JP3933222B2 - 電気自動車用制動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車のブレーキペダルの操作により液圧制動及び回生制動可能な制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の装置として、特開平5−161210号公報、及び特開平5−176407号公報に記載のものがある。前者は、ブレーキ操作子の操作により油圧制動可能な従動輪と、バッテリーをエネルギー源とするモータに接続されて駆動されるとともにブレーキ操作子の操作により油圧制動及び回生制動可能な駆動輪とを備えた電動車両の制動装置であり、ブレーキペダルにより操作されるマスターシリンダと駆動輪及び従動輪の油圧制動手段との間に、ON/OFFバルブ及び差圧バルブよりなる油圧制御バルブを設け、回生制動時に、駆動輪及び従動輪の油圧制動手段の制動力を抑制することにより、回生制動力の有効利用を図ったものである。
また、後者は、回生制動可能な駆動輪の液圧制動手段に減圧弁及び液圧消費手段(ストロークシミュレータ)を設けることにより、回生制動時におけるブレーキ(ペダルの)ストロークの違和感を解消するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術の前者(特開平5−161210号)は、マスタシリンダと駆動輪及び従動輪の液圧制御手段との間に、ON/OFFバルブ及び差圧バルブを設ける構成であるため、回生制動が作動している間は、マスタシリンダからの液圧が所定値に高まるまでは、差圧バルブにより前記マスタシリンダと駆動輪(および従動輪)の液圧制御手段との間を遮断することとなり、ブレーキ力に見合うブレーキストロークが確保できず、ブレーキストロークに違和感を生じさせることになる。
また、上記のON/OFFバルブおよび差圧バルブは、駆動輪及び従動輪とも単なる入力圧の減圧制御しか行えず、回生制動力を最大限利用した場合、通常の運転状態で駆動輪と従動輪のブレーキ力配分を理想配分に一致させることができず、駆動輪側の制動力が偏重状態となって、制動時に車輪の状態が不安定となる恐れがある。なお、ブレーキ力配分を理想配分に一致させるためには、ステアリング中のモードとして示されているように、回生制動力を駆動輪の配分に留めて、従動輪側の必要制動力を液圧制動力のみで確保させることとなる。
【0004】
前記従来技術の後者(特開平5−176407号)は、駆動輪の液圧制動手段に対するブレーキストロークの違和感を解消できるものの、従動輪の液圧制動手段に対しては何ら考慮されていないため、回生制動力を駆動輪のブレーキ力配分内に制限せざるを得ず、従動輪のブレーキ力配分をも含めて回生制動を作用させて回生制動力の有効利用を図ることができない。
また、回生制動力の最大回生制動トルクは、モータの回転数のみならず、その時のバッテリー容量及び温度の違いにより変動する。従って、減圧弁の設定圧及びストロークシミュレータの消費油量を一定値に規定しているため、最大回生制動トルクの変動により、配管間の差圧ΔPに応じた回生制動力を出力できない場合には、ブレーキストロークをこれに追従させることができず、ブレーキストロークに違和感を生じさせる。
【0005】
本発明は、電気自動車の液圧制動手段に対し、最適な液圧制御弁装置を有する電気自動車用制動装置を提供することを目的とするものであり、液圧制御弁装置が、回生制動力の有効利用を図りながら、制動力を理想配分に一致させることができるものとすること、そして、回生制動力に変動が生じた場合でも、これに追従でき、常にブレーキストロークの違和感を招くことがないものとすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明の手段は、マスタシリンダと、液圧制動及び回生制動可能な駆動輪における液圧制動手段との間に、回生制動時にマスタシリンダの液圧を回生制動力の負担分に対応した値に減圧して、出力させる液圧制御弁装置を備えた電気自動車用制動装置において、
前記液圧制御弁装置に、マスタシリンダからの液量を消費させる液量消費部と、
前記マスタシリンダのポートと連通する内孔に差圧ピストンを収納し、前記マスタシリンダからの液圧を受けてマスタシリンダの液圧に対応した反力を差圧ピストン位置に対応して発生させると共に、前記液量消費部にマスタシリンダの液圧から前記反力を減じた制御圧を発生させる差圧設定部と前記差圧設定部の内孔と連通する内孔にプランジャを設け、
且つこのプランジャと内孔により形成される空間容積を可変可能状態に形成し、
回生制動が行われてマスタシリンダの液圧が所定値以上に上昇したときにその空間容積量を可変することにより前記差圧設定部に連通する通路の液圧を制御し
回生制動時の回生制動力を液圧制動力として発生させる際に消費される液量に相当する容積に制御する容積可変部と、
前記差圧設定部により制御圧に基づきマスタシリンダからの液圧を液圧制動手段に送出する液圧制御弁部とを備えたことを特徴とする電気自動車用制動装置。
【0007】
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【0008】
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【0010】
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【0011】
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【0012】
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【0017】
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【0018】
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【0019】
この構成は、回生制動の変動に追従して消費液量及び液圧制御弁部の作動を連動させることができ、ペダルストロークの違和感を解消できる。
【0020】
第2の発明の手段は、第1の発明における前記液量消費部が、前記マスタシリンダからの液圧を前側に受けて後退することにより液量を消費させるピストンを有し、
前記容積可変部は、前記プランジャと当接するプランジャストッパと、このプランジャストッパを進退自在にねじ結合して前記空間容量を可変する回転駆動部と、前記差圧設定部のマスタシリンダに連通する通路と空気抜けポートに連通する通路間を開閉して前記差圧ピストンを制御するポペット弁体を備える。
【0021】
回生制動力の変動に応じて容積を変更される容積可変部のプランジャの進退駆動を回転により行う回転駆動部としたので回生制動力の変動量が大きくても容易に対応できる。
【0022】
第3の発明の手段は、第2の発明における前記回転駆動部が、ステッピングモータである。
【0023】
ステッピングモータの制御はオープン系でよいから、制御が容易となり、且つ静止トルクを発生するので、プランジャストッパの進退位置を安定させることができ、制御性を向上できる。
【0024】
第4の発明の手段は、第3の発明における前記容量可変部が、前記ステッピングモータのトルクが消滅した時に前記プランジャストッパを前進位置に規制する液圧補償ばねを有する。
