JP3936376B2 - 中空糸膜型人工肺 - Google Patents

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Description

本発明は、体外血液循環において、血液温度調整と、血液中の二酸化炭素を除去し、血液中に酸素を添加するための熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺に関する。
開心術に用いられる人工心肺回路としては、近年遠心式のポンプや拍動流ポンプでの送血、また無輸血体外循環が普及してきている。これらを行うに当たり、人工心肺回路を簡素化し、低圧力損失、低充填量とすることが求められている。しかし、現状の開心術用回路では、熱交換器と人工肺を接続し一体的にしたものはあるが、あくまでおのおの独立したものを接続しているものにすぎない。
人工肺としては、膜型人工肺が一般的となってきている。膜型人工肺は主に中空糸膜を用い、その中空糸膜を介して血液のガス交換を行うものである。
人工肺への血液の流入方式として、中空糸膜の内側に血液を流し、中空糸膜の外側にガスを流す内部灌流方式と、逆に血液を中空糸膜外側へ流し、ガスを中空糸膜の内側へ流す外部灌流方式とがある。前者は血液を循環する際の圧力損失が大きい事が知られている。これに対し後者は圧力損失の点で前者より有利である。
特表平7−509171号公報
近年遠心式のポンプや拍動流ポンプが普及してきており、これらのポンプにて体外循環が行えるためには、人工肺の圧力損失は小さい事が望ましい。さらに、上述したように、回路全体として少しでも低充填量であることが望ましい。
しかし、従来のものでは、熱交換器と人工肺を接続し一体的にしたものでは、熱交換器と人工肺それぞれがハウジングとその内部に血液室を有するため、ある程度の充填量を有するものとなる。
最近では、中空筒状コアの周りに螺旋状に中空糸を巻き付けることにより作製された中空糸束を用いる人工肺が提案されている(特表平7−509171号公報)。このようなタイプの中空糸束には、巻き付けられる中空糸が交差(クロス)する交差部が形成される。特に、中空筒状コアを回転させるための回転体と中空糸膜を編み込むためのワインダーとを所定条件により制御することにより、巻き付けられる中空糸が交差(クロス)する交差部ならびにこの交差部が重なり合う中空糸交差環状部が形成される。この中空糸交差環状部に起因する血液の短絡路が形成されることがあり、ガス交換能の低下の原因となる。
そこで、本発明の目的は、このような中空筒状コアの外面に中空糸膜を螺旋状に巻き付け、かつ中空糸交差環状部を備える中空糸束を用いる人工肺であっても、中空糸交差環状部に起因する血液短絡路の形成が少なく、十分なガス交換能を備える中空糸膜型人工肺を提供するものである。
上記目的を達成するものは、筒状コアと、該筒状コアの外表面に巻き付けられた多数のガス交換用中空糸膜からなる筒状中空糸膜束と、該筒状中空糸膜束を収納するハウジングとを備える中空糸膜型人工肺であって、前記筒状コアは、該筒状コアの外表面と前記筒状中空糸膜束の内面間に血液流路を形成する溝と、該溝間により形成された環状リブと、前記筒状コア内に形成された第1の血液室と前記溝とを連通する血液流通用開口とを有し、前記人工肺は、前記第1の血液室と連通する血液流入ポートと、前記筒状中空糸膜束外面と前記ハウジング内面間に形成された第2の血液室と連通する血液流出ポートを備え、さらに、前記筒状コアは、軸方向に対してほぼ直交し、前記環状リブの頂点よりも広い所定の幅を備え、かつ、前記筒状中空糸膜束の内面が接触する環状平坦部を有し、前記中空糸膜束は、前記筒状コアに対して螺旋状に巻き付けられているとともに、中空糸の交差部が重なり合って形成される中空糸交差環状部を有し、該中空糸交差環状部は、前記筒状コアの環状平坦部上に位置している中空糸膜型人工肺である。
また、上記中空糸膜型人工肺において、前記筒状コアの溝は、例えば、複数の無端の環状溝もしくは複数の始端および終端を有する環状溝であり、前記筒状コアの血液流通用開口は、前記複数の環状溝の個々と連通する複数の血液流通用開口もしくは前記複数の環状溝のすべてと連通する一つの血液流通用開口もしくは複数の環状溝と連通する複数の血液流通用開口である。
また、上記中空糸膜型人工肺において、前記血液流入ポートは、前記筒状コアの一方の端部側に設けられており、前記血液流通用開口は、前記血液流入ポートの中心線を延長した領域と向かい合う領域に形成されていることが好ましい。さらに、上記熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺および上記中空糸膜型人工肺において、前記筒状コアの前記溝間に形成されるリブの頂点は平坦面となっていることが好ましい。さらに、上記中空糸膜型人工肺において、前記筒状コアは、軸方向のほぼ全体にのび、平坦面状の溝非形成部を備えていることが好ましい。さらに、上記熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺および上記中空糸膜型人工肺において、前記コアの溝は、中空糸膜束のガス交換に寄与する部分のほぼ全域に渡り形成されていることが好ましい。さらに、前記コアの溝は、中空糸膜束のガス交換に寄与する部分のほぼ全域に渡り形成されていることが好ましい。
そして、上記の中空糸膜型人工肺において、前記中空糸膜束は、中空糸膜が、1本あるいは複数本同時に、且つすべての中空糸膜が実質的に一定の間隔となるように前記筒状コアに巻き付けられることにより形成されたものであることが好ましい。
