JP3937192B2 - 新規な糖化蛋白質および該物質を用いた分析用試薬 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な糖化蛋白質および該蛋白質を用いた分析用試薬に関し、更に詳しくは、例えばリポプロテインリパーゼ、コレステロールエステラーゼ等の蛋白質の表面に単糖類または二糖類または糖アルコールをスペーサーを介して結合した新規な糖化蛋白質であり、さらに、該蛋白質が水溶液状態で、合成高分子物質を材質とする容器等に吸着しにくくなるようにした分析用試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
リポプロテインリパーゼ、コレステロールエステラーゼなどの酵素は、体液中の中性脂肪や遊離型コレステロールの測定などの臨床検査薬等の分野で広く使用されている。しかし、これらの酵素は疎水性が強いため、水溶液状態では容器類、特に合成高分子物質を材質とするセル等に吸着しやすいという問題を有していた。また、臨床検査で用いられている自動分析機においては、同一セルを種々の検体、種々の検査項目に共通で使用している場合が多く、該セル内面への酵素の吸着が様々な問題を引き起こすことが知られている。
【0003】
例えば、リポプロテインリパーゼを用いた中性脂肪分析用試薬では、中性脂肪を測定した後、遊離型コレステロールを測定する場合、中性脂肪分析用試薬中のリポプロテインリパーゼがセルに吸着し、検体中のエステル型コレステロールが吸着したリポプロテインリパーゼによって、遊離型コレステロールに分解されるため、遊離型コレステロールに大きな正誤差を生じることが報告されている。またグリセロール消去系を含む測定試薬で、中性脂肪を測定する場合、同様に試薬中のリポプロテインリパーゼがセルに吸着し、2周目の反応時にグリセロールを消去する際、検体中のトリグリセライドが吸着したリポプロテインリパーゼによってグリセロールに分解されて消去されるため、負誤差を生む結果となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、酵素法による臨床検査の分野では、容器、例えばセルに吸着しにくい酵素および吸着しにくい酵素を用いた分析用試薬の開発が望まれている。このような酵素の吸着による測定値の誤差を解消するために、分析試薬中に各種界面活性剤を添加したり、酵素阻害剤を試薬中に共存させる方法があるが、いずれも完全にその影響を防止することができなかった。また、合成高分子物質、例えばポリエチレングリコールまたはアルケニルエーテル(特開平4-141097号公報)および無水マレイン酸共重合体(特開平7-222586号公報)による酵素の化学修飾によって、その影響を回避する方法も知られているが、いずれも高分子物質で酵素を修飾するため、得られた化学修飾酵素の分子量が大幅に増大し、酵素の比活性が著しく低下するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、酵素を使用する分析用試薬において、酵素本来のもつ分子量を大きく変えることなく、反応容器、例えばセルへの吸着が抑えられた酵素を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、分子量を大きく変化することなく、水溶性状態で合成高分子物質を材質とするセルへの吸着が抑えられた酵素を開発すべく、鋭意検討した結果、グルコース、ガラクトースなどの単糖類またはマルトース、トレハロース、シュークロースなどの二糖類、ソルビトール、マンニトール、イノシトールなどの糖アルコールをスペーサーを介して、該酵素に結合させることによって、セルへの吸着が大きく抑えられることを見いだし、更にこれらの糖化酵素を用いて、中性脂肪、遊離コレステロール等の分析用試薬において、次試薬の試薬への影響を回避できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
また、本発明では酵素に単糖類または二糖類を結合させることによって、金属類への抵抗性も付与されることを新たに見い出した。
【0007】
すなわち、本発明は単糖類、二糖類または糖アルコールが、スペーサーを介して蛋白質と結合してなる新規な糖化蛋白質である。
【0008】
また、本発明は上記新規な糖化蛋白質を含有することを特徴とする成分分析用試薬である。
【0009】
【発明の実施態様】
