JP3936242B2 - サーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法、コントローラの有効性検証法およびロボット制御法 - Google Patents

サーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法、コントローラの有効性検証法およびロボット制御法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法、コントローラの有効性検証法およびロボット制御法に係り、詳しくは、ロボットをシステム同定することによりロボットの動特性をモデル化したとき含み得ない要因の大きさを予め把握し、その要因による寄生的な振動の発生を抑えつつ姿勢や位置に依存して動特性を変化させるロボットを制御できるようにするためのコントローラの設計法に関するもので、それに関連する検証法等も含むものである。
【0002】
【従来の技術】
各関節を動かすためのサーボモータを個々に駆動してロボットを動作させる場合、制御装置本体からの指令を満たすように各モータを作動させてロボットに所望する挙動を行わせるが、その場合、各モータの動きを制御するためにサーボドライバが使用される。サーボドライバは通常PID制御によるが、制御装置本体からの指令例えば到達すべき位置の情報や限界トルクが入力されると、モータに供給すべき電流の大きさを演算し、その電流値によって動いたモータの位置を検出してフィードバックが掛けられ、所望する位置が達成されるようにコントロールするようになっている。
【0003】
ところで、モータを駆動するための信号を出力するサーボドライバ(以下コントローラという)には、ロボットを所望する位置へ動かすにしても、例えばその速度や加速度をどのように与えるかという問題がある。通常は制御対象となるロボットの性能および動作仕様を満たすように、また保持したワークピースを変位させるなどに相応しい状況を現出させることができるように、そのゲインパラメータの選定や調整が必要とされる。
【0004】
ところが、そのゲインパラメータが妥当なものであるかは、そのコントローラを使用してロボットを実際に動かし、その挙動を観察して良し悪しを一つひとつ判断することになる。すなわち、ロボットが所望外の動きを呈したり無用の振動を生じさせるなどすれば、そのゲインパラメータを変更する。ロボットで要求される範囲で速度を2倍にするといったように、動作パターンを変えるなどしても不具合が生じないかを確かめる。
【0005】
しかし、このように実ロボットを動かしながらゲインパラメータを見つけていく手法では、コントローラをロボットに適用する準備が必要となるだけでなく、教示データ等に基づく指令値に従った動きを製品の生産現場で再現させる必要がある。それがためにロボットの稼働ラインを一時的に休止させるなど製品の生産にしわ寄せを及ぼすことになったり、場合によっては極めて煩雑な作業も要求されたりする。また、そのコントローラに従うロボットの挙動から各種データを収集し、それを研究室や設計室に持ち帰って解析するなど、コントローラの利用可能性確認のために幾多の作業や時間を余儀なくされることが少なくない。
【0006】
このような操作や作業は回避したいという要求があり、それがために実ロボットによる検証を避けて研究室でコントローラの評価を得る試みが古くからなされている。この場合、使用されるロボットの動特性を備えたロボットモデル(動特性を反映した運動方程式)を作っておき、それをパソコン上で動かしたり計算するなどしてシミュレーションし、コントローラ設計の労力軽減を図ろうとするのである。ロボットの特性も把握できているのでその特性を利用してコントローラが設計でき、シミュレーションによってその良否を確認することもできる。
【0007】
このような場合、ロボットが完全な剛体であるなら、実ロボットと寸分違わぬモデルを作ることができる。しかし、ロボットモデルが実ロボットを完全に模写したものとはなり得ないことが少なくない。仮に模写できたとしても、姿勢や位置に依存して動特性を変化させるロボットである場合には、その動特性が非線形となり、それが高次さらには多項といったように計算処理上厄介な式となってしまう。
【0008】
その要因として、ロボット各関節の位置の変化により生じる負荷イナーシャの変動、ロボット各関節の位置・加速度の変化により生じる他の関節の加速度運動から受ける干渉トルクの変動、ロボット各関節の位置・速度の変化により生じる遠心力やコリオリ力からなる外乱トルクの変動、ロボット各関節の位置変化により生じる重力加速度の影響による外乱トルクの変動等を挙げることができる。
【0009】
ところで、ロボットの動特性を非線形運動方程式であるにせよモデル化できたとしても、その演算には多大の時間を要したり極めて計算能力の大きいコンピュータが必要となったりして、その実現性は乏しいものとなる。そのうえ、あくまでも計算上の動きであり、実ロボットとの間には多少の差が残ることは避けられない。
【0010】
更に言えば、ロボットの動特性にはロボットの設置基礎、ロボットアーム等の部材の捩れや歪み、動力伝達系例えばクローベルトの不測の伸縮や減速ギヤの不均一な歯当たりに基づくトルクの変動といった弾性変形的要因等による特性も加重される。しかし、それらに基因する避け得ない振動まで数理式に折り込むことは至難の技である。このことを考慮すれば、ロボットの動きを運動方程式で再現するにも限界のあることが分かる。
【0011】
そこで、モデルをある程度簡略化して、演算上実用に供し得るようにする。ところが、数理式の簡略化はロボットモデルの挙動を実ロボットからますます遠ざけたものとなる。ましてや、上記したように弾性系等があると、ロボットモデルと実ロボットとの間には大きな誤差が残り、線形運動方程式の利用の途は大きく制約されることになる。
【0012】
ところで、上記したように、ロボットアームは姿勢や位置によってその動特性が異なる。例えばある一つの位置での挙動に適するように設計したコントローラは、他の位置へ行くとアームをうまく動かせない。つまりアームが伸びた状態と縮んだ状態とでは動特性が異なるにもかかわらず、アームが伸びた位置で設計されたコントローラをアームの縮んだ状態に適用してもうまくいくとは限らない。これでは広範囲に動作できかつ安定した動きでワークピースを扱えるように、ロボットを稼働させることができなくなる。
【0013】
