JP3935268B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に透過光及び反射光のいずれの場合も利用可能な液晶表示装置に関する。
【0002】
【背景技術】
液晶表示装置としては、大別して反射型表示装置と透過型表示装置とがある。
【0003】
反射型表示装置は、液晶表示パネルの背面に配置された反射板で外部の光源の光を反射させる方式によるものである。
【0004】
反射型表示装置は、バックライトを持たないため、薄型・軽量化が容易であるという利点を有する。しかし、この装置は、外部光を反射して利用する特性上、環境の照度により視認性が著しく損なわれるという問題があり、主に液晶表示パネルの透過率が高いモノクロ表示装置として用いられていた。
【0005】
透過型表示装置は、液晶表示パネルの背面に配置されたバックライトと呼ばれる照明装置で背面からの透過光を利用する方式によるものである。この反射型表示装置によれば、環境の照度に影響されないで安定した視認性が得られるため、主に液晶表示パネルの透過率が低いカラー表示装置として用いられている。しかし、この装置は、照明装置が大きな電力を消費するため、特に携帯機器においては、電池寿命が短くなるという問題があった。
【0006】
一方、図14に示すように、近年では、上記問題点を解決する装置として、上記反射型及び透過型を兼備する半透過型表示装置11が提案されている。この半透過型表示装置11は、液晶表示パネル12と、この背面に配置されたバックライト16との間に半反射・半透過性部材51が配置されたものである。
【0007】
反射モードでは、液晶19の印加電圧がオフのとき、外部光21は、上側の偏光板13の透過軸成分22がTN液晶19でツイストして下側の偏光板14に入射し、半反射・半透過性部材51により50%が反射して上方向に戻って白表示が得られる。また、液晶19の印加電圧がオンのとき、外部光21は、上側の偏光板13の透過軸成分22がTN液晶19をそのまま通過し、下側の偏光板14で全て吸収されて黒表示が得られる。
【0008】
一方、透過モードでは、液晶19の印加電圧がオフのとき、バックライト16の光21は、半反射・半透過性部材51により50%が透過して下側の偏光板14に入射し、その偏光板14の透過軸成分22がTN液晶19でツイストして上側の偏光板13に入射し、更に上方向に抜けて白表示が得られる。また、液晶19の印加電圧がオンのとき、バックライト16の光21は、下側の偏光板14の透過軸成分22がTN液晶19をそのまま通過し、上側の偏光板13で全て吸収されて黒表示が得られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記半透過型表示装置において、用いられている半反射・半透過性の部材は、金属等の蒸着によって形成された薄膜であるため、反射モード及び透過モードのいずれで使用する場合にも、表示画面の明るさが半分程度しか得られず、またコントラスト感が低下するという問題点がある。
【0010】
そこで、本発明は、反射モード及び透過モードのいずれで使用する場合にも、表示画面の充分な明るさが得られ、またコントラスト感の低下を生じさせない液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの背後に配置された照明装置と、前記液晶表示パネルの前記照明装置側に配置された偏光板とを備えた液晶表示装置であって、前記偏光板と前記照明装置との間に、一方の面に断面三角形の連続した波形面を有すると共に、他方の面に粗面を有する透明板を備え、前記透明板は、前記波形面を前記照明装置側に向け、さらに当該透明板の前記粗面が前記偏光板の前記照明装置側の面に接着剤を介して取り付けられることを特徴とする。
【0012】
前記断面三角形には、正三角形や二等辺三角形の他、不等辺三角形も含まれる。
【0013】
前記透明板の材質は任意であり、例えばアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、等を使用できる。
【0014】
本発明によれば、反射モード及び透過モードのいずれで使用する場合であっても、表示画面の視認に利用できない光のロスが少なくなるため、表示画面の充分な明るさが得られ、またコントラスト感の低下を抑えることができるようになる。
【0015】
また、本発明の液晶表示装置は、前記断面三角形が多角錐であることを特徴とする。
【0016】
また、前記多角錐は、三角錐、四角錐、等である。
【0017】
三角錐状の連続した突起は、キューブコーナパターンとも呼ばれるものである。三角錐状の突起の大きさは任意であり、相似形であればよい。
【0018】
断面三角形を多角錐にしても、同様に、表示画面の充分な明るさが得られ、またコントラスト感の低下を抑えることができるようになる。
【0020】
前記粗面加工は、化学的エッチング等により行うことができる。
【0021】