さらに、上記の中空糸膜型人工肺において、前記中空糸膜と該中空糸膜と実質的に平行となっている隣り合う中空糸膜との距離は、中空糸膜の外径の1/10〜1/1となっていることが好ましい。
また、上記の中空糸膜型人工肺において、前記人工肺は、前記筒状中空糸膜束の両端部を前記ハウジングに固定する2つの隔壁と、前記中空糸膜内部と連通するガス流入ポートおよびガス流出ポートと、筒状熱交換器部の内部と連通する熱媒体流入ポートおよび熱媒体流出ポートとを備えることが好ましい。
本発明の中空糸膜型人工肺は、筒状コアと、該筒状コアの外表面に巻き付けられた多数のガス交換用中空糸膜からなる筒状中空糸膜束と、該筒状中空糸膜束を収納するハウジングとを備える中空糸膜型人工肺であって、前記筒状コアは、該筒状コアの外表面と前記筒状中空糸膜束の内面間に血液流路を形成する溝と、該溝間により形成された環状リブと、前記筒状コア内に形成された第1の血液室と前記溝とを連通する血液流通用開口とを有し、前記人工肺は、前記第1の血液室と連通する血液流入ポートと、前記筒状中空糸膜束外面と前記ハウジング内面間に形成された第2の血液室と連通する血液流出ポートを備え、さらに、前記筒状コアは、軸方向に対してほぼ直交し、前記環状リブの頂点よりも広い所定の幅を備え、かつ、前記筒状中空糸膜束の内面が接触する環状平坦部を有し、前記中空糸膜束は、前記筒状コアに対して螺旋状に巻き付けられているとともに、中空糸の交差部が重なり合って形成される中空糸交差環状部を有し、該中空糸交差環状部は、前記筒状コアの環状平坦部上に位置しているものである。
このため、第1の血液室から血液流通用開口を通過した血液は、筒状コアの溝内を流れるため、血液の分散性が良好となり中空糸膜束内への血液流入も良好となり、ガス交換能も高いものとなる。さらに、この人工肺では、筒状コアの溝が形成されていない環状平坦部上に、中空糸交差環状部が位置しているため、溝より直接中空糸交差環状部3a内に血液が流入することがなく、中空糸交差環状部内には、他の溝から中空糸膜束内に流入した後に流入する。このため、血液の短絡路が形成されることが少なく、人工肺として十分なガス交換能を有する。
そこで、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例を示す正面図、図2は、図1に示した熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の左側面図、図3は、図1に示した熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の右側面図、図4は、図2のA−A線断面図、図5は、図2のB−B線断面図、図6は、図1のC−C線断面図である。
本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺1は、筒状コア5と、筒状コア5の外表面に巻き付けられた多数のガス交換用中空糸膜からなる筒状中空糸膜束3とからなる人工肺部と、筒状コア5内に収納された筒状熱交換器部と、人工肺部および筒状熱交換器部を収納するハウジング2とを備える。筒状コア5は、筒状コア5の外表面と筒状中空糸膜束3の内面間に血液流路を形成する溝51と、筒状コア5と筒状熱交換器部間に形成された第1の血液室11と溝51とを連通する血液流通用開口52を有する。人工肺1は、筒状コア5と筒状熱交換器部間に形成された第1の血液室11と連通する血液流入ポート24と、筒状中空糸膜外面とハウジング2内面間に形成された第2の血液室12と連通する血液流出ポート25を備えている。
また、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺1は、筒状コア5と、筒状コア5の外表面に巻き付けられた多数のガス交換用中空糸膜からなる筒状中空糸膜束3とからなる人工肺部と、筒状コア5内に収納された筒状熱交換器部と、人工肺部および筒状熱交換器部を収納するハウジング2とを備え、内部に血液室を有する人工肺であって、筒状熱交換器部は、筒状かつ蛇腹状熱交換体31を備えるとともに、使用時の人工肺内部の血液室の容量の変化を規制する蛇腹状熱交換体変形規制部34,35を備えるものでもある。
また、本発明の中空糸膜型人工肺1は、筒状コア5と、筒状コア5の外表面に巻き付けられた多数のガス交換用中空糸膜からなる筒状中空糸膜束3と、筒状中空糸膜束3を収納するハウジング2とを備え、筒状コア5は、筒状コア5の外表面と筒状中空糸膜束3の内面間に血液流路を形成する溝51と、筒状コア5内に形成された第1の血液室11と溝51とを連通する血液流通用開口52とを有する。人工肺1は、第1の血液室11と連通する血液流入ポート24と、筒状中空糸膜外面とハウジング2内面間に形成された第2の血液室12と連通する血液流出ポート25を備え、さらに、筒状コア5は、軸方向に対してほぼ直交し、かつ所定の幅を備える環状平坦部55を有し、中空糸膜束3は、筒状コア5に対して螺旋状に巻き付けられているとともに、中空糸交差部(クロスワインド部)が重なり合うことにより形成される中空糸交差環状部3aを有し、中空糸交差環状部3aは、筒状コア5の環状平坦部55上に位置しているものでもある。
この実施例の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺1は、図1ないし図6に示すように、ハウジング2と、このハウジング2内に収納された人工肺部と、この人工肺部内に収納された筒状熱交換器部を備える。
