JP3939761B2 - 着色スルホポリエステルを含む水性リップグロス及び化粧料組成物 - Google Patents
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Description
本願は1996年5月21日提出の仮出願第60/017812号の利益を請求する。
発明の分野
本発明は、着色剤部分がスルホポリエステルのカルボニルオキシ及び/又はカルボニルアミド主鎖中に又は主鎖上に組み入れられている水分散性、着色スルホポリエステルの使用を含んでなる水性リップグロス及び化粧料並びに唇及び皮膚用化粧料組成物に関する。
発明の背景
伝統的な口紅は、種々のタイプのワックスで所望の稠度に剛化された油又は脂肪基剤から作られ、ワックスはまた口紅の融点を上げかつ物理的安定性を改良する作用をする。カラーは基剤中に微分散された不溶性顔料又は「レーキ」並びに唇を着色するテトラブロモフルオレッセンのような1種又はそれ以上の螢光染料誘導体によって通常与えられる。口紅を製造するプロセスにおいて、ボールミル、サンドミル、ローラミル、コロイドミルなどのような種々のミルを用いて、不溶性顔料を油又は脂肪基剤中に練り込むことが必要である。この混練の目的は顔料の粒径を減少させることのみならず、顔料を基剤中に均一に分散させかつ基剤によって湿潤させることにある。
米国特許第3,148,125号は、着色剤が、顔料でなく、油溶性又は水溶性の染料である透明な口紅を開示している。これらの染料は、ポリアミド樹脂をベースとするゲル中に可溶化される。水溶性染料は低級脂肪族共溶媒を用いることによって配合物と混和性にされる。
米国特許第3,957,969号は、水1〜50重量%、グリセロール、マンニトール、ズルシトール及び炭水化物から選ばれるポリヒドロキシ化合物1〜10重量%並びに多価アルコールのオレイン酸エステル1〜5重量%と残りの化粧料基剤物質からなる。油中水型エマルジョンから製造された化料スティックを開示している。ポリヒドロキシ化合物は均一に分布された着色物質を含む油中水型化料スティックを得るのに必須であることが開示されている。
米国特許第5,085,856号は、乳化剤系が、第一乳化剤としてのリン脂質と、−20℃〜80℃の融点を有する第二乳化剤とからなる油中水型エマルジョンに基づく口紅を開示している。第二の乳化剤の例としてはグリセロール誘導体及び脂肪アルコールのヒドロキシ酸とのエステルがあげられる。慣用の油溶性着色剤が用いられる。これらはヒマシ油、ラノリンなど中の分散体として組み入れられる。
米国特許第4,804,719号は水可溶化スルホネート基を有するカルボニルオキシ及びカルボニルアミド結合、特にポリエステル及びポリエステルアミドと、該ポリマー主鎖上に又は主鎖中に共重合された着色剤を含むポリマー組成物を開示している。これらのポリマーは接着剤、被覆材、フィルム及び包装材に有用であると記載されている。更にこれらの物質の水性分散液はインク、塗料及びその他の工業用被覆としての用途(これらはすべてその性質上永久的なものとして意図されている)を有すると述べられている。しかし、唇又は皮膚の着色という非永久性の特定の分野、その他についての開示は全くない。
本発明のリップグロス及び化粧料組成物は、着色剤を均一に分散させるための着色剤の練り合せを必要とする従来の口紅、リップグロス及び化粧料組成物の有する欠点を克服するものである。リップグロスに加えて、本発明に化粧料は、ほお紅、メーキャップベース、アイメーキャップ及びリップスティック(口紅)のようなメーキャップ製品に関する。
更に、本発明のリップグロス及び化粧料組成物の水分散性着色スルホポリエステル成分は人の唇や皮膚の表面着色に有利に使用できることは予想外である。この結果は、人の唇や皮膚の表面と、インキや塗料が通常適用されるセルロースを基材とした紙、容器及びその他の人工的下地の表面との間の化学的組成及び性質の重要な相違の故に、予期されないものである。後者の表面上への適当な湿潤接着及び皮膜形成は人の唇や皮膚の表面上の性能を予期させるものではない。更に、石けんや水での皮膚からの除去や唇や皮膚上への非永久着色のような他の性質は、インキ、塗料又は被覆のようなそれらの工業的使用からは、特にかかる適用は永久を意図するか永久的であるから、予期し得ないものであった。
