JP3936561B2 - ポンプ冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍機で冷却される熱媒体を循環させて目的物を冷却可能にする熱媒体循環系に設けられたポンプのケーシングを冷却するポンプ冷却装置に関する。
【0002】
【従来技術】
水晶発振器やウエハや液晶ガラス基板等の電気・電子部品からなる試料は、温度制御装置により、低温条件を含み複数の温度条件で試験されたり温度補正される。このときの温度条件は、熱媒体を冷凍機で冷却すると共に通常加熱器で加熱して循環させる熱媒体循環系によって試料に付与される。そして、この熱媒体を循環させるためにポンプが使用される。
【0003】
このポンプは、上記のような試料の冷却又は加熱に必要なだけの流量と、循環系を構成する機器や弁類や配管等によって生ずる熱媒体の流れ抵抗より大きいだけの揚程とを持つものであればよいので、一般には、低揚程、小容量のものであり、例えば試料が水晶発振器の場合には200〜300W程度までの小出力のモータで駆動される。従って、従来では、このようなポンプの発熱は問題にされず、特別な対策は講じられていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このポンプは、一般に50%程度以下という低効率の小出力モータで駆動されるため、モータの発熱が大きく、そのケーシングやポンプ側端面のフレーム温度が50℃以上にもなると共に、通常、ポンプとモータとが一体的なケーシング構造のものになっていて、モータとポンプ間の断熱が難しいため、モータの発熱がポンプの吐出する熱媒体への侵入熱になるという問題が生ずる。そしてこの場合、熱媒体が冷凍機で冷却されて低温になるときには、モータの発熱温度と低温熱媒体の温度との差が相当大きくなり、熱媒体への入熱量が多くなり、熱媒体循環系における熱媒体の温度制御性に影響を与えることになる。又、このような発熱は、モータやポンプ構造部分の耐久性にも影響する。
【0005】
更に、ポンプが−40℃もしくはそれより低い低温の熱媒体を扱うことがあるため、通常のシール部材を用いたシール構造のポンプにするときには、シール部材の材料の耐久性に問題があることや、使用対象液がブラインであるため液漏れを確実に防止する必要があることから、シールの不要な電磁カップリング式のポンプが採用されることも多い。
【0006】
その場合には、電磁カップリング部分の電気的発熱や、この部分及び閉鎖された軸受部分の冷却のために、これらの部分に取り扱う熱媒体の一部を循環供給するときに、発熱した一部の熱媒体の熱が吐出される熱媒体に持ち込まれることになる。この場合、熱媒体はある程度粘性が大きいので、電磁カップリングや軸受部分を循環冷却中に摩擦と共に回転や攪拌も伴って自己発熱する。そのため、このようなポンプでは全体的に発熱量が多くなり、ポンプで吐出される熱媒体への持ち込み熱量が多くなるという問題がある。
【0007】
このような発熱を防止する装置としては、送風によってモータ及びポンプの表面を空冷したり、冷却管を取り付けて水道水等の冷却水で水冷するような装置が考えられる。しかしながら、このような装置では、送風機等の送風装置が必要になったり、冷却水が消費されることになる。又、低温条件を含む熱媒体に対して、空気や通常の冷却水では温度が高く、冷却効果が不十分であるという問題もある。
【0008】
更に、モータの駆動軸とポンプの従動軸とを通常の開放された構造のカップリングで接続し、モータからの熱がほぼ遮断された構造のポンプを用いることも考えられる。しかしながら、このようなポンプは、小出力ポンプとしては汎用品でなくなり、コストが高くなると共に形状が大きくなり、冷凍機を含めた装置ユニットを形成する場合の障害になる。又、熱媒体を低温にする使用条件があるため、ポンプのシール部分の耐久性等の問題も生ずる。
【0009】