このような場合に一般的に考えられているのは、ゲインスケジュールなる手法である。これは、上記の例で言えば、アームが縮んだときに作ったコントローラと、伸びたときに作ったコントローラとを徐々につなぎ合わせて動かすという手法である。すなわち、ロボットの位置または姿勢の情報をコントローラに取り込み、コントローラをロボットの位置または姿勢に応じて切り換えるのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
このようなゲインスケジュールに基づく思想は、例えば特開平5−250005号公報にも開示されるところであるが、それによってシミュレーションすることができたとしても、それを実ロボットに適用したとき常にうまくいくという保証はない。その理由は幾つか考えられるが、その最たるものは、アームやその他の部位に揺れる箇所があり、それが振動の原因となるということである。つまりロボットには共振的な振動(寄生的な振動)があり、その部分での制御に不味さがあると共振モードを刺激し、すなわち振動の発生を助成したり振動を助長したりして、ロボットの挙動を悪化させてしまうのである。
【0015】
ちなみに、ロボットとシミュレータ(ロボットモデル)とは根本的に異なるものである。たとえ非線形運動方程式が計算できるものであるとしても、理論的に導き出されたそのモデルには共振的な振る舞いの要素を含せ得ない。ましてや特開平5−77176号公報にも記載されているように線形化するなど簡略化を図ったモデルでは、実ロボットとの差が広がるばかりである。すなわち、共振周波数が何処にあるのかその大きさはどの位であるのか分からないままロボットモデルでシミュレーションさせても、実ロボットを再現動作させるに満足なコントローラを設計することはできない。
【0016】
ところで、特許第3200059号公報には、広い帯域の周波数成分を持つ同定信号をモータに入力して関節を駆動し、これにより、関節変位信号を収集して動特性を同定することが紹介されている。これには、マルチデシメーション同定法を用いれば、ある帯域に共振点が存在するのを見い出し得ることも開示されている。
【0017】
ちなみに、先に触れた特開平5−77176号公報には、制御入力データである操作量と制御量であるモータ回転角度とを用いて線形化多入出力系の高周波帯域での機械共振特性を表す伝達関数モデルをオンラインで同定することが記載されている。この場合、ロボットの負荷変動や特性に経年変化があっても、ゲインパラメータをいちいち試行錯誤的に設定し直す必要がなくなるなどの利点が発揮される。しかし、あくまでもオンライン処理となることから、上で述べたように生産ラインを乱すことは避けられない。
【0018】
本発明は上記した問題に鑑みなされたもので、その目的は、システム同定するにしても、数理式では含み得ない要因をも考慮しつつオフラインでゲインパラメータの設定を可能にすること、それによって生産ラインの稼働率低下を回避すると共に、コントローラにおける計算能力の増大を避けてゲインパラメータ設定の時間短縮やコスト低減ができること、を実現したサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法を提供することである。
【0019】
加えて、姿勢や位置に依存して動特性を変化させるロボットであっても、ロボットモデルにおいては非線形的に挙動させ得るようにして、すなわち共振の発生やその助長の有無確認まで折り込んでシミュレーション精度を高めることができるようにしたコントローラの有効性検証法を提供することである。これにより、サーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法やコントローラの有効性検証法に則って得られたコントローラでもってロボットを制御できるようにし、その際ロボットが有する寄生的な振動の発生を回避して、迅速かつ正確な動きを再現できるようにすることである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、姿勢や位置に依存して動特性を変化させるロボットのサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定方法に適用される。その特徴とするところは、図1および図3を参照して、ロボットの一連の動きの中で、制御対象部位がとる特定の位置または姿勢を有限個選定する〔図3のS1〕。この選定された特定の位置または姿勢ごとにその近傍でロボットの有する非線形な動特性を線形化する〔図1のS22〕。特定の位置または姿勢ごとにその近傍でロボットを実際に動かし、そのときのモータのトルク入力(電流の大きさ)とそれによって生じたエンコーダ角度出力(動いたモータの位置)をもとにしてシステム同定する〔S24〕。このシステム同定して得られた同定化モデルと前記線形化によって得られた線形化モデルとの差分を重み関数として導出する〔S25〕。前記差分に基因する共振モードの発生を回避すべくゲイン交差周波数を選定すると共に位相余裕を十分に確保して、前記特定の位置または姿勢におけるコントローラのゲインを決定する〔S26〕。このようにして、ロボットに一連の動作を行わせる各サーボモータを、ロボットが有する共振特性を加味したうえで、ゲインスケジュール手法に基づき制御できるようにしたことである。
【0021】
設定されたゲインに基づくロボットの動作が、位相を進ませるか遅らせるかのいずれをとってもロボットの性能および動作仕様を満たし得ない場合には、既に選定されている位置または姿勢のいずれかを変更するか、新たな特定の位置または姿勢を追加し、それらの位置または姿勢に基づき、ゲインを決定し直すようにしたことである。
【0022】
サーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法により得られたコントローラをロボットに適用すれば、寄生的な振動の発現を抑えてロボットの稼働を制御することができる。
【0023】
サーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法により得られたコントローラを用いて非線形ロボットモデルを動作させ、その非線形ロボットモデルによるシミュレーションによりコントローラによる制御の有効性を検証するようにしたことである。
【0024】
非線形ロボットモデルは特定の位置または姿勢ごとの線形化モデルの集まりとしておき、シミュレーションにおいて非線形ロボットモデルの動作中は、その時点での線形化によって得られた線形化モデルとシステム同定して得られた同定化モデルとの差分としての位置または姿勢をそのときの線形化モデルの演算結果である位置または姿勢に加算することにより、実際のロボットに極めて近い動きを再現させるようにすればよい。
【0025】