発明の要約
従って、本発明の目的は、唇や皮膚の表面に付着する皮膜を形成する水分散性、着色スルホポリエステルを用いて唇や皮膚を着色する組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、着色剤を均一に分散させる練り合せ工程を必要としない水分散性、着色スルホポリエステルを含むリップグロスを製造する方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、唇や皮膚を保護する皮膜を形成する水分散性、着色スルホポリエステルを用いて唇や皮膚を着色する組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、比較的安定な皮膜を形成し、かつ唇又は皮膚を刺激しない、水分散性、着色スルホポリエステルを用いて唇及び皮膚を着色する組成物を提供することにある。
本発明に従えば、肉眼で着色が確認されるのに必要な量の、少なくとも一種の、水性エマルジョンの形の水分散性スルホポリエステル及びこのスルホポリエステル主鎖中に又は主鎖上に反応させた着色剤を含んでなる唇又は皮膚用化粧料組成物が提供される。このヒドロキシ当量に対する酸当量の割合が実質的に等モル比であるスルホポリエステルは、以下の反応体及びそれらのエステル形成性誘導体の反応残留物を含んでなる。
(a)芳香族ジカルボン酸、飽和脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びこれらの組合せからなる群から選ばれたジカルボン酸、
(b)ジオール、
(c)ヒドロキシ、カルボキシ及びアミノからなる群から選ばれた官能基を含む2官能スルホモノマーであって、芳香族環又は脂環族環に結合した少なくとも一つのスルホネート基を含む、全酸及びヒドロキシ当量の合計200モル%に基づいて、4〜25モル%の2官能スルホモノマー、並びに
(d)全酸及びヒドロキシ当量の合計約200モル%に基づいて、1〜40モル%の式:
X−Col−X
〔式中、Colは顔料残基であり、Xは、独立に、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、エステルラジカル及びアミドラジカル(該両ラジカルは式:
(式中、R1は非置換もしくは置換のC1〜C5アルキル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル及び置換フェニルからなる群から選ばれ、そしてR2は水素及びR1である))からなる群から独立に選ばれた縮合性のカルボニルオキシ−反応性又はカルボニルアミド−反応性置換基である〕
の着色剤。
発明の記述
人の唇及び皮膚の着色は、有効量の水分散性着色スルホポリエステル及びこのスルホポリエステル主鎖中に又は主鎖上に反応させた着色剤を唇及び皮膚に適用することを含んでなる本発明の方法によって、好都合に、迅速に、そして安全に提供される。本明細書で使用する用語「有効量」は肉眼で着色が確認されるのに必要な量をいう。
本発明の着色スルホポリエステルは、線状分子構造中に約20〜約100モル%のカルボニルオキシ結合基と0〜約80モル%のカルボニルアミド結合基を含む。この着色スルホポリエステルは、約3,000〜約15,000、より好ましくは4,000〜10,000の数平均分子量及び溶媒100ml中ポリマー0.10gの濃度でフェノール/テトラクロロエタンの60/40重量部溶液中で25℃で測定して、約0.10〜約0.50のインヘレント粘度を有する。この着色スルホポリエステルは、ヒドロキシ及びアミノ当量(100モル%)に対して、実質的に等モル比の酸当量(100モル%)を含み、そしてジカルボン酸、ジオール、2官能スルホモノマー及び着色剤並びにそれらのエステル形成性及びエステルアミド形成性誘導体の反応残留物(生成物)からなる。
