JP3932770B2 - シート厚さ計測装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に関連し、より詳しくは、そのような画像形成装置に使用されるシートの厚みを検知する検知装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、搬送されるシートの厚さを計測し、一定厚さ以上のシートへの画像形成を禁止したり、シートの厚さに応じて定着温度や現像バイアスなどを変更することなどが行われている。
【0003】
そして、シートの厚さを計測するための技術として、例えば特開平9−134106号公報には、シートを挟持して搬送する搬送ロール対のローラ間隔を計測することにより、その厚さを計測する技術が開示されている。また、例えば特開平3−95339号公報には、シートがガイド部材を通過する際の反力をガイド部材に連接した圧電素子により測定する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば特開平9−134106号公報に開示されている技術では、シート一枚分の厚みの変動を検知できる高精度のセンサが必要であるとともに、使用する搬送ロール対の各ロールの精度、組み立て精度も非常に高いものが求められる。また、特開平3−95339号公報に開示されている技術では、圧電素子、複雑なリンク機構及びスペースが必要になる。すなわち、いずれの技術でも検知装置が複雑、高価になりがちであるという問題点がある。
【0005】
本発明はこのような従来のシート厚さ計測に関する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は比較的簡易な構成によりシートの厚みを計測することができるシート厚さ計測装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、シートを所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、その搬送経路上に所定間隔で設けられそれぞれ搬送されるシートの存在を検知する上流側検知手段及び下流側検知手段と、それら両検知手段間の搬送経路上に設けられ、搬送されるシートの剛性によりそれぞれ異なる搬送経路長となるよう搬送経路を変更する経路長変更手段と、両検知手段によりシートの存在が検知されるタイミングに基づいてそのシートの厚さを判断する判断手段とを備え、上記経路長変更手段は可動シュートとその回転軸とにより構成され、前記可動シュートの搬送方向上流側と下流側にはそれぞれシートの搬送経路を形成する外側シュートと内側シュートとが設けられており、前記可動シュートに対する上流側搬送経路と下流側搬送経路とは略90度の角度をなし、シートが前記可動シュートに衝突するとそのシートの剛性により前記可動シュートは前記回転軸を中心に揺動し、シートは前記可動シュートの表面に沿って搬送されることを特徴とするシート厚さ計測装置である(請求項1)。
【0007】
図1は、この発明の概念を説明するものである。同図において点線はシートSの搬送経路を示す。ここで経路長変更手段により搬送されるシートSはその厚みに対応した搬送経路長をとる。例えば、上流側検知手段から下流側検知手段までの搬送経路PLとPHとが互いに異なる搬送経路長であるとして、比較的薄いシートSLの搬送経路はPLを、比較的厚いシートSHの搬送経路はPHとなるようにそれぞれ変更される。
【0008】
一方、搬送手段により所定速度で搬送されるシートSは、搬送経路PL、PHのいずれをとるかにより両検知手段による検知タイミングが異なる。すなわち、両検知手段間の搬送経路長が長い場合には両検知手段による検知タイミングの間隔が広くなり、両検知手段間の搬送経路長が短い場合には両検知手段による検知タイミングの間隔が狭くなる。結果として、この検知タイミングに基づいて、搬送されるシートSの厚さを間接的に計測することができる。
【0009】
なお、上記回転軸は、(1)衝突してくるシートの厚みが一定値以上であるときのみシュート部材を揺動させるものでもよいし、(2)衝突してくるシートの厚みに応じてそのシュート部材を多段階的に揺動させるものでもよいし、(3)衝突してくるシートの厚みに応じてそのシュート部材を連続的に揺動させるものでもよい。
【0010】
さらにそのシュート部材の設置位置は、当該シュート部材に対する上流側搬送経路と下流側搬送経路とが所定角度θをなす位置に設けることが好ましく、その角度θは60度程度、さらに好ましくは90度である。このような位置にシュート部材を設置すると、搬送されるシートがシュート部材に衝突しやすく、またシュート部材の表面に沿って搬送されやすくすることができる。なお、シュート部材の上流側搬送経路と下流側搬送経路とのなす角度が90度になる画像形成装置中の位置としては、例えば、水平に設置される記録シートトレイから垂直方向に記録シートが搬送される部分、垂直方向に搬送される記録シートが水平方向に方向転換される部分などが挙げられる。