サーボモータ制御用コントローラの有効性検証法により検証されたコントローラをロボットに適用して制御できることは言うまでもなく、検証済みであるがゆえに、そのロボットの稼働の安定性は高く、極めて信頼性の確保されたロボットとして動作させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るサーボモータの制御用コントローラにおけるゲイン設定法、コントローラの有効性検証法およびロボット制御法を、その実施の形態を表した図面に基づいて詳細に説明する。図1は、ロボットをシステム同定することによりロボットの動特性をモデル化したとき含み得ない要因の大きさを予め把握しておき、その要因による寄生的な振動の発生を抑えつつ姿勢や位置に依存して動特性を変化させるロボットのサーボモータを制御できるようにしたコントローラにおけるゲイン設定法を表したフローチャートである。
【0027】
ところで、このゲイン設定法の説明に入る前に、本発明によって得ようとするコントローラに対する全体的な扱いから述べる。その主たるところは、ロボットが有する寄生的な振動モードを陽に取り込んだゲインスケジュール制御系の設計法である。すなわち、ロボットは姿勢による動特性の変化、摩擦や粘性、ベルトの伸縮等動特性に悪影響を与える要素を含んでいる。これらの要素によりロボットの運動性能は低下し、動作速度や位置精度が影響を受ける。ロボットに高速化・高精度化が求められることや、ロボットによって搬送されるワークピースの大形化等とそれに派生する二次的な要因は、今や無視することができない場合が多くなってきている。
【0028】
そこで、本発明は、基本的には非線形システムに有効なゲインスケジューリングを用いて、上記した悪影響を与える要因(不確かさ)を定義し、これをロボットの非線形運動方程式と組み合わせることにより、ロボットが有する寄生的振動モードを陽に取り込んだゲインスケジュール制御系設計の手法を提案する。
【0029】
先ず、ロボットのように動作点の移動に伴いその動特性が変化する非線形システムの制御には、ゲインスケジューリングが有効である。そのゲインスケジューリングは、一般的に次のようなステップからなる。
(1)運動方程式は数式上短時間で演算可能となるように理想化しておくことが好ましい。そこで、非線形システムを幾つかの動作点で線形化する。
(2)得られた線形システムに対して、その一つひとつに対応してコントローラを設計する。
(3)設計した複数のコントローラを、順次スケジューリングする。
ちなみに、非線形システムを適当な幾つかの凍結点で線形化して制御系設計を行う場合、得られた個々のコントローラが有効に働く動作範囲は狭い領域にとどまる。上記したゲインスケジューリングは、このような欠点を補おうとするものである。
【0030】
ところで、シミュレーションに必要な制御対象であるロボットの動特性は、詳細な非線形運動方程式を利用しても十分な精度をもって表現することが困難である。フィードバックループの内部に変動するパラメータ例えば姿勢θを有するという特長から、制御系全体の安定性あるいは制御性能を理論的に保証することが困難であり、実ロボットへの適用に先立ち広範なシミュレーションによる安定性の確認が必要となる。ロボットの動作性能を優先すればロボットの非線形モデルは高次となり、線形化するための動作点(凍結点)を数多くとらなければならなくなる。
【0031】
そこで、後に詳しく述べるが、本発明における一連の流れは、ロボットの非線形運動方程式の導出、システム同定による実ロボットの動特性計測、ロボットの非線形運動方程式を利用しても表現し切れない寄生的振動モードの抽出とそのモデル化(不確かさ)、およびシミュレーションへの寄生的振動モードの組み込みというプロセスをたどるものである。以下に、図2および図3に基づいて述べることにする。
【0032】
図2はウエハ搬送ロボット1の一例であり、ウエハを乗載する手先がX軸方向に進退する構造となっている。その手先リンク2を動かすために第一リンク3、第二リンク4、第三リンク5が設けられ、第一リンク3が縦軸Yとなす角度θを図示のように他のリンクにも与えるようにしておき、そのθをロボットの姿勢と扱い、以後その動きを把握することにする。
【0033】
図3は、本発明に係る方法を含んだ処理全体を表したフローチャートである。大筋を説明する。先ず、ロボットの一連の動きの中で、制御対象部位である手先がとる特定の位置または姿勢を予め有限個選定し、それを選択点として上記した凍結点としての意味合いで取り扱う(フローチャートのステップ1、以後S1などと記す)。
【0034】
選択点は多いほどロボットの動作を忠実に再現させることができるが、演算量が多くなるなどの理由で例えば姿勢θが、0度,25.4度,59度といった例えば3点に絞られる。これらは、手先の全動作範囲をカバーするに相応しく、そしてある程度の動特性を見ることができるような何点かである。例えば、あるところまでは特性が大きく変化しなく、あるところから急激に変化するというような場合、それを推測して選定された点である。
【0035】
これらの選択点を基にして、後述する手順により、ロボットに一連の動作を行わせるサーボモータを、ロボットが有する寄生的な振動特性を陽に考慮したうえでゲインスケジュール手法に基づいて制御できるように、そのゲインパラメータが設定される〔S2〕。もちろん、一つのロボットにモータが幾つかあるなら、それぞれのモータに関するコントローラにおいても同様に行われる。
【0036】
次に、ゲイン設定されたコントローラを用いて非線形ロボットモデルを動作させ、この非線形ロボットモデルによるシミュレーションにより、コントローラによる制御の有効性を検証する〔S3〕。実ロボットを使用しないから、パソコン上などで簡単にシミュレーションすることができる。この場合、非線形ロボットモデルは選択点(θt :t=1,2,3)ごとの線形化モデルの集まりとしておき、シミュレーションにおいて非線形ロボットモデルの動作中はその時点での選択点における不確かさを、そのときの線形化モデルの演算結果に加算することにより、実際のロボットに極めて近い動きを再現させるようにしている。なお、この点については後でもう少し詳しく説明する。
【0037】
ところで、設定されたゲインに基づくロボットの動作、例えば速度や加速度が性能や動作仕様どおりに発揮されないとか、寄生的な振動が現れて(振動モードが励起されて)それがウエハの搬送において許容し難いものであるかどうか〔S4〕、それがシミュレーションにおける観察などを通して判断される。
【0038】