【0025】
液圧補償ばねはプランジャストッパを直接押して前進させる圧縮コイルばねでもよいが、回転駆動部にプランジャストッパが後退するときに巻かれて前進エネルギーを蓄える構成のゼンマイを設けてもよい。ステッピングモータ又はこれを制御するコントローラが故障した場合にプランジャストッパを前進位置に規制するから、液圧制動力を確保できる。
【0026】
第5の発明の手段は、第1の発明における前記マスタシリンダと液圧制動可能な従動輪における液圧制動手段との間に、回生制動力が前記従動輪の制動力をも負担した際に、マスタシリンダからの液圧がこの負担分に相当する液圧となるまで液圧制動手段への出力を遮断する従動輪側液圧制御弁装置が設けられており、前記容積可変部は、この負担分に相当する従動輪の液圧制動力に見合った液量を含めて前記液圧消費部の容積を確保する。
【0027】
従動輪側液圧制御弁装置に駆動輪側液圧制御弁装置と同様の液量消費の構成を設けなくとも、駆動輪と従動輪とを併せて消費されるべき液量を補償でき、ペダルストロークの違和感を解消できる。
【0028】
第6の発明の手段は、第1の発明における前記差圧設定部が、マスタシリンダと容積可変部との間に設けられる差圧ピストンと、この差圧ピストンにマスタシリンダの液圧に対抗する反力を発生させる設定ばねとを有する。
【0029】
最小限の部品構成で、踏力又はマスタシリンダ液圧とストロークとの相関を確保する差圧を発生できる。
【0030】
第7の発明の手段は、第6の発明における前記設定ばねが、前記反力を発生させる設定ばねの付勢力Fを、液圧制御弁部の制御液圧受圧面積をSC、マスタシリンダ液圧をPM、液圧制御弁部の出力特性折れ点設定用制御液圧をPCとしたときF−SC×(PM−PC)>0とし、且つマスタシリンダの液圧が前記液圧制御弁部の出力特性折れ点に達したときマスタシリンダと液圧制動手段間の流路を閉じるように設定した
【0031】
差圧設定部の変化割合を液圧制動手段の変化割合に近似させたので、回生制動から液圧制動又はその逆に切り換わった場合でもブレーキペダルストロークの違和感を生じさせない。
【0032】
第8の発明の手段は、第5の発明における前記差圧設定部が、マスタシリンダと容積可変部との間に設けられる差圧ピストンと、この差圧ピストンにマスタシリンダの液圧に対抗する付勢力を発生させる設定ばねとを有し、この設定ばねは差圧ピストンの移動に伴う反力の変化割合を前記駆動車輪及び従動車輪の液圧制動手段の液量変化に伴う液圧の変化割合に近似させてある。
【0033】
第6、7の発明と同様で従動輪側を考慮した点でよりブレーキペダルストロークの違和感を生じさせない。
【0034】
第9の発明の手段は、第1の発明における前記液圧制御弁部が、前記入力液圧が前記液圧制動手段の無効ストロークを詰めるのに相当する値になるまで、前記マスタシリンダと液圧制動手段との間を連通させるものである。
【0035】
前記駆動輪の液圧制動手段におけるホイルシリンダの無効ストロークを詰めることができ、マスタシリンダ液圧が回生制動力の負担分に対応した値に達した後に、直ちに従動輪の液圧制動手段を作動させることができる。
【0036】
第10の発明の手段は、第9の発明における前記液圧制御弁部が、前記入力液圧が前記液圧制動手段の無効ストロークを詰めるのに相当する値に到達すると、前記制御圧を受けるまでの間、前記入力液圧の上昇に伴い、この入力液圧を所定割合に減圧して出力するものである。
【0037】
無効ストロークを詰めるのに必要な液圧が、液圧制動手段の繰り返し使用や、ライニングの摩耗により変動(リターンスプリングのばね力が変動)した場合でも、これに対応でき、液圧制動手段の作動が遅れることがない。
【0038】
第11の発明の手段は、マスタシリンダと液圧制動可能な従動輪における液圧制動手段との間、及びマスタシリンダと液圧制動及び回生制動可能な駆動輪の液圧制動手段との間に、回生制動時にこの制動力の駆動輪及び従動輪の負担割合に応じてそれぞれマスタシリンダと各液圧制動手段との間を遮断する液圧制御弁装置が設けられる電気自動車用制動装置において、前記液圧制御弁装置として、マスタシリンダと従動輪の液圧制動手段との間に、マスタシリンダからの入力液圧と従動輪の液圧制動手段への出力液圧との差圧に基づき開閉する弁体と、この弁体に閉弁付勢力を作用させる付勢手段と、を有する増圧制御弁を設け、
この増圧制御弁は、前記マスタシリンダからの入力液圧が前記負担分に対応した値となるまでは、前記マスタシリンダと従動輪の液圧制動手段との間を遮断し、
前記マスタシリンダからの入力液圧が前記値を超えた後は、前記マスタシリンダからの入力液圧の昇圧割合よりも高い割合で前記出力液圧を上昇させて、前記入力液圧と出力液圧とを一致させるものであり、更に液圧制御弁装置として、マスタシリンダと駆動輪の液圧制動手段との間に、マスタシリンダからの液量を消費させる液量消費部と、
マスタシリンダからの液圧を受けてマスタシリンダの液圧に対応した反力を発生させるとともに前記液量消費部にマスタシリンダの液圧から前記反力を減じた制御圧を発生させる差圧設定部と、
この差圧設定部の内孔と連通する内孔にプランジャを設け、且つこのプランジャと内孔により形成される空間容積を可変可能状態に形成し、回生制動が行われてマスタシリンダの液圧が所定値以上に上昇したときにその空間容積量を可変するものであって、プランジャと当接するプランジャストッパと、このプランジャストッパを進退自在にねじ結合して前記空間容量を可変する回転駆動部と、
前記差圧設定部のマスタシリンダに連通する通路と空気抜けポートに連通する通路間を開閉して前記差圧ピストンを制御するポペット弁体を備えた容積可変部と、
前記制御圧を受けてマスタシリンダと液圧制動手段との間を連通させる液圧制御弁部とを設け、
前記容積可変部は、回生制動力が前記従動輪の制動力を負担した際にこの負担分に相当する従動輪の液圧制動力に見合った液量を含めて液圧消費部の容積を確保するものであり、
前記差圧設定部は、マスタシリンダと容積可変部との間に設けられる差圧ピストンと、
この差圧ピストンにマスタシリンダの液圧に対抗する付勢力を発生させる設定ばねとを有し、この設定ばねは差圧ピストンの移動に伴う反力の変化を前記駆動車輪及び従動車輪の液圧制動手段の液量変化に伴う液圧の変化に対応させたものである。
【0039】
マスタシリンダの入力液圧が回生制動の制動力に対する値になるまでは従動輪の液圧制動手段の無効ストロークをつめる液圧を制御し、回生制動力に対応した値を超えたあとは、マスタシリンダの入力液圧の上昇割合よりも高い割合で従動輪側出力液圧を上昇させるので、入力液圧が上昇するに伴い、前輪と後輪のブレーキ力配分を理想配分に近づけることができる。また、前輪の制動液圧がマスタシリンダの入力液圧と同圧以上になると、駆動輪側出力液圧の上昇割合をマスタシリンダの液圧上昇割合と同じ割合で上昇させるので、更なる入力液圧の上昇に際しても前輪と後輪のブレーキ分配を理想分配に近い状態に維持する。また、回生制動の際、マスタシリンダの液圧に見合った液量を消費するようにしているから、ブレーキペダルストロークの違和感を解消できる。
【0040】
【発明の実施の形態】