スルホポリエステルのジカルボン酸成分は、好ましくは炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸、好ましくは炭素数4〜12の飽和脂肪族ジカルボン酸、及び好ましくは炭素数8〜12の脂環族ジカルボン酸から選ばれる。ジカルボン酸の具体例は、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、コハク酸、グルタン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバンシ酸などがある。スルホポリエステルは上記ジカルボン酸の2種又はそれ以上から調製することができる。
これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物の使用も「ジカルボン酸」という用語に含まれる。
スルホポリエステルのジオール成分としては、好ましくは炭素数6〜20の脂肪族ジオール又は好ましくは炭素数3〜20の脂肪族ジオールがあげられる。そのようなジオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、3−メタルペンタンジオール−(2,4)、2−メチルペンタンジオール−(1,4)、2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3)、2−エチルヘキサンジオール−(1,3)、2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,3)、1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン、2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシピロポキシフェニル)−プロパンである。スルホポリエステルは上記ジオールの2種又はそれ以上から調製できる。
前記スルホポリエステルは更に式:
H(OCH2CH2)nOH
(式中、nは約2〜約500の整数である)のポリ(エチレングリコール)繰返し単位に含むことができる。一般に、加入されたポリ(エチレングリコール)のモル%は前記範囲内のnの値に反比例する。
スルホポリエステルの2官能性スルホモノマー成分はスルホネート基(−SO3−)を含むジカルボン酸又はそのエステル、スルホネート基を含むジオール又はスルホネート基を含むヒドロキシ酸とすることができる。スルホン酸塩のカチオンはNa+,Li+,K+,NH4 +及び置換アンモニウムとすることができる。用語「置換アンモニウム」は炭素数1〜4のアルキル又はヒドロキシアルキルラジカルで置換されたアンモニウムを意味する。2官能スルホモノマーは、官能基がヒドロキシ、カルボキシ又はアミノであり、芳香族環に結合した少なくとも一つのスルホネート基を含む。
有利な2官能スルホモノマー成分は、スルホン酸塩基がベンゼン、ナフタレン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニル又はメチレンジフェニル環のような芳香族酸核に結合したものである。好ましいスルホモノマーは、スルホフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸及びこれらのエステルから選ばれる。スルホモノマーはジカルボン酸100モル%及びジオール100モル%に基づいて4〜25モル%の量で存在する。
好ましい結果は、2官能スルホモノマー成分が5−ソジオスルホイソフタル酸又はそのエステルで、ジオールがエチレングリコール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールと、ジエチレングリコールとの混合物である。
スルホポリエステルの着色剤成分は最初少なくとも一つの縮合性の基を有する1種又はそれ以上の熱安定性有機化合物を含む。本明細書において、「熱安定性」なる用語は少なくとも約270℃まで安定であることを意味する。着色剤は練り合せを必要とせず。皮膜形成後は水に不溶性である。着色剤はすべての反応体ヒドロキシ、カルボキシ及びアミノ等価物(又は当量)のすべての合計に基づいて約1〜約40モル%の量で存在する。これらの等価物はそれらの種々の縮合性誘導体、例えばカルバルクオキシ(carbalkoxy)、カルバリールオキシ、N−アルキカルバミルオキシ(alkycarbamyloxy)、アシルオキシ、クロロカルボニル、カルバミルオキシ、N−(アルキル)2カルバミルオキシ、アルキルアミノ、N−フェニルカルバミルオキシ、シクロヘキサノイルオキシ及びカルボシクロヘキシルオキシを包含する。
