JP3934455B2 - 複数流体ノズル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、圧送される複数流体を噴霧,例えば不活性ガスと水とを噴霧する複数流体ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の複数流体ノズルを図6に示す例えば特開2000−93537公報の二流体ノズルを用いて説明する。
【0003】
図6は二流体ノズルを示す断面図で、図中右側の水入口1から水を取り込み、これを水ノズル部2からガスノズル部3内の空間4に噴出すると共に、図中上側のガス入口5から不活性ガスを取り込み、この不活性ガスの圧力により水ノズル部2から空間4に噴出された水を図中左側のガスノズル部3の先端の噴出孔6から吹き出して水微粒子を噴霧する構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこの種の二流体ノズルは以上のように構成されているので、空間4の部分でミキシング(衝突エネルギーを利用した瞬時の全体的ミキシング)が十分に行われないために、不活性ガス中の水の粒子が微細化かつ均一になりにくいという問題点がある。従って、例えばこれを消火用ノズルとして使用した場合には、不活性ガス中の水の粒子の微細化,均一化の悪さから消火性能が低下するという問題点がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る複数流体ノズルはかかる問題点を解消するためになされたもので、衝突板部の表面に凹部を配設して第1ミキシング部を形成し、前記円筒部の内周面を前記流入孔の内径とほぼ同径あるいはそれより大径として第2ミキシング部を形成し、前記ノズル本体の孔径二段の段差面に凹部を配設して第3ミキシング部を形成し、この第3ミキシング部からの複数流体が衝突する衝突面を前記段差面の凹部と対向する位置の環状噴口内に設けて第4ミキシング部を形成し、かかる第1ミキシング部から第4ミキシング部を複数流体が経由することにより、同一気体量において気体中の液体の粒子が微細化かつ均一になる。従って、例えばこれを消火用ノズルとして使用した場合には、不活性ガス中の水の粒子が微細化かつ均一になることから消火性能が向上する。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を図1〜図5について説明する。図1はノズル全体を示す縦断側面図、図2は図1を下から見た図、図3は図1を上から見た図、図4は図1の要部を拡大して示す図、図5は図4の線イ−イに沿う断面図である。
【0007】
図において、7は流入孔7aと段差面7bにより流入孔7aよりも大きい内径に形成されている流出孔7cとで孔径二段の円筒状に構成したノズル本体、8は流出孔7c内でその同心軸線上に位置して流出孔7cの内周面との間に環状噴口9を形成する円筒部8aと円筒部の内周側に設けられた衝突板部8bであって流入孔7aからの複数流体が衝突する衝突板部8bとで軸方向の断面を凹状に構成した衝突部材、10は衝突部材8の衝突板部8bの表面に複数個(図面では6個)配設した凹部、11は衝突部材8の円筒部8aに形成した流入孔7aの内径とほぼ同径あるいはそれより大径の内周面(ミキシング部)、12はノズル本体7の段差面7bに複数個(図面では8個)配設した凹部、13は段差面7bの凹部12とそれぞれ対向する位置(図面では8カ所)の環状噴口9内にそれぞれ設けた円柱体で、その端面13aを円筒部8aの端面14からへこませて衝突面を構成している。
【0008】
不活性ガスと水との二流体を噴霧する二流体ノズルについてその作用を説明する。今、ノズル本体7の流入孔7aに不活性ガスと水とが圧送され、まずこれが衝突板部8bの表面に衝突するとその凹部10により乱流が発生して1回目のミキシングが行われる。
【0009】
次に、衝突板部8b内において周囲に分散することにより円筒部8aの内周面11に衝突して2回目のミキシングが行われる。
【0010】
次に、この不活性ガス・水の混合流体は、拡散分散力によって段差面7bの方向にUタ−ンしてゆき、ここで強烈で爆発的な3回目のミキシングが行われる。
つまり、図5に示すように凹部12が円筒部8aの内周面11によりさえぎられて構成されるほぼ半月状部分12aに、前記した2回目のミキシング後の不活性ガス・水の混合流体が分散流入すると、このときに乱流が発生してミキシングが行われる。その際、半月状部分12aが非円形ノズルを構成しているので、この部分で流出速度が不均一になって圧力変化による乱流が発生する。
引き続き、凹部12が円筒部8aの端面14により形成されるほぼ長方形状部分12bを通るときに、流路の形状変更(ほぼ半月状からほぼ長方形状に)により乱流が発生してミキシングが行われる。