第1の実施の形態を図1乃至図8に示す。この実施の形態の電気自動車は、図4に示すように1対の前輪2、2と1対の後輪4、4と有する4輪車である。後輪4、4は、モータ6、6によって駆動される駆動輪である。また、前輪2、2は駆動されていない従動輪である。モータ6、6には、充電可能なバッテリー8からの電力を、電力制御ユニット、例えばインバータ10によって制御したものが供給されており、これによって、モータ6、6の駆動が制御される。また、インバータ10は、モータ6、6の回生制動に伴って発生する電力によってバッテリー8を充電する。
【0041】
このインバータ10は、例えばマイクロコンピュータによって構成されたシステムコントローラ11によって制御される。システムコントローラ11は、図示しないアクセルペダルの操作によって生成されたアクセル信号に応じて、モータ6、6の駆動状態を制御する信号をインバータ10に供給し、後述するブレーキコントローラ13からの回生ブレーキ指令信号に応じて、回生制動の状態を制御する信号をインバータ10に供給する。
【0042】
後輪4、4には、液圧制動手段、例えば油圧ドラムブレーキ12、12が設けられている。前輪2、2も液圧制動手段、例えば油圧ディスクブレーキ14、14が設けられている。
【0043】
これら液圧制動手段12、12、14、14は、ABS(アンチロックブレーキシステム)ハイドロユニット16を介して供給される油圧によって前輪2、2及び後輪4、4をそれぞれ制動する。このハイドロユニット16は、ブレーキペダル18の操作によってマスターシリンダ20が発生する制御油圧を液圧制御弁装置22を介して受ける。また、ABSECU(アンチロックブレーキシステム電子制御ユニット)24からの制御信号によっても制動状態が制御される。液圧制御弁装置22及びABSECU24は、例えばマイクロコンピュータによって構成されたブレーキコントローラ13からの制御信号によって制御される。これら制御は、液圧制動手段12、12及び14、14に対してそれぞれ個別に行われる。
【0044】
ブレーキコントローラ13には、前輪速度センサ26、26によって検出された電気自動車の速度信号、即ちモータ6、6の速度が入力されると共に、マスターシリンダ20と液圧制御弁装置22との間の油路に設けられた圧力センサ28が検出した、ブレーキペダル18の操作によって発生した圧力変化の検出値、すなわち、制動指令値Binも入力される。
【0045】
ブレーキコントローラ13は、システムコントローラ11から供給されたモータ回転速度(R)、(L)に基づいて、液圧制御弁装置22、ABSECU24に制御信号を供給する。また、ブレーキコントローラ13は、圧力センサ28からの制動指令値Binと、前輪速度センサ26、26からの速度信号と、図示していないが、バッテリーの充電状態を検出した信号、バッテリーの温度を検出した信号に基づいて回生ブレーキ指令信号をシステムコントローラ11に供給する。
【0046】
ブレーキコントローラ13及びシステムコントローラ11が行うブレーキ制御を概略的に説明する。図7に示すように、初期制動において、最大回生制動力よりも小さく予め定めた制動力値aになるまでは、回生制動のみによって後輪4、4の制動を行う。さらに大きな制動力が必要になると、後輪4、4の回生制動力aを維持し、前輪2、2の液圧制動力を増加させていく。そして、これら前輪2、2と後輪4、4の制動力が、前輪の制動力と後輪の制動力との理想配分αの近似特性βに一致すると(図7に示すb点)、この近似特性βに沿って前輪の制動力及び後輪の制動力を増加させていく。
【0047】
この理想配分αは、この実施の形態では、図7から明らかなように幾分後輪の制動力が前輪の制動力よりも大きな状態を維持する曲線で表され、近似特性βは、予め定めた前輪の同時ロック点を越えない制動力の範囲内で、この理想配分αよりも後輪の制動力が小さくなる直線で表されている。
【0048】
このように、理想配分の近似特性βに一致するまで、回生制動力を最大値未満の一定値aに保持していることで、後輪4、4過大な制動力とならない上に、一定の回生エネルギーの回収が行われるので、エネルギー回収効率を向上させる上で好ましい。
【0049】
このようなブレーキ装置の液圧制御弁装置22として、図1〜図3に示す弁装置が使用される。同図において、31は従動輪(前輪)側液圧制御弁装置、32は駆動輪(後輪)側液圧制御弁装置である。
【0050】
従動輪側液圧制御弁装置31は、図1、図2に示すように、増圧制御弁33、液圧比例弁34らなり、マスタシリンダ20に接続するポート35、従動輪の液圧制動手段14に接続するポート36、ブレーキコントローラ13に制御される付勢手段としての比例ソレノイド37等を有する。
【0051】
増圧制御弁33は、図2に拡大して示すように、弁体38が本体39に設けた内孔形成部材40に形成された内孔41に進退可能に挿入されており、前進位置(図の右方位置)において先端42が弁座43に当接して弁体38に形成されている弁体内孔44と弁体外側の前部空間45とを遮断する。弁体38は先端側の外周が細く、途中に膨大部を有し、後部が細く形成され、膨大部と後部の外周にはシール46、47を設けてあり、弁体38の挿入されている内孔41を前記シール46によって前部空間45と後部空間48に区画している。弁体内孔44は先端開口部から後方に伸延し後部空間48に開口している。弁体38の後端は付勢手段としての比例ソレノイド37の作動部端49が当接している。前記前部空間45には内孔形成部材40に形成され連通孔50を介してマスタシリンダに接続するポート35に連なる通路51が接続し、また弁体38を後退させる方向に作用するばね52が収容されている。前記後部空間48には内孔形成部材40に形成された連通孔53を介して従動輪のホイルシリンダ(液圧制動手段)14に接続するポート36に連なる通路54が接続している。
【0052】
液圧比例弁34は、内部に弁55を有するピストン56が本体39に形成した内孔57に進退可能に挿入されている。ピストン56は、外周の2箇所にシール58、59を設けてあり、内孔57を右端室60、中間室61、左端室62に区画しており、図における右端に形成された右端室(図示していない連通孔により外界と連通している)60に配置したばね63によって左方向に付勢されており、左端が内孔57の左端に当接している。ピストン56内には、閉弁ばね64を収容したばね室と、弁55を収容した弁室と、弁孔65が形成され、弁孔65から弁55の左端に突起部66を突出させて閉弁状態で弁孔65から突出するようにしてあり、ピストン56がばね63に抗して後退(右動)したときこの閉弁状態となり、前進したとき内孔57の左端により突起部66が駆動されて開弁状態となる。左端室62は前記通路54に接続し、中間室61は前記通路51に接続している。すなわち、液圧比例弁34はポート35、36に対して増圧制御弁33と並列に接続されている。
【0053】
この従動輪側液圧制御弁装置31は、ブレーキペダル18の操作によるマスタシリンダ20からの液圧(入力液圧)PM に対するホイルシリンダの液圧(出力液圧)PW が、図5に示すような折れ点p1、p2、p3を有する特性としてある。図5の0点と0点に一致して見える折れ点p1を結ぶ直線(図示せず)と、折れ点p1と折れ点p3を結ぶ細線で示す直線Dと、その延長上にある実線で示す直線Cとは、前記比例ソレノイド37の出力が無いときの特性(入力と出力とが等しくなる)であり、実線で示す直線A、B、Cは比例ソレノイド37の出力が最大の時の特性であり、比例ソレノイド37の出力が小さくなると直線Bが図の左方向に移動すると共に折れ点p2が実線A上を、折れ点p3が直線D上を折れ点p1の方向へ移動する。この特性において直線Aの勾配は極めて緩く、直線Cは入力液圧がそのまま出力されるもので勾配が1であり、そして直線Bは直線Cよりも勾配が大きい。
