JP3932205B2 - 電磁波遮断ネット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、携帯電話機のような通信機器、パーソナルコンピュータのような電子機器、テレビジョン,洗濯機,乾燥機等の家庭電化製品から発生する電波,マイクロ波(極超短波)等の電磁波を遮断する電磁波遮断ネット、及び電磁波遮断ネットを用いた電磁波遮断材に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、携帯電話機は800MHz〜1.5GHzの高周波電磁波を放射している。最近、この電磁波によって医療機器が誤作動したり、心臓のペースメーカが故障したりする事故が社会問題となっている。また、講演会場や会議室等携帯電話の呼び出しが好ましくない場所への電波の遮断方法にも有効なものが無かった。
【0003】
また、コンピュータで制御されている自動車、飛行機等の中での携帯電話機の使用により、コンピュータが誤作動して大きな事故につながる危険性がある。さらに、自動車のエンジンが発生する電磁波がコンピュータの誤作動の原因となる可能性もある。逆に、車内に持ち込んだ電子機器が発生するノイズにより自動車のコンピュータ制御系に誤動作を起こさせる危険性もある。
【0004】
また、内部が外から視認できるような電子機器の電磁波シールドケースのニーズがいろいろあるが、内部が容易に視認できて、しかも簡単に作れて安価なシールドケースのボードが存在しなかった。
【0005】
さらに、身の回りの家庭電化製品のほとんどが電磁波の発生源であるが、高周波電磁波が人体の細胞、又は免疫システムに害を及ぼす危険性が問題視され、その研究が開始されている。
【0006】
このような有害な電磁波を防ぐ製品として、従来ポリエステルにニッケルをコーティングした生地、金属繊維の生地等を用いたOAエプロン、透明な硬質プラスチック性のVDT(Video Display Terminal)フィルタ等が販売されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、携帯電話機のような携帯型電子機器が放射する電磁波を遮断するには、電子機器を、電磁波遮断効果を有するケースに収納すればよい。しかし、このケースの素材に、上述のようなOAエプロン用の生地を用いた場合、携帯型電子機器は手に持つ機会が多いので汚れがつきやすい上に汚れが目立ちやすく、素材が薄手であるので形が崩れやすい等、使用感が悪い。
【0008】
また、電子機器のスイッチ、キー等の操作部分及びディスプレイ等の表示部分は、ケースの外から、その位置、機能、表示内容等を視認できることが必要条件であるので、これらの部分を覆うケース部分に透明な素材を用いる必要がある。しかし、スイッチ、キー等の操作部分に、上述のVDTフィルタに用いられているような透明な硬質プラスチックを用いた場合、ケースの外からスイッチ、キー等を操作することができないので電子機器の操作性を損なう。
【0009】
また、マイクロオーダーの金属繊維素材で生地を織るには特殊な織機が必要であるので生地が高価になってしまう。従って、洗濯機、乾燥機等の大型の家庭電化製品のように電磁波を遮断すべき面積が広くなると、電磁波の遮断に要するコストが高くなる。
【0010】
このコストの問題を解決するには、生地をメッシュ状に粗く織って金属繊維素材の使用量を削減することが考えられるが、織りを粗くした場合、金属繊維が縦横に動くので目くずれを起こす。従って、電磁波の遮断効果が充分に得られることが実験的にわかっている1.5mmの目の粗さが維持できない。
【0011】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、導電性を有する繊維素材が、編目の粗さが1.5mm以下のメッシュ状に編まれていることにより、トリコット編み機のような一般的な編み機で編むことが可能であって使用する繊維素材の分量も少なく、大型の家庭電化製品のように電磁波を遮断する面積が広い場合でもコストが低く、また編み目の縦横の繊維素材が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持され、さらに編目の交差部分で絡み合った繊維素材同士の導電により電磁波の反射量・吸収量が大きくなり、電磁波の遮断効果が高い電磁波遮断ネットを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は導電性を有する繊維素材に縒りがかけられていることにより、導電性を有する繊維素材がコイル状になって表面積が増加して電磁波の反射量・吸収量が増加し、電磁波の遮断効果が高い電磁波遮断ネット及び電磁波遮断材を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電磁波遮断ネットは、それぞれ導電性を有する糸同士複数本を縒り合わせて縒り糸とし、該縒り糸を用いてネット状に織ったものである。