前記着色剤は式:
X−Col−X
(式中、Colはヒドロキシ、カルボキシ及びアミノ等価物から選ばれた少なくとも一つの官能基を有する着色剤残基又はその縮合性誘導性であり、Xは縮合性のカルボニルオキシ−反応性又はカルボニルアミド−反応性置換基、即ちスルホポリエステルが製造されるモノマーの少なくとも一つと反応性の基である)
によって表される。Xが示すことのできる反応性基の例は、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、エステルラジカル、アミドラジカルなどである。エステルラジカルは式:
(式中、R1は非置換又は置換のC1〜C5アルキル、C3〜C8シクロアルキル、フェニル及び置換フェニルを表わす)
の任意のラジカルであることができる。
R1は好ましくは炭素数約4までの非置換アルキル、例えばメチル及びエチルである。R2は水素又はR1についてリストした基である。R1及びR2で表わされるアルキル基の典型的な置換基はヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ及びハロゲン、フェニル、シクロヘキシル、2−フリル、シアノ及びハロゲンである。R1及びR2で表わされるフェニル基の置換基は典型的にC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ及びハロゲンである。置換フェニル基の例は、4−メチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3−メチルフェニル、2−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、4−エトキシフェニル、4−n−ブチルフェニル、3−イソプロポキシフェニル、4−t−ブチルオキシフェニル、2−エトキシ−5−メチルフェニル及び2,5−ジエトキシフェニルである。反応性基Xは、好ましくは炭素数約4以下のヒドロキシ、カルボキシ、カルバルクオキシ又はアルカノイルオキシ、例えばカルボメトキシ又はアセトキシである。Xは二つの異なった反応性基、例えば一つの基Xはヒドロキシで他の基Xはカルボキシを示すことができることはいうまでもない。
安定な着色剤は米国特許第4,804,719号に記載されており、この特許の開示を引用によって本明細書に組み入れるものとする。着色剤は種々の色とすることができ、原則的にはそれらはいずれも単独又は組み合せて本発明の化粧料組成物の調製に用いることができる。着色剤は、好ましくは、メチン、ビス−メチン、アントラキノン、3H−ジベンズ〔f,ij〕イソキノリン−2,7−ジオン(アントラピリドン)、トリフェノジオキサジン、5,12−ジヒドロキノキサリノ〔2,3−b〕フェナジン(フルオリンジン)、フタロイルピロコリン、2H−1−ベンゾピラン−2−オン(クマリン)3H−ナフト〔2,1−b〕−ピラン−2−オン(ベンゾクマリン)、4−アミノ−1,8−ナフタルイミド、チオキサンテン−9−オン、2,5(3)−アリールアミノテレフタル酸(又はエステル)、ベンゾ〔f〕ピリド〔1,2−a〕インドール−6,11−ジオン、キノフタロン、7H−ベンズ(de)アントラセン−7−オン(ベンザントロン)、7H−ベンゾ(e)ペリミジン−7−オン(アントラピリミジン)、6,15−ジヒドロ−5,9,14,18−アントラジンテトロン(インダントロン)、7H−ジベンズ〔f,ij〕イソキノリン−7−オン(アントラピリジン)、6H,18H−ピリド〔1,2−a:3,4−b′〕ジインドール−6,13−ジオン、ジインドロ〔3,2,1−de:3′,2′,1′−ij〕〔1,5〕ナフトピリジン−6,13−ジオン、ナフト〔1′,2′,3′:4,5〕キノ〔2,1−b〕キナゾリン−5,10−ジオン、ベンゾ〔f〕ピリド〔1,2−a〕インドール−6,11−ジオン、7H−ベンズイミダゾ〔2,1−a〕〔de〕イソキノリン−7−オン、5H−ベンゾル〔a〕フェノキサジン−5−オン、5H−ベンゾ〔a〕フェノチアジン−5−オン、ベンゾ〔f〕ピリド〔1,2−a〕インドール−6,11−ジオン、3,6−ジアミノピロメリット酸ジイミド、ナフタレン〔1:4:5:8〕テトラカルボン酸ビスイミド、3−アリール−2,5−ジオキシピロリン、ペリーノン(perinone)、ペリーレン(perylene)、フタロシアニン、アントライソチアゾール、キナクリドン、アントラピリミドン、フタロイルアクリドン、フタロイルフェノチアジン及びフタロイルフェノチアジン−S,S−ジオキサイドからなる群から好ましくは選ばれる。