さらに引き続き、凹部12が円筒部8aの外周面によりさえぎられて構成されるほぼ半月状部分12cに、不活性ガス・水の混合流体が流入するときに、流路の形状変更(ほぼ長方形状からほぼ半月状に)により乱流が発生してミキシングが行われる。その際、半月状部分12cが非円形ノズルを構成しているので、この部分で流出速度が不均一になって圧力変化による乱流が発生する。
こうして、凹部12によって3段階の連続したミキシングが行われるので、この3回目のミキシングでは強烈で爆発的なミキシングとなる。
【0011】
次に、段差面7bの凹部12から環状噴口9に入るときに、ガス・水の混合流体の一部が円柱体13の端面13aに衝突すると乱流が発生して4回目のミキシングが行われる。
この後は、そのまま環状噴口9からノズル本体7外に噴霧される。
【0012】
このように何回にもわたってミキシングが行われることにより、不活性ガス中の水の粒子が微細化かつ均一した微粒子となる。つまり、理想的なミキシングが行われる。
【0013】
なお、図中円筒部8aの端面14に設けた切欠きは、流入孔7aに対する内周面11の径の大きさによって変化するものであるから、必ずしも必要ではない。
【0014】
上記実施の形態では端面13aの形状を円柱体13によって円形になるものを示したが、角形であっても良いし,これらが凸面,凹面であっても良い。また、円柱体13の端面13aの端面14からのへこみは、必ずしも必要ない。さらに、円柱体13の長さが環状噴口9の全長にわたって延びているが、これは途中までの長さであっても良い。
【0015】
また、上記実施の形態では円柱体13を流出孔7cの外から流出孔7cの内周面に突出する部材により円筒部8aの外周面に押しつけて固定しているが、円柱体13の取り付け方法はこれに限るものではない。
【0016】
さらに、上記実施の形態では凹部10,12の形状が円形であるものを示したが、円形である必要はないし,またその凹部の底面は平ら面,凹面,凸面のいずれの形状であっても良い。
【0017】
以上の説明では不活性ガスと水との二流体を噴霧する二流体ノズルについて説明したが、用途によっては各種の気体,液体を数種組み合わせて噴霧することも勿論可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば衝突板部の表面に凹部を配設して第1ミキシング部を形成し、前記円筒部の内周面を前記流入孔の内径とほぼ同径あるいはそれより大径として第2ミキシング部を形成し、前記ノズル本体の孔径二段の段差面に凹部を配設して第3ミキシング部を形成し、この第3ミキシング部からの複数流体が衝突する衝突面を前記段差面の凹部と対向する位置の環状噴口内に設けて第4ミキシング部を形成し、かかる第1ミキシング部から第4ミキシング部を複数流体が経由するので、同一気体量において気体中の液体の粒子が微細化かつ均一になるという効果が得られる。従って、例えばこれを消火用ノズルとして使用した場合には、不活性ガス中の水の粒子が微細化かつ均一になることから消火性能が向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示す縦断側面図である。
【図2】図1を下から見た図である。
【図3】図1を上から見た図である。
【図4】図1の要部を拡大して示す図である。
【図5】図4の線イ−イに沿う断面図である。
【図6】従来の二流体ノズルを示す断面図である。
【符号の説明】
7 ノズル本体
7a 流入孔
7b 段差面
7c 流出孔
8 衝突部材
8a 円筒部
8b 衝突板部
9 環状噴口
10 凹部
11 内周面
12 凹部
13 円柱体
13a 端面
14 端面

Claims (1)

  1. 混合された複数流体が圧送される後面に開口する流入孔とこれの先に段差により連設されかつ前面に開口する前記流入孔の内径よりも大きい内径の流出孔とを有する孔径二段の円筒状ノズル本体と、前記流出孔内でその同心軸線上に位置して前記流出孔の内周面との間に環状噴口を形成する円筒部と前記円筒部の内周側に設けられた衝突板部であって前記流入孔からの複数流体が衝突する衝突板部とを有する、軸方向の断面が凹状の衝突部材とからなり、かつ前記衝突板部の表面に凹部を配設して第1ミキシング部を形成し、前記円筒部の内周面を前記流入孔の内径とほぼ同径あるいはそれより大径として第2ミキシング部を形成し、前記ノズル本体の孔径二段の段差面に凹部を配設して第3ミキシング部を形成し、この第3ミキシング部からの複数流体が衝突する衝突面を前記段差面の凹部と対向する位置の前記環状噴口内に設けて第4ミキシング部を形成し、かかる第1ミキシング部から第4ミキシング部を経由した複数流体を前記環状噴口から噴霧するようにしたことを特徴とする複数流体ノズル。
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