例えば加速度を例にとるならそれに着目してあるパターンを想定し、それに対してシミュレーションの結果が、後述する図37のように、大体納まっていればそのゲインパラメータは問題ないという扱いになる。また、場合によっては、整定時間が満たされたものであるどうかということも検討される。問題がなければコントローラとして使用可能と判断されるが〔S5〕、例えば図40の実線のような挙動を呈すれば、先ずは、ボード線図上の位相を進ませたり遅らせるなどして、ロボットの性能や動作等の仕様を満たすものが見い出されるまで、ゲイン調整が行われる〔S6〕。なお、ここでの処理は詳しく述べないが、例えば図4のステップ61から64のような公知の要領によって行えばよい。
【0039】
それにもかかわらずロボットの性能およびウエハ搬送ロボットとしての動作仕様が満たせない場合には、今まで採用していた選択点のいずれかを変更して、それらの姿勢に基づき前記ゲインを決定し直す。場合によっては、新しい選択点を追加し、その姿勢における不確かさも反映させることによりゲイン設定をやり直す〔S7〕。ちなみに、不確かさと表現しているが、その実、後述するように不確かさの量的なものは分かっている。これは運動方程式とシステム同定との差分であるからである。しかし、その原因は弾性変形的要因であるにしても具体的には何に原因するものかは分かっていないという意味である。
【0040】
ここで、本発明に係るサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法について述べる。その具体的な例は後で説明するので、図1のフローチャートを参照して手短に述べる。図3のS1において選択点が決まると、図1のS21へと進む。そして、先ず、ロボットの有する非線形な動特性を、選択点ごとにその近傍で線形化する〔S22〕。その線形運動方程式を基にして、各選択点近傍での動特性G(θt ,s)を導出する〔S23〕。なお、θt は各選択点での姿勢を意味し、そのG(θt ,s)は後述する式(7)として表される。
【0041】
次に、ウエハ搬送ロボットを実際に動かしたときの入出力データから、選択点ごとにその近傍でシステム同定する〔S24〕。その入出力データは、モータのトルク入力とエンコーダ角度出力である。同定法にはARXモデルを採用して一段予測誤差を評価基準とする場合や、パラメトリックモデルあるいはノンパラメトリックモデルを使用するなどがあり、公知のいずれかのシステム同定法を採用すればよい。後に示した例ではARXモデルによる同定法を採っている。いずれのシステム同定にしてもいろいろ誤差のあるのは避けられないが、それは十分に小さいと無視して扱うことができる。
【0042】
そのようなシステム同定により得られた同定化モデルは実ロボットに限りなく近づけたものであり、これと先に線形化によって得た線形化モデルとの差分を、ロボットの有する寄生的な振動特性を呈する不確かさとして捉え、それを重み関数W(θt ,s)として導出しておく〔S25〕。これは後述する式(8)で表される。
【0043】
その不確かさに基因する共振モードの発生を回避すべく、ゲイン交差周波数を選定すると共に位相余裕を十分に確保して、選択点におけるコントローラのゲインを決定した補償器C(θt ,s)を得る〔S26〕。これは後述する式(9)で表され、そのブロックダイアグラムは例えば図5のようになる。
【0044】
これにより、ウエハ搬送ロボットに一連の動作を行わせる各サーボモータを、ロボットが有する寄生的な振動特性を陽に考慮したうえで、ゲインスケジュール手法に基づき制御可能となる。念のため述べれば、姿勢によって動特性の変わるロボットの場合、システム同定はある姿勢θごとに行う必要があるが、上記したC(θt ,s)についても姿勢θt ごとに補償機能を発揮するように動作させることになる。
【0045】
先に述べたコントローラもしくは今述べたシミュレーションにより検証されたコントローラをロボットに適用して、該当するサーボモータを制御すれば、ウエハの搬送に支障の出ない、かつ所望する速度や加速度をもって動作させることができる好適なロボットとなることは言うまでもない。もちろん、ウエハ搬送ロボットに限られるものでなく、その他の各種の多軸ロボットであっても特に制約を受けることなく適用することができる。
【0046】
ここで、非線形ロボットモデルによるシミュレーション検証において、非線形モデルの動作に不確かさを加重することについて説明する。この意図するところは、寄生モデルを同定しそれをシミュレータに取り込むことによってロボットアームを実際に動かしたとき、寄生的な振動モードを発現させないようにするためのものである。従って、ロボットアームに付属する寄生的な要素を陽に表しつつシミュレータに取り込んで設計する。つまり、サイクルとしてある設計を行い、これが実際に動くかということをロボットに代わるシミュレータの上で検証するのである。
【0047】
シミュレータを作るときは、ロボットアームの同定結果からどのような寄生要素があるかを情報としてシミュレータに取り込む。そうすれば、シミュレータはロボットそのものの動きではないにしても可なりロボットに近い動きをとることになる。その上で検証し、それを通じて設計したものを肯定しまたは修正するための情報を提供する。このようにすれば、ロボットの性能や動作仕様を満たした制御系の設計は容易なものとなる。
【0048】
ロボットの姿勢θによって特性が大きく異なる場合、ロボットを一つのコントローラで自由自在に動かすことは不可能であることが多い。そこで、寄生的な振動モードを持っているロボットの姿勢θなる情報をコントローラに取り込み、コントローラをロボットの姿勢に応じて切り換える。これがゲインスケジュールの一般的な組み方である。
【0049】
本発明においては、ゲインスケジューリングの手法によって繋くことができるシミュレーションモデルに関しても、姿勢θに応じてコントロールしている。その際に不確かさを組み込んでいる点に注目すべきであり、その不確かさを上乗せしておくからこそ、順次動く姿勢θに対して制御系が安定であるというコントローラを各点で設計できるようになるのである。
【0050】
ところで、姿勢θはリアルタイムでやって来るので、フィードバックで制御することができる。一方、不確かさの大きさは姿勢θによって異なる。不確かさ自体もθというパラメータでフィードバックして反映させる必要があるので、ロボットモデルが現在如何なる姿勢θについて動作を再現しようとしているのかの情報を発し、それに対応する不確かさの大きさを取り出すようにする。後述する図7はそれを表している。
【0051】
これによって、現実に存在する実際のロボットを使った場合により近いかたちで検証することができる。ちなみに、選択点の例えば3つは大雑把に代表的な点として与えたものであるが、その都度乗り移っていくと考えればよく、その要領はスイッチ的に切り替えるものであったり、補間しながら乗り移っていくものであったりすればよく、その選択は適宜行うことができる。