この実施例の中空糸膜型人工肺1では、図5および図6に示すように、外側から、筒状ハウジング本体21、第2の血液室12、中空糸膜束3、溝51を備える筒状コア5、第1の血液室11、筒状熱交換体31、筒状熱交換体変形規制部34,35、筒状熱媒体室形成部材32の順でほぼ同心的に配置もしくは形成されている。
ハウジング2は、図1ないし図5に示すように、血液流出ポート25を備える筒状ハウジング本体21、ガス流入ポート26、熱媒体流入ポート28および熱媒体流出ポート29を備える第1のヘッダー22、ガス流出ポート27および筒状コア5に設けられる血液流入ポート24の挿通口を備える第2のヘッダー23を備えている。第1のヘッダー22の内面には、筒状に突出する熱媒体室形成部材接続部22aとこの筒状接続部22aの内部を2分する仕切部22bが設けられている。また、第2のヘッダー23の内面には、筒状に突出する熱媒体室形成部材接続部23aが設けられている。このため、後述する筒状熱媒体室形成部材32は、図5に示すように、開口端側が第1のヘッダー22に保持され、閉塞端側が第2のヘッダー23に保持されている。
筒状熱交換器部は、熱交換器部の内部構造を説明するための説明図である図10に示すように、筒状熱交換体31と、この熱交換体31内に収納される筒状熱媒体室形成部材32と、筒状熱交換体31と筒状熱媒体室形成部材32間に挿入される2つの筒状熱交換体変形規制部34,35を備えている。
筒状熱交換体31としては、いわゆるベローズ型熱交換体が使用される。ベローズ型熱交換体31(蛇腹管)は、図10に示すように、中央側面にほぼ平行に形成された多数の中空環状突起31aを備える蛇腹形成部31bと、その両端に形成され、蛇腹形成部31bの内径とほぼ等しい円筒部31cを備えている。熱交換体31の円筒部の一方は、図4および図5に示すように、中空筒状コア5の血液流入ポート24側端部内面と第のヘッダー23間により挟持され、熱交換体31の円筒部の他方は、中空筒状コア5の一端内に挿入されたリング状熱交換体固定用部材48とこのリング状熱交換体固定用部材48と第のヘッダー22間に挿入された筒状熱交換体固定用部材49と第のヘッダー22間により挟持されている。
ベローズ型熱交換体31は、ステンレス、アルミ等の金属もしくはポリエチレン、ポリカーボネート等の樹脂材料によりいわゆる細かな蛇腹状に形成されている。強度、熱交換効率の面からステンレス、アルミ等の金属が好ましい。特に、筒状熱交換体31の軸方向(中心軸)に対してほぼ直交する凹凸が多数繰り返された波状となっているベローズ管からなり、その谷部と山部の高さは5.0〜15.0mm程度が最も効率が良く、好ましくは9.0〜12.0mmが好ましい。また、熱交換器部の軸方向の長さは、使用される患者によって異なるが、70.0〜150cmの範囲のものが用いられる。
筒状熱媒体室形成部材32は、図4、図5、図6および図10に示すように、一端(第1のヘッダー22側)が開口した筒状体であり、内部を流入側熱媒体室41と流出側熱媒体室42に区分する区画壁32aと、流入側熱媒体室41と連通し軸方向に延びる第1の開口33aと、流入側熱媒体室42と連通し軸方向に延びる第2の開口33bと、向かい合いかつ、第1の開口33aおよび第2の開口33bと約90度ずれた位置の側面に形成され外方に突出する軸方向に延びる突起36a、36bを備えている。突起36aは、熱交換体変形規制部34の内面中央に形成された軸方向に延びる溝内に侵入することにより変形規制部34の移動を規制する。同様に、突起36bは、熱交換体変形規制部35の内面中央に形成された軸方向に延びる溝内に侵入することにより変形規制部35の移動を規制する。
筒状熱媒体室形成部材32は、開口端側を第1のヘッダー22の熱媒体室形成部材接続部22aに嵌合させたとき、図5に示すように、筒状熱媒体室形成部材32の区画壁32aの先端部の一方の面(この実施例では下面)に、筒状接続部22aの内部を2分する仕切部22bが密接する。これにより、筒状熱媒体室形成部材32内の流入側熱媒体室41は、熱媒体流入ポート28と連通し、流出側熱媒体室42は熱媒体流出ポート29と連通する。
また、2つの熱交換体変形規制部34,35は、付き合わされるそれぞれの端部部分に軸方向に延びる切り欠き部34b,35bを備えており、2つの規制部34,35が付き合わされることにより、図6および図7に示すように、媒体流入側通路37および媒体流出側通路38が形成されている。なお、図7では、筒状熱媒体室形成部材32を省略してある。なお、2つの熱交換体変形規制部34,35は、一体に形成してもよい。
そして、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例の熱交換器部を説明するための説明図である図7および図10に示すように、2つの熱交換体変形規制部34,35は、外面に多数の熱交換体変形規制用リブ34a,35aを備えている。この変形規制用リブ34a,35aは、熱交換体31の蛇腹の谷部(底部)もしくはその付近(内側湾曲部付近)の内面と接触する。筒状熱交換体変形規制部材34,35は、熱交換体31の蛇腹の内側面に接触するとともに、変形規制用リブ34a,35aは、蛇腹管の谷内に侵入し、谷部(小径部)付近と接触することにより、熱交換体31の変形を規制する。熱交換体内部の圧力が変化したとき、熱交換体31は、蛇行、蛇腹部の拡張もしくは収縮しようとする。しかし、この人工肺1では、熱交換体内部の圧力が変化したとき、熱交換体31が変形しようとしても蛇腹部の谷部の内面が変形規制用リブ34a,35aに当接することにより、変形が阻害される。これにより、熱交換体内部の圧力が変化しても、人工肺内部の血液室の容量の変化を規制できるので安全である。