そこで本発明は、以上の諸問題を解決し、簡単な構造で余分の装置や電力や水等の資源の消費がなく、通常のポンプの大きさや構造を変更することなく、循環される熱媒体への侵入熱を効果的に防止できるポンプ冷却装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1の発明は、揚水部と電磁カップリングとモータとを備えケーシングが一体的に形成されたポンプであって前記電磁カップリングが前記モータの軸から相互間が仕切られた外側電磁カップリングと内側電磁カップリングとからなり前記揚水部が前記電磁カップリングを介して回転駆動されるポンプを冷却するポンプ冷却装置において、
前記ポンプは、二元冷凍サイクルで構成され低温側蒸発器と高温側の蒸発器及び低温側の凝縮器として作動するカスケードコンデンサとを備えた冷凍機の前記低温側蒸発器で冷却されるブラインを循環させて目的物を冷却可能にする液媒回路に設けられていて、
冷却部材と冷媒供給配管とを有し、
前記冷却部材は、前記ポンプを冷却可能にするように前記ケーシングのうち前記電磁カップリングの部分の表面に沿って装着されていて、
前記冷媒供給配管は、前記冷却部材に前記高温側の蒸発器から出た冷媒を供給するように設けられている、
ことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用したポンプ冷却装置の概略構成を一部分に示すと共にこの装置を備えたポンプを含む熱媒回路の一部分及びこれに冷媒を送る冷凍機の構成例を示す。又、図2及び図3はポンプ及びその冷却装置部分の構造例を示し、図4は熱媒回路の構成例を示す。以下では、主として図1に基づいて説明し、他の図を参照するときにはその図番を付して説明する。
【0013】
ポンプ冷却装置は、主要構成部分として、ポンプ1に装着された冷却部材である冷却管3、及び、冷媒を供給する入口管41び出口管42からなる冷媒供給管4を有する。
【0014】
ポンプ1は、本例では二元冷凍サイクルで構成される冷凍機5で冷却される熱媒体として例えば−50℃から100℃程度までの使用条件に適合するブラインを循環させる熱媒体循環系としての液媒回路7に設けられる。このポンプ1は、図2に示す如く、ポンプ1のケーシング11がポンプ1を駆動するモータ12と一体的に形成されている。
【0015】
そして本例のポンプ1は、揚水部である羽根車13がモータ12の軸14から相互間が仕切られた外側電磁カップリング15及び内側電磁カップリング16からなる電磁カップリングを介して回転駆動されるように構成されている。内外電磁カップリング16、15は電磁コイル16a、15aを備えている。羽根車13は内側電磁カップリング16と結合されている。モータ12は例えば150Wの出力のものである。
【0016】
符号17乃至24は、それぞれ、吸入口17aの形成された前部ケーシング17、ポンプ1が取り扱うブラインを内側電磁カップリング16側に封入するようにケーシング11、17間に介装され内外の電磁カップリング16、15間を完全に仕切るように延長された内部ケーシング18、軸支持ブラケット19、これらで支持された内部の軸20、軸20に回転可能に嵌められ内側電磁カップリング16と結合されたブッシュ21、前部ケーシング17に取り付けられた吐出口22、据付台23、等によって構成されている。
【0017】
本例のポンプ1では、吸入口17aから吸入されて羽根車13から吐出されたブラインのうちのごく少量のブラインが、内外の電磁カップリング間で内部ケーシング18の内側に沿って流れ、更に軸20とブッシュ21との間を通過し、羽根車13の吸入側に戻る内部循環系が形成されている。従って、自己潤滑式でシール不要のポンプ構造になっている。但し、このようなシールレスのポンプでなく、モータ軸14に羽根車13が直接装着されシール構造部分を備えた通常のモータ軸直結式のポンプ等に対しても、本発明を適用することができる。
【0018】