【0011】
また判断手段は、両検知手段によりシートの存在が検知されるタイミングに基づいてそのシートの厚みを判断するものであるが、そのより具体的な態様としては、(1)予め設定されるタイミングと両検知手段により検知されるタイミングとに基づいてそのシートの厚みを判断するものでもよいし(請求項2)、(2)先行するシートが検知されるタイミングと後続のシートが検知されるタイミングとに基づいて後続のシートの厚みを判断するものでもよい(請求項3)。
【0012】
ところで、このようなシート厚さ計測装置を複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に適用することもできる。すなわち、これらのシート厚さ計測装置適用し、当該シート厚さ計測装置により計測される記録シートの厚みに基づいてその記録シートの適否を判断し、(1)画像形成動作の中止、(2)ユーザへの通知、(3)画像形成パラメータの変更のうち、少なくとも一つを行い得る制御手段を有する画像形成装置としてもよい(請求項4)。
【0013】
ここで画像形成動作の中止とは、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、定着などの各電子写真画像形成プロセスの中止の他、記録シートの搬送の中止なども含む。またユーザへの通知とは、その画像形成装置が備えるユーザインタフェイス(液晶パネル、警告ランプなど)を介して、記録シートが不適である旨等をユーザに通知することである。さらに画像形成パラメータとは、例えば定着温度や転写バイアスなどをいい、その変更とは、記録シートの厚さに適合するようにその画像形成パラメータを変更することである。なお、このシート厚さ計測装置は画像形成装置以外にも使用することができるのは勿論である。
【0014】
【発明の実施による態様】
以下、本発明の実施による態様を適宜図面を参照しつつ説明する。
【0015】
◎実施例
図2は、実施例1に係るシート厚さ計測装置を備えるプリンタ(画像形成装置)200の断面概略図を示すものである。まずこのプリンタ200の構成を簡単に説明する。画像形成部として各色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)毎の感光体ドラム60K〜C、各転写ロール64K〜C、定着ロール対67などを備えている。ここで、各転写ロール64K〜Cはそれぞれ印加されるバイアス電圧の直流成分が変更可能に構成されている。また、定着ロール対67の定着温度も変更可能に構成されている。なお、各感光体ドラム60の周囲にはそれぞれ帯電装置、露光装置、現像装置、クリーニング装置が設けられる(転写ロール64以外いずれも図示せず)。
【0016】
また搬送部(搬送手段)として、各記録シートトレイ66a、bから排出ロール対19まで、ナジャーロール11a、b、フィードロール12a、b、搬送ロール対13a、b、プレレジストロール対14、レジストロール対15、ベルト搬送装置などを備えている。なお、ベルト搬送装置は、搬送ベルト16、その搬送ベルト17を張架する駆動ロール17及び張架ロール18a〜cなどにより構成される。
【0017】
次にこのプリンタ200のフルカラー画像形成動作を簡単に説明する。画像形成部は、コンピュータ(図示せず)などからの画像形成命令に基づいて、回転駆動される各感光体ドラム60K〜C上に各色のトナー像を形成する。すなわち、回転駆動される感光体ドラム60表面は、帯電装置により一様に帯電され(帯電工程)、コンピュータからの画像形成命令を処理した画像信号に基づいて露光装置によりレーザー光が照射され、電位差による潜像が形成される(露光工程)。その感光体ドラム60表面の潜像に対して現像装置により選択的にトナーが付与される(現像工程)。
【0018】
一方、搬送部は、画像形成部がトナー像を形成するタイミングに同期して、所望のサイズの記録シートSが収容されている記録シートトレイ66から、一枚ずつ記録シートSを搬送し、その表面にフルカラートナー像を保持した記録シートSをプリンタ200から排出する。すなわち、記録シートトレイ66に収容されている状態からナジャーロール11により一枚ずつ記録シートSが取り出される。その記録シートSはフィードロール12から、搬送ロール対13、プレレジストロール対14、レジストロール対15へと順次搬送される。そして、それまで停止しているレジストロール対15が所定のタイミングで回転を開始することにより、各感光体ドラム60K〜C上の各色トナー像と搬送ベルト16上を搬送される記録シートSとのタイミングの同期がとられ、搬送される記録シートS上にはブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色トナーが各転写ロール64K〜Cの働きにより、静電的に重ね合わされながら転写される。
【0019】
ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色トナーによるフルカラートナー像をその表面に保持する記録シートSは、その後、定着ロール対67に達し、両ロール間のニップ部分を通過する際に両ニップから熱と圧力の作用を受け、保持しているフルカラートナー像は永久像として記録シートS上に定着される。そして、排出ロール対19によりプリンタ200から排出する。なお、図2中の点線Pで示す部分は記録シートSの搬送経路である。
【0020】
ところで本実施例では、搬送される記録シートSの厚さを簡易に計測するため、次のような構成を採用し、次のような動作を行う。
【0021】
すなわち、各フィードロール12a、bと搬送ロール対13a、bとの間に、記録シートSの有無を検知するシートセンサ21a、b、22a、bを備えている。ここで、記録シートSの搬送方向上流側のものを第一シートセンサ(上流側検知手段)21a、b、搬送方向下流側のものを第二シートセンサ(下流側検知手段)22a、bという。またこれら第一シートセンサ21、第二シートセンサ22間に搬送される記録シートSの厚さによりそれぞれ異なる搬送経路長となるよう搬送経路を変更する経路長変更手段を備えている。
【0022】
図3は、フィードロール12aと搬送ロール対13aの間の記録シートSの搬送経路をより詳細に示したものである。同図に示すように、経路長変更手段は可動シュート(シュート部材)30、とその回転軸(揺動保持部材)31とにより構成されている。また、この可動シュート30の搬送方向上流側と下流側にはそれぞれ記録シートSの搬送経路を形成する外側シュート10aと、内側シュート10bとが設けられており、可動シュート30に対する上流側搬送経路と下流側搬送経路とは略90度の角度をなしている。なお、同図においてこのシュート30を挟んで存在する第一シートセンサ21a、第二シートセンサ22aは図示していない。
【0023】
記録シートSが用紙シュート30に衝突するとその記録シートSの厚さ(剛性)により用紙シュート30は回転軸31を中心に揺動し、記録シートSはその用紙シュート30の表面に沿って搬送される。そして、記録シートSの厚さにより搬送経路がそれぞれ異なり、搬送経路長も変化する。
【0024】
ここで図3(a)は、比較的薄い(剛性の低い)記録シートSLが搬送される場合の搬送経路PL及びその際の用紙シュート30の揺動を説明するものである。この記録シートSLは、その剛性が低いため、外側シュート10aの形状に沿って変形しつつ搬送され、用紙シュート30にはほとんど接触しない。また、用紙シュート30に接触してもそれを揺動させるまでには至らない。
【0025】
一方、図3(b)は、比較的厚い(剛性の高い)記録シートSを搬送する場合の搬送経路PH及びその際の用紙シュート30の揺動を説明するものである。この記録シートSHは、その剛性が高いため、外側シュート10aに衝突しても変形しにくく、逆に用紙シュート30を付勢し、用紙シュート30をその回転軸31の弾性に抗して揺動させる。したがって、用紙シュート30の揺動の分だけ、搬送経路PLの経路長は搬送経路PHの経路長よりも長くなる。
【0026】
図4は、本実施例に係る記録シート厚さ計測装置100、及びプリンタ200の制御系をブロック図を用いて説明するものである。同図に示すようにこの制御系は、計測手段としての記録シート厚さ計測装置100、制御手段としての複写機200の主制御部50、制御対象としての画像形成部6、ユーザインタフェイス51、搬送部1により構成されている。
【0027】
ここで記録シート厚さ計測装置100は、駆動部1、第一センサ21、第二センサ22、判断部(判断手段)4を備えている。主制御部50には図示しない入出力部、記憶部、演算制御部などを備えている。また画像形成部6は、定着ロール対67、転写ロール64、さらに定着ロールの表面温度を制御する定着ヒータードライバ67D、転写ロール64への印加バイアス電圧の直流成分を制御する電源ドライバ64Dを備える。さらにユーザインタフェイス51は、プリンタ200に備えられる液晶パネルである。なお、判断部4と主制御部50とを一体的に構成してもよい。
【0028】
図5は、この判断部4、主制御部50が予め記憶している判断テーブル及び制御テーブルである。判断部4は、到達時間と記録シート種類との関係を示す判断テーブルを予め記憶している。ここで到達時間とは搬送される記録シートSが第一センサ21により検知されてから第二センサ22により検知されるまでの時間をいい、閾値t1、t2(t1<t2)を設けて、3つの範囲を規定している。また、その3つの範囲に対応し記録シートSの種類も、厚いSH、普通SM、薄いSLの3種類が記憶されている。なお、これら到達時間と記録シート種類との関係は、実験的に求められるものである。
【0029】