【0054】
前記従動輪側液圧制御弁装置31の構成に対応させて前記特性を説明する。マスタシリンダ20の液圧(入力液圧)PM が徐々に増大していくとすると、先ず液圧比例弁34は最初は弁55が開いているから、マスタシリンダ20の液圧PM が立ち上がるとホイールシリンダの液圧(出力液圧)PWFも同じ圧力で立ち上がる。しかし、液圧比例弁34の中間室61の液圧が上昇することによりピストン56が右動して直ちに弁55が閉弁方向に移動し、入力液圧に対応して出力液圧を制御するようになり、すなわち前記特性における折れ点p1を超えて直線Aに従った出力となる。この制御は出力液圧が入力液圧よりも所定の比率で低くなる減圧制御であり、前記ピストン56のマスタシリンダ液圧受圧面積と、ピストン56のホイルシリンダ液圧受圧面積と、ピストンを押圧するばね63とによって、前記特性における直線Aの勾配が決められている。マスタシリンダ20の液圧PM が更に上昇すると、ブレーキコントローラ13からの指令(Bin1)によって比例ソレノイド37が作動するようになり、これによって増圧制御弁部33が作動するようになる。その開始点が折れ点p2である。
【0055】
前記増圧制御弁31の構成は、開弁付勢力が、PM ×(AM −AS )+f
で表され、閉弁付勢力が、PWF×(AM −AW −AS )+Fで表される。但し、PM はマスタシリンダ液圧、PWFは前輪のホイルシリンダ(液圧制動手段)液圧、AM は弁体38のマスタシリンダ液圧受圧面積、AS は弁体38が弁座43に当接したときの内側の面積、AW は弁体38のホイルシリンダ液圧側断面積、fはばね52の設定力、Fは比例ソレノイドの付勢力である(AM 、AS 、AW は図2参照)。従って、弁体38の釣り合いの状態は次の式(1)で表される。
PM ×(AM −AS )+f =PWF×(AM −AW −AS )+F・・・・(1)
式(1)からホイルシリンダ液圧PWFは、
PWF=〔(AM −AS )/(AM −AW −AS )〕×PM +(f−F)である。この式の中の〔(AM −AS )/(AM −AW −AS )〕が直線Bの勾配であり1よりも大きく決められている。これは増圧制御である。これによってマスタシリンダ液圧(入力液圧)PM が増大していくとホイルシリンダ液圧(出力液圧)PWFが急勾配で上昇して比例ソレノイド37が動作していないときの出力液圧に追いつく。すなわち、直線C、Dに折れ点p3で一致する。出力液圧は入力液圧以上には上昇しないから、折れ点p3に到達した後は直線Cに沿って上昇し、すなわち、入力液圧と出力液圧とが同じになる。前記特性を示すグラフの直線Dと直線AとBとの交点p2との差は、回生制動を行うときの回生制動力に相当するもので、従動輪の液圧制動力がそれだけ低下するようにしてある。
【0056】
駆動輪側液圧制御弁装置32は、図1、図3に示すように、液圧制御弁部70、液量消費部71、差圧設定部72、容積可変部73等からなり、マスタシリンダ20に接続するポート74、駆動輪のホイールシリンダ(液圧制動手段12)に接続するポート75、空気抜きポート76、容積可変部73の回転駆動部としての前記ブレーキコントローラ13に制御されるステッピングモータ77等を有する。
【0057】
液圧制御弁部70は、内部に弁78を有するピストン79が、本体39に形成された内孔80に進退可能に挿入されている。ピストン79は、外周の2箇所にシール81、82を設けてあり、内孔80を右端室83、中間室84、左端室85に区画しており、図における左端に形成された左端室85に配置したばね86によって右方向に付勢されており、右端が内孔80の右端に当接している。ピストン79内には、閉弁ばね87を収容したばね室と、弁78を収容した弁室と、弁孔88が形成され、弁孔88から弁78の右端に突起部89を突出させて閉弁状態で弁孔88から突出するようにしてあり、ピストン79がばね86の付勢力に抗して後退したときこの閉弁状態となり、前進したとき内孔80の右端により突起部89が駆動されて開弁状態となる。ピストン79はマスタシリンダ20からの液圧が0の時ばね86によって前進しており、弁78は開弁状態である。右端室83は前記ポート75に通路90を介して接続し、中間室84は前記ポート74に通路91を介して接続し、左端室85は前記ポート76に通路92を介して接続している。弁78は通路90と91の間を開閉するようになっている。
【0058】
液量消費部71は、本体39に形成された内孔93に差圧ピストン94を収容し、差圧ピストン94に対し一方の室(右側室)95を前記通路91に接続し、他方の室(左側室)96に設定ばね97を収容し、前記通路92に接続してある。差圧ピストン94は両側に作用する液圧が同じ圧力のとき、ばね97によって右端に位置するが、ばねの設定圧は0である。直接的な液量消費は差圧ピストン94の右側室95の容積が増大することによって行われる。この容積の増大は後述するプランジャ101の後退によってその前側に形成される空間容積できまる。
差圧設定部72は、前記差圧ピストン94とそのピストンに作用する設定ばね97で構成される。
【0059】
容積可変部73は、本体39に設けた内孔98に挿入したシリンダ部材99及び弁部100、シリンダ部材99に挿入したプランジャ101、プランジャ101後端に対抗して設けた可変ストッパ102、ストッパ駆動部103等からなる。図3に示すように、シリンダ部材99の右側に弁部100をシリンダ部材99と軸線を一致させて配置してある。弁部100は、ポペット弁体104がばね105によって弁座106に向かって押圧されており、ポペット弁体104の先端に弁孔107を通ってシリンダ部材99の内孔に突出した突出部108を設けてあり、ポペット弁体104が弁室109に接続する通路91と突出部108の突出したプランジャ101の前側室110に接続する通路92との間を開閉するようになっている。このポペット弁104の突出部108に対向してプランジャ101が位置しており、プランジャ101の後端(左端)が位置を変更可能であるプランジャストッパ102に支持されている。従って、プランジャ101はプランジャストッパ102が後退した分だけ後退可能であり、後退することによってプランジャ101の前側室110の容積が増大し、プランジャの前側室110は通路92を介して差圧ピストン94の左側室96に接続しているから、前記液量消費部71のピストン94の左方への後退量を制御する。
【0060】