本発明の蛋白質としては、例えば酵素、特に疎水性酵素がある。疎水性酵素としては、リパーゼ、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼまたはグリセロリン酸オキシダーゼなどが挙げられる。
酵素以外の蛋白質としては、例えばウシ血清アルブミン、卵白アルブミン等の蛋白質またはイムノグロブリン等の抗体などが挙げられる。
【0010】
本発明において使用する単糖類または二糖類または糖アルコールとしては、特に限定されず、単糖類としては、例えばグルコース、ガラクトース、マンノース、フラクトース、ソルボースなどが例示される。また、二糖類としては、マルトース、ラクトース、トレハロース、シュークロースなどが例示される。さらに、糖アルコールはソルビトール、マンニトール、イノシトールなどが例示される。
【0011】
本発明において使用するスペーサーとしては、トリアジン環を有する化合物、例えば塩化シアヌル、フッ化シアヌルなどが挙げられる。
【0012】
本発明の糖化蛋白質を製造する方法としては、まず、単糖類、二糖類または糖アルコールへスペーサーを導入し、次いで蛋白質を反応させる。
【0013】
単糖類、二糖類または糖アルコールへのスペーサーの導入は、上記スペーサーをアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等の水可溶性有機溶媒に溶解し、これと単糖類または二糖類を水溶液中で反応させ、単糖類、二糖類または糖アルコールのスペーサー結合物(例えばトリアジン化単糖類、二糖類または糖アルコール)に導く方法がある。
反応条件は、例えば単糖類、二糖類または糖アルコールを炭酸緩衝液(pH 9.5)に溶解し、これに塩化シアヌルをアセトンに溶解したものを徐々に加え、1N−NaOHでpH9に調整しながら、反応させ、トリアジン誘導体とする。
【0014】
次いで、スペーサーを結合した単糖類、二糖類または糖アルコール(例えばトリアジン化単糖類、二糖類または糖アルコール)を蛋白質に結合させるには、水溶液中で中性乃至アルカリ条件下で反応を行えば良く、望ましくは、炭酸緩衝液中でpH7〜10、更に好ましくはpH8.5〜9.5の下に、0〜40℃の温度にて約1〜24時間で反応させる。この際、単糖類、二糖類または糖アルコールとスペーサー、例えば塩化シアヌルの反応モル比および該スペーサーを結合した単糖類、二糖類または糖アルコール(例えばトリアジン化単糖類、二糖類または糖アルコール)と蛋白質との反応モル比を種々変化させることによって、蛋白質への単糖類、二糖類または糖アルコールの導入量をコントロールすることができる。
【0015】
蛋白質とスペーサーを結合した単糖類、二糖類または糖アルコール(例えばトリアジン化単糖類、二糖類または糖アルコール)との結合比率は、特に限定されるものではないが、結合比率が高まるにつれ、吸着性も低減する反面、酵素の場合、比活性が低下するため、蛋白質に対し、5〜40倍の重量比で反応させることが望ましく、更に好ましくは10〜20倍である。未反応のスペーサーを結合した単糖類、二糖類または糖アルコール(例えばトリアジン化単糖類、二糖類または糖アルコール)は低分子であるため、ゲル濾過法、限外ろ過または硫酸アンモニウムによる塩析等の操作によって分離除去可能であり、これらの方法により容易に精製できる。また、未反応のトリアジン化単糖類、二糖類または糖アルコールを含んでいても、分析用試薬には問題はない。
【0016】
本発明の糖化蛋白質は、酵素の場合、高い比活性を維持しており、また、抗体等の場合、高い親和性を維持しており、かつ、合成高分子物質を材料とする容器などに対する吸着性が大幅に低減されていることから、各種分析用試薬に有効に利用することができる。
【0017】
本発明の糖化酵素を含有する分析用試薬には、他の蛋白質(例えば酵素)、発色試薬、塩類、補酵素、界面活性化剤等を含んでいても良い。
中性脂肪を測定する試薬としては、本発明の糖化リパーゼ、グリセロキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、過酸化水素測定試薬、例えば4−アミノアンチピリンなどの色原体およびN−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミンなどのアニリン誘導体またはフェノール誘導体などを含む。
また、遊離コレステロールを測定する試薬としては、本発明の糖化コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、過酸化水素測定試薬、例えば4−アミノアンチピリンなどの色原体およびN−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミンなどのアニリン誘導体またはフェノール誘導体などを含む。
