JP3931673B2 - 異方性導電フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚み方向にのみ導電性を有する異方性導電フィルムに係り、特に、貯蔵安定性に優れ、長時間保存後の接着性、導電性にも優れた異方性導電フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
異方性導電フィルムは、導電性粒子が分散された接着剤樹脂組成物を成膜したものであり、厚さ方向に加圧することにより厚さ方向に導電性が付与される。この異方性導電フィルムは、例えば、相対峙する回路間に介装し、回路間を加圧、加熱することにより回路間を導電性粒子を介して接続すると共に、これら回路間を接着固定する目的に使用される。
【0003】
この異方性導電フィルムは、フレキシブルプリント基板(FPC)やTABと液晶パネルのガラス基板上に形成されたITO(スズインジウム酸化物)端子とを接続する場合をはじめとして、種々の端子間に異方性導電膜を形成し、それにより該端子間を接着すると共に電気的に接合する場合に使用されている。
【0004】
従来の異方性導電フィルムは、一般にエポキシ系又はフェノール系樹脂と硬化剤を主成分とする接着剤に導電性粒子を分散させたもので構成され、中でも使用上の便宜等の点から接着剤としては1液型の熱硬化型のものが主流になっている。また、異方性導電フィルムとしては、高温高湿下でも安定した接続信頼性が得られるようにするため、種々の方法により接着強度の強化が図られているが、従来のエポキシ系又はフェノール系樹脂を用いた異方性導電フィルムは、接着力が低く、作業性が悪く、耐湿耐熱性に問題があった。
【0005】
このような点から、本出願人は、先にポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂を主成分とする熱又は光硬化性接着剤からなる異方性導電フィルム(特開平10−338860号公報)、或いは、アクリル系モノマー及び/又はメタクリル系モノマーを重合して得られる(メタ)アクリル系樹脂を主成分とする熱又は光硬化性接着剤からなる異方性導電フィルム(特開平10−338844号公報)を提案した。また、このような異方性導電フィルムを更に改良して、ポリイミドやPET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂基板上にSiOX(SiO2)被覆膜を形成し、この上にITO端子を形成した樹脂基板との接着性に優れた異方性導電フィルムとして、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂よりなるベース樹脂と、メラミン系樹脂、リン酸(メタ)アクリレート及びアルキド樹脂とを含む熱硬化性又は光硬化性樹脂組成物に導電性粒子を分散させた接着剤組成物を成膜してなる異方性導電フィルムを提案した(特願2001−204981。以下「先願」という。)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、リン酸(メタ)アクリレートを含む先願の異方性導電フィルムでは、貯蔵安定性が悪く、経時によりフィルムの粘度が上昇し、粘度の上昇に起因して導電性、接着性が低下するという欠点があった。
【0007】
本発明は、このような先願の異方性導電フィルムの問題点を解決し、貯蔵安定性に優れ、長時間保存後の接着性、導電性にも優れた異方性導電フィルムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の異方性導電フィルムは、導電性粒子が分散された接着剤樹脂組成物を成膜してなる異方性導電フィルムにおいて、該接着剤樹脂組成物が、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂よりなるベース樹脂と、メラミン系樹脂と、アンモニウム塩とを含む異方性導電フィルムであって、該アンモニウム塩が塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム及び酢酸アンモニウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
【0009】
本発明では、リン酸(メタ)アクリレートに代えて塩化アンモニウム等のアンモニウム塩を配合することにより、優れた貯蔵安定性を得ることができる。即ち、リン酸(メタ)アクリレートは、室温1日放置でメラミン樹脂と反応して粘度上昇を引き起こし、このことが導電性及び接着性低下の原因となっているが、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩であれば、加熱前の状態で分解ないし反応は生起せず、このため良好な導電性及び接着性を得ることができる。そして、加熱により、以下の反応で、メラミン樹脂中に含まれているホルムアルデヒドと反応し、塩酸とヘキサメチレンテトラミンと水を生成する。
4NH4Cl+6CH2O→(CH2)6N4+4HCl+6H2O
この反応で生成した塩酸がメラミン樹脂とポリアセタール化樹脂との反応を促進して接着硬化する。
【0010】
このように、加熱前の貯蔵中には酸は存在せず、このため増粘ないしは硬化反応が起こることはなく、加熱により酸の生成及び硬化反応が進行するため、貯蔵中の増粘による導電性及び接着性の低下の問題は解消される。