冷却管3は、ポンプ1を冷却可能にするようにポンプ1に装着されるが、本例のものは、図3に示す如く、銅管等からなる管31をU 字型に曲げて3回折返してチューブパネル状に形成し、これをポンプ1のケーシング11とほぼ同じ曲率に曲げてその先端を同図(c)の二点鎖線で示すように直線状に延ばした形状に製作し、これをポンプ1の上から被せて、実線で示すようにポンプ1の据付台23の手前までケーシング11に沿わせて曲げることにより、ポンプ1に装着されている。装着後図示しない保温材によって覆われる。
【0020】
冷却管3を備えたポンプ1は、図4に示す如く、目的物として本例では水晶発振器からなる試料Wを冷却可能にする液媒回路7に設けられる。この液媒回路7は、ポンプ1、ポンプ1で循環されるブラインを冷却可能にするように冷凍機5を構成する冷媒管71から冷媒が供給されると共に本例では加熱もできるように加熱ヒータ72を備えた熱交換器73、試料Wを冷却すると共に本例では加熱も可能な伝熱プレート74、図示を省略している弁やセンサ類やブライン補充タンク等を備えた配管75、等で構成されている。
【0021】
伝熱プレート74は、図4(b)に示す如く、多数の試料Wを処理できるようにそれぞれ独立した多数のソケット74aを備えていて、その中には、プラインを流す液路74bが形成されていて、これからの熱伝達によって乗せられた試料Wを冷却又は加熱するように接触台74cを備えている。
【0022】
冷媒供給管4は、本例では、冷凍機5の冷媒のうち冷凍機を構成する蒸発器である二元冷凍サイクルのカスケードコンデンサ60から出た冷媒として、高温側圧縮機51に至る管系である図において実線で示す高温側ガス戻り管系55から高温側戻り冷媒を冷却管3に供給する。この冷媒は、図において点線で示す管系の低温側冷媒を冷却して凝縮させた後の冷媒である。
【0023】
このような冷凍機5は、前述の如く高温側冷凍回路及び低温側冷凍回路からなる二元冷凍サイクルで構成されていて、主要構成部分として、高温側の蒸発器及び低温側の凝縮器として作動する前記カスケードコンデンサ60、高温側冷凍回路を構成しカスケードコンデンサ60から出た冷媒を圧縮する高温側圧縮機51、高温側凝縮器52、電子膨張弁からなる高温側膨張機構53、低温側冷凍回路を構成しカスケードコンデンサ60へ圧縮された冷媒ガスを供給する低温側圧縮機61、カスケードコンデンサ60で凝縮された冷媒液を膨張させるキャピラリーチューブからなる低温側膨張機構63、及び低温側蒸発器でありポンプ1で循環されるブラインを冷却する前記熱交換器73を備えている。
【0024】
本例の高温側凝縮器52は空冷式になっていて、矢印で示すように冷却用の風を送る送風機54が設けられている。又、本例では圧縮機を出た低温側冷媒を予冷する予冷器64が設けられていて、予冷器64も同じ送風機54で空冷されるようになっている。
【0025】
図5は本発明のポンプ冷却装置を含む関連設備の配置例を示す。
ポンプ冷却装置関連設備は、図1乃至図4に示す機器の主要部分をユニット化したものであり、共通の床面100上に配設されたポンプ1、高温側及び低温側圧縮機51、61、予冷器64、送風機54、高温側凝縮器52、図示しない配管や弁等と共に、床面100から支持されて中間高さ位置に配置された断熱ボックス200内に入れられたカスケードコンデンサ60や液媒回路7を構成する熱交換器73、等によって構成されている。
【0026】
又図示していないが、このユニットは操作制御盤等も備えていると共にキャスターの付いた可搬式になっていて、冷凍機を使用してブラインを供給できる完成された冷却装置となっている。なお、図4に示す伝熱プレート74は、試料Wである水晶発信器の温度補正試験のための諸装置と共に別のユニットに組み込まれている。このユニットでは、冷媒の入口、出口管41、42はそれぞれ、ポンプ1の近くに配置されたカスケードコンデンサ60及び高温側圧縮機51とポンプ1との間に導設される。従って、ポンプまわりの管系は短い距離に合理的に配設される。又、ポンプ1のブライン吐出口は真上に配置された熱交換器73に接続される。
【0027】
以上のようなポンプ冷却装置を備えたポンプ及び関連設備は次のように運転されその作用効果を発揮する。
