JP3934918B2 - 印刷機における印刷媒体平坦化のための給排紙装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般にカラーおよびモノクロ複写印刷システムに関し、特に紙またはその他の媒体を光伝導面、オフセット印刷ロール等に送る装置に関する。
【０００２】
【発明が解決しようとする課題】
電子写真式印刷機において、光伝導部材（しばしば感光体ベルト）が実質的に均一なポテンシャルまで電化され、その表面が感光性を持つようになる。その後、光伝導部材の帯電部分は選択的に露光される。帯電光伝導部材の露光により、その上の照射領域から電荷が散逸する。これによって静電潜像が、複写される原稿となる文書内に含まれる情報領域に対応する光伝導部材上に記録される。静電潜像が光伝導部材に記録されると、潜像はトナー粒子によって処理され、その後記録用紙に転写される。記録用紙は加熱され、その上にトナー画像が画像の形状で永久的に固定される。
【０００３】
マルチカラー電子写真式印刷は実質的に上記の白黒印刷プロセスと同じである。しかし、光伝導表面に単独の潜像を形成するのではなく、異なる色に対応する連続した潜像がそこに形成される。単色の静電潜像は各々、それを補足する色のトナーで現像される。このプロセスは異なる色の画像と各々の補色のトナーについて複数サイクル繰り返される。各単色トナー画像は、前のトナー画像との重畳整合により記録用紙に転写される。あるいは、複数の画像が感光体表面上に重ね合わせられ、同時に記録用紙に転写される。これにより、記録用紙上に複数の層からなるトナー画像が形成される。その後、複数の層からなるトナー画像は永久に記録用紙上に固定され、カラーコピーができる。現像剤は液体でも粉末でもよい。
【０００４】
記録用紙（記録媒体）が機械の中を通過する間に、記録用紙の表面不整が発生する可能性がある。この不整は、印刷またはその他の機械処理中に記録用紙を送る各種のローラおよびベルトによって発生する。たとえば、画像を第二面に転写する前に第一面が融解された場合や、製造、湿度等によるストックされた記録用紙の特性によって不整が発生する。さらに、位置合わせの不良や過剰な力が加わった場合等に、記録用紙が部分的に変形する。その結果、記録用紙と感光体ベルトとの間にエアギャップが生まれる。このようなギャップにより、トナーがベルトから記録用紙にうまく移らず、それが印刷されたコピーの欠失や歪みの原因となる。
【０００５】
本発明の目的は、感光体ベルトへの、また印刷機内の紙送りを改善し、しわ等の表面変形の発生を最小限にし、これによって記録用紙と感光体ベルトとの接触を改善することである。本発明の別の目的は、印刷媒体経路にさらに媒体に接触する素子を追加することなく、上記目的を実現することである。本発明のさらに別の目的は、さまざまな厚さの媒体を受け入れる自動位置合わせの取り扱い手段を実現し、きめの粗い記録用紙に均等な力を加える手段を提供することである。
【０００６】
１９９９年に本願と同じ譲受人に対して発行された米国特許第５，９１３，２６８号にコピー機用ローラ素子が開示されている。当該特許の開示を、引用をもって本願に援用する。当該特許に記載されるローラは、圧縮状態または真空状態にある気体供給源に選択的に接続された内部チャンバを有する空気ローラである。ローラの外周の孔を通じて、ローラによって扱われている記録用紙は選択的に圧縮または真空に晒される。これは、給排紙システムの記録用紙取扱性能を改善するといわれている。本発明の目的は、空気圧ローラの考え方を応用し、画像転写ステーションへの記録用紙送りを改善することである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明の装置において、一定の形状のベアリング表面を形成し、印刷媒体と移動する支持体表面との間に空気のクッションが提供される。このエアクッションにより、媒体が画像転写ステーションまたは印刷機のその他の処理ステーションに向かって移動する際、給排紙素子、つまりベルトまたはドラムに記録媒体を保持するための下向きの圧力が発生する。エアベアリング表面は、画像転写ステーションからわずかに上流に設置し、静電ベルトまたはドラムに記録媒体が給排紙される際に、記録媒体がなるべく歪まないようにする。
【０００８】