この実施例では、変形規制用リブ34a,35aは、筒状熱交換体変形規制部材34,35の外面に平行に円弧状に複数形成されており、熱交換体31のすべての蛇腹部の谷部内部に侵入している。リブ34a,35aは、円弧状でなくても、円弧上に非連続に配置されたリブ(例えば、断面が円、楕円、多角形などのドット状、円弧状)でもよい。また、リブは、すべての蛇腹管の谷部に侵入するように設けることが好ましいが、蛇腹管の谷部のすべてではなく、適宜間引いて設けたもの、または、蛇腹管の谷部の一つおきに設けたものでもよい。リブ34a,35aの高さは、熱交換体31の谷部の深さにもよるが、0.1〜10.0mm程度が好ましく、特に、0.5〜2.0mmが好ましい。また、リブ34a,35aの高さは、熱交換体31の谷部の深さの1/20から1/1程度であることが好ましい。
さらに、この実施例では、変形規制用リブ34a,35aは、筒状熱交換体変形規制部材34,35の外面に全体に延びておらず、筒状熱交換体変形規制部材34,35の外面両側端部には軸方向に延びるリブ非形成部34c,35cが設けられている。
なお、熱交換体変形規制部としては、上述したような規制部材34,35を用いるものに限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、熱交換体31の内面もしくは外面に直接設けられた所定幅にて軸方向に延び、かつ少なくとも蛇腹の谷部を埋めるように形成されたシール部45であってもよい。このような規制部45としては、軸方向に延びる複数(例えば、2〜8、好ましくは、3〜6)の変形規制部45a,45b,45cを、例えばポッティング剤により形成することが考えられる。
さらに、熱交換体変形規制部としては、例えば、図9に示すように、熱交換体31の内面に、直接軸方向に延びる複数(例えば、2〜8、好ましくは、3〜6)の変形規制線状材部(例えば、針金、ピアノ線)46a,46b,46cを、谷部の内面の頂点に溶接部47(例えば、ハンダ)により固定したものでもよい。
そして、この実施例の人工肺1の熱交換器部における熱媒体の流れを図5および図6を用いて説明する。熱媒体流入ポート28より人工肺内部に流入した熱媒体は、第1のヘッダー22内部を通り流入側熱媒体室41内に流入する。そして、筒状熱媒体室形成部材32の流入室側開口33aおよび熱交換体変形規制部34,35の当接部により形成された媒体流入側通路37を通過して、熱交換体31と熱交換体変形規制部34,35間を流れる。この際に、熱媒体により熱交換体31は加温もしくは冷却される。そして、熱媒体は、熱交換体変形規制部34,35の当接部により形成された媒体流出側通路38および筒状熱媒体室形成部材32の流出室側開口33bを通過することにより、筒状熱媒体室形成部材32内の流出側熱媒体室42内に流出する。そして、第2のヘッダー23内部を通過して熱媒体流出ポート29より流出する。
次に、人工肺部について説明する。
図11は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例の人工肺部の内部構造を説明するための説明図である。図12は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例に使用される筒状コアの正面図、図13は、図12に示した筒状コアの平面図、図14は、図12に示した筒状コアの断面図である。図15は、図12に示した筒状コアの左側面図、図16は、図12に示した筒状コアの右側面図である。図18は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例の人工肺部の構造を説明するための説明図であり、筒状コア及び上半分の中空糸膜を外観で表している。図19は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例の人工肺部の構造を説明するための説明図である。
人工肺部は、筒状コア5と、この筒状コア5の外面に巻き付けられた多数の中空糸膜からなる筒状中空糸膜束3を備える。
筒状コア5は、図3、図4、図12、図13、図14および図15に示すように、筒状体であり一端には、所定幅にて内側に延びる環状平板状突出部56が形成されており、この環状平板状突出部56の外面に血液流入ポート24が筒状コア5の中心軸と平行にかつ外方に突出するように形成されている。筒状コア5の外面には、筒状コア5の外表面と筒状中空糸膜束3の内面間に血液流路を形成する多数の溝51が形成されている。さらに、筒状コア5は、この溝51と筒状コア5と筒状熱交換器部間に形成された第1の血液室11とを連通する血液流通用開口52を有している。筒状コア5としては、外径が20〜100mm程度が好適であり、有効長(全長のうち隔壁に埋もれていない部分の長さ)は、10〜730mm程度が好適である。