【0052】
個々の点において実際のロボットがどのように振る舞うかを、モデルのかたちで表現するのであるが、後述する式(1)は非線形の微分方程式であり、これが非線形モデルに対応する。しかし、演算の都合上それを選択点θt ごとに線形化し、それが式(7)のG(θt ,s)で与えられる。これはθt でどのように動くかということを表しており、陽に入っていることが分かる。
【0053】
次に、大雑把な情報しか分からない不確かさの大きさW(θt ,s)が求められる。その値は、図17にあるように、破線で表されたG(θt ,s)と実線で表された図6の不確かさを考慮した線形化モデル全体との差である。なお、G(θt ,s)が補間される場合には、W(θt ,s)についてもθt に関して補間されることになる。
【0054】
以上は選択点を姿勢θt として説明してきたが、手先の位置を直接の選択点として採り上げることもできる。その位置は図2の例で言えば、0mm,2×350 sin25.4°=300mm,2×350 sin59°=600mmという3点を採用することになる。
【0055】
【実施例】
以下に、ウエハ搬送ロボットの軌道追従制御に関してロボットが有する寄生的な振動特性を陽に考慮した上で構成された制御系の具体的な設計法や有効性検証手法の実例を述べる。
【0056】
先ず、ウエハ搬送ロボットに関しては、システム同定を実行することにより、各姿勢θの近傍での不確かさの大きさW(θ,s)を知ることができる。すなわち、各姿勢θの近傍でのウエハ搬送ロボットの動特性は、図6に示すように線形システムG(θt ,s)、不確かさの大きさW(θt ,s)および1以下の任意の変動Δ(s)を利用して表現される。不確かさの大きさは、ロボットの姿勢θに応じて異なったものである。以上を基にして構成されたゲインスケジューリング制御系の性能を検証する枠組みとして、図7で表される手法が提案される。
【0057】
これ以後に説明する処理を、ここで簡単に紹介する。先ず、非線形運動方程式を導出する。この非線形運動方程式を線形化することにより、各姿勢θt の近傍での動特性G(θt ,s)を得る。実験により得られた入出力データを利用してシステム同定を行う。このシステム同定と線形化モデルとを比較することによって、各姿勢θt の近傍での不確かさの大きさW(θt ,s)を与える。固定された各姿勢θt におけるコントローラC(θt ,s)の設計行う。構成したゲインスケジューリング制御系の有効性をシミュレーションにより検証する。その際、先ずロボットへの規範入力となるτref を求める。不確かさの大きさW(θt ,s)のスケジューリング法を与え、これを利用したシミュレーションを行う。以下に、個々の処理を実例に則して説明する。
【0058】
ちなみに、図7の説明を少し加える。図において、ロボットモデル1MからW(θ,s)に姿勢θが入っていることが重要である。その意味するところは、シミュレーションにおいても不確かさはシステム同定したときのパラメータを使って求めているので、姿勢θが変わればロボットの特性も変わる。すなわち、θが違えば、モデルも変わるし不確かさの大きさも変わる。姿勢θを重み関数W(θ,s)に入れ、その都度違ったものに対応させている。結局は、姿勢によってロボットモデルを変えているのである。
【0059】
それゆえ、コントローラ6もあるところまで行くとゲインスケジュールに従って、姿勢θをパラメータにして切り替えられる。すなわち、今のモデルの位置を教えることにより、コントローラも不確かさも、そのときのθに対応したものが使われる。不確かさの大きさはシステム同定で求められているので、それと運動方程式とで得られる差、結局はその差を足したものが、実際の出力と同じものになる。
【0060】
運動方程式で表せないところをW(θ,s)で補うが、そのときのθを教えて不足分を提示していると考えれば理解は得られやすい。なお、目標値入力θref に対して、シミュレータはθを例えば0から変化させていくので、その時点のθを不確かさの部分にも教える意味で、Δ(s)への流れも確保されている。
【0061】
〔モデリング〕 ロボットの動特性の解析および制御するにはロボットの運動方程式が必要である。ロボットの運動方程式はラグランジュ法やニュートン・オイラー法で導出され、一般に非線形の運動方程式が得られる。ここではラグランジュ法によりウエハ運送ロボットの運動方程式を導出する。導出した運動方程式は後の制御系設計、シミュレーションの基礎となる。
【0062】
〔ウエハ搬送ロボットの力学モデル〕 ウエハ搬送ロボットは平面を動く2自由度マニピュレータであるが、図2に示したウエハ搬送ロボット1の手先の直線運動を考える。ロボットの各パラメータは、以下のように与える。そして、ラグランジュの運動方程式からウエハ搬送ロボットの運動方程式を導出する。
【表1】
Figure 0003936242
【数1】
Figure 0003936242
第一リンク,第二リンク,第三リンクと手先リンクの運動エネルギをT1 ,T2 ,T3 ,T4 とする。
【数2】
Figure 0003936242
また、各リンク及び手先はθ回転しているので、回転エネルギの総和をT5 とすると、
【数3】
Figure 0003936242
である。以下ではI=I1 +I2 +I3 +I4 とする。
T=T1 +T2 +T3 +T4 +T5 とすると、ラグランジュの運動方程式
【数4】
Figure 0003936242
よりこのモデルの運動方程式を求める。Qは一般化力であるが、この場合はトルクになる。よって、運動方程式は、
【数5】
Figure 0003936242
となり、非線形の微分方程式が得られる。
【0063】
〔運動方程式の線形化〕 式(1)をそのまま扱って制御系設計を行うのは困難である。そこで式(1)の線形化を行う。制御対象の線形化はある姿勢θt において、
【数6】
Figure 0003936242
である。この平衡点の近傍での運動を仮定して線形化を行う。
式(1)は以下のように書くことができる。
【数7】
Figure 0003936242
【数8】
Figure 0003936242
となる。式(7)より、線形化した運動方程式はリンク角度の平衡点θt に依存し、また式(7)の伝達関数表現から2次の積分特性を持つことが分かる。
【0064】
〔ARXモデルによるシステム同定〕 システム同定にはARXモデルを用いる。ARXモデルにおける入出力関係は
【数9】