主制御部50は、記録シートの種類と定着温度(画像形成パラメータ)、転写バイアス(画像形成パラメータ)の関係を示す制御テーブルを予め記憶している。ここで定着温度とは、各記録シートSの種類に応じた適切な定着温度をいい、温度TH、温度TM、温度TL(TH>TM>TL)の三種類が記憶されている。また転写バイアスも、各記録シートSの種類に応じた適切な転写バイアス電圧(直流成分)をいい、電圧VH、電圧VM、電圧VL(|VH|>|VM|>|VL|)の三種類が記憶されている。
【0030】
以下、このような制御系の動作について、搬送される記録シートSが薄いSL、厚いSH、普通SMの場合に分けて説明する。
【0031】
○搬送される記録シートSが薄い(SL)場合
その記録シートSが記録シートトレイ66から搬送され、第一センサ21に達する。すると、第一センサ21から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第一センサ21からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを開始する。その後、記録シートSは上述の図3(a)の比較的長い搬送経路PLを通り、第二センサ22に達する。すると、第二センサ22から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第二センサ22からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを終了する。
【0032】
判断部4は、そのカウントされた到達時間tと予め記憶している判断テーブル(図5参照)とに基づいてその記録シートSの種類を判断する。この記録シートSは比較的長い搬送経路PLを通っているため、到達時間tは長く、t2≦tの関係にある。したがって、判断部4はこの記録シートSが比較的薄い(SL)と判断し、その記録シート種類情報(SL)を主制御部50へと送信する。
【0033】
その記録シート種類情報(SL)を受信した主制御部50は、その記録シート種類情報(SL)と予め記憶している制御テーブル(図5参照)とに基づいて、その記録シートSに適した定着温度と転写バイアスとを選択し、それらに基づいて画像形成部6を制御する。ここでは、比較的薄い記録シートSLに適した定着温度として温度TLが、転写バイアスとして電圧VLがそれぞれ主制御部50により選択され、主制御部50が各ドライバ67D、64Dへ制御命令を送信することにより、定着ロール対67の熱源、転写ロール64の電源を制御する。
【0034】
したがって、その後各色のトナー像がこの記録シートSLに転写される際に、それぞれの転写ロール64K〜Cに印加される転写バイアスが記録シートSLの厚さに対して適切であるため、良好な転写を実現することができる。また、フルカラーのトナー像を保持したこの記録シートシートSLが定着される際に、定着ロール対67の温度が記録シートSLの厚さに対して適切であるため、良好な定着と無駄な消費電力の防止を実現することができる。
【0035】
○搬送される記録シートSが厚い(SH)場合
その記録シートSが記録シートトレイ66から搬送され、第一センサ21に達する。すると、第一センサ21から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第一センサ21からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを開始する。その後、記録シートSは上述の図3(b)の比較的短い搬送経路PHを通り、第二センサ22に達する。すると、第二センサ22から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第二センサ22からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを終了する。
【0036】
判断部4は、そのカウントされた到達時間tと予め記憶している判断テーブル(図5参照)とに基づいてその記録シートSの種類を判断する。この記録シートSは比較的短い搬送経路PHを通っているため、到達時間tは長く、t<t1の関係にある。したがって、判断部4はこの記録シートSが比較的厚い(SH)と判断し、その記録シート種類情報(SH)を主制御部50へと送信する。
【0037】
その記録シート種類情報(SH)を受信した主制御部50は、その記録シート種類情報(SH)と予め記憶している制御テーブル(図5参照)とに基づいて、その記録シートSに適した定着温度と転写バイアスとを選択し、それらに基づいて画像形成部6を制御する。ここでは、比較的厚い記録シートSHに適した定着温度として温度THが、転写バイアスとして電圧VHがそれぞれ主制御部50により選択され、主制御部50が各ドライバ67D、64Dへ制御命令を送信することにより、定着ロール対67の熱源、転写ロール64の電源を制御する。
【0038】
したがって、その後各色のトナー像がこの記録シートSHに転写される際に、それぞれの転写ロール64K〜Cに印加される転写バイアスが記録シートSHの厚さに対して適切であるため、良好な転写を実現することができる。また、フルカラーのトナー像を保持したこの記録シートシートSHが定着される際に、定着ロール対67の温度が記録シートSHの厚さに対して適切であるため、良好な定着を実現することができる。