【0011】
本発明の異方性導電フィルムの樹脂組成物は、ベース樹脂100重量部に対して、メラミン系樹脂を1〜200重量部、アンモニウム塩を0.01〜10重量部含有することが好ましい。
【0013】
また、本発明の異方性導電フィルムの樹脂組成物は、ベース樹脂100重量部に対して、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びエポキシ基含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性化合物を0.5〜80重量部含有することが好ましい。
【0014】
また、導電性粒子の配合量はベース樹脂に対して0.1〜15容量%であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
本発明において、接着剤を構成する樹脂組成物のベース樹脂は、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂である。
【0017】
ポリアセタール化樹脂としては、アセタール基の割合が30モル%以上であるものが好ましい。アセタール基の割合が30モル%より少ないと耐湿性が悪くなる恐れが生じる。このポリアセタール化樹脂としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等が挙げられるが、特にはポリビニルブチラールが好ましい。このようなポリアセタール化樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば電気化学工業社製「デンカPVB3000−1」「デンカPVB2000−L」などを用いることができる。
【0018】
本発明においては、異方性導電フィルムの接着性の向上のためにメラミン系樹脂とアンモニウム塩とを用いる。メラミン系樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂等のブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。このようなメラミン系樹脂は、前記ベース樹脂100重量部に対して1〜200重量部、特に1〜100重量部配合するのが好ましい。このメラミン系樹脂の配合量が1重量部未満では、十分な接着性の改善効果が得られず、200重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0019】
アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等のアンモニウム塩の1種又は2種以上を用いる。特に、ポリビニルアセタール化樹脂との相溶性等の面で塩化アンモニウムを用いるのが好ましい。
【0020】
このようなアンモニウム塩は、前記ベース樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.01〜5重量部配合するのが好ましい。このアンモニウム塩の配合量が0.01重量部未満では、加熱による硬化反応の進行が十分ではなく、10重量部を超えるとホルムアルデヒドとの反応でアンモニアを副生し、接着性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0021】
なお、メラミン系樹脂とアンモニウム塩との併用による優れた接着性の向上効果を得るために、メラミン系樹脂とアンモニウム塩との配合比をメラミン系樹脂:アンモニウム塩=1:0.01〜1(重量比)とするのが好ましい。
【0022】
本発明においては、異方性導電フィルムの物性(機械的強度、接着性、光学的特性、耐熱性、耐湿性、耐候性、架橋速度等)の改良や調節のために、樹脂組成物にアクリロキシ基、メタクリロキシ基又はエポキシ基を有する反応性化合物(モノマー)を配合することが好ましい。この反応性化合物としては、アクリル酸又はメタクリル酸誘導体、例えばそのエステル及びアミドが最も一般的であり、エステル残基としてはメチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基のほかに、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、ダイアセトンアクリルアミドが代表的である。多官能架橋助剤としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル等が挙げられる。また、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(EO)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有するポリマーをアロイ化することによって同様の効果を得ることができる。
【0023】
これらの反応性化合物は1種又は2種以上の混合物として、前記ベース樹脂100重量部に対し、通常0.5〜80重量部、好ましくは0.5〜70重量部添加して用いられる。この配合量が80重量部を超えると接着剤の調製時の作業性や成膜性を低下させることがある。
【0024】