Figure 0003936242
となる。この一段予測誤差が小さくなるようにパラメータを決定すればよい。ARXモデルでは最小自乗法を用いてパラメータが決定される。
【0065】
ARXモデルはシステム同定において最も基本的なモデルである。そこで、ARXモデルを用いてウエハ搬送ロボットのシステム同定を行う。ロボットの手先の位置が0 [mm] ,300 [mm] ,600 [mm] にある3つの姿勢について同定を行う。ロボットはモータ1軸を動かすことで直線運動するので、同定において入力はトルク、出力はモータ1軸の角度となる。ランダム入力をモータ1軸に入れてモータ1軸の角度を測定し、入出力データをもって同定を行う。同定実験での入力のサンプリング時間は0.005 [S](200 [Hz])である。
【0066】
各姿勢において、同定前のデータ処理としてデータの平均値を0にし、高周波外乱の除去のため、1つとった後続の2つを除去するといったデシメーションをする。これによりデータのサンプリング時間は0.005 [S](200 [Hz])から0.015 [S](200/3 [Hz])になる。さらに150 [rad/s] までの3次のローパスフィルタをかけて処理する。またモデルの次数を12次とした。具体的な計算にはMATLABのSystem Idenfification toolbox を使用した。同定した離散時間モデルの周波数特性を図8ないし図10に示す。さらに得られた同定モデルを連続時間モデルに変換したものが図11ないし図13である。
【0067】
同定したモデルにおいて、その妥当性を検討する必要がある。ここでは周波数応答結果と比較して検討する。なお、周波数応答はトルク入力に対して出力は角速度で測定してあるので、単位を合わせなければならない。そこで同定したモデルに微分器をかけて比較する。その結果を図14ないし図16に示す。図より比較的よくあっているのが分かる。
【0068】
さらにシステム同定により得られたモデルとラグランジュの運動方程式から導出した伝達関数の比較を図17ないし図19に示す。ゲイン特性は振動モードを除けば、高周波帯域では比較的合っているが、位相特性は全く合っていないのが分かる。
【0069】
〔不確かさの見積もり〕 システム同定により得られた結果から、ロボットの動特性は、特に高周波帯域においてラグランジュ法で求めたノミナルモデル(7)で表現し切れない振動特性を有することが分かる。図21ないし図23に、各姿勢θ1 =0 [deg] ,θ2 =25.4 [deg] ,θ3 =59 [deg] におけるノミナルモデルG(θi ,s),i=1,2,3とシステム同定により得られた結果
【数10】
Figure 0003936242
の比較を示す。
【0070】
図21ないし図23に見られるノミナルモデルとシステム同定により得られた結果の差異を記述するため、ここでは加法的モデル化誤差による表現
【数11】
Figure 0003936242
を採用する(図20を参照)。ここで、G(θi ,s),W(θi ,s)は各姿勢におけるノミナルモデルおよび不確かさの大きさを表現する重み関数を表す。また、Δ(s)は
【数12】
Figure 0003936242
を満たす任意の変動である。
なお、ここでは、重み関数W(θi ,s)を、図21ないし図23における差異、すなわち
【数13】
Figure 0003936242
で定める。この不確かさを含むシステムの表現として、上記した加法的モデル化誤差に代えて、例えば乗法的モデル化誤差、既約分解を利用した表現、あるいは構造的不確かさなどを採用することもできる。
【0071】
〔制御系設計〕 線形化されたウエハ搬送ロボットの数理モデルの前掲した式(7)に基づき、ループ整形法によるコントローラの設計を行う。システム同定の結果から、ロボットは高周波域に寄生的共振モードを有することが分かっている。これより、ゲイン交差周波数を大きくとり過ぎると不安定化を引き起こすと予想される。そこで、ゲイン交差周波数を10 [rad/s] 以下にして、十分な位相余裕を確保するようにコントローラの設計を行う。また、ここでは、姿勢θt の変化に対して、ゲイン交差周波数、位相余裕が一定値をとるようにコントローラの設計を行った。
【0072】
具体的に設計したスケジューリングコントローラは、以下のとおりである。
【数14】
Figure 0003936242
設計したスケジューリングコントローラを用いる場合、開ループ伝達関数L(θi ,s)は姿勢θt に依存しない。これより、ロボットの姿勢の変化による動特性の変動に対しても、一定の制御性能を保持することが期待される。図24ないし図26は、スケジューリングパラメータθt を与えたときの制御対象と各開ループ伝達関数のボード線図である。実線が制御対象G(θi ,s),i=1,2,3のボード線図であり,破線が開ループ伝達関数L(θi ,s),i=1,2,3のボード線図である。制御対象(実線)は、スケジューリングパラメータθt に依存して特性を変化させるのに対し、開ループ伝達関数(破線)は一定の特性を保持しているのが分かる。
【0073】
〔シミュレーション〕 非線形システムをある平衡点で線形化して線形制御系設計理論をもってコントローラを設計した場合、その有効な範囲は平衡点の近傍である。制御の目的が線形化の有効な範囲より大きい動作を要求する場合では、設計したコントローラでは十分な応答が得られないと考えられる。そのような欠点を補うためにゲインスケジューリングを導入する。
【0074】
実際に制御対象を動かす場合、制御の目的、条件などを考慮した目標軌道が与えられ、特にロボットの場合は手先の目標軌道が与えられる。ここではウエハ搬送ロボットの手先の目標軌道を与え、その軌道に追従する制御のシミュレーションを行う。制御系は図7のように構築する。制御の目的の動作を参照入力トルクτref で動かして、動作中のある手先位置(リンク角度)での目標値との差をスケジューリング制御器C(θ,s)が小さくするように働く制御系である。
【0075】
全体の動作をフィードフォワード制御で行い、目標値との差をフィードバック制御が小さくするので、高速、高精度な制御ができると考えられる。参照入力トルクτref は逆動力学法で求める。フィードバック制御での参照入力は、リンク角度の目標値応答としてシミュレーションを行う。シミュレーションではゲインスケジューリングの有効性を検証するため、設計したスケジューリング制御器C(θ,s)においてパラメータθを固定した場合のシミュレーションを行い検証する。
【0076】