着色剤の特に好ましい群はメチル、ビス−メチン、アントラピリドン、アントラキノン及びフタロシアニンである。着色スルホポリエステルには1種より多い着色剤を組み入れることができる。着色剤は、共重合されるので、着色剤は抽出又は物体との接触によって着色スルホポリエステルから除けず、従って有機物質に対して曝された際の毒性問題を最小にすることができる。
着色スルホポリエステルは、米国特許第3,546,008号、同第3,734,874号、同第3,779,993号、同第4,233,196号、同第4,335,220号、そして、特に米国特許第4,804,719号に開示されたスルホ含有ポリマーの製造技術によって製造され、これらの特許の内容を引用によって本明細書に組み入れる。
最終リップグロス及び化粧料組成物中の着色剤の濃度は、着色スルホポリエステル中の染料部分の濃度及び染料部分の色の固有強度の両者に依存して変動する。一般的には染料部分は最終着色スルホポリエステルの1〜40重量%を構成する。好ましくは10〜30%であろう。
別の水性リップグロス及び化粧料組成物においては、着色スルホポリエステルは、前述のジカルボン酸、ジオール及び二官能性スルホモノマーの反応残留物からなる未着色水分散性スルホポリエステル並びにそのエステル生成性及びエステルアミド生成性誘導体95重量%以下とブレンドすることができる。無色の水分散性スルホポリエステルは、イーストマンケミカル社(Eastman Chemical Company)からEastman AQ29D,38D,38S,48Ultra,55D及び55Sとして市販されている。
本発明のリップグロス及び化粧料組成物には多くの他の成分を添加してその性能特性を高めることができる。例えば保恒剤、分散剤、湿潤剤、凝集剤、C6〜C10脂肪族カルボン酸のトリグリセリド、プロピレングリコールミリスチルアセテート、ラノリン油、ポリブテン、オレイルアルコール、ペトロラタム、カスター油、コーン油、ナタネ油、ホホバ油、及びミネラルオイルなどの油類、キャンデリラワックス、オゾケライトワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、スペルマセチ(sper maceti)、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びシリコンワックスなどのワックス類、ラノリン、石油ゼリー、エチレングリコールモノステアレート、ソルビタモノオレエート、ポリエチレングリコール200ジラウレート、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びモルホリノオレエートなどのような乳化剤、レシチン、香水、緩衝剤、キレート剤、紫外線吸収剤、安定剤、充填剤、ベントナイトなどのような増粘剤、二酸化チタンのような乳白剤、グアニン、ビスマスオキシクロリド並びに真珠箔顔料などを、通常全組成物当り5重量%以下含ませることができる。これらの添加剤のすべて及びその使用は業界において周知である。
以下の非限定例は本発明の実施を更に説明する。
例1
水分散性着色スルホポリエステルの調製
ジメチルイソフタレート59.41g(0.31モル)、スルホイソフタル酸18.01g(0.06モル)、ジエチレングリコール25.71g(0.24モル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール24.75g(0.17モル)、酢酸ナトリウム0.75g(0.004モル)及び1,5−ビス(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルアミノ)アントラキノン42g(0.1モル)の混合物を調製した。この混合物を丸底フラスコに入れ、n−ブタノール中のチタン(IV)ブトキシド溶液中の0.03g/mlチタンの十分な量を添加して混合物中の75ppmチタン濃度とした。このフラスコを温度200℃の加熱浴中に浸した。真空を適用し、更に20分間加熱を続け、次に混合物を冷却した。着色スルホポリエステル生成物を分析のために粉砕した。