さらに、各種分析用試薬にはそれぞれ、各分析項目に応じて、本発明の糖化蛋白質の他に、他の酵素、発色系に導くための酵素、各種発色試薬等を含む。
【0018】
これらの試薬には、さらに塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩類、リン酸、グッドバッファー等の緩衝液、アデノシン三リン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド等の補酵素、コール酸ナトリウム、オクチルグリコシドなどの界面活性剤を任意に含有させることができる。
【0019】
次に、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。
実施例中、リパーゼ、コレステロールエステラーゼおよびこれらを用いた糖化蛋白質の酵素活性、セル吸着性、分子量分布、金属に対する抵抗性の測定法は、次のようにして行った。
【0020】
1.リパーゼ活性測定法
オリーブ油エマルジョンを基質とし、37℃でリパーゼ溶解液と反応させ、生成するグリセロールをグリセロールキナーゼおよびグリセロール−3−リン酸オキシダーゼ系に導き、生成する過酸化水素に4−アミノアンチピリンとN,N−ジメチル−m−トルイジンの存在下で、ペルオキシダーゼを作用させ、酸化縮合生成物であるキノンイミン色素を545nmで測定し、上記反応で生成した過酸化水素を定量する。酵素活性は、1分間に1マイクロモルのグリセロールを生成する(1マイクロモルの過酸化水素、即ち1/2マイクロモルのキノンイミン色素を生成する)酵素量を1単位とする。
【0021】
2.糖化リパーゼのセル吸着性測定法
未処理のリパーゼと糖化リパーゼを1単位/mlになるように、20mM K−リン酸緩衝液(pH 7.5)に溶解し、ポリメチルメタアクリレート製のキュベット(アシスト社製ディスポーザルキュベット)に0.5mlずつ分注し、37℃で2時間反応させる。反応後、キュベット内のリパーゼを排出し、同じ緩衝液2mlで3回洗浄する。洗浄後、反応キュベット内に吸着したリパーゼ活性をリパーゼ測定キットS(大日本製薬製)を用いて測定する。その結果を未処理のリパーゼ活性値を100%とし、吸着残存率として算出した。
【0022】
3.コレステロールエステラーゼ活性測定法
コレステロールエステルを基質とし、37℃でコレステロールエステラーゼ溶解液と反応させ、生成するコレステロールに更にコレステロールオキシダーゼを反応させ、生成する過酸化水素に4−アミノアンチピリンとフェノールの存在下でペルオキシダーゼを作用させ、酸化縮合生成物であるキノンイミン色素を500nmで測定し、上記反応で生成した過酸化水素を定量する。酵素活性は、1分間に1マイクロモルのコレステロールエステルを加水分解する酵素量を1単位とする。
【0023】
4.糖化コレステロールエステラーゼのセル吸着性測定法
未処理のコレステロールエステラーゼと糖化コレステロールエステラーゼを 1単位/mlになるように、20mM K−リン酸緩衝液(pH 7.5)に溶解し、ポリメチルメタクリレート製のキュベット(アシスト社製ディスポーザルキュベット)に0.5mlずつ分注し、37℃で2時間反応させる。反応後、キュベット内のコレステロールエステラーゼを排出し、同じ緩衝液2mlで3回洗浄する。洗浄後、反応キュベット内に吸着したコレステロールエステラーゼ活性値を上記活性測定法に従い、測定する。その結果を未処理のコレステロールエステラーゼ活性値を100%とし、吸着残存率として算出した。
【0024】
5.酵素の分子量分布測定法.
酵素を1mg/mlになるように50mM K−リン酸緩衝液(pH 7.0)に溶解し、Superose 6カラム(ファルマシア製)を用いたゲルろ過法により、分子量分布を測定した。
【0025】
6.金属に対する抵抗性の測定
未処理の酵素と糖化酵素を11単位/mlになるように、20mM K−リン酸緩衝液(pH 7.5)に溶解し、試験管に0.9mlずつ分注する。次いで、種々の金属塩を水に溶解したものを0.1mlずつ添加し、25℃で1時間放置する。その後、残存酵素活性値を測定し、水を対照にした場合の酵素活性値を100%とし、残存率として算出した。
【0026】
実施例1 ガラクトシルリパーゼの調製