具体的には、筒状コア5は、その両端部分を除き、平行にかつ連続しない複数の溝51を有しており、溝51間は、環状リブ53となっている。筒状コア5の溝は、中空糸膜束のガス交換に寄与する部分(有効長,隔壁に埋もれない部分)のほぼ全域に渡るように形成されている。ここで使用する筒状コア5は、血液流入ポート24のほぼ延長線上であり、かつ筒状コア5の溝51形成部分のほぼ全体に延びる平坦面状の溝非形成部54を備えている。このため、筒状コア5の溝51およびリブ53は、始端および終端を有する環状溝51(円弧状溝51)ならびに環状リブ53(円弧状リブ)となっている。筒状コア5として、上記の筒状コア5の溝51形成部分のほぼ全体に延び平坦面状の溝非形成部54を備えることにより、筒状コア5の外面に形成される筒状中空糸膜束3の形状安定性が向上する。しかし、この溝非形成部54は必ずしも設ける必要はなく、筒状コア5の溝51およびリブ53は、無端の完全環状溝51および無端の完全環状リブ53となっていてもよい。また、溝51の深さとしては、0.5〜10.0mm程度が好適であり、特に、2.0〜4.0mmが好適である。また、溝51のピッチとしては、1.0〜10.0mm程度が好適であり、特に、3.0〜5.0mmが好適である。また、溝51の幅(最大部分の幅)としては、1.0〜10.0mm程度が好適であり、特に、2.0〜4.0mmが好適である。筒状コア5は、中空糸膜束3の有効長(隔壁に埋もれていない部分)のほぼ全域に渡る多数の溝51を備えるため、血液を中空糸膜束3の全体に分散させることができ、中空糸膜全体を有効に利用でき、ガス交換能も高いものとなる。
さらに、筒状コア5の溝51間に形成される山部(リブ53)の頂点は平坦面となっていることが好ましい。リブ53の平坦面の幅としては、0.1〜5.0mm程度が好適であり、特に、0.8〜1.2mmが好適である。このように、リブ53の頂点を平坦面とすることにより、筒状コア5の外面に形成される筒状中空糸膜束3の形状安定性が向上する。さらに、溝51は、断面形状がリブ53の頂点に向かって広がる形状(例えば、断面台形状)となっている。このため、溝51(血液流路)は、中空糸膜束内面に向かって広がるため中空糸膜束内への血液流入を良好なものとしている。
また、血液流入ポート24は、筒状コア5の一方の端部側に設けられており、血液流通用開口52は、血液流入ポート24の中心線を延長した領域と向かい合う領域に形成されている。このようにすることにより、筒状コアと筒状熱交換器部間に形成された第1の血液室11内における血液流通形態が均等なものとなりやすく、熱交換効率も高いものとなる。具体的には、図6および図16に示すように、筒状コア5は上述した血液流入ポート24のほぼ延長線上であり、かつ筒状コア5の溝形成部分のほぼ全体に延びる溝非形成部54を備える。この溝非形成部54は、溝を形成しないことにより可能となった肉薄部となっており、これにより、筒状コア5内部に血液流入ポート24のほぼ延長線上に位置する血液誘導部58が形成されている。血液誘導部部分は、他の溝形成部より内径が大きくなっている。このような血液誘導部58を設けることにより、筒状コアと筒状熱交換器部間に形成された第1の血液室11の軸方向の全体に血液を確実に流入させることができる。
そして、この溝非形成部54(血液誘導部58)と向かい合う領域(位置)に血液流通用開口52が形成されている。この筒状コア5では、血液流通用開口52は、複数の環状溝51の個々と連通する複数の血液流通用開口52を備えている。つまり、溝非形成部54(血液誘導部)と向かい合う位置の筒状コア5の溝51部分を欠損させることにより、開口52が形成されている。このため、隣り合う開口52間には、リブ53が存在している。さらに、この筒状コア5では、開口形成部52aにおけるリブ53の肉厚が薄くなっており、図16に示すように、開口形成部52aの内径も溝非形成部(血液誘導部)と同様に他の部分より広くなっており、第2の血液誘導部57を形成している。上記のように、開口形成部52aにリブ53の山部分を残すことにより、筒状コア5の物性低下の回避、中空糸膜との接触部確保による中空糸膜束3の形状安定化を計ることが可能となる。また、開口形成部52aの内径が他の部分より大きい肉薄部とすることにより、第1の血液室11内を流れた血液の開口形成部52への誘導が確実なものとなる。
しかし、このようなものに限定されるものではなく、開口形成部52にリブ53の山部分が存在せず、複数の環状溝51のすべてと連通する一つの血液流通用開口もしくは複数の環状溝51と連通する複数の血液流通用開口を備えるものであってもよい。図17に示すものは、後述する環状平坦部55により2つに区分された2つの血液流通用開口52b,52cを備え、環状平坦部55より一端側(血液流入ポート24側)の複数の溝51は血液流通用開口52bと連通し、環状平坦部55より他端側の複数の溝51は血液流通用開口52cと連通している。
そして、この筒状コア5は、軸方向に対して所定幅にてほぼ直交する環状平坦部55を備えている。この環状平坦部55は、分断されることなく完全に環状となっていることが好ましい。環状平坦部55の幅は、リブ53の頂点の平坦面の幅よりも広く、1〜10mm程度が好適であり、特に、2〜5mmが好適である。
そして、上述した筒状コア5の外面に中空糸膜束3が巻き付けられている。中空糸膜束3は、図18および図19に示すように、筒状コア5に対して螺旋状に巻き付けられているとともに、中空糸同士が接触して交差する中空糸交差部(クロスワインド部)が重なり合うことにより形成される中空糸交差環状部3aを有している。さらに、中空糸交差環状部3aは、筒状コア5の環状平坦部55上に位置している。中空糸交差環状部3aは、中空糸交差部が積層されている部分であり、他の部分に比べて、中空糸膜間に不均等な間隙が形成されている。このため、この部分にコア5の溝51があると、溝51より直接中空糸交差環状部3a内の間隙に血液が流れ、血液の短絡路が形成されるおそれがある。しかし、この人工肺1では、筒状コア5の溝が形成されていない環状平坦部55上にこの中空糸交差環状部3aが位置しているため、溝より直接中空糸交差環状部3a内に血液が流入することがなく、中空糸交差環状部3a内には、他の溝から中空糸膜束内に流入した後に流入する。このため、血液の短絡路が形成されることが少なく、人工肺として十分なガス交換能を有する。