ゲル相クロマトグラフ分析によれば、着色スルホポリエステルは数平均分子量(Mn)6,270及び重量平均分子量(Mw)12,436であった。NMR分析によれば、着色スルホポリエステルはアントラキノン成分31.4重量%を含んでいた。
例2
水分散性着色スルホポリエステルの調製
ジメチルイソフタレート51.6g(0.27モル)、スルホイソフタル酸24.86g(0.084モル)、ジエチレングリコール58.3g(0.55モル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール11.4g(0.079モル)、酢酸ナトリウム0.75g(0.009モル)及び1,5−ビス(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルアミノ)アントラキノン10g(0.024モル)の混合物を調製した。この混合物を丸底フラスコに入れ、n−ブタノール中のチタン(IV)ブトキシド溶液中の0.03g/mlチタンの十分な量を添加して混合物中の75ppmチタン濃度とした。このフラスコを温度200℃の加熱浴中に浸した。真空を適用し、更に20分間加熱を続け、次に混合物を冷却した。着色スルホポリエステル生成物を分析のために粉砕した。
ゲル相クロマトグラフ分析によれば、着色スルホポリエステルは数平均分子量(Mn)4,662及び重量平均分子量(Mw)12,200であった。NMR分析によれば、着色スルホポリエステルはアントラキノン成分9.1重量%を含んでいた。
例3
水分散性着色スルホポリエステルの調製
ジメチルイソフタレート74.56g(0.38モル)、スルホイソフタル酸12.73g(0.043モル)、ジエチレングリコール56.13g(0.53モル)、1,4−シクロヘキサンジメタノール13.93g(0.097モル)、酢酸ナトリウム0.33g(0.004モル)及び1,5−ビス(2−メトキシ−5−N(2−ヒドロキシエチル)−N−エチルスルファモイルアニリノ)アントラキノン28g(0.037モル)の混合物を調製した。この混合物を丸底フラスコに入れ、n−ブタノール中のチタン(IV)ブキトシド溶液中の0.03g/mlチタンの十分な量を添加して混合物中75ppmチタン濃度とした。このフラスコを温度200℃の加熱浴中に浸した。真空を適用し、更に20分間加熱を続け、次に混合物を冷却した。着色スルホポリエステル生成物を分析のために粉砕した。
ゲル相クロマトグラフ分析によれば、着色スルホポリエステルは数平均分子量(Mn)9,361及び重量平均分子量(Mw)25,591であった。NMR分析によれば、着色スルホポリエステルはアントラキノン成分19.9重量%を含んでいた。
リップグロスの調整プロセス
1.A部の成分を一緒にし、撹拌下に約85℃に加熱して均一なメルトとした。
2.混合物を75℃に冷却した。
3.撹拌下に着色スルホポリエステルに水分散液にホウ酸ナトリウムを添加し、75℃に加熱することによってB部を調製した。この水分散液は、染料部分30重量%を含む着色スルホポリエステル16重量%を含んでいた。
4.A部及びB部の温度を共に75℃に調節し、撹拌下にA部にB部をゆっくり添加した。
5.リップグロスを冷却しながら、撹拌を続行した。
得られたリップグロスはピンクがかった赤色で唇に容易に拡がり光沢仕上りを呈した。このリップグロスは石けん及び水でこすることによって唇から除去された。
着色化粧料の調整プロセス
1.A部の成分を一緒にし、撹拌下に約85℃に加熱して均一なメルトとした。
2.混合物を75℃に冷却した。
3.撹拌下に着色スルホポリエステルに水分散液にホウ酸ナトリウムを添加し、75℃に加熱することによってB部を調製した。この着色スルホポリエステルの水分散液は、186.78gの水を85〜90℃に加熱し、次いで例2で調製した着色スルホポリエステル13.22gを撹拌下に添加し、分散液が均一になるまで撹拌し、冷却し、そして蒸発した水を補給した。