プランジャストッパ102は、図3に示すように、略円筒状に形成されて本体39の内孔98に続く内孔111内に進退可能に配置され、自身の内孔右端部を拡大して形成した段差部112でプランジャ101を支持し、右端外周にフランジ状のばね支持部113を有し、図1に示すように、内孔左端部に雌ねじ114を有している。ストッパ駆動部103は、図1に示すように、回転軸115が前記プランジャストッパ102の後方(左側)に同軸的に位置するようにステッピングモータ77を本体39外面に取り付けられ、回転軸115に前記雌ねじ114に螺合した雄ねじ116を固定し、前記プランジャストッパ102のばね支持部113とステッピングモータ77側にスラスト軸受117を介して回転可能に設けたばね支持部118との間に液圧補償ばね(圧縮コイルばね)119を設けてある。前記雌ねじ114と雄ねじ116は多条ねじであり、例えば5条ねじとしてあり、ステッピングモータ77の出力が無い状態ではコイルばね119の作用力でプランジャストッパ102が前進端(右端)へ移動する。プランジャストッパ102が前進端へ移動した状態は、図示のように、プランジャ101を前進させてポペット弁体104の突起部108を押して開弁状態となる。図中、120は圧力センサー28を取り付けるポートである。ここで、ステッピングモータ77は、ブレーキコントローラ13からの指令に従ってプランジャストッパ102を移動させるようになっている。すなわち、回生制動が行われるとき、ブレーキペダル18を踏み込んでマスタシリンダ20の液圧が所定の値(極低い値で後述する特性線の折れ点q1に対応するマスタシリンダ液圧P0 )以上に上昇すると、これを圧力センサー28が検出し、ブレーキコントローラ13がその時の回生制動力を演算し、この回生制動力と同じ液圧制動力を発生するために必要となる消費液量を求め、この消費液量相当分の空間容積をプランジャ101の前側室110に形成するように指令する。
【0061】
この駆動輪側液圧制御弁装置32は、ブレーキペダル18の操作によるマスタシリンダ20からの液圧(入力液圧)PM に対する後輪のホイルシリンダ(液圧制動手段12)の液圧(出力液圧)PW が、図6に示すような折れ点q1、q2を有する特性としてある。同図の0点と折れ点q1を結ぶ直線Eと、その直線Eの延長上にある細線で示す直線Iとは、前記ステッピングモータ77の出力が無いときの特性(入力液圧と出力液圧とが等しくなる)であり、実線で示す直線E、G、Hは可変ストッパ102の後退量が最大の時の特性線であり、可変ストッパ102の後退量が小さくなると直線Hが図の左方向に移動すると共に折れ点q2が直線G上を折れ点q1の方向へ移動する。この特性において直線Eは入力液圧と出力液圧とが等しい状態で少しだけ上昇する区間であり、直線Gの勾配は極めて緩く、直線Hは入力の勾配と等しい勾配、すなわち、勾配が1である。
【0062】
前記駆動輪側液圧制御弁装置32の構成に対応させて前記特性を説明する。回生制動が行われるとして、マスタシリンダ20の液圧PM が徐々に増大していくとすると、マスタシリンダ20からの液圧はポート74から通路91、中間室84、開弁している弁孔88、右端室83、通路90、ポート75を介して駆動輪の液圧制動手段12のホイルシリンダに出力されるから、ホイルシリンダの液圧PWRはマスタシリンダ20の液圧PM と等しい。この状態は前記特性線の0点から折れ点q1までの直線Eに相当する。この時は未だステッピングモータ77が動作指令を受けていないでプランジャストッパ(可変ストッパ)102は後退していないから、ポペット弁104は開いており、差圧ピストン94の左側室96、ピストン79の左端室85、差圧ピストン94の左端室86にマスタシリンダ液圧PM が作用している。マスタシリンダ液圧PM が上昇して液圧P0 になると、特性線はステッピングモータ77が回転してプランジャストッパ102が後退を始める折れ点q1に達する。
【0063】
液圧制御弁部70の構成は、釣り合いが次の式(2)で表される。
PM ×(SW −SC )+PC ×SC +F=PWR×SW ・・・・(2)
但し、PM はマスタシリンダ液圧(入力液圧)、PWRはホイルシリンダ液圧(出力液圧)、PC は折れ点q1設定用制御液圧(左端室85の液圧)、SW はホイルシリンダ液圧受圧面積、SC は制御液圧受圧面積、SW −SC はマスタシリンダ液圧受圧面積、Fは液圧制御ばね86の付勢力である(SW 、SC は図3参照)。マスタシリンダ20の液圧が0〜P0 (P0 は折れ点q1に対応するマスタシリンダ液圧)であるときピストン79が右に移動しているためには式(2)の左辺の値が右辺の値よりも大であることが必要であるから、この条件を満足するように、すなわちF−SC ×(PM −PC )>0となるように、そして、マスタシリンダ20の液圧がP0 になるとピストン79が左方へ移動して弁78が閉じるようにばね力Fを設定してある。
【0064】
マスタシリンダ液圧PW が圧力P0 を超えて上昇すると、容積可変部73のステッピングモータ77に作動指令が出てプランジャストッパ102が後退するから、ポペット弁体104は閉じる。ポペット弁体104が閉じることによって差圧設定部72の差圧ピストン94の両側の室の連通が遮断されて右側室95にマスタシリンダ液圧PM を受け、差圧ピストン94が差圧設定ばね97に抗して後退を始めるが、その時に押し出される液量が容積可変部73のプランジャー101を後退させて吸収されるから、差圧ピストン94の左側室96の圧力は上昇しない。従って、差圧ピストン94の左側室96に連通している液圧制御弁部70のピストン79の左端室85の圧力も上昇しないから、液圧制御弁部70で液圧制御が行われる。すなわち、マスタシリンダ液圧(入力液圧)PM の大きさに応じてホイルシリンダの液圧(出力液圧)PWRは特性線の直線Gで示すように緩い勾配で上昇する制御が行われる。
【0065】
特性線の直線Gの勾配は、前記式(2)から求められる。すなわち、PC =0とすると、ホイルシリンダ液圧PWRは、
PWR=〔(SW −SC )/SW 〕×PM +F/SW ・・・・(3)
である。この式(3)の中の〔(SW −SC )/SW 〕が直線Gの勾配であり、この勾配は液圧制御弁部70の構成寸法で決まる値であるから、任意に決めることができるものである。
【0066】
折れ点q2は、入力液圧PM の上昇によって差圧設定部72の差圧ピストン94が後退するときに押し出す液量により容積可変部73のプランジャ101が後退してプランジャストッパ102に当接することによって規制される。プランジャストッパ102の位置はステッピングモータ77によって自由にかえることができ、このプランジャストッパ102の位置は、前述したように、ブレーキコントローラ13からの状況に応じた指令、つまり回生制動の多少に応じた指令により決定される。従って、折れ点q2は、状況に応じて直線G上を移動するのであり、回生制動が少なくなると点q1に近づく。
【0067】
入力液圧PM が折れ点q2に対応する液圧PMq2 を超えると、前記特性の直線Hに沿って上昇する。すなわち、入力液圧PM が折れ点q2に対応する液圧PMq2 を超えると、液圧制御弁部70の左端室85の液圧PC が(PM −PMq2 )上昇する。従って、前記式(2)において、PC =PM −PMq2 を代入して整理すると、次式(4)が得られる。
PWR=PM +(F−PMq2 ×SC )/SW ・・・・(4)
式(4)の右辺のPMq2 を含む第2項は定数項であるから、出力液圧PWRの増加率は入力液圧PMの増加率 に比例する。前記特性を示すグラフの直線Iと直線G及びHとの差は、回生制動を行うときの回生制動力に相当するもので、駆動輪の液圧制動力がそれだけ低下するようにしてある。
【0068】