〔参照入力〕 ウエハ搬送ロボットの操業形態として、ここでは手先位置zをz=0 [mm] からz=680 [mm] へ、すなわちリンク角度のθ=0 [deg] からθ=76.3 [deg] への移動を想定する。またリンク手先位置の加速度の上限を700 [mm/s2 ] とした。これより手先の目標軌道は、それぞれ
【数15】
Figure 0003936242
で与えられる。
【0077】
図28,図30および図32は与えられた手先の目標位置、目標速度、目標加速度である。図27,図29および図31は手先の目標軌道を式(11),(12),(13)に代入して得られるリンク角度,角速度,角加速度である。図33はリンクの目標軌道を運動方程式に代入することで得られるトルクの参照入力である。
【0078】
〔シミュレーション結果〕 スケジューリングした重み関数W(θ,s)をもってモデル化誤差を含むロボットのシミュレーションを行う。またコントローラC(θ,s)においてθ=0°あるいは76.3°に固定したコントローラを使ってシミュレーションを行う。モデル化誤差を考慮したシミュレーションでは、以下のように重み関数をスケジューリングする。θに関してスケジューリングした重み関数の全体をW(θ,s)とする。
【数16】
Figure 0003936242
【0079】
図34がゲインスケジューリングによる制御のシミュレーション結果である。また、図35は各コントローラにおいてθ=0°で固定したときのシミューション結果で、図36はθ=76.3°で固定した場合のシミュレーション結果である。また加速度応答についてもシミュレーション結果を見る。加速度はウエハが滑らないためには加速度の出力が参照入力を越えてはならない。その結果は図37ないし図39である。
【0080】
どのコントローラの参照入力に追従できていて、加速度が参照入力を越えないが、θ=0°で固定した場合では加速度を見ると、振動的であるので望ましくない。ゲインスケジューリングとθ=76.3°で固定した場合を比較すると、ゲインスケジューリングの方が参照入力との差が小さい。コントローラを実装した場合では、このような差はさらに大きくなると考えられる。よって、ゲインスケジューリングが有効である。設計したコントローラはモデル化誤差に対して、ただゲイン交差周波数を大きくとり過ぎないようにループ整形で設計した。高周波帯域でのモデル化誤差を考慮するならば、ノッチフィルタなど高周波帯域のゲイン、特に共振周波数でのゲインが小さくなるようなコントローラを設計する必要がある。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明から分かるように、本発明に係るサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法によれば、ロボットの非線形運動方程式を利用しても表現し切れない寄生的振動モードの抽出およびモデル化が容易となる。そして、不確かさに基因する共振モードの発生を回避すべくゲイン交差周波数を選定すると共に位相余裕を十分に確保して、特定の位置または姿勢におけるコントローラのゲインを決定することができる。
【0082】
それゆえ、ロボットに一連の動作を行わせる各サーボモータを、ロボットが有する寄生的な振動特性を陽に考慮したうえで、ゲインスケジュール手法に基づき制御できるようにしておくことができる。ロボットの動特性を非線形運動方程式と寄生的振動モードに分けることによりモデルの高次化が回避され、コントローラの高性能化の要求を抑えてコスト低減も図られる。これは、PIDサーボドライバでは対処し得ない共振を排除したコントローラとすることができる。
【0083】
設定されたゲインに基づくロボットの動作が、位相を進ませるか遅らせるかのいずれをとってもロボットの性能および動作仕様を満たし得ない場合には、既に選定されている位置または姿勢のいずれかを変更し、もしくは、新たな特定の位置または姿勢を追加し、それらの位置または姿勢に基づき、ゲインを決定し直すことができる。仮に、ロボットの性能および動作仕様をどうしても満たし得ない場合でも、どの程度の仕様であれば目的とする動きが可能になるかを探り出すことも可能となる。
【0084】
サーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法により得られたコントローラを用いて非線形ロボットモデルを動作させ、不確かさを組み込んで非線形ロボットモデルによるシミュレーションをすれば、コントローラによる制御の有効性を1サイクル回しながら検証することができる。従来のようにノミナルモデルのみを使用した場合に比べればコントローラの設計はやや複雑となるものの、実機への適応時に安定性の低下や制御性能の低下のおそれは解消される。もちろん、モデルの低次数化が実現され、実ロボットへの適応性の高いものとすることができる。
【0085】
この場合、非線形ロボットモデルとして特定の位置または姿勢ごとの線形化モデルの集まりとしておき、シミュレーションにおいて非線形ロボットモデルの動作中はその時点での位置または姿勢における不確かさをそのときの線形化モデルの演算結果に加算するようにしているので、実際のロボットに極めて近い動きを再現させ、シミュレーションによる安定性の確認すなわちコントローラの有効性を精度高く検証することができる。
【0086】
サーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法により得られたコントローラにせよ、サーボモータ制御用コントローラの有効性検証法により検証されたコントローラにせよ、ロボットに適用して制御できることは言うまでもなく、その場合にロボットの有する寄生的な振動を抑制してロボットの性能や動作仕様に合致した挙動を可能することができる。ひいてはロボットによる処理の迅速化など能率向上に大きく寄与するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法を表したフローチャート。
【図2】 ウエハを乗載する手先リンクがX軸方向に進退する構造のウエハ搬送ロボットの一例。
【図3】 本発明に係るゲイン設定法ならびにコントローラの有効性検証法の処理全体を表したフローチャート。
【図4】 ゲインを決定した補償器(コントローラ)のブロックダイアグラム。
【図5】 位相の変更によるゲイン調整の一例を表したフローチャート。
【図6】 不確かさを考慮した線形化モデル図。
【図7】 ゲインスケジューリング制御系の性能を検証する枠組みとして提案された不確かな非線形モデル採用の検証用ブロック図。
【図8】 x=0 [mm] の場合に同定した離散時間モデルにおける周波数特性。
【図9】 x=300 [mm] の場合に同定した離散時間モデルの周波数特性。
【図10】 x=600 [mm] の場合に同定した離散時間モデルの周波数特性。
【図11】 x=0 [mm] の場合に同定した連続時間モデルにおける周波数特性。
【図12】 x=300 [mm] の場合に同定した連続時間モデルの周波数特性。
【図13】 x=600 [mm] の場合に同定した連続時間モデルの周波数特性。
【図14】 x=0 [mm] での離散時間モデルにおける周波数応答との比較図。
【図15】 x=300 [mm] での離散時間モデルにおける周波数応答との比較図。
【図16】 x=600 [mm] での離散時間モデルにおける周波数応答との比較図。
【図17】 x=0 [mm] での線形化モデルとの比較図。
【図18】 x=300 [mm] での線形化モデルとの比較図。
【図19】 x=600 [mm] での線形化モデルとの比較図。
【図20】 モデル誤差の導入を説明するブロック図。
【図21】 姿勢θ1 =0 [deg] におけるノミナルモデルG(θi ,s)とシステム同定モデルのボード線図。
【図22】 姿勢θ2 =25.4 [deg] におけるノミナルモデルG(θi ,s)とシステム同定モデルのボード線図。
【図23】 姿勢θ3 =59 [deg] におけるノミナルモデルG(θi ,s)とシステム同定モデルのボード線図。
【図24】 姿勢θt =0 [deg] を与えたときの制御対象と各開ループ伝達関数のボード線図。
【図25】 姿勢θt =25.4 [deg] を与えたときの制御対象と各開ループ伝達関数のボード線図。
【図26】 姿勢θt =59 [deg] を与えたときの制御対象と各開ループ伝達関数のボード線図。
【図27】 リンクの参照入力(角度)。
【図28】 手先位置の参照入力(目標位置)。
【図29】 リンクの参照入力(角速度)。
【図30】 手先位置速度の参照入力(目標速度)。
【図31】 リンクの参照入力(角加速度)。
【図32】 手先位置加速度の参照入力(目標加速度)。
【図33】 トルクの参照入力。
【図34】 ゲインスケジューリングにより制御シミュレーション結果。
【図35】 コントローラにおいてθ=0°で固定したときのシミューション結果。
【図36】 θ=76.3°で固定した場合のシミュレーション結果。
【図37】 ゲインスケジューリングによる加速度応答図。
【図38】 θ=0°のときの加速度応答図。
【図39】 θ=76.3°のときの加速度応答図。
【図40】 加速度応答が想定された加速度パターンから逸脱し、ロボットの性能または動作仕様を満たし得ない様子を示す応答図。
【符号の説明】
1…ウエハ搬送ロボット、1M…ロボットモデル、2…手先リンク、3…第一リンク、4…第二リンク、5…第三リンク、6…コントローラ、θ…第一リンクと縦軸Yとがなす角度(姿勢)。

Claims (7)

  1. 姿勢や位置に依存して動特性を変化させるロボットのサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定方法において、
    ロボットの一連の動きの中で、制御対象部位がとる特定の位置または姿勢を有限個選定し、
    この選定された特定の位置または姿勢ごとにその近傍でロボットの有する非線形な動特性を線形化し、
    特定の位置または姿勢ごとにその近傍でロボットを実際に動かし、そのときのモータのトルク入力とそれによって生じたエンコーダ角度出力をもとにしてシステム同定し、
    このシステム同定して得られた同定化モデルと前記線形化によって得られた線形化モデルとの差分を重み関数として導出し、
    前記差分に基因する共振モードの発生を回避すべくゲイン交差周波数を選定すると共に位相余裕を十分に確保して、前記特定の位置または姿勢におけるコントローラのゲインを決定し、
    ロボットに一連の動作を行わせる各サーボモータを、ロボットが有する共振特性を加味したうえで、ゲインスケジュール手法に基づき制御できるようにしたことを特徴とするサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法。
  2. 前記設定されたゲインに基づくロボットの動作が、位相を進ませるか遅らせるかのいずれをとってもロボットの性能および動作仕様を満たし得ない場合には、既に選定されている位置または姿勢のいずれかを変更して、それらの位置または姿勢に基づき、前記ゲインを決定し直すことを特徴とする請求項1に記載されたサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法。
  3. 前記設定されたゲインに基づくロボットの動作が、位相を進ませるか遅らせるかのいずれをとってもロボットの性能および動作仕様を満たし得ない場合には、既に選定されている位置または姿勢に新たな特定の位置または姿勢を追加し、それらの位置または姿勢に基づき、前記ゲインを決定し直すことを特徴とする請求項1に記載されたサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法。
  4. 請求項1ないし請求項3に記載されたサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法により得られたコントローラをロボットに適用して制御することを特徴とするロボット制御法。
  5. 請求項1ないし請求項3に記載されたサーボモータ制御用コントローラにおけるゲイン設定法により得られたコントローラを用いて非線形ロボットモデルを動作させ、該非線形ロボットモデルによるシミュレーションにより前記コントローラによる制御の有効性を検証するようにしたことを特徴とするサーボモータ制御用コントローラの有効性検証法。
  6. 前記非線形ロボットモデルは前記特定の位置または姿勢ごとの線形化モデルの集まりとしておき、前記シミュレーションにおいて、非線形ロボットモデルの動作中は、その時点での前記線形化によって得られた線形化モデルと上記システム同定して得られた同定化モデルとの差分としての位置または姿勢をそのときの線形化モデルの演算結果である位置または姿勢に加算することにより、実際のロボットに極めて近い動きを再現させるようにしたことを特徴とする請求項5に記載されたサーボモータ制御用コントローラの有効性検証法。
  7. 請求項5または請求項6に記載されたサーボモータ制御用コントローラの有効性検証法により検証されたコントローラをロボットに適用して制御することを特徴とするロボット制御法。
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