また、中空糸膜束3は、中空糸膜が、1本あるいは複数本(好ましくは、2〜16本)同時に、且つ隣り合うすべての中空糸膜が実質的に一定の間隔となるように筒状コア5に巻きつけられることにより形成されたものであるとともに、中空糸膜を筒状コア上に巻き付ける際に、筒状コア5を回転させるための回転体と中空糸膜を編み込むためのワインダーとが、下記式1で動くことによって筒状コア5に巻きつけられることにより形成されたものであることが好ましい。
トラバース[mm/lot]・n(整数)=トラバース振り幅・2±(ファイバー外径+間隔)・巻き着け本数 (式1)
このようにすることにより、より血液偏流の形成が少ないものとすることができる。この時の巻取り用回転体の回転数とワインダー往復数の関係であるnは、1〜5であるべきで、好ましくは1である。このように上記式1のnとして整数を選択することにより、中空糸交差部(クロスワインド部)が重なり合う中空糸交差環状部3aが形成される。中空糸交差環状部3aの形成数はnの値と同じとなる。この実施例の人工肺1では、n=1により行うものであり、この場合には、筒状コア5の外面に巻き付けられた状態の中空糸膜束3(両端切断前)の中央に中空糸交差環状部3aが形成される。このため、筒状コア5の環状平坦部55がトラバース振り幅の中央に位置するようにして、筒状コア5に中空糸を巻き付けることにより、筒状コア5の環状平坦部55上に中空糸交差部(クロスワインド部)が重なり合う中空糸交差環状部3aが形成された中空糸膜束3を得ることができる。
特に、中空糸膜は、1本あるいは複数本同時に、実質的に平行で且つ隣り合う中空糸膜が実質的に一定の間隔となるように筒状コア5に巻きつけられることが好ましい。これにより、血液の偏流がより抑制できる。また、中空糸膜は、隣り合う中空糸膜との距離が、中空糸膜の外径の1/10〜1/1となっていることが好ましい。さらに、中空糸膜は、隣り合う中空糸膜との距離が、30μm〜200μmが好ましく、特に、好ましくは50μm〜180μmである。
さらに、筒状コア5への中空糸の巻き付けは、筒状コア5の外側に中空糸を溝51となる部分に配置されないよう、言い換えればリブ53の頂点から頂点を結ぶように、リブ53の頂点部外周に沿って螺旋状に巻き回すことにより行われることが好ましい。なおこの際、中空糸が筒状コア5の溝51に落ち込まないよう溝51(リブ53)に対して一定の角度を持って巻回されることが好ましい。具体的には、筒状コア5の溝51(リブ53)に対して10〜50度の角度が好ましく、20〜40度がより好ましい。また中空糸が筒状コア5の溝51(リブ53)に対して一定の角度を有しながら巻回される事によってプライミング時において、筒状コア5と中空糸との間にかみ込む泡の抜けが向上し、プライミング性、ガス性能の向上、またファイバー脱落による性能のばらつきを低減できる。
中空糸膜としては、多孔質ガス交換膜が使用される。多孔質中空糸膜としては、内径100〜1000μm、肉厚は5〜200μm、好ましくは10〜100μm、空孔率は20〜80%、好ましくは30〜60%、また細孔径は0.01〜5μm、好ましくは0.01〜1μmのものが好ましく使用できる。また、多孔質膜に使用される材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート等の疎水性高分子材料が用いられる。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくは、ポリプロピレンであり、延伸法または固液相分離法により壁に微細孔が形成されたものがより好ましい。中空糸膜束3の外径は、30〜162mmが好適であり、中空糸膜束3の厚さは、10mm〜28mmであることが好ましい。さらに、筒状コア5の外面に形成された筒状中空糸膜束3は、筒状中空糸膜束3の外側面と内側面間により形成される筒状空間に対する中空糸膜の充填率が、50%〜75%であることが好ましい。より好ましくは、53%〜73%である。
そして、中空糸膜束3は、筒状コア5に中空糸膜を巻き付けた後、両端を隔壁8,9により筒状ハウジング本体21に固定し、そして、中空糸膜束3の両端を切断される。これにより、中空糸膜の両端は、隔壁の端面において開口する。
中空糸膜束3が外面に巻き付けられた筒状コア5の両端は、隔壁8,9により、筒状ハウジング本体21の両端部に液密に固定され、筒状中空糸膜外面と筒状ハウジング本体21内面間に環状空間(筒状空間)である第2の血液室12が形成される。筒状ハウジング本体21の側面に形成された血液流出ポート25は、第2の血液室12と連通する。隔壁8,9は、ポリウレタン、シリコーンゴムなどのポッティング剤で形成される。
そして、図11に示すように、上述のように形成された人工肺部の筒状コア5内部に、上述した熱交換器部が収納される。そして、筒状コア5と筒状熱交換器部間に環状の第1の血液室11が形成され、血液流入ポート24はこの血液室11と連通する。