このような構成の液圧制御弁装置22を備えた制動装置は、ブレーキペダル18を踏み込むことによって、マスタシリンダ20から出力される液圧と、回生制動力に応じたブレーキコントローラ13からの制御信号によって液圧制御弁装置22が動作し、図7を用いて概略を説明したブレーキ制御が良好に行われる。すなわち、回生制動が行われるときに、ブレーキコントローラ13からの制御信号である制動指令値Binが液圧制御弁装置22に与えられて常にブレーキペダル18の操作に応じたブレーキ力を生じ、且つブレーキペダル18の踏み込み過程で回生制動状態から液圧制動を併用する状態になってもブレーキペダル操作に違和感が生じないようになっている。回生制動が行われるときのブレーキコントローラ13からの制動指令値Binに対する各制動手段のブレーキ力(制動力値)BEの分担は、図8に示すようになっている。同図において、実線でそれぞれ示してある、EBが回生制動力値、FBが前輪(従動輪)液圧制動力値、RBが後輪(駆動輪)液圧制動力値であり、一点鎖線で示してあるABがこれらの合計値、つまり全制動力値ABである。また、同図には回生制動が行われないときの(回生ブレーキオフ時)の従動輪及び駆動輪の液圧制動特性も記入してある。
【0069】
以下にブレーキペダル操作による制動時の、主に液圧制御弁装置22の作用について説明する。ブレーキペダル18を踏み込んでいくとすると、回生制動が行われるか否かに係わらず、マスタシリンダ液圧(出力液圧)PM が上昇し、回生制動が行われるときはこのマスタシリンダ液圧PM と共にブレーキコントローラ13からの制動指令値Binも上昇していく。先ず、回生制動が行われる場合について説明する。従動輪側液圧制御弁装置31は、図5に示した特性であるから、制動操作の初期においては入力液圧PM の上昇があっても出力液圧PWFはあまり上昇せず、折れ点p1を通り直線Aに沿って緩やかに僅かに上昇して折れ点p2に達する。折れ点p2に達するまでの間の出力液圧PWFの上昇は、油圧ディスクブレーキ14の遊びが詰められる程度であり、前輪2に液圧制動力は作用しない。また、駆動輪側液圧制御弁装置32は、図6に示した特性であるから、制動操作の初期においては入力液圧PM の上昇があっても出力液圧PWRはあまり上昇せず、折れ点q1を通り直線 Gに沿って緩やかに僅かに上昇して折れ点q2に達する。折れ点q2に達するまでの間の出力液圧PWRの上昇は、油圧ドラムブレーキ12の遊びが詰められる程度であり、液圧制動力は作用しない。なお、出力液圧PWFの折れ点p1に比べて出力液圧PWRの折れ点p1の方がやや高い値としてあるのはブレーキがディスクブレーキとドラムブレーキで遊びの大きさが異なるためである。
【0070】
制動指令値Binが上昇してBin1になるまでは、図8に見られるように、回生制動のみが行われ、回生制動力値EBが全制動力値ABに一致した状態で上昇する。制動指令値BinがBin1を超えると、回生制動力値EBの上昇が止められて一定の制動力値EB1に制限され、これと同時に前輪(従動輪)2の液圧制動が行われるようになる。この回生制動力値EBが上昇する間、液圧制動力値は0であるが、プレーキペダル18は踏み込まれるので、そのストロークに対応する液量がマスタシリンダ20から液圧制御弁装置22に供給される。その液量はプランジャストッパ102が制動指令値Binに応じて後退していることによりプランジャ101が後退可能であるから、駆動輪側液圧制御弁装置32の差圧設定部72のピストン94が移動して吸収される。従って、ペダル18の踏み込みによって回生制動のみが行われても、その時の回生制動値に匹敵する液圧制動が行われている時と同様な感触でブレーキペダルを操作できる。
【0071】
制動指令値Bin1を超えると、前輪の液圧制動が行われるようになるのは、制動指令値Bin1により従動輪側液圧制御装置31の比例ソレノイド37が作動するようになり、増圧制御弁33の増圧制御が開始されるからである。従って、従動輪側液圧制御装置31は出力液圧PWFが特性線の直線Bに従ったものとなり、図8の前輪液圧制動力値FBを出力するようになる。この制動状態は後輪の回生制動値BE1に前輪液圧制動力値FBを加算したものであり、言い換えれば所定の全制動力値ABに対して回生制動値BE1では不足する分を前輪液圧制動力値FBで補う状態である。なお、この時、図8における前輪制動力値FBの制動指令値Bin1〜Bin2の間の勾配が全制動力値ABの勾配と同じであることが所定の全制動力特性を得るために、そしてブレーキペダル操作の違和感をなくすために必要であるが、この前輪制動力値FBの勾配は、前述した特性線の直線Bの勾配に対応して決まり、直線Bの勾配は増圧制御弁33の構成によって任意に決められるから、好ましい勾配の決定に支障はない。従って、制動指令値BinがBin1の両側に変動してもペダルストロークに違和感が生じない。
【0072】
更に制動指令値Binが上昇してBin2になると、前輪液圧制動値FBの上昇割合が低下してマスタシリンダ液圧PMに一致し、これと同時に後輪(駆動輪)4の液圧制動が行われるようになる。すなわち、回生制動は制動値BE1のまま継続する。従動輪側液圧制御弁装置31は、その増圧制御弁33による増圧制御が限界に達して出力液圧PWFが特性線の直線Cに従ったものとなって、図8の前輪液圧制動力値FB(折れ点より上)を出力するようになる。そして、駆動輪側液圧制御弁装置32は、制動指令値Bin2によりステッピングモータ77の回転が止まり、プランジャストッパ102が後退位置に保持され、プランジャ101がそのプランジャストッパ102当接して止まり、これによって液圧制御弁部70が入力液圧PM に比例した出力液圧PWRを出力するようになり、この出力液圧PWRが特性線の直線Hに従うものであり、この出力液圧PWRにより図8の後輪液圧制動力値RBを出力するようになる。この制動状態は後輪の回生制動値BE1に前輪液圧制動力値FBと後輪液圧制動力値RBを加算したものであり、言い換えれば所定の全制動力値ABに対して回生制動値BE1では不足する分を前輪液圧制動力値FB及び後輪液圧制動力値RBで補う状態である。
【0073】
なお、この時、図8における制動指令値Bin2を超える部分では前輪液圧制動力値FBと後輪液圧制動力値RBとの加算値の勾配が全制動力値ABの勾配と同じであることが所定の全制動力特性を得るために、そしてブレーキペダル操作の違和感をなくすために必要であるが、次の理由で全く支障はない。すなわち、後述するように、回生制動が行われていないときの前輪及び後輪の液圧制動力値が一定の割合で配分されていてその双方の合計値が前記全制動力値ABとなるように決めてあるから、制動指令値BinがBin2を超えた状態では前述したように従動輪側液圧制御弁装置31の出力液PWFは入力液圧PM に等しくなり、駆動輪側液圧制御弁装置32の出力液圧PWRは入力液圧PM に比例する圧力になることから、回生制動が行われていないときの夫々の制動力値と同じ勾配の制動力値を出力することになり、これに一定の回生制動力値を加算するのであるから勾配は変わらず、必然的に全制動力値ABの勾配と同じ勾配となるのである。従って、制動指令値BinがBin2の両側に変動してもペダルストロークに違和感が生じない。
【0074】
回生制動が行われない場合は、前記比例ソレノイド37及びステッピングモータ77に制動指令が与えられない場合であり、前述したように、比例ソレノイド37に制動指令が与えられない場合は、駆動輪側液圧制御弁装置31の入力液圧PM に対する出力液圧PWFが特性線の直線D、Cとなり、ステッピングモータ77に制動指令が与えられない場合は、従動輪側液圧制御弁部31の入力液圧PM に対する出力液圧PWRが特性線の直線E、Iとなるから、図8に、回生ブレーキオフ時の前輪液圧制動力特性FB′、回生ブレーキオフ時の後輪液圧制動力特性RB′として示すように、0点から立ち上がる直線となる。なお、この勾配の相違はブレーキ力発生部の寸法や構成の相違によって設定されるものである。