ガラクトース12gを120mlの0.1M炭酸緩衝液(pH 9.5)に溶解し、これに塩化シアヌル1.9gをアセトン38mlに溶解したものを徐々に加え、1N−NaOHでpH9に調整しながら、20分間反応させ、トリアジン誘導体とした。反応終了後、直ちにリポプロテインリパーゼ(東洋紡製)0.3gを7.5mlの20mM K−リン酸緩衝液(pH 7.5)に溶解したものを添加し、0.2M炭酸ナトリウム溶液でpHを9.5に調整しながら、室温で2時間反応させた。引き続き、4℃で16時間反応させた後、20mM K−リン酸緩衝液(pH 7.5)に対して透析し、次いで限外ろ過膜(アミコン ダイヤフロー PM−10)を用いて濃縮し、ガラクトシル化リパーゼを得た。得られたガラクトシルリパーゼの酵素活性回収率は51%であった。
【0027】
実施例2 ガラクトシルコレステロールエステラーゼの調製
実施例1においてリパーゼの代わりにコレステロールエステラーゼ用い、それ以外は実施例1と全く同様にガラクトシル化反応を行った。得られたガラクトシルコレステロールエステラーゼの酵素活性回収率は60%であった。
【0028】
実施例3 グリコシルリパーゼの調製
グルコース8gを32mlの0.1M炭酸緩衝液(pH 9.5)に溶解し、これに塩化シアヌル1.0gをアセトン20mlに溶解したものを徐々に加え、1N−NaOHでpH9に調整しながら、20分間反応させトリアジン誘導体とした。反応終了後、直ちにリポプロテインリパーゼ(東洋紡製)0.4gを5mlの20mM K−リン酸緩衝液(pH 7.5)に溶解したものを添加し、0.2M炭酸ナトリウム溶液でpHを9.5に調整しながら、室温で2時間反応させた。引き続き、4℃で16時間反応させた後、20mM K−リン酸緩衝液(pH 7.5)に対して透析し、次いで限外ろ過膜(アミコン ダイヤフロー PM−10)を用いて濃縮し、グリコシル化リパーゼを得た。得られたグリコシルリパーゼの酵素活性回収率は45%であった。
【0029】
実施例4 グリコシルコレステロールエステラーゼの調製
実施例3においてリパーゼの代わりにコレステロールエステラーゼ用い、それ以外は実施例3と全く同様にグリコシル化反応を行った。得られたグリコシルコレステロールエステラーゼの酵素活性回収率は56%であった。
【0030】
実施例5 マルトシルリパーゼの調製
マルトース10gを32mlの0.1M炭酸緩衝液(pH 9.5)に溶解し、これに塩化シアヌル1.0gをアセトン20mlに溶解したものを徐々に加え、1N−NaOHでpH9に調整しながら、20分間反応させ、トリアジン誘導体とした。反応終了後、直ちにリポプロテインリパーゼ(東洋紡製)0.4mgを5mlの20mM K−リン酸緩衝液(pH 7.5)に溶解したものを添加し、0.2M炭酸ナトリウム溶液でpHを9.5に調整しながら、室温で2時間反応させた。引き続き、4℃で16時間反応させた後、20mM K−リン酸緩衝液(pH 7.5)に対して透析し、次いで限外ろ過膜(アミコン ダイヤフロー PM−10)を用いて濃縮し、マルトシル化リパーゼを得た。得られたマルトシルリパーゼの酵素活性回収率は40%であった。
【0031】
実施例6 マルトシルコレステロールエステラーゼの調製
実施例5においてリパーゼの代わりにコレステロールエステラーゼ用い、それ以外は実施例5と全く同様にマルトシル化反応を行った。得られたマルトシルコレステロールエステラーゼの酵素活性回収率は48%であった。
【0032】
実施例7 セル吸着性テスト
実施例1〜6により得られた4種類の糖化酵素に対して、セル吸着性を測定した結果を図1示す。これらの結果から、単糖化された蛋白質のセル吸着性は、未処理の酵素と比較して著しく低減していることがわかる。
【0033】
実施例8 分子量分布測定
実施例1〜4により得られた4種類の糖化酵素に対して、分子量分布を測定した結果を図2および図3に示す。これらの結果からも、分子量分布は単糖化しても未処理の酵素と殆ど変化がないことがわかる。
【0034】
実施例9 金属に対する抵抗性
実施例4で得られたグリコシルコレステロールエステラーゼの各種金属に対する抵抗性の結果を表1に示す。この結果より、単糖化によってコレステロールエステラーゼの金属に対する抵抗性が大きく付与されていることがわかる。
【0035】
【表1】
【0036】
比較例1 デキストラン化リパーゼのセル吸着テストおよび分子量分布測定
