上下面に泥水泥土を切羽Aへ注入する注入口1dをそれぞれ開口している。
【0014】
各隔壁1bの前方には掘削方向と直交する水平な回転軸2を上下の各水平軸2を結んだ仮想線の傾斜角θが切羽Aの安息角となるように位置をずらして軸支し、各回転軸2に複数の爪状のカッター3を各軸端間に渡って複列に突設し、しかも両端側の各カッター3側面にカッタービット3aを突設し、各回転軸2後方のケーシング1a内にハイポニック減速機(商標,住友重機械工業株式会社製)からなる直交軸ギヤモータ4をそれぞれ配設し、各直交軸ギヤモータ4の出力軸と各回転軸2間に図示しない駆動チェーンを掛架している。
【0015】
ケーシング1a内には先端の排泥口1cから通じる排土路5を後方へ向けてそれぞれ配管し、各排土路5の途中に切羽Aの圧力を調整するバルーン状の圧力バルブ6を設け、各排土路5の後部を連結してその排出先に掘削土砂Gaを一時的に貯留する排土貯留槽7を設け、注入口1dから通じる添加材注入路8を配管して図示しない供給装置から泥水泥土を送出できるようにしている。
【0016】
本実施例では、発進立坑内で掘削機1を作動させた状態で図示しない油圧ジャッキにより掘削方向へ押し出し、各注入口1dから泥水泥土を切羽Aへ注入しながら地盤Gを掘削して掘削土砂Gaと泥水泥土を排泥口1cから取り込んで図示しないコンベヤやスクリューで排出し、掘削機1の後端に矩形断面の推進管Hを連結してその後端を図示しない油圧ジャッキで押し出し、順次推進管Hを継ぎ足しながら掘進していく。
【0017】
ここで、切羽Aでは地山の緩みによっては掘削時に崩落することがあり、この崩落した土砂が掘削機のカッターを直撃して掘進を阻害する。しかし、本実施例では上下の各カッター3の先端間を結んだ仮想線の傾斜角θを切羽Aの安息角としたから、切羽Aが崩落し易くても上側のカッター3が崩落前に掘削し、実際に崩落することなく安定的な掘進が可能となった。また、掘削土砂Gaの排出を上下独立して行うから、切羽Aの圧力が上下部分で異なっても各圧力バルブ6で切羽Aの圧力を独立して調節することで掘削土砂Gaの排出を円滑に行えるようになった。
【0018】
図7,8に示すのは、実施例の掘削機の他の例である。図7は実施例の他の例の掘削機の説明図、図8は実施例の他の例の掘削機の斜視説明図である。図中、1eはフード部、1fは溝部である。
【0019】
実施例の他の例の掘削機1は、図7,8に示すようにケーシング1aの天上部を前方へ延設して先端がエッジ状のフード部1eを形成し、同フード部1eに各カッター3が通る溝部1fをそれぞれ形成している。従って、掘削停止時に地山の緩みで切羽Aが崩落してもフード部1eで防護して安全となる。その他、符号、構成は実施例と同じである。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば地山の緩みによる切羽の崩落を最小限に抑えながら安定的に掘進でき、しかも切羽圧力が上下で異なっても掘削土砂の排出を円滑に行える、小型・軽量化が容易な小・中口径の掘削向きの掘進装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の掘削機の説明図である。
【図2】実施例の掘削機の正面図である。
【図3】実施例の掘削機の斜視説明図である。
【図4】実施例の掘削機のカッターを省略した状態の斜視説明図である。
【図5】実施例の推進管の断面図である。
【図6】実施例の矩形断面掘進装置の使用状態を示す説明図である。
【図7】実施例の他の例の掘削機の説明図である。
【図8】実施例の他の例の掘削機の斜視説明図である。
【符号の説明】
1 掘削機
1a ケーシング
1b 隔壁
1c 排泥口
1d 注入口
1e フード部
1f 溝部
2 回転軸
3 カッター
3a カッタービット
4 直交軸ギヤモータ
4a カバー
5 排土路
6 圧力バルブ
7 排土貯留槽
8 添加材注入路
A 切羽
G 地盤
Ga 掘削土砂
H 推進管
S 削孔
Claims (3)
- 掘削機の後端に推進管を連結して掘進方向へ押し出し、切羽に添加材を送り込みながら地盤を掘削し、掘削土砂を添加材と混合撹拌して取り込んで排出し、押し込んだ推進管の後端に後続の推進管を次々と継ぎ足して地中に管路を構築する掘進装置において、前記掘削機のカッターを上下複数段設け、各カッターの後方に隔壁をそれぞれ設け、各隔壁に添加材の注入口と掘削土砂及びその混合物の排泥口をそれぞれ設け、しかも各排泥口に取り込んだ掘削土砂及びその混合物を後方に送出する排土路をそれぞれ設け、更に各排土路それぞれに切羽圧力を調整する圧力バルブを設け、上下独立して切羽圧力制御できるようにし、上側のカッター及び隔壁を下側のカッター及び隔壁より掘進方向へ突出するように位置をずらした構造とし、地盤の上下部分を上から段階的に距離をおいて掘削することで切羽の崩落を低減できるようにしたことを特徴とする掘進装置。
- 各カッターの先端同士を結んだ仮想線の傾斜角を切羽の安息角とし、地山の緩みを防止できるようにした請求項1記載の掘進装置。
- 掘削機のカッターが、掘進方向と直交する水平な回転軸に複数の爪体を軸端間に渡って突設した構造で、矩形断面の推進管を用いて矩形断面の管路を構築できるようにした請求項1又は2記載の掘進装置。
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