【0039】
○搬送される記録シートSが普通(SM)場合
その記録シートSが記録シートトレイ66から搬送され、第一センサ21に達する。すると、第一センサ21から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第一センサ21からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを開始する。その後、記録シートSは上述の図3(a)と図3(b)の中間、中庸な搬送経路を通り、第二センサ22に達する。すると、第二センサ22から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第二センサ22からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを終了する。
【0040】
判断部4は、そのカウントされた到達時間tと予め記憶している判断テーブル(図5参照)とに基づいてその記録シートSの種類を判断する。この記録シートSは中庸な搬送経路Pを通っているため、到達時間tは、t1≦t<t2の関係にある。したがって、判断部4はこの記録シートSが普通である(SM)と判断し、その記録シート種類情報(SM)を主制御部50へと送信する。
【0041】
その記録シート種類情報(SM)を受信した主制御部50は、その記録シート種類情報(SM)と予め記憶している制御テーブル(図5参照)とに基づいて、その記録シートSに適した定着温度と転写バイアスとを選択し、それらに基づいて画像形成部6を制御する。ここでは、普通の厚さの記録シートSMに適した定着温度として温度TMが、転写バイアスとして電圧VMがそれぞれ主制御部50により選択され、主制御部50が各ドライバ67D、64Dへ制御命令を送信することにより、定着ロール対67の熱源、転写ロール64の電源を制御する。
【0042】
したがって、その後各色のトナー像がこの記録シートSMに転写される際に、それぞれの転写ロール64K〜Cに印加される転写バイアスが記録シートSMの厚さに対して適切であるため、良好な転写を実現することができる。また、フルカラーのトナー像を保持したこの記録シートシートSMが定着される際に、定着ロール対67の温度が記録シートSMの厚さに対して適切であるため、良好な定着と無駄な消費電力の防止を実現することができる。
【0043】
このように、本実施例では比較的簡易な構成により記録シートの厚みを計測することができ、その結果を画像形成制御に利用することができる。特に、画像形成装置が本実施例で示したようなプリンタ200である場合には、ユーザが画像形成指示を行うパソコンと、プリンタ200とが物理的に離れている場合が多く、ユーザの意図と記録シートトレイ66中に収容されている記録シートの種類とが異なることがしばしば生じがちであるため、本発明を適用する効果は大きい。
【0044】
◎変形例1
実施例では、予め判断テーブルに記憶される到達時間と第一及び第二センサ21、22により検知される到達時間とに基づいてその記録シートSシートの厚さを判断するものであるが、本変形例のように先行する記録シートの到達時間と後続のシートの到達時間とに基づいて後続のシートの厚さを判断することもできる。
【0045】
以下、この変形例に係る記録シート厚さ計測装置100及びプリンタ200の動作を説明する。
【0046】
ある記録シートS(i)が記録シートトレイ66から搬送され、第一センサ21に達する。すると、第一センサ21から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第一センサ21からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを開始する。その後、記録シートSは上述の図3(a)と図3(b)の中間、中庸な搬送経路を通り、第二センサ22に達する。すると、第二センサ22から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第二センサ22からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを終了する。その記録シートS(i)の到達時間t(i)を判断部4は基準到達時間Tとして記憶する。
【0047】
後続の記録シートS(i+1)が記録シートトレイ66から搬送され、第一センサ21に達する。すると、第一センサ21から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第一センサ21からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを開始する。その後、記録シートSは上述の図3(a)と図3(b)の中間、中庸な搬送経路を通り、第二センサ22に達する。すると、第二センサ22から検知信号が判断部4へ送信される。判断部4は第二センサ22からの検知信号を受信すると、到達時間tのカウントを終了する。