図4に示す水晶発信器からなる試料Wは、通常−40℃程度から50℃程度までの温度範囲の例えば4種類の温度で温度補正試験をされる。そのため、伝熱プレート74を含む図示しない試験設備が4種類準備されていて、試料Wはロボット等で搬送されつつ順次4種類の試験設備で試験される。この場合、本発明は−40℃の低温試験を行うときに特に効果的に適用される。
【0029】
以下では、二元冷凍回路の冷凍機1を用いて試料Wを−40℃で試験する場合について説明する。このときには、図5に示すユニット化された設備と伝熱プレート74を備えた図示しない−40℃の温度補正試験設備とが組み合わせられ、伝熱プレート74には図4に示すようにブラインを流す液媒回路7の配管75が接続される。
【0030】
このような条件の下に、まず冷凍機5が運転され、高温側及び低温側の使用冷媒の種類や回路特性等によって定まる回路内の各部の冷媒温度として、高温側冷媒蒸発温度が−25℃、カスケードコンデンサ60の高温側出口冷媒の蒸発温度が−30℃、低温側冷媒蒸発温度が−60℃、程度の温度に運転制御される。
【0031】
冷凍機5と並行してポンプ1を含む液媒回路7が運転され、この回路7を循環するブラインは、−60℃の冷媒で冷却されて伝熱プレート74で−40℃の温度になるように冷却制御される。一方、ポンプ1の冷却管3には、カスケードコンデンサ60で蒸発した−30℃の高温側出口冷媒が供給され、これによってポンプ1が冷却される。
【0032】
ポンプ1を冷却する蒸発器から出た冷媒はある程度過熱されていることも多いが、二元冷凍回路のカスケードコンデンサ60では、通常、少量の液を含んだ状態になっている。即ち、この冷媒は、入口の−25℃の状態から更に圧力が下がって冷媒液が残存するため飽和温度も下がり、−30℃程度の温度になり、入口よりも過冷された如き状態になっている。
【0033】
一方、モータ12が回転駆動され、外側及び内側の電磁カップリングが結合され、羽根車13が回転してブラインを吸入/吐出して循環させる負荷運転に入ると、モータ12が発熱し、そのハウジング、ポンプ側端面及びモータ軸14からポンプ側に熱が侵入すると共に、電磁カップリングやブッシュ18の潤滑摺動面等も発熱し、放置すればポンプケーシング11の外面でも50℃を越える温度になる。
【0034】
これに対して本発明を適用した本例のポンプ冷却装置によれば、冷却管3を形成する管31がポンプケーシング11に沿って設けられていて、これに上記の如く−30℃の冷媒が流されるので、十分大きい温度差によってポンプケーシング11が冷却され、それに伴ってケーシング内部の空間部分や外側電磁カップリング15も冷却され、モータ12等の発熱が極めて効果的に除去される。
【0035】
発明者等の実験によれば、この冷却によってポンプケーシング11の表面温度を約10℃にすることができた。その結果、ケーシング内の熱がケーシングから冷却管3に吸収され、ポンプ1が吸入/吐出するブラインへの侵入熱が大幅に低減されることになった。そして、ポンプ1の入口/出口間でのブラインの温度上昇が少なくなり、伝熱プレート74へ供給するブラインの温度制御性を向上させることができた。
【0036】
一方、本例のポンプ1では、ブラインが電磁カップリング間や軸受ブッシュ部分を通過するように内部循環しているので、このブラインが吸収した熱がポンプが吐出する循環系に持ち込まれるが、内部循環するブライン量はごく微量であるから、その熱量は僅かであり、吐出ブラインの温度上昇は僅かな程度に止まる。その結果、特に低温環境を含み耐久性に問題があり交換部品にもなるゴム等の摺動シール部材を不要にした本例のポンプにおいて、ポンプ吐出液への熱の持ち込みを大幅に低減させ、ポンプの耐久性や保守性とブラインの温度制御性との両方を向上させることができた。又、低温冷媒用として汎用されているポンプを使用し、大きなコスト上昇を伴うことなく上記の効果を得ることができた。更に、ポンプ1に冷却装置を設けても、冷却管3及びその外側を覆う断熱材が追加されるだけで、ポンプ1の基本的構造、形状及び大きさは変わらないので、冷凍機を含めた装置ユニットを容易に形成することができた。