前記透明板の裏面に粗面加工を施して拡散面を付加するのは、次の効果を得るためである。即ち、▲1▼透明板が鏡面として機能することによる映り込みを防止すること、▲2▼透明板の稜線が光学的異方部と見えること、▲3▼前記帯縞を緩和すること、▲4▼指向性を緩和すること。
【0022】
また、本発明の液晶表示装置は、前記透明板の前記照明装置側の面に粗面加工を施したことを特徴とする。
【0023】
前記粗面加工の具体的方法は、同様である。
【0024】
本発明のように、前記透明板の前記照明装置側の面に粗面加工を施すことによっても、前記丸1〜丸4と同様の効果が得られるようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置11は、液晶表示パネル12と、この液晶表示パネル12の観察者側である上面に設けられた偏光板13と、この液晶表示パネル12の背面側である下面に設けられた偏光板14と、この偏光板14に取り付けられた透明板15と、液晶表示パネル12の背後に配置された照明装置であるバックライト16とを備えて構成されている。
【0028】
前記液晶表示パネル12は、上ガラス17と下ガラス18の間にTN液晶19がスペーサ(図示せず)を介して挟持された構造を有する。
【0029】
図2にも示すように、前記透明板15は、片面が断面二等辺三角形の連続した波形面23となり、その裏面が平面となっているものである。この透明板15は、アクリル樹脂等よりなる。
【0030】
この液晶表示装置11を反射モード及び透過モードとして使用した場合の光路を説明する。
【0031】
図3にも示すように、反射モードでは、偏光板14を透過した偏光光21は、透明板15に入射し、この透明板15で2回反射して偏光板14に戻り、更に液晶19と偏光板13を透過して上方に戻る。この際、下側の偏光板14の透過軸成分22と波形面23の溝の方向を一致させた方が明るいと思われるが、パネルの画素ピッチによりモアレが発生するため、多少角度をつけるのが好ましい。また、前記断面三角形の頂部の内角θは、ほぼ直角であれば全反射が可能になる。材料がアクリル樹脂の場合には、90度±2度まで全反射が可能であるが、屈折率がアクリル樹脂より更に高い材料では、全反射可能なマージンは更に増える。
【0032】
また、透過モードでは、バックライト16から放出される光21は、透明板15の波形面23で屈折、透過した後、下側の偏光板14の透過軸成分22が液晶19で旋光して上側の偏光板13を通過する。バックライト16からの光21は、一般的に拡散光だから透明板15の偏光板14側では均一な明るさが確保され、指向性が少ない。散乱光成分は、波形面23に対する角度により、直上方向に出射する第1の光成分24、やや斜め方向に出射する第2の光成分25、及び直上の溝部以外の離れた溝部に向かって出射する第3の光成分26に分けられ、バックライト16の導光板の種類によって重み付けが異なる。第1と第2の光成分24,25より第3の光成分26を増やすタイプの導光板では、垂直方向の光束が増えて、正面側が明るくできるため、より理想的である。
【0033】
そして、反射モードと透過モードとのバランスを良くするには、断面三角形の頂部の内角θを60〜95度とし、バックライト16側に第3の光成分26を増やす導光板を設けるのがよい。
【0034】
図4に示すように、第1の光成分24の場合、透過モードでは、光の屈折により、正面よりやや斜め2方向に明るい視角が存在する。また、斜め右上から見たとき、やや明るい帯状領域a1とやや暗い帯状領域b1が縞になって見える。同様に、斜め左上から見たとき、明るい領域a2と暗い領域b2が縞になって見える。偏光板14と透明板15の間を散乱状態にすれば、重ね合わせで明るい領域a3と暗い領域b3が縞になる。
【0035】
図5に示すように、第2の光成分25では、光の屈折のみの明領域cと暗領域dの場合と、1回反射した光の屈折による明領域eと暗領域fとがあり、斜め右上から見たとき、視角が2方向でそれぞれの視角に対して明暗の縞が見える。また、同様に斜め左上から見ても、視角が2方向で明暗の縞が見える(図示せず)。
【0036】
偏光板14と透明板15の間を散乱状態にすれば、重ね合わせで第1の光成分24より更に複雑な明暗の縞が見える(図示せず)。
【0037】
図6に示すように、第3の光成分26では、屈折、反射、更に屈折により、明領域gと暗領域hに分かれるが、ほぼ正面方向(斜めやや右上)の視角となる。垂直方向成分が最大となるのは、前記断面三角形の頂部の内角θが60〜65度のときである。
【0038】
同様に、斜めやや左上の視角のときも明暗の縞が見える(図示せず)。
【0039】
偏光板14と透明板15の間を散乱状態にすれば、重ね合わせで第1の光成分24に近い明暗の縞が見える(図示せず)。
【0040】
基本的には、第1〜第3の光成分24〜26の間に適当な大小関係を設定することにより、最適視角を設定することができる。
【0041】