【0075】
上述したように、この電気自動車用制動装置によるときは、回生制動を行うときに、液圧制御弁装置22によりその時の回生制動力に対応する液圧制動力を出力するのと同じペダルストロークで行うことが出来るから、ペダルストロークの違和感が無い。
【0076】
この第1の実施の形態は、回生制動時のエネルギー回収効率を向上させる上で好ましい制動方法の1例に従って構成したものであるが、前記液圧制御弁装置22は、別に図9に示したような制動方法にも適用できる。すなわち、前記は小型車両の制動方法として考えられる方法であるが、車両が大型になると、回生制動値を図7に示したように最大の回生制動力値未満の一定値aに保持しないで、回生リミットまで利用することが良い場合もある。その場合には、回生制動指令Binに対する回生性動特性を、図9に示すように、2段になるようにするのがよい。この2段目の回生制動を回生制動オフ時の後輪液圧ブレーキ特性FBと同じ勾配で制動指令値Bin2から行い、回生リミットに達したときの制動指令値Bin3で後輪液圧制御RBを開始させるようにすればよい。このようにしても、前述したと同様にブレーキペダルストロークに違和感を生じない。
【0077】
前記第1の実施の形態における駆動輪側制御弁装置32の構成は、図10または図11に示すような構成とすることもできる。すなわち、図10の駆動輪側制御弁装置32aの構成は、液圧制御弁部70aが図3における液圧制御弁部70と同じであるが、液量消費部71a、差圧設定部72a、容積可変部73aが纏められて、図3におけるポペット弁体104の機能を同図の差圧設定部72の差圧設定ピストン94に組み込んだ構成となっており、つまりポペット弁体104aが差圧設定ピストン94a内に設けられ、差圧設定ピストン94aの左側室96aがプランジャ101aの後退によって容積の増大する容積可変部になっている。プランジャ101aは図3に示したものと同様に、図示していない可変ストッパ(プランジャストッパ)及びステッピングモータによって後退位置を制御される。この他の部分は図3の構成と同じであり、同等部分を同一図面符号で示して説明を省略する。なお、プランジャ101aが前進位置にある時ポペット弁体104aが開いて空気抜きを保証し、プランジャ101aが後退すると弁体104aが閉じ、プランジャの後退量に応じて差圧設定ピストン94aの両側に所定の差圧を発生する。
【0078】
また、図11に示す駆動輪側制御弁装置32bの構成は、液量消費部71及び差圧設定部72の構成は、図3における液量消費部71及び差圧設定部72と同じであるが、液圧制御弁部70b、容積可変部73bが纏められて、図3におけるポペット弁体104の機能を同図の液圧制御弁部70のピストン79に組み込んだ構成となっており、つまりポペット弁体104bがピストン79bの左端部内に設けられ、ピストン79bの左側の左端室85bがプランジャ101bの後退によって容積が増大する容積可変部になっている。プランジャ101bは図3に示したものと同様に図示していない可変ストッパ(プランジャストッパ)及びステッピングモータによって後退位置を制御される。この他の部分は図3の構成と同じであり、同等部分を同一図面符号で示して説明を省略する。
【0079】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、回生制動の変動に追従して消費液量及び液圧制御弁部の作動を連動させることができ、ペタルストロークの違和感を解消できる
【0080】
削除
【0081】
削除
【0082】
削除
【0083】
削除
【0084】
削除
【0085】
削除
【0086】
請求項2に記載の発明は、回転駆動部としたので回生制動力の変動量が大きくても容易に対応できる。
【0087】
請求項3に記載の発明は、ステッピングモータの制御はオープン系でよいから、制御が容易となり、且つ静止トルクを発生するので、プランジャストッパの進退位置を安定させることができ、制御性を向上できる。
【0088】
請求項4に記載の発明は、ステッピングモータ又はこれを制御するコントローラが故障した場合にプランジャストッパを前進位置に規制するから、液圧制動力を確保できる。
【0089】
請求項5に記載の発明は、従動輪側液圧制御弁装置に駆動輪側液圧制御弁装置と同様の液量消費の構成を設けなくとも、駆動輪と従動輪とを併せて消費されるべき液量を補償でき、ペダルストロークの違和感を解消できる。
【0090】
請求項6に記載の発明は、最小限の部品構成で、踏力又はマスタシリンダ液圧とストロークとの相関を確保する差圧を発生できる。
【0091】
請求項7に記載の発明は、差圧設定部の変化割合を液圧制動手段の変化割合に近似させたので、回生制動から液圧制動又はその逆に切り換わった場合でもブレーキペダルストロークの違和感を生じさせない。
【0092】
請求項8に記載の発明は、従動輪側を考慮した点でよりブレーキペダルストロークの違和感を生じさせない。
【0093】
請求項9に記載の発明は、駆動輪の液圧制動手段におけるホイルシリンダの無効ストロークを詰めることができ、マスタシリンダ液圧が回生制動力の負担分に対応した値に達した後に、直ちに従動輪の液圧制動手段を作動させることができる。
【0094】
請求項10に記載の発明は、無効ストロークを詰めるのに必要な液圧が、液圧制動手段の繰り返し使用や、ライニングの摩耗により変動(リターンスプリングのばね力が変動)した場合でも、これに対応でき、液圧制動手段の作動が遅れることがない。
【0095】
請求項11に記載の発明は、駆動輪と従動輪の制動力の配分を理想配分に一致させたから、制動時の走行安定性を確保でき、ブレーキペダルストロークの違和感を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態における液圧制御装置の主要部断面図である。
【図2】 図1の従動輪側液圧制御弁部の断面拡大図である。
【図3】 図1の駆動輪側液圧制御弁部の断面拡大図である。
【図4】 同実施の形態のブロック図である。
【図5】 同実施の形態の従動輪側液圧制御弁部の入力液圧に対する出力液圧特性線図である。
【図6】 同実施の形態の駆動輪側液圧制御弁部の入力液圧に対する出力液圧特性線図である。
【図7】 同実施の形態における前輪制動力と後輪制動力との関係を示す図である。
【図8】 同実施の形態における制動指令値に対する前輪と後輪の制動力値を示す図である。
【図9】 同実施の形態における液圧制御装置の他の制動方法における制動指令値に対する前輪と後輪の制動力値を示す図である。
【図10】 前記実施の形態における液圧制御弁装置の従動輪側液圧制御弁装置の変形例の構成を示す概略断面図である。
【図11】 前記実施の形態における液圧制御弁装置の従動輪側液圧制御弁装置の更に他の変形例の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
2 前輪(従動輪)
4 後輪(駆動輪)
12 液圧制動手段(ドラムブレーキ)
14 液圧制動手段(ディスクブレーキ)
20 マスタシリンダ
22 液圧制御弁装置
28 圧力センサ