【0048】
その記録シートS(i+1)の到達時間t(i+1)と基準到達時間T(=先行する記録シートs(i)の到達時間t(i))とを比較し、α(>0)をマージンとして、T−α<t(i+1)<T+αの場合には判断部4は後続の記録シートS(i+1)が適切であると判断し、基準到達時間Tをt(i)からt(i+1)へ更新する(なんら主制御部へ信号を送信しない)。
【0049】
一方、t(i+1)≦T−αの場合又はT+α≦t(i+1)には、判断部は後続の記録シートS(i+1)が不適切である(厚すぎる、又は薄すぎる)と判断し、主制御部50へその旨の信号を送信する。すると、主制御部50は画像形成部6、搬送部1へ画像形成を中止するような制御命令を送信して画像形成を中止させる共に、ユーザインタフェイス51へその旨の表示をするように制御命令を送信して液晶ディスプレイ上にその旨を表示させる。
【0050】
このような制御を行うこともできる。なお、他のプリンタ200、記録シート厚さ計測装置100の構成及び動作は実施例に示したものと実質的に同様であるのでその説明は省略する。
【0051】
◎変形例2
実施例では、可動シュート30は搬送経路の内側に存在しているが、本変形例のように搬送経路の外側に存在するものでもよい。
【0052】
図6は、本変形例におけるフィードロール12aと搬送ロール対13aの間の記録シートSの搬送経路をより詳細に示したものである。同図に示すように、経路長変更手段は可動シュート(シュート部材)30、とその回転軸(揺動保持部材)31とにより構成されている。また、この可動シュート30の搬送方向上流側と下流側にはそれぞれ記録シートSの搬送経路を形成する外側シュート10aと、内側シュート10bとが設けられており、可動シュート30に対する上流側搬送経路と下流側搬送経路とは略90度の角度をなしている。
【0053】
記録シートSが用紙シュート30に衝突するとその記録シートSの厚さ(剛性)により用紙シュート30は回転軸31を中心に揺動し、記録シートSはその用紙シュート30の表面に沿って搬送される。そして、記録シートSの厚さにより搬送経路がそれぞれ異なり、搬送経路長も変化する。
【0054】
ここで図6(a)は、比較的薄い(剛性の低い)記録シートSLが搬送される場合の搬送経路PL及びその際の用紙シュート30の揺動を説明するものである。この記録シートSLは、その剛性が低いため、用紙シュート30の形状に沿って変形しつつ搬送され、内側シュート10bにはほとんど接触しない。
【0055】
一方、図6(b)は、比較的厚い(剛性の高い)記録シートSを搬送する場合の搬送経路PH及びその際の用紙シュート30の揺動を説明するものである。この記録シートSHは、その剛性が高いため、用紙シュート30に衝突して用紙シュート30をその回転軸31の弾性に抗して揺動させる。したがって、用紙シュート30の揺動の分だけ、搬送経路PHの経路長は搬送経路PLの経路長よりも長くなる。
【0056】
このような経路長変更手段の構成を採用することもできる。なお、判断部4が予め記憶する判断テーブルなどを変更する必要がある点などを除き、その他プリンタ200、記録シート厚さ計測装置100の構成及び動作は実施例に示したものと実質的に同様であるのでその説明は省略する。
【0057】
◎変形例3
実施例では、第一センサ21、第二センサ22の位置は各記録シートトレイ66a、bの周辺に設けられているが、本変形例のようにより搬送経路の下流側に設けられるものでもよい。
【0058】
図7は、本変形例に係るシート厚さ計測装置100を備えるプリンタ200の断面概略図を示すものである。第一センサ21はプレレジストロール対14の近傍に、第二センサ22はレジストロール対15の近傍に設けられている。なお、判断部4が予め記憶する判断テーブルなどを変更する必要がある点などを除き、その他プリンタ200、記録シート厚さ計測装置100の構成及び動作は実施例に示したものと実質的に同様であるのでその説明は省略する。
【0059】
◎実験例
本発明者は、本発明を完成させるために数々の実験を行っているが、ここではその一部として、▲1▼記録シートの厚さを到達時間との関係を確認する実験、▲2▼記録シートの厚さと搬送力の関係を確認する実験を紹介する。
【0060】
まず、前者▲1▼の実験であるが、記録シートとしてその坪量が104〔g/m2〕、127〔g/m2〕、160〔g/m2〕の三種類の記録シートを用意し、それらを実施例にかかる記録シート厚さ測定装置及びプリンタ装置で使用し、各記録シートが第一センサから第二センサに至るまでの時間、すなわち到達時間tを測定した。図8は、この実験結果を説明するグラフである。横軸に坪量〔g/m2〕を、縦軸に到達時間〔msec〕をとっている。同グラフに示すように、秤量が大きいほど(記録シートが厚いほど)到達時間tが短くなっていることが確認される。