また、本発明に係る樹脂組成物には、接着層への気泡の混入を防止してより一層高い導電性と接着力を確保するために尿素系樹脂を配合しても良い。この尿素系樹脂としては、尿素樹脂、ブチル化尿素系樹脂等を用いることができる。なお、同様の目的でフェノール樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0025】
尿素系樹脂等の気泡混入防止のための樹脂を配合する場合、その配合量は、ベース樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.5〜5重量部とするのが好ましい。この配合量が0.01重量部未満では、十分な気泡混入防止効果を得ることができず、10重量部を超えると導通信頼性が悪化する。
【0026】
本発明に係る樹脂組成物には、更に接着促進剤としてシランカップリング剤を添加しても良い。シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の1種又は2種以上の混合物が用いられる。
【0027】
これらのシランカップリング剤を添加する場合、その添加量は、ベース樹脂100重量部に対し通常0.01〜5重量部で充分である。
【0028】
また、本発明に係る樹脂組成物には、加工性や貼り合わせ性等の向上の目的で炭化水素樹脂を添加しても良い。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでもよい。天然樹脂系では、ロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネン等のテルペン系樹脂の他、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コバル、シェラックを用いてもよい。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0029】
このような炭化水素樹脂を添加する場合、その添加量は適宜選択されるが、ベース樹脂100重量部に対して1〜200重量部が好ましく、更に好ましくは5〜150重量部である。
【0030】
以上の添加剤のほか、本発明に係る樹脂組成物には、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、加工助剤等を本発明の目的に支障をきたさない範囲で用いてもよい。
【0031】
導電性粒子としては、電気的に良好な導体であれば良く、種々のものを使用することができる。例えば、銅、銀、ニッケル等の金属ないし合金粉末、このような金属又は合金で被覆された樹脂又はセラミック粉体等を使用することができる。また、その形状についても特に制限はなく、りん片状、樹枝状、粒状、ペレット状等の任意の形状をとることができる。
【0032】
なお、導電性粒子は、弾性率が1.0×107〜1.0×1010Paであるものが好ましい。即ち、プラスチックフィルムを基材とする液晶フィルムなどの被接着体の接続で異方性導電フィルムを使用する場合、導電性粒子として弾性率の高いものを用いると、被接着体にクラックが生じるなどの破壊や圧着後の粒子の弾性変形回復によるスプリングバックなどが発生し、安定した導通性能を得ることができない恐れがあるため、上記弾性率範囲の導電性粒子を用いることが推奨される。これにより、被接着体の破壊を防止し、圧着後の粒子の弾性変形回復によるスプリングバックの発生を抑制し、導電性粒子の接触面積を広くすることが可能になって、より安定した信頼性の高い導通性能を得ることができる。なお、弾性率が1.0×107Paより小さいと、粒子自身の損傷が生じ、導通特性が低下する場合があり、1.0×1010Paより大きいと、スプリングバックの発生が生じる恐れがある。このような導電性粒子としては、上記のような弾性率を有するプラスチック粒子の表面を前述の金属又は合金で被覆したものが好適に用いられる。
【0033】
本発明において、このような導電性粒子の配合量は、前記ベース樹脂に対して0.1〜15容量%であることが好ましく、また、この導電性粒子の平均粒径は0.1〜100μmであることが好ましい。このように、配合量及び粒径を規定することにより、隣接した回路間で導電性粒子が凝縮し、短絡し難くなり、良好な導電性を得ることができるようになる。
【0034】
本発明の異方性導電フィルムは、このような導電性粒子を接着剤樹脂組成物中に分散させてなるものである。この導電性粒子を含む接着剤樹脂組成物は、メルトインデックス(MFR)が1〜3000、特に1〜1000、とりわけ1〜800であることが好ましく、また、70℃における流動性が105Pa・s以下であることが好ましく、従って、このようなMFR及び流動性が得られるように配合を選定することが望ましい。
【0035】
本発明の異方性導電フィルムは、前記接着剤樹脂組成物と、導電性粒子とを所定の配合で均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダーロール、Tダイ押出、インフレーション等の成膜法により所定の形状に成膜することにより製造される。また、接着剤樹脂組成物と導電性粒子を溶媒に溶解ないし分散させ、セパレーターの表面に塗付した後、溶媒を蒸発させることによっても成膜することができる。なお、成膜に際しては、ブロッキング防止、被着体との圧着を容易にするため等の目的で、エンボス加工を施してもよい。