デキストラン3gを50mlの水に溶解し、これに塩化シアヌル0.83gをアセトン25mlに溶解したものを加え、1N−NaOHでpH9に調整しながら30分間反応させた。反応終了後、1N−NaOHでpH3に調整し、さらに反応液にアセトン500mlを添加し、生成物を析出させた。この析出物をアセトン200mlに再懸濁し、アセトン洗浄する精製操作を3回繰り返した後、生成物を濾取し、活性化デキストランを得た。
【0037】
次にこのようにして得られた活性化デキストラン1.2gを12mlの0.1M炭酸緩衝液(pH 9.5)に溶解し、これにシュードモナス属由来リパーゼ(東洋紡製)30mgを1.5mlの同緩衝液に溶解したものを添加し、0.2M炭酸ナトリウム溶液でpHを9.5に調整しながら、室温で2時間反応させた。引き続き4℃で16時間反応させた後、50mM K−リン酸緩衝液(pH 8.0)に対して透析し、次いで限外濾過膜(アミコン・ダイヤフローPM−10)を用いて濃縮し、デキストラン化リパーゼを得た。得られたデキストラン化リパーゼの酵素活性回収率は、39%であった。また、未処理の酵素ならびに糖化酵素のセル吸着テストの結果を図4に示す。また、分子量分布を測定した結果を図5に示す。
【0038】
これらの結果からもわかるように、デキストラン化されたリパーゼはセル吸着性は低減するものの、分子量は大きく増大し、比活性も大きく減少していることがわかる。
【0039】
比較例2 デキストラン化コレステロールエステラーゼのセル吸着テストおよび分子量分布測定
デキストラン5g を100mlの水に溶解し、これに塩化シアヌル1.12gをアセトン28mlに溶解したものを加え、1N−NaOHでpH9に調整しながら、30分間反応させた。反応終了後、1N−NClでpH3に調整し、さらに反応液にアセトン800mlを添加し、生成物を析出させた。この析出物をアセトン300mlに再懸濁し、アセトン洗浄する精製操作を3回繰り返した後、生成物を濾過し活性化デキストランを12mlの0.1M炭酸緩衝液(pH 9.5)に溶解し、これにコレステロールエステラーゼ(東洋紡製)30mgを1.5mlの同緩衝液に溶解したものを添加し、0.2M炭酸ナトリウム溶液でpHを9.5に調整しながら、室温で2時間反応させた。引き続き4℃で16時間反応させた後、50mM K−リン酸緩衝液(pH 8.0)に対して透析し、次いで限外濾過膜(アミコン・ダイヤフローPM−10)を用いて濃縮し、デキストラン化コレステロールエステラーゼを得た。得られたコレステロールエステラーゼ酵素活性回収率は、45%であった。
【0040】
また、未処理の酵素ならびに糖化酵素のセル吸着テストの結果を図6に示す。また、分子量分布を測定した結果を図7に示す。比較例1と同様にデキストラン化されたコレステロールエステラーゼもセル吸着性は低減するが、分子量は大きく増大し比活性も大きく減少していることがわかった。
【0041】
【発明の効果】
デキストラン等の高分子化合物により蛋白質を修飾した場合、分子量が増大し、比活性が著しく減少するのに対して、本発明により得られた糖化蛋白質、例えば酵素は蛋白質本来のもつ分子量を大きく変えることなく、未処理の蛋白質と比較して、著しくセル吸着性が低減しており、かつ、金属に対する抵抗性も付与されるため、該糖化蛋白質、例えば糖化酵素を分析用試薬に用いた場合、生体成分の測定を誤差無く、正確に実施できるようになり、広く臨床検査薬に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】未処理酵素および実施例1〜6の糖化酵素のセル吸着性を示す図である。
【図2】未処理酵素および実施例1,2の糖化酵素の分子量分布を示す図である。
【図3】未処理酵素および実施例3,4の糖化酵素の分子量分布を示す図である。
【図4】未処理酵素および比較例1の糖化酵素のセル吸着性を示す図である。
【図5】未処理酵素および比較例1の糖化酵素の分子量分布を示す図である。
【図6】未処理酵素および比較例1の糖化酵素のセル吸着性を示す図である。
【図7】未処理酵素および比較例2の糖化酵素の分子量分布を示す図である。
Claims (2)
- グルコース、ガラクトースまたはマルトースが、塩化シアヌルを介してリパーゼと表面のアミノ基を介して結合してなる新規な糖化蛋白質を含有する中性脂肪分析用試薬。
- グルコース、ガラクトースまたはマルトースが、塩化シアヌルを介してリパーゼと表面のアミノ基を介して結合してなる新規な糖化蛋白質を含有する遊離コレステロール分析用試薬。
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