【0061】
次に、後者▲2▼の実験であるが、記録シートとしてその重さが56〔gsm〕、64〔gsm〕、128〔gsm〕、157〔gsm〕、200〔gsm〕の5種類の記録シートを用意し、それらを実施例にかかる記録シート厚さ測定装置及びプリンタ装置で使用し、各記録シートごとの搬送力〔N〕の変化を搬送距離〔mm〕ごとに記録した。図9は、この実験結果を説明するグラフである。横軸に搬送距離〔mm〕を、縦軸に搬送力〔N〕をとっている。同グラフに示すように、記録シートが重いほど(記録シートが厚いほど)、大きな搬送力が必要であるがことが確認される。また同グラフの搬送距離A部分は、いずれの記録シートでも搬送力が低下しているが、これはシュートの形状によるものである。つまり、実際には図3に示した外側シュート10aの一部は、記録シートトレイ66bからの記録シートの搬送経路と合流する部分で欠損しており、かかる部分に記録シートが達すると搬送力が低下するためである。
【0062】
また、このグラフから適切な回転軸31の回転弾性抵抗値を得ることもできる。例えば、157〔gsm〕の記録シートと200〔gsm〕の記録シートとを峻別するためには、用紙シュート30に5〔N〕程度の搬送力が加わると揺動するように回転軸31の回転弾性抵抗値を設定することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、比較的簡易な構成によりシートの厚みを計測することができるシート厚さ計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の概念を説明するものである。
【図2】図2は、実施例に係る記録シート厚さ計測装置を備えるプリンタの断面概略図である。
【図3】図3は、実施例に係る記録シート厚さ計測装置の経路長変更手段の具体的構成を説明するものである。
【図4】図4は、実施例に係る記録シート厚さ計測装置及びプリンタの制御系を示すブロック図である。
【図5】図5は、判断テーブル及び制御テーブルである。
【図6】図6は、変形例2に係る記録シート厚さ計測装置の経路長変更手段の具体的構成を説明するものである。
【図7】図7は、変形例3に係る記録シート厚さ計測装置100を備えるプリンタ200の断面概略図である。
【図8】図8は、実験の結果を示すグラフである。
【図9】図9は、実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…搬送部(搬送手段)、21…第一センサ(上流側検知手段)、22…第二センサ(下流側検知手段)、30…用紙シュート(シュート部材、経路長変更手段)、31…回転軸(揺動保持部材、経路長変更手段)、4…判断部(判断手段)、50…主制御部、51…ユーザインタフェイス、6…画像形成部、64…定着ロール対、67…転写ロール
Claims (4)
- シートを所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、その搬送経路上に所定間隔で設けられそれぞれ搬送されるシートの存在を検知する上流側検知手段及び下流側検知手段と、それら両検知手段間の搬送経路上に設けられ、搬送されるシートの剛性によりそれぞれ異なる搬送経路長となるよう搬送経路を変更する経路長変更手段と、両検知手段によりシートの存在が検知されるタイミングに基づいてそのシートの厚さを判断する判断手段とを備え、
上記経路長変更手段は可動シュートとその回転軸とにより構成され、前記可動シュートの搬送方向上流側と下流側にはそれぞれシートの搬送経路を形成する外側シュートと内側シュートとが設けられており、前記可動シュートに対する上流側搬送経路と下流側搬送経路とは略90度の角度をなし、シートが前記可動シュートに衝突するとそのシートの剛性により前記可動シュートは前記回転軸を中心に揺動し、シートは前記可動シュートの表面に沿って搬送されることを特徴とするシート厚さ計測装置。 - 上記判断手段は、予め設定されるタイミングと両検知手段により検知されるタイミングとに基づいてそのシートの厚さを判断する請求項1に記載のシート厚さ計測装置。
- 上記判断手段は、先行するシートが検知されるタイミングと後続のシートが検知されるタイミングとに基づいて後続のシートの厚さを判断する請求項1に記載のシート厚さ計測装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のシート厚さ計測装置を備える画像形成装置において、当該シート厚さ計測装置により計測される記録シートの厚みに基づいてその記録シートの適否を判断し、(1)画像形成動作の中止、(2)ユーザへの通知、(3)画像形成パラメータの変更のうち、少なくとも一つを行い得る制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。」
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