【0036】
このようにして得られた異方性導電フィルムによって被着体同士を接着するには、例えば、熱プレスによる貼り合わせ法や、押出機、カレンダーによる直接ラミネート法、フィルムラミネーターによる加熱圧着法等の各種の手法を用いることができる。
【0037】
本発明の異方性導電フィルムにおける硬化条件としては、通常70〜170℃、好ましくは70〜150℃で、通常10秒〜120分、好ましくは20秒〜60分である。
【0038】
この接着時には、接着方向に1〜4MPa特に2〜3MPa程度の圧力を加えることが好ましい。
【0039】
なお、本発明の異方性導電フィルムは、フィルム厚さ方向に10Ω以下、特に5Ω以下の導電性を有し、面方向の抵抗は106Ω以上、特に109Ω以上であることが好ましい。
【0040】
本発明の異方性導電フィルムは、例えばFPCやTABと液晶パネルのガラス基板上のITO端子との接続など、種々の端子間の接続に使用されるなど従来の異方性導電フィルムと同様の用途に用いられ、硬化時に架橋構造が形成されると共に、高い接着性、特に金属との優れた密着性と、優れた貯蔵安定性、耐久性、耐熱性が得られる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
実施例1、比較例1
ポリビニルブチラール(電気化学工業社製「デンカPVB3000−1」のトルエン25重量%溶液を調製し、このポリビニルブチラール合計100重量部に対して表1に示す成分を表1に示す量で混合し、これをバーコーターによりセパレーターであるポリテレフタル酸エチレン上に塗布し、幅5mm、厚さ15μmのフィルムを得た。
【0043】
【表1】
【0044】
各フィルムを直ちに或いは下記▲1▼,▲2▼の条件でそれぞれ1日放置した後、ガラス基板にITO端子を形成した基板と、ポリイミド基板に銅箔をパターニングした基板との接着用として、セパレーターを剥離してモニターで位置決めをし、130℃で15秒間、2MPaにおいて加熱圧着した。
▲1▼ 冷凍(−30℃)
▲2▼ 室温
【0045】
各サンプルについて、引張試験機による90°剥離試験(50mm/min)により接着力を測定すると共に、デジタルマルチメータにより厚み方向の導通抵抗を測定し、結果を表2に示した。また、製造直後のフィルムを圧着して得られた各サンプルを温度60℃,湿度90%の湿熱条件に1日放置した後上記と同様に導通抵抗を測定し、結果を表2に示した。
【0046】
【表2】
【0047】
表2より、リン酸メタクリレートを配合した比較例1では、室温での貯蔵後の接着力が低く、また、導電性は、どのような保存条件であっても大きく低下しているのに対して、塩化アンモニウムを用いた実施例1では、貯蔵後も貯蔵前と同様に良好な接着性及び導電性を示すことが明らかである。また、圧着後、湿熱条件で放置した場合の接続信頼性においても、実施例1では比較例1に比べて良好な性能を得ることができた。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、貯蔵安定性に優れ、長時間保存後の接着性、導電性にも優れた異方性導電フィルムが提供される。
Claims (6)
- 導電性粒子が分散された接着剤樹脂組成物を成膜してなる異方性導電フィルムにおいて、
該接着剤樹脂組成物が、ポリビニルアルコールをアセタール化して得られるポリアセタール化樹脂よりなるベース樹脂と、メラミン系樹脂と、アンモニウム塩とを含む異方性導電フィルムであって、
該アンモニウム塩が塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム及び酢酸アンモニウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする異方性導電フィルム。 - 請求項1において、該樹脂組成物がベース樹脂100重量部に対してメラミン系樹脂を1〜200重量部含有することを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1又は2において、該樹脂組成物がベース樹脂100重量部に対してアンモニウム塩を0.01〜10重量部含有することを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該アンモニウム塩が塩化アンモニウムであることを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該樹脂組成物がベース樹脂100重量部に対して、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及びエポキシ基含有化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性化合物を0.5〜80重量部含有することを特徴とする異方性導電フィルム。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該導電性粒子の配合量がベース樹脂に対して0.1〜15容量%であることを特徴とする異方性導電フィルム。
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