この人工肺1では、血液流入ポート24から流入した血液は、筒状コア5と筒状熱交換器部間である血液室11の一部を構成する血液誘導部57内に流入し、筒状コア5と筒状熱交換体間を流れた後、第1の血液誘導部57と向かい合う位置に形成された開口52を通り筒状コア5より流出する。コア5より流出した血液は、中空糸膜束3内面と筒状コア5間に位置する筒状コア5外面に形成された複数の溝51内に流入した後、中空糸膜束3間に流入する。この実施例の人工肺では、中空糸膜束3のガス交換に寄与する部分(有効長,隔壁に埋もれない部分)のほぼ全域に渡るように多数の溝51が形成されているため、血液を中空糸膜束3の全体に分散させることができ、中空糸膜全体を有効に利用でき、ガス交換能も高いものとなる。そして、中空糸膜に接触し、ガス交換がなされた後、筒状ハウジング本体21と中空糸膜外面(中空糸膜束3外面)間により形成された第2の血液室12に流入し、血液流出ポート25より流出する。また、ガス流入ポート26より流入した酸素含有ガスは、第1のヘッダー22内を通り隔壁端面より中空糸膜内に流入し、第2のヘッダー23内を通過してガス流出ポート27より流出する。なお、熱媒体流入ポート28からは、必要に応じて、温水もしくは冷水が熱交換器部内に流入され、熱交換器部内を流れた温水もしくは冷水は、熱媒体流出ポート29より流出する。
また、筒状ハウジング本体21、筒状コア5、第1および第2のヘッダー22,23などの熱交換体31を除く部材の形成材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、エステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、MS樹脂、MBS樹脂)、ポリカーボネートなどが使用できる。
さらに、人工肺1の血液接触面は、抗血栓性表面となっている事が好ましい。抗血栓性表面は、抗血栓性材料を表面に被覆、さらには固定することにより形成できる。抗血栓性材料としては、ヘパリン、ウロキナーゼ、HEMA−St−HEMAコポリマー、ポリHEMAなどが使用できる。
次に、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の具体的実施例および比較例について説明する。
(実施例)
筒状ハウジング本体としては、外径84.0mm、内径75.0mm、長さ110.0mmのものを用いた。また、第1のヘッダーおよび第2のヘッダーとしては、図1から図4に示すような形状のものを用いた。
ベローズ型熱交換体としては、外径が75mm、内径が50mm、長さが110.0mm、蛇腹形成部の長さ90.0mm、山の数40、蛇腹(山)のピッチ2.25mmのものを用いた。そして、ベローズ型熱交換体内に、図10に示すような形状で、筒状部外径が39.0mm、リブ部分の外径が47.0mm、長さが116.0mmの一端が閉塞した筒状熱媒体室形成部材と、この外側に、図10に示すような形状の2つの熱交換体変形規制部材を組み合わせたもの挿入した。熱交換体変形規制部材は、長さ92.0mm、最大径部分52.0mm、平行に形成された40のリブ(高さ1.0mm、幅0.5mm)を外面に持つものを用い、規制部材のリブが、ベローズ型熱交換体の谷の内側空間内に侵入するように挿入した。
筒状コアとしては、図12〜図16に示すような形状を有し、長さ152.0mm、内径75.0mm、溝形成部の長さ90.0mm、溝の深さが高さ2.5mm、溝間隔3.0mm、リブ頂点の平坦面の幅1.0mm、溝数40、ほぼ中央に幅3.0mmの環状平坦面を外周に有するものを用いた。そして、この筒状コア内に、上記のベローズ型熱交換器を挿入した。
筒状コアの外面に、内径195μm、外径295μm、空孔率約35%の多孔質ポリプロピレン中空糸膜を4本中空糸膜間隔を一定に保って巻き直し、次に隣接する中空糸膜との中空糸膜間隔も以前に巻かれている中空糸膜間隔と同じとなるようにし、隣り合う中空糸膜間隔が一定となるように中空糸膜を巻き回し、流路規制板を兼ね備えた熱交換器内蔵中空糸膜ボビンを作製した。中空糸膜を筒状コア上に巻き付ける際に、筒状コア5を回転させるための回転体と中空糸膜を編み込むためのワインダーとが、下記式で動かすことにより、形成された中空糸膜束の中空糸交差環状部は、コアの環状平坦面上に位置していた。
トラバース[mm/lot]・1(整数)=トラバース振り幅・2±(ファイバー外径+間隔)・巻き着け本数
そして、中空糸膜束の両端をポッティング剤によりコアとともに筒状ハウジング本体の両端に固定し、熱交換器部を中心にして回転させながら、熱交換器部を切断させることなく、固定された中空糸膜ボビンの両端を切断した。そして、筒状ハウジング本体の両端に、上述した第1のヘッダーおよび第2のヘッダーを取り付け、膜面積2.5mであり、図1ないし図6に示すような構造の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺を作製した。
(比較例)
筒状コアとして、溝を持たないものを用いたこと、および上述した熱交換体変形規制部材と同じ形状で、リブを持たないものを用いたこと以外は、実施例と同様に行い膜面積2.5mの熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺を作製した。
(実験)
上記のようにして作製した実施例および比較例の人工肺について、牛血を用いて以下の実験を行った。なお、牛血は、AMMI(Association for the Advance of Medical instrumentation)で定めるところの標準静脈血を用い、これに抗凝固剤を添加したものを各人工肺に流量7L/minで灌流した。そして、それぞれの人工肺について、血液流入ポート付近および血液流出ポート付近で採血を行い、血液ガス分析装置にて酸素ガス分圧、二酸化炭素分圧、pH等を求め、酸素移動量、二酸化炭素移動量を求めた。また、血液流量7L/minにおける圧力損失、血液充填量を測定した。結果は、以下に示す表1に示す通りであった。
〔表1〕
┌────┬──────┬──────────┬────────┐