4.A部及びB部の温度を共に75℃に調節し、撹拌下にA部にB部をゆっくり添加した。
5.リップグロスを冷却しながら、撹拌を続行した。
得られた化粧料は固化してクリーム状になり、これは皮膚上に容易に拡がり光沢仕上がりを呈した。この化粧料は石けん及び水でこすることによって唇から除去された。
着色化粧料の調製プロセス
1.撹拌下に水にビーガム及びナトリウムカルボキシメチルセルロースをゆっくり添加してA部を調製した。
2.B部の成分を一緒にし、混合した。例1のようにして染料25重量%を含む着色スルホポリエステルを調製した。
3.B部にA部を添加し、75℃に加熱した。
4.C部の成分を一緒にし、完全に溶解するまで約75℃に加熱した。
5.A部とB部とを一緒にしたものに、D部を添加した。
6.すべての成分を75℃にして、A部、B部及びD部を一緒にしたものにC部を添加した。組成物が冷却するまで撹拌を続けた。
得られた化粧料は濃稠で皮膚に容易に拡がり光沢仕上りを呈するローションが得られた。
着色化粧料の調製
1.沸とう水63.17gに共重合赤色染料20重量%を含む着色スルホポリエステル3.33gを添加し、30分間撹拌することによってA部の着色剤分散液を調製した。
2.A部の着色剤分散液に70℃でA部の成分を添加し、次いでCを添加した。
3.B部の成分を一緒にし、85℃に加熱して一緒に溶融させ、次いで70℃に冷却した。
4.すべての成分を70℃とし、A部及びC部を一緒にしたものにB部を添加した。
5.組成物が冷却するまで撹拌を続けた。
得られた化粧料は室温で液体であり、皮膚に容易に広がった。
本発明のリップグロス及び化粧料組成物は唇及び皮膚の表面に付着(又は接着)する皮膜を形成する水分散性着色スルホポリエステルを使用する。これらの組成物はそれらのアプリケーターとしての使用を可能にするのに十分強くかつ安定な形態を有し、それでいてなお唇及び皮膚上からこすり落すことができる。更に、この皮膜は安全で唇や皮膚を刺激しない。更に、本発明のリップグロス及び化粧料組成物を製造するプロセスは着色剤を均一に分散させるために練り合せ工程を必要としない。
以上本発明をその特定の態様に基づいて記述したが、当業界の技術の範囲内で変更や改変をなし得ることはいうまでもない。本発明は請求の範囲のみによって定められるものである。
Claims (10)
- 肉眼で着色が確認されるのに必要な量の、少なくとも一種の、水性エマルジョンの形の水分散性スルホポリエステル及びこのスルホポリエステル主鎖中に又は主鎖上に反応させた着色剤を含んでなる唇又は皮膚用化粧料組成物。
- ヒドロキシ当量に対する酸当量の割合が等モル比であるスルホポリエステルが、以下の反応体及びそれらのエステル形成性誘導体:
(a)芳香族ジカルボン酸、飽和脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びこれらの組合せからなる群から選ばれたジカルボン酸、
(b)ジオール、
(c)ヒドロキシ、カルボキシ及びアミノからなる群から選ばれた官能基を含む2官能スルホモノマーであって、芳香族環又は脂環族環に結合した少なくとも一つのスルホネート基を含む、全酸及びヒドロキシ当量の合計200モル%に基づいて、4〜25モル%の2官能スルホモノマー、並びに
(d)全酸及びヒドロキシ当量の合計200モル%に基づいて、1〜40モル%の式:
X−Col−X
〔式中、Colは顔料残基であり、Xは、独立に、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、エステルラジカル及びアミドラジカル(該両ラジカルは式:
(式中、R1はC1〜C5アルキル、C3〜C8シクロアルキル及びフェニルからなる群から選ばれ、そしてR2は水素又はR1である))からなる群から独立に選ばれた縮合性のカルボニルオキシ−反応性又はカルボニルアミド−反応性置換基である〕
着色剤:
の反応残留物を含んでなる請求の範囲第1項に記載の化粧料組成物。 - Xがカルボメトキシ及びアセトキシからなる群から選ばれる請求の範囲第2項に記載の化粧料組成物。
- 着色剤がメチン、ビスーチメン、アントラピリドン及びフタロシアニンからなる群から選ばれる請求の範囲第2項に記載の化粧料組成物。