【0037】
なお、ポンプ1をカスケードコンデンサ等の蒸発器の出口冷媒で冷却する場合には、ポンプケーシングの温度の異常低下や冷媒が過度に過熱するおそれがあるが、実験によれば、前記の如くポンプケーシングの温度は10℃程度になり、通常の水冷や空冷では得られない十分な低温になるが、異常な低温にまでは降下せず、又、冷媒の温度上昇は5℃程度に止まり、全く問題のないことが確認された。
【0038】
又、以上のようなポンプ冷却装置においては、ポンプの冷却用としてポンプが取り扱うブラインを冷却するための冷凍機の冷媒を使用するので、冷却のための余分の装置がなく、電力や水等の消費もない。従って、本例のポンプ冷却装置は、省資源、省エネの図られた装置である。
【0039】
ポンプ1から送出され−40℃の温度に精度良く制御されたブラインは、伝熱プレート74に供給され、ソケット74a内に穿孔されている液路74bを流れて接触台74cを同じ温度に冷却し、ロボット等でその上に乗せられる試料Wを精度良く且つ迅速に目的とする温度に到達させる。そして、温度補正試験では、−40℃の低温時の試料Wの振動周波数が測定され、基準温度に対する補正値が得られることになる。この温度での試験が終了すると、試料Wは−10℃乃至0℃の次の試験に回される。
【0040】
なお、以上では試料Wが水晶発信器の場合について説明したが、本発明のポンプ冷却装置は他の電気電子機器等の温度環境試験に適用可能であることは勿論である。
【0041】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、請求項1の発明においては、ポンプ冷却装置は、ポンプを冷却可能にするようにポンプに装着された冷却部材と、この冷却部材に冷凍機の冷媒を供給する冷媒供給管とを備えているので、冷媒供給管から冷却部材に冷媒を供給することにより、ポンプを効果的に冷却することができる。
【0042】
即ち、冷却装置が装備されるポンプは、そのケーシングがポンプを駆動するモータと一体的に形成されたポンプであるため、モータの発生する熱がポンプ側に伝わり、ポンプケーシングの温度が常温以上の温度になるが、供給される冷凍機の冷媒は少なくとも−20℃程度の温度より低い温度であるため、又、冷却されるべきポンプケーシングとの間で十分大きい温度差が得られるので、大きな冷却効果を得て、ポンプケーシングを例えば10℃程度の適当な低温まで冷却することができる。なお、ポンプケーシングは50℃程度の温度になることがあるが、その場合でも、例えば20℃程度の温度の冷却水や冷却風では、十分な低温冷却効果を得ることはできない。
【0043】
又、冷却部材に供給する冷媒を冷凍機の蒸発器を出た冷媒にしているので、この冷媒がポンプケーシングを冷却して熱を吸収したとしても、この冷媒は、続いて冷凍回路中の圧縮機で圧縮されて昇温・昇圧されるので、直接的には冷凍機の冷凍能力に影響しない。又、ポンプケーシングからの除去熱量は、主たる冷凍回路の冷凍能力に比べると十分小さいので、仮に蒸発器に供給する冷媒量を多くし、蒸発器から出る冷媒を液の存在する過冷却状態にするとしても、通常、冷凍機の冷凍能力の余裕の範囲においてこのような状態を実現できる。従って、ポンプ冷却のための電力消費量は基本的には増加せず、又、冷却水や冷却風を送る場合のように余分の装置やエネルギー消費がない。
【0044】
更に、ポンプ冷却装置が装備されるポンプは、冷凍機で冷却される熱媒体を循環させて目的物を冷却可能にする熱媒体循環系に設けられたポンプであるため、熱媒体が低温になるので、ポンプが送出する熱媒体にポンプを駆動するモータから発生した熱が侵入すると、それによる熱媒体の温度上昇が目的物を冷却するための熱媒体循環系の温度制御に影響を与えるが、上記のようにポンプケーシングを効果的に冷却することにより、温度制御性を良くし、目的物を精度の良い温度条件で冷却することができる。
【0045】