│ │酸素移動量 │ 二酸化炭素移動量 │ 圧力損失 │
│ │(L/min) │ (L/min) │ (mmHg) │
├────┼──────┼──────────┼────────┤
│実施例 │ 490 │ 350 │ 100 │
├────┼──────┼──────────┼────────┤
│比較例 │ 400 │ 300 │ 200 │
└────┴──────┴──────────┴────────┘
図1は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例を示す正面図である。 図2は、図1に示した熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の左側面図である。 図3は、図1に示した熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の右側面図である。 図4は、図2のA−A線断面図である。 図5は、図2のB−B線断面図である。 図6は、図1のC−C線断面図である。 図7は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例の熱交換器部を説明するための説明図である。 図8は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の他の実施例の熱交換器部を説明するための説明図である。 図9は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の他の実施例の熱交換器部を説明するための説明図である。 図10は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例の熱交換器部の内部構造を説明するための説明図である。 図11は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例の人工肺部の内部構造を説明するための説明図である。 図12は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例に使用される筒状コアの正面図である。 図13は、図12に示した筒状コアの平面図である。 図14は、図12に示した筒状コアの断面図である。 図15は、図12に示した筒状コアの左側面図である。 図16は、図12に示した筒状コアの右側面図である。 図17は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の他の実施例に使用される筒状コアの平面図である。 図18は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例の人工肺部の構造を説明するための説明図である。 図19は、本発明の熱交換機能内蔵中空糸膜型人工肺の一実施例の人工肺部の構造を説明するための説明図である。
符号の説明
1 中空糸膜型人工肺
2 ハウジング
3 筒状中空糸膜束
3a 中空糸交差環状部
5 筒状コア
11 第1の血液室
12 第2の血液室
21 筒状ハウジング本体
22 第1のヘッダー
23 第2のヘッダー
24 血液流入ポート
25 血液流出ポート
26 ガス流入ポート
27 ガス流出ポート
28 熱媒体流入ポート
29 熱媒体流出ポート
31 筒状熱交換体
34,35 筒状熱交換体変形規制部
51 溝
52 血液流通用開口
55 環状平坦部

Claims (7)

  1. 筒状コアと、該筒状コアの外表面に巻き付けられた多数のガス交換用中空糸膜からなる筒状中空糸膜束と、該筒状中空糸膜束を収納するハウジングとを備える中空糸膜型人工肺であって、前記筒状コアは、該筒状コアの外表面と前記筒状中空糸膜束の内面間に血液流路を形成する溝と、該溝間により形成された環状リブと、前記筒状コア内に形成された第1の血液室と前記溝とを連通する血液流通用開口とを有し、前記人工肺は、前記第1の血液室と連通する血液流入ポートと、前記筒状中空糸膜束外面と前記ハウジング内面間に形成された第2の血液室と連通する血液流出ポートを備え、さらに、前記筒状コアは、軸方向に対してほぼ直交し、前記環状リブの頂点よりも広い所定の幅を備え、かつ、前記筒状中空糸膜束の内面が接触する環状平坦部を有し、前記中空糸膜束は、前記筒状コアに対して螺旋状に巻き付けられているとともに、中空糸の交差部が重なり合って形成される中空糸交差環状部を有し、該中空糸交差環状部は、前記筒状コアの環状平坦部上に位置していることを特徴とする中空糸膜型人工肺。
  2. 前記中空糸膜と該中空糸膜と実質的に平行となっている隣り合う中空糸膜との距離は、中空糸膜の外径の1/10〜1/1となっている請求項1に記載の中空糸膜型人工肺。
  3. 前記中空糸膜型人工肺は、前記筒状コア内に収納された筒状熱交換器部を備えている請求項1または2に記載の中空糸膜型人工肺。
  4. 前記環状平坦部の幅は、1〜10mmである請求項1ないしのいずれかに記載の中空糸膜型人工肺。
  5. 前記筒状コアの前記リブの頂点は平坦面となっている請求項1ないしのいずれかに記載の中空糸膜型人工肺。
  6. 前記筒状コアは、軸方向のほぼ全体にのび、平坦面状の溝非形成部を備えている請求項1ないしのいずれかに記載の中空糸膜型人工肺。
  7. 前記コアの溝は、前記中空糸膜束のガス交換に寄与する部分のほぼ全域に渡り形成されている請求項1ないしのいずれかに記載の中空糸膜型人工肺。
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