- スルホポリエステルが3000〜15000の数平均分子量を有する請求の範囲第2項に記載の化粧料組成物。
- ジカルボン酸がテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン酢酸及びこれらの混合物からなる群から選ばれる請求の範囲第2項に記載の化粧料組成物。
- ジオールがジエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールである請求の範囲第2項に記載の化粧料組成物。
- 2官能スルホモノマーが5−ソジオスルホイソフタル酸である請求の範囲第2項に記載の化粧料組成物。
- 油性ベヒクルが種々のワックスで所望の稠度に剛化された脂肪又は油からなる、口紅、リップグロス又は化粧料において、ヒドロキシ当量に対する酸当量の割合が等モル比であり、以下の反応体及びそれらのエステル形成性誘導体:
(a)芳香族ジカルボン酸、飽和脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びこれらの組合せからなる群から選ばれたジカルボン酸、
(b)ジオール、
(c)ヒドロキシ、カルボキシ及びアミノからなる群から選ばれた官能基を含む2官能スルホモノマーであって、芳香族環又は脂環族環に結合した少なくとも一つのスルホネート基を含む、全酸及びヒドロキシ当量の合計200モル%に基づいて、4〜25モル%の2官能スルホモノマー、
(d)全酸及びヒドロキシ当量の合計200モル%に基づいて、1〜40モル%の式:
X−Col−X
〔式中、Colは顔料残基であり、Xは、独立に、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、エステルラジカル及びアミドラジカル(該両ラジカルは式:
(式中、R1はC1〜C5アルキル、C3〜C8シクロアルキル及びフェニルからなる群から選ばれ、そしてR2は水素又はR1である))からなる群から独立に選ばれた縮合性のカルボニルオキシ−反応性又はカルボニルアミド−反応性置換基である〕
の着色剤:
の反応残留物を含んでなる水分散性スルホポリエステルを水性エマルジョンの形で添加してなることを改良点とする口紅、リップグロス又は化粧料組成物。 - 水性リップグロス又は化粧料を製造する方法において、
(I)ヒドロキシ当量に対する酸当量の割合が等モル比であり、以下の反応体及びそれらのエステル形成性誘導体:
(a)芳香族ジカルボン酸、飽和脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びこれらの組合せからなる群から選ばれたジカルボン酸、
(b)ジオール、
(c)ヒドロキシ、カルボキシ及びアミノからなる群から選ばれた官能基を含む2官能スルホモノマーであって、芳香族環又は脂環族環に結合した少なくとも一つのスルホネート基を含む、全酸及びヒドロキシ当量の合計200モル%に基づいて、4〜25モル%の2官能スルホモノマー、並びに
(d)全酸及びヒドロキシ当量の合計200モル%に基づいて、1〜40モル%の式:
X−Col−X
〔式中、Colは顔料残基であり、Xは、独立に、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アルキルアミノ、エステルラジカル及びアミドラジカル(該両ラジカルは式:
(式中、R1はC1〜C5アルキル、C3〜C8シクロアルキル及びフェニルからなる群から選ばれ、そしてR2は水素又はR1である))からなる群から独立に選ばれた縮合性のカルボニルオキシ−反応性又はカルボニルアミド−反応性置換基である〕
の着色剤:
の反応残留物を含んでなる着色スルホポリエステルの水性分散液を調製し、そして
(II)工程(I)で調製したスルホポリエステルの水性分散液を、エマルジョンを得るための脂肪、油及び種々のワックスからなる油性ベヒクルを含む溶融配合物と混合し、そして
(III)工程(II)で調製したエマルジョンを冷却してリップグロス又は化粧料が得られるまで撹拌する
各工程を含んでなる唇又は皮膚用化粧料組成物の製造方法。
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