これを実現するために、ケースを画像転写ステーションのわずかに上流に、給排紙素子に隣接させて構成する。このケースは圧縮して空気をためる空間を有する。ケースには外壁があり、その外側表面は記録用紙の経路に対向し、ベアリング表面を構成する。ベアリング表面は給排紙素子の形状と一致するよう構成される。たとえば、給排紙素子がベルトの場合、一般的に平坦なベアリング面が必要であり、ドラムの場合には若干弧状を呈するベアリング面が必要となる。
【０００９】
空間は一連のバルブを通じて、圧縮空気供給源に接続される。空間内のセンサが空間内の圧力をモニタし、バルブを通じて空気の供給を制御する。外壁に孔の列を構成し、記録媒体を円滑に給排紙するために圧縮空気の流れを逃がし、ベアリング表面を形成する。圧縮空気の流れは外壁外側にクッションを作り、記録用紙を外壁から離し、記録用紙全体に圧力を発生して記録用紙が給排紙素子と密着して接触するようにする。これにより、物理的接触に依存する補助給排紙素子を設けることなく、密着して、十分位置合わせが行われた状態で記録用紙を画像転写ステーションに送ることが可能となる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１において、エアベアリング給排紙素子１はコピー機の紙送りシステムの一部として描かれている。紙送りシステムのこの部分は、画像転写ステーション３のすぐ上流とすることができ、ここでは記録用紙の位置合わせと平坦さが重要である。また、エアベアリング給排紙素子１は、記録用紙が融解ロールによって加熱される加熱ステーション直前に配置すると有益である。本発明は、プリンタ、その他の記録用紙を取り扱う環境において使用できる。本発明はコピー機における記録用紙の取り扱いについて説明するが、他の記録または印刷媒体の取り扱いにおいても同様に有効である。
【００１１】
給排紙素子１は、記録用紙２の経路に隣接し、記録用紙２が給排紙ベルト４上の画像転写ステーション３の中に、給排紙ベルト４によって給紙される個所に設置される。図１に示すように、給排紙素子１はサポートローラ５の上に部分的に重なるように設置され、ベルト４と接触する前に記録用紙と接近するようにする。この場合、ベルト４は感光体素子であり、トナー画像３０を有する。給排紙ベルト４は、矢印７、８によって示されるように、駆動されるローラ５またはプーリ６上で動くよう設置される。給排紙素子１は、側壁１１，１２および外壁１３によって決定される空間１０を有するケース９で構成される。空気拡散装置１４は、空間を密閉するためのカバーおよびモータ１５によって駆動されるファン１６を支持するためのブラケットとして機能する。ケースは、ケース９と給排紙ベルト２との位置合わせを行うことができる、スプリング１８，１９、又は、その他の振動を減らすような弾力素子を通じて、コピー機のフレーム１７によって弾力的に支持される。
【００１２】
圧縮空気は、図のようにファン１５またはその他適当なブロワまたはコンプレッサによって供給される。圧縮空気供給源は、コピー機の作動中に空間１０を充填する。開口孔の列２０をケース９の外壁１３に形成し、空気が空間１０から逃げ、外側表面２１を覆い、ベアリング表面２２を形成するようにする。ベアリング表面２２は記録用紙２とケース９の外側表面２１との間に広がり、記録用紙２をベルト４に押し付ける。この動作は、図１のように、記録用紙２が感光体またはオフセットプレスの転写ロールに最初に接触する時、記録用紙２を平らにする傾向がある。このような動作はまた、記録用紙２が画像転写ステーション３に向かって移動する際、ベルト４の支持体表面に記録用紙２をより確実に保持する傾向もある。感光体ベルト４上にトナーで形成される画像は一般に、エアベアリング表面２２から発生して進入してくる気流から、スキマによって保護される。さらに、記録用紙２によって空気がトナー画像上に直接吹きかからないよう遮断されるため、大きな速度を有する気流が、感光体に静電的に結合されるトナーを除去してしまうことがなくなる。
【００１３】
外側表面２１は、給排紙素子４の対向面に適合する形状とする。これは、給排紙素子４が図のようにベルトではなく、ドラムである場合に有効である。
【００１４】
空気供給用に適した制御システムには、圧力が過剰に累積しないように、リリースバルブ２４とセンサ２５を有することができる。さらに、圧縮空気供給源はケース９から離して設置し、フレキシブルホースを通じて連絡させてもよい。気流は、メインコピー機プロセスコントローラからの信号あるいは電圧制御可能圧力源へのフィードバックによって開閉するバルブにより制御できる。
【００１５】
図２に示す第一の別の実施形態のように、トナーの転写を助けるために記録媒体を静電的に帯電するための装置、つまりコロトロン２３をケース９内に設置してもよい。