また、この発明に係る電磁波遮断ネットは、導電性を有する糸を縒り糸とし、該縒り糸を用いてトリコット編みでネット状の繊維を織ったものである。
【0017】
前記導電性を有する糸がナイロン糸に銀メッキしたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例について図を参照して説明する。
図1(a)は本発明の電磁波遮断ネットの拡大図である。この電磁波遮断ネット2は、金属繊維(ナイロンやその他の繊維に銀、銅、ニッケル等導電性の高い金属をメッキしたもの)やカーボン繊維等の導電性を有する繊維素材を2本一緒に撚り合わせることにより図1(b)のように撚糸1を作り、その撚糸1を3本使ってトリコット状に編んだものである。そのネットの粗さは、充分な電磁波遮断効果が得られることが実験的にわかっている1.5mm以下であって、マイクロ波帯の電磁波を効率的に遮断するものである。
【0019】
繊維素材は撚糸にすることにより強度が増し、通常のトリコット編み機で加工が可能である。通常のトリコット編み機で上記加工が可能となることにより新たな設備が必要でなく、特殊な織機や編み機を使ったものに比較して、格段に安いコストで上記ネットを織り上げることができる。また、粗めのネットなので布状の導電性繊維に比較してコストの高い導電性繊維素材(糸)の使用量も少なくてすみ、さらに低コストで製造できるものである。
【0020】
そして、トリコット編みは三本糸で編む点で一本の糸で編む綾織りやニットとは基本的に異なるものであり、三本で編んで六角形状の網目が形成され、生地を固定化させる効果がある。すなわち、トリコット状に編むことにより編み目の縦横の繊維が互いに相手を拘束し、そのため上記目の粗さが一定に維持され編み目のくずれを起こさない。従って、伸縮により編み目が拡大して導電性(シールド効果)が低下することを防止できる。
【0021】
さらに、トリコット編みのネットは図に見られるように個々の升が略6角形状であり、また編み目の交差部分で絡み合った繊維同士の膨らみが電磁波の反射・吸収効果を増し、通常の縦横型のネットより電磁波遮断効果が大きい。すなわち、撚糸にすることで導電性繊維素材(糸)が螺旋状に絡み合い、面積当たりの質量が増加して電磁波遮断効果が高まり、また、上記導電性繊維素材(糸)の螺旋構造が電磁波の吸収効果すらあるという研究報告もなされている。
【0022】
この素材は導電金属のもつ電磁波遮断効果と繊維のもつしなやかさや加工のし易さを兼ね備えている。また、上記粗めの目は透視性も備えている。これらの数々の利点からこの素材の汎用性が非常に高く、後述するような各種の2次素材や製品に応用ができるものである。
【0023】
なお、上記撚糸は2本共前記導電性繊維素材(糸)を用いることが好ましいが、目崩れのしないトリコット編みの場合は、各升目が1.5mm以内に収まっているのでコストの点から1本のみを導電性素材を用い、他の1本は通常の非導電性素材(例えば、ナイロン糸)を用いても性能的にそれほど見劣りがしないので該構成を用いることができる。逆に、両方共導電性素材(糸)を用いて撚糸とした場合は、電磁波遮断効果が大きいので多少目崩れのする他の編み方でネットを編んでもよい。
【0024】
また、上記導電性素材(糸)は、ナイロン糸に銀メッキしたものが好適である。該素材は、比抵抗が0.05Ω/sq. 以下であって、導電性ゴムより導電性が高い。従って、該素材はスイッチ素子の接触部分にも用いることができるものである。
【0025】
この発明の電磁波遮断ネットの電磁波遮断率の実験結果を図10,図11に示す。測定は、図12の装置を使ってペンシルベニア大学で行われ、その実験条件等は以下の表1に示される。なお、表1において、MGネットとは、この発明の電磁波遮断ネットの商品名である。
【0026】
【表1】
【0027】
図10及び図11は、図12の装置において電磁波吸収率及び透過減衰率を測定したものである。フリースペースに対して、本発明の電磁波遮断ネットを置いた場合に透過減衰量がどの位に成るかが測定され、上記電磁波遮断ネットのシールド効果が評価される。また、透過減衰率と上記ネットの反射係数との合計の残りの部分を計算することにより該ネットの電磁波吸収率が計算される。図より、本発明の電磁波遮断ネットが低周波から高周波に渉って十分な電磁波遮断効果があることが明らかである。その吸収量は1.4GHz以下で97%、10GHz近辺で約90%となっている。該実験はネットが1層のものであるが、さらにネットを重ねればもっと遮断効果が高まることが明らかである。