31 従動輪側液圧制御弁装置
32 駆動輪側液圧制御弁装置
33 増圧制御弁
34 液圧比例弁
37 比例ソレノイド
38 弁体
70 液圧制御弁部
71 液量消費部
72 差圧設定部
73 容積可変部
77 ステッピングモータ
94 差圧ピストン
97 設定ばね
101 プランジャ
102 プランジャストッパ
119 液圧補償ばね

Claims (11)

  1. マスタシリンダと、液圧制動及び回生制動可能な駆動輪における液圧制動手段との間に、回生制動時にマスタシリンダの液圧を回生制動力の負担分に対応した値に減圧して、出力させる液圧制御弁装置を備えた電気自動車用制動装置において、
    前記液圧制御弁装置に、マスタシリンダからの液量を消費させる液量消費部と、
    前記マスタシリンダのポートと連通する内孔に差圧ピストンを収納し、
    前記マスタシリンダからの液圧を受けてマスタシリンダの液圧に対応した反力を差圧ピストン位置に対応して発生させると共に、前記液量消費部にマスタシリンダの液圧から前記反力を減じた制御圧を発生させる差圧設定部と
    前記差圧設定部の内孔と連通する内孔にプランジャを設け、且つこのプランジャと内孔により形成される空間容積を可変可能状態に形成し、回生制動が行われてマスタシリンダの液圧が所定値以上に上昇したときにその空間容積量を可変することにより前記差圧設定部に連通する通路の液圧を制御し回生制動時の回生制動力を液圧制動力として発生させる際に消費される液量に相当する容積に制御する容積可変部と、
    前記差圧設定部により制御圧に基づきマスタシリンダからの液圧を液圧制動手段に送出する液圧制御弁部とを備えたことを特徴とする電気自動車用制動装置。
  2. 前記液量消費部は、前記マスタシリンダからの液圧を前側に受けて後退することにより消費液量を調節するピストンを有し、
    前記容積可変部は、前記プランジャと当接するプランジャストッパと、このプランジャストッパを進退自在にねじ結合して前記空間容量を可変する回転駆動部と、前記差圧設定部のマスタシリンダに連通する通路と空気抜けポートに連通する通路間を開閉して前記差圧ピストンを制御するポペット弁体を備える請求項1記載の電気自動車用制動装置。
  3. 前記回転駆動部は、ステッピングモータである請求項2記載の電気自動車用制動装置。
  4. 前記容量可変部は、前記ステッピングモータのトルクが消滅した時に前記プランジャストッパを前進位置に規制する液圧補償ばねを有する請求項3記載の電気自動車用制動装置。
  5. 前記マスタシリンダと液圧制動可能な従動輪における液圧制動手段との間には、回生制動力が前記従動輪の制動力をも負担した際に、マスタシリンダからの液圧がこの負担分に相当する液圧となるまで液圧制動手段への出力を遮断する従動輪側液圧制御弁装置が設けられており、前記容積可変部は、この負担分に相当する従動輪の液圧制動力に見合った液量を含めて前記液圧消費部の容積を確保する請求項1記載の電気自動車用制動装置。
  6. 前記差圧設定部は、マスタシリンダと容積可変部との間に設けられる差圧ピストンと、この差圧ピストンにマスタシリンダの液圧に対抗する反力を発生させる設定ばねとを有する請求項1記載の電気自動車用制動装置。
  7. 前記反力を発生させる設定ばねの付勢力Fを、液圧制御弁部の制御液圧受圧面積をSC、マスタシリンダ液圧をPM、液圧制御弁部の出力特性折れ点設定用制御液圧をPCとしたときF−SC×(PM−PC)>0とし、且つマスタシリンダの液圧が前記液圧制御弁部の出力特性折れ点に達したときマスタシリンダと液圧制動手段間の流路を閉じるように設定した請求項6記載の電気自動車用制動装置。
  8. 前記差圧設定部は、マスタシリンダと容積可変部との間に設けられる差圧ピストンと、この差圧ピストンにマスタシリンダの液圧に対抗する付勢力を発生させる設定ばねとを有し、この設定ばねは差圧ピストンの移動に伴う反力の変化割合を前記駆動車輪及び従動車輪の液圧制動手段の液量変化に伴う液圧の変化割合に近似させてある請求項5記載の電気自動車用制動装置。
  9. 前記液圧制御弁部は、前記入力液圧が前記液圧制動手段の無効ストロークを詰めるのに相当する値になるまで、前記マスタシリンダと液圧制動手段との間を連通させるものである請求項1記載の電気自動車用制動装置。
  10. 前記液圧制御弁部は、前記入力液圧が前記液圧制動手段の無効ストロークを詰めるのに相当する値に到達すると、前記制御圧を受けるまでの間、前記入力液圧の上昇に伴い、この入力液圧を所定割合に減圧して出力するものである請求項9記載の電気自動車用制動装置。
  11. マスタシリンダと液圧制動可能な従動輪における液圧制動手段との間、及びマスタシリンダと液圧制動及び回生制動可能な駆動輪の液圧制動手段との間に、回生制動時にこの制動力の駆動輪及び従動輪の負担割合に応じてそれぞれマスタシリンダと各液圧制動手段との間を遮断する液圧制御弁装置が設けられる電気自動車用制動装置において、
    前記液圧制御弁装置として、マスタシリンダと従動輪の液圧制動手段との間に、マスタシリンダからの入力液圧と従動輪の液圧制動手段への出力液圧との差圧に基づき開閉する弁体と、
    この弁体に閉弁付勢力を作用させる付勢手段と、を有する増圧制御弁を設け、
    この増圧制御弁は、前記マスタシリンダからの入力液圧が前記負担分に対応した値となるまでは、前記マスタシリンダと従動輪の液圧制動手段との間を遮断し、前記マスタシリンダからの入力液圧が前記値を超えた後は、前記マスタシリンダからの入力液圧の昇圧割合よりも高い割合で前記出力液圧を上昇させて、前記入力液圧と出力液圧とを一致させるものであり、更に液圧制御弁装置として、マスタシリンダと駆動輪の液圧制動手段との間に、マスタシリンダからの液量を消費させる液量消費部と、
    マスタシリンダからの液圧を受けてマスタシリンダの液圧に対応した反力を発生させるとともに前記液量消費部にマスタシリンダの液圧から前記反力を減じた制御圧を発生させる差圧設定部と
    この差圧設定部の内孔と連通する内孔にプランジャを設け、且つこのプランジャと内孔により形成される空間容積を可変可能状態に形成し、回生制動が行われてマスタシリンダの液圧が所定値以上に上昇したときにその空間容積量を可変するものであって、プランジャと当接するプランジャストッパと、このプランジャストッパを進退自在にねじ結合して前記空間容量を可変する回転駆動部と、前記差圧設定部のマスタシリンダに連通する通路と空気抜けポートに連通する通路間を開閉して前記差圧ピストンを制御するポペット弁体を備えた容積可変部と、
    前記制御圧を受けてマスタシリンダと液圧制動手段との間を連通させる液圧制御弁部とを設け、
    前記容積可変部は、回生制動力が前記従動輪の制動力を負担した際にこの負担分に相当する従動輪の液圧制動力に見合った液量を含めて前記液圧消費部の容積を確保するものであり、
    前記差圧設定部は、マスタシリンダと容積可変部との間に設けられる差圧ピストンと、
    この差圧ピストンにマスタシリンダの液圧に対抗する付勢力を発生させる設定ばねとを有し、この設定ばねは差圧ピストンの移動に伴う反力の変化を前記駆動車輪及び従動車輪の液圧制動手段の液量変化に伴う液圧の変化に対応させたものである電気自動車用制動装置。
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