【００１６】
図３に示すように、第二の実施形態では、孔２０の列の少なくとも一部は、記録用紙の移動方向に対して約４５°の角度Ｘで前方に傾斜している。これは、記録用紙を広げ、または引き伸ばす力成分を発生するため、さらに曲がりを平らにする傾向がある。記録用紙２が感光体に接触する位置の上流で、傾斜された孔２０は駆動ローラを使用することなく、記録用紙の給排紙を援助する。
【００１７】
別の実施形態を図４に示す。このシステムにおいて、空間１０の下に第二のエアベアリング空間２６を設け、２つのベアリング表面の間で記録用紙を給排紙することにより、記録用紙２の両面に空気表面を発生させる。ファン２８またはその他の圧縮空気供給源により、空気が空間２６に供給される。空間２６の孔２７は空気を逃がし、記録用紙２のための支持表面を形成する。記録用紙２が感光体と接触する前部に、二つのエアベアリング表面が配置される。この構成により、物理的接触がなくても十分に記録用紙２を支持しながら、記録用紙２をより平坦にすることができる。これは、以前調色された画像が記録用紙２の上面に存在する場合、特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のエアベアリング給排紙素子の第一の実施形態の図である。
【図２】 本発明のエアベアリング給排紙素子の第一の別の実施形態の図である。
【図３】 本発明のエアベアリング給排紙素子の第二の実施形態の図である。
【図４】 本発明の補助給排紙素子の第三の実施形態の図である。
【符号の説明】
１ エアベアリング給排紙素子、２ 記録用紙、３ 画像転写ステーション、４ 給排紙ベルト、５ サポートローラ、６ プリー、７，８ 矢印、１０ 空間、１１，１２ 側壁、１３ 外壁、１４ 空気拡散装置、１５ モータ、１６ファン、１７ コピー機のフレーム、１８，１９ スプリング、２０ 開口孔、２１ 外壁表面、２２ ベアリング表面、２３ コロトロン、２４ リリースバルブ、２５ センサ、２６ エアベアリング空間、２７ 開口孔、２８ ファン、３０ トナー画像。

Claims (5)

1. 印刷機における印刷媒体経路に沿って延伸された感光体ベルト上の印刷媒体の給排紙を補助する装置であって、
   共同で内部空間を決定する側壁と外壁を有し、前記印刷媒体経路内の前記感光体ベルトに隣接し、前記外壁が前記感光体ベルトと対向するように設置された第一のケースと、
   前記内部空間と連絡し、前記内部空間に圧縮気体を供給する圧縮気体供給源と、
   印刷媒体と前記感光体ベルトとの接触開始位置より前から接触領域に亘って前記内部空間の前記外壁に形成され、前記圧縮気体をそこから逃がし、前記外壁と印刷媒体との間の前記外壁付近にエアクッションを形成し、前記エアクッションが前記印刷媒体を前記感光体ベルトと平らに接触させるように前記印刷媒体経路に沿って設けられた複数の孔の列と
   を有することを特徴とする給排紙装置。
2. 請求項１に記載の給排紙装置であって、
   気体が前記印刷媒体経路に沿った印刷媒体の搬送方向へ吹き付けられるように前記孔に傾斜がつけられていることを特徴とする給排紙装置。
3. 請求項１又は２に記載の給排紙装置であって、
   前記内部空間内の圧力を検出する圧力センサと、
   前記内部空間内から気体を放出するリリースバルブと、を備え、
   前記圧力センサによって検出された圧力に応じて前記リリースバルブを開閉させて前記内部空間内の圧力を制御することを特徴とする給排紙装置。
4. 請求項１〜３のいずれか１つに記載の給排紙装置であって、
   さらに、共同で第二の内部空間を決定する側壁と外壁を有し、当該外壁が前記第一のケースの前記外壁と対向するように、前記印刷媒体と前記感光体ベルトとの接触開始位置より前に設置された第二のケースと、
   前記第二の内部空間と連絡し、前記第二の内部空間に圧縮気体を供給する第二の圧縮気体供給源と、
   前記第二のケースの前記外壁に形成され、圧縮気体をそこから逃がして前記外壁と前記印刷媒体との間の前記第二のケースの前記外壁付近にエアクッションを形成する第二の孔の列と、
   を有することを特徴とする給排紙装置。
5. 請求項１〜４のいずれか１つに記載の給排紙装置であって、
   前記第一のケース上に設置され、前記感光体ベルトから印刷媒体へのトナーの転写を助ける電荷を前記印刷媒体上に発生させる静電転写素子をさらに有することを特徴とする給排紙装置。

Images