そして更に、ポンプ冷却のために供給される冷媒用の冷凍機を、冷凍機で冷却される熱媒体を循環させて目的物を冷却可能にする熱媒体循環系の冷却用の冷凍機にしているので、冷凍機と熱媒体循環系とが関連した設備となり、従って、熱媒体循環系を構成するポンプが通常冷凍機と近い位置に配設されることになる。その結果、冷却部材に冷媒を供給する冷媒供給配管が十分短い長さで簡単に装備できるものとなる。
【0046】
そして、冷却装置はこの冷媒供給配管に接続される冷却部材を設けただけの構造のものであるから、簡単で低コストのものである。更に、ポンプ自体には、冷却部材が追加されただけであるから、通常のポンプの大きさや構造を変更する必要がない。その結果、熱媒体供給用として汎用されているポンプをそのまま使用することができ、この点でのコストアップは生じない。
【0047】
又、冷却効果の高い冷媒でポンプケーシングを十分冷却することにより、ポンプ内部の温度の異常な上昇を防止し、シール部材等を備えた構造を含みポンプ部品の耐久性を基本的に良くすることができる。
【0048】
又、ポンプの揚水部がモータの軸から相互間が仕切られた外側電磁カップリングと内側電磁カップリングからなる電磁カップリングを介して回転駆動されるようにしているので、ポンプ揚水部がモータ側から閉鎖されていてシール部材の不要な構造になる。一方、このような構造によれば、内側電磁カップリング部分を含むポンプ揚水部はポンプが吸入/吐出する熱媒体で満たされているので、モータの発熱が熱媒体中に持ち込まれやすくなるが、本発明によれば、ポンプケーシングを十分冷却することによってこの熱を大幅に除去することができる。その結果、特に低温環境を含み耐久性に問題があり交換部品にもなるゴム等の摺動シール部材を不要にした本例のポンプにおいて、ポンプの吐出する熱媒体への熱の持ち込みを大幅に低減し、ポンプの耐久性や保守性と熱媒体の温度制御性との両方を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したポンプ冷却装置を含む関連設備の構成例を示す説明図である。
【図2】本発明のポンプ冷却装置が装備されるポンプの概略構造の一例を示す断面図である。
【図3】ポンプ冷却装置を装備したポンプの外形を示し、(a)は正面図で(b)は背面図で(c)は側面図である。
【図4】(a)はブライン循環系の全体構成を示す説明図で、(b)はブライン循環系に含まれる伝熱プレートのソケット部分の説明図である。
【図5】(a)及び(b)は上記ポンプ冷却装置を含む関連設備の概略配置の一例を示す平面図及び正面図である。
【符号の説明】
1 ポンプ
3 冷却管(冷却部材)
4 冷媒供給管
5 冷凍機
7 液媒回路(熱媒体循環系)
11 ケーシング
12 モータ
15 外側電磁カップリング
16 内側電磁カップリング
31 管(冷却管、冷却部材)
41 入口管(冷媒供給管)
42 出口管(冷媒供給管)
60 カスケードコンデンサ(蒸発器)
W 試料、水晶発振器(目的物)
Claims (1)
- 揚水部と電磁カップリングとモータとを備えケーシングが一体的に形成されたポンプであって前記電磁カップリングが前記モータの軸から相互間が仕切られた外側電磁カップリングと内側電磁カップリングとからなり前記揚水部が前記電磁カップリングを介して回転駆動されるポンプを冷却するポンプ冷却装置において、
前記ポンプは、二元冷凍サイクルで構成され低温側蒸発器と高温側の蒸発器及び低温側の凝縮器として作動するカスケードコンデンサとを備えた冷凍機の前記低温側蒸発器で冷却されるブラインを循環させて目的物を冷却可能にする液媒回路に設けられていて、
冷却部材と冷媒供給配管とを有し、
前記冷却部材は、前記ポンプを冷却可能にするように前記ケーシングのうち前記電磁カップリングの部分の表面に沿って装着されていて、
前記冷媒供給配管は、前記冷却部材に前記高温側の蒸発器から出た冷媒を供給するように設けられている、
ことを特徴とするポンプ冷却装置。
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