例えば、正面方向に視角を設定したい場合には、第3の光成分26を主にし、やや斜め方向に視角を設定したい場合には、第1の光成分24を主にし、更に斜め方向に視角を設定したい場合には、第2の光成分25を主にすればよい。
【0042】
いずれも明暗の縞がある視角のもとにあり、その視角を目立たなくさせるには、波形のピッチwを充分小さくすればよい。
【0043】
<第2実施形態>
図7、8に示すように、本実施形態の液晶表示装置11は、第1実施形態の構造とほぼ同様であるが、透明板27のみ異なる。
【0044】
即ち、この透明板27は、前記波形面23となっている面の裏面が粗面加工により粗面28とされたものである。
【0045】
この粗面加工は、化学的エッチング等により行うことができる。
【0046】
この透明板27と偏光板14との間には、接着剤29が介在している。
【0047】
この透明板27を使用した液晶表示装置11において、前期第1の光成分24と、第2、第3の光成分25,26とは、似た光路となるので、第1の光成分24の場合を説明する。
【0048】
図7に示すように、反射モードでは、偏光板14を透過した偏光光21は、透明板27に入射する際に散乱が起こり、透明板27の波形面23で2回反射して、偏光板14側に向かい、接着剤29との界面で再度散乱が生じて偏光板13から出射する。この反射モードによれば、若干の光量ロスと、散乱によるコントラストの低下を若干生じるが、明るさを確保できる。
【0049】
図8に示すように、透過モードでは、右斜め上から見ると、帯状の明るい領域a1と暗い領域b1があり、また左斜め上から見ると、帯状の明るい領域a2と暗い領域b2があり、その重ね合わせによる明るい領域a3と暗い領域b3も帯状となっている。接着剤との界面で散乱されて、明るい領域と暗い領域との境界がややぼやけるが、視角の指向性が緩和される。相対的に暗い領域b3を少なくするには、透明板27の板厚Dを薄くすればよい。また、波形のピッチwを、パネルの画素ピッチと比べて充分小さくすれば、更に明暗の差が緩和される。
【0050】
<第3実施形態>
本実施形態の液晶表示装置11も透明板の構成のみが異なる。
【0051】
即ち、図9、10に示すように、この透明板31は、波形面23となっている片面が粗面加工により粗面28とされたものである。
【0052】
この粗面加工も、化学的エッチング等により行うことができる。
【0053】
図9に示すように、この透明板31を使用した液晶表示装置11において、反射モードでは、偏光板14を透過した偏光光21は、透明板31の波形面23で2回乱反射して、下側の偏光板14側に向かい、上側の偏光板13から出射する。この反射モードによれば、若干の光量ロスと、コントラストの低下が少々あるが、明るさを確保できる。
【0054】
図10に示すように、透過モードでは、第2実施形態の場合より更に散乱光があるため、明るい領域a3と暗い領域b3の境界がややぼやけるが、視角の指向性が更に改善される。
【0055】
なお、第2実施形態に係る透明板27に対して、本実施形態に係る片面への粗面加工を組み合わせることもできる。即ち、この透明板は、片面と裏面が共に粗面加工により粗面とされたものである。
【0056】
このような両面が粗面とされた透明板によれば、コントラストの低下が若干生じるが、▲1▼〜▲4▼の改善効果が更に高まる。
【0057】
<第4実施形態>
本実施形態の液晶表示装置11も透明板の構成のみが異なる。
【0058】
第1〜第3実施形態の透明板15,27,31は、波形面23が断面二等辺三角形の場合であったが、図11に示すように、本実施形態に係る透明板32は、波形面23が断面不等辺三角形となっている。このような透明板32は、固定照明33の位置と目34の位置が固定されている場合に用いられる。
【0059】
図11に示すように、この透明板32を使用した液晶表示装置11において、反射モードでは、固定照明33を出た光21は、下側の偏光板14を透過し、透明板32の波形面23で1回反射して目34の方向に進む。
【0060】
透過モードでは、バックライト16から放出されて斜めに進んだ光26は、透明板32の不等辺三角形の長い斜辺側に入射して屈折し、目34の方向に進む。また、斜めに進んだ光26のうち、不等辺三角形の長い斜辺側の面に入射して屈折し、更に短辺側の面で反射して上方に出射する光もあるが、この光路による光量は、長い斜辺側の面と比べて短辺側の面の割合が少ない分少なくなる。
【0061】
<第5実施形態>
本実施形態の液晶表示装置も透明板の構成のみが異なる。
【0062】
第1〜第4実施形態の場合、透明板15,27,31,32が片面に断面三角形の連続した波形面23を有するものであったが、図12,13に示すように、本実施形態に係る透明板35は、片面に三角錐36が連続して形成された突起面37を有するものである。
【0063】