【0028】
このような本発明の電磁波遮断ネット2は、各種加工品の素材として使用することが可能である。その他に、衣服の芯地、電気カーペットの内張り、建築材料(内壁材料、天井材料、床材料等)の内張り等に使用することができる。
【0029】
図2は本発明の電磁波遮断ネットの応用例の斜視図である。
この例の電磁波遮断材は、壁紙、カーテン等の装飾的要素を備えたシート材4の裏面に前述の電磁波遮断ネット2をはり合わせたものであって、カーテン、壁紙等のように、装飾的要素を含むシート材4の装飾性を損なうことなく電磁波遮断効果が得られる。
【0030】
図3は本発明の電磁波遮断ネットの他の応用例の斜視図である。
この例の電磁波遮断材は、上記ネット2の片側に粘着または接着シート3を重ね合わせることで、電磁波遮断シートを形成する。このシートは簡単に合成樹脂等に粘着できる。この場合は、他の素材に単に貼るだけなので取り扱いが簡単であり、コストパフォーマンスも高い。このシートは家電製品(テレビ、洗濯機、乾燥機、電子レンジ等)、電話基盤、携帯電話等の通信機器、パソコン、モニター等の電子機器、自動車のエンジン周り、運転席周り、航空機の操縦室周り、または客席周りや内外装といった機器の内張りに使用することができる。
【0031】
又、図3において、符号3のものを透明なプラスチック・ボードとし、上記ネット2を5〜15cm間隔で該ボードに熱融着する応用例も有効である。該ボードは、ネットを融着した方を内側にしてボックス形状とし、例えば電子機器のシールド・ボックスとして用いられる。電子機器が外部の雑音により誤動作するのを防止することができる簡易型の安価なシールド・ボックスを提供できる。
【0032】
図4は本発明の電磁波遮断ネットのさらに他の応用例の分解構造図である。図中、6は収縮率の小さい、即ち伸びにくいトリコット地からなる合成皮革の基布である。図4(a),(b)に示すように、この基布6に、前述の電磁波遮断ネット2がはり合わせられている。次に図4(c)に示すように、電磁波遮断ネット2をはり合わせた基布6の電磁波遮断ネット2をはり合わせた面に、ポリウレタン樹脂をコーティングして合成皮革の表面層63が形成されている。コーティングの方法は、ポリウレタン樹脂を湿式塗装した後、乾式塗装して仕上げる。この例の電磁波遮断材は、携帯電話機の収納ケース等のようなものを立体的に縫製しても型崩れせず高級感があり、また汚れがつきにくい上に汚れても汚れが目立たない。
【0033】
図5(a)は、この発明の電磁波遮断ネットのさらに他の応用例の分解構造図である。図中、51及び53は透明な可撓性を有するポリ塩化ビニル(PVC)からなる軟質シート材、52は前述の電磁波遮断ネットであり、編目の粗さは1.5mm以下であってしかも透光性を保つ粗さである。この電磁波遮断材は、図5(b)に示すように電磁波遮断ネット52の両面に、上述の軟質シート材51及び53がラミネート加工によりはり合わせられているものである。この例の電磁波遮断材(透明ラミネートシート)は透明であるとともに柔軟であって弾力がある。なお、この例は電磁波遮断ネット52の両面に軟質シート材51及び53がラミネート加工によりはり合わせられた構造であるが、軟質シート材51又は53が、電磁波遮断材の表面となる電磁波遮断ネット52の片面だけにラミネート加工ではり合わせられた構造であってもよい。
【0034】
以上のような本発明の電磁波遮断ネット及び電磁波遮断材は、1.5mm以下の目の粗さの電磁波遮断ネット2が電磁波を反射し、又は吸収して熱エネルギーに変換する機能を有し、200MHz以上のマイクロ波を90%以上遮断する。しかし、1.5mm以上の粗さではシールド効果が目の大きさに比例して減少する。
【0035】
次に、この発明の電磁波遮断ネットを用いた製品例を説明する。
図6,図7は、この発明の電磁波遮断ネットを用いたCDプレーヤーケースであり、図8,図9は完全密閉型の携帯電話用ケースである。これらは一般の合成皮革や布地を表素材として使用し、この発明の電磁波遮断ネットを内張りに使用した電磁波遮断グッズである。電磁波を発生する電子機器を完全密封してしまうことで電磁波を外部に漏らさないようにするものである。病院内や飛行中の航空機内にこれら電子機器を持ち込む際に、誤って電源を切り忘れても上記シールドケースに入れておけば他の電子機器や計器への誤動作を防止することができる。従って、携帯電話の使用を禁止する病院とか映画館の入り口でケース内への収納を義務付ける使用形態が考えられる。また、CDプレーヤーの場合にはイヤホーンとリモコンが付属されているのでそれらの使用により上記ケースに入れたままでの使用が可能である。従って、上記ケースを用いることにより飛行中等に使用が禁止されていた機器の使用をも可能にするものである。
【0036】
この発明の電磁波遮断ネットはネットそのものを単独で使用する他に、他の基材と重ね合わせて様々な用途に応用することが可能である。重ね合わせの方法は上記ネットの両面を他の素材で挟み込む方法や片面のみに張り合わせる方法がある。以下、その例を示す。
【0037】
a.衣料品等の生地素材、芯地、ホットカーペット、建材ボードの内張り、あるいは壁紙、カーテン、外装用化粧シートとしての既存の製品に単独の上記ネットを重ね合わせる。
【0038】
b.上記ネットの片側に粘着または接着シートを重ね合わせることで、電磁波遮断シートを形成する(図3参照)。このシートは簡単に合成樹脂等に粘着できる。他の素材に単に貼るだけなので取り扱いが簡単であり、コストパフォーマンスも高い。このシートは家電製品(テレビ,洗濯機,乾燥機,電子レンジ等)、電話基盤,携帯電話等の通信機器、パソコン,モニター等の電子機器、自動車のエンジン周り,運転席周り,航空機の操縦室周り、または客席周りや内外装といった機器の内張りに使用することができる。
【0039】
c.上記ネットをプラスチックやゴムの成形においてインサート成形する。インサート成形された素材は上記と同様に、家電製品(テレビ,洗濯機,乾燥機,電子レンジ等)、電話基盤,携帯電話等の通信機器、パソコン,モニター等の高周波ノイズ対策を必要とする電子機器のハウジングやパッケージとして利用でき、自動車のエンジン周り,運転席周り,航空機の操縦室周り、または客席周りといった高周波ノイズ対策を必要とする電子機器にも使用することができる。
【0040】
d.磁性体のフェライトを練り込んだゴムや樹脂をシート状にし、この発明の上記電磁波遮断ネットとの多層体構造を取ることにより、電波吸収効率の高い素材を開発することができる。
【0041】
e.電子機器のスイッチ,キー等の操作部分及びディスプレー等の表示部分は、その位置,機能,表示内容等を視認できることが必要条件である。このような透明性が求められる場合には、透明で可とう性を有する軟質のポリ塩化ビニル樹脂等のシート材にラミネート加工等によって張り合わせ、透明,柔軟な電磁波遮断材を提供することができる(図4参照)。
【0042】
f.合成皮革等の収縮率の小さい、伸びにくいトリコット地からなる基布を片側に張り合わせることで、電磁波遮断素材を形成する(図5参照)。この場合、基布のもつ特徴をそのまま生かせるため、立体に縫製しても型崩れせず、高級感、装飾感のある素材を提供できる。
【0043】
【発明の効果】
この発明の電磁波遮断ネットは、従来の導電性繊維を練り込んだ、あるいは織り込んだ布状電磁波シールド素材に比較すると、以下のような特徴を有し、いかなる機器に対しても簡単な加工のみで電磁波遮断素材として使用することができる汎用性をもっている。
【0044】
以下、特徴を列挙すると、
1.電磁波遮断及び吸収効果
この発明の電磁波遮断ネットのように導電性繊維同士が直接接触している構造は、導電性繊維間の導電性がよく保たれるのでネット全体の導電性が高い(電気表面抵抗値:0.05Ω/sq. )。従って、その分だけ電磁波シールド効果も高くなる。また、導電性繊維を網状にする時、本発明のようにコイル状(より糸)にすると表面積が増加し、電磁波遮断及び吸収効果が高くなる。
【0045】
2.静電気(帯電)防止効果
電気表面抵抗が0.05Ω/sq. 以下で、その上二本の繊維をより糸にしコイル状にして体表面積を増大させているので静電気を空中に放電する効果が大きい。また、表面の導電性が高いので、静電気がアースに逃げ易く、帯電防止効果がある。電子機器に該素材を用いれば、帯電に伴う埃やタバコの煙の吸着等を防止できる。電子機器のハウジングは電磁波ノイズ防止のため無電解メッキまたは蒸着メッキをすることがあるが、該メッキには静電防止効果はあまり無い。
【0046】
3.コスト面
大型の電気製品のように電磁波を遮断すべき面積が広くなると、電磁波遮断素材を大量に使用する必要がある。そのため電磁波遮断に多大のコストが要することになる。この発明のように電磁波遮断素材をメッシュ状に粗く織ると、金属繊維素材の使用量を大幅に削減し、該遮断材を安価に製造することができる。この発明の電磁波遮断ネットは、特殊な装置を必要とせず一般的なトリコット編み機を使用し、使用する金属繊維素材の量を少なくし、低コスト化に成功した。
【0047】
4.抗菌性
この発明の電磁波遮断ネットは導電性繊維の金属コーティングが表面に表出しており、金属(実施例では銀)は抗菌効果があることが知られている。この発明の電磁波遮断ネットを手に触れる例えば携帯電話機ケースとか病院内のカーテンとかケースに用いる場合は、その表面が清潔に保たれる効果がある。
【0048】
5.耐熱性
用途によっては、電磁波遮断材が適用される機器から熱が付加される。あるいは、高温の場所で使用されることも考えられる。この発明の電磁波遮断ネットは、多少の加熱によっては熔解あるいは変形を起こさず、熱に対して強い素材である。例えば、ナイロン糸を基礎繊維素材とすると摂氏180度以下で用いれば問題はなく、テトロン糸だと200度以上でも問題はない。カーボン繊維素材を用いればさらに熱に強い素材となるが、導電性は金属繊維素材の方が高いので用途によって使い分けられる。
【0049】
6.収縮性
この発明の電磁波遮断ネットは、トリコット状に編まれたネットであるため、織布を用いて製造された電磁波遮断素材に比較して、収縮率が大きく、柔軟性がある。そのため、他の製品、原材料へ重ね合わせて使用することが非常に容易である。特に複雑な形状を有していたり、サイズの小さいOA機器、通信機器に最適である。
【0050】
7.形状安定性
導電性繊維を網状(六角形)に一定の升目を固定するためには、トリコット状に編むのが最適である。トリコット編みは一定の升目を保つことができ、一定の升目を保つことによって安定した電磁波遮断効果が得られる。
【0051】
8.通気性・伝熱性
通常の織物や編み物と異なり、この発明の電磁波遮断ネットは粗めのネット状なので、通気性があり、伝熱性も高く、電子機器に用いた場合でも電子機器の放熱効果を損なわない。
【0052】
9.軽量性
通常の織物や編み物と異なり、この発明の電磁波遮断ネットは粗めのネット状なので、超軽量(約20g/m2 )である。
【0053】
10.低公害・省エネルギー
通常、電子機器のハウジングは電磁波ノイズ防止のためプラスティックに無電解メッキまたは蒸着メッキをするか、金属板そのもので作成することが多い。無電解メッキは有害な化学物質(シアン等)を使用するので水質汚染の問題があり、設備投資も容易ではない。また、その取扱量を増加させるのは、環境上問題がある。また、蒸着メッキや金属板形成は熱エネルギーを多く使用しCO2 を排出するが、この発明のネットを使用すれば、上記問題は生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電磁波遮断ネットの拡大図及び該ネットに用いられる撚糸の拡大図である。
【図2】この発明の電磁波遮断ネットの応用例を示す図である。
【図3】この発明の電磁波遮断ネットの他の応用例を示す図である。
【図4】この発明の電磁波遮断ネットのさらに他の応用例を示す分解構造図である。
【図5】この発明の電磁波遮断ネットのさらに他の応用例を示す分解構造図である。
【図6】この発明の電磁波遮断ネットを用いた製品例を示す図である。
【図7】この発明の電磁波遮断ネットを用いた他の製品例を示す図である。
【図8】この発明の電磁波遮断ネットを用いたさらに他の製品例を示す図である。
【図9】この発明の電磁波遮断ネットを用いたさらに他の製品例を示す図である。
【図10】この発明の電磁波遮断ネットの実験結果を示す図である。
【図11】この発明の電磁波遮断ネットの実験結果を示す図である。
【図12】図11,図12の測定に用いられた実験装置を示す図である。
【符号の説明】
1 撚糸
2 電磁波遮断ネット
3 接着シート
4 シート材
51,53 軟質シート材
52 電磁波遮断ネット
6 基布
7,8 CDプレーヤー用電磁波遮断ケース
9,10 携帯電話機ケース
Claims (2)
- 導電性を有する繊維素材を2本以上を一緒に撚り合わせた撚糸を用い、三本糸でトリコット編みで編んで六角形状の升目を形成することにより、
編目の粗さが、向こうが透けて見える程度で、かつ1.5mm以下のメッシュ状に編まれ、編み目の交差部分で絡み合った繊維同士の導電により電磁波の反射量、吸収量が大きくなり、かつ編み目の縦横の繊維が互いの動きを拘束することで目の粗さが一定に維持されていて、軽量で、帯電防止、抗菌性、柔軟性及び通気性を有することを特徴とする電磁波遮断ネット。 - 前記導電性を有する糸がナイロン糸に銀メッキしたものであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波遮断ネット。
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