この透明板35を使用した液晶表示装置11における光路は、例えば反射モードの場合には三角錐36の内面で2回反射するため、波形面23を有する透明板の場合と同様に説明できる。そして、明るい領域と暗い領域は、三角形状に見えることになる。
【0064】
また、透明板35が片面に四角錐の連続した突起面を有するものの場合であっても、光路は、同じ原理で説明可能である。そして、明るい領域と暗い領域は、格子状に見えることになる。
【0065】
【発明の効果】
本発明に係る液晶表示装置によれば、反射モード及び透過モードのいずれで使用する場合にも、表示画面の充分な明るさが得られ、またコントラスト感の低下を生じさせることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の断面図である。
【図2】第1実施形態に係る液晶表示装置の透明板の斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図4】第1実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図5】第1実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図6】第1実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図7】第2実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図8】第2実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図9】第3実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図10】第3実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図11】第4実施形態に係る液晶表示装置の要部断面図である。
【図12】第5実施形態に係る透明板の平面図である。
【図13】第5実施形態に係る透明板の断面図である。
【図14】従来例に係る液晶表示装置の断面図である。
【符号の説明】
11 液晶表示装置
12 液晶表示パネル
15,27,31,32,35 透明板
16 照明装置であるバックライト
19 液晶
23 波形面
28 粗面
36 三角錐
37 突起面

Claims (8)

  1. 液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの背後に配置された照明装置と、前記液晶表示パネルの前記照明装置側に配置された偏光板とを備えた液晶表示装置であって、
    前記偏光板と前記照明装置との間に、一方の面に断面三角形の連続した波形面を有すると共に、他方の面に粗面を有する透明板を備え、前記透明板は、前記波形面を前記照明装置側に向け、さらに当該透明板の前記粗面が前記偏光板の前記照明装置側の面に接着剤を介して取り付けられることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 請求項1に記載の液晶表示装置において、
    前記透明板の前記照明装置側の面に粗面加工を施したことを特徴とする液晶表示装置。
  3. 請求項1乃至2のいずれか一項に記載の液晶表示装置において、
    前記透明板の前記波形面は三角柱状の連続した突起で形成されてなることを特徴とする液晶表示装置。
  4. 請求項1乃至2のいずれか一項に記載の液晶表示装置において、
    前記透明板の前記波形面は多角錐状の連続した突起で形成されてなることを特徴とする液晶表示装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶表示装置において、
    前記透明板は前記照明装置から放出される光の成分のうち前記波形面の溝部の直下よりも離れた位置から放出された光の成分を前記偏光板に対して垂直方向の光束を増やすように屈折させることを特徴とする液晶表示装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶表示装置において、
    前記透明板の前記波形面の波形のピッチが前記液晶表示パネルの画素のピッチよりも小さいことを特徴とする液晶表示装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶表示装置において、
    前記透明板の前記波形面の溝の方向は前記偏光板の透過軸の方向に対して角度がつくように形成されてなることを特徴とする液晶表示装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶表示装置において、
    前記透明板は、粗面加工を施された面によって入射あるいは出射する光を散乱させることを特徴